JP2004304014A - 積層電子部品用の積層体ユニットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止すること。
【解決手段】第一の支持シート1の表面に、セラミックグリーンシート2を形成する工程と、第二の支持シートの表面に、剥離層5を形成する工程と、剥離層の表面に、所定のパターンで、電極層6を形成するとともに、電極層と相補的なパターンで、スペーサ層7を形成する工程と、第三の支持シートの表面に、接着層10を形成する工程と、第三の支持シート上に形成された接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写する工程と、接着層から、第三の支持シートを剥離する工程と、第二の支持シートの表面に形成された電極層およびスペーサ層と、第一の支持シートに形成されたセラミックグリーンシートとを、接着層を介して、接着させて作製する電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
【選択図】 図7
【解決手段】第一の支持シート1の表面に、セラミックグリーンシート2を形成する工程と、第二の支持シートの表面に、剥離層5を形成する工程と、剥離層の表面に、所定のパターンで、電極層6を形成するとともに、電極層と相補的なパターンで、スペーサ層7を形成する工程と、第三の支持シートの表面に、接着層10を形成する工程と、第三の支持シート上に形成された接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写する工程と、接着層から、第三の支持シートを剥離する工程と、第二の支持シートの表面に形成された電極層およびスペーサ層と、第一の支持シートに形成されたセラミックグリーンシートとを、接着層を介して、接着させて作製する電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層電子部品用の積層体ユニットの製造方法に関するものであり、さらに詳細には、セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止することができ、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層体ユニットを、所望のように、製造することができる積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器の小型化にともなって、電子機器に実装される電子部品の小型化および高性能化が要求されるようになっており、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品においても、積層数の増加、積層単位の薄層化が強く要求されている。
【0003】
積層セラミックコンデンサによって代表される積層セラミック電子部品を製造するには、まず、セラミック粉末と、アクリル樹脂、ブチラール樹脂などのバインダと、フタル酸エステル類、グリコール類、アジピン酸、燐酸エステル類などの可塑剤と、トルエン、メチルエチルケトン、アセトンなどの有機溶媒を混合分散して、誘電体ペーストを調製する。
【0004】
次いで、誘電体ペーストを、エクストルージョンコーターやグラビアコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)などによって形成された支持シート上に、塗布し、加熱して、塗膜を乾燥させ、セラミックグリーンシートを作製する。
【0005】
さらに、セラミックグリーンシート上に、ニッケルなどの電極ペーストを、スクリーン印刷機などによって、所定のパターンで、印刷し、乾燥させて、電極層を形成する。
【0006】
電極層が形成されると、電極層が形成されたセラミックグリーンシートを支持シートから剥離して、セラミックグリーンシートと電極層を含む積層体ユニットを形成し、所望の数の積層体ユニットを積層して、加圧し、得られた積層体を、チップ状に切断して、グリーンチップを作製する。
【0007】
最後に、グリーンチップからバインダを除去して、グリーンチップを焼成し、外部電極を形成することによって、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品が製造される。
【0008】
電子部品の小型化および高性能化の要請によって、現在では、積層セラミックコンデンサの層間厚さを決定するセラミックグリーンシートの厚さを3μmあるいは2μm以下にすることが要求され、300以上のセラミックグリーンシートと電極層を含む積層体ユニットを積層することが要求されている。
【0009】
しかしながら、きわめて薄いセラミックグリーンシートに、内部電極用の電極ペーストを印刷して、電極層を形成する場合には、電極ペースト中の溶剤が、セラミックグリーンシートのバインダ成分を溶解または膨潤させ、その一方で、セラミックグリーンシート中に、電極ペーストが染み込むという不具合があり、短絡不良の原因になるという問題があった。
【0010】
そこで、特開昭63−51616号公報および特開平3−250612号公報は、内部電極パターンペーストを、別の支持シートに印刷して、電極層を形成した後に、電極層を乾燥させ、乾燥した電極層を、セラミックグリーンシートの表面に熱転写する方法を提案している。
【特許文献1】特開昭63−51616号公報
【特許文献2】特開平3−250612号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、セラミックグリーンシートの表面に転写された電極層から、支持シートを剥離することが難しいという問題があった。
【0011】
また、乾燥した電極層を、セラミックグリーンシートの表面に熱転写して、接着するためには、高温下で、高い圧力を加える必要があり、したがって、セラミックグリーンシートおよび電極層が変形し、場合によっては、セラミックグリーンシートが部分的に破壊するという問題があった。
【0012】
したがって、本発明は、セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止することができ、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層体ユニットを、所望のように、製造することができる積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、第一の支持シートの表面に、セラミックグリーンシートを形成する工程と、第二の支持シートの表面に、剥離層を形成する工程と、前記剥離層の表面に、所定のパターンで、電極層を形成するとともに、前記電極層と相補的なパターンで、スペーサ層を形成する工程と、第三の支持シートの表面に、接着層を形成する工程と、前記第三の支持シート上に形成された前記接着層の表面と、前記セラミックグリーンシートの表面とを密着させて、加圧し、前記接着層を、前記セラミックグリーンシートの表面に転写する工程と、前記接着層から、前記第三の支持シートを剥離する工程と、前記第二の支持シートの表面に形成された前記電極層および前記スペーサ層と、前記第一の支持シートに形成された前記セラミックグリーンシートとを、前記接着層を介して、加圧し、接着させて、前記セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが積層された積層体ユニットを作製する工程を含み、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有することを特徴とする積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法によって達成される。
【0014】
本発明によれば、セラミックグリーンシートの表面に接着された接着層を介して、電極層およびスペーサ層を、電極層およびスペーサ層の表面に転写するように構成されているから、低い圧力で、電極層およびスペーサ層を、セラミックグリーンシートの表面に転写することができ、したがって、セラミックグリーンシートの変形および破壊を確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0015】
また、本発明によれば、電極層およびスペーサ層を、第二の支持シートの表面に形成し、乾燥させた後に、接着層を介して、セラミックグリーンシートに転写するように構成されているから、電極ペースト中の溶剤が、セラミックグリーンシートのバインダ成分を溶解または膨潤させることを確実に防止することができ、同時に、セラミックグリーンシート中に、電極ペーストが染み込むことを確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明によれば、接着層を、第三の支持シートの表面に形成し、乾燥させた後に、セラミックグリーンシートの表面に転写するように構成されているから、接着剤溶液が、セラミックグリーンシートに染み込むことを確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0017】
また、本発明によれば、接着層を、第三の支持シートの表面に形成し、乾燥させた後に、セラミックグリーンシートの表面に転写し、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートを接着するように構成されているから、接着剤溶液が、電極層およびスペーサ層に染み込むことを確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0018】
さらに、セラミックグリーンシート上に、所定のパターンで、電極層が形成された多数の積層体ユニットを積層する場合には、電極層の表面と、電極層が形成されていないセラミックグリーンシートの表面との間に、段差が形成されているため、多数の積層体ユニットが積層された積層体が変形し、あるいは、層間剥離が発生することがあるが、本発明によれば、剥離層の表面に、電極層と相補的なパターンで、スペーサ層が形成されているから、こうして得られた多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層体が変形を起こすことを効果的に防止することが可能になるとともに、層間剥離の発生を効果的に防止することが可能になる。
【0019】
また、積層体ユニットを製造するにあたり、セラミックグリーンシートが形成される第一の支持シートは、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要になるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第一の支持シートには、フィラーが充填されており、したがって、第一の支持シートの表面には、突起が形成されているため、セラミックグリーンシートを薄層化した場合には、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧して、接着する際に、第一の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシート、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じるおそれがある。しかしながら、本発明によれば、第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、セラミックグリーンシートを薄層化した場合においても、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧して、接着する際に、第一の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じることを効果的に防止することが可能になる。
【0020】
本発明において、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起とは、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出することができる高さを有する突起を意味し、現実に、その突起が、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出しているか否かは問わない。
【0021】
また、本発明において、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起とは、セラミックグリーンシートを貫通することができる高さを有する突起を意味し、現実に、その突起が、セラミックグリーンシートを貫通しているか否かは問わない。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、前記セラミックグリーンシート中に、0.3μm以上にわたり、突出可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、前記セラミックグリーンシート中に、0.2μm以上にわたり、突出可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第二の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記接着層を介して、前記電極層および前記スペーサ層と、前記セラミックグリーンシートとを加圧したときに、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記接着層を介して、前記電極層および前記スペーサ層と、前記セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0025】
積層体ユニットを製造するにあたり、電極層およびスペーサ層が形成される第二の支持シートは、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要になるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第二の支持シートには、フィラーが充填されており、したがって、第二の支持シートの表面には、突起が形成されているため、セラミックグリーンシートを薄層化した場合には、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧して、接着する際に、第二の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じるおそれがある。しかしながら、本発明の好ましい実施態様によれば、第二の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、セラミックグリーンシートを薄層化した場合においても、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを加圧して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを接着したときに、第二の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じることを効果的に防止することが可能になる。
【0026】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記接着層を前記セラミックグリーンシートの表面に転写したときに、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記接着層を前記セラミックグリーンシートの表面に転写したときに、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0027】
積層体ユニットを製造するにあたり、接着層が形成される第三の支持シートは、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要になるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第三の支持シートには、フィラーが充填されており、したがって、第三の支持シートの表面には、突起が形成されているため、セラミックグリーンシートを薄層化した場合には、第三の支持シートに形成された接着層と、セラミックグリーンシートとを密着させて、加圧し、接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写するときに、第三の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じるおそれがある。しかしながら、本発明の好ましい実施態様によれば、第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、セラミックグリーンシートを薄層化した場合においても、第三の支持シートに形成された接着層と、セラミックグリーンシートとを密着させて、加圧し、接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写するときに、第三の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じることを効果的に防止することが可能になる。
【0028】
本発明において、セラミックグリーンシートを形成するために用いる誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルを混練して、調製される。
【0029】
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、これらを混合して、用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が約0.1μmないし約3.0μm程度の粉末として用いられる。誘電体原料の粒径は、セラミックグリーンシートの厚さより小さいことが好ましい。
【0030】
有機ビヒクルに用いられるバインダは、とくに限定されるものではなく、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが用いることができるが、セラミックグリーンシートを薄層化するためには、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂が、好ましく用いられる。
【0031】
有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も、とくに限定されるものではなく、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤が用いられる。
【0032】
本発明において、誘電体ペーストは、誘電体原料と、水中に水溶性バインダを溶解させたビヒクルを混練して、生成することもできる。
【0033】
水溶性バインダは、とくに限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
【0034】
誘電体ペースト中の各成分の含有量は、とくに限定されるものではなく、たとえば、約1重量%ないし約5重量%のバインダと、約10重量%ないし約50重量%の溶剤を含むように、誘電体ペーストを調製することができる。
【0035】
誘電体ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。誘電体ペースト中に、これらの添加物を添加する場合には、総含有量を、約10重量%以下にすることが望ましい。バインダ樹脂として、ブチラール系樹脂を用いる場合には、可塑剤の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対して、約25重量部ないし約100重量部であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、生成されたセラミックグリーンシートが脆くなる傾向があり、多すぎると、可塑剤が滲み出して、取り扱いが困難になり、好ましくない。
【0036】
本発明において、セラミックグリーンシートは、誘電体ペーストを、第一の支持シート上に塗布し、乾燥して、作製される。
【0037】
誘電体ペーストは、エクストルージョンコーターやワイヤーバーコーターなどを用いて、第一の支持シート上に塗布され、塗膜が形成される。
【0038】
第一の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第一の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0039】
本発明において、第一の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されたセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0040】
本発明において、好ましくは、第一の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されたセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、セラミックグリーンシート中に、0.3μm以上にわたり、突出する突起が1以下の表面粗さを有している。
【0041】
本発明において、さらに好ましくは、第一の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されたセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、セラミックグリーンシート中に、0.2μm以上にわたり、突出する突起が1以下の表面粗さを有している。
【0042】
こうして形成された塗膜は、たとえば、約50℃ないし約100°Cの温度で、約1分ないし約20分にわたって、乾燥され、支持シート上に、セラミックグリーンシートが形成される。
【0043】
本発明において、乾燥後におけるセラミックグリーンシートの厚さが3μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1.5μm以下である。
【0044】
本発明において、電極層およびスペーサ層は、第二の支持シート上に、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、印刷される。
【0045】
第二の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第二の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではなく、セラミックグリーンシートが形成される支持シートの厚さと同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0046】
本発明において、好ましくは、第二の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、後述する接着層を介して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有している。
【0047】
本発明において、第二の支持シート上に、電極層およびスペーサ層を形成するのに先立って、まず、誘電体ペーストが調製され、第二の支持シート上に塗布されて、剥離層が、第二の支持シート上に形成される。
【0048】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、好ましくは、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体と同一組成の誘電体の粒子を含んでいる。
【0049】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子以外に、バインダと、任意成分として、可塑剤および剥離剤とを含んでいる。誘電体粒子の粒径は、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでもよいが、より小さいことが好ましい。
【0050】
バインダとしては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体、または、これらのエマルジョンを用いることができる。
【0051】
剥離層を形成するための誘電体ペーストに含まれているバインダは、セラミックグリーンシートに含まれているバインダと同系であっても、同系でなくてもよいが、同系のバインダであることが好ましい。
【0052】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子100重量部に対して、好ましくは、約2.5重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約5重量部ないし約30重量部、とくに好ましくは、約8重量部ないし約30重量部のバインダを含んでいる。
【0053】
可塑剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などを挙げることができる。剥離層を形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートに含まれる可塑剤と同系であっても、同系でなくてもよい。
【0054】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部の可塑剤を含んでいる。
