JP2004307175A - 配達エリアシミュレーションシステムおよびそのプログラムと方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1日1台で配達する販売店の単位を1コースとし、拠点に所属する販売店のうちピストン条件を満たす販売店をピストン輸送とし、その他の販売店をシングル輸送とする。ピストン輸送の販売店について物量面及び時間面のそれぞれの局面からコース数をそれぞれ算出し、多い方をピストン輸送のコース数とする。シングル輸送の販売店についても物量面及び時間面のそれぞれの局面からコース数をそれぞれ算出し、多い方をシングル輸送のコース数とする。算出された各コース数を合計して当該ピストン条件におけるコース数とする。
【選択図】 図28
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の配達拠点それぞれについての配達エリアをシミュレートするシステム及びそのプログラムと方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物流業界において、物流コスト削減を目的とした配達スケジュールを作成するコンピュータシステムはすでに多く開示されている。例えば、特許文献1、特許文献2等である。これらは、1の配達拠点から複数の配達先への配達スケジュールを最適化するシステムであり、また、物流コストの削減をリードタイムの短縮として位置付けている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−166939号公報
【特許文献2】
特開平9−311702号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、複数の配達拠点に対して複数の配達先を所属させることにより、複数の配達エリアを作成する場合、物流コストの削減面から最適な配達エリアを作成するには、リードタイムの他に各配達拠点で維持する配達車の効率的な運用という観点が重要になる。
【0005】
しかし、上記の発明を初め、従来のコンピュータによる配達スケジュールシステムには、配達車の台数という観点から配達エリアを作成するものが存在しなかった。従って、各配達エリアの配達車の最適台数や配達エリア間の調整後の台数等は煩雑な手作業によって行なわざるを得ず、膨大な時間と手間を要した。
【0006】
そこで、本発明は、配達車の台数に基づいた配達エリアの最適化を図るべく、配達エリアにおける配達車のコース数をシミュレートする配達エリアシミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明の配達エリアシミュレーションシステムは、1の配達拠点(2)から複数の配達先(3…3)へ、配達車によって配達物を配達する配達エリア(201a)において、前記配達車の配達コースのコース数に関するシミュレーションを行なう配達エリアシミュレーションシステムであって、前記複数の配達先を相互に識別可能な配達先識別情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達物量に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達回数に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける配達にかかる店頭時間に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける行政区速度に関する情報と、を相互に関連付けて記憶する配達先情報記憶手段(11b)と、前記配達拠点の場所に関する情報と前記配達拠点の行政区速度に関する情報と、を記憶する配達拠点情報記憶手段(11a)と、前記配達物の配達に係る作業時間に関する情報と、前記配達車の前記配達物についての積載量に関する情報と、を記憶する共通情報記憶手段(14a、14b)と、前記作業時間に関する情報に基づいて1日の配達時間Wsを算出する配達時間算出手段(4a)と、前記配達拠点の場所に関する情報と前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報から、前記配達拠点と前記複数の配達先との間の距離を求め、その距離と前記配達拠点の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が前記配達拠点と前記複数の配達先それぞれとの移動に要する時間の平均である拠点から時間Dtを算出する拠点から時間算出手段(4b)と、前記複数の配達先のそれぞれの前記場所に関する情報に基づいて、前記複数の配達先のそれぞれ相互間の距離を求め、その距離とその距離に対応する配達先の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が一の配達先から他の配達先への移動に要する時間の平均である平均店間時間Stを算出する店間時間算出手段(4c)と、前記複数の配達先のそれぞれの前記店頭時間に関する情報に基づいて、平均店頭時間Otを算出する店頭時間算出手段(4d)と、前記配達車が1コースで配達可能な前記配達先数Dnを、下記の式に基づいて求める配達先数算出手段(4e)と、
【0009】
【数12】
【0010】
前記複数の配達先のそれぞれの前記配達回数に関する情報に基づいて、前記配達車が所定期間に配達する配達先数延べ数Sn算出する配達先延べ数算出手段(4f)と、下記の式に基づいて前記所定期間における時間コース数Cnshを算出する時間コース数算出手段(4g)と
【0011】
【数13】
【0012】
前記複数の配達先のそれぞれの前記配達回数に関する情報及び前記配達物量に関する情報に基づいて、前記所定期間に、前記複数の配達先のそれぞれへ配達される前記配達物量の期間内配達物量合計Vnを算出する期間内物量算出手段(4h)と、前記積載量をBnとし、下記の式に基づいて前記所定期間における物量コース数Cnsgを算出する物量コース数算出手段(4i)と、
【0013】
【数14】
【0014】
前記時間コース数Cnshと前記物量コース数Cnsgのうち、いずれか一方を選択し、前記配達エリアのコース数Cnとして決定するコース数決定手段(4j)と、を有することにより、上記の課題を解決する。
【0015】
本発明は、配達車の台数を所定期間におけるコース数として算出する。本実施形態では、1コースは1日に1台の配達車が配達可能な配達先の集合体であり、このコース数を次の2つの局面に基づいてシミュレートする。1つは、所定期間に配達される配達先延べ数Snと1コースに配達車1台で配達可能な配達先数Dnとに基づいて算出される、所定期間に必要な時間コース数Cnshである。これは1日の配達時間Wsに基づいた時間的な制限に基づくコース数である。もう1つは、所定期間に配達される配達物量の合計である期間内配達物量合計Vnと配達車1台の積載量Bnとに基づいて算出される、所定期間に必要な物量コース数Cnsgである。これは積載量Bnという物量的な制限に基づくコース数である。コース数決定手段にて、どちらか1つが選択され、当該配達エリアのコース数Cnが決定されるので、配達エリアにおける配達車のコース数のシミュレートを行なうことができる。また、複数の配達エリアがある場合であっても、各配達エリアに対して、それぞれコース数をシミュレートすることにより、全配達エリアに対してコース数や所属する配達先数の検討を行なうことができる。例えば、算出されたコース数から必要な配達車の台数が得られ、その配達拠点にて現在所有されている配達車の数と必要な配達車の数とを比較することができる。シミュレートにより求められた台数よりも所有されている台数の方が多い場合は、余分な配達車の存在があることになる。従って、所有車数を減らすか又は配達先数を増加させる等の検討材料となり得る。
【0016】
前記コース数決定手段は、前記時間コース数Cnshと前記物量コース数Cnsgのうち、大きい数の方を選択してもよい。これによって、常に、時間的な制限も物量的な制限も満たしたコース数Cnを得ることができる。
【0017】
前記配達時間算出手段は、前記作業時間に関する情報に基づく作業時間から、前記配達拠点での作業(46、48)及び休憩時間(47)を除いた時間としてもよい。これによって、1日の配達時間Wsは、配達車による配達が実際に行なわれている時間とすることができる。
【0018】
前記複数の配達先のうち、前記配達拠点にて前記配達物の積込み作業を1コース中に複数回行なうピストン輸送の対象であるための条件を満たす前記複数の配達先を選択し、その選択された前記複数の配達先を前記ピストン輸送の対象として、選択されなかった通常輸送の前記複数の配達先と識別可能にするピストン対象選択手段(4k)を有し、前記配達時間算出手段においては、前記配達拠点における前記積込み作業の回数に応じた時間を考慮して前記ピストン輸送に対応する1日の配達時間Wpを算出し、前記拠点から時間算出手段、前記店間時間算出手段、前記店頭時間算出手段、前記配達先延べ数算出手段、及び前記期間内物量算出手段それぞれにおいて、前記ピストン輸送の対象とされる前記複数の配達先と前記通常輸送の対象とされる前記複数の配達先とはそれぞれ別個に処理され、前記配達先数算出手段は、前記通常輸送に対応する前記配達先数Dnの他に、前記ピストン輸送に対応する前記配達先数Dnを、前記ピストン輸送に対応する前記拠点から時間Dt、前記平均店間時間St、前記平均店頭時間Otに基づいて、下記の式により求め、
【0019】
【数15】
【0020】
前記時間コース数算出手段は、前記通常輸送に対応する前記時間コース数Cnshの他に、前記ピストンに対応する時間コース数Cnphを、前記ピストン輸送に対応する前記配達先延べ数Sn及び前記配達先数Dnに基づいて算出し、前記物量コース数算出手段は、前記通常輸送に対応する前記物量コース数Cnsgの他に、前記ピストン輸送に対応する物量コース数Cnpgを、前記ピストン輸送に対応する前記期間内配達物量合計Vnに基づいて、下記の式により算出し、
【0021】
【数16】
前記コース数決定手段は、前記通常輸送に対応する前記コース数Cns及び前記ピストン輸送に対応する前記コース数Cnpをそれぞれ選択し、選択された前記通常輸送に対応する前記コース数Cnsと前記ピストン輸送に対応する前記コース数Cnpを合計し、その合計コース数を前記配達エリアの前記コース数Cnとして決定してもよい。
【0022】
これにより、1回の積み込み作業の後、帰所するまでを1コースとする輸送形態の他に、1コース中に複数回積み込み作業を行い、そのために配達拠点に複数回帰所する場合の配達形態も考慮して配達車のコース数をシミュレートすることができる。
【0023】
前記条件の下で、前記ピストン輸送の対象となる前記複数の配達先と前記通常輸送の対象となる前記複数の配達先との組み合わせが複数成立する場合に、前記コース数決定手段は、前記複数の組み合わせのそれぞれについて、前記合計コース数をそれぞれ算出し、その算出された前記合計コース数のうち、最小の数の前記合計コース数を前記配達エリアにおける前記コース数Cnとして決定してもよい。
【0024】
これによって、通常輸送の対象となる複数の配達先とピストン輸送の対象となる複数の配達先のうち、配達車のコース数の観点から最も効率的な組み合わせを決定することができる。
【0025】
前記移動に要する時間は、前記配達車が配達する場所の環境及び移動する距離を考慮した速度に基づいて求められてもよい。これにより、都会と田舎といった環境の差や移動距離に応じた配達車の移動時間や移動距離を得ることができ、シミュレートされたコース数の結果がより実際に近いものとなる。
【0026】
本発明の配達エリアシミュレーションプログラムは、1の配達拠点(2)から複数の配達先(3…3)へ配達車によって配達物を配達する配達エリア(201a、201b)において、前記配達車の配達コースのコース数に関してシミュレーションを行なう手段として、コンピュータを機能させる配達エリアシミュレーションプログラムであって、前記コンピュータを、前記複数の配達先を相互に識別可能な配達先識別情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達物量に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達回数に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける配達にかかる店頭時間に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける行政区速度と、を相互に関連付けて記憶する配達先情報記憶手段(11b)と、前記配達拠点の場所に関する情報と前記配達拠点の行政区速度に関する情報と、を記憶する配達拠点情報記憶手段(11a)と、前記配達物の配達に係る作業時間に関する情報と、前記配達車の前記配達物についての積載量に関する情報と、を記憶する共通情報記憶手段(14a、14b)と、前記作業時間に関する情報に基づいて1日の配達時間Wsを算出する配達時間算出手段(4a)と、前記配達拠点の場所に関する情報と前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報から、前記配達拠点と前記複数の配達先との間の距離を求め、その距離と前記配達拠点の前記行政区速度度に関する情報とに基づいて、前記配達車が前記配達拠点と前記複数の配達先それぞれとの移動に要する時間の平均である拠点から時間Dtを算出する拠点から時間算出手段(4b)と、前記複数の配達先のそれぞれの前記場所に関する情報に基づいて、前記複数の配達先のそれぞれ相互間の距離を求め、その距離とその距離に対応する配達先の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が一の配達先から他の配達先への移動に要する時間の平均である平均店間時間Stを算出する店間時間算出手段(4c)と、前記複数の配達先のそれぞれの前記店頭時間に関する情報に基づいて、平均店頭時間Otを算出する店頭時間算出手段(4d)と、前記配達車が1コースで配達可能な配達先数Dnを、下記の式に基づいて求める配達先数算出手段(4e)と、
【0027】
【数17】
【0028】
前記複数の配達先のそれぞれの前記配達回数に関する情報に基づいて、前記配達車が所定期間に配達する配達先数延べ数Snを算出する配達先延べ数算出手段(4f)と、下記の式に基づいて前記所定期間における時間コース数Cnshを算出する時間コース数算出手段(4g)と
【0029】
【数18】
【0030】
前記複数の配達先のそれぞれの前記配達回数に関する情報及び前記配達物量に関する情報に基づいて、前記所定期間に、前記複数の配達先のそれぞれへ配達される前記配達物量の期間内配達物量合計Vnを算出する期間内物量算出手段(4h)と、前記積載量をBnとし、下記の式に基づいて前記所定期間における物量コース数Cnsgを算出する物量コース数算出手段(4i)と、
【0031】
【数19】
【0032】
前記時間コース数Cnshと前記物量コース数Cnsgのうち、いずれか一方を選択し、前記配達エリアのコース数Cnとして決定するコース数決定手段(4j)、として、機能させることにより、上記の課題を解決する。このプログラムをコンピュータに実行させることにより、請求項1の配達エリアシミュレーションシステムを実現することができる。
【0033】
本発明の配達エリアシミュレーション方法は、1の配達拠点(2)から複数の配達先(3…3)へ、配達車によって配達物を配達する配達エリア(201a、201b)において、前記配達車の配達コースのコース数に関してシミュレーションを行なう配達エリアシミュレーション方法であって、前記複数の配達先を相互に識別可能な配達先識別情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達物量に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達回数に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける配達にかかる店頭時間に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける行政区速度に関する情報と、を相互に関連付けて記憶する手順と、前記配達拠点の場所に関する情報と前記配達拠点の行政区速度に関する情報とを記憶する手順と、前記配達物の配達に係る作業時間に関する情報と、前記配達車の前記配達物についての積載量に関する情報と、を記憶する手順と、前記作業時間に関する情報に基づいて1日の配達時間Wsを算出する手順と、前記配達拠点の場所に関する情報と前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報から、前記配達拠点と前記複数の配達先との間の距離を求め、その距離と前記配達拠点の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が前記配達拠点と前記複数の配達先それぞれとの移動に要する時間の平均である拠点から時間Dtを算出する手順と、前記複数の配達先のそれぞれの前記場所に関する情報に基づいて、前記複数の配達先のそれぞれ相互間の距離を求め、その距離とその距離に対応する配達先の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が一の配達先から他の配達先への移動に要する時間の平均である平均店間時間Stを算出する手順と、前記複数の配達先のそれぞれの前記店頭時間に関する情報に基づいて、平均店頭時間Otを算出する手順と、前記配達車が1コースで配達可能な配達先数Dnを、下記の式に基づいて求める手順と、
【0034】
【数20】
【0035】
前記複数の配達先のそれぞれの前記配達回数に関する情報に基づいて、前記配達車が所定期間に配達する配達先数延べ数Snを算出する手順と、下記の式に基づいて前記所定期間における時間コース数Cnshを算出する手順と、
【0036】
【数21】
【0037】
前記複数の配達先のそれぞれの前記配達回数に関する情報及び前記配達物量に関する情報に基づいて、前記所定期間に、前記複数の配達先のそれぞれへ配達される前記配達物量の期間内配達物量合計Vnを算出する手順と、前記積載量をBnとし、下記の式に基づいて前記所定期間における物量コース数Cnsgを算出する手順と、
【0038】
【数22】
【0039】
前記時間コース数Cnshと前記物量コース数Cnsgのうち、いずれか一方を選択し、前記配達エリアのコース数Cnとして決定する手順と、をコンピュータに実行させることにより、上記の課題を解決する。この配達エリアシミュレーション方法をコンピュータに実行させることにより、請求項1の配達エリアシミュレーションシステムを実現することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、複数の配達基地としての基地1…1、複数の配達拠点としてのデポ2…2、及び複数の配達先としての販売店3…3が地図上に点在するようす示す。なお、配達拠点は、配達中継地であるデポ2である必要はなく、配達中継地がない場合は、配達元である配達基地が配達拠点となる。凸状の形状で表されているのが基地1、数字付き四角の形状で表されているのがデポ2、その他の円や家型の形状で表されているのが販売店である。本実施形態においては、図1に示すように複数の基地1…1、複数のデポ2…2及び複数の販売店3…3が存在する場合に、各基地1から所定の配達物としてのタバコをデポ2を経由して各販売店3に配達する場合を例に説明する。但し、デポ2…2はいずれか1の基地1のみに所属し、その基地1から配達されたタバコを各販売店3…3は配達する。また、基地1から直接販売店3…3へ配達する場合もある。
