JP2004306440A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットヘッドにおけるインク供給口を、高精度に、かつ短時間で加工すること。
【解決手段】ガラス基板4の一方の面から切削加工により、インク供給溝43aを形成した後、ドライフィルムを被着することなく、ガラス基板4全面にサンドブラスト加工を施すことによって、高精度に、かつ短時間でインク供給口43を形成することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】ガラス基板4の一方の面から切削加工により、インク供給溝43aを形成した後、ドライフィルムを被着することなく、ガラス基板4全面にサンドブラスト加工を施すことによって、高精度に、かつ短時間でインク供給口43を形成することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ガラス基板の一方の面から切削加工及びサンドブラスト加工を施して、インク供給口を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドには、インク滴を外部に吐出する複数のインクノズルと、これらのインクノズルに連通したインク供給路とが半導体基板上に作り込まれたものが提案されている。近年、インクジェットヘッドに対しては、高精細文字を印字可能にするために、より精密でより微細な加工が要求されている。このために、様々なインクジェットヘッドの製造方法が開発されている。
【0003】
例えば、本願人による特許文献1には、静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいて、シリコン単結晶基板にフォトリソグラフィー技術及び湿式結晶異方性エッチングを適用することによって、インクノズル及びインク供給路を高精度に形成するためのインクジェットヘッドの製造方法が開示されている。
【0004】
同号公報に開示されているインクジェットヘッドは、複数個のインクノズルと、各インクノズルに連通したインクキャビティと、インクキャビティにインクを供給する共通のインクリザーバとを備えた構成となっている。外部のインク供給源からインクジェットヘッドのインクリザーバに供給されたインクは、インクリザーバからオリフィスを経由して対応するインクキャビティに供給される。各インクキャビティの底面は、振動板として機能し、当該振動板を静電気力によって振動させることにより変動するインクキャビティの容積変動を利用して、インクキャビティに連通したインクノズルからインク滴を外部に向けて吐出することが可能となっている。
【0005】
そして、このインクジェットヘッドは、インクノズルが形成されたノズルプレートと、リザーバ、キャビティ等のインク供給路、振動板が形成されたシリコン単結晶基板と、振動板を静電気力によって撓めるための電極が形成されたガラス基板をはりあわせた構造を採用している。このような構造を採用することにより、個々のインクジェットヘッドのパターン(ノズル、インク供給路、電極)をそれぞれ基板に形成した後、基板を接合し個々のインクジェットヘッドに分離するという製造方法(いわゆる多数個取り)が採用でき、インクジェットヘッドを安価に製造できる。
【0006】
これら3枚の基板のうち一番下の基板であるガラス基板には、電極の他に、外部のインク供給源からインクジェットヘッドのインクリザーバにインクを供給するためのインク供給口を形成する必要がある。インク供給口の加工方法は、製造の簡便さから、一般的に、ボール盤を用いて機械的に切削加工されたり、レーザー加工が行われたり、超音波ホーニング加工が行われている。また、感光性ドライフィルムをガラス基板に被着し、フォトリソグラフ工程により、パターン開口した後、サンドブラストにてインク供給口を形成する方法も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法で得られたインクジェットヘッドの製造方法は、インク供給口加工に際して、ボール盤による切削加工の場合は、貫通時、加工部のチッピングが大きく、また加工時の振動によりクラックが生じるという問題点を有していた。更に、チッピングを防止するためには、切削加工における送り速度を遅くする必要があるため、加工能力が低下するという問題点を有していた。また、サンドブラストによる加工の場合は、一般的に、感光性ドライフィルムの被着工程、フォトリソグラフ工程、サンドブラスト加工工程、感光性ドライフィルム剥離工程といった多数の工程が必要で、製造リードタイムが長いという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、インク供給口の加工において、チッピングの小さな、製造リードタイムの短い、生産コストの安いインクジェットヘッドの製造方法を提案することにある。
【0009】
【特許文献1】