【0055】
剥離層を形成するための誘電体ペーストに含まれる剥離剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、パラフィン、ワックス、シリコーン油などを挙げることができる。
【0056】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約100重量部、好ましくは、約2重量部ないし約50重量部、さらに好ましくは、約5重量部ないし約20重量部の剥離剤を含んでいる。
【0057】
本発明において、剥離層に含まれる誘電体に対するバインダの含有割合が、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体に対するバインダの含有割合と同等、あるいは、それよりも低いことが好ましい。また、剥離層に含まれる誘電体に対する可塑剤の含有割合が、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体に対する可塑剤の含有割合と同等、あるいは、高いことが好ましい。さらに、剥離層に含まれる誘電体に対する離型剤の含有割合が、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体に対する離型剤の含有割合よりも高いことが好ましい。
【0058】
このような組成を有する剥離層を形成することにより、セラミックグリーンシートをきわめて薄層化しても、剥離層の強度を、グリーンシートの破壊強度よりも低くすることができ、第二の支持シートを剥離する際に、セラミックグリーンシートが破壊されることを確実に防止することが可能になる。
【0059】
剥離層は、ワイヤーバーコーターなどを用いて、第二の支持シート上に、誘電体ペーストを塗布することによって、形成される。
【0060】
剥離層の厚さは、その上に形成される電極層の厚さ以下であることが好ましく、好ましくは、電極層の厚さの約60%以下、さらに好ましくは、電極層の厚さの約30%以下である。
【0061】
剥離層の形成後、剥離層は、たとえば、約50℃ないし約100℃で、約1分ないし約10分にわたって、乾燥される。
【0062】
剥離層が乾燥された後、剥離層の表面上に、焼成後に、内部電極層を構成する電極層が、所定パターンで形成される。
【0063】
本発明において、電極層を形成するために用いられる電極ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、焼成後に、各種導電性金属や合金からなる導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、または、レジネートなどと、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルとを混練して、調製される。
【0064】
電極ペーストを製造する際に用いる導電体材料としては、Ni、Ni合金あるいはこれらの混合物が、好ましく用いられる。導電体材料の形状は、とくに限定されるものではなく、球状でも、鱗片状でも、あるいは、これらの形状のものが混合されていてもよい。また、導電体材料の平均粒子径は、とくに限定されるものではないが、通常、約0.1μmないし約2μm、好ましくは、約0.2μmないし約1μmの導電性材料が用いられる。
【0065】
有機ビヒクルに用いられるバインダは、とくに限定されるものではなく、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、あるいはは、これらの共重合体などを用いることができるが、とくに、ポリビニルブチラールなどのブチラール系バインダが好ましく用いられる。
【0066】
電極ペーストは、導電体材料100重量部に対して、好ましくは、約2.5重量部ないし約20重量部のバインダを含んでいる。
【0067】
溶剤としては、たとえば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシンなど、公知の溶剤を用いることができる。溶剤の含有量は、電極ペースト全体に対して、好ましくは、約20重量%ないし約55重量%である。
【0068】
接着性を改善するために、電極ペーストが、可塑剤を含んでいることが好ましい。
【0069】
電極ペーストに含まれる可塑剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などを挙げることができる。電極ペーストは、バインダ100重量部に対して、好ましくは、約10重量部ないし約300重量部、さらに好ましくは、約10重量部ないし約200重量部の可塑剤を含んでいることが好ましい。
【0070】
可塑剤の添加量が多すぎると、電極層の強度が著しく低下する傾向があり、好ましくない。
【0071】
電極層は、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、第二の支持シート上に形成された剥離層の表面に、電極ペーストを印刷することによって、形成される。
【0072】
電極層の厚さは、約0.1μmないし約5μmの厚さに形成されることが好ましく、より好ましくは、約0.1μmないし約1.5μmである。
【0073】
第二の支持シート上に形成された剥離層の表面の電極層が形成されていない部分には、さらに、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、電極層と相補的なパターンで、誘電体ペーストが印刷されて、スペーサ層が形成される。
【0074】
電極層の形成に先立って、第二の支持シート上に形成された剥離層の表面に、スペーサ層を形成することもできる。
【0075】
本発明において、スペーサ層を形成するために用いる誘電体ペーストは、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストと同様にして、調製される。
【0076】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、好ましくは、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体と同一組成の誘電体の粒子を含んでいる。
【0077】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子以外に、バインダと、任意成分として、可塑剤および剥離剤とを含んでいる。誘電体粒子の粒径は、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでもよいが、より小さいことが好ましい。
【0078】
バインダとしては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体、または、これらのエマルジョンを用いることができる。
【0079】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれているバインダは、セラミックグリーンシートに含まれているバインダと同系であっても、同系でなくてもよいが、同系であることが好ましい。
【0080】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子100重量部に対して、好ましくは、約2.5重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約4重量部ないし約15重量部、とくに好ましくは、約6重量部ないし約10重量部のバインダを含んでいる。
【0081】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれている可塑剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などを挙げることができる。スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートに含まれる可塑剤と同系であっても、同系でなくてもよい。
【0082】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部の可塑剤を含んでいる。
【0083】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれる剥離剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、パラフィン、ワックス、シリコーン油などを挙げることができる。
【0084】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約100重量部、好ましくは、約2重量部ないし約50重量部、より好ましくは、約5重量部ないし約20重量部の剥離剤を含んでいる。
【0085】
本発明において、電極層およびスペーサ層は、0.7≦ts/te≦1.3(tsは、スペーサ層の厚さであり、teは、電極層の厚さである。)を満たすように形成されることが好ましく、より好ましくは、0.8≦ts/te≦1.2、さらに好ましくは、0.9≦ts/te≦1.2を満たすように形成される。
【0086】
電極層およびスペーサ層は、たとえば、約70℃ないし120℃の温度で、約5分ないし約15分にわたって、乾燥される。電極層およびスペーサ層の乾燥条件は、とくに限定されるものではない。
【0087】
セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層は、接着層を介して、接着され、接着層を形成するために、第三の支持シートが用意される。
【0088】
第三の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第三の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0089】
本発明において、第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有していることが好ましい。
【0090】
接着層は、第三の支持シート上に、接着剤溶液が塗布されて、形成される。
【0091】
本発明において、接着剤溶液は、バインダと、任意成分として、可塑剤、剥離剤および帯電防止剤とを含んでいる。
【0092】
接着剤溶液は、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子と同一組成の誘電体粒子を含んでいてもよい。接着剤溶液が、誘電体粒子を含んでいる場合には、誘電体粒子のバインダ重量に対する割合が、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子のバインダ重量に対する割合より小さいことが好ましい。
【0093】
接着剤溶液に含まれるバインダは、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系であることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系でなくてもよい。
【0094】
接着剤溶液に含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤と同系であることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤と同系でなくてもよい。
【0095】
可塑剤の含有量は、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部である。
【0096】
本発明において、好ましくは、接着剤溶液は、バインダの0.01重量%ないし15重量%の帯電防止剤を含み、さらに好ましくは、バインダの0.01重量%ないし10重量%の帯電防止剤を含んでいる。
【0097】
本発明において、接着剤溶液に含まれる帯電防止剤は、吸湿性を有する有機溶剤であればよく、たとえば、エチレングリコール;ポリエチレングリコール;2−3ブタンジオール;グリセリン;イミダゾリン系界面活性剤、ポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤、カルボン酸アミジン塩系界面活性剤などの両性界面活性剤などが、接着剤溶液に含まれる帯電防止剤として使用することができる。
【0098】
これらの帯電防止剤の中では、少量で、静電気を防止することが可能であるとともに、小さい剥離力で、接着層から、第三の支持シートを剥離することが可能であるため、イミダゾリン系界面活性剤、ポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤、カルボン酸アミジン塩系界面活性剤などの両性界面活性剤が好ましく、イミダゾリン系界面活性剤は、とくに小さな剥離力で、接着層から、第三の支持シートを剥離することができるため、とくに好ましい。
【0099】
接着剤溶液は、たとえば、バーコータ、エクストルージョンコータ、リバースコータ、ディップコーター、キスコーターなどによって、第三の支持シート上に塗布され、好ましくは、約0.02μmないし約0.3μm、より好ましくは、約0.02μmないし約0.1μmの厚さの接着層が形成される。接着層の厚さが、約0.02μm未満の場合には、接着力が低下し、一方、接着層の厚さが、約0.3μmを越えると、欠陥(隙間)の発生原因となり、好ましくない。
【0100】
接着層は、たとえば、室温(25℃)ないし約80℃の温度で、約1分ないし約5分にわたって、乾燥される。接着層の乾燥条件は、とくに限定されるものではない。
【0101】
第三の支持シート上に形成された接着層は、第一の支持シート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に転写される。
【0102】
接着層の転写にあたっては、接着層が、第一の支持シート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に接触した状態で、約40℃ないし約100℃の温度下で、接着層と、セラミックグリーンシートとが、約0.2MPaないし約15MPaの圧力で、好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaの圧力で、加圧されて、接着層が、セラミックグリーンシートの表面上に転写され、その後、第三の支持シートが接着層から剥離される。
【0103】
接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写するにあたっては、セラミックグリーンシートが形成された第一の支持シートと、接着層が形成された第三の支持シートを、プレス機を用いて、加圧しても、一対の加圧ローラを用いて、加圧してもよいが、一対の加圧ローラによって、第一の支持シートと第三の支持シートを加圧することが好ましい。
【0104】
次いで、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが、接着層を介して、接着される。
【0105】
セラミックグリーンシートと、スペーサ層および電極層は、接着層を介して、約40℃ないし約100℃の温度下で、約0.2MPaないし約15MPaの圧力で、好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaの圧力で、加圧されて、セラミックグリーンシートと、スペーサ層および電極層が、接着層を介して、接着される。
【0106】
好ましくは、一対の加圧ローラを用いて、セラミックグリーンシートと、接着層、電極層およびスペーサ層とが加圧されて、セラミックグリーンシートと、スペーサ層および電極層が、接着層を介して、接着される。
【0107】
セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが、接着層を介して、接着されると、第二の支持シートが、剥離層から剥離される。
【0108】
次いで、セラミックグリーンシートの表面に、第三の支持シートの表面に形成された接着層を転写したのと同様にして、剥離層の表面に、接着層が転写される。
【0109】
こうして得られた積層体が、所定のサイズに、裁断されて、第一の支持シート上に、セラミックグリーンシート、接着層、電極層、スペーサ層、剥離層および接着層が積層された積層体ユニットが作製される。
【0110】
以上のようにして、作製された多数の積層体ユニットが積層されて、積層体ブロックが作製される。
【0111】
多数の積層体ユニットの積層にあたっては、まず、支持体が、基板上に固定され、支持体の表面に、剥離層上に形成された接着層が密着するように、積層体ユニットが位置決めされて、積層体ユニット上に圧力が加えられる。
【0112】
支持体としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられる。支持体の厚さは、積層体ユニットを支持可能な厚さであれば、とくに限定されるものではない。
【0113】
支持体の表面に、剥離層上に形成された接着層が接着されると、第一の支持シートがセラミックグリーンシートから剥離される。
【0114】
さらに、新たな積層体ユニットが、剥離層の表面に形成された接着層が、支持体に接着された積層体ユニットのセラミックグリーンシートに密着するように、支持体に接着された積層体ユニット上に位置決めされて、新たな積層体ユニットが、基板に向けて、加圧され、支持体に接着された積層体ユニット上に、新たな積層体ユニットが積層される。
【0115】
次いで、新たに積層された積層体ユニットの第一の支持シートがセラミックグリーンシートから剥離される。
【0116】
同様にして、所定の数の積層体ユニットが積層されて、積層体ブロックが作製され、所定の数の積層体ブロックが積層されて、積層セラミック電子部品が製造される。
【0117】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様である積層セラミックコンデンサの製造方法につき、詳細に説明を加える。
【0118】
積層セラミックコンデンサを製造するにあたっては、まず、セラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストが調製される。
【0119】
誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルを混練して、調製される。
【0120】
調製された誘電体ペーストは、たとえば、エクストルージョンコーターやワイヤーバーコーターなどを用いて、第一の支持シート上に塗布され、塗膜が形成される。
【0121】
第一の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第一の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0122】
本実施態様においては、第一の支持シート1として、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有する支持シートが選ばれて、用いられる。
【0123】
次いで、塗膜が、たとえば、約50℃ないし約100℃の温度で、約1分ないし約20分にわたって、乾燥され、第一の支持シート上に、セラミックグリーンシートが形成される。
【0124】
乾燥後におけるセラミックグリーンシート2の厚さは3μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1.5μm以下である。
【0125】
第一の支持シート1は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第一の支持シート1には、フィラーが充填されており、したがって、第一の支持シート1の表面には、突起が形成されているが、本実施態様においては、第一の支持シート1が、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することができる。
【0126】
図1は、第一の支持シートの表面上に、セラミックグリーンシートが形成された状態を示す略一部断面図である。
【0127】
実際には、第一の支持シート1は、長尺状をなし、セラミックグリーンシート2は、長尺状の第一の支持シート1の表面に、連続的に形成される。
【0128】
一方、セラミックグリーンシート2とは別に、第二の支持シートが用意されて、第二の支持シート上に、剥離層および電極層が形成される。
【0129】
図2は、その表面上に、剥離層5および電極層6が形成された第二の支持シート4の略一部断面図である。
【0130】
実際には、第二の支持シート4は、長尺状をなし、剥離層5は、長尺状の第二の支持シート4の表面に、連続的に形成され、剥離層5の表面に、電極層6が、所定のパターンで形成される。
【0131】
第二の支持シート4の表面に、剥離層5を形成するにあたっては、まず、セラミックグリーンシート2を形成する場合と同様にして、剥離層5を形成するための誘電体ペーストが調製される。
【0132】
剥離層5を形成するための誘電体ペーストは、好ましくは、セラミックグリーンシート2に含まれている誘電体と同一組成の誘電体の粒子を含んでいる。
【0133】
剥離層5を形成するための誘電体ペーストに含まれているバインダは、セラミックグリーンシート2に含まれているバインダと同系であっても、同系でなくてもよいが、同系であることが好ましい。
【0134】
こうして、誘電体ペーストが調製されると、たとえば、ワイヤーバーコーター(図示せず)を用いて、第二の支持シート4上に、誘電体ペーストが塗布され、剥離層5が形成される。
【0135】
剥離層5の厚さは、電極層6の厚さ以下であることが好ましく、好ましくは、電極層6の厚さの約60%以下、さらに好ましくは、電極層6の厚さの約30%以下である。
【0136】
第二の支持シート4としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第二の支持シート4の厚さは、とくに限定されるものではなく、第一の支持シート1の厚さと同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0137】
本実施態様においては、第二の支持シート4として、面積0.01mm2あたりの表面に、後述する接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有する支持シートが用いられる。
【0138】
すなわち、第二の支持シート4は、面積0.01mm2あたりの表面に、その高さHが(tp+ts+ta+tc/2)≦H<(tp+ts+ta+tc)を満たす突起が1以下で、かつ、面積100mm2あたりの表面に、その高さHが(tp+ts+ta+tc)≦Hを満たす突起が1以下の表面粗さを有している。ここに、tpは剥離層5の厚さであり、tsはスペーサ層7の厚さ、taは後述する接着層の厚さ、tcはセラミックグリーンシート2の厚さである。
【0139】
剥離層5の形成後、剥離層5は、たとえば、約50℃ないし約100℃で、約1分ないし約10分にわたって、乾燥される。
【0140】
剥離層5が乾燥された後、剥離層5の表面上に、焼成後に、内部電極層を構成する電極層6が、所定のパターンで形成される。
【0141】
電極層6は、約0.1μmないし約5μmの厚さに形成されることが好ましく、より好ましくは、約0.1μmないし約1.5μmである。
【0142】
電極層6を、剥離層5上に形成するに際しては、まず、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、焼成後に、各種導電性金属や合金からなる導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、または、レジネートなどと、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルとを混練して、電極ペーストが調製される。
【0143】
電極ペーストを製造する際に用いる導電体材料としては、Ni、Ni合金あるいはこれらの混合物が、好ましく用いられる。
【0144】
導電体材料の平均粒子径は、とくに限定されるものではないが、通常、約0.1μmないし約2μm、好ましくは、約0.2μmないし約1μmの導電性材料が用いられる。
【0145】
電極層6は、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、電極ペーストを、剥離層5上に印刷することによって形成される。
【0146】
剥離層5の表面上に、所定パターンの有する電極層6を、スクリーン印刷法やグラビア印刷法によって、形成した後に、電極層6が形成されていない剥離層5の表面に、電極層6と相補的なパターンで、スペーサ層が形成される。
【0147】
図3は、剥離層5の表面上に、電極層6およびスペーサ層7が形成された状態を示す略一部断面図である。
【0148】
スペーサ層7は、剥離層5の表面に、電極層6を形成するのに先立って、電極層6が形成されるべき部分を除く剥離層5の表面に形成することもできる。
【0149】
スペーサ層7を形成するにあたっては、セラミックグリーンシート2を作製したときに用いた誘電体ペーストと同様な組成の誘電体ペーストが調製され、スクリーン印刷法やグラビア印刷法により、誘電体ペーストが、電極層6が形成されていない剥離層5の表面に、電極層6と相補的なパターンで、印刷される。
【0150】
本実施態様においては、スペーサ層7は、ts/te=1.1になるように、剥離層5上に形成される。ここに、tsはスペーサ層7の厚さであり、teは電極層6の厚さである。