【0041】
「配達エリア」とは、拠点1、2からタバコが配達される販売店3…3のエリアをいい、特に、基地1からタバコが直接配達される販売店3…3のエリアを「基地直配エリア」といい、この基地直配エリアと基地1から発送されたタバコがデポ2…2を経由して配達される販売店3…3のエリアとを合わせて「基地配達エリア」という。また、デポ2から直接タバコが配達される販売店3…3のエリアを「デポ配達エリア」という。デポ2からタバコが直接に配達される販売店3を「デポ2の配達エリアに所属する」または「デポ2に所属する」といい、基地1から発送されるタバコを販売店3へ配達するデポ2を「基地1に所属する。」という。また、本実施形態において「配達拠点1、2」または「拠点1、2」というときは、基地1及びデポ2を含んだ概念を意味する。また、本実施形態に基づくコンピュータシステムを本システム、本システムによって基地1やデポ2の配達エリアを作成することを、本システムによる処理という。また、配達エリアを作成する処理を分割処理または分割というときがある。なお、配達とは特にことわらない限り、輸送トラックによるルート配達を意味する。
【0042】
図2は、本発明におけるシステム構成の一例を示す。コンピュータの中央処理装置4は入力手段としての入力装置6、配達エリア作成に係るデータ処理が行われるWORK領域7、出力手段としての出力装置8それぞれとデータの送受信が可能なように接続されている。各装置4、5、6、7、8間の接続は、無線、有線を問わない。
【0043】
入力装置6はキーボードやマウス等が該当し、本システムによる処理に必要なデータをユーザが適宜入力でき、そのデータを中央処理装置4へ送る機能を有する装置をいう。入力データとしては、分割対象である地域や配達拠点1、2の選択データや変更可能な各種パラメータ値等がある。出力装置8は入力装置6によって入力された内容やWORK領域7にて行われた処理結果が出力される装置をいい、モニタやプリンタ等の人間が視覚的に認識できる形式で出力される装置の他、電磁的方法によって認識される形式で光ディスクやハードディスク等に出力される場合も含む。
【0044】
記憶装置5は、本システムによる処理の実現に必要な各種プログラム5aやホームフォルダ5bを記憶する。ホームフォルダ5bとは、本システムによる処理で使用する各種データを各納する場所として確保されているフォルダをいう。ホームフォルダ5bに格納されている各種データの詳細については後述する。
【0045】
WORK領域7は、配達エリア作成のために必要なデータ及び必要なプログラムがホームフォルダ5bから処理用データとして読み込まれ、分割処理が行われるメモリ領域である。このWORK領域7には、記憶装置5がデータの送受信が可能なように接続される。なお、このWORK領域7は1のメモリ領域である必要はなく、複数のメモリ領域がWORK領域7として機能する場合も含み、一時的にデータを記憶させる領域の総称とする。WORK領域7及び中央処理装置4は、WORK領域7に読み込まれたプログラムに従って、記憶装置5から適宜データを読み込み、分割処理を実行する。
【0046】
中央処理装置4は、CPU及びその動作に必要なRAM、ROM等の各種周辺回路を備えたコンピュータとして構成される。特に算定処理を行なう手段として、配達時間算出手段4a、拠点から時間算出手段4b、店間時間算出手段4c、店頭時間算出手段4d、配達先数算出手段4e、配達先延べ数算出手段4f、時間台数算出手段4g、期間内物量算出手段4h、物量台数算出手段4i、台数決定手段4j、及びピストン対象選択手段4kを含み、入力装置6から入力されたデータや記憶装置5に記憶されているデータに基づいて、各手段による処理を実行し、その結果を出力装置8に出力する。
【0047】
次に、図3に従って、ホームフォルダ5bに格納されているフォルダ構造やファイル各種について説明する。ファイル形式は本システムによる処理を実現可能である限り問わない。
【0048】
本実施形態におけるファイル構成の概要は、本システムのマスタファイルとして行政区テーブル10a、配達拠点情報記憶手段としての拠点情報ファイル11a及び配達先情報記憶手段としての販売店情報ファイル11bがあり、各ケースにて分割処理を行なうためのマスタファイルとして処理用ファイル群16a…16dがあり、処理結果は結果ファイル群17a…17dにて保存される構成になっている。よって、マスタファイル10a、11a、11bの内容を、現在の基地1…1、デポ2…2及び販売店3…3の状況と一致させれば、常に現在の状況に基づいて、様々なパターンの配達エリアをシミュレートすることができる。以下、ファイル構成について具体的に説明する。
【0049】
本実施形態においては、複数のフォルダがホームフォルダ5bを頂点とする階層構造によって管理されている。ホームフォルダ5bのすぐ下にはマスタに関するフォルダ10…12及びケースに関するフォルダ13…15があり、ケースに関するフォルダ14の下にシナリオに関するフォルダ16…18が存在する。ケースとは、分割対象の地域を同一とする単位であり、シナリオとは、その同一地域において分割処理のための諸条件を変更して行った各処理の結果の単位をいう。
【0050】
マスタファイルに関するフォルダ10…12について説明する。マスタファイルに関するフォルダ10…12には、MASTERフォルダ10と地域フォルダ11とがある。MASTERフォルダ10は、行政区テーブル10a及び複数の地域フォルダ11…11を格納して管理する。
【0051】
各地域フォルダ11には、拠点情報ファイル11aと販売店情報ファイル11bが地域ごとにまとめられて管理されている。拠点情報ファイル11a…11aには基地1…1及びデポ2…2に関する情報が格納され、販売店情報ファイル11b…11bには各販売店3…3についての情報が格納されている。例えば、九州地域の地域フォルダ11には九州地域に存在する基地1…1及びデポ2…2に関する情報を有する拠点情報ファイル11aと九州地域に存在する販売店3…3に関する情報を有する販売店情報ファイル11bが格納される。各情報ファイル11a、11bに格納されている情報については後述する。複数の地域フォルダ11…11はマスタフォルダ群フォルダ12に格納され管理されてもよい。
【0052】
行政区テーブル10aとは、配達物の輸送トラックの走行速度に関する情報を地域情報に対応させて管理するテーブルである。この行政区テーブル10aで管理されている情報については後述する。
【0053】
ケースに関するフォルダ13…15には、CASEフォルダ13及びケースフォルダ14がある。CASEフォルダ13は、シナリオ情報ファイル13a及び複数のケースフォルダ14…14を格納し、管理する。シナリオ情報ファイル13aとは、シナリオ名やシナリオの作成日等、各シナリオに関する情報を統括的に管理するファイルである。ケースフォルダ14はケースごとに作成されるフォルダであり、各ケースフォルダ14には複数のシナリオフォルダ17…17と1のシナリオマスタフォルダ16が格納され、管理される。複数のケースフォルダ14…14はケースフォルダ群フォルダ15に格納され、管理されてもよい。
【0054】
シナリオマスタフォルダ16は、同一ケース内でマスタファイルとして機能する処理用ファイル群16a…16dを格納する。処理用拠点ファイル16aは、各ケースにおけるいわば処理用マスタファイルである。本実施形態では、処理用拠点ファイル16aのデータ項目は拠点情報ファイル11aのデータ項目と同一として扱うが、拠点情報ファイル11aのデータ項目に必要なデータを加えて処理用拠点ファイル16aとしてもよい。複数の拠点情報ファイル11a…11aが1の処理用拠点ファイル16aを構成する場合もある。処理用拠点ファイル16aは、上書き保存が不可能なファイルとして存在し、ケース内で何度もマスタファイルとして使用される。処理用販売店ファイル16bと販売店情報ファイル11bの関係も処理用拠点ファイル16a及び拠点情報ファイル11aの関係と同様である。
【0055】
処理用統計情報ファイル16cは、処理用拠点ファイル16a及び処理用販売店ファイル16bに基づいて、各基地1や各デポ2ごとにその基地1やデポ2に所属する販売店3…3の数や配達回数等の統計値を、その基地1やデポ2の稼動状況を確認するための情報として有するファイルである。その他、シナリオマスタフォルダ16に格納されるファイルには。カーソルの位置等、本システムにおける作業上必要な情報をリアルタイムで管理する処理用作業用ファイル16dがある。
【0056】
シナリオフォルダ17…17には、各配達エリア作成処理の実行結果が格納される。シナリオ17には、シナリオマスタフォルダ16内の処理用ファイル群16a…16dに対して行われた処理結果である。結果ファイル群17a…17dが格納される。複数のシナリオフォルダ17…17は、シナリオフォルダ群フォルダ18にまとめて格納されて、管理されてもよい。
【0057】
なお、各ケースに共通する共通パラメータを記憶するファイルとして、各ケースフォルダ14ごとに、JIS11情報ファイル14a及び共通情報記憶手段としての共通パラメータファイル14bが設けられている。
【0058】
次に、本実施形態におけるマスタファイルである行政区テーブル10a、拠点情報ファイル11a、販売店情報ファイル11bに格納されるデータ項目について説明する。なお、各マスタファイル10a、11a、11bは、本システム用として作成してもよいし、他のシステムと共通するデータ項目については、他のシステムと共有するマスタから抽出して作成してもよい。
【0059】
行政区テーブル10aとは、JIS5単位でトラックの走行速度に関する情報を持つテーブルをいい、MASTER10に直接格納されて管理される。行政区テーブル10aのデータ項目は図31に示す。JIS5コード400は自治省による5桁の土地コードをいい、行政区速度401はJIS5コード400に対応する地域でのトラックの走行平均速度である。都会フラグ402とは、当該JIS5コード400に対応する地域が都会か田舎かを識別するためのフラグである。本実施形態では、田舎の場合に0、都会の場合に1を設定する。
【0060】
拠点情報ファイル11aは、基地1…1及びデポ2…2に関する情報をデータとして持つファイルであり、そのデータ項目の詳細は図29に示す。以下、図29に示すデータ項目を拠点情報ファイル11aの1レコードとし、この1レコードに含まれるデータ項目を拠点情報という。特に、基地1に関する拠点情報を基地情報、デポ2に関する拠点情報をデポ情報という。以下各データ項目について説明する。
【0061】
拠点コード300がある。拠点コード300とは、各配達拠点1、2を相互に識別するために各配達拠点1、2に付されるコードである。全国の各配達拠点1、2に対して一意に付されることが望ましい。拠点名301は当該拠点コード300に対応する配達拠点1、2(以下拠点情報のデータ項目の説明において「当該拠点1、2」という。特に基地1に関するデータ項目の場合は、「当該基地1」、デポ2に関するデータ項目の場合は「当該デポ2」という。)の名称である。拠点属性302は、当該拠点1、2が基地1であるかデポ2であるかを識別できる識別子である。例えば、基地1のとき1とし、デポ2のときは2とする。基地コード303は、当該拠点1、2がデポ2である場合に所属する基地1の拠点コード300を示す。当該拠点1、2が基地1である場合の拠点コード300は、設定する必要がないので例えばNULLとする。配達拠点の場所に関する情報として、X座標304及びY座標305がある。X座標304及びY座標305は、当該拠点1、2が存在する場所を計算用座標系で表現したX座標及びY座標である。当該拠点1、2の距離に関する計算を行なう時に使用する。2点間の直線距離という時は各点のX座標304及びY座標305で特定される各位置を直線で結んだその直線の長さをいう。経度306及び緯度307はそれぞれ、当該拠点1、2の存在する場所の地図上の経度、緯度の値である。出力装置8において地図上に当該拠点1、2を表示する際に使用する。JIS11コード308は、当該拠点1、2が存在する場所の自治省による11桁表示の土地コードである。優先度309とは、同一拠点情報ファイル11aにおける配達エリアを作成する処理の優先順位をいう。基地1…1に対してのみ、例えば数値の連番で設定する。デポ2の優先度309は設定する必要がないので例えばNULLや0にする。配達可能物量310とは、当該拠点1、2の配達能力を示す値であり、当該拠点1、2が1日に配達できるタバコの最大本数である。以下、本実施形態において物量に関する単位は、タバコの本数である。仕分可能物量311は、当該基地1の二次輸送能力を示す値である。デポ2…2へタバコを輸送するための仕分けであって1日に仕分け可能なタバコの本数である。拠点直配パラメータ312は、当該拠点1、2から直接配達することが可能な範囲を時間で指定するパラメータである。指定された時間から距離を算出し、配達エリア作成の際の距離条件とする。以下、拠点直配パラメータ312から求められる距離を直配距離という。この直配距離の算出方法は後述する。各拠点1、2を中心にして直配距離を半径にした円内のエリアを各拠点1、2から直配可能なエリアとし、その拠点1、2の直配エリアといい、直配エリアの中心となる拠点1、2と販売店3との直線距離が直配距離よりも短い場合に、その販売店3はその拠点1、2の直配エリアに存在することになる。台数閾値313は当該拠点1、2が実際に保有する輸送車の台数のうち、1日に最低限稼動する必要がある台数である。拠点1、2が保有する配達車と同じ台数でなくてもよい。1日に稼動する輸送車がこの値よりも少ない場合は、当該拠点1、2の輸送効率が悪いことを示す。積載量314は各拠点1、2が保有する輸送用トラックについて、1台で輸送可能なタバコの本数である。拠点取得上限315は、当該基地1から当該基地1に所属させるデポ2までの距離の最大値である。拠点取得下限316は、当該基地1から当該基地1に所属させるデポ2として必要な距離の最小値である。拠点直配パラメータ312と等しくてもよい。拠点取得上限315及び拠点取得下限316も、拠点直配パラメータ312と同様に時間値として設定する。時間値から距離を算出する方法は後述する。なお、拠点取得上限315及び拠点取得下限316は基地1…1に対してのみ設定される。よって、当該拠点1、2がデポ2の場合は例えばNULLにする。行政区速度317及び都会フラグ320は、JIS11コード308に基づいて行政区テーブル10aの行政区速度401及び都会フラグ402からそれぞれ設定される値である。ピストン条件:時間318は、ピストン輸送の時間条件であり、ピストン条件:物量319は、ピストン輸送の物量条件をいう。シングル輸送とは配達車が拠点1、2を出発後、1コース中一度も拠点1、2に戻らない配達形態をいい、ピストン輸送は配達車が1コース中に拠点1、2に1回戻る配達形態をいう。これらの配達形態の詳細は後述する。
【0062】
拠点情報のうち、拠点直配パラメータ312、拠点取得上限315、拠点取得下限316は分割処理を行なう際に設定可能である。またピストン条件:時間318、ピストン条件:物量319は拠点情報ファイル11a、積載量314は、ケース内で共通の値の場合はNULLでもよいが、当該拠点1、2に特有の値を設定する場合は設定する。
【0063】
販売店情報ファイル11bは、販売店3に関する情報をデータ項目として持つファイルであり、そのデータ項目の詳細は図30に示す。以下、図30に示すデータ項目を販売店情報ファイル11bの1レコードとし、この1レコードに含まれるデータ項目を販売店情報という。
【0064】
以下各データ項目について説明する。配達先識別情報として販売店コード330がある。販売店コード330は、各販売店3を相互に識別するために各販売店3に付されるコードをいい、全国で一意に付されることが望ましい。販売店名称331は、その販売店コード330に対応する販売店3(以下、「当該販売店3」という。)の名称である。基地コード300aは当該販売店3が所属する基地1の拠点コード300を示す。デポコード300bは当該販売店3が所属するデポ2の拠点コード300を示す。なお、基地1に直接所属する販売店3の場合はデポコード300bは設定する必要がないので例えばNULLとする。また、デポ2に所属する販売店3の場合は、デポコード300bに自己が所属するデポ2の拠点コード300が設定され、基地コード300aにはそのデポ2が所属する基地1の拠点コード300が設定される。当該販売店3がどの基地1…1にもデポ2…2にも所属しない場合は基地コード300a及びデポコード300b共にNULLである。
【0065】
配達先の場所に関する情報として、X座標332及びY座標333がある。X座標332及、Y座標333、経度334、緯度335及びJIS11コード336、都会フラグ337、行政区速度344は拠点情報についての説明と同様である。配達物量に関する情報として、1回当たり物量338がある。1回当たり物量338とは、1回の配達につき当該販売店3に配達される物量をいう。店頭時間339は当該販売店3にて配達作業に要する時間をいう。配達回数に関する情報としての月配達回数340は、当該販売店3へ月何回配達するかを示す値である。本実施形態では1月を4週とし、4週に1回の配達の場合は1とし、2週に1回の場合は2、週に1回は4、週に2回は8、週に3日は12、週に4日は16、毎日は20、として設定する。店属性341は、当該販売店3の店属性を識別するための識別子である。本実施形態では、店属性としてコンビニエンスストア、一般、一括がある。一括とは複数の販売店3…3に対する配達を一括して一箇所に配達する属性をいう。以下、店属性341がコンビニエンスストアである販売店3をコンビニエンスストア、一般である販売店3を一般店3、一括である販売店3を一括店3という。また、基地コード300a、デポコード300b及び後述するデフォルト所属コード343がすべてNULLの販売店3をフリー店という。一括コード342は、当該販売店3の店属性341が一括である場合に付される一括店の識別コードである。デフォルト所属コード343は、当該販売店3が一括店3である場合であって、所属する基地1またはデポ2がデフォルトで決定している場合に、その基地1またはデポ2の拠点コード300を示す。なお、一括店3であってもデフォルト所属コード343が設定されていない場合がある。設定されていない場合は例えばNULLとする。回数加重345とは、月配達回数340を4で割った値である。いわば、月単位の配達回数を週単位に換算した値である。回数加重配達量346とは、1回当たり物量338に回数加重345をかけた値であり、例えば、2週に1回各500本配達する場合は、回数加重345は2/4=0.5となり、回数加重配達量346は500×0.5=250本/週となる。これは、当該販売店3についての配達物量を週単位に平準化した値に該当する。販売店3と月単位で配達回数を契約している場合に、週単位の配達物量の値として使用される。配達形態347は、配達拠点1、2からの配達が固定ルート型の配達か又は宅配かを識別するための識別子である。固定ルート型の配達とは配達について予めルートを定め、そのルートに従って配達する配達形態をいい、宅配とは宅配便を利用した配達形態をいう。ピストン区分348は、当該販売店3への配達がピストン輸送による配達かシングル輸送による配達かを識別するための識別子である。