特開平5―50601号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法は、インクジェットヘッドのガラス基板に設けたインク供給口を一方の面から切削若しくは研磨によって底部のある穴を形成する穴加工工程と、前記ガラス基板の他方の面からサンドブラストにより前記底部を削って前記穴を貫通させる貫通工程とを有することを特徴とする。
【0011】
このように、ガラス基板に、予めインク供給口となる穴を加工した後、サンドブラストにより、ガラス基板全面を直接加工するため、感光性ドライフィルムの被着工程、フォトリソ工程を廃止することができ、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮、生産コストの削減が可能となる。また、サンドブラストにより、インク供給口を形成するため、チッピングの少ない高精度なインク供給口を形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の製造方法により形成されたインクジェットヘッドの一例を示した図である。
図1を参照して説明すると、本例のインクジェットヘッド1は、本願人による特開平5−50601号公報に開示されているインクジェットヘッドと同様の静電駆動方式のインクジェットヘッドであり、シリコン単結晶基板からなるノズルプレート2と、同じくシリコン単結晶基板からなるキャビティプレート3とガラス基板4とを貼り合わせることにより構成されている。
【0013】
キャビティプレート3には、複数のインクキャビティ31と、各インクキャビティ31にインクを供給する共通のインクリザーバ32が形成されている。ノズルプレート2の側には、各インクキャビティ31に連通した複数のインクノズル21と、各インクキャビティ31を共通のインクリザーバ32に連通しているインク供給路22が形成されている。インク供給路22は、一方の側に深溝部分22aが形成され、他方の側には、浅溝部分22bが形成された断面形状となっている。
【0014】
また、ノズルプレート2には、電極配線用の貫通孔23も形成されている。キャビティプレート3の裏面に貼り付けたガラス基板4において、キャビティ31の底面を規定している振動板33に対向する部分には、凹部41が形成され、当該凹部の底面には、振動板33に対向した個別電極42が形成されている。また、インクリザーバ32の底面にはリザーバ貫通孔34が形成され、このリザーバ貫通孔34は、ガラス基板4に形成したインク供給口43に連通している。このインク供給口43及びリザーバ貫通孔34を介して、外部のインク供給源からインクがインクリザーバ32に供給可能となっている。
【0015】
キャビティプレート3に形成した各キャビティ31の底面を規定している振動板33は、共通電極として機能し、このキャビティプレート3と、各振動板33に対向している個別電極42との間に電圧を印加すると、電圧が印加された個別電極42に対向している振動板33が静電気力により振動し、これに伴ってキャビティ31の容積変化が起こり、インクノズル21からインク滴の吐出が行われる。
ここで、インクノズル21は、段状断面をしたインクノズルである。すなわち、インク滴吐出方向の前側には円形の小断面ノズル部分21a(小断面側の部分)が形成され、後側には円形の大断面ノズル部分21b(大断面側の部分)が形成されており、これらの境界部分は環状の断面21cとなっている。従って、インクノズル21の軸線方向に沿って切断した断面形状は先端側に向けて断面が階段状に小さくなっている。また、インクノズル21の先端開口21dは、ノズルプレート2の反対側の面に形成した凹部24の底面に開口している。
【0016】
図2は、本発明のインクジェットヘッドのガラス基板の製造方法を示す工程図である。
まず、図2の(1)に示すように、個別電極42が形成されたガラス基板4を用意する。次に図2(2)に示すように、個別電極42が形成されていない面に、砥石46を用いて切削加工によりインク供給溝43aを加工する。ここで、インク供給溝43aの加工深さは、貫通加工を施した場合、貫通時にチッピングが発生するため、貫通しない深さまで切削加工を行う、いわゆる溝加工を行うようにする必要がある。例えば、厚さが1.3mmのガラス基板4を用いた場合、1.3mm未満のインク供給溝43aとすればよい。また、切削加工における加工条件は、貫通に至らない溝加工であることから、比較的高速な加工条件でもチッピングは発生せず、回転数が、5000〜10000rpm、送り速度(切削方向への加工速度)が5〜20mm/min程度といった比較的高速な加工条件であっても、チッピングのない、更には、穴径精度も±60μm以下といった非常に良好なインク供給溝43aを加工することができる。
また、切削加工を施すインク供給溝43aの位置は、個別電極42が形成されている面に形成されているアライメントマーク44を光学的に認識し、アライメントマーク44から成る座標系を元に切削加工の位置を決めているため、インク供給溝43aの穴位置精度は、±60μm以下の非常に高い位置精度で切削加工することができる。また、切削加工の場合、ドライフィルムの被着工程及びフォトリソ工程を必要としないため、工程数の削減、製造リードタイムの短縮、ひいてはコスト削減が可能となる。
