JP2004304881A - 密閉型蓄電池用充電器 - Google Patents

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Sadahiro Katayama
禎弘 片山
Mitsuhiro Kodama
充浩 児玉
Koichi Sakamoto
晃一 坂本
Minoru Kurokuzuhara
実 黒葛原
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Abstract

【課題】密閉型蓄電池を急速充電が可能であって、急速充電したときに、電池温度の上昇を抑制して、充電受け入れ率を高めた充電を可能とする密閉型蓄電池用充電器を提供する。
【解決手段】密閉型蓄電池を装着するための凹部および放熱機能を高めるためのフィンを表面に設けた放熱部材を備えた密閉型蓄電池用充電器とする。さらに、前記放熱部材を配置することに加えて、該放熱部材を空冷するための冷却用ファンを備えた密閉型蓄電池用充電器とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型蓄電池の充電器に関するものであり、特に密閉型蓄電池を1時間未満の短時間で充電を終了させる急速充電に適用する充電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
密閉形のアルカリ蓄電池や制御弁式鉛蓄電池等の密閉型蓄電池は、耐過充電特性に優れ、一般ユーザーにとって使い易い電池であるところから、携帯電話、小型電動工具、小型パーソナルコンピュータ等の携帯用小型電子機器用の電源、自動車積載用電源および非常用電源として広く利用されている。
【0003】
従来、密閉式アルカリ蓄電池においてよく用いられる構成は、図10に示すように正極、セパレータおよび負極からなる極板群を金属製の有底筒状の電槽内23内に収容し、電槽の開口端に合成樹脂成形体からなるガスケット27を介して金属製の蓋24を載置し電槽23の開口端を折り曲げて蓋24とガスケット27、電槽23とガスケット27をおれぞれ気密に当接させ、かつ、端子25と蓋24に囲まれた空間に配置した合成ゴムの成形体からなる弾性体28を蓋24の上面に押し当て蓋24の中央に設けた排気用の小孔29を弾性体28で塞ぐことにより気密に密閉していた。また、電極(正極)22と外面に端子25を接合した蓋24とをタブ端子26で接続していた。
【0004】
図10に示した従来の密閉式アルカリ蓄電池の場合は、急速充電や過充電などによって電池内に気体が発生し、電池の内圧が異常に高くなったときには、電池の内圧により前記弾性体が上方に押し上げられて透孔29が開口し電池内の気体は、蓋4に設けた透孔29および端子25に設けた透孔30を経由して外部に排気される(ベント機能の作動。ここでいう電池の内圧が異常に高くなるとは、ベント機能が作動するに至った状況を指す。)。
【0005】
前記充電によって発生する気体は、電解液を構成する水分子が分解あるいは電池温度が上昇して気化することによって生成したものである。従って、ベント機能が作動して電池内の気体を外部に排出すると電解液量が減少し、電池性能の低下に直結するので好ましくない。
【0006】
これまでは、急速充電とはいえ、充電完了までに約1時間を要する充電であり、充電中に電池の内圧が異常に上昇してベントが動作することはまれなので、前記従来構造の電池においても問題とはならなかった。しかし、近年30〜15分間という極めて短い時間で充電を完了するという従来にない急速な充電に対する要求が高まっており、該要求に対して前記従来の構造の電池で対応することは極めて困難であった。
【0007】
前記従来になかった急速充電の要求を満たすための方策として、特許文献1には、密閉型電池に圧力スイッチ機能を持たせ、該密閉型蓄電池を例えば定電圧によって急速に充電する充電方法が提案されている。該提案によれば、圧力スイッチ機能を働かせることによって、充電のON、OFFを制御し、30〜15分間で充電を完了させる急速充電を行ったときにも、電池の内圧が異常に高くなるのを回避し、かつ電池温度が電池にとって好ましい温度範囲の上限を超えて上昇しないように電池温度を制御できるとしている。
【0008】
【特許文献1】