【0151】
本実施態様においては、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7は、接着層を介して、接着されるように構成されており、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1ならびに電極層6およびスペーサ層7が形成された第二の支持シート4とは別に、さらに、第三の支持シートが用意され、第三の支持シート上に、接着層が形成されて、接着層シートが作製される。
【0152】
図4は、第三の支持シート9の表面上に、接着層10が形成された接着層シート11の略一部断面図である。
【0153】
実際には、第三の支持シート9は、長尺状をなし、接着層10は、長尺状の第三の支持シート9の表面に、連続的に形成される。
【0154】
第三の支持シート9としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第三の支持シート9の厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0155】
本実施態様においては、第三の支持シート9として、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有する支持シートが用いられている。
【0156】
すなわち、第三の支持シート9は、面積0.01mm2あたりの表面に、その高さHが(ta+tc/2)≦H<(ta+tc)を満たす突起が1以下で、面積100mm2あたりの表面に、その高さHが、(ta+tc)≦Hを満たす突起が1以下の表面粗さを有している。ここに、taは接着層10の厚さであり、tcはセラミックグリーンシート2の厚さである。
【0157】
接着層10を形成するにあたっては、まず、接着剤溶液が調製される。
【0158】
本実施態様においては、接着剤溶液は、バインダ、可塑剤および帯電防止剤と、任意成分として、剥離剤とを含んでいる。
【0159】
接着剤溶液は、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子と同一組成の誘電体粒子を含んでいてもよい。接着剤溶液が、誘電体粒子を含んでいる場合には、誘電体粒子のバインダ重量に対する割合が、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子のバインダ重量に対する割合より小さいことが好ましい。
【0160】
接着剤溶液に含まれるバインダは、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系のバインダであることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系でないバインダであってもよい。
【0161】
接着剤溶液に含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤と同系の可塑剤であることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系でない可塑剤であってもよい。
【0162】
可塑剤の含有量は、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部である。
【0163】
本実施態様において、接着剤溶液は、バインダの0.01重量%ないし15重量%の帯電防止剤を含んでいる。
【0164】
本実施態様においては、帯電防止剤として、イミダゾリン系界面活性剤が用いられている。
【0165】
こうして調製された接着剤溶液は、たとえば、バーコータ、エクストルージョンコータ、リバースコータ、ディップコーター、キスコーターなどによって、第三の支持シート9上に塗布され、好ましくは、約0.02μmないし約0.3μm、より好ましくは、約0.02μmないし約0.1μmの厚さの接着層10が形成される。接着層10の厚さが、約0.02μm未満の場合には、接着力が低下し、一方、接着層10の厚さが、約0.3μmを越えると、欠陥(隙間)の発生原因となり、好ましくない。
【0166】
接着層10は、たとえば、室温(25℃)ないし約80℃の温度で、約1分ないし約5分にわたって、乾燥される。接着層10の乾燥条件は、とくに限定されるものではない。
【0167】
図5は、第三の支持シート9上に形成された接着層10を、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に接着させ、接着層10から第三の支持シート9を剥離する接着・剥離装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【0168】
図5に示されるように、本実施態様にかかる接着・剥離装置は、約40℃ないし約100℃の温度に保持された一対の加圧ローラ15、16を備えている。
【0169】
図5に示されるように、接着層10が形成された第三の支持シート9は、第三の支持シート9に加えられる引張り力によって、第三の支持シート9が、上方の加圧ローラ15に巻回されるように、斜め上方から、一対の加圧ローラ15、16間に供給され、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1は、第一の支持シート1が、下方の加圧ローラ16に接触し、セラミックグリーンシート2が、第三の支持シート9上に形成された接着層10の表面に接触するように、略水平方向に、一対の加圧ローラ15、16間に供給される。
【0170】
第一の支持シート1および第三の支持シート9の供給速度は、たとえば、2m/秒に設定され、一対の加圧ローラ15、16のニップ圧力は、好ましくは、約0.2ないし約15MPa、より好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaに設定される。
【0171】
その結果、第三の支持シート9上に形成された接着層10が、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に接着される。
【0172】
図5に示されるように、接着層10が形成された第三の支持シート9は、一対の加圧ローラ15、16の間から、斜め上方に向けて、搬送され、したがって、第三の支持シート9が、セラミックグリーンシート2の表面に接着した接着層10から剥離される。
【0173】
接着層10から、第三の支持シート9を剥離する際、静電気が発生し、塵埃が付着したり、接着層が、第三の支持シートに引き付けられ、所望のように、第三の支持シートを、接着層から剥離することが困難になることがあるが、本実施態様においては、接着層10が、バインダに対して、0.01重量%ないし15重量%のイミダゾリン系界面活性剤を含んでいるから、静電気の発生を効果的に防止することが可能になる。
【0174】
こうして、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に、接着層10が接着され、接着層10から、第三の支持シート9が剥離されると、セラミックグリーンシート2が、接着層10を介して、第二の支持シート4上に形成された電極層6およびスペーサ層7の表面に接着される。
【0175】
図6は、セラミックグリーンシート2の表面に、接着層10を介して、電極層6およびスペーサ層7を接着する接着装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【0176】
図6に示されるように、本実施態様にかかる接着装置は、約40℃ないし約100℃の温度に保持された一対の加圧ローラ17、18を備え、電極層6、スペーサ層7および接着層10が形成された第二の支持シート4は、第二の支持シート4が上方の加圧ローラ17に接触するように、一対の加圧ローラ17、18間に供給され、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1は、第一の支持シート1が下方の加圧ローラ18に接触するように、一対の加圧ローラ17、18間に供給される。
【0177】
本実施態様においては、加圧ローラ17は金属ローラによって構成され、加圧ローラ18はゴムローラによって構成されている。
【0178】
第一の支持シート1および第二の支持シート4の供給速度は、たとえば、2m/秒に設定され、一対の加圧ローラ17、18にニップ圧力は、好ましくは、約0.2ないし約15MPa、より好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaに設定される。
【0179】
本実施態様においては、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とは、接着層10を介して、接着され、従来のように、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7に含まれているバインダの粘着力や、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を利用して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着してはいないから、たとえば、約0.2MPaないし約15MPaの低い圧力で、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着することができる。
【0180】
したがって、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を防止することが可能になるから、こうして得られたセラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の積層体を積層して、積層セラミックコンデンサを作製する際の積層精度を向上させることが可能になる。
【0181】
また、本実施態様においては、電極層6および電極層6よりも密度が小さく、圧縮率が高いスペーサ層7が、ts/te=1.1となるように形成されているから、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2上に転写する際に、加圧によって、スペーサ層7が圧縮され、接着層10を介して、電極層6およびスペーサ層7と、セラミックグリーンシート2とを確実に接着させることができ、したがって、第二の支持シート4を剥離するときに、電極層6が、第二の支持シート4とともに、剥離することを確実に防止することが可能になる。
【0182】
さらに、本実施態様においては、第二の支持シート4上に、形成された電極層6が乾燥した後に、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着するように構成されているから、セラミックグリーンシート2の表面に、電極ペーストを印刷して、電極層6を形成する場合のように、電極ペーストが、セラミックグリーンシート2に含まれているバインダを溶解させ、あるいは、膨潤させることがなく、また、電極ペーストがセラミックグリーンシート2中に染み込むこともなく、所望のように、セラミックグリーンシート2の表面に、電極層6を形成することが可能になる。
【0183】
また、本実施態様においては、その表面に、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1は、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させたときに、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0184】
さらに、第二の支持シート4は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第二の支持シート4には、フィラーが充填されており、したがって、第二の支持シート4の表面には、突起が形成されているが、本実施態様によれば、その表面に、電極層6およびスペーサ層7が形成されるべき第二の支持シート4として、面積0.01mm2あたりの表面に、後述する接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有する支持シートが選ばれているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させるときに、第二の支持シート4の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0185】
また、第三の支持シート9は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第三の支持シート9には、フィラーが充填されており、したがって、第三の支持シート9の表面には、突起が形成されているから、第三の支持シート9の表面に形成された接着層10を、加圧によって、セラミックグリーンシート2の表面に転写する際、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されるおそれがあるが、本実施態様によれば、第三の支持シート9が、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写するときに、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0186】
以上のようにして、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に、接着層10を介して、第二の支持シート4上に形成された電極層6およびスペーサ層7が接着されると、剥離層5から、第二の支持シート4が剥離される。
【0187】
こうして、第一の支持シート1の表面上に、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7および剥離層5が積層された積層体が形成される。
【0188】
次いで、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に、接着層シート11の接着層10を転写したのと全く同様にして、接着層シート11の接着層10が、剥離層5の表面に転写される。
【0189】
以上のようにして得られた積層体が、所定のサイズに裁断されて、第一の支持シート1の表面上に、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7、剥離層5および接着層10が積層された所定のサイズを有する積層体ユニットが作製される。
【0190】
図7は、こうして、所定のサイズに裁断された積層体ユニットの略断面図である。
【0191】
図7に示されるように、積層体ユニット20は、第一の支持シート1の表面上に形成され、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7、剥離層5および接着層10を含んでいる。
【0192】
同様にして、第一の支持シート1の表面上に、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7および剥離層5を積層し、剥離層5の表面に、接着層10を転写して、それぞれが、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7、剥離層5および接着層10を含む多数の積層体ユニット20が作製される。
【0193】
こうして作製された多数の積層体ユニット20を、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、積層することによって、積層セラミックコンデンサが作製される。
【0194】
図8は、積層体ユニット20の積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【0195】
図8に示されるように、積層体ユニット20の積層にあたっては、まず、多数の孔26が形成された基板25上に、支持体28がセットされる。
【0196】
支持体28としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられる。
【0197】
支持体28は、基板25に形成された多数の孔26を介して、エアにより吸引され、基板25上の所定の位置に固定される。
【0198】
図9は、積層体ユニット20の積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【0199】
次いで、図9に示されるように、剥離層5の表面に転写された接着層10の表面が、支持体28の表面に接触するように、積層体ユニット20が位置決めされて、積層体ユニット20の第一の支持シート1が、プレス機などによって、加圧される。
【0200】
その結果、積層体ユニット20が、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定された支持体28上に接着されて、積層される。
【0201】
図10は、積層体ユニット20の積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【0202】
積層体ユニット20が、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定された支持体28上に接着されて、積層されると、図10に示されるように、第一の支持シート1が、積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2から剥離される。
【0203】
こうして、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定されている支持体28上に積層された積層体ユニット20の剥離層5上に、さらに、積層体ユニット20が積層される。
【0204】
図11は、積層体ユニット20の積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【0205】
次いで、図11に示されるように、剥離層5の表面に転写された接着層10の表面が、基板25に固定された支持体28に接着された積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2の表面に接触するように、新たな積層体ユニット20が位置決めされて、新たな積層体ユニット20の第一の支持シート1が、プレス機などによって、加圧される。
【0206】
その結果、新たな積層体ユニット20が、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定されている支持体28上に接着された積層体ユニット20上に、積層される。
【0207】
図12は、積層体ユニット20の積層プロセスの第五のステップを示す略一部断面図である。
【0208】
新たな積層体ユニット20が、接着層10を介して、基板25上に固定されている支持体28上に接着された積層体ユニット20上に、積層されると、図12に示されるように、新たに積層された積層体ユニット20の第一の支持シート1が、積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2から剥離される。
【0209】
同様にして、積層体ユニット20が、次々に積層されて、所定の数の積層体ユニット20が、基板25に固定された支持体28上に積層されて、積層体ブロックが作製される。
【0210】
所定の数の積層体ユニット20が、基板25に固定されている支持体28上に積層されて、積層体ブロックが作製されると、基板25に固定されている支持体28上に、所定の数の積層体ユニット20が積層された積層体ブロックが、積層セラミックコンデンサの外層上に積層される。
【0211】
図13は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【0212】
図13に示されるように、まず、多数の孔31が形成された基台30上に、接着層32が形成された外層33がセットされる。
【0213】
外層33は、基台30に形成された多数の孔31を介して、エアにより吸引され、基台30上の所定の位置に固定される。
【0214】
次いで、図13に示されるように、多数の孔26を介して、エアにより吸引され、基板25上の所定の位置に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロック40が、最後に積層された積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2の表面が、外層33上に形成された接着層32の表面に接触するように、位置決めされる。
【0215】
その後、エアによる支持体28の吸引が停止されて、基板25が、積層体ブロック40を支持している支持体28から取り去られる。
【0216】
基板25が、支持体28から取り去られると、プレス機などによって、支持体28が加圧される。
【0217】
その結果、積層体ブロック40が、接着層32を介して、基台30上に固定された外層33上に接着されて、積層される。
【0218】
図14は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【0219】
積層体ブロック40が、接着層32を介して、基台30上に固定された外層33上に接着されて、積層されると、図14に示されるように、支持体28が、積層体ブロック40の接着層10から剥離される。
【0220】
こうして、接着層32を介して、基台30上に固定されている外層33上に、所定の数の積層体ユニット20が積層された積層体ブロック40が積層される。
【0221】
接着層32を介して、基台30上に固定されている外層33上に、積層体ブロック40が積層されると、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40の最上の積層体ユニット20の接着層10上に、さらに、図8ないし図12に示されたステップにしたがって、基板25に固定されている支持体28上に、所定の数の積層体ユニット20が積層されて、作製された新たな積層体ブロック40が積層される。
【0222】
図15は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【0223】
図15に示されるように、多数の孔26を介して、エアにより吸引され、基板25上の所定の位置に固定されている支持体28上に新たに積層された積層体ブロック40が、最後に積層された積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2の表面が、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40の最上の積層体ユニット20の接着層10の表面に接触するように、位置決めされる。
【0224】
次いで、エアによる支持体28の吸引が停止されて、基板25が、積層体ブロック40を支持している支持体28から取り去られる。
【0225】
基板25が、支持体28から取り去られると、プレス機などによって、支持体28が加圧される。
【0226】
その結果、新たに積層された積層体ブロック40が、接着層10を介して、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40に接着されて、積層される。
【0227】
図16は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【0228】
新たに積層された積層体ブロック40が、接着層10を介して、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40に接着されて、積層されると、図16に示されるように、支持体28が、新たに積層された積層体ブロック40の接着層10から剥離される。
【0229】
こうして、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40上に、接着層10を介して、新たに積層された積層体ブロック40が接着されて、積層される。
【0230】
同様にして、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロック40が、次々に積層されて、所定の数の積層体ブロック40、したがって、所定の数の積層体ユニット20が、積層セラミックコンデンサの外層33上に積層される。
【0231】
こうして、積層セラミックコンデンサの外層33上に、所定の数の積層体ユニット20が積層されると、他方の外層(図示せず)が、接着層を介して、接着されて、所定の数の積層体ユニット20を含む積層体が作成される。
【0232】
次いで、所定の数の積層体ユニット20を含む積層体が、所定のサイズに裁断されて、多数のセラミックグリーンチップが作製される。
【0233】
こうして作製されたセラミックグリーンチップは、還元ガス雰囲気下に置かれて、バインダが除去され、さらに、焼成される。
【0234】
次いで、焼成されたセラミックグリーンチップに、必要な外部電極などが取り付けられて、積層セラミックコンデンサが作製される。
【0235】