次に、図2(3)に示すように、ガラス基板4の個別電極42が形成されていない面全面を、インク供給溝43aが貫通するまでサンドブラストにより加工を行う。
例えば、厚さが1.3mmのガラス基板4に、深さ1.0mmのインク供給溝43aを切削加工した場合、サンドブラストで、ガラス基板4の個別電極42が形成されていない面全面を0.3mm以上削ることによって、インク供給溝43aは貫通に至る。この際、感光性ドライフィルムを被着せずに、ガラス基板4の全面を削るため、図2(4)に示すように、インク供給溝43aの肩の部分及びチッピング部分がサンドブラストにより滑らかなテーパー形状となる。尚、サンドブラストにおける加工条件は、#400〜#600のSiCの乾式砥粒を圧力0.2〜0.5MPaで噴射させた。また、この条件でサンドブラスト加工を行った結果、インク供給口43のテーパー角47は、概ね60〜80度となった。
【0017】
更に、図2(3)に示すように、サンドブラストにより、貫通穴加工を行う場合、個別電極42が形成されている面を保護するために、個別電極42が形成されている面に保護フィルム45を被着しておけばよい。例えば、本実施例においては、個別電極42が形成されている面に、厚さが20μmから100μm程度の感光性ドライフィルムを被着してサンドブラスト加工を行う。この場合、インク供給口43が貫通した際に、ガラス基板4の個別電極42が形成されている面にSiCの砥粒が回りこまないため、個別電極42などのパターン上の傷の発生を抑えることができる。
【0018】
以上のように、本実施例によれば、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程の代わりに、インク供給口43を形成させたい部分のみ切削加工を行うことで、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程といったクリーン環境での多数の工程を廃止できるため、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮、生産コストの削減が可能となる。また、サンドブラストにより、インク供給口43を加工するため、チッピングの少ない高精度なインク供給口43を形成することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、インク供給口の形成に際して、インク供給口の溝加工を行った後、感光性ドライフィルムを被着することなくサンドブラストによりインク供給口となる貫通口を形成するので、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程を廃止することができ、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮、生産コストの削減が可能となる。また、サンドブラストにより、インク供給口を形成するため、チッピングの少ない高精度なインク供給口を形成することができる。
【0020】
また、本発明では、上記インク供給口を切削加工により溝加工を行うため、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程を経ることなく単一の工程での加工が可能となるため、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるインクジェットヘッドの断面説明図である。
【図2】本発明におけるインクジェットヘッドのガラス基板の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 ノズルプレート
3 キャビティプレート
4 ガラス基板
21 インクノズル
21a 前側ノズル部分
21b 後側ノズル部分
21c 環状の断面
22 インク供給路
22a 深溝部分
22b 浅溝部分
23 貫通口
24 ノズル面溝
31 キャビティ
32 インクリザーバ
33 振動板
34 リザーバー貫通口
41 ガラス溝
42 個別電極
43 インク供給口
43a インク供給溝
44 アライメントマーク
45 保護フィルム
46 砥石
47 テーパー角
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ガラス基板の一方の面から切削加工及びサンドブラスト加工を施して、インク供給口を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドには、インク滴を外部に吐出する複数のインクノズルと、これらのインクノズルに連通したインク供給路とが半導体基板上に作り込まれたものが提案されている。近年、インクジェットヘッドに対しては、高精細文字を印字可能にするために、より精密でより微細な加工が要求されている。このために、様々なインクジェットヘッドの製造方法が開発されている。