【0066】
また、本実施形態においては処理用統計情報ファイル16cとして、拠点統計ファイル及び算定統計ファイルを有する。拠点統計ファイルのデータ項目としては拠点1、2ごとに単店数、加重店数、加重物量、算定台数及び宅配個口を店属性別の合計や総合計を設け、算定統計ファイルのデータ項目としては、単店数、加重店数、加重物量の配達形態別の合計及び総合計を設ける。本実施形態において単店数とは宅配を含む1週間に配達する店の平均数をいう。加重店数は各販売店3の回数加重345を合計した値に等しい数で、例えば週2回同じ販売店3に配達する場合は店数が2となる。加重物量は各販売店3の回数加重配達量346を合計した値に等しい。
【0067】
次に、本システムの実際の操作の流れについて説明する。本実施形態においては、コンピュータのOSとしてマイクロソフト社のWindows(登録商標)を使用するが、コンピュータのOSはこれに限らない。以下に説明する画面の表示は、マウス4やキーボード4によって画面上部に表示されるメニューバーやツールバーから通常の方法で表示可能であるので、表示方法の説明は省略する。
【0068】
以下、ホームフォルダ5b内にMASTERフォルダ10及びCASEフォルダ13が存在し、MASTERフォルダ10には九州地区についての拠点情報ファイル11aと販売店情報ファイル11bが保存されている地域フォルダ11が保存されている場合において、九州地域の配達エリアをシミュレートする方法について説明する。
【0069】
まず最初に、ケースフォルダ14の作成を行なう。ケースフォルダ14の作成は、図4に示す新規ケース作成画面によって行われる。登録地域リスト欄40にて既に登録済みの地域マスタ20の地域名称が一覧表示されるので、処理対象とする地域にチェックを入力して選択する。ケース名称41には、このケースに付すべき名称を入力する。このケース名称41は、そのままケースフォルダ14のフォルダ名となる。図4は、「九州」の地域マスタ20のみが既に登録されている場合において、「九州」を処理対象として選択し、そのケース名称41を「Test」として入力した場合を示す。以下ケース名称41が「Test」の場合をケースTestといい、フォルダ名が「Test」のケースフォルダ14をTestフォルダ14という。複数の地域マスタ20…20が登録されている場合は、登録地域リスト欄40に一覧表示される地域名称の中から、処理対象となる地域名称すべてにチェックすれば、複数の地域を配達エリアをシミュレートする対象として指定することができる。
【0070】
「次へ」ボタン42を選択すると図5に示すケース内共通パラメータ設定画面が表示される。ここで設定できるのは、算定処理のための、ケースTest内で共通なパラメータである。算定処理とは、各拠点1、2について所属する販売店3…3の決定後に、各拠点1、2において必要となるコース数を各拠点1、2に対して算出する処理である。算定処理に必要なパラメータは、時間パラメータと算定パラメータの2種がある。
【0071】
時間パラメータは次の通りである。算定処理に必要な1日の作業時間45は作業員の1日の標準的な勤務時間をいう。積込時間46はタバコの輸送トラックへの積み込みに要する時間である。休憩時間47は作業員に作業時間45中に与えられる休憩時間をいい、帰所後作業時間48は作業員が配達を終えて帰所後に作業する時間をいう。なお、ピストン輸送の場合を考慮して積込時間46×2+休憩時間47+帰所後作業時間48≦1日の作業時間45となるように設定しなければいけない。
【0072】
算定パラメータは次の通りである。積載量49は輸送トラックが積載できるタバコの本数である。物量係数50は配達物量を変化させるための値であり、0〜1の間の数値をとる。この物量係数50によって、積載量49を、一時的な事情によって増減したい場合に調節することができる。通常は1であるが、例えば年末年始の事情によって積載量が70%程度になる場合は、0.7を設定することにより、積載量が通常の70%の場合として算定が行われる。
【0073】
ピストン時間条件51はピストン輸送の距離条件を指定する。具体的には、ピストン輸送の対象となる販売店3…3と拠点1、2との間の移動時間の範囲を上限値及び下限値で指定する。ピストン物量条件52はピストン輸送の物量条件を指定する。具体的には、ピストン輸送の対象となる各販売店3…3の回数加重配達量346の範囲を上限値及び下限値で指定する。算定処理の詳細は後述する。
【0074】
「作成」ボタン53を選択すると、Testフォルダ14が作成される。このTestフォルダ14の新規作成時に、作成されたTestフォルダ14内にフォルダ名「MASTER」としてシナリオマスタフォルダ16が作成される。更に、このシナリオマスタフォルダ16内にはケースTestで使用する処理用拠点ファイル16a及び処理用販売店ファイル16bが、フォルダ名「九州」の地域フォルダ11に格納されている拠点情報ファイル11a及び販売店情報ファイル11bからそれぞれ作成される。この時、その他の処理用ファイル16c、16dも作成され、格納される。また、JIS11情報ファイル14a及び共通パラメータファイル14bも作成され、Testフォルダ14に格納される。JIS11情報ファイル14aは、JIS11情報を管理するファイルである。共通パラメータファイル14bには、ケース内共通パラメータ設定画面(図5)で設定された各値45…55がケースTestに共通するパラメータとして記憶される。但し、算定パラメータは、共通パラメータ変更画面(不図示)にて各拠点1、2ごとに変更可能である。変更された各値は、拠点情報の該当する項目のデータとして記憶される。
【0075】
Testフォルダ14が作成されると、シナリオマスタフォルダ16内の処理用ファイル16a…16dに基づいた内容、すなわち基地1…1、デポ2…2及び販売店3…3については現在の状況が表示される。この表示画面の詳細な説明については後述する。
【0076】
次に、この現在の状況に基づいて、分割条件を設定して配達エリアをシミュレートする手順にについて説明する。
【0077】
まず、図6に示す分割ロジック選択画面にて、分割ロジックを選択する。本実施形態においては分割ロジックは「基地圏検討型」と「拠点積み上げ型」が用意されている。「基地圏検討型」は各基地1の配達能力を最大限に利用する配達エリアを作成する分割方式であり、「拠点積み上げ型」は基地1…1及びデポ2…2の配達能力を共に生かした分割方式である。各ロジックの詳細な説明は後述する。
【0078】
「基地圏検討型」ロジックを選択する場合は基地圏検討型ボタン60を選択し、「拠点積み上げ型」ロジックを選択する場合は拠点積み上げ型Step1ボタン61を選択する。なお、「拠点積み上げ型」ロジックによって分割処理を行なう場合は、拠点積み上げ型Step1を実行後でなければ拠点積み上げ型Step2を選択することができない。「次へ」ボタン62を選択すると分割条件設定画面が表示される。後述する分割条件を特に指定しない場合は「登録」ボタン63を選択すれば分割処理が開始される。
【0079】
分割設定画面は図7に示す。処理用拠点ファイル16aに登録されている基地1…1及びデポ2…2が、拠点リスト70に一覧表示される。すなわち、本実施形態では、ケースTestは地域として「九州」のみが選択されたケースなので、九州に存在する基地1…1及びデポ2…2が表示される。拠点リスト70において、チェックが付されている各拠点1…1、2…2は分割処理対象とされ、チェックが外された拠点1…1、2…2は存在しないものとして分割処理が実行される。例えば、不要と思われる基地1やデポ2を存在しないものとして配達エリアをシミュレートする場合に有効である。図7では、表示されている拠点1…1、2…2はすべてチェックが入力されており、「熊本」にカーソルが合っている状態を示す。画面上の「全選択」ボタン71を選択すると拠点リスト70に表示されている全拠点1…1、2…2にチェックが入力され、「全解除」ボタン72を選択すると拠点リスト70に表示されている全拠点1…1、2…2のチェックが外される。拠点別パラメータとは、分割条件としての拠点情報のうち変更可能な項目である。本実施形態では拠点情報のうち拠点直配条件312、拠点取得上限315及びと拠点取得下限316が変更可能なパラメータとして設定されている。拠点1、2ごとに変更可能であり、カーソルが合っている拠点1、2に対しての拠点別パラメータ312、315、316の値が対応する入力欄73…75から入力可能となる。各項目312、315、316が既に設定されている場合はその値が対応する入力欄73…75に表示される。なお、拠点取得上限及び下限315、316はカーソルが合っている拠点1、2が基地1の場合に有効である。また、分割条件設定画面上の拠点直配条件312は、拠点情報の拠点直配パラメータ312の値に対応する。図7が示すように「90」分と入力した場合は、当該拠点1、2から輸送トラックが片道90分以内で行ける範囲を当該拠点1、2から直接配達するエリアの距離条件として指定したことになる。本実施形態においては、時間で距離範囲を指定し、本システム内において指定された時間を距離に換算する。この換算方法については後述する。
【0080】
フリー店舗の処理76とは、分割処理の結果、どこの拠点1、2にも所属しない結果となった販売店3についての処理である。「直近の基地に所属」を選択すれば、距離が最短の基地1に強制的に所属させることができ、この場合の配達形態347は「宅配」に設定される。「手動で設定」を選択すれば、所属フリーの販売店3として処理され、その後ユーザは自由に所属先を設定することができる。図7は「手動で設定」が選択された状態を示す。なお、「直近の基地に所属」を選択した場合でも、分割処理後に手動で所属先の設定変更は可能である。「他の拠点にもセット」ボタン77を選択すると、画面上に表示されている分割条件73…76が拠点リスト70で選択されたすべての拠点1…1、2…2に対して設定される。
【0081】
分割設定画面(図7)にて「登録」ボタン78を選択すると、設定した分割条件に基づいて分割処理が行われる。まず、シナリオマスタフォルダ16内の処理用ファイル群16a…16dがWORK領域7にコピーされ、処理用ファイル群16a´…16d´が作成される。以下、WORK領域7にコピーされた処理用拠点ファイル16a、処理用販売店ファイル16b、処理用統計情報ファイル16c、処理用操作情報ファイル16dを、それぞれ処理用拠点ファイル16a´、処理用販売店ファイル16b´、処理用統計情報ファイル16c´、処理用操作情報ファイル16d´という。そのコピーされた処理用拠点ファイル16a´及び処理用販売店ファイル16b´に対して選択した分割ロジックと設定した分割条件に従って分割処理が実行される。
【0082】
このWORK領域7に各ファイル16a…16dをコピーする際に、処理対象として一部の基地1…1及びデポ2…2が選択された場合には、選択された基地1…1及びデポ2…2の識別のために処理用拠点ファイル16a´に処理対象フラグを設けても良いし、処理対象として選択された基地1…1及びデポ2…2についての拠点情報のみを拠点情報ファイル16aから抽出して処理用拠点ファイル16a´としてもよい。
【0083】
分割処理が完了すると、図8に示す地図ウィンドウ80、統計情報ウィンドウ81、管理ツリーウィンドウ82、及び情報ウィンドウ83が画面8に表示される。各ウィンドウの内容は分割処理の結果が反映されている。
【0084】
統計情報ウィンドウ81は、処理用統計情報ファイル16cに基づいて拠点1、2ごとに統計情報が表形式にて一覧される。
【0085】
管理ツリーウィンドウ82は、現在処理中のケース名やシナリオ名及び基地1…1とデポ2…2との相互関係がツリー状に表示される。図8では、ケース名が「Test」で、シナリオ名が「MASTER」の場合を示す。他のケースも既に保存されている場合は、コンボボックス82aから他のケースを選択可能である。また、すでに複数のシナリオが保存されている場合は、表示させたいシナリオ名のチェックボックス82bにチェックを入れると、そのシナリオ名で管理されている処理結果が各ウィンドウ80、81にて表示される。各シナリオにおいて、基地1…1は優先度309順に表示される。
【0086】
情報ウィンドウ83は、管理ツリーウィンドウ82にて選択された各ノード(シナリオ、拠点1、2、販売店3)についての情報が表示される。シナリオについては、シナリオ情報13aが有するその作成日時やコメントが表示され、拠点1、2や販売店3については、各処理用ファイル16a、16b、16cが保有する拠点情報、販売店情報、統計情報が表示される。
【0087】
地図ウィンドウ80は、処理用拠点ファイル16aと処理用販売店ファイル16bに基づいて、基地1…1、デポ2…2及び販売店3…3の現在の所属関係を地図上に展開した様子が表示される。
【0088】
地図ウィンドウ80については、図9に示す拡大された地図ウィンドウ80を参照して説明する。地図ウィンドウ80では、分割処理の結果である処理用拠点ファイル16a´及び処理用販売店ファイル16b´に基づいて、作成された各配達エリアが色分けして表示される。すなわち、同じ基地1に所属するデポ2…2及び販売店3…3は同じ色で表示される。また、基地1…1、デポ2…2及び販売店3…3の形状も見分けがつくように異なる形状で表示される。更に、販売店3…3の形状も、通常、宅配、フリーの種別に応じて異なる形状にて表示される。通常とは、配達形態が輸送トラックによるルート輸送である場合をいい、宅配とは配達形態が宅配便による場合をいい、フリーとはどの拠点1、2にも所属していない状態をいう。本実施形態では、トツ型アイコン90…90が基地1…1を、数字が表示されている四角91…91はデポ2…2の場所を示し、家型アイコン92…92が宅配の販売店3…3を、十字アイコン93…93がフリー販売店3…3を、その他のアイコン94…94は通常の販売店3…3を示する。通常の販売店3…3は数種の形状で表示されるが、同一デポ2に所属する販売店3…3は同一形状で表示される。また、基地1…1上に表示される数字は優先度309を、デポ2…2上に表示される数字は後述する処理の順序を示す。なお、表示されている色や形状は本システム内において適宜変更可能である。
【0089】
1以上の販売店3…3を選択後、選択販売店明細タブ95を選択すると、選択した販売店3…3の販売店情報を、処理用販売店ファイル16b´に基づいて一覧させることができる。複数の販売店3…3の選択方法としてはマウスで選択対象の販売店を矩形等で囲って指定すればよい。
【0090】
分割処理の結果をシナリオとして保存する場合は、図10に示すシナリオ保存画面を表示させ、シナリオ名入力欄96にシナリオ名を入力して「保存」ボタン92を選択する。図10は、シナリオ名として「シナリオ1」と指定した状態を示す。このシナリオ名はそのままシナリオフォルダ17のフォルダ名となる。これによって、処理用ファイル群16a´…16d´の各ファイルは、結果ファイル群17a…17dとして「シナリオ1」フォルダに格納される。既に保存されているシナリオがあればシナリオ一覧98に表示される。保存処理の結果は直ぐに管理ツリーウィンドウ82に反映される。
【0091】
更に異なる分割条件で配達エリアを作成する場合は、前述の分割条件設定画面(図7)を表示させ、分割条件を変更することにより、容易に作成することができる。この異なる分割条件で作成された結果を、例えばシナリオ名を「シナリオ2」として保存することができる。
【0092】
また、上記分割条件以外に、処理用拠点ファイル16a´に対して新しい配達拠点1、2を追加したり削除することや、特定の配達拠点1、2についての拠点情報を変更することも可能である。当該機能は新規の拠点1、2の能力や場所を検討するために配達エリアをシミュレートする場合に有効である。配達拠点1、2の追加では、拠点追加画面(不図示)にて、拠点コード300、拠点名301、拠点属性302、JIS11コード308、優先度309、配達可能物量310、台数閾値313、を設定し、基地1の場合は仕分可能物量311も設定し、地図上の位置を地図ウィンドウ80にてマウスで指定すれば、処理用拠点ファイル16a´の内容に新しい拠点1、2についてのレコードが追加される。
【0093】
削除や設定変更は、拠点削除画面(不図示)にて、削除対象の拠点コード300を指定することによって、処理用拠点ファイル16a´における当該拠点1、2の削除や設定変更が可能である。
【0094】
なお、本実施形態においては、配達エリアが作成された後、拠点1、2ごとに単店数、加重店数、加重物量についての統計値を一般店、コンビニエンスストア別、及びその合計を算出し、処理用統計情報ファイル16c´に設定し、その結果は統計情報ウィンドウ81に表示される。なお、統計値はテーブル状のファイル形式であれば処理結果後に算出してもよいし、加算用の変数を用意して処理中に加算いく方法でもよい。
【0095】
次に、本実施形態における2つの分割ロジックについて詳細に説明する。上述したように本実施形態においては、「基地圏検討型」と「拠点積み上げ型」の分割ロジックが選択可能である。
【0096】
まず、「基地圏検討型」について、図11〜図13を参照しながらそのロジックの内容を説明する。説明の簡便のために、基地1aの基地直配エリア100a及び基地1aに所属するデポ2aのデポ配達エリア201aは既に決定され、基地1aの基地配達エリア210aは既に形成された後、基地1bについての配達エリアを作成する場合について説明する。本実施形態において、分割処理は基地1…1の優先度309が高い順に行なう。よって、基地1aは基地1bよりも優先度309が高いことになる。
【0097】
まず初めに、基地1bの基地直配エリア100bを作成する。図11(a)は、基地1bの直配エリアに含まれる販売店3a…3eを、基地1bの基地直配エリア100bに所属させたようすを示した概念図である。正六角形は拠点のある位置を示し、正三角形はデポ2のある位置を示し、小さな円は販売店3のある位置を示している。一括店3xについては、デフォルト所属が基地1bの場合は基地1bの直配エリア100b内に存在しなくても基地1bの基地直配エリア100bに所属させる。本実施形態における「基地圏検討型」ロジックでは、基地直配エリア作成時の物量条件は特に設定しないが、必要な場合は適宜物量的な制限を設定してもよい。
【0098】