WO 02/35618 A1 号公報(FIG.2A、FIG.2B)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1に記載の充電方法をもってしても、例えばAAサイズの密閉型ニッケル水素蓄電池を20℃の雰囲気において1.60Vの定電圧で15分間充電を行ったときの充電受け入れ率は80%未満であり、急速充電をおこなったときの充電受け入れ率の更なる向上が求められている。本発明は、前記従来の密閉型蓄電池充電方法の欠点に鑑みてなされたものであって、充電受け入れ率の高い急速充電を可能とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る密閉型蓄電池の充電器は、密閉型蓄電池を装着するための凹部と放熱機能を高めるためのフィンを設けた放熱部材を備えた密閉型蓄電池用充電器である。また、前記放熱部材を空冷するための冷却用ファンを備えた密閉型蓄電池用充電器である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、前記圧力スイッチ機能を備えた円筒型ニッケル水素蓄電池に本発明に係る充電器を適用した例を提示することによって本発明の詳細を説明する。
(実施例1)
(充電器)
図1は、本発明の1実施例に係る密閉型蓄電池用の充電器と前記円筒型ニッケル水素蓄電池を模式的に示す斜視図である。前記充電器は、定電圧の直流出力機能を備える充電器本体31とアルミニウム製の放熱部材32および合成樹脂製の蓋33からなる。充電器本体31には正極出力端子34および負極出力端子(図示せず)と前記放熱部材32を装着するための凹部および入力コード35を備える。
【0012】
前記放熱部材32は、円筒型蓄電池36を装着するための凹部37と放熱機能を高めるための櫛の歯状に並んだ複数のアルミニウム製のフィン38を備える。放電部材の本体は、長さ46mm、幅36mm、高さ9mmとし、その上面に断面形状が直径15mmの半円形の凹部37を2本設けた。また、放電部材の本体の両側面に高さ8mm、幅3mm、厚さ1mmのフィンを2mm間隔で片側に16個づつ、放電部材の本体の下面に長さ36mm、高さ4mm、厚さ1mmのフィンを2mm間隔で16個形成した。前記円筒型蓄電池36の側面は、合成樹脂製の電気絶縁性フィルムで被覆されている。充電に際しては、蓄電池36を放熱部材32の凹部37に装着した後、該放熱部材に蓄電池を装着したまま充電器本体31に装着する。前記凹部37の断面形状は前記のように円弧状であって、該凹部に円筒型蓄電池36を装着した状態において凹部37の壁面は蓄電池36の側壁に隙間なく当接する。
【0013】
(供試電池)
AAサイズ(単3サイズ)の密閉型ニッケル水素蓄電池であって、作動圧力2メガパスカル(MPa)の圧力スイッチを備えた電池を12個用意した。
【0014】
図9に該実施例電池の圧力スイッチ機能を説明するための電池要部の断面図をを示す。捲回式極板群を構成する正極板10と正極端子を兼ねるキャップ6との間には帯状ニッケル板製のタブ端子9、該タブ端子9に接合したニッケル製の接続部材3、接続部材3に接合したニッケル製の金属製リング4、ナイロンの成形体からなる封口部材1によって周縁部を固定され、且つ前記キャップ6と接合したニッケル製封口板5によって電気回路が構成されている。前記封口部材1は、可撓性を有しており、該封口部材の透孔に嵌着された接続部材3およびそれに接合したニッケル製リング4は封口部材1が撓むことによって図の上下に移動可能である。接続部材3と復興部材1に設けた透孔2の壁面は気密に当接しており、金属製電槽18と封口部材1及び接続部材3によって仕切られた電池の内部空間は気密に密閉されている。
【0015】
電池の内圧が規定値(本実施例の場合2MPa)以下のときは接続部材3の頂部が合成ゴム製の弾性体7によって図の下方に押圧され、前記ニッケル製リング4とニッケル製封口板5が当接して正極板と正極端子を結ぶ回路が導通している。電池の内圧が前記規定値を超えているときは接続部材3およびニッケル製リング4が図の上方に移動してニッケル製リング4とニッケル製封口板が離れて回路が遮断される。
【0016】
(試験)
前記供試電池の表面に電池の温度を測定するための温度センサーを取り付けた。定められた方法で電池を化成した後、20℃の雰囲気において、充電電流0.2ItAにて6時間充電し、1時間放置した後同温度雰囲気で放電電流0.2ItAにて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該放電で得られた放電容量をAmAhとする。
【0017】
前記放電終了後の電池を6個ずつ2組に分け、一方の組の6個を前記図1に示した充電器を用い、20℃の雰囲気において充電電圧1.60Vの定電圧で15分間充電した。他の組の6個を同じ充電器を用い、45℃の雰囲気において、充電電圧1.60Vの定電圧で15分間充電した。充電停止後20℃の雰囲気において1時間放置した後に同温度において放電電流0.2ItAにて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該放電で得られた放電容量をBmAhとし、BmAhの前記AmAhに対する比率B/Aを、定電圧充電を行ったときの充電受け入れ率とした。