本実施態様によれば、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とは、接着層10を介して、接着され、従来のように、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7に含まれているバインダの粘着力や、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を利用して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着してはいないから、たとえば、約0.2MPaないし約15MPaの低い圧力で、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着することができる。
【0236】
したがって、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を防止することが可能になるから、こうして得られたセラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の積層体を積層して、積層セラミックコンデンサを作製する際の積層精度を向上させることが可能になる。
【0237】
また、本実施態様によれば、第二の支持シート4上に形成された電極層6が乾燥した後に、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着するように構成されているから、セラミックグリーンシート2の表面に、電極ペーストを印刷して、電極層6を形成する場合のように、電極ペーストが、セラミックグリーンシート2に含まれているバインダを溶解させ、あるいは、膨潤させることがなく、また、電極ペーストがセラミックグリーンシート2中に染み込むこともなく、所望のように、セラミックグリーンシート2の表面に、電極層6を形成することが可能になる。
【0238】
さらに、第一の支持シート1は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第一の支持シート1には、フィラーが充填されており、したがって、第一の支持シート1の表面には、突起が形成されているから、きわめて薄層のセラミックグリーンシート2を形成する場合には、セラミックグリーンシート2が、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、損傷され、セラミックグリーンシート2を含む多数の積層体ユニット20を積層して、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こす場合があるが、本実施態様によれば、その表面に、セラミックグリーンシート2が形成されるべき第一の支持シート1として、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させたときに、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。したがって、所定の数の積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こすことを効果的に防止することができる。
【0239】
また、第二の支持シート4も、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第二の支持シート4には、フィラーが充填されており、したがって、第二の支持シート4の表面には、突起が形成されているから、接着層10を介して、電極層6およびスペーサ層7と、セラミックグリーンシート2とを加圧して、接着する際に、セラミックグリーンシート2が、第一の支持シート1の表面に形成された突起および第二の支持シート4の表面に形成された突起によって、損傷され、セラミックグリーンシート2を含む多数の積層体ユニット20を積層して、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こす場合があるが、本実施態様によれば、その表面に、電極層6およびスペーサ層7が形成されるべき第二の支持シート4として、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有する支持シートが選ばれているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させたときに、第二の支持シート4の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。したがって、所定の数の積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こすことを効果的に防止することができる。
【0240】
さらに、第三の支持シート9は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第三の支持シート9には、フィラーが充填されており、したがって、第三の支持シート9の表面には、突起が形成されているから、第三の支持シート9の表面に形成された接着層10を、加圧によって、セラミックグリーンシート2の表面に転写する際、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されるおそれがあるが、本実施態様によれば、第三の支持シート9が、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写するときに、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0241】
また、本実施態様によれば、電極層6および電極層6よりも密度が小さく、圧縮率が高いスペーサ層7が、ts/te=1.1を満たすように形成されているから、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2上に転写する際に、一対の加圧ローラ17、18によって、スペーサ層7が圧縮されて、スペーサ層7のみならず、電極層6も、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に確実に接着され、したがって、第二の支持シート4を剥離するときに、電極層6が、第二の支持シート4とともに、セラミックグリーンシート2から剥離することを効果的に防止することができる。
【0242】
さらに、接着層10から、第三の支持シート9を剥離する際、静電気が発生し、塵埃が付着したり、接着層10が、第三の支持シート9に引き付けられ、所望のように、第三の支持シート9を、接着層10から剥離することが困難になることがあるが、本実施態様によれば、接着層10が、バインダに対して、0.01重量%ないし15重量%のイミダゾリン系界面活性剤を含んでいるから、静電気の発生を効果的に防止することが可能になる。
【0243】
【実施例】
以下、本発明の効果を、より一層明らかにするため、実施例および比較例を掲げる。
【0244】
実施例1
セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストの調製
以下の組成を有する誘電体粉末を調製した。
【0245】
BaTiO3粉末(堺化学工業株式会社製:商品名「BT−02」) 100重量部
MgCO3 0.72重量部
MnO 0.13重量部
(Ba0.6Ca0.4)SiO3 1.5重量部
Y2O3 1.0重量部
こうして調製した誘電体粉末100重量部に対して、以下の組成を有する有機ビヒクルを加え、ボールミルを用いて、20時間にわたって、混合し、セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを調製した。
【0246】
ポリビニルブチラール樹脂(バインダ) 6重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 3重量部
(DOP:可塑剤)
エタノール 78重量部
n−プロパノール 78重量部
キシレン 14重量部
ミネラルスピリット 7重量部
分散剤 0.7重量部
剥離層用の誘電体ペーストの調製
BaTiO3粉末(堺化学工業株式会社製:商品名「BT−01」)を用いた以外は、セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを調製したのと、全く同様にして、誘電体ペーストを調製し、エタノールと、プロパノールと、キシレンの混合溶液(混合比42.5:42.5:15)によって、誘電体ペーストを希釈して、剥離層用の誘電体ペーストを調製した。
【0247】
接着剤ペーストの調製
以下の組成を有する有機ビヒクルを調製し、得られた有機ビヒクルを、メチルエチルケトンによって、10倍に希釈して、接着剤用のペーストを調製した。
【0248】
ポリビニルブチラール樹脂(バインダ) 100重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 50重量部
(DOP:可塑剤)
メチルエチルケトン 900重量部
電極用のペーストの調製
100重量部の平均粒径が0.2μmのNi粒子に対して、以下の組成の溶液を加え、ボールミルによって、20時間にわたり、混合して、スラリーを得た。
【0249】
BaTiO3粉末(堺化学工業株式会社製:商品名「BT−02」) 20重量部
有機ビヒクル 58重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 50重量部
(DOP:可塑剤)
ターピネオール 5重量部
分散剤 1重量部
アセトン 45重量部
ここに、有機ビヒクルは、8重量部のポリビニルブチラール樹脂を、92重量部のターピネオールに溶解して、調製した。
【0250】
こうして得られたスラリーを、40℃で、加熱し、攪拌して、余剰のアセトンを揮発させ、電極層用のペーストを調製した。
【0251】
スペーサ層用の誘電体ペーストの調製
セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを調製するのに用いた誘電体粉末100重量部に対して、以下の組成を有する溶液を加え、ボールミルを用いて、20時間にわたり、混合して、スラリーを得た。
【0252】
有機ビヒクル 71重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 50重量部
(DOP:可塑剤)
ターピネオール 5重量部
分散剤 1重量部
アセトン 64重量部
ここに、有機ビヒクルは、8重量部のポリビニルブチラール樹脂を、92重量部のターピネオールに溶解して、調製した。
【0253】
こうして得られたスラリーを、40℃で、加熱し、攪拌して、余剰のアセトンを揮発させ、スペーサ層用のペーストを調製した。
【0254】
セラミックグリーンシートの作製
ワイヤーバーコーターを用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを塗布し、乾燥させ、1.0μmの厚さのセラミックグリーンシートを作製した。
【0255】
セラミックグリーンシートの作製に先立って、株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察したところ、0.5μm以上で、1μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認され、100mm2あたりの表面に、1μm以上の高さを有する突起の存在は認められなかった。
【0256】
剥離層、電極層およびスペーサ層の形成
ワイヤーバーコーターを用いて、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、剥離層用の誘電体ペーストを塗布し、乾燥させ、0.2μmの厚さの剥離層を形成した。
【0257】
こうして形成された剥離層の表面に、スクリーン印刷法を用いて、所定のパターンで、電極層用のペーストを印刷し、1.0μmの厚さの電極層を形成した。
【0258】
次いで、電極層が形成されていない剥離層の表面に、スクリーン印刷法を用いて、電極層と相補的なパターンで、スペーサ層用の誘電体ペーストを印刷して、0.8μmの厚さのスペーサ層を形成した。
【0259】
接着層の形成
ワイヤーバーコーターを用いて、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、接着剤ペーストを塗布し、0.1μmの厚さの接着層を形成した。
【0260】
接着層の転写
図5に示された接着・剥離装置を用いて、電極層およびスペーサ層の表面に、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された接着層を接着し、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、電極層およびスペーサ層の表面に、接着層を転写した。
【0261】
一対の加圧ローラのニップ圧力は、1MPaで、温度は、50℃であった。
【0262】
電極層およびスペーサ層の表面へのセラミックグリーンシートの転写
図6に示された接着装置を用いて、電極層およびスペーサ層の表面に形成された接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートを接着した。
【0263】
一対の加圧ローラのニップ圧力は、5MPaで、温度は、100℃であった。
【0264】
次いで、セラミックグリーンシートから、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
【0265】
接着層の転写
さらに、ワイヤーバーコーターを用いて、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、接着剤ペーストを塗布して、0.1μmの厚さの接着層を形成し、図5に示された接着・剥離装置を用いて、セラミックグリーンシートの表面に、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された接着層を接着し、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、セラミックグリーンシートの表面に、接着層を転写し、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、剥離層、電極層、スペーサ層、接着層、セラミックグリーンシートおよび接着層が積層された積層体ユニットを作製した。
【0266】
積層体ユニットの積層
ポリエチレンテレフタレートフィルムによって形成された支持体に表面に、セラミックグリーンシートの表面に転写された接着層が接触するように、積層体ユニットを位置決めし、加圧して、積層体ユニットを、支持体の表面に積層した。
【0267】
圧力は、2MPaであった。
【0268】
次いで、積層体ユニットの剥離層から、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
【0269】
積層体ブロックの作製
さらに、セラミックグリーンシートの表面に転写された接着層の表面が、支持体上に積層された積層体ユニットの剥離層の表面に接触するように、新たな積層体ユニットを位置決めして、加圧し、支持体上に積層された積層体ユニットに、新たな積層体ユニットを積層した。
【0270】
積層後、新たに積層した積層体ユニットの剥離層から、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
【0271】
同様にして、合計10の積層体ユニットを、支持体上に積層して、積層体ブロックを作製した。
【0272】
同様にして、それぞれが、10の積層体ユニットを含む3つの積層体ブロックを作製した。
【0273】
セラミックグリーンチップの作製
積層セラミックコンデンサの蓋部分を形成する外層上に、約50μmの厚さの接着層を形成し、接着層の表面に、積層体ブロックのセラミックグリーンシートが接触するように、積層体ブロックを位置決めし、加圧して、外層上に、積層体ブロックを積層した。
【0274】
積層後、積層体ブロックから、支持体を剥離した。
【0275】
さらに、外層上に積層された積層体ブロックの表面に、約50μmの厚さの接着層を形成し、外層上に積層された積層体ブロックの接着層の表面に、新たな積層体ブロックのセラミックグリーンシートが接触するように、新たな積層体ブロックを位置決めし、加圧して、外層上に積層された積層体ブロック上に、新たな積層体ブロックを積層した。
【0276】
同様にして、外層上に、合計3つの積層体ブロックを積層し、最上に積層体ブロックの表面に、約50μmの厚さの接着層を形成し、積層セラミックコンデンサの蓋部分を形成する外層を、接着層に接着した。
【0277】
こうして得られた30の積層体ユニットを含む積層体を、70℃の温度下で、100MPaの圧力で加圧して、プレス成形し、ダイシング加工機によって、所定のサイズに裁断し、セラミックグリーンチップを作製した。
【0278】
積層セラミックコンデンサの作製
こうして作製されたセラミックグリーンチップを、窒素ガスの雰囲気下において、以下の条件で処理し、バインダを除去した。
【0279】
昇温温度:50℃/時間
保持温度:250℃
保持時間:2時間
バインダを除去した後、セラミックグリーンチップを、露点20℃に制御された窒素ガスと水素ガスの混合ガスの雰囲気下において、以下の条件で処理し、焼成した。
【0280】
昇温温度:300℃/時間
保持温度:1200℃
保持時間:3時間
冷却速度:300℃/時間
さらに、焼成したセラミックグリーンチップに、露点20℃に制御された窒素ガスの雰囲気下において、以下の条件で、アニール処理を施した。
【0281】
保持時間:2時間
冷却速度:300℃/時間
こうして得られた燒結体に、端面研磨を施した後、露点20℃に制御された窒素ガスと水素ガスの混合ガスの雰囲気下において、以下の条件で、端子電極用ペーストを焼き付けて、端子電極を形成した。
【0282】
昇温温度:500℃/時間
保持温度:700℃
保持時間:10分
冷却速度:500℃/時間
さらに、端子電極上に、めっきを施して、積層セラミックコンデンサを作成した。
【0283】
以上のようにして得られた積層セラミックコンデンサのサンプルは、セラミックグリーンシートの積層数が30層であり、サイズは、長さが1.6mmで、幅が0.8mmであった。
【0284】
全く同様にして、合計100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製した。
【0285】
ショート率の測定
これらの積層セラミックコンデンサのサンプル100個について、高抵抗計を用いて、ショート不良を検査した。
【0286】
得られた抵抗値が1MΩ以下のものをショート不良とし、ショート不良が認められたサンプル数を求め、サンプル総数に対する割合(%)を算出して、ショート率を測定した。
【0287】
その結果、ショート率は5%であった。
【0288】
実施例2
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.5μm以上で、1μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在し、1μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は20%であった。
【0289】
実施例3
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.75μm以上で、1.5μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在し、1.5μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、1.5μmの厚さのセラミックグリーンシートを形成した以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は15%であった。
【0290】
実施例4
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、1.5μm以上で、3μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在し、3μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、3μmの厚さのセラミックグリーンシートを形成した以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は0%であった。
【0291】
比較例1
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.5μm以上で、1μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、3個存在し、1μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、2個存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は100%であった。
【0292】
比較例2
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.75μm以上で、1.5μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、3個存在し、1.5μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、1.5μmの厚さのセラミックグリーンシートを形成した以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は40%であった。
【0293】
実施例1ないし4および比較例1ないし3から、セラミックグリーンシートが形成されるべき第一のポリエチレンテレフタレートフィルムが、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な2以上の突起が存在する場合および面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な2以上の突起が存在する場合には、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサのショート率が高いのに対して、その表面に、セラミックグリーンシートが形成されるべき第一のポリエチレンテレフタレートフィルムが、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているときは、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷されることが防止され、積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサのショート率を大幅に低下させることが可能になることが判明した。
【0294】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0295】
たとえば、前記実施態様においては、剥離層5の表面に、電極層6およびスペーサ層7を、ts/te=1.1となるように形成している(tsはスペーサ層7の厚さであり、teは電極層6の厚さである。)が、0.7≦ts/te≦1.3となるように、好ましくは、0.8≦ts/te≦1.1、さらに好ましくは、0.9≦ts/te≦1.1となるように、電極層6およびスペーサ層7を形成すればよく、電極層6およびスペーサ層7を、ts/te=1.1となるように形成することは必ずしも必要でない。
【0296】
また、前記実施態様においては、接着剤溶液中に、イミダゾリン系界面活性剤を添加しているが、接着剤溶液中に、イミダゾリン系界面活性剤などの帯電防止剤を添加することは必ずしも必要でない。
【0297】
さらに、前記実施態様においては、図6に示された接着装置を用いて、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着させ、しかる後に、第二の支持シート4を、剥離層5から剥離しているが、図5に示された接着・剥離装置を用いて、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着させるとともに、剥離層5から、第二の支持シート4を剥離するようにしてもよい。
【0298】
【発明の効果】
本発明によれば、セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止することができ、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層体ユニットを、所望のように、製造することができる積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第一の支持シートの表面上に、セラミックグリーンシートが形成された状態を示す略一部断面図である。
【図2】図2は、その表面上に、剥離層および電極層が形成された第二の支持シートの略一部断面図である。
【図3】図3は、剥離層の表面上に、電極層およびスペーサ層が形成された状態を示す略一部断面図である。
【図4】図4は、第三の支持シートの表面上に、接着層が形成された接着層シートの略一部断面図である。
【図5】図5は、第三の支持シート上に形成された接着層を、第一の支持シート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に接着させ、接着層から第三の支持シートを剥離する接着・剥離装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【図6】図6は、セラミックグリーンシートの表面に、接着層を介して、電極層およびスペーサ層を接着する接着装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【図7】図7は、第一の支持シート上に、セラミックグリーンシート、接着層、電極層、スペーサ層、剥離層および接着層が積層された積層体ユニットの略断面図である。