次に、基地1bに所属可能なデポ2…2を特定する。基地1bを中心として拠点取得上限315から後述する方法によって求められる距離を半径とする円と、拠点取得下限316から後述する方法によって求められる距離を半径とする円と、から得られるドーナツ状のエリア102に存在するデポ2b…2fが、基地1bに所属可能なデポ2である。各デポ2と基地1bとの直線距離が拠点取得下限316から得られる半径より長く拠点取得上限315から得られる半径よりも短い場合に、そのデポ2は基地1bの拠点取得範囲にある。以下かかるドーナツ状のエリア102を拠点取得範囲102といい、この拠点取得範囲102に存在するデポ2b…2fを所属可能デポ2b…2fという。図11(b)はデポ2b〜デポ2fが基地1bの所属可能デポとなっているようすを示す概念図である。
【0099】
所属可能デポ2b…2fを特定後、各デポ2b…2fについてのデポ配達エリアを作成する。所属可能デポ2b…2fの各分割処理は、本実施形態では基地1bとの直線距離が近い順に行なうが、この分割処理の順番はこれに限らず、デポ2b…2fに対して分割処理のための優先順位を別途設定してもよい。
【0100】
デポ2c…2fのうちデポ2cが基地1bから最も近いので、最初に配達エリアが作成される。図12(a)は、デポ2cの直配エリア200c及びデポ配達エリア201cを示す概念図である。デポ2cのデポ配達エリア201cには、距離条件として直配エリア200c内に存在し、かつ物量条件としてデポ2cの配達能力を超えない販売店3f…3gを所属させる。図12(a)では、直配エリア200c内にある販売店3e…3hが物量条件を満たすので、すべてデポ2cのデポ配達エリア201cに所属する例である。
【0101】
デポ2cの配達能力を超えるか否かは、デポ2cの直配エリアに含まれる販売店3f…3hの各回数加重配達量346から算出される合計配達物量がデポ2cの配達可能物量310を超えるか否かによって判断される。合計配達物量は、デポ2cに所属する販売店3…3がデポ2cから配達可能か否かをデポ2cの配達能力と比較して判断するための物量であって、回数加重配達量346を日単位に換算して合計した値である。日単位にするのは、デポ2cの配達能力を示す配達可能物量310が日単位の値だからである。以下、回数加重配達量346を日単位に換算した値を日単位物量という。なお、デポ2cにデフォルト所属する一括店3…3がある場合は、合計配達物量はこれら一括店3…3の日単位物量の合計も加算した値となる。
【0102】
なお、販売店3eのように既に基地1bに所属している場合は、デポ2cは販売店3eを自己のデポ配達エリア201cに所属させることはできない。また、直配エリア200c内に存在する複数の販売店3…3から優先的にデポ配達エリア201cに所属させる販売店3の属性を設けてもよい。本実施形態においては、かかる属性を店属性341によって与え、一括店3(デフォルト所属がデポ2cに設定されている)、コンビニエンスストア3、一般店3の順で優先的にデポ配達エリアに所属させる。優先順位が一番高い一括店3とは、デフォルト所属がデポ2cに設定している場合の一括店3であり、デフォルト所属が設定されていない一括店3は一般店3と同様に扱われる。また、例えば一括店3yのデフォルト所属がデポ2cである場合は、一括店3yがデポ2cの直配エリア200c内になくてもデポ2cに優先的に所属させる。同一店属性341、例えば一般店3…3間においてはデポ2cから直線距離が近い方の販売店3を優先的にデポ2cに所属させる。
【0103】
以上のように、各拠点1、2において複数の販売店3…3に距離条件で所属対象となる販売店3…3を絞り込み、その絞り込まれた販売店3…3から更に優先順序を考慮して物量条件で絞り込んだ販売店3…3を拠点1、2に所属させる処理を「割り付け処理」という。図12(a)は、割り付け処理によって、デポ2cのデポ配達エリア201cに販売店3f…3h、3yが所属したようすを示す。
【0104】
デポ2cに所属する販売店3f…3h、3yの決定後、基地1bの二次輸送能力について検討される。二次輸送能力の検討とは、デポ2cが基地1bに所属できるか否かを判断ことであり、デポ2cが基地1bに所属することによって、基地1bの二次輸送能力を超えるか否かについて判断を行なうこという。この判断は、「基地直配物量+一括店物量+既所属拠点配達物量+所属候補拠点合計配達物量」の値が(以下「基地1bの拠点物量合計」という。)と基地1bの仕分可能物量311との比較によって行なう。基地直配物量とは基地直配エリア100bについての合計配達物量をいい、一括店物量とはデフォルト所属が基地1bの一括店3…3の日単位物量の合計をいい、既所属拠点配達物量とは既に基地1bに所属するデポ2…2の各合計配達物量の合計をいい、所属候補拠点合計配達物量とは基地1bに所属させるか否かを判断するデポ2cの合計配達物量をいう。基地1bの拠点物量合計が基地1bの仕分可能物量311を超えない場合は、基地1bの二次輸送能力を超えないと判断され、デポ2cは基地1bに所属でき、超える場合は基地1bの二次輸送能力を超えると判断され、デポ2cは基地1bに所属できない。本実施形態では、基地1bからデポ配達エリア201cが作成されたデポ2cから、上記式にて基地1bへの所属が可能か否かが判断される。なお、デポ2cは、所属可能デポ2b…2fのうち最初に判断対象となるので、既所属拠点配達物量は0として基地1bの拠点物量合計が算出される。ここでは、上記判断の結果、デポ2cは基地1bに所属できたとする。
【0105】
次に、デポ2dについて割り付け処理が行われる。図12(b)はデポ2dの直配エリア200dには販売店3i…3lが含まれるが、物量条件によって販売店3lははずされてデポ配達エリア201dが作成されたようすを示す。デポ2dの合計配達物量を所属候補拠点合計配達物量とし、デポ2cの合計配達物量を既所属拠点配達物量として算出された基地1bの拠点物量合計が、基地1bの仕分可能物量311を超えない場合、デポ2dは基地1bへ所属できる。ここでは、デポ2dは基地1bに所属できたとする。
【0106】
以下、続いてデポ2fについて割り付け処理が行われ、デポ配達エリア201fが作成される。図12(b)は、デポ2fまでの配達エリアの作成処理が完了した状態を示す概念図である。
【0107】
ここで、特定のデポ2の割り付け処理について、販売店3が他の拠点1、2に既に所属している場合の処理について説明する。上述した販売店3eのように基地1とデポ2の直配エリアに含まれる販売店3は、基地1の基地直配エリアに所属させる。また、販売店3zのように複数のデポ2…2の配達エリアに含まれる販売店3は、所属する基地1の優先度が高いデポ2のデポ配達リアに所属させる。図13(a)の販売店3j及び販売店3kのように同一の基地1bのデポ2d、2eの直配エリア200d、200eに含まれる場合は、直線距離が近い方の直配エリアに優先的に所属させる。この場合については図13(a)及び(b)を用いて詳細に説明する。
【0108】
図13(a)は、販売店3j及び販売店3kはデポ2dのすでにデポ配達エリア201dに所属しているが、デポ2eの直配エリア200eにも含まれる場合について説明する。デポ2d及びデポ2eはどちらも基地1bに所属するため優先度309は同じである。かかる場合は、上述したようにそれぞれ直線距離が近いデポ2に所属する。よって、図13(a)の場合は、販売店3jはデポ2dよりデポ2eに近いので、デポ2eの物量条件を満たす場合はデポ2dの所属からデポ2eの所属に変更される。但し、デポ2eの物量条件を満たさない場合は販売店3jの所属の変更はない。また、販売店3kはデポ2dに近いので、所属の変更はない。販売店3jがデポ配達エリア201dから削られたデポ2dについては、デポ2dの直配エリア200dに存在するフリー店3lを所属させることについて検討する。販売店3jが削られ、フリー店3lがデポ2dに所属した場合のデポ2dの合計配達物量を所属候補拠点合計配達物量として、他のデポ2b、2c,2e、2fの各合計配達物量の合計を既所属拠点配達物量として基地1bの拠点物量合計を算出し、その値が基地1bの仕分可能物量311を超えない場合は、このフリー店3lをデポ2dに所属させる。
【0109】
一方、販売店3lをデポ2dに所属させた場合の基地1bの拠点物量合計が基地1bの仕分可能物量11を超える場合は、販売店3jの所属をデポ2dに戻し、フリー店3lは未所属のままとなり、デポ2eは基地1bに所属できない。図13(b)はデポ2eが基地1bの所属から外され、デポ2b…2d、2dが基地1bに所属することになり、各デポ配達エリア201b…201d、201f及び一括店3x、基地直配エリア100bが基地1bの基地配達エリア210bとして作成されたようすを示す概念図である。
【0110】
処理の結果としてどの基地1a、1b及びデポ2a…2d、2fにも所属しなかった販売店3l、3m、3n、3oは、フリー店3となり、分割条件設定画面(図7)の「フリー店舗の処理」86にて指定した内容に従う。例えば、フリー店3を宅配扱いとする場合は、直線距離が一番近い基地1bに所属させ、配達形態347は「宅配」として設定する。
【0111】
次に、基地圏検討型ロジックに基づく配達エリア作成処理について、中央処理装置4にて実際に行われる処理の流れを図14〜図19に示すフローチャートに従って説明する。
【0112】
図14は、分割条件設定画面(図7)にて分割条件を設定し、登録ボタン78を選択後、分割処理が終了するまでの処理の流れの概略を示すフローチャートである。まず初めに、ステップS500にて初期化処理が行われる。本実施形態における初期化処理は、シナリオマスタフォルダ16に格納されている各処理用ファイル群16a…16dに基づいて対応する各処理用ファイル16a´…16d´がWORK領域7に作成される。処理用拠点ファイル16a´の各デポ情報の基地コード303及び処理用販売店ファイル16b´の基地コード300aとデポコード300bをNULLに設定する。以下に説明する各処理はWORK領域7にて行われる。
【0113】
また、処理用拠点ファイル16a´における各拠点1、2の直配距離を、各拠点1、2に対応する拠点直配パラメータ312及び行政区速度317に基づいて算出し、対応する各拠点情報と相互に関連づけて記憶する。拠点情報のデータ項目に追加して記憶してもよいし、他の記憶域に記憶させてもよい。
【0114】
更に、処理用販売店ファイル16b´から一括コード342及びデフォルト所属コード343が設定されている一括店3…3の販売店情報を抜き出し、一括店ファイルとしてこれら一括店3…3のみを処理用販売店ファイル16b´とは別の領域に記憶する。処理用販売店ファイル16b´にはデフォルト所属が設定されている一括店3についての販売店情報は一時的に存在しないことになる。なお、デフォルト所属コード343が設定されていない一括店3の販売店情報は一括店ファイルに抜き出されないので処理用販売店ファイル16b´に存在する。以下この処理用販売店ファイル16b´に販売店情報がある一括店3…3は、特にことわらない限り一般店3…3と同様に扱われる。
【0115】
次にステップS502では、処理用拠点ファイル16a´から優先度309の高い順に基地情報を1レコードずつ読み、基地情報の各データ300…320を取得する。基地情報であるか否かは拠点情報の拠点属性302によって識別される。以下、レコードを読む処理とは、当該レコードが有する各データが中央処理装置4によって処理可能な状態となることをいう。
【0116】
次にステップS504にて、基地情報の新規読み込みが終了しているか否かが判断される。終了していない場合は、ステップS506へ進む。以下、ステップS502にて新規に読まれた基地情報の拠点コード300に対応する基地1を当該基地1という。「新規に読まれた」とは、まだ分割処理を行っていない基地1に係る基地情報を読んだことをいう。以下「新規に読む」とは、されるべき処理がまだされていないデータを読むという意味で用いる。
【0117】
ステップS506では、当該基地1についての基地直配エリアを作成する。ステップS506で行われる基地直配エリア作成処理については、図15に示すフローチャートに従って説明する。まず、ステップS550にて一括店処理を行なう。ステップS550における一括店処理とは、一括店ファイルからデフォルト所属コード343が当該基地1の拠点コード300である一括店3…3を検索し、その一括店3…3の各販売店情報の基地コード300aに当該基地1の拠点コード300を設定し、配達形態347にルート配達を設定する処理である。次に、ステップS552にて、基地1から直配距離内にある販売店3…3を処理用販売店ファイル16b´から検索する。ここで検索された販売店を基地直配エリア作成処理内で当該販売店3という。
【0118】
次にステップS556へ進み、当該販売店3の基地コード300aが設定されているか否かが判断される。基地コード300aが設定されており、NULLでない場合は、当該販売店3はすでに当該基地1よりも優先度309が高い他の基地1に所属していることを意味するので、何もしないでステップS559へ進む。NULLの場合は、ステップS558へ進み、処理用販売店ファイル16b´における当該販売店3の販売店情報の基地コード300aに当該基地1の拠点コード300が設定され、配達形態347にはルート配達が設定され、ステップS559へ進む。
【0119】
ステップS559では、当該基地1から直配距離内にある販売店3が検索できるか否か判断され、できる場合は、検索処理のためにステップS556へ戻り、検索できない場合は、基地直配エリア作成処理が終了したとみなされ、基地直配エリア作成処理を終了する。
【0120】
基地直配エリア作成処理が終了すると、ステップS510へ進む。ステップS510では、当該基地1の拠点取得範囲にあるデポ2…2を処理用拠点ファイル16a´から抽出し、中間ファイルIを作成する。但し、すでに基地コード303が設定されているデポ情報に対応するデポ2は中間ファイルIに含めない。次にステップS512へ進み、中間ファイルI内にあるデポ2…2についてデポ配達エリア作成処理が行われる。
【0121】
このデポ配達エリア作成処理については、図16〜図17に示すフローチャートに従って説明する。デポ配達エリア作成処理は、まずステップS560にて中間ファイルIからデポ情報を当該基地1に直線距離が近い順に1レコードずつ読む。次にステップS562にてデポ情報が新規に読めたか否かが判断され、新規に読めた場合には、ステップS564へ進む。以下、ステップS560で新規に読まれたデポ情報の拠点コード300に対応するデポ2を当該デポ2という。
【0122】
ステップS564では、当該デポ2について直配エリア内にある販売店3…3を処理用販売店ファイル16b´から抽出して中間ファイルIIを作成する。
【0123】
次にステップS566にて一括店処理を行なう。ステップS566における一括店処理とは一括店ファイルからデフォルト所属コード343が当該デポ2の拠点コード300である一括店3…3を検索し、この検索された一括店3…3の各販売店情報のデポコード300bに当該デポ2の拠点コード300を設定し、配達形態347にルート配達を設定する処理である。
【0124】
次にステップS568にて、店属性341に基づいて、この中間ファイルIIにある販売店情報を処理順に読む。この処理順が早い販売店3ほど、当該デポ2に優先的に所属させることになる。本実施形態においては、店属性341がコンビニエンスストアの場合、一般店より優先的に当該デポ2に所属させる。また、同一の店属性341の場合は、当該デポ2からの直線距離が近い販売店3を優先的に所属させる。すなわち、ステップ568では、各販売店3と当該デポ2との各直線距離が算出されて、WORK領域7に一時的に記憶され、まず店属性341がコンビニエンスストアである販売店情報が、当該デポ2から直線距離が近い販売店3の順に選択されて読まれ、次に店属性341が一般店である販売店情報が、当該デポ2からの直線距離に近い販売店3の順に選択されて読まれる。読まれた順に以下の処理が行われる。
【0125】
ステップS568にて中間ファイルIIから販売店情報を1レコード読み、新規な販売店情報を読み込めた場合はステップS572へ進む。以下、ステップS568で新規に読んだ販売店情報の販売店コード330に対応する販売店3を当該販売店3という。
【0126】
ステップS572では、当該販売店3について重複確認処理が行われる。重複確認処理については、図18に示すフローチャートに従って説明する。
【0127】
重複確認処理では、ステップS600にて当該販売店情報の基地コード300aがNULLか否か判断され、基地コード300aがNULLの場合はまだどこの拠点1、2にも所属していないと判断され、何も処理せずに重複確認処理を終わる。NULLでない場合はステップS602にてその基地コード300aが当該基地1の拠点コード300か否かが判断される。その基地コード300aが当該基地1の拠点コード300でないときは、当該販売店3は他の基地1に所属すると判断され、ステップS606へ進み削除フラグを立てて重複確認処理を終了する。この削除フラグは中間ファイルIIから当該販売店情報を削除することを示すフラグである。ステップS602にてその基地コード300aが当該基地1の拠点コード300であると判断された場合は、ステップS604へ進み、デポコード300bがNULLであるか否かが判断される。NULLであると判断された場合は、当該販売店3は当該基地Iの基地直配エリアに所属すると判断され、ステップS606へ進み、削除フラグを立てて重複確認処理が終了する。NULLでないと判断された場合は、ステップS607へ進み、当該デポ2と当該販売店3との間の直線距離とその設定されているデポコード300bに対応するデポ2と当該販売店3との間の直線距離とが比較され、当該デポ2の方が遠い場合はステップS606へ進み、削除フラグが立てられて重複確認処理が終了する。
【0128】
当該販売店3から当該デポ2の方が近い場合は、ステップS608へ進む。ステップS608では、当該販売店情報の販売店情報が重複デポ記憶域に一時的に記録され、重複確認処理が終了する。重複デポ記憶域は、WORK領域7の一部である。重複デポ記憶域に記録された販売店情報は中間ファイルIIからデポ情報が新規に読まれる時にクリアされる。
【0129】
重複確認処理が終了するとステップS574にて削除フラグが立っているか否かが判断され、立っている場合はステップS575にて当該販売店情報を中間ファイルIIから削除し、削除フラグを立っていない状態に戻し、次の販売店情報を読むためにステップS568へ戻る。ステップS574にて削除フラグが立っていないと判断された場合は、ステップS576へ進み、当該販売店3の中間ファイルIIにおける販売店情報のデポコード300bに、当該デポ2の拠点コード300を設定する。
【0130】
次にステップS578へ進む。ステップS578では、この時点で中間ファイルII及び一括店ファイルの販売店情報にて、デポコード300bが当該デポ2の拠点コード300に設定されている販売店3…3の日単位物量の合計を算出する。すなわち、この時点におけるデポ2の合計配達物量を算出する。ここで、本実施形態においては、店属性341に対応する配達日数によって日単位物量の算出方法を異にする。一括店3及び一般店3の場合は回数加重配達量346を5で割り、コンビニエンスストア3の場合は回数加重配達量346を6で割った値とする。コンビニエンスストア3は週に6日配達し、一般店3は週に5日配達するからである。
【0131】