【0018】
(実施例2)
(充電器)
図2は、本発明に係る密閉型蓄電池用の充電器と前記円筒型ニッケル水素蓄電池を模式的に示す斜視図である。実施例2の基本的な構成は、前記図1に示した実施例1の構成と同じであるが、充電器本体31に小形のファン39を設けた点で構成において実施例1のと異なる。該ファン39を作動させることにより前記放熱部材32の表面に強制的に空気の対流を起こさせて放熱機能を高めることができる。
【0019】
(供試電池)
前記実施例1と同様正極にニッケル電極を、負極に水素吸蔵合金電極を備えた容量2000mAh、AAサイズ(単3サイズ)の密閉型ニッケル水素蓄電池であって、作動圧力2メガパスカルMPaの圧力スイッチを備えた電池を12個用意し、各々の電池の表面に電池の温度を測定するための温度センサーを取り付けた。
【0020】
(試験)
前記供試電池を定められた方法で電池を化成した後、20℃の雰囲気において、充電電流0.2ItAにて6時間充電し、1時間放置した後同温度雰囲気で放電電流0.2ItAにて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該放電で得られた放電容量をAmAhとする。前記放電終了後の電池を6個ずつ2組に分け、一方の組の6個を図2に示した充電器を用い、20℃の雰囲気において充電電圧1.60Vの定電圧で15分間充電した。他の組の6個を同じ充電器を用いて、45℃の雰囲気において充電電圧1.60Vの定電圧で15分間充電した。充電停止後20℃の雰囲気において1時間放置した後に同温度雰囲気において放電電流0.2ItAにて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該放電で得られた放電容量をBmAhとし、BmAhの前記AmAhに対する比率B/Aを、定電圧充電を行ったときの充電受け入れ率とした。
【0021】
(比較例1)
(充電器)
図3は、従来の密閉型蓄電池用の充電器と前記円筒型ニッケル水素蓄電池を模式的に示す斜視図である。前記充電器は、定電圧の直流出力機能を備える充電器本体31と蓋33からなり、充電器本体1には正極出力端子34および負極出力端子(図示せず)と前記円筒型ニッケル水素蓄電池を装着するための凹部および入力コード35を備える。
【0022】
(供試電池)
前記実施例1と同様正極にニッケル電極を、負極に水素吸蔵合金電極を備えた容量2000mAh、AAサイズ(単3サイズ)の密閉型ニッケル水素蓄電池であって、作動圧力2メガパスカルMPaの圧力スイッチを備えた電池を12個用意し、各々の電池の表面に電池の温度を測定するための温度センサーを取り付けた。
【0023】
(試験)
前記供試電池を定められた方法で電池を化成した後、20℃の雰囲気において、充電電流0.2ItAにて6時間充電し、1時間放置した後同温度雰囲気で放電電流0.2ItAにて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該放電で得られた放電容量をAmAhとする。前記放電終了後の電池を6個ずつ2組に分け、一方の組の6個を20℃の雰囲気において、充電電圧1.60Vの定電圧で15分間充電した。他の組の6個を45℃の雰囲気において、充電電圧1.60Vの定電圧で15分間充電した。充電停止後20℃の雰囲気において1時間放置した後に同温度雰囲気において放電電流0.2ItAにて放電終止電圧を1.0Vとして放電した。該放電で得られた放電容量をBmAhとし、BmAhの前記AmAhに対する比率B/Aを、定電圧充電を行ったときの充電受け入れ率とした。
【0024】
表1に試験結果を示す。なお、充電受け入れ率は、6個の電池の平均値で示した。
【表1】
Figure 2004304881
【0025】
表1に示す如く、本発明に係る実施例1および実施例2は、比較例に比べて20℃、45℃の雰囲気共に高い充電受け入れ率を示し、殊に20℃の雰囲気において充電した場合は、充電受け入れ率が80%を超えている。20℃の雰囲気での充電における充電受け入れ率が高いのは、45℃に比べて雰囲気温度が低いので放熱効果が高く、電池の温度上昇が抑制されるために充電効率が高いこと、および内圧の上昇速度が遅く、充電開始時点から圧力スイッチ作動に至るまでの時間が長くなったためと考えられる。
【0026】