【0003】
例えば、本願人による特許文献1には、静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいて、シリコン単結晶基板にフォトリソグラフィー技術及び湿式結晶異方性エッチングを適用することによって、インクノズル及びインク供給路を高精度に形成するためのインクジェットヘッドの製造方法が開示されている。
【0004】
同号公報に開示されているインクジェットヘッドは、複数個のインクノズルと、各インクノズルに連通したインクキャビティと、インクキャビティにインクを供給する共通のインクリザーバとを備えた構成となっている。外部のインク供給源からインクジェットヘッドのインクリザーバに供給されたインクは、インクリザーバからオリフィスを経由して対応するインクキャビティに供給される。各インクキャビティの底面は、振動板として機能し、当該振動板を静電気力によって振動させることにより変動するインクキャビティの容積変動を利用して、インクキャビティに連通したインクノズルからインク滴を外部に向けて吐出することが可能となっている。
【0005】
そして、このインクジェットヘッドは、インクノズルが形成されたノズルプレートと、リザーバ、キャビティ等のインク供給路、振動板が形成されたシリコン単結晶基板と、振動板を静電気力によって撓めるための電極が形成されたガラス基板をはりあわせた構造を採用している。このような構造を採用することにより、個々のインクジェットヘッドのパターン(ノズル、インク供給路、電極)をそれぞれ基板に形成した後、基板を接合し個々のインクジェットヘッドに分離するという製造方法(いわゆる多数個取り)が採用でき、インクジェットヘッドを安価に製造できる。
【0006】
これら3枚の基板のうち一番下の基板であるガラス基板には、電極の他に、外部のインク供給源からインクジェットヘッドのインクリザーバにインクを供給するためのインク供給口を形成する必要がある。インク供給口の加工方法は、製造の簡便さから、一般的に、ボール盤を用いて機械的に切削加工されたり、レーザー加工が行われたり、超音波ホーニング加工が行われている。また、感光性ドライフィルムをガラス基板に被着し、フォトリソグラフ工程により、パターン開口した後、サンドブラストにてインク供給口を形成する方法も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法で得られたインクジェットヘッドの製造方法は、インク供給口加工に際して、ボール盤による切削加工の場合は、貫通時、加工部のチッピングが大きく、また加工時の振動によりクラックが生じるという問題点を有していた。更に、チッピングを防止するためには、切削加工における送り速度を遅くする必要があるため、加工能力が低下するという問題点を有していた。また、サンドブラストによる加工の場合は、一般的に、感光性ドライフィルムの被着工程、フォトリソグラフ工程、サンドブラスト加工工程、感光性ドライフィルム剥離工程といった多数の工程が必要で、製造リードタイムが長いという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、インク供給口の加工において、チッピングの小さな、製造リードタイムの短い、生産コストの安いインクジェットヘッドの製造方法を提案することにある。
【0009】
【特許文献1】
特開平5―50601号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法は、インクジェットヘッドのガラス基板に設けたインク供給口を一方の面から切削若しくは研磨によって底部のある穴を形成する穴加工工程と、前記ガラス基板の他方の面からサンドブラストにより前記底部を削って前記穴を貫通させる貫通工程とを有することを特徴とする。
【0011】
このように、ガラス基板に、予めインク供給口となる穴を加工した後、サンドブラストにより、ガラス基板全面を直接加工するため、感光性ドライフィルムの被着工程、フォトリソ工程を廃止することができ、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮、生産コストの削減が可能となる。また、サンドブラストにより、インク供給口を形成するため、チッピングの少ない高精度なインク供給口を形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の製造方法により形成されたインクジェットヘッドの一例を示した図である。
図1を参照して説明すると、本例のインクジェットヘッド1は、本願人による特開平5−50601号公報に開示されているインクジェットヘッドと同様の静電駆動方式のインクジェットヘッドであり、シリコン単結晶基板からなるノズルプレート2と、同じくシリコン単結晶基板からなるキャビティプレート3とガラス基板4とを貼り合わせることにより構成されている。
【0013】