上記合計配達物量が算出されると、ステップS580へ進み、この合計配達物量の合計と当該デポ2の配達可能物量310とが比較される。合計配達物量が配達可能物量310を超えない場合は、物量条件を満たすとして次の販売店情報を中間ファイルIIから読むためにステップS568へ戻る。合計配達物量が配達可能物量310を超えた場合は、当該販売店3は当該デポ2の配達能力を超えるとして、ステップS582にて当該販売店3の販売店情報は中間ファイルIIから削除され、次の販売店情報を中間ファイルIIから読むためにステップS568へ戻る。このステップS582にて、当該販売店3の販売店情報が重複デポ記憶域にある場合はその販売店情報も重複デポ記憶域から削除する。
【0132】
上述した当該販売店情報についての処理が次の販売店情報についてもステップS568から繰り返され、ステップS570にて新規に中間ファイルIIから読まれる販売店情報がないと判断された場合は、中間ファイルIIにある販売店情報の処理は終了したものと判断され、ステップS590へ進む。
【0133】
ステップS590では、当該基地1の拠点物量合計が算出され、当該基地1の二次輸送能力について検討するために、当該基地1の仕分可能物量311と当該基地1の拠点物量合計とが比較される。既所属拠点配達物量は処理用販売店ファイル16b´及び一括店ファイルの販売店情報において基地コード300aに当該基地1の拠点コード300が設定されている販売店情報の日単位物量の合計であり、所属候補拠点合計配達物量は中間ファイルII及び一括店ファイルの販売店情報においてデポコード300bに当該デポ2の拠点コード300が設定されている販売店情報の日単位物量の合計である。但し、重複デポ記憶領域に重複した販売店3…3の販売店情報がある場合は、ステップS590において加算される当該デポ2の合計配達物量は、所属候補拠点合計配達物量から重複デポ記憶域に記録されている販売店3…3の日単位物量の合計を除いた値として加算される。拠点物量合計の算出の際に、重複デポ記憶域に記録されている販売店情報に対応する販売店3について重複した日単位物量を加算することになるからである。この当該基地1の拠点物量合計が当該基地1の仕分可能物量311を超える場合は、当該デポ2は当該基地1の物量条件を満たさないとされ、ステップS592へ進み、中間ファイルIから当該デポ2のデポ情報を削除し、更に一括店ファイルからデポコード300bに当該デポ2が設定されている販売店情報を削除する。その後次のデポ情報を読み込むためにステップS560へ進む。当該基地1の拠点物量合計が当該基地1の仕分可能物量311を超えない場合は、ステップS594へ進み、重複所属調整処理が行われる。
【0134】
重複所属調整処理については図19のフローチャートに従って説明する。重複所属調整処理とは、処理用販売店ファイル16b´では他のデポ2に既に所属する設定がされている販売店3…3を中間ファイルIIにて当該デポ2に所属させる設定を行った場合についての調整処理をいう。
【0135】
重複所属調整処理はまず、ステップS610にて、重複デポ記憶域に販売店情報があるか否かが判断され、ある場合はステップS611へ進み、ない場合はステップS622へ進む。ステップS611では重複デポ記憶域に重複調整処理がされていない販売店情報があるか否かが判断される。例えばすべての販売店情報のデポコード300bが当該デポ2の拠点コード300である場合は終了したと判断され、ステップS621へ進む。ステップS621及びステップS622の処理については後述する。
【0136】
重複デポ記憶域に重複調整処理がされていない販売店情報がある場合は、ステップS612へ進み、その販売店情報を読み、デポコード300bを取得する。このデポコード300bに対応するデポ2を、以下重複所属調整処理内で「当該削られたデポ2」といい、読まれた販売店情報に対応する販売店3を当該販売店3という。
【0137】
次にステップS613へ進み、処理用販売店ファイル16b´において、当該削られたデポ2の直配エリア内に存在し、かつフリー店3があるか否かが判断される。フリー店3がない場合は、当該販売店3の所属を当該デポ2へ変更しないのでステップS614の削除処理へ進む。ステップS614の削除処理では、当該削られたデポ2の拠点コード300がデポコード300bに設定されている販売店情報を重複デポ記憶域から削除し、かつ当該削られたデポ2に係るすべての販売店情報を中間ファイルIIから削除する。その後、次の削られたデポ2の処理のためにステップS611へ戻る。ステップS613にて、フリー店3があると判断された場合はステップS615へ進む。
【0138】
ステップS615では、当該削られたデポ2における削られた物量を算出する。削られた物量とは、重複デポ記憶域に存在する販売店情報であって、当該削られたデポ2の拠点コード300がデポコード300bに設定されている販売店情報に対応する販売店3…3の日単位物量の合計である。次にステップS616へ進み、当該削られたデポ2の直配エリア内にあるフリー店3…3を、当該削られたデポ2の削られた物量を上限として、処理用販売店ファイル16b´から選択し、この選択されたフリー店3…3の販売店情報を所属可能フリー店記憶域に記録する。このとき記録される各販売店情報のデポコード300bに当該削られたデポ2の拠点コード300を設定する。なお、この所属可能フリー店記憶域は、WORK領域7の一部である。この所属可能フリー店記憶域は重複所属調整処理終了時に内容がクリアされる。
【0139】
次に、ステップS617へ進み、ステップS590にて算出した当該基地1の拠点物量合計に、ステップS616で選択されたフリー店3…3の日単位物量の合計を加算して、当該基地1の拠点物量合計とし、この当該基地1の拠点物量合計と当該基地1の仕分可能物量311とが比較される。当該基地1の拠点物量合計が仕分可能物量311を超える場合は、当該フリー店3…3は当該削られたデポ2に所属できず、また当該デポ2も当該基地1に所属できないので、ステップS618へ進み、中間ファイルIから当該デポ2のデポ情報を削除し、一括店ファイルからデポコード300bに当該デポ2が設定されている販売店情報を削除して重複調整処理を終了する。
【0140】
ステップS617にて、当該基地1の拠点物量合計が当該基地1の仕分可能物量311を超えないと判断された場合はステップS620へ進み、所属候補フリー店記憶域にて当該削られたデポ2の拠点コード300がデポコード300bに設定されているフリー店3…3の基地コード300aに当該基地1の拠点コード300を設定し、配達形態347をルート配達に設定する。その後、次の削られたデポ2の処理のためにステップS611へ戻る。
【0141】
ステップS611にて重複デポ記憶域に存在するすべての販売店情報について重複調整処理が終了していないと判断された場合はステップS612へ進み、以下上述した処理を繰り返す。すべての販売店情報について重複調整処理が終了したと判断された場合は、ステップS621へ進む。
【0142】
ステップS621では、所属候補フリー店記憶域に記録されている各販売店情報の内容が処理用販売店ファイル16b´の対応する販売店情報に設定され、次のステップS622へ進む。ステップS622では、中間ファイルIIに含まれる各販売店情報に対応する処理用販売店ファイル16b´の各販売店情報のデポコード300bに当該デポ2の拠点コード300が設定され、基地コード300aに当該基地1の拠点コード300が設定され、配達形態347にはルート配達が設定され、一括店ファイルにおいて、デフォルト所属コード343に当該デポ2の拠点コード300が設定されている販売店情報の基地コード300aに、当該基地1の拠点コード300をそれぞれ設定し、重複調整処理を終了する。
【0143】
重複所属調整処理が終了すると次のデポ2についての処理を行なうためにステップS560へ戻る。中間ファイルIにあるデポ2についての配達エリア作成処理がすべて終了した場合は、ステップS562にて終了と判断され、デポ配達エリア作成処理を終了し、ステップS514へ進む。
【0144】
ステップS514では中間ファイルIにあるデポ情報に対応する処理用拠点ファイル16a´におけるデポ情報の所属基地コード303を当該基地1の拠点コード300に設定する。
【0145】
その後、次の基地1についての配達エリア作成処理のため、ステップS504へ戻る。以上の処理を処理用拠点ファイル16a´にあるすべての基地1…1について行なう。
【0146】
すべての基地1…1についての配達エリアが作成された場合は、ステップS504にて終了と判断され、ステップS516のフリー店処理及び一括店処理へ進む。ステップS516におけるフリー店処理では、処理用販売店ファイル16b´に販売店情報が存在するが、どの拠点1、2にも所属しないフリー店3…3が、分割条件画面の「フリー店舗の処理」の設定に従って処理される。フリーのままとする場合はそのまま何も処理せず、宅配とする場合は、当該フリー店3の販売店情報は、基地コード300aには例えば直線距離が一番近い基地1の拠点コード300が設定され、配達形態347は宅配が設定される。但し、当該フリー店3はその基地1の物量条件を満たす必要がある。すなわち、その基地1の拠点物量合計に当該フリー店3の日単位物量を加算した値が、その基地1の仕分可能物量311を超えない場合に当該フリー店3はその基地1に「宅配」として所属することができるが、超える場合は所属できない。また、ステップS516における一括店処理は、一括店ファイルにて基地コード300aが設定されている販売店情報を処理用販売店ファイル16b´に追加する。
【0147】
フリー店の処理後にステップS518の算定処理へ進み、算定処理が終了すると基地検討型処理は終了する。中央処理装置4が行なう算定処理の説明については後述する。
【0148】
次に「拠点積み上げ型」ロジックについて説明する。「拠点積み上げ型」ロジックでは、分割処理が上述したようにステップ1とステップ2の段階的に行われる。
【0149】
まず初めにステップ1の処理について説明する。図20(a)は基地1a…1b、デポ2a…2g及び販売店3…3が地図上に点在するようすを示す。正六角形が拠点1のある位置を示し、正三角形がデポ2のある位置を示し、小さな円が販売店3のある位置を示している。ステップ1では、各基地1a、1bの基地直配エリア及び、各デポ2a…2gのデポ配達エリアを作成する。
【0150】
販売店3…3の各拠点1a、1b、2a…2gへの割り付け方法は「基地圏検討型」ロジックにおけるデポ2への割り付け処理のロジックと同様である。すなわち、各拠点1a、1b、2a…2gについて、各直配エリア内に存在する販売店3…3を、各配達可能物量310を超えない範囲で各拠点1a、1b、2a…2gに所属させる。一括店3bのように基地1bにデフォルト所属する一括店3の場合は、一括店3bが基地1bの直配エリア100b内になくても基地1bの基地直配エリア101bに所属させる。なお、各拠点1a、1b、2a…2gに基地直配エリア101a、101b、及びデポ配達エリア201a…201gが作成された様子の概念図を図20(b)に示す。
【0151】
複数の拠点1、2の直配エリアに含まれる販売店3…3の処理については、販売店3cのように、基地1bの直配エリア100bにもデポ2cの直配エリア200cにも含まれる場合は、基地1bの方が優先度が高く、基地1bの所属となる。販売店3dのようにデポ2aとデポ2bの直配エリア200a、200bに含まれる場合、すなわち重複する所属先がデポ同士である場合は、販売店3dは自己から直線距離が近い方に物量条件を満たすことを前提に所属する。この時、販売店3dの所属が変更するとしても、「基地圏検討型」ロジックにおける重複調整処理は行わない。どのデポ2もこの時点で基地1に所属していないので、優先度309が不明だからである。販売店3e、3fについても同様である。また、販売店3aのように、どの各拠点1a、1b、2a…2gにも所属しない販売店3…3はフリー店3となる。なお、本ロジックにおいては基地1a、1bにも物量条件を設け、各基地1a、1bの配達可能物量310を各デポ2a…2gにおける配達可能物量310と同様に、物量条件として扱って基地直配エリア101a、101bを作成する。
【0152】
基地1a、1bの基地直配エリア101a、101b、及びデポ2a…2gのデポ配達エリア201a…201gを作成後算定処理を行なう。算定処理の詳細は後述するが、算定処理によって上述した各配達エリア101a、101b、201a…201gにおいて配達に必要な輸送車の最小台数を求めることができる。ここで求められた数値が、拠点1、2が現在保有する輸送車数内の一定値よりも少ない場合は輸送効率の悪い拠点1、2として、図20(b)のデポ2gのような識別マークが表示される。これによって、輸送車の台数が生かされていないデポ2を判別することが可能である。図20(b)においては識別マークとして円形マークが使用されているが、このマークはこれに限らない。
【0153】
以上が拠点積み上げ型ステップ1で行われる処理である。ステップ1終了後に拠点積み上げ型ステップ2が行われる。本システムにおいては、このステップ2の実行は分割ロジック選択画面(図6)にて指定しなければならないが、自動的に実行されてもよい。
【0154】
拠点積み上げ型ステップ2ではデポ配達エリア201a…201gが作成された各デポ2a…2gを基地1a、基地1bに所属させる処理を行なう。この処理をデポ取り込み処理といい、図21は基地1aについてのデポ取り込み処理が終了し、基地1bについてのデポ取り込み処理が行われている様子を示す概念図である。このデポ取り込み処理は、優先度309の高い基地1から行われる。よって、図21においては基地1aが基地1bよりも優先度309が高いことになる。
【0155】
基地1bについてのデポ取り込み処理について説明する。まず、取得可能なデポ2…2を距離条件によって特定する。基地1bを中心として、基地1bの拠点取得下限316から後述する方法によって求められる距離を半径とする円316と拠点取得上限315から後述する方法によって求められる距離を半径とする円315で構成される拠点取得範囲700に存在するデポ2b…2gが所属可能デポ2…2となる。本システムでは、各デポ2と基地1bとの直線距離が、拠点取得下限316からも止められる半径よりも長く、拠点取得上限315から求められる半径よりも短い場合に、そのデポ2は拠点取得範囲700に存在するものと認識する。
【0156】
次に物量条件によって基地1bに所属するデポ2…2を決定する。物量条件は、基地1bの仕分可能物量311と「基地配達量+一括店物量+既所属拠点配達物量+所属候補拠点合計配達物量」の式から算出される物量とを比較して行われる。この算出される値を、以下「拠点物量合計」という。基地配達物量とは、基地1bの基地直配エリア101bの合計配達物量である。一括店物量とはデフォルト所属コード343に基地1bが設定されている一括店3…3の日単位物量の合計である。既所属拠点配達物量とは、既に基地1bに所属が決定しているデポ2…2の各合計配達物量を合計した値である。所属候補拠点合計配達物量とは基地1bに所属できるか否かを判断する対象のデポ2の合計配達物量である。日単位物量及び合計配達物量の算出方法は基地圏検討型における日単位物量及び合計配達物量と同様である。
【0157】
例えば、基地1bにデポ2a…2cの所属が決定し、次にデポ2dについて上記の比較を行なう場合は、基地1bの拠点物量合計は「基地配達量+一括店物量+デポ2a…2cの合計配達物量の合計+デポ2dの合計配達物量」となる。となる。この式によって算出された値が基地1bの仕分可能物量311より小さい場合はデポ2dは基地1bに所属する。よって、次のデポ2eについて物量条件を比較する場合は、基地1bの拠点物量合計は「基地配達量+一括店物量+デポ2a…2dの合計配達物量の合計+デポ2eの合計配達物量」となる。一方、デポ2dの合計配達物量を加算した値が仕分可能物量311より大きい場合は、デポ2dは基地1bに所属できないので、次のデポ2eについて物量条件を比較するための基地1bの拠点物量合計は、「基地配達量+一括店物量+デポ2a…2cの合計配達物量の合計+デポ2eの合計配達物量」となる。
【0158】
基地1bの拠点取得範囲に含まれるデポ2b…2gについて基地1bに優先的に所属させる優先順位を設けても良い。本実施形態では、基地1bとの直線距離が近いデポ2を優先的に基地1bに所属させることとし、近い順に上記物量条件の比較を行なうが、デポ2を基地1に優先的に所属させる方法はこれに限らず、例えば一定の距離内にある合計配達物量が大きいデポ2から優先的に所属させてもよい。
【0159】
また、拠点取得範囲700に存在するフリー店3…3を基地1bに宅配扱いとして所属させてもよい。図21においてはフリー店3aが基地1bの拠点取得範囲700に存在するので、物量条件を満たせば基地1bに宅配扱いとして所属する。この場合の基地1bの拠点物量合計は、「基地配達量+一括店物量+既所属拠点配達物量+既所属宅配店物量+所属候補拠点合計配達物量又は所属候補フリー店物量」となる。既所属宅配店物量とは既に基地1bに宅配店として所属が決定したフリー店3…3の日単位物量の合計である。所属候補フリー店物量とは基地1bに宅配店として所属させるか否かを判断する対象のフリー店3の日単位物量である。例えば、フリー店3aについて検討を行なう場合は、フリー店3aの日単位物量である。また、本システムにおいては、拠点取得範囲700に存在するデポ2b…2b及びフリー店3…3は、デポ2とフリー店3の区別をせずに基地1bへの直線距離が近いものから優先的に基地1bに所属させる。すなわち、基地1bからの直線距離が近いデポ2またはフリー店3から遠いデポ2またはフリー店3の順に上記物量条件の比較が行われる。
【0160】
図21は、デポ2b〜デポ2f及びフリー店3aについて、基地1bからの直線距離が近い順に基地1bの拠点物量合計と基地1bの仕分可能物量と比較した結果、デポ2eが基地1bに所属できなかった状態を示す。デポ2eはどの基地1a、1bにも所属せず、デポ2eに所属した販売店3c…3eは、フリー店3c…3eとなる。図21は、基地1bにおける分割処理の結果としてデポ2b〜デポ2d、デポ2fが基地1bに所属し、各デポ配達エリア201b…201d、201f、基地直配エリア101b、販売店3a及び一括店3bによって基地1bの基地配達エリア210bが形成されるようすを示す。
【0161】
次に、中央処理装置4が行なう処理について図22〜図25のフローチャートに従って説明する。図22は、分割条件設定画面(図7)にて分割条件を設定し、「登録」78ボタンを押した後に「拠点積み上げ型」ロジックに基づいて開始される処理から、その分割処理が終了するまでの処理の流れの概略を示すフローチャートである。ステップ750にて、分割条件設定画面(図7)にて選択された拠点1、2についての拠点情報を処理用拠点ファイル16aから抽出して処理用拠点ファイル16a´としてWORK領域7に作成する。処理用販売店ファイル16bはコピーされて処理用販売店ファイル16b´とされ、処理用統計情報ファイル16cはコピーされて処理用統計情報ファイル16c´とされ、処理用作業用情報ファイル16dはコピーされて処理用作業用情報ファイル16d´とされ、それぞれWORK領域7に作成される。