図4に実施例1、図5に実施例2、図6に比較例1の20℃の雰囲気において充電したときの充電電流、電池温度を示した。該図において充電電流が鋸歯状に上下に変動しているのは、蓄電池に設けた圧力スイッチ機能が動作して充電回路のONとOFFが交互に繰り返されたことを示している。図6を図4と図5を比較して分るごとく、比較例1の場合、実施例1、実施例2に比べて電池温度の上昇が大きく、そのために充電に際して電池内でのガス発生が促進され、充電電流がガス発生反応に消費されたと推察される。また、比較例1においては、充電時にガス発生が促進された結果電池内圧の上昇が速まり、図6に示すように実施例1、実施例2に比べて、充電を開始してから短時間で圧力スイッチが動作している。比較例1においては、以上2つの理由によって充電受け入れ率が低くなったと考えられる。
【0027】
図7に実施例2、図8に比較例1の45℃の雰囲気において充電したときの充電電流、電池温度を示した。45℃の雰囲気における充電においても、20℃の雰囲気における充電と同様、比較例1は実施例2と比較して、充電時の電池温度の上昇が大きく、圧力スイッチが早期に動作開始している。また、実施例1と実施例2を比較すると実施例2の方が、充電受け入れ率が高い。これは、充電器にファンを配置し、該ファンを作動させることによって前記放熱部材の空冷機能を高めた効果によるものと考えられる。
【0028】
前記放熱部材を充電器本体に対して着脱自在とすることによって、蓄電池を充電器に装着したり、充電器から取り出すことが簡便になる。また、蓄電池を放熱部材と一体として機器内に装着することによって、蓄電池を電源として機器を動作させたときの蓄電池からの放熱効果を高め、蓄電池の温度上昇を抑制できる利点がある。
【0029】
以上、AAサイズの円筒型のニッケル水素蓄電池であって、圧力スイッチ機能を設けた蓄電池に適用する充電器を例に採って説明したが、本発明に係る充電器が対象とする蓄電池の種類、形状、大きさはこれに限定されるものではなく、圧力スイッチ機能を設けない蓄電池に適用することも有効である。また、充電様式も前記実施例に示した定電圧充電に限定されるものではなく、例えば定電流充電、定電力充電なども適用かのうである。
【0030】
また、前記放熱部材は、熱伝導性に優れたものであればよく、アルミニウムに限定されるものではない。例えば、銅、ニッケルなどの金属製、アルミナなどのセラミック製も適用可能である。これらのうちアルミニウムは、熱伝導性に優れ、且つ軽量であって好適な材料である。また、放熱部材に設けるフィンの数、形状、大きさ、配置の仕方は特に限定されるものではないが、図2や図3に示した如く、複数のフィンを櫛歯状に整然と配置することによって放熱部材の表面にスムースな空気の流れを起こさせることができるので好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1および請求項3によれば、蓄電池を急速充電したときの蓄電池の温度上昇を抑制し、充電受け入れ率を高める効果がある。
【0032】
本発明の請求項2によれば、蓄電池を急速充電したときの蓄電池の温度上昇を抑制して充電受け入れ率を高め、さらに蓄電池を充電器に装着するあるいは蓄電池を充電器から取り出すことを簡便にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る充電器と円筒型蓄電池を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の1実施例に係る充電器と円筒型蓄電池を模式的に示す斜視図である。
【図3】従来の充電器と円筒型蓄電池を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の1実施例に係る充電器を用いて円筒型ニッケル水素蓄電池を充電したときの充電電流と電池温度を示すグラフである。
【図5】本発明の1実施例に係る充電器を用いて円筒型ニッケル水素蓄電池を充電したときの充電電流と電池温度を示すグラフである。
【図6】従来の充電器を用いて円筒型ニッケル水素蓄電池を充電したときの充電電流と電池温度を示すグラフである。
【図7】本発明の1実施例に係る充電器を用いて円筒型ニッケル水素蓄電池を充電したときの充電電流と電池温度を示すグラフである。
【図8】従来の充電器を用いて円筒型ニッケル水素蓄電池を充電したときの充電電流と電池温度を示すグラフである。
【図9】圧力スイッチ機能付きの円筒型アルカリ蓄電池の要部断面図である。
【図10】円筒型アルカリ蓄電池の要部断面図である。
【符号の説明】
31 充電器本体
32 放熱部材
37 凹部
38 フィン
39 ファン

Claims (3)

  1. 密閉型蓄電池を装着するための凹部と放熱機能を高めるためのフィンを設けた放熱部材を備えた密閉型蓄電池用充電器。
  2. 前記放熱部材を充電器本体に対して着脱自在とした請求項1記載の密閉型蓄電池用充電器。
  3. 前記放熱部材を空冷するための冷却用ファンを備えることを特徴とする請求項1記載の密閉型蓄電池用充電器。
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