キャビティプレート3には、複数のインクキャビティ31と、各インクキャビティ31にインクを供給する共通のインクリザーバ32が形成されている。ノズルプレート2の側には、各インクキャビティ31に連通した複数のインクノズル21と、各インクキャビティ31を共通のインクリザーバ32に連通しているインク供給路22が形成されている。インク供給路22は、一方の側に深溝部分22aが形成され、他方の側には、浅溝部分22bが形成された断面形状となっている。
【0014】
また、ノズルプレート2には、電極配線用の貫通孔23も形成されている。キャビティプレート3の裏面に貼り付けたガラス基板4において、キャビティ31の底面を規定している振動板33に対向する部分には、凹部41が形成され、当該凹部の底面には、振動板33に対向した個別電極42が形成されている。また、インクリザーバ32の底面にはリザーバ貫通孔34が形成され、このリザーバ貫通孔34は、ガラス基板4に形成したインク供給口43に連通している。このインク供給口43及びリザーバ貫通孔34を介して、外部のインク供給源からインクがインクリザーバ32に供給可能となっている。
【0015】
キャビティプレート3に形成した各キャビティ31の底面を規定している振動板33は、共通電極として機能し、このキャビティプレート3と、各振動板33に対向している個別電極42との間に電圧を印加すると、電圧が印加された個別電極42に対向している振動板33が静電気力により振動し、これに伴ってキャビティ31の容積変化が起こり、インクノズル21からインク滴の吐出が行われる。
ここで、インクノズル21は、段状断面をしたインクノズルである。すなわち、インク滴吐出方向の前側には円形の小断面ノズル部分21a(小断面側の部分)が形成され、後側には円形の大断面ノズル部分21b(大断面側の部分)が形成されており、これらの境界部分は環状の断面21cとなっている。従って、インクノズル21の軸線方向に沿って切断した断面形状は先端側に向けて断面が階段状に小さくなっている。また、インクノズル21の先端開口21dは、ノズルプレート2の反対側の面に形成した凹部24の底面に開口している。
【0016】
図2は、本発明のインクジェットヘッドのガラス基板の製造方法を示す工程図である。
まず、図2の(1)に示すように、個別電極42が形成されたガラス基板4を用意する。次に図2(2)に示すように、個別電極42が形成されていない面に、砥石46を用いて切削加工によりインク供給溝43aを加工する。ここで、インク供給溝43aの加工深さは、貫通加工を施した場合、貫通時にチッピングが発生するため、貫通しない深さまで切削加工を行う、いわゆる溝加工を行うようにする必要がある。例えば、厚さが1.3mmのガラス基板4を用いた場合、1.3mm未満のインク供給溝43aとすればよい。また、切削加工における加工条件は、貫通に至らない溝加工であることから、比較的高速な加工条件でもチッピングは発生せず、回転数が、5000〜10000rpm、送り速度(切削方向への加工速度)が5〜20mm/min程度といった比較的高速な加工条件であっても、チッピングのない、更には、穴径精度も±60μm以下といった非常に良好なインク供給溝43aを加工することができる。
また、切削加工を施すインク供給溝43aの位置は、個別電極42が形成されている面に形成されているアライメントマーク44を光学的に認識し、アライメントマーク44から成る座標系を元に切削加工の位置を決めているため、インク供給溝43aの穴位置精度は、±60μm以下の非常に高い位置精度で切削加工することができる。また、切削加工の場合、ドライフィルムの被着工程及びフォトリソ工程を必要としないため、工程数の削減、製造リードタイムの短縮、ひいてはコスト削減が可能となる。
次に、図2(3)に示すように、ガラス基板4の個別電極42が形成されていない面全面を、インク供給溝43aが貫通するまでサンドブラストにより加工を行う。
例えば、厚さが1.3mmのガラス基板4に、深さ1.0mmのインク供給溝43aを切削加工した場合、サンドブラストで、ガラス基板4の個別電極42が形成されていない面全面を0.3mm以上削ることによって、インク供給溝43aは貫通に至る。この際、感光性ドライフィルムを被着せずに、ガラス基板4の全面を削るため、図2(4)に示すように、インク供給溝43aの肩の部分及びチッピング部分がサンドブラストにより滑らかなテーパー形状となる。尚、サンドブラストにおける加工条件は、#400〜#600のSiCの乾式砥粒を圧力0.2〜0.5MPaで噴射させた。また、この条件でサンドブラスト加工を行った結果、インク供給口43のテーパー角47は、概ね60〜80度となった。
【0017】
更に、図2(3)に示すように、サンドブラストにより、貫通穴加工を行う場合、個別電極42が形成されている面を保護するために、個別電極42が形成されている面に保護フィルム45を被着しておけばよい。例えば、本実施例においては、個別電極42が形成されている面に、厚さが20μmから100μm程度の感光性ドライフィルムを被着してサンドブラスト加工を行う。この場合、インク供給口43が貫通した際に、ガラス基板4の個別電極42が形成されている面にSiCの砥粒が回りこまないため、個別電極42などのパターン上の傷の発生を抑えることができる。