【0162】
次にステップS752に進み、初期化処理が行われる。初期化処理では、処理用拠点ファイル16a´にあるデポ情報の基地コード303をNULLに設定し、処理用販売店ファイル16b´にある販売店情報の基地コード300a及びデポコード300bをNULLに設定する。
【0163】
処理用拠点ファイル16a´における各拠点1、2の直配距離を拠点直配パラメータ312及び行政区速度317に基づいて算出し、対応する各拠点情報と相互に関連づけて記録しておく。拠点情報のレコードに追加項目として記録してもよいし、他の記憶域に記録してもよい。
【0164】
また、処理用販売店ファイル16b´にある一括店3の販売店情報であってデフォルト所属コード343にいずれかの拠点コード300が設定されているものを抜き出して一括店ファイルとし、処理用販売店ファイル16b´とは別の領域に記憶する。処理用販売店ファイル16b´には、デフォルト所属が設定されている一括店3についての販売店情報は一時的に存在しないことになる。なお、デフォルト所属コード343が設定されていない一括店3の販売店情報は一括店ファイルに抜き出されないので処理用販売店ファイル16b´に存在する。以下この処理用販売店ファイル16b´に販売店情報がある一括店3…3は、特にことわらない限り一般店3…3と同様に扱われる。
【0165】
次にステップS754へ進み、拠点直配エリア作成処理が行われる。拠点直配エリア作成処理では処理用拠点ファイル16a´に拠点情報がある各拠点1、2の各拠点直配エリアを作成する。拠点直配エリアとは、基地直配エリア及びデポ配達エリアの総称である。この拠点直配エリア作成処理は図23に示すフローチャートに従って説明する。ステップS770にて拠点情報を処理用拠点ファイル16a´から処理順に読む。本実施形態では、基地1とデポ2では基地1の方が処理順が早く、基地1…1の中では優先度309の高い基地1ほど早く処理される。デポ2…2は拠点コード300の順に処理されるが、例えば合計配達量が大きいほど優先的に処理を行ってもよい。次にステップS772にて、ステップS770にて拠点情報が新規に読めないときは、処理用拠点ファイル16a´にある拠点情報の拠点1、2についてすべて拠点直配エリアが作成されたものと判断され、拠点直配エリア作成処理を終了する。ステップS770にて拠点情報が新規に読めたときはステップS774へ進む。以下、ステップS770にて新規に読んだ拠点情報に対応する拠点1、2を当該拠点1、2という。
【0166】
ステップS774では、当該拠点1、2の直配エリア内にある販売店3…3を処理用販売店ファイル16b´から抽出して中間ファイルIを作成する。次に、ステップS776へ進み、以下、ステップS786まで中間ファイルIから当該拠点1、2の物量条件に合った販売店情報を絞り込む処理を行なう。ステップS776では、店属性341に基づいて、中間ファイルIにおける販売店情報を物量条件によって絞込む処理の順に読む。本実施形態においては、「基地圏検討型」ロジックと同様に、販売店3…3はこの順序が早いほど優先的にいずれかの拠点1、2に所属できる。
【0167】
本実施形態においては、店属性341がコンビニエンスストアの場合、一般店より優先的に当該デポ2に所属させる。また、同一の店属性341の場合は、当該デポ2からの直線距離が近い販売店3を優先的に所属させる。すなわち、ステップS776では、各販売店3と当該デポ2との各直線距離が算出されて、WOK領域7に一時的に記憶され、まず店属性341がコンビニエンスストアである販売店情報が当該デポ2からの直線距離の近い販売店3の順に選択されて読まれ、次に店属性341が一般店である販売店情報が当該デポ2からの直線距離の近い販売店3の順に選択されて読まれる。読まれた順にステップS780以降の処理が行われる。
【0168】
中間ファイルIから販売店情報が新規に読み込めなかった場合は、ステップS778にて中間ファイルIにあるすべての販売店情報について処理が終了したと判断してステップS779へ進む。ステップS776で販売店情報が新規に読めた場合は、ステップS780へ進む。ここで新規に読み込んだ販売店情報を当該販売店情報といい、当該販売店情報に対応する販売店3を当該販売店3という。
【0169】
ステップS780では当該販売店3についての重複確認処理が行われる。重複確認処理とは、複数の拠点1、2の直配エリアに含まれる販売店3をどの拠点1、2の直配エリアに所属させるかを確認する処理である。
【0170】
重複確認処理については、図24に示すフローチャートに従って説明する。ステップS790で当該販売店情報の基地コード300aがNULLであるか否かが判断され、NULLの場合はステップS792へ進む。ステップS792では当該販売店情報のデポコード300bがNULLであるか否かが判断される。デポコード300bがNULLの場合は、フリー店3であるからステップS796へ進み、当該拠点1、2の拠点コード300を中間ファイルIにおける当該販売店情報の基地コード300aまたはデポコード300bに設定し、重複確認処理を終了する。当該拠点1、2が基地1かデポ2かは、拠点属性302によって判断し、拠点属性302が基地の時、拠点コード300を基地コード300aに設定し、拠点属性302がデポの時、拠点コード300をデポコード300bに設定する。ステップS792にてデポコード300bがNULLでない場合は、現在いずれかのデポ2に所属する販売店3であることを示す。この場合は、ステップS794へ進み、当該拠点1、2と当該販売店3との間の直線距離と、既に設定されている所属先の拠点1、2と当該販売店3との間の直線距離とが比較される。当該拠点1、2の方が近い場合はステップS796へ進み、上述した処理を行った後重複確認処理を終了する。ステップS794にて、既に設定されている所属先の拠点1、2の方が近いと判断された場合は、当該販売店3を中間ファイルIから削除するために、ステップS798にて削除フラグを立てて重複確認処理を終了する。なお、本実施形態において、この重複確認処理において、当該販売店情報のデポコード300bが既に設定されていると判断された場合は、基地1…1についての基地直配エリアの作成処理は終了し、デポ2…2についての配達エリア作成処理が開始されていることを意味し、当該拠点1、2はデポ2である。
【0171】
ステップS790にて当該販売店情報の基地コード300aがNULLでないと判断された場合は、当該販売店3はいずれかの基地1にすでに所属が決定している販売店3であるから中間ファイルIから削除するためにステップ798にて削除フラグを立てて重複確認処理を終了する。
【0172】
重複確認処理が終了すると、ステップS782に進み、削除フラグが立っているか否かが判断される。削除フラグが立っている場合は、ステップS783へ進み、当該販売店情報を中間ファイルIから削除し、削除フラグを元に戻して次の販売店情報を読むためにステップS776へ戻る。ステップS782にて削除フラグが立っていないと判断された場合は、ステップS784へ進み、当該販売店3を当該拠点1、2に所属する販売店3として、当該拠点1、2の合計配達物量が算出される。すなわち、この時点で中間ファイルIにある販売店情報であって、当該拠点1、2の拠点コード300が基地コード300aまたはデポコード300bに設定されている販売店情報に対応する販売店3…3、及び一括店ファイルにある販売店情報であって、デフォルト所属コード343に当該拠点1、2の拠点コード300が設定されている販売店情報に対応する一括店3…3の日単位物量の合計が算出される。次にステップS786へ進み、ステップS786では、当該拠点1、2の配達可能物量310と当該拠点1、2の合計配達物量とが比較される。ステップS786にて、当該拠点1、2の合計配達物量が、当該拠点1、2の配達可能物量310を超えない場合は、当該販売店3は当該拠点1、2の物量条件を満たすとして中間ファイルIに残り、次の販売店情報を中間ファイルIから読むためにステップS776へ戻る。ステップS786にて、当該拠点1、2の合計配達物量が、当該拠点1、2の配達可能物量310を超える場合は、当該販売店3は当該拠点1、2の物量条件を満たさないとして、ステップS788へ進む。ステップS788では、中間ファイルIから当該販売店情報が削除され、次の販売店情報を読むためにステップS776へ戻る。
【0173】
ステップS778にて中間ファイルIにあるすべての販売店情報について物量条件を検討する処理が行われたと判断された場合、すなわち新規に読む販売店情報がなくなった場合は、ステップS779へ進む。ステップS779では、中間ファイルIにある販売店情報に対応する処理用販売店ファイル16b´の販売店情報について、当該拠点1、2が基地1の場合は中間ファイルIにおける基地コード300aを処理用販売店ファイル16b´における基地コード300aに設定し、当該拠点1、2がデポ2の場合は中間ファイルIにおけるデポコード300bを処理用販売店ファイル16b´におけるデポコード300bに設定し、どちらの場合も処理用販売店ファイル16b´における配達形態347はルート配達に設定する。
【0174】
また、一括店ファイルに、当該拠点1、2にデフォルト所属する一括店3の販売店情報がある場合は、当該一括店3の販売店情報について、当該拠点1、2が基地1の場合は基地コード300aにその拠点コード300を設定し、当該拠点1、2がデポ2の場合はデポコード300bにその拠点コード300を設定し、どちらの場合でも配達形態347はルート配達を設定する。
【0175】
拠点直配エリア作成処理が終了するとステップS756へ進み、算定処理が行われる。算定処理における中央処理装置4が行なう処理については後述する。
【0176】
以上で「拠点積み上げ型」ロジックにおけるステップ1の処理が終了する。ステップ1が終了すると終了フラグをONの状態にする。この終了フラグの状態はシナリオ情報ファイル13aに各シナリオごとに記憶される。中央処理装置4は、この終了フラグの状態を判断して、ONと判断した場合にのみ、以下に示すステップS758〜ステップS764におけるステップ2の処理を行なう。
【0177】
ステップS758では、処理用拠点ファイル16a´から基地情報を優先度309が高い順に読む。次にステップS760にて、配達エリアを作成する処理が終了していない基地情報が読めたか否かが判断され、すなわち新規に読む基地情報があるか否かが判断され、基地情報が新規に読めた場合はその基地1についてのデポ取り込み処理を行なうためにステップS762へ進む。以下、ステップS760にて新規に読んだ基地情報を当該基地情報、当該基地情報に対応する基地1を当該基地1という。
【0178】
デポ取り込み処理については図25に示すフローチャートに従って説明する。まず、ステップS800にて当該基地1の拠点取得範囲にあるデポ2…2のデポ情報を処理用拠点ファイル16a´から抽出して中間ファイルIIとする。このとき、既に基地コード303に拠点コード300が設定されているデポ情報は抽出しない。次にステップS802へ進み、当該基地1の拠点取得範囲にあるフリー店3を処理用販売店ファイル16b´から抽出して中間ファイルIIに追加する。但し、既に基地コード300aに拠点コード300が設定されている場合は除く。
【0179】
次にステップS804へ進み、中間ファイルIIからデポ情報またはフリー店3の販売店情報を処理順に読む。本実施形態では拠点取得範囲にあるデポ2…2及びフリー店3…3のうち、当該基地1に直線距離が近いものから処理を行なうが、これに限らず、例えばデポ2…2をフリー店3…3よりも先に処理を行ってもよい。
【0180】
次にステップS806にて、ステップS804にてデポ情報または販売店情報が中間ファイルIIから新規に読めた否かが判断され、新規に読めた場合はステップS808へ進む。以下ステップS804にて新規に読んだデポ情報を当該デポ情報、当該デポ情報に対応するデポ2を当該デポ2という。また、ステップS804にて新規に読んだのが販売店情報である場合は、その販売店情報を当該販売店情報、当該販売店情報に対応するフリー店3を当該フリー店3という。ステップS808では、現時点における当該基地1の拠点物量合計を算出する。
【0181】
次にステップS810にて、当該基地1の仕分可能物量311と当該基地1の拠点物量合計とが比較され、当該基地1の拠点物量合計が当該基地1の仕分可能物量311を超える場合は、当該デポ2または当該フリー店3は当該基地1の物量条件を満たさないとして、何も処理されず、そのまま次のデポ2またはフリー店3を読むためにステップS804へ戻る。
【0182】
ステップS810にて、当該基地1の拠点物量合計が当該基地1の仕分可能物量311を超えない場合は、当該デポ2または当該フリー店3は当該基地1の物量条件を満たすとして、ステップS812へ進む。
【0183】
ステップS812では、当該デポ2について、処理用拠点ファイル16a´における当該デポ2のデポ情報の基地コード303に当該基地1の拠点コード300を設定し、また、処理用販売店ファイル16b´における販売店情報であってデポコード300bが当該デポ2の拠点コード300である販売店情報の基地コード300aに当該基地1の拠点コード300を設定し、配達形態347には「ルート配達」を設定する。更に、一括店ファイルにおいてデポコード300bに当該デポ2の拠点コード300が設定されている販売店情報の基地コード300aに、当該基地1の拠点コード300を設定する。当該フリー店3については、当該フリー店3の販売店情報の基地コード300aに当該基地1の拠点コード300を設定し、配達形態347に「宅配」を設定する。
【0184】
ステップS806にて、ステップS894で中間ファイルIIからデポ情報またはフリー店3の販売店情報が新規に読めないと判断された場合は、中間ファイルIIにあるすべてのデポ情報及び販売店情報について処理がされたと判断され、デポ取り込み処理を終了する。
【0185】
デポ取り込み処理が終了すると、ステップS764へ進み、最終処理が行われる。最終処理では、一括店ファイルに存在する販売店情報が基地コード300aがNULLのものを除いて処理用販売店ファイル16b´に追加される。また、最終的に所属の決まらなかったフリー店3及び最終的に所属の決まらなかったデポ2にステップ1にて所属させられた販売店3…3は、すべてフリー店3…3とする。最終的に基地1の所属が決まらなかったデポ2にデフォルト所属する一括店3の場合は、基地コード300aがNULLの販売店情報を処理用販売店ファイル16b´に追加する。すなわち、処理用販売店ファイル16b´において、もともと基地コード300a及びデポコード300bがNULLであるフリー店3については何も処理する必要はない。処理用拠点ファイル16a´において、基地コード303がNULLのデポ2の拠点コード300が、処理用販売店ファイル16b´における販売店情報のデポコード300bに設定されている販売店3…3の場合は、その販売店情報のデポコード300b及び配達形態347をNULLに設定する。また、処理用拠点ファイル16a´において、基地コード303がNULLのデポ2の拠点コードが、一括店ファイルの販売店情報のデポコード300bに設定されている場合は、その販売店情報の基地コード300a及びデポコード300bをNULLにして処理用販売店ファイル16b´に追加する。
【0186】
算定処理について説明する。算定処理は上述した通り、各拠点1、2について1週間に配達車が配達する最小のコース数を、時間面からの制限及び物量面からの制限に基づいて算出する処理である。本コース数を算出するに当たり、シングル輸送とピストン輸送の2形態を含む輸送形態が考慮される。特定の拠点1、2にルート配達として所属する販売店3…3のうち、ピストン輸送の対象となるための距離条件及び物量条件を満たす販売店3…3をピストン輸送とし、残りの販売店3…3をシングル輸送とし、各輸送形態におけるコース数を算出してそれらを加算して、合計コース数を算出する。算出処理の説明においては、距離条件又は物量条件というときは、ピストン輸送の対象となる販売店3…3の各条件をいう。その合計コース数はその距離条件及び物量条件に対応するその拠点1、2のコース数となる。ピストン輸送の対象となるための距離条件及び物量条件をそれぞれ所定の範囲で変更し、それら変更された条件によっても同様に上記の合計コース数を算出する。変更された条件に対応して算出されたすべての合計コース数のうち最小のコース数を当該拠点1、2のコース数として決定する。
【0187】
なお、シングル輸送とは、図26(a)が示すように、1コース中に拠点1、2を出発後に途中で拠点1、2に戻らない輸送形態である。シングル輸送による輸送車の配達経路の概念図を図26(b)に示す。ピストン輸送とは、主に近距離の販売店3…3を対象に行なう輸送形態であって、図27(a)に示すように、拠点1、2を出発後、1コースの途中で一回拠点1、2に戻り、再び積込み作業を行なう輸送形態である。ピストン輸送による輸送車の配達経路の概念図を図27(b)に示す。すなわち、シングル輸送では積込時間46が1日に1回でよいが、ピストン輸送では1日に2回必要となる。なお、本実施形態のピストン輸送では拠点1、2に戻る回数は1回であるが、2回以上戻ってもよい。
【0188】
算定処理の手順の概略は以下の通りである。各拠点1、2の配達エリアごとに算定処理がそれぞれ行われる。この算定処理は、基地直配エリアにおいてデポ配達エリアにおいても同様の処理なので、説明の簡便のために特定の拠点1と当該拠点1からタバコが配達車によって配達される複数の販売店3…3が存在する配達エリアの場合について説明する。まず、新規ケース設定画面(図5)にて拠点1についてピストン輸送の対象となる販売店3…3の条件を設定する。具体的には、時間条件としてピストン時間条件51、物量条件としてピストン物量条件52を設定する。
【0189】
ピストン時間条件51は、ピストン輸送の対象となる販売店3…3を拠点1からの距離を条件として指定するパラメータであり、ピストン輸送の対象となる販売店3…3の時間条件の範囲54aと刻み54bを指定する。図5は、拠点1から配達車で20分〜40分で移動できる販売店3…3を10分刻みで距離条件を変更し(すなわち20分以内、30分以内、40分内)、各距離条件についてのコース数を算出することを指定した場合を示す。時間から距離を算出する方法は、拠点1の直配距離を求める場合と同様の方法を用いる。
【0190】
ピストン物量条件52は、ピストン輸送対象となる販売店3…3を、配達物の物量を条件として指定するパラメータであり、ピストン輸送の対象となる販売店3…3の物量条件の範囲55aと刻み55bを指定する。物量条件は販売店情報の1回当たり物量338の値を指定する。図5は、販売店3…3の1回当たり物量338が10千本〜50千本の間で10千本刻みで物量条件を変更し(すなわち10千本以上、20千本以上、30千本以上、40千本以上、50千本以上)、各物量条件についてのコース数を算出することを指定した場合を示す。
【0191】