【図8】図8は、積層体ユニットの積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【図9】図9は、積層体ユニットの積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【図10】図10は、積層体ユニットの積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【図11】図11は、積層体ユニットの積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【図12】図12は、積層体ユニットの積層プロセスの第五のステップを示す略一部断面図である。
【図13】図13は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【図14】図14は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【図15】図15は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【図16】図16は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【符号の説明】
1 第一の支持シート
2 セラミックグリーンシート
3 第二の支持シート
5 剥離層
6 電極層
7 スペーサ層
9 第三の支持シート
10 接着層
11 接着層シート
15、16 加圧ローラ
17、18 加圧ローラ
20 積層体ユニット
25 基板
26 孔
28 支持体
30 基台
31 孔
32 接着層
33 積層セラミックコンデンサの外層
40 積層体ブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層電子部品用の積層体ユニットの製造方法に関するものであり、さらに詳細には、セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止することができ、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層体ユニットを、所望のように、製造することができる積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器の小型化にともなって、電子機器に実装される電子部品の小型化および高性能化が要求されるようになっており、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品においても、積層数の増加、積層単位の薄層化が強く要求されている。
【0003】
積層セラミックコンデンサによって代表される積層セラミック電子部品を製造するには、まず、セラミック粉末と、アクリル樹脂、ブチラール樹脂などのバインダと、フタル酸エステル類、グリコール類、アジピン酸、燐酸エステル類などの可塑剤と、トルエン、メチルエチルケトン、アセトンなどの有機溶媒を混合分散して、誘電体ペーストを調製する。
【0004】
次いで、誘電体ペーストを、エクストルージョンコーターやグラビアコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)などによって形成された支持シート上に、塗布し、加熱して、塗膜を乾燥させ、セラミックグリーンシートを作製する。
【0005】
さらに、セラミックグリーンシート上に、ニッケルなどの電極ペーストを、スクリーン印刷機などによって、所定のパターンで、印刷し、乾燥させて、電極層を形成する。
【0006】
電極層が形成されると、電極層が形成されたセラミックグリーンシートを支持シートから剥離して、セラミックグリーンシートと電極層を含む積層体ユニットを形成し、所望の数の積層体ユニットを積層して、加圧し、得られた積層体を、チップ状に切断して、グリーンチップを作製する。
【0007】
最後に、グリーンチップからバインダを除去して、グリーンチップを焼成し、外部電極を形成することによって、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品が製造される。
【0008】
電子部品の小型化および高性能化の要請によって、現在では、積層セラミックコンデンサの層間厚さを決定するセラミックグリーンシートの厚さを3μmあるいは2μm以下にすることが要求され、300以上のセラミックグリーンシートと電極層を含む積層体ユニットを積層することが要求されている。
【0009】
しかしながら、きわめて薄いセラミックグリーンシートに、内部電極用の電極ペーストを印刷して、電極層を形成する場合には、電極ペースト中の溶剤が、セラミックグリーンシートのバインダ成分を溶解または膨潤させ、その一方で、セラミックグリーンシート中に、電極ペーストが染み込むという不具合があり、短絡不良の原因になるという問題があった。
【0010】
そこで、特開昭63−51616号公報および特開平3−250612号公報は、内部電極パターンペーストを、別の支持シートに印刷して、電極層を形成した後に、電極層を乾燥させ、乾燥した電極層を、セラミックグリーンシートの表面に熱転写する方法を提案している。
【特許文献1】特開昭63−51616号公報
【特許文献2】特開平3−250612号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、セラミックグリーンシートの表面に転写された電極層から、支持シートを剥離することが難しいという問題があった。
【0011】
また、乾燥した電極層を、セラミックグリーンシートの表面に熱転写して、接着するためには、高温下で、高い圧力を加える必要があり、したがって、セラミックグリーンシートおよび電極層が変形し、場合によっては、セラミックグリーンシートが部分的に破壊するという問題があった。
【0012】
したがって、本発明は、セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止することができ、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層体ユニットを、所望のように、製造することができる積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、第一の支持シートの表面に、セラミックグリーンシートを形成する工程と、第二の支持シートの表面に、剥離層を形成する工程と、前記剥離層の表面に、所定のパターンで、電極層を形成するとともに、前記電極層と相補的なパターンで、スペーサ層を形成する工程と、第三の支持シートの表面に、接着層を形成する工程と、前記第三の支持シート上に形成された前記接着層の表面と、前記セラミックグリーンシートの表面とを密着させて、加圧し、前記接着層を、前記セラミックグリーンシートの表面に転写する工程と、前記接着層から、前記第三の支持シートを剥離する工程と、前記第二の支持シートの表面に形成された前記電極層および前記スペーサ層と、前記第一の支持シートに形成された前記セラミックグリーンシートとを、前記接着層を介して、加圧し、接着させて、前記セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが積層された積層体ユニットを作製する工程を含み、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有することを特徴とする積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法によって達成される。
【0014】
本発明によれば、セラミックグリーンシートの表面に接着された接着層を介して、電極層およびスペーサ層を、電極層およびスペーサ層の表面に転写するように構成されているから、低い圧力で、電極層およびスペーサ層を、セラミックグリーンシートの表面に転写することができ、したがって、セラミックグリーンシートの変形および破壊を確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0015】
また、本発明によれば、電極層およびスペーサ層を、第二の支持シートの表面に形成し、乾燥させた後に、接着層を介して、セラミックグリーンシートに転写するように構成されているから、電極ペースト中の溶剤が、セラミックグリーンシートのバインダ成分を溶解または膨潤させることを確実に防止することができ、同時に、セラミックグリーンシート中に、電極ペーストが染み込むことを確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明によれば、接着層を、第三の支持シートの表面に形成し、乾燥させた後に、セラミックグリーンシートの表面に転写するように構成されているから、接着剤溶液が、セラミックグリーンシートに染み込むことを確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0017】
また、本発明によれば、接着層を、第三の支持シートの表面に形成し、乾燥させた後に、セラミックグリーンシートの表面に転写し、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートを接着するように構成されているから、接着剤溶液が、電極層およびスペーサ層に染み込むことを確実に防止して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む積層体ユニットを製造することが可能になる。
【0018】
さらに、セラミックグリーンシート上に、所定のパターンで、電極層が形成された多数の積層体ユニットを積層する場合には、電極層の表面と、電極層が形成されていないセラミックグリーンシートの表面との間に、段差が形成されているため、多数の積層体ユニットが積層された積層体が変形し、あるいは、層間剥離が発生することがあるが、本発明によれば、剥離層の表面に、電極層と相補的なパターンで、スペーサ層が形成されているから、こうして得られた多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層体が変形を起こすことを効果的に防止することが可能になるとともに、層間剥離の発生を効果的に防止することが可能になる。
【0019】
また、積層体ユニットを製造するにあたり、セラミックグリーンシートが形成される第一の支持シートは、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要になるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第一の支持シートには、フィラーが充填されており、したがって、第一の支持シートの表面には、突起が形成されているため、セラミックグリーンシートを薄層化した場合には、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧して、接着する際に、第一の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシート、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じるおそれがある。しかしながら、本発明によれば、第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、セラミックグリーンシートを薄層化した場合においても、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧して、接着する際に、第一の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じることを効果的に防止することが可能になる。
【0020】
本発明において、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起とは、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出することができる高さを有する突起を意味し、現実に、その突起が、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出しているか否かは問わない。
【0021】
また、本発明において、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起とは、セラミックグリーンシートを貫通することができる高さを有する突起を意味し、現実に、その突起が、セラミックグリーンシートを貫通しているか否かは問わない。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、前記セラミックグリーンシート中に、0.3μm以上にわたり、突出可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、前記セラミックグリーンシート中に、0.2μm以上にわたり、突出可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第二の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記接着層を介して、前記電極層および前記スペーサ層と、前記セラミックグリーンシートとを加圧したときに、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記接着層を介して、前記電極層および前記スペーサ層と、前記セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0025】
積層体ユニットを製造するにあたり、電極層およびスペーサ層が形成される第二の支持シートは、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要になるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第二の支持シートには、フィラーが充填されており、したがって、第二の支持シートの表面には、突起が形成されているため、セラミックグリーンシートを薄層化した場合には、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧して、接着する際に、第二の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じるおそれがある。しかしながら、本発明の好ましい実施態様によれば、第二の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、セラミックグリーンシートを薄層化した場合においても、接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを加圧して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートとを接着したときに、第二の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じることを効果的に防止することが可能になる。
【0026】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記接着層を前記セラミックグリーンシートの表面に転写したときに、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記接着層を前記セラミックグリーンシートの表面に転写したときに、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0027】
積層体ユニットを製造するにあたり、接着層が形成される第三の支持シートは、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要になるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第三の支持シートには、フィラーが充填されており、したがって、第三の支持シートの表面には、突起が形成されているため、セラミックグリーンシートを薄層化した場合には、第三の支持シートに形成された接着層と、セラミックグリーンシートとを密着させて、加圧し、接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写するときに、第三の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じるおそれがある。しかしながら、本発明の好ましい実施態様によれば、第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、セラミックグリーンシートを薄層化した場合においても、第三の支持シートに形成された接着層と、セラミックグリーンシートとを密着させて、加圧し、接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写するときに、第三の支持シートの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、それぞれが、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層を含む多数の積層体ユニットを積層して、作製された積層セラミック電子部品にショート不良が生じることを効果的に防止することが可能になる。
【0028】
本発明において、セラミックグリーンシートを形成するために用いる誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルを混練して、調製される。
【0029】
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、これらを混合して、用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が約0.1μmないし約3.0μm程度の粉末として用いられる。誘電体原料の粒径は、セラミックグリーンシートの厚さより小さいことが好ましい。
【0030】
有機ビヒクルに用いられるバインダは、とくに限定されるものではなく、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが用いることができるが、セラミックグリーンシートを薄層化するためには、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂が、好ましく用いられる。
【0031】
有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も、とくに限定されるものではなく、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤が用いられる。
【0032】
本発明において、誘電体ペーストは、誘電体原料と、水中に水溶性バインダを溶解させたビヒクルを混練して、生成することもできる。
【0033】
水溶性バインダは、とくに限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
【0034】
誘電体ペースト中の各成分の含有量は、とくに限定されるものではなく、たとえば、約1重量%ないし約5重量%のバインダと、約10重量%ないし約50重量%の溶剤を含むように、誘電体ペーストを調製することができる。
【0035】
誘電体ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。誘電体ペースト中に、これらの添加物を添加する場合には、総含有量を、約10重量%以下にすることが望ましい。バインダ樹脂として、ブチラール系樹脂を用いる場合には、可塑剤の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対して、約25重量部ないし約100重量部であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、生成されたセラミックグリーンシートが脆くなる傾向があり、多すぎると、可塑剤が滲み出して、取り扱いが困難になり、好ましくない。
【0036】
本発明において、セラミックグリーンシートは、誘電体ペーストを、第一の支持シート上に塗布し、乾燥して、作製される。
【0037】
誘電体ペーストは、エクストルージョンコーターやワイヤーバーコーターなどを用いて、第一の支持シート上に塗布され、塗膜が形成される。
【0038】
第一の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第一の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0039】
本発明において、第一の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されたセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有している。
【0040】
本発明において、好ましくは、第一の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されたセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、セラミックグリーンシート中に、0.3μm以上にわたり、突出する突起が1以下の表面粗さを有している。
【0041】
本発明において、さらに好ましくは、第一の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されたセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下で、かつ、セラミックグリーンシート中に、0.2μm以上にわたり、突出する突起が1以下の表面粗さを有している。
【0042】
こうして形成された塗膜は、たとえば、約50℃ないし約100°Cの温度で、約1分ないし約20分にわたって、乾燥され、支持シート上に、セラミックグリーンシートが形成される。
【0043】
本発明において、乾燥後におけるセラミックグリーンシートの厚さが3μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1.5μm以下である。
【0044】
本発明において、電極層およびスペーサ層は、第二の支持シート上に、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、印刷される。
【0045】
第二の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第二の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではなく、セラミックグリーンシートが形成される支持シートの厚さと同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0046】
本発明において、好ましくは、第二の支持シートは、面積0.01mm2あたりの表面に、後述する接着層を介して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有している。
【0047】
本発明において、第二の支持シート上に、電極層およびスペーサ層を形成するのに先立って、まず、誘電体ペーストが調製され、第二の支持シート上に塗布されて、剥離層が、第二の支持シート上に形成される。
【0048】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、好ましくは、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体と同一組成の誘電体の粒子を含んでいる。
【0049】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子以外に、バインダと、任意成分として、可塑剤および剥離剤とを含んでいる。誘電体粒子の粒径は、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでもよいが、より小さいことが好ましい。
【0050】
バインダとしては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体、または、これらのエマルジョンを用いることができる。
【0051】
剥離層を形成するための誘電体ペーストに含まれているバインダは、セラミックグリーンシートに含まれているバインダと同系であっても、同系でなくてもよいが、同系のバインダであることが好ましい。
【0052】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子100重量部に対して、好ましくは、約2.5重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約5重量部ないし約30重量部、とくに好ましくは、約8重量部ないし約30重量部のバインダを含んでいる。