【0018】
以上のように、本実施例によれば、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程の代わりに、インク供給口43を形成させたい部分のみ切削加工を行うことで、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程といったクリーン環境での多数の工程を廃止できるため、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮、生産コストの削減が可能となる。また、サンドブラストにより、インク供給口43を加工するため、チッピングの少ない高精度なインク供給口43を形成することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、インク供給口の形成に際して、インク供給口の溝加工を行った後、感光性ドライフィルムを被着することなくサンドブラストによりインク供給口となる貫通口を形成するので、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程を廃止することができ、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮、生産コストの削減が可能となる。また、サンドブラストにより、インク供給口を形成するため、チッピングの少ない高精度なインク供給口を形成することができる。
【0020】
また、本発明では、上記インク供給口を切削加工により溝加工を行うため、感光性ドライフィルムの被着及びフォトリソグラフ工程を経ることなく単一の工程での加工が可能となるため、工程数の削減、使用設備台数の削減、ひいては、製造リードタイムの短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるインクジェットヘッドの断面説明図である。
【図2】本発明におけるインクジェットヘッドのガラス基板の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 ノズルプレート
3 キャビティプレート
4 ガラス基板
21 インクノズル
21a 前側ノズル部分
21b 後側ノズル部分
21c 環状の断面
22 インク供給路
22a 深溝部分
22b 浅溝部分
23 貫通口
24 ノズル面溝
31 キャビティ
32 インクリザーバ
33 振動板
34 リザーバー貫通口
41 ガラス溝
42 個別電極
43 インク供給口
43a インク供給溝
44 アライメントマーク
45 保護フィルム
46 砥石
47 テーパー角
Claims (2)
- インクジェットヘッドのガラス基板に設けたインク供給口を一方の面から切削若しくは研磨によって底部のある穴を形成する穴加工工程と、
前記ガラス基板の他方の面からサンドブラストにより前記底部を削って前記穴を貫通させる貫通工程とからなることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記穴は、溝状に形成されていることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003103467A JP2004306440A (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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JP2003103467A JP2004306440A (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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---|---|
JP2004306440A true JP2004306440A (ja) | 2004-11-04 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103545175A (zh) * | 2012-07-10 | 2014-01-29 | 丰田自动车株式会社 | 半导体装置及其制造方法 |
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2003
- 2003-04-07 JP JP2003103467A patent/JP2004306440A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103545175A (zh) * | 2012-07-10 | 2014-01-29 | 丰田自动车株式会社 | 半导体装置及其制造方法 |
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