以上のピストン時間条件51及びピストン物量条件52の設定後、作成53を選択すると本システムによるコース数の算出処理が開始される。図5の場合においては、まず初めに、拠点1からの距離が20分以内のエリアに存在する販売店3…3であって、かつ1回当たり物量338が10千本以上となるような販売店3…3を選択してピストン輸送の対象店とし、他の販売店3…3をシングル輸送の対象店として、ピストン輸送コース数Cnp及びシングル輸送コース数Cnsの算出を行い、それらを加算することによってコース数Cnを求める。その後、指定した刻みに従って各条件を変更し、変更されたすべての条件についても同様にコース数Cnを求め、求められたコース数Cn…Cnのうち最小のコース数Cnを当該拠点1のコース数Cnとする。
【0192】
なお、シングル輸送コース数Cnsの算出は、シングル輸送の対象店とされた販売店3…3に対して時間コース数Cnsh及び物量コース数Cnsgをそれぞれ求め、コース数が多い方とする。ピストン輸送コース数Cnpも、ピストン輸送の対象店とされた販売店3…3に対して時間コース数Cnph及び物量コース数Cnpgをそれぞれ求め、コース数が多い方とする。
【0193】
算定処理において中央処理装置4が行なう全体的な処理の流れを図28に示すフローチャートに従って説明する。
【0194】
ステップS1000にて、処理用拠点ファイル16a´にある拠点情報を読む。次にステップS1010にて新規に読める拠点情報の有無が判断され、新規に読める場合はステップS1020へ進む。ここで、新規に読めた拠点情報に対応する拠点1を当該拠点1という。ステップS1020にて時間変数に当該拠点1に対してピストン時間条件51として指定した範囲54aの下限値を設定し、物量変数にピストン物量条件52として指定した範囲55aの下限値を設定する。図5の例では、時間変数に「20分」が設定され、物量変数に「10千本」が設定される。
【0195】
次にステップS1025へ進み、ピストン対象選択手段4kとして、当該拠点1に所属する販売店3…3のうち、設定された時間条件51及び物量条件52を満たす販売店3…3の販売店情報を、処理用販売店ファイル16b´から選択し、当該拠点1に所属する販売店3…3のうち、選択されなかった販売店3…3の販売店情報と識別可能な状態にする。例えば、選択された販売店3…3の販売店情報はピストンファイルとして、選択されなかった販売店3…3の販売店情報はシングルファイルとして、それぞれWORK領域7に記憶する。なお、条件を満たすとは、当該拠点1、2と販売店3…3の直線距離が時間変数から求められる距離以上であり、かつ販売店3…3の1回当たり物量338が物量変数の値以内であることをいう。
【0196】
次にステップS1030にて、ピストンファイルに存在する販売店3…3を対象にして、後述する数式に基づいて、時間コース数Cnph及び物量コース数Cnpgを算出する。算出された時間コース数Cnphと物量コース数Cnpgのうち多い方をピストン輸送におけるコース数Cnpとする。
【0197】
次にステップS1040にて、シングルファイルに存在する販売店3…3を対象にして、後述する数式に従って、時間コース数Cnsh及び物量コース数Cnsgを算出する。算出された時間コース数Cnshと物量コース数Cnsgのうち多い方をシングル輸送におけるコース数Cnsとする。
【0198】
次にステップS1050にて、シングル輸送のコース数Cnsとピストン輸送のコース数Cnpを合計し、当該条件におけるコース数Cnとして、例えばWOR領域7のコース数保存記憶域に一時保存する。
【0199】
次にステップS1060にて、物量変数にピストン物量条件52にて指定した刻み55bを加える。例えば、現在の物量変数が10千本で刻み55bが10千本の場合は10千本+10千本=20千本となる。ステップS1070にて、この刻み分を加えた物量変数がピストン物量条件52にて指定した範囲の上限値を超えているか否かが判断され、超えていない場合は、当該物量変数についてのコース数Cnを算出するため、ステップS1030へ戻る。超えた場合は、ステップS1080へ進む。
【0200】
ステップS1080にて、時間変数にピストン時間条件51にて指定した刻み54bを加える。例えば、現在の時間変数が20分で、刻み54bが10分の場合は20分+10分=30分となる。
【0201】
次にステップS1090にて、時間変数がピストン時間条件51で指定した範囲の上限値を超えているか否かが判断される。超えていない場合は、ステップS1100へ進み、物量変数にピストン物量条件52にて指定した範囲の下限値を設定してコース数Cnを算出するためにステップS1030へ戻る。超えた場合は、ステップS1110へ進み、コース数保存領域から最小のコース数Cnを選択し、そのコース数Cnを当該拠点1、2のコース数Cnとして、そのコース数Cnに対応する時間変数の値及び物量変数の値をピストン条件:時間318及びピストン条件:物量319として当該拠点1の拠点情報に設定する。また、両条件318、319を満たす販売店3…3のピストン区分348にピストンを設定し、当該拠点1にルート配達として所属するその他の販売店3…3のピストン区分348にはシングルを設定する。
【0202】
上述した時間コース数Cnsh、Cnph及び物量コース数Cnsg、Cnpgが中央処理装置4において算出される手順を以下に説明する。
【0203】
まず、シングル輸送の時間コース数Cnshの算出手順について説明する。最初に、次の式によって、配達先数算出手段4eとしての中央処理装置4により時間的な制限に基づいた1コースで配達店可能な配達店数Dnが求められる。
【0204】
【数23】
【0205】
Wsは1日の配達時間、Dtは拠点から時間、Stは平均店間時間、Otは平均店頭時間である。分母部分は1の販売店3につき配達に要する時間であり、分子部分は1日のうち配達車が配達先間の配達に消費できる時間である。以下、各項目について説明する。
【0206】
1日の配達時間Wsは、1日の作業時間45のうち配達に係る作業時間をいい、1日の作業時間45−(積込時間46+休憩時間47+帰所後作業時間48)によって、配達時間算出手段4aとしての中央処理装置4により求められる。作業時間45、積込時間46、休憩時間47及び帰所後作業時間48は、共通パラメータファイル14bから得る。
【0207】
拠点から時間Dtは、拠点1とシングル輸送の対象の販売店3との間の移動時間の平均である。拠点から時間算出手段4bとしての中央処理装置4によって求められる。例えば、図26(b)に示すように、拠点1と販売店3の移動に要する往路A又は復路Bの移動にかかる平均時間である。本実施形態では、拠点1に所属するシングル輸送の対象である販売店3…3のうち、拠点1から直線距離が近い例えば5つの販売店3…3のそれぞれと拠点1との間を配達車によって移動する移動時間の平均によって得る。拠点1と販売店3との間の移動時間は、直配距離の算出の場合と同様の速度式αを使用して算出される。速度式αについては後述する。中央処理装置4における拠点から時間Dtを求めるための処理の流れについても後述する。
【0208】
平均店間時間Stは、拠点1に所属し、シングル輸送の対象である販売店3間の移動にかかる平均時間である。店間時間算出手段4cとしての中央処理装置4により求められる。シングル輸送の対象で拠点1に所属する販売店3…3において、ある販売店3と直線距離が近い例えば5つの販売店3…3との間の平均移動時間を算出し、同様にしてすべての販売店3…3についてこの平均移動時間を算出し、算出された各平均移動時間を更に平均することによって得る。平均店間時間Stの算出においても、販売店3間の移動時間の算出には後述する速度式αを使用する。販売店間の移動時間の算出方法、及び平均店間時間Stを算出するために中央処理装置4にて行われる処理の流れについても後述する。
【0209】
なお、本実施形態において、拠点から時間Dt及び平均店間時間Stの算出にあたり、5つの販売店3…3についての平均を算出するが平均の対象となる販売店3の数はこれに限らない。
【0210】
平均店頭時間Otは、シングル輸送の対象で拠点1に所属する販売店3…3の店頭時間339の平均値である。店頭時間算出手段4dとしての中央処理装置4によって算出される。
【0211】
上記の式によって1コースあたりの配達店数Dnが算出された後、時間コース数算出手段4gとしての中央処理装置4が、次の式から時間コース数Cnshを算出する。
【0212】
【数24】
【0213】
Snは1週間で配達する配達先数延べ数としての加重店数である。延べ数とは、1週間に同じ配達先に2回配達する場合は2店として加算される合計値をいう。拠点1に所属し、シングル輸送の対象とされた販売店3…3の回数加重345の合計値である。配達先延べ数算出手段4fとしての中央処理装置4にて算出される。
【0214】
また、シングル輸送の物量コース数Cnsgは、物量コース数算出手段4iとしての中央処理装置4により、以下の式によって得られる。
【0215】
【数25】
【0216】
分子のVnは期間内配達物量合計であり、拠点1に所属し、シングル輸送の対象である販売店3…3の回数加重配達量346を合計することにより得る。期間内物量算出手段4hとしての中央処理装置4によって算出される。分母のBnは配達車1台の積載量であり、積載量49×物量係数50で求められる。積載量49及び物量係数50は、原則として共通パラメータファイル14bに記憶されている積載量49の値であるが、拠点情報の積載量314が設定されている拠点1については、その積載量314が優先して使用される。
【0217】
以上の手順で、時間コース数Cnsh及び物量コース数Cnsgが算出された後、コース数決定手段4jとしての中央処理装置4は、数が大きい方を、当該条件による拠点1のシングル輸送のコース数Cnsと決定する。なお、本実施形態では、時間コース数Cnsh、物量コース数Cnsg、及びシングル輸送のコース数Cnsは週単位のコース数である。
【0218】
次に、ピストン輸送の時間コース数Cnph及び物量コース数Cnpgの算出手順について説明する。まず、配達先数算出手段4eとしての中央処理装置4は、拠点1に所属し、ピストン輸送の対象である販売店3…3を対象にして1コースあたりの配達店数Dnを以下の式によって算出する。
【0219】
【数26】
【0220】
各パラメータの意味や算出手順はシングル輸送の場合と同様である。但し、ピストン輸送ではコースの途中で拠点1に1回戻るので、図27(a)に示すように積込時間46が1コースに2回必要となる。従って、1日の配達時間Wpは、配達時間算出手段4aとしての中央処理装置4により、1日の作業時間45−(積込時間46×2+休憩時間47+帰所後作業時間48)の式によって求められる。また、分子部分は、1日の配達時間Wpから拠点から時間Dtを2往復分、すなわち拠点から時間Dtを4倍した値を除き、調整のため平均店間時間Stを2倍した値を加えた値になる。
【0221】
1コースあたりの配達店数Dnから時間コース数Cnphを求める方法はシングル輸送の場合と同様に、時間コース数算出手段4gとしての中央処理装置4によって以下の式によって算出される。
【0222】
【数27】
【0223】
なお、拠点から時間Dt、平均店間時間St及び平均店頭時間Otは、拠点1に所属するピストン輸送の対象である販売店3…3を対象にシングル輸送の対象である販売店3…3を対象にして算出した場合と同様に中央処理装置4の各算出手段によって算出される。
【0224】
ピストン輸送の物量コース数Cnpgは、物量コース数算出手段4iとしての中央処理装置4により、以下の式によって求められる。
【0225】
【数28】
【0226】
分子部分の期間内配達物量Vnは、期間内物量算出手段4hとしての中央処理装置4によって、拠点1に所属しピストン輸送の対象である販売店3…3の回数加重配達量346を合計することにより求める。分母部分は、1コース中に積み込み作業が2回あるので、1コースにおける積載量は積載量Bnの2倍である。
【0227】
ピストン輸送によるコース数Cnpについても、コース数決定手段4jとしての中央処理装置4によって、時間コース数Cnphと物量コース数Cnpgのうちコース数が多い方が選択してコース数Cnpとされる。なお、シングル輸送の場合と同様に、時間コース数Cnph、物量コース数Cnpg、及びシングル輸送のコース数Cnpは週単位のコース数である。
【0228】
以上が本実施形態における算定処理である。最小のコース数Cnを選択する方法として、最初の時間変数及び物量変数に対応するコース数Cnをその時間変数及び物量変数と共にコース数保存記憶域に記憶させ、次に算出されたコース数Cnと比べて次に算出されたコース数Cnの方が小さい場合にのみ、その小さい方のコース数Cnとそのコース数Cnに対応する時間変数及び物量変数を記憶させていく方法でもよい。当該コース数Cn、時間変数の値及び物量変数の値は、コース数Cnを算出するために使用したパラメータと共に、処理用統計情報ファイル16cに記録してもよい。
【0229】
また、コース数Cnの算出を店属性341別に行ってもよい。例えば一般店3…3ついてのコース数Cnやコンビニエンスストア3…3ついてのコース数Cnを上記の要領で別々に算出し、これらを加えることによって、当該拠点1のコース数Cnとしてもよい。かかる場合は、コンビニエンスストア3…3についてのコース数Cnを求めるときは、店属性341がコンビニエンスストアである販売店3…3のみを対象に上記のコース数Cnの算出を行い、一般店3…3についてのコース数Cnを求めるときは、店属性341が一般店である販売店3…3のみを対象に上記のコース数Cnの算出を行なう。
【0230】
また、算出されたコース数Cnが当該拠点1の台数閾値313に達しなかった場合は上述したように輸送効率が悪いことを示すためのマークを画面8に表示してもよい。ここで、コース数Cnは週単位の値であるため、コース数Cnと台数閾値313の比較時に、コース数Cnを日単位に換算する必要がある。そこで、1週のうち配達が行われる日数でコース数Cnを割ることによって、その値と台数閾値313とを比較する。すなわち、週に5日配達が行われれる拠点1の場合は、コース数Cnを5で割った値と台数閾値313とを比較する。上記のように店属性341がコンビニエンスストアの場合と一般店の場合とで別々にコース数Cnを求める場合は、コンビニエンスストアについてのコース数Cnは6で割り、一般店についてのコース数Cnは5で割り、各値を加算した値と台数閾値313とを比較する。
【0231】
次に、本システムにおいて、移動距離及び移動する場所の環境に応じた配達車の速度をシミュレートする方法について説明する。以下の説明においても、拠点1、2を拠点1と簡略して説明する。距離は一般的に速度×時間によって算出される。例えば時間が1.5時間の場合の距離は、時速×1.5である。時速の値として、例えば行政区テーブル10aの行政区速度401を適用することも可能である。しかし、移動する2点間距離によって、移動速度は変化する。例えば、2点間が近い場合は速度が行政区速度401まで伸びない。よって、本システムにおける移動速度は、より実情に近い条件によるシミュレートを実現するため、行政区速度401を均一的に使用するのではなく、移動する距離に応じて変化させることとした。また、都会と田舎とでの著しい交通事情の差を考慮し、移動する場所を田舎型と都会型に区別して取り扱う。図32(a)及び(b)は、2点間の移動距離に応じて移動速度の変化を示すグラフである。図32(a)は都会型のグラフであり、図32(b)は田舎型のグラフである。これらのグラフは以下の速度式αにて表現することができ、中央処理装置4において以下に述べる各パラメータが設定され計算されることにより、移動する環境及び移動距離に応じた速度Vが得られる。
【0232】
【数29】
【0233】
Smは行政区速度317、344、Riは初速係数、Tは立ち上がり係数である。本実施形態では、初速係数Riを0.37、立ち上がり係数Tは都会型の場合は1とし、田舎型の場合は0.3とする。立ち上がり係数Tを都会型と田舎型のどちらに設定するかは、拠点情報の都会フラグ320または販売店情報の都会フラグ331に設定されている値によって適宜判断されて設定される。Iは暫定距離である。以下に上述した各距離の具体的な算出方法について説明する。
【0234】
直配距離を求める場合は、暫定距離Iを行政区速度317×拠点直配パラメータ312とし、その拠点直配パラメータ312に対応する拠点1の行政区速度317を行政区速度Smに設定し、都会フラグ320に応じた立ち上がり係数Tを設定することにより、速度式αに基づいて速度Vが求められる。当該拠点1の直配距離は、求められた速度V×拠点直配パラメータ312によって得られる。
【0235】
拠点取得範囲102、700を求める場合は、暫定距離Iを行政区速度317×拠点取得上限315とし、拠点取得範囲102、700に対応する拠点1の行政区速度317を行政区速度Smに設定し、都会フラグ320に応じた立ち上がり係数Tを設定することにより、速度式αに基づいて速度Vが求められる。算出された速度V×拠点取得上限315によって取得可能なデポ2が存在する範囲の最大範囲を示す円315の半径が求められる。暫定距離Iを行政区速度317×拠点取得下限316として同様に速度式αに基づいて速度Vが算出され、算出された速度V×拠点取得下限316によって取得可能なデポ2が存在する範囲の最小範囲を示す円316の半径が求められる。
【0236】
上記の速度式αを用いて、拠点1についての拠点から時間Dtを求める処理の手順については、図33のフローチャートに従って説明する。この処理は拠点から時間算出手段4bとしての中央処理装置4にて行われる。まず、拠点1にルート配達として所属する販売店3…3のうち、拠点1から直線距離が近い5店を選び、この5店3…3について、速度式αの各パラメータT、Sm、Iを設定する。
【0237】
暫定距離Iには拠点1と各販売店3の各直線距離を設定、行政区速度Smには、当該拠点1の行政区速度317を設定し、立ち上がり係数Tには、当該拠点1の都会フラグ320に応じた値を設定し(ステップS1200)、各販売店3についての各速度Vを求める(ステップS1210)。各販売店3に対応する拠点1からの移動時間を、各販売店3に対応する暫定距離I÷各販売店3に対応する速度Vによって算出する(ステップS1220)。この各販売店3における移動時間を平均し、その平均値を拠点1についての拠点から時間Dtとする(ステップS1230)。
【0238】
なお、シングル輸送のコース数Cnsを求める場合は、シングル輸送の販売店3…3のみを対象にし、ピストン輸送のコース数Cnpを求める場合は、ピストン輸送の販売店3…3のみを対象にして拠点から時間Dtを求める。
【0239】
次に、平均店間時間Stを求めるための処理の手順について図34のフローチャートに従って説明する。この処理は店間時間算出手段4cとしての中央処理装置4によって行われる。まず、算定を行なう拠点1に所属する販売店3…3のうち、1の販売店3を特定の販売店3とし、この特定の販売店3から直線距離が近い販売店3…3を選択する(ステップS1240)。速度式αに各パラメータT、Sm、Iを設定する(ステップS1250)。暫定距離Iには特定された販売店3と選択された販売店3…3との各直線距離、立ち上がり係数Tには特定された販売店3の都会フラグ337に基づいた値、行政区速度Smには特定された販売店3の行政区速度344がそれぞれ設定される。次に、値が設定されたパラメータに基づいて速度式αから速度Vを算出する(ステップS1260)。選択された販売店3…3のそれぞれについて、各暫定距離Iを対応する速度Vで割ることによって各移動時間を算出する(ステップS1270)。これら各移動時間に基づいて特定の販売店3についての移動時間の平均値を算出し、この特定の販売店3の平均移動時間とする(ステップS1280)。この拠点1にルート配達として所属する他の販売店3…3すべてについても同様にして平均移動時間を算出する(ステップS1290)。最後に、各販売店3…3について算出された平均移動時間の平均値を算出し、平均店間時間Stとする(ステップS1300)。