【0053】
可塑剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などを挙げることができる。剥離層を形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートに含まれる可塑剤と同系であっても、同系でなくてもよい。
【0054】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部の可塑剤を含んでいる。
【0055】
剥離層を形成するための誘電体ペーストに含まれる剥離剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、パラフィン、ワックス、シリコーン油などを挙げることができる。
【0056】
剥離層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約100重量部、好ましくは、約2重量部ないし約50重量部、さらに好ましくは、約5重量部ないし約20重量部の剥離剤を含んでいる。
【0057】
本発明において、剥離層に含まれる誘電体に対するバインダの含有割合が、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体に対するバインダの含有割合と同等、あるいは、それよりも低いことが好ましい。また、剥離層に含まれる誘電体に対する可塑剤の含有割合が、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体に対する可塑剤の含有割合と同等、あるいは、高いことが好ましい。さらに、剥離層に含まれる誘電体に対する離型剤の含有割合が、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体に対する離型剤の含有割合よりも高いことが好ましい。
【0058】
このような組成を有する剥離層を形成することにより、セラミックグリーンシートをきわめて薄層化しても、剥離層の強度を、グリーンシートの破壊強度よりも低くすることができ、第二の支持シートを剥離する際に、セラミックグリーンシートが破壊されることを確実に防止することが可能になる。
【0059】
剥離層は、ワイヤーバーコーターなどを用いて、第二の支持シート上に、誘電体ペーストを塗布することによって、形成される。
【0060】
剥離層の厚さは、その上に形成される電極層の厚さ以下であることが好ましく、好ましくは、電極層の厚さの約60%以下、さらに好ましくは、電極層の厚さの約30%以下である。
【0061】
剥離層の形成後、剥離層は、たとえば、約50℃ないし約100℃で、約1分ないし約10分にわたって、乾燥される。
【0062】
剥離層が乾燥された後、剥離層の表面上に、焼成後に、内部電極層を構成する電極層が、所定パターンで形成される。
【0063】
本発明において、電極層を形成するために用いられる電極ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、焼成後に、各種導電性金属や合金からなる導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、または、レジネートなどと、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルとを混練して、調製される。
【0064】
電極ペーストを製造する際に用いる導電体材料としては、Ni、Ni合金あるいはこれらの混合物が、好ましく用いられる。導電体材料の形状は、とくに限定されるものではなく、球状でも、鱗片状でも、あるいは、これらの形状のものが混合されていてもよい。また、導電体材料の平均粒子径は、とくに限定されるものではないが、通常、約0.1μmないし約2μm、好ましくは、約0.2μmないし約1μmの導電性材料が用いられる。
【0065】
有機ビヒクルに用いられるバインダは、とくに限定されるものではなく、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、あるいはは、これらの共重合体などを用いることができるが、とくに、ポリビニルブチラールなどのブチラール系バインダが好ましく用いられる。
【0066】
電極ペーストは、導電体材料100重量部に対して、好ましくは、約2.5重量部ないし約20重量部のバインダを含んでいる。
【0067】
溶剤としては、たとえば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシンなど、公知の溶剤を用いることができる。溶剤の含有量は、電極ペースト全体に対して、好ましくは、約20重量%ないし約55重量%である。
【0068】
接着性を改善するために、電極ペーストが、可塑剤を含んでいることが好ましい。
【0069】
電極ペーストに含まれる可塑剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などを挙げることができる。電極ペーストは、バインダ100重量部に対して、好ましくは、約10重量部ないし約300重量部、さらに好ましくは、約10重量部ないし約200重量部の可塑剤を含んでいることが好ましい。
【0070】
可塑剤の添加量が多すぎると、電極層の強度が著しく低下する傾向があり、好ましくない。
【0071】
電極層は、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、第二の支持シート上に形成された剥離層の表面に、電極ペーストを印刷することによって、形成される。
【0072】
電極層の厚さは、約0.1μmないし約5μmの厚さに形成されることが好ましく、より好ましくは、約0.1μmないし約1.5μmである。
【0073】
第二の支持シート上に形成された剥離層の表面の電極層が形成されていない部分には、さらに、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、電極層と相補的なパターンで、誘電体ペーストが印刷されて、スペーサ層が形成される。
【0074】
電極層の形成に先立って、第二の支持シート上に形成された剥離層の表面に、スペーサ層を形成することもできる。
【0075】
本発明において、スペーサ層を形成するために用いる誘電体ペーストは、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストと同様にして、調製される。
【0076】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、好ましくは、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体と同一組成の誘電体の粒子を含んでいる。
【0077】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子以外に、バインダと、任意成分として、可塑剤および剥離剤とを含んでいる。誘電体粒子の粒径は、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体粒子の粒径と同じでもよいが、より小さいことが好ましい。
【0078】
バインダとしては、たとえば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体、または、これらのエマルジョンを用いることができる。
【0079】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれているバインダは、セラミックグリーンシートに含まれているバインダと同系であっても、同系でなくてもよいが、同系であることが好ましい。
【0080】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、誘電体粒子100重量部に対して、好ましくは、約2.5重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約4重量部ないし約15重量部、とくに好ましくは、約6重量部ないし約10重量部のバインダを含んでいる。
【0081】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれている可塑剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などを挙げることができる。スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートに含まれる可塑剤と同系であっても、同系でなくてもよい。
【0082】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部の可塑剤を含んでいる。
【0083】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストに含まれる剥離剤は、とくに限定されるものではなく、たとえば、パラフィン、ワックス、シリコーン油などを挙げることができる。
【0084】
スペーサ層を形成するための誘電体ペーストは、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約100重量部、好ましくは、約2重量部ないし約50重量部、より好ましくは、約5重量部ないし約20重量部の剥離剤を含んでいる。
【0085】
本発明において、電極層およびスペーサ層は、0.7≦ts/te≦1.3(tsは、スペーサ層の厚さであり、teは、電極層の厚さである。)を満たすように形成されることが好ましく、より好ましくは、0.8≦ts/te≦1.2、さらに好ましくは、0.9≦ts/te≦1.2を満たすように形成される。
【0086】
電極層およびスペーサ層は、たとえば、約70℃ないし120℃の温度で、約5分ないし約15分にわたって、乾燥される。電極層およびスペーサ層の乾燥条件は、とくに限定されるものではない。
【0087】
セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層は、接着層を介して、接着され、接着層を形成するために、第三の支持シートが用意される。
【0088】
第三の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第三の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0089】
本発明において、第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層をセラミックグリーンシートの表面に転写したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有していることが好ましい。
【0090】
接着層は、第三の支持シート上に、接着剤溶液が塗布されて、形成される。
【0091】
本発明において、接着剤溶液は、バインダと、任意成分として、可塑剤、剥離剤および帯電防止剤とを含んでいる。
【0092】
接着剤溶液は、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子と同一組成の誘電体粒子を含んでいてもよい。接着剤溶液が、誘電体粒子を含んでいる場合には、誘電体粒子のバインダ重量に対する割合が、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子のバインダ重量に対する割合より小さいことが好ましい。
【0093】
接着剤溶液に含まれるバインダは、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系であることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系でなくてもよい。
【0094】
接着剤溶液に含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤と同系であることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤と同系でなくてもよい。
【0095】
可塑剤の含有量は、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部である。
【0096】
本発明において、好ましくは、接着剤溶液は、バインダの0.01重量%ないし15重量%の帯電防止剤を含み、さらに好ましくは、バインダの0.01重量%ないし10重量%の帯電防止剤を含んでいる。
【0097】
本発明において、接着剤溶液に含まれる帯電防止剤は、吸湿性を有する有機溶剤であればよく、たとえば、エチレングリコール;ポリエチレングリコール;2−3ブタンジオール;グリセリン;イミダゾリン系界面活性剤、ポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤、カルボン酸アミジン塩系界面活性剤などの両性界面活性剤などが、接着剤溶液に含まれる帯電防止剤として使用することができる。
【0098】
これらの帯電防止剤の中では、少量で、静電気を防止することが可能であるとともに、小さい剥離力で、接着層から、第三の支持シートを剥離することが可能であるため、イミダゾリン系界面活性剤、ポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤、カルボン酸アミジン塩系界面活性剤などの両性界面活性剤が好ましく、イミダゾリン系界面活性剤は、とくに小さな剥離力で、接着層から、第三の支持シートを剥離することができるため、とくに好ましい。
【0099】
接着剤溶液は、たとえば、バーコータ、エクストルージョンコータ、リバースコータ、ディップコーター、キスコーターなどによって、第三の支持シート上に塗布され、好ましくは、約0.02μmないし約0.3μm、より好ましくは、約0.02μmないし約0.1μmの厚さの接着層が形成される。接着層の厚さが、約0.02μm未満の場合には、接着力が低下し、一方、接着層の厚さが、約0.3μmを越えると、欠陥(隙間)の発生原因となり、好ましくない。
【0100】
接着層は、たとえば、室温(25℃)ないし約80℃の温度で、約1分ないし約5分にわたって、乾燥される。接着層の乾燥条件は、とくに限定されるものではない。
【0101】
第三の支持シート上に形成された接着層は、第一の支持シート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に転写される。
【0102】
接着層の転写にあたっては、接着層が、第一の支持シート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に接触した状態で、約40℃ないし約100℃の温度下で、接着層と、セラミックグリーンシートとが、約0.2MPaないし約15MPaの圧力で、好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaの圧力で、加圧されて、接着層が、セラミックグリーンシートの表面上に転写され、その後、第三の支持シートが接着層から剥離される。
【0103】
接着層を、セラミックグリーンシートの表面に転写するにあたっては、セラミックグリーンシートが形成された第一の支持シートと、接着層が形成された第三の支持シートを、プレス機を用いて、加圧しても、一対の加圧ローラを用いて、加圧してもよいが、一対の加圧ローラによって、第一の支持シートと第三の支持シートを加圧することが好ましい。
【0104】
次いで、セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが、接着層を介して、接着される。
【0105】
セラミックグリーンシートと、スペーサ層および電極層は、接着層を介して、約40℃ないし約100℃の温度下で、約0.2MPaないし約15MPaの圧力で、好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaの圧力で、加圧されて、セラミックグリーンシートと、スペーサ層および電極層が、接着層を介して、接着される。
【0106】
好ましくは、一対の加圧ローラを用いて、セラミックグリーンシートと、接着層、電極層およびスペーサ層とが加圧されて、セラミックグリーンシートと、スペーサ層および電極層が、接着層を介して、接着される。
【0107】
セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが、接着層を介して、接着されると、第二の支持シートが、剥離層から剥離される。
【0108】
次いで、セラミックグリーンシートの表面に、第三の支持シートの表面に形成された接着層を転写したのと同様にして、剥離層の表面に、接着層が転写される。
【0109】
こうして得られた積層体が、所定のサイズに、裁断されて、第一の支持シート上に、セラミックグリーンシート、接着層、電極層、スペーサ層、剥離層および接着層が積層された積層体ユニットが作製される。
【0110】
以上のようにして、作製された多数の積層体ユニットが積層されて、積層体ブロックが作製される。
【0111】
多数の積層体ユニットの積層にあたっては、まず、支持体が、基板上に固定され、支持体の表面に、剥離層上に形成された接着層が密着するように、積層体ユニットが位置決めされて、積層体ユニット上に圧力が加えられる。
【0112】
支持体としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられる。支持体の厚さは、積層体ユニットを支持可能な厚さであれば、とくに限定されるものではない。
【0113】
支持体の表面に、剥離層上に形成された接着層が接着されると、第一の支持シートがセラミックグリーンシートから剥離される。
【0114】
さらに、新たな積層体ユニットが、剥離層の表面に形成された接着層が、支持体に接着された積層体ユニットのセラミックグリーンシートに密着するように、支持体に接着された積層体ユニット上に位置決めされて、新たな積層体ユニットが、基板に向けて、加圧され、支持体に接着された積層体ユニット上に、新たな積層体ユニットが積層される。
【0115】
次いで、新たに積層された積層体ユニットの第一の支持シートがセラミックグリーンシートから剥離される。
【0116】
同様にして、所定の数の積層体ユニットが積層されて、積層体ブロックが作製され、所定の数の積層体ブロックが積層されて、積層セラミック電子部品が製造される。
【0117】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様である積層セラミックコンデンサの製造方法につき、詳細に説明を加える。
【0118】
積層セラミックコンデンサを製造するにあたっては、まず、セラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストが調製される。
【0119】
誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルを混練して、調製される。
【0120】
調製された誘電体ペーストは、たとえば、エクストルージョンコーターやワイヤーバーコーターなどを用いて、第一の支持シート上に塗布され、塗膜が形成される。
【0121】
第一の支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第一の支持シートの厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0122】
本実施態様においては、第一の支持シート1として、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有する支持シートが選ばれて、用いられる。
【0123】
次いで、塗膜が、たとえば、約50℃ないし約100℃の温度で、約1分ないし約20分にわたって、乾燥され、第一の支持シート上に、セラミックグリーンシートが形成される。
【0124】
乾燥後におけるセラミックグリーンシート2の厚さは3μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1.5μm以下である。
【0125】
第一の支持シート1は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第一の支持シート1には、フィラーが充填されており、したがって、第一の支持シート1の表面には、突起が形成されているが、本実施態様においては、第一の支持シート1が、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することができる。
【0126】
図1は、第一の支持シートの表面上に、セラミックグリーンシートが形成された状態を示す略一部断面図である。
【0127】
実際には、第一の支持シート1は、長尺状をなし、セラミックグリーンシート2は、長尺状の第一の支持シート1の表面に、連続的に形成される。
【0128】
一方、セラミックグリーンシート2とは別に、第二の支持シートが用意されて、第二の支持シート上に、剥離層および電極層が形成される。
【0129】
図2は、その表面上に、剥離層5および電極層6が形成された第二の支持シート4の略一部断面図である。
【0130】
実際には、第二の支持シート4は、長尺状をなし、剥離層5は、長尺状の第二の支持シート4の表面に、連続的に形成され、剥離層5の表面に、電極層6が、所定のパターンで形成される。
【0131】
第二の支持シート4の表面に、剥離層5を形成するにあたっては、まず、セラミックグリーンシート2を形成する場合と同様にして、剥離層5を形成するための誘電体ペーストが調製される。
【0132】
剥離層5を形成するための誘電体ペーストは、好ましくは、セラミックグリーンシート2に含まれている誘電体と同一組成の誘電体の粒子を含んでいる。
【0133】
剥離層5を形成するための誘電体ペーストに含まれているバインダは、セラミックグリーンシート2に含まれているバインダと同系であっても、同系でなくてもよいが、同系であることが好ましい。
【0134】
こうして、誘電体ペーストが調製されると、たとえば、ワイヤーバーコーター(図示せず)を用いて、第二の支持シート4上に、誘電体ペーストが塗布され、剥離層5が形成される。
【0135】
剥離層5の厚さは、電極層6の厚さ以下であることが好ましく、好ましくは、電極層6の厚さの約60%以下、さらに好ましくは、電極層6の厚さの約30%以下である。
【0136】
第二の支持シート4としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第二の支持シート4の厚さは、とくに限定されるものではなく、第一の支持シート1の厚さと同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0137】
本実施態様においては、第二の支持シート4として、面積0.01mm2あたりの表面に、後述する接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有する支持シートが用いられる。
【0138】
すなわち、第二の支持シート4は、面積0.01mm2あたりの表面に、その高さHが(tp+ts+ta+tc/2)≦H<(tp+ts+ta+tc)を満たす突起が1以下で、かつ、面積100mm2あたりの表面に、その高さHが(tp+ts+ta+tc)≦Hを満たす突起が1以下の表面粗さを有している。ここに、tpは剥離層5の厚さであり、tsはスペーサ層7の厚さ、taは後述する接着層の厚さ、tcはセラミックグリーンシート2の厚さである。
【0139】
剥離層5の形成後、剥離層5は、たとえば、約50℃ないし約100℃で、約1分ないし約10分にわたって、乾燥される。
【0140】
剥離層5が乾燥された後、剥離層5の表面上に、焼成後に、内部電極層を構成する電極層6が、所定のパターンで形成される。
【0141】
電極層6は、約0.1μmないし約5μmの厚さに形成されることが好ましく、より好ましくは、約0.1μmないし約1.5μmである。
【0142】
電極層6を、剥離層5上に形成するに際しては、まず、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、焼成後に、各種導電性金属や合金からなる導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、または、レジネートなどと、有機溶剤中にバインダを溶解させた有機ビヒクルとを混練して、電極ペーストが調製される。
【0143】
電極ペーストを製造する際に用いる導電体材料としては、Ni、Ni合金あるいはこれらの混合物が、好ましく用いられる。
【0144】
導電体材料の平均粒子径は、とくに限定されるものではないが、通常、約0.1μmないし約2μm、好ましくは、約0.2μmないし約1μmの導電性材料が用いられる。
【0145】
電極層6は、スクリーン印刷機やグラビア印刷機などの印刷機を用いて、電極ペーストを、剥離層5上に印刷することによって形成される。
【0146】
剥離層5の表面上に、所定パターンの有する電極層6を、スクリーン印刷法やグラビア印刷法によって、形成した後に、電極層6が形成されていない剥離層5の表面に、電極層6と相補的なパターンで、スペーサ層が形成される。
【0147】
図3は、剥離層5の表面上に、電極層6およびスペーサ層7が形成された状態を示す略一部断面図である。
【0148】
スペーサ層7は、剥離層5の表面に、電極層6を形成するのに先立って、電極層6が形成されるべき部分を除く剥離層5の表面に形成することもできる。
【0149】
スペーサ層7を形成するにあたっては、セラミックグリーンシート2を作製したときに用いた誘電体ペーストと同様な組成の誘電体ペーストが調製され、スクリーン印刷法やグラビア印刷法により、誘電体ペーストが、電極層6が形成されていない剥離層5の表面に、電極層6と相補的なパターンで、印刷される。
【0150】
本実施態様においては、スペーサ層7は、ts/te=1.1になるように、剥離層5上に形成される。ここに、tsはスペーサ層7の厚さであり、teは電極層6の厚さである。
【0151】
本実施態様においては、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7は、接着層を介して、接着されるように構成されており、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1ならびに電極層6およびスペーサ層7が形成された第二の支持シート4とは別に、さらに、第三の支持シートが用意され、第三の支持シート上に、接着層が形成されて、接着層シートが作製される。
【0152】
図4は、第三の支持シート9の表面上に、接着層10が形成された接着層シート11の略一部断面図である。
【0153】
実際には、第三の支持シート9は、長尺状をなし、接着層10は、長尺状の第三の支持シート9の表面に、連続的に形成される。
【0154】
第三の支持シート9としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、その表面に、シリコン樹脂、アルキド樹脂などがコーティングされる。第三の支持シート9の厚さは、とくに限定されるものではないが、好ましくは、約5μmないし約100μmである。
【0155】
本実施態様においては、第三の支持シート9として、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有する支持シートが用いられている。
【0156】
すなわち、第三の支持シート9は、面積0.01mm2あたりの表面に、その高さHが(ta+tc/2)≦H<(ta+tc)を満たす突起が1以下で、面積100mm2あたりの表面に、その高さHが、(ta+tc)≦Hを満たす突起が1以下の表面粗さを有している。ここに、taは接着層10の厚さであり、tcはセラミックグリーンシート2の厚さである。
【0157】
接着層10を形成するにあたっては、まず、接着剤溶液が調製される。
【0158】
本実施態様においては、接着剤溶液は、バインダ、可塑剤および帯電防止剤と、任意成分として、剥離剤とを含んでいる。
【0159】
接着剤溶液は、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子と同一組成の誘電体粒子を含んでいてもよい。接着剤溶液が、誘電体粒子を含んでいる場合には、誘電体粒子のバインダ重量に対する割合が、セラミックグリーンシートに含まれている誘電体粒子のバインダ重量に対する割合より小さいことが好ましい。
【0160】
接着剤溶液に含まれるバインダは、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系のバインダであることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系でないバインダであってもよい。
【0161】
接着剤溶液に含まれる可塑剤は、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれる可塑剤と同系の可塑剤であることが好ましいが、セラミックグリーンシートを形成するための誘電体ペーストに含まれるバインダと同系でない可塑剤であってもよい。
【0162】
可塑剤の含有量は、バインダ100重量部に対して、約0重量部ないし約200重量部、好ましくは、約20重量部ないし約200重量部、さらに好ましくは、約50重量部ないし約100重量部である。
【0163】
本実施態様において、接着剤溶液は、バインダの0.01重量%ないし15重量%の帯電防止剤を含んでいる。
【0164】
本実施態様においては、帯電防止剤として、イミダゾリン系界面活性剤が用いられている。
【0165】
こうして調製された接着剤溶液は、たとえば、バーコータ、エクストルージョンコータ、リバースコータ、ディップコーター、キスコーターなどによって、第三の支持シート9上に塗布され、好ましくは、約0.02μmないし約0.3μm、より好ましくは、約0.02μmないし約0.1μmの厚さの接着層10が形成される。接着層10の厚さが、約0.02μm未満の場合には、接着力が低下し、一方、接着層10の厚さが、約0.3μmを越えると、欠陥(隙間)の発生原因となり、好ましくない。
【0166】
接着層10は、たとえば、室温(25℃)ないし約80℃の温度で、約1分ないし約5分にわたって、乾燥される。接着層10の乾燥条件は、とくに限定されるものではない。
【0167】
図5は、第三の支持シート9上に形成された接着層10を、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に接着させ、接着層10から第三の支持シート9を剥離する接着・剥離装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【0168】
図5に示されるように、本実施態様にかかる接着・剥離装置は、約40℃ないし約100℃の温度に保持された一対の加圧ローラ15、16を備えている。
【0169】
図5に示されるように、接着層10が形成された第三の支持シート9は、第三の支持シート9に加えられる引張り力によって、第三の支持シート9が、上方の加圧ローラ15に巻回されるように、斜め上方から、一対の加圧ローラ15、16間に供給され、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1は、第一の支持シート1が、下方の加圧ローラ16に接触し、セラミックグリーンシート2が、第三の支持シート9上に形成された接着層10の表面に接触するように、略水平方向に、一対の加圧ローラ15、16間に供給される。
【0170】
第一の支持シート1および第三の支持シート9の供給速度は、たとえば、2m/秒に設定され、一対の加圧ローラ15、16のニップ圧力は、好ましくは、約0.2ないし約15MPa、より好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaに設定される。
【0171】
その結果、第三の支持シート9上に形成された接着層10が、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に接着される。
【0172】
図5に示されるように、接着層10が形成された第三の支持シート9は、一対の加圧ローラ15、16の間から、斜め上方に向けて、搬送され、したがって、第三の支持シート9が、セラミックグリーンシート2の表面に接着した接着層10から剥離される。
【0173】
接着層10から、第三の支持シート9を剥離する際、静電気が発生し、塵埃が付着したり、接着層が、第三の支持シートに引き付けられ、所望のように、第三の支持シートを、接着層から剥離することが困難になることがあるが、本実施態様においては、接着層10が、バインダに対して、0.01重量%ないし15重量%のイミダゾリン系界面活性剤を含んでいるから、静電気の発生を効果的に防止することが可能になる。
【0174】
こうして、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に、接着層10が接着され、接着層10から、第三の支持シート9が剥離されると、セラミックグリーンシート2が、接着層10を介して、第二の支持シート4上に形成された電極層6およびスペーサ層7の表面に接着される。
【0175】
図6は、セラミックグリーンシート2の表面に、接着層10を介して、電極層6およびスペーサ層7を接着する接着装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【0176】
図6に示されるように、本実施態様にかかる接着装置は、約40℃ないし約100℃の温度に保持された一対の加圧ローラ17、18を備え、電極層6、スペーサ層7および接着層10が形成された第二の支持シート4は、第二の支持シート4が上方の加圧ローラ17に接触するように、一対の加圧ローラ17、18間に供給され、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1は、第一の支持シート1が下方の加圧ローラ18に接触するように、一対の加圧ローラ17、18間に供給される。
【0177】
本実施態様においては、加圧ローラ17は金属ローラによって構成され、加圧ローラ18はゴムローラによって構成されている。
【0178】
第一の支持シート1および第二の支持シート4の供給速度は、たとえば、2m/秒に設定され、一対の加圧ローラ17、18にニップ圧力は、好ましくは、約0.2ないし約15MPa、より好ましくは、約0.2MPaないし約6MPaに設定される。
【0179】
本実施態様においては、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とは、接着層10を介して、接着され、従来のように、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7に含まれているバインダの粘着力や、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を利用して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着してはいないから、たとえば、約0.2MPaないし約15MPaの低い圧力で、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着することができる。
【0180】
したがって、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を防止することが可能になるから、こうして得られたセラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の積層体を積層して、積層セラミックコンデンサを作製する際の積層精度を向上させることが可能になる。
【0181】
また、本実施態様においては、電極層6および電極層6よりも密度が小さく、圧縮率が高いスペーサ層7が、ts/te=1.1となるように形成されているから、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2上に転写する際に、加圧によって、スペーサ層7が圧縮され、接着層10を介して、電極層6およびスペーサ層7と、セラミックグリーンシート2とを確実に接着させることができ、したがって、第二の支持シート4を剥離するときに、電極層6が、第二の支持シート4とともに、剥離することを確実に防止することが可能になる。
【0182】
さらに、本実施態様においては、第二の支持シート4上に、形成された電極層6が乾燥した後に、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着するように構成されているから、セラミックグリーンシート2の表面に、電極ペーストを印刷して、電極層6を形成する場合のように、電極ペーストが、セラミックグリーンシート2に含まれているバインダを溶解させ、あるいは、膨潤させることがなく、また、電極ペーストがセラミックグリーンシート2中に染み込むこともなく、所望のように、セラミックグリーンシート2の表面に、電極層6を形成することが可能になる。
【0183】
また、本実施態様においては、その表面に、セラミックグリーンシート2が形成された第一の支持シート1は、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させたときに、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0184】
さらに、第二の支持シート4は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第二の支持シート4には、フィラーが充填されており、したがって、第二の支持シート4の表面には、突起が形成されているが、本実施態様によれば、その表面に、電極層6およびスペーサ層7が形成されるべき第二の支持シート4として、面積0.01mm2あたりの表面に、後述する接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有する支持シートが選ばれているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させるときに、第二の支持シート4の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0185】
また、第三の支持シート9は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第三の支持シート9には、フィラーが充填されており、したがって、第三の支持シート9の表面には、突起が形成されているから、第三の支持シート9の表面に形成された接着層10を、加圧によって、セラミックグリーンシート2の表面に転写する際、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されるおそれがあるが、本実施態様によれば、第三の支持シート9が、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写するときに、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0186】
以上のようにして、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に、接着層10を介して、第二の支持シート4上に形成された電極層6およびスペーサ層7が接着されると、剥離層5から、第二の支持シート4が剥離される。
【0187】
こうして、第一の支持シート1の表面上に、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7および剥離層5が積層された積層体が形成される。
【0188】
次いで、第一の支持シート1上に形成されたセラミックグリーンシート2の表面に、接着層シート11の接着層10を転写したのと全く同様にして、接着層シート11の接着層10が、剥離層5の表面に転写される。
【0189】
以上のようにして得られた積層体が、所定のサイズに裁断されて、第一の支持シート1の表面上に、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7、剥離層5および接着層10が積層された所定のサイズを有する積層体ユニットが作製される。
【0190】
図7は、こうして、所定のサイズに裁断された積層体ユニットの略断面図である。
【0191】
図7に示されるように、積層体ユニット20は、第一の支持シート1の表面上に形成され、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7、剥離層5および接着層10を含んでいる。
【0192】
同様にして、第一の支持シート1の表面上に、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7および剥離層5を積層し、剥離層5の表面に、接着層10を転写して、それぞれが、セラミックグリーンシート2、接着層10、電極層6、スペーサ層7、剥離層5および接着層10を含む多数の積層体ユニット20が作製される。
【0193】
こうして作製された多数の積層体ユニット20を、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、積層することによって、積層セラミックコンデンサが作製される。
【0194】
図8は、積層体ユニット20の積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【0195】
図8に示されるように、積層体ユニット20の積層にあたっては、まず、多数の孔26が形成された基板25上に、支持体28がセットされる。
【0196】
支持体28としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられる。
【0197】
支持体28は、基板25に形成された多数の孔26を介して、エアにより吸引され、基板25上の所定の位置に固定される。
【0198】
図9は、積層体ユニット20の積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【0199】
次いで、図9に示されるように、剥離層5の表面に転写された接着層10の表面が、支持体28の表面に接触するように、積層体ユニット20が位置決めされて、積層体ユニット20の第一の支持シート1が、プレス機などによって、加圧される。
【0200】
その結果、積層体ユニット20が、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定された支持体28上に接着されて、積層される。
【0201】
図10は、積層体ユニット20の積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【0202】
積層体ユニット20が、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定された支持体28上に接着されて、積層されると、図10に示されるように、第一の支持シート1が、積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2から剥離される。
【0203】
こうして、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定されている支持体28上に積層された積層体ユニット20の剥離層5上に、さらに、積層体ユニット20が積層される。
【0204】
図11は、積層体ユニット20の積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【0205】
次いで、図11に示されるように、剥離層5の表面に転写された接着層10の表面が、基板25に固定された支持体28に接着された積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2の表面に接触するように、新たな積層体ユニット20が位置決めされて、新たな積層体ユニット20の第一の支持シート1が、プレス機などによって、加圧される。
【0206】
その結果、新たな積層体ユニット20が、剥離層5の表面に転写された接着層10を介して、基板25上に固定されている支持体28上に接着された積層体ユニット20上に、積層される。
【0207】
図12は、積層体ユニット20の積層プロセスの第五のステップを示す略一部断面図である。
【0208】
新たな積層体ユニット20が、接着層10を介して、基板25上に固定されている支持体28上に接着された積層体ユニット20上に、積層されると、図12に示されるように、新たに積層された積層体ユニット20の第一の支持シート1が、積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2から剥離される。
【0209】
同様にして、積層体ユニット20が、次々に積層されて、所定の数の積層体ユニット20が、基板25に固定された支持体28上に積層されて、積層体ブロックが作製される。
【0210】
所定の数の積層体ユニット20が、基板25に固定されている支持体28上に積層されて、積層体ブロックが作製されると、基板25に固定されている支持体28上に、所定の数の積層体ユニット20が積層された積層体ブロックが、積層セラミックコンデンサの外層上に積層される。
【0211】
図13は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【0212】
図13に示されるように、まず、多数の孔31が形成された基台30上に、接着層32が形成された外層33がセットされる。
【0213】
外層33は、基台30に形成された多数の孔31を介して、エアにより吸引され、基台30上の所定の位置に固定される。
【0214】
次いで、図13に示されるように、多数の孔26を介して、エアにより吸引され、基板25上の所定の位置に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロック40が、最後に積層された積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2の表面が、外層33上に形成された接着層32の表面に接触するように、位置決めされる。
【0215】
その後、エアによる支持体28の吸引が停止されて、基板25が、積層体ブロック40を支持している支持体28から取り去られる。
【0216】
基板25が、支持体28から取り去られると、プレス機などによって、支持体28が加圧される。
【0217】
その結果、積層体ブロック40が、接着層32を介して、基台30上に固定された外層33上に接着されて、積層される。
【0218】
図14は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【0219】
積層体ブロック40が、接着層32を介して、基台30上に固定された外層33上に接着されて、積層されると、図14に示されるように、支持体28が、積層体ブロック40の接着層10から剥離される。
【0220】
こうして、接着層32を介して、基台30上に固定されている外層33上に、所定の数の積層体ユニット20が積層された積層体ブロック40が積層される。
【0221】
接着層32を介して、基台30上に固定されている外層33上に、積層体ブロック40が積層されると、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40の最上の積層体ユニット20の接着層10上に、さらに、図8ないし図12に示されたステップにしたがって、基板25に固定されている支持体28上に、所定の数の積層体ユニット20が積層されて、作製された新たな積層体ブロック40が積層される。
【0222】
図15は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【0223】
図15に示されるように、多数の孔26を介して、エアにより吸引され、基板25上の所定の位置に固定されている支持体28上に新たに積層された積層体ブロック40が、最後に積層された積層体ユニット20のセラミックグリーンシート2の表面が、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40の最上の積層体ユニット20の接着層10の表面に接触するように、位置決めされる。
【0224】
次いで、エアによる支持体28の吸引が停止されて、基板25が、積層体ブロック40を支持している支持体28から取り去られる。
【0225】
基板25が、支持体28から取り去られると、プレス機などによって、支持体28が加圧される。
【0226】
その結果、新たに積層された積層体ブロック40が、接着層10を介して、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40に接着されて、積層される。
【0227】
図16は、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【0228】
新たに積層された積層体ブロック40が、接着層10を介して、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40に接着されて、積層されると、図16に示されるように、支持体28が、新たに積層された積層体ブロック40の接着層10から剥離される。
【0229】
こうして、基台30上に固定されている外層33上に積層された積層体ブロック40上に、接着層10を介して、新たに積層された積層体ブロック40が接着されて、積層される。
【0230】
同様にして、基板25に固定されている支持体28上に積層された積層体ブロック40が、次々に積層されて、所定の数の積層体ブロック40、したがって、所定の数の積層体ユニット20が、積層セラミックコンデンサの外層33上に積層される。
【0231】
こうして、積層セラミックコンデンサの外層33上に、所定の数の積層体ユニット20が積層されると、他方の外層(図示せず)が、接着層を介して、接着されて、所定の数の積層体ユニット20を含む積層体が作成される。
【0232】
次いで、所定の数の積層体ユニット20を含む積層体が、所定のサイズに裁断されて、多数のセラミックグリーンチップが作製される。
【0233】
こうして作製されたセラミックグリーンチップは、還元ガス雰囲気下に置かれて、バインダが除去され、さらに、焼成される。
【0234】
次いで、焼成されたセラミックグリーンチップに、必要な外部電極などが取り付けられて、積層セラミックコンデンサが作製される。
【0235】
本実施態様によれば、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とは、接着層10を介して、接着され、従来のように、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7に含まれているバインダの粘着力や、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を利用して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着してはいないから、たとえば、約0.2MPaないし約15MPaの低い圧力で、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを接着することができる。
【0236】
したがって、セラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の変形を防止することが可能になるから、こうして得られたセラミックグリーンシート2、電極層6およびスペーサ層7の積層体を積層して、積層セラミックコンデンサを作製する際の積層精度を向上させることが可能になる。
【0237】
また、本実施態様によれば、第二の支持シート4上に形成された電極層6が乾燥した後に、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着するように構成されているから、セラミックグリーンシート2の表面に、電極ペーストを印刷して、電極層6を形成する場合のように、電極ペーストが、セラミックグリーンシート2に含まれているバインダを溶解させ、あるいは、膨潤させることがなく、また、電極ペーストがセラミックグリーンシート2中に染み込むこともなく、所望のように、セラミックグリーンシート2の表面に、電極層6を形成することが可能になる。
【0238】
さらに、第一の支持シート1は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第一の支持シート1には、フィラーが充填されており、したがって、第一の支持シート1の表面には、突起が形成されているから、きわめて薄層のセラミックグリーンシート2を形成する場合には、セラミックグリーンシート2が、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、損傷され、セラミックグリーンシート2を含む多数の積層体ユニット20を積層して、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こす場合があるが、本実施態様によれば、その表面に、セラミックグリーンシート2が形成されるべき第一の支持シート1として、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させたときに、第一の支持シート1の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。したがって、所定の数の積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こすことを効果的に防止することができる。
【0239】
また、第二の支持シート4も、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第二の支持シート4には、フィラーが充填されており、したがって、第二の支持シート4の表面には、突起が形成されているから、接着層10を介して、電極層6およびスペーサ層7と、セラミックグリーンシート2とを加圧して、接着する際に、セラミックグリーンシート2が、第一の支持シート1の表面に形成された突起および第二の支持シート4の表面に形成された突起によって、損傷され、セラミックグリーンシート2を含む多数の積層体ユニット20を積層して、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こす場合があるが、本実施態様によれば、その表面に、電極層6およびスペーサ層7が形成されるべき第二の支持シート4として、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層とを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下である表面粗さを有する支持シートが選ばれているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7とを加圧して、セラミックグリーンシート2と、電極層6およびスペーサ層7を接着させたときに、第二の支持シート4の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。したがって、所定の数の積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサがショート不良を起こすことを効果的に防止することができる。
【0240】
さらに、第三の支持シート9は、積層体ユニットを製造するに際して、ローラから繰り出し、ローラに巻き取ることが必要とされるため、繰り出し時および巻き取り時に、ローラとの間で、所定の摩擦力が生成されるように、第三の支持シート9には、フィラーが充填されており、したがって、第三の支持シート9の表面には、突起が形成されているから、第三の支持シート9の表面に形成された接着層10を、加圧によって、セラミックグリーンシート2の表面に転写する際、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されるおそれがあるが、本実施態様によれば、第三の支持シート9が、面積0.01mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2中に、セラミックグリーンシート2の厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写したときに、セラミックグリーンシート2を貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているから、第一の支持シート1の表面上に、きわめて薄いグリーンシート2を形成した場合においても、接着層10をセラミックグリーンシート2の表面に転写するときに、第三の支持シート9の表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシート2が損傷されることを効果的に防止することが可能になる。
【0241】
また、本実施態様によれば、電極層6および電極層6よりも密度が小さく、圧縮率が高いスペーサ層7が、ts/te=1.1を満たすように形成されているから、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2上に転写する際に、一対の加圧ローラ17、18によって、スペーサ層7が圧縮されて、スペーサ層7のみならず、電極層6も、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に確実に接着され、したがって、第二の支持シート4を剥離するときに、電極層6が、第二の支持シート4とともに、セラミックグリーンシート2から剥離することを効果的に防止することができる。
【0242】
さらに、接着層10から、第三の支持シート9を剥離する際、静電気が発生し、塵埃が付着したり、接着層10が、第三の支持シート9に引き付けられ、所望のように、第三の支持シート9を、接着層10から剥離することが困難になることがあるが、本実施態様によれば、接着層10が、バインダに対して、0.01重量%ないし15重量%のイミダゾリン系界面活性剤を含んでいるから、静電気の発生を効果的に防止することが可能になる。
【0243】
【実施例】
以下、本発明の効果を、より一層明らかにするため、実施例および比較例を掲げる。
【0244】
実施例1
セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストの調製
以下の組成を有する誘電体粉末を調製した。
【0245】
BaTiO3粉末(堺化学工業株式会社製:商品名「BT−02」) 100重量部
MgCO3 0.72重量部
MnO 0.13重量部
(Ba0.6Ca0.4)SiO3 1.5重量部
Y2O3 1.0重量部
こうして調製した誘電体粉末100重量部に対して、以下の組成を有する有機ビヒクルを加え、ボールミルを用いて、20時間にわたって、混合し、セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを調製した。
【0246】
ポリビニルブチラール樹脂(バインダ) 6重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 3重量部
(DOP:可塑剤)
エタノール 78重量部
n−プロパノール 78重量部
キシレン 14重量部
ミネラルスピリット 7重量部
分散剤 0.7重量部
剥離層用の誘電体ペーストの調製
BaTiO3粉末(堺化学工業株式会社製:商品名「BT−01」)を用いた以外は、セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを調製したのと、全く同様にして、誘電体ペーストを調製し、エタノールと、プロパノールと、キシレンの混合溶液(混合比42.5:42.5:15)によって、誘電体ペーストを希釈して、剥離層用の誘電体ペーストを調製した。
【0247】
接着剤ペーストの調製
以下の組成を有する有機ビヒクルを調製し、得られた有機ビヒクルを、メチルエチルケトンによって、10倍に希釈して、接着剤用のペーストを調製した。
【0248】
ポリビニルブチラール樹脂(バインダ) 100重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 50重量部
(DOP:可塑剤)
メチルエチルケトン 900重量部
電極用のペーストの調製
100重量部の平均粒径が0.2μmのNi粒子に対して、以下の組成の溶液を加え、ボールミルによって、20時間にわたり、混合して、スラリーを得た。
【0249】
BaTiO3粉末(堺化学工業株式会社製:商品名「BT−02」) 20重量部
有機ビヒクル 58重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 50重量部
(DOP:可塑剤)
ターピネオール 5重量部
分散剤 1重量部
アセトン 45重量部
ここに、有機ビヒクルは、8重量部のポリビニルブチラール樹脂を、92重量部のターピネオールに溶解して、調製した。
【0250】
こうして得られたスラリーを、40℃で、加熱し、攪拌して、余剰のアセトンを揮発させ、電極層用のペーストを調製した。
【0251】
スペーサ層用の誘電体ペーストの調製
セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを調製するのに用いた誘電体粉末100重量部に対して、以下の組成を有する溶液を加え、ボールミルを用いて、20時間にわたり、混合して、スラリーを得た。
【0252】
有機ビヒクル 71重量部
フタル酸ビス(2エチルヘキシル) 50重量部
(DOP:可塑剤)
ターピネオール 5重量部
分散剤 1重量部
アセトン 64重量部
ここに、有機ビヒクルは、8重量部のポリビニルブチラール樹脂を、92重量部のターピネオールに溶解して、調製した。
【0253】
こうして得られたスラリーを、40℃で、加熱し、攪拌して、余剰のアセトンを揮発させ、スペーサ層用のペーストを調製した。
【0254】
セラミックグリーンシートの作製
ワイヤーバーコーターを用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、セラミックグリーンシート用の誘電体ペーストを塗布し、乾燥させ、1.0μmの厚さのセラミックグリーンシートを作製した。
【0255】
セラミックグリーンシートの作製に先立って、株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察したところ、0.5μm以上で、1μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認され、100mm2あたりの表面に、1μm以上の高さを有する突起の存在は認められなかった。
【0256】
剥離層、電極層およびスペーサ層の形成
ワイヤーバーコーターを用いて、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、剥離層用の誘電体ペーストを塗布し、乾燥させ、0.2μmの厚さの剥離層を形成した。
【0257】
こうして形成された剥離層の表面に、スクリーン印刷法を用いて、所定のパターンで、電極層用のペーストを印刷し、1.0μmの厚さの電極層を形成した。
【0258】
次いで、電極層が形成されていない剥離層の表面に、スクリーン印刷法を用いて、電極層と相補的なパターンで、スペーサ層用の誘電体ペーストを印刷して、0.8μmの厚さのスペーサ層を形成した。
【0259】
接着層の形成
ワイヤーバーコーターを用いて、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、接着剤ペーストを塗布し、0.1μmの厚さの接着層を形成した。
【0260】
接着層の転写
図5に示された接着・剥離装置を用いて、電極層およびスペーサ層の表面に、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された接着層を接着し、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、電極層およびスペーサ層の表面に、接着層を転写した。
【0261】
一対の加圧ローラのニップ圧力は、1MPaで、温度は、50℃であった。
【0262】
電極層およびスペーサ層の表面へのセラミックグリーンシートの転写
図6に示された接着装置を用いて、電極層およびスペーサ層の表面に形成された接着層を介して、電極層およびスペーサ層と、セラミックグリーンシートを接着した。
【0263】
一対の加圧ローラのニップ圧力は、5MPaで、温度は、100℃であった。
【0264】
次いで、セラミックグリーンシートから、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
【0265】
接着層の転写
さらに、ワイヤーバーコーターを用いて、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、接着剤ペーストを塗布して、0.1μmの厚さの接着層を形成し、図5に示された接着・剥離装置を用いて、セラミックグリーンシートの表面に、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された接着層を接着し、第三のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、セラミックグリーンシートの表面に、接着層を転写し、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、剥離層、電極層、スペーサ層、接着層、セラミックグリーンシートおよび接着層が積層された積層体ユニットを作製した。
【0266】
積層体ユニットの積層
ポリエチレンテレフタレートフィルムによって形成された支持体に表面に、セラミックグリーンシートの表面に転写された接着層が接触するように、積層体ユニットを位置決めし、加圧して、積層体ユニットを、支持体の表面に積層した。
【0267】
圧力は、2MPaであった。
【0268】
次いで、積層体ユニットの剥離層から、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
【0269】
積層体ブロックの作製
さらに、セラミックグリーンシートの表面に転写された接着層の表面が、支持体上に積層された積層体ユニットの剥離層の表面に接触するように、新たな積層体ユニットを位置決めして、加圧し、支持体上に積層された積層体ユニットに、新たな積層体ユニットを積層した。
【0270】
積層後、新たに積層した積層体ユニットの剥離層から、第二のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
【0271】
同様にして、合計10の積層体ユニットを、支持体上に積層して、積層体ブロックを作製した。
【0272】
同様にして、それぞれが、10の積層体ユニットを含む3つの積層体ブロックを作製した。
【0273】
セラミックグリーンチップの作製
積層セラミックコンデンサの蓋部分を形成する外層上に、約50μmの厚さの接着層を形成し、接着層の表面に、積層体ブロックのセラミックグリーンシートが接触するように、積層体ブロックを位置決めし、加圧して、外層上に、積層体ブロックを積層した。
【0274】
積層後、積層体ブロックから、支持体を剥離した。
【0275】
さらに、外層上に積層された積層体ブロックの表面に、約50μmの厚さの接着層を形成し、外層上に積層された積層体ブロックの接着層の表面に、新たな積層体ブロックのセラミックグリーンシートが接触するように、新たな積層体ブロックを位置決めし、加圧して、外層上に積層された積層体ブロック上に、新たな積層体ブロックを積層した。
【0276】
同様にして、外層上に、合計3つの積層体ブロックを積層し、最上に積層体ブロックの表面に、約50μmの厚さの接着層を形成し、積層セラミックコンデンサの蓋部分を形成する外層を、接着層に接着した。
【0277】
こうして得られた30の積層体ユニットを含む積層体を、70℃の温度下で、100MPaの圧力で加圧して、プレス成形し、ダイシング加工機によって、所定のサイズに裁断し、セラミックグリーンチップを作製した。
【0278】
積層セラミックコンデンサの作製
こうして作製されたセラミックグリーンチップを、窒素ガスの雰囲気下において、以下の条件で処理し、バインダを除去した。
【0279】
昇温温度:50℃/時間
保持温度:250℃
保持時間:2時間
バインダを除去した後、セラミックグリーンチップを、露点20℃に制御された窒素ガスと水素ガスの混合ガスの雰囲気下において、以下の条件で処理し、焼成した。
【0280】
昇温温度:300℃/時間
保持温度:1200℃
保持時間:3時間
冷却速度:300℃/時間
さらに、焼成したセラミックグリーンチップに、露点20℃に制御された窒素ガスの雰囲気下において、以下の条件で、アニール処理を施した。
【0281】
保持時間:2時間
冷却速度:300℃/時間
こうして得られた燒結体に、端面研磨を施した後、露点20℃に制御された窒素ガスと水素ガスの混合ガスの雰囲気下において、以下の条件で、端子電極用ペーストを焼き付けて、端子電極を形成した。
【0282】
昇温温度:500℃/時間
保持温度:700℃
保持時間:10分
冷却速度:500℃/時間
さらに、端子電極上に、めっきを施して、積層セラミックコンデンサを作成した。
【0283】
以上のようにして得られた積層セラミックコンデンサのサンプルは、セラミックグリーンシートの積層数が30層であり、サイズは、長さが1.6mmで、幅が0.8mmであった。
【0284】
全く同様にして、合計100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製した。
【0285】
ショート率の測定
これらの積層セラミックコンデンサのサンプル100個について、高抵抗計を用いて、ショート不良を検査した。
【0286】
得られた抵抗値が1MΩ以下のものをショート不良とし、ショート不良が認められたサンプル数を求め、サンプル総数に対する割合(%)を算出して、ショート率を測定した。
【0287】
その結果、ショート率は5%であった。
【0288】
実施例2
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.5μm以上で、1μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在し、1μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は20%であった。
【0289】
実施例3
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.75μm以上で、1.5μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在し、1.5μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、1.5μmの厚さのセラミックグリーンシートを形成した以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は15%であった。
【0290】
実施例4
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、1.5μm以上で、3μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、1個だけ存在し、3μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個だけ存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、3μmの厚さのセラミックグリーンシートを形成した以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は0%であった。
【0291】
比較例1
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.5μm以上で、1μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、3個存在し、1μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、2個存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は100%であった。
【0292】
比較例2
株式会社キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8550」(商品名)を用いて、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面を観察した結果、0.75μm以上で、1.5μm未満の高さを有する突起が、0.01mm2あたりの表面に、3個存在し、1.5μm以上の高さを有する突起が、100mm2あたりの表面に、1個存在することが確認された第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、1.5μmの厚さのセラミックグリーンシートを形成した以外は、実施例1と同様にして、100個の積層セラミックコンデンサのサンプルを作製し、ショート率を測定したところ、ショート率は40%であった。
【0293】
実施例1ないし4および比較例1ないし3から、セラミックグリーンシートが形成されるべき第一のポリエチレンテレフタレートフィルムが、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な2以上の突起が存在する場合および面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な2以上の突起が存在する場合には、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷され、積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサのショート率が高いのに対して、その表面に、セラミックグリーンシートが形成されるべき第一のポリエチレンテレフタレートフィルムが、面積0.01mm2あたりの表面に、その表面に形成されるべきセラミックグリーンシート中に、セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、面積100mm2あたりの表面に、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有しているときは、第一のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された突起によって、セラミックグリーンシートが損傷されることが防止され、積層体ユニットが積層されて、作製された積層セラミックコンデンサのショート率を大幅に低下させることが可能になることが判明した。
【0294】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0295】
たとえば、前記実施態様においては、剥離層5の表面に、電極層6およびスペーサ層7を、ts/te=1.1となるように形成している(tsはスペーサ層7の厚さであり、teは電極層6の厚さである。)が、0.7≦ts/te≦1.3となるように、好ましくは、0.8≦ts/te≦1.1、さらに好ましくは、0.9≦ts/te≦1.1となるように、電極層6およびスペーサ層7を形成すればよく、電極層6およびスペーサ層7を、ts/te=1.1となるように形成することは必ずしも必要でない。
【0296】
また、前記実施態様においては、接着剤溶液中に、イミダゾリン系界面活性剤を添加しているが、接着剤溶液中に、イミダゾリン系界面活性剤などの帯電防止剤を添加することは必ずしも必要でない。
【0297】
さらに、前記実施態様においては、図