【0240】
なお、シングル輸送のコース数Cnsを求める場合は、シングル輸送の販売店3…3のみを対象にし、ピストン輸送のコース数Cnpを求める場合は、ピストン輸送の販売店3…3のみを対象にして平均店間時間Stを求める。
【0241】
本発明は上述した実施形態に限定されず、種々の形態にて実施してよい。例えば、地域の単位や数はユーザの必要に応じて設定可能である。また、販売店3…3についての追加、削除、変更の処理を加えてもよい。
【0242】
また、本実施形態は、本システムがスタンドアロンのコンピュータ上で稼動するが、各装置4、5、6、7、8はネットワーク上にノードとして存在させ、ネットワーク上のシステムとして実現してもよい。
【0243】
本実施形態では、条件に該当する販売店情報や拠点情報を他の販売店情報や拠点情報と識別するために中間ファイルや記憶域を使用したが、各条件を満たすことを示すフラグを用意し、条件を満たしている販売店情報や拠点情報のデータ項目として加え、条件を満たしたフラグを立てる方法にて実施してもよい。また、中央処理装置4によってファイルから処理順にデータが読まれるときは、予め、ファイルを処理順にソートしておいて順に読んでいってもよい。
【0244】
本実施形態では、拠点1、2に関する情報及び販売店3に関する情報についてマスタファイル11a、11bがそれぞれ用意され、行政区テーブル14a及び共通パラメータファイル14bも予め用意されている構成にて説明したが、各項目を入力装置6から適宜入力する構成でもよい。この場合は、配達拠点情報記憶手段、配達先情報記憶手段及び共通情報記憶手段はWORK領域7に設けられてもよい。また、初期立ち上げ時に、拠点情報ファイル11aにおける拠点直配パラメータ312〜都会フラグ320は設定されている必要はなく、本システムによる処理の実行中に設定されてもよい。各デフォルト値も変更可能である。
【0245】
コンピュータによる分割処理結果の後、ユーザが自由に特定の販売店3を特定の配達拠点1に所属させる機能を付加してもよい。特定の拠点1、2や販売店3を画面8への表示させるか否かを、ユーザによる選択を可能にしてもよい。
【0246】
更に、本実施形態においては、配達物としてタバコを用いたが、配達物はこれに限らず、また、複数の種類の配達物を配達する場合であっても、拠点情報ファイル11a及び販売店情報ファイル11bそれぞれに、各配達物の種類を識別できる識別子と、各配達物に対応するデータを加えることによって本システムによる配達エリアの作成が可能である。
【0247】
本実施形態において、デポ2がどの基地1にも所属しない場合はそのデポ2の拠点情報の基地コード303をNULLとし、販売店3がどのデポ2は基地1に所属しない場合はその販売店3の販売店情報のデポコード300bや基地コード300aをNULLとすることによって判断するが、「所属しない」判断は、特定のコードによって判断するなど、他の方法によってもよい。
【0248】
また、本実施形態における計算の算出結果は、適当な位で四捨五入することによって整数でもよいし、小数点以下まで算出されてもよい。
【0249】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、配達車の台数に基づいた配達エリアの最適化を図るべく、配達エリアにおける配達車のコース数をシミュレートする配達エリアシミュレーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の基地、複数のデポ及び複数の配達先を示す図。
【図2】本発明におけるシステム構成の一例を示す図。
【図3】本実施形態におけるファイル構成を示す図。
【図4】本実施形態における新規ケース作成画面を示す図。
【図5】本実施形態におけるケース内共通パラメータを設定するための新規ケース作成画面を示す図。
【図6】本実施形態における分割ロジックの選択画面を示す図。
【図7】本実施形態における分割条件設定画面を示す図。
【図8】本実施形態における分割処理の結果表示画面を示す図。
【図9】地図ウィンドウの拡大図。
【図10】シナリオ保存画面を示す図。
【図11】(a)は基地圏検討型ロジックにおいて基地直配エリアが作成されたようすを示す図であり、(b)は基地に所属可能なデポを選択するようすを示す図。
【図12】(a)及び(b)は基地圏検討型ロジックにおいて基地に所属する各デポの配達エリアが作成されたようすを示す図。
【図13】(a)は2以上のデポに重複して所属する販売店が有る場合の調整処理のようすを示す図であり、(b)は2以上のデポに重複して所属する販売店がある場合の調整処理が終了し、配達エリアが作成されたようすを示す図。
【図14】基地圏検討型ロジックにおいて中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図15】基地圏検討型ロジックによる処理のサブルーチンである基地直配エリア作成処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図16】基地圏検討型ロジックによる処理のサブルーチンであるデポ配達エリア作成処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図17】図16に示すフローチャートの続きを示す図。
【図18】デポ配達エリア作成処理のサブルーチンである重複確認処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図19】デポ配達エリア作成処理のサブルーチンである重複所属調整処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図20】(a)は拠点積み上げ型ロジックを説明するための基地、デポ、販売店が点在するようすを示す概念図であり、(b)は拠点積み上げ型ロジックにおいて各拠点の直配エリアが作成されたようすを示す概念図。
【図21】拠点積み上げ型ロジックにおいて基地が拠点所得範囲のデポを選択し、配達エリアが作成されるようすを示す概念図。
【図22】拠点積み上げ型ロジックにおいて中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図23】拠点積み上げ型ロジックによる処理のサブルーチンである拠点直配エリア作成処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図24】拠点直配エリア作成処理のサブルーチンである重複確認処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図25】拠点積み上げ型ロジックによる処理のサブルーチンであるデポ取り込み処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図26】(a)はシングル輸送における作業時間の内訳を示す図であり、(b)はシングル輸送におけるルート配送のようすを示す図。
【図27】(a)はピストン輸送における作業時間の内訳を示す図であり、(b)はピストン輸送におけるルート配送のようすを示す図。
【図28】算定処理において中央処理装置が行なう処理の流れを示すフローチャート。
【図29】拠点情報のデータ項目を示す図。
【図30】販売店情報のデータ項目を示す図。
【図31】行政区テーブルが有するデータ項目を示す図。
【図32】(a)は都会における距離に対応した速度グラフを示す図であり、(b)は田舎における距離に対応した速度グラフを示す図。
【図33】拠点から時間を算出する処理の流れを示すフローチャート。
【図34】店間時間を算出する処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 基地
1、2 拠点
2 デポ
3 販売店
4 中央処理装置
5 記憶装置
6 入力装置
7 WORK領域
8 出力装置
11a 拠点情報ファイル
11b 販売店情報ファイル
14 ケースフォルダ
16a 処理用拠点ファイル
16b 処理用販売店ファイル
17 シナリオ
201a…201f 配達エリア
Claims (8)
- 1の配達拠点から複数の配達先へ、配達車によって配達物を配達する配達エリアにおいて、前記配達車の配達コースのコース数に関するシミュレーションを行なう配達エリアシミュレーションシステムであって、
前記複数の配達先を相互に識別可能な配達先識別情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達物量に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達回数に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける配達にかかる店頭時間に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける行政区速度に関する情報と、を相互に関連付けて記憶する配達先情報記憶手段と、
前記配達拠点の場所に関する情報と、前記配達拠点における行政区速度に関する情報と、を記憶する配達拠点情報記憶手段と、
前記配達物の配達に係る作業時間に関する情報と、前記配達車の前記配達物についての積載量に関する情報と、を記憶する共通情報記憶手段と、
前記作業時間に関する情報に基づいて1日の配達時間Wsを算出する配達時間算出手段と、
前記配達拠点の場所に関する情報と前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報から、前記配達拠点と前記複数の配達先との間の距離を求め、その距離と前記配達拠点の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が前記配達拠点と前記複数の配達先それぞれとの移動に要する時間の平均である拠点から時間Dtを算出する拠点から時間算出手段と、
前記複数の配達先のそれぞれの前記場所に関する情報に基づいて、前記複数の配達先のそれぞれ相互間の距離を求め、その距離とその距離に対応する配達先の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が一の配達先から他の配達先への移動に要する時間の平均である平均店間時間Stを算出する店間時間算出手段と、
前記複数の配達先のそれぞれの前記店頭時間に関する情報に基づいて、平均店頭時間Otを算出する店頭時間算出手段と、
前記配達車が1コースで配達可能な配達先数Dnを、下記の式に基づいて求める配達先数算出手段と、
下記の式に基づいて前記所定期間における時間コース数Cnshを算出する時間コース数算出手段と、
- 前記コース数決定手段は、前記時間コース数Cnshと前記物量コース数Cnsgのうち、大きい数の方を選択すること、を特徴とする請求項1に記載の配達エリアシミュレーションシステム。
- 前記配達時間算出手段は、前記作業時間に関する情報に基づく作業時間から、前記配達拠点での作業及び休憩時間を除いた時間とすることを特徴とする請求項1または2に記載の配達エリアシミュレーションシステム。
- 前記複数の配達先のうち、前記配達拠点にて前記配達物の積込み作業を1コース中に複数回行なうピストン輸送の対象であるための条件を満たす前記複数の配達先を選択し、その選択された前記複数の配達先を前記ピストン輸送の対象として、選択されなかった通常輸送の前記複数の配達先と識別可能にするピストン対象選択手段を有し、
前記配達時間算出手段においては、前記配達拠点における前記積込み作業の回数に応じた時間を考慮して前記ピストン輸送に対応する1日の配達時間Wpを算出し、
前記拠点から時間算出手段、前記店間時間算出手段、前記店頭時間算出手段、前記配達先延べ数算出手段、及び前記期間内物量算出手段それぞれにおいて、前記ピストン輸送の対象とされる前記複数の配達先と前記通常輸送の対象とされる前記複数の配達先とはそれぞれ別個に処理され、
前記配達先数算出手段は、前記通常輸送に対応する前記配達先数Dnの他に、前記ピストン輸送に対応する前記配達先数Dnを、前記ピストン輸送に対応する前記拠点から時間Dt、前記平均店間時間St、前記平均店頭時間Otに基づいて、下記の式により求め、
前記物量コース数算出手段は、前記通常輸送に対応する前記物量コース数Cnsgの他に、前記ピストン輸送に対応する物量コース数Cnpgを、前記ピストン輸送に対応する前記期間内配達物量合計Vnに基づいて、下記の式により算出し、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配達エリアシミュレーションシステム。 - 前記条件の下で、前記ピストン輸送の対象となる前記複数の配達先と前記通常輸送の対象となる前記複数の配達先との組み合わせが複数成立する場合に、前記コース数決定手段は、前記複数の組み合わせのそれぞれについて、前記合計コース数をそれぞれ算出し、その算出された前記合計コース数のうち、1の前記合計コース数を前記配達エリアにおける前記コース数Cnとして決定することを特徴とする請求項4に記載の配達エリアシミュレーションシステム。
- 前記移動に要する時間は、前記配達車が配達する場所の環境及び移動する距離を考慮した速度に基づいて求められることを、特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の配達エリアシミュレーションシステム。
- 1の配達拠点から複数の配達先へ配達車によって配達物を配達する配達エリアにおいて、前記配達車の配達コースのコース数に関してシミュレーションを行なう手段として、コンピュータを機能させる配達エリアシミュレーションプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の配達先を相互に識別可能な配達先識別情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達物量に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達回数に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける配達にかかる店頭時間に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける行政区速度に関する情報と、を相互に関連付けて記憶する配達先情報記憶手段と、
前記配達拠点の場所に関する情報と、前記配達拠点における行政区速度に関する情報と、を記憶する配達拠点情報記憶手段と、
前記配達物の配達に係る作業時間に関する情報と、前記配達車の前記配達物についての積載量に関する情報と、を記憶する共通情報記憶手段と、
前記作業時間に関する情報に基づいて1日の配達時間Wsを算出する配達時間算出手段と、
前記配達拠点の場所に関する情報と前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報から、前記配達拠点と前記複数の配達先との間の距離を求め、その距離と前記配達拠点の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が前記配達拠点と前記複数の配達先それぞれとの移動に要する時間の平均である拠点から時間Dtを算出する拠点から時間算出手段と、
前記複数の配達先のそれぞれの前記場所に関する情報に基づいて、前記複数の配達先のそれぞれ相互間の距離を求め、その距離とその距離に対応する配達先の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が一の配達先から他の配達先への移動に要する時間の平均である平均店間時間Stを算出する店間時間算出手段と、
前記複数の配達先のそれぞれの前記店頭時間に関する情報に基づいて、平均店頭時間Otを算出する店頭時間算出手段と、
前記配達車が1コースで配達可能な配達先数Dnを、下記の式に基づいて求める配達先数算出手段と、
下記の式に基づいて前記所定期間における時間コース数Cnshを算出する時間コース数算出手段と、
として機能させることを特徴とする配達エリアシミュレーションプログラム。 - 1の配達拠点から複数の配達先へ、配達車によって配達物を配達する配達エリアにおいて、前記配達車の配達コースのコース数に関してシミュレーションを行なう配達エリアシミュレーション方法であって、
前記複数の配達先を相互に識別可能な配達先識別情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達物量に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける前記配達物についての配達回数に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける配達にかかる店頭時間に関する情報と、前記複数の配達先のそれぞれにおける行政区速度に関する情報と、を相互に関連付けて記憶する手順と、
前記配達拠点の場所に関する情報と、前記配達拠点の行政区速度に関する情報と、を記憶する手順と、
前記配達物の配達に係る作業時間に関する情報と、前記配達車の前記配達物についての積載量に関する情報と、を記憶する手順と、
前記作業時間に関する情報に基づいて1日の配達時間Wsを算出する手順と、
前記配達拠点の場所に関する情報と前記複数の配達先のそれぞれの場所に関する情報から、前記配達拠点と前記複数の配達先との間の距離を求め、その距離と前記配達拠点の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が前記配達拠点と前記複数の配達先それぞれとの移動に要する時間の平均である拠点から時間Dtを算出する手順と、
前記複数の配達先のそれぞれの前記場所に関する情報に基づいて、前記複数の配達先のそれぞれ相互間の距離を求め、その距離とその距離に対応する配達先の前記行政区速度に関する情報とに基づいて、前記配達車が一の配達先から他の配達先への移動に要する時間の平均である平均店間時間Stを算出する手順と、
前記複数の配達先のそれぞれの前記店頭時間に基づいて平均店頭時間Otを算出する手順と、
前記配達車が1コースで配達可能な配達先数Dnを、下記の式に基づいて求める手順と、
下記の式に基づいて前記所定期間における時間コース数Cnshを算出する手順と、
前記積載量をBnとし、下記の式に基づいて前記所定期間における物量コース数Cnsgを算出する手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする配達エリアシミュレーション方法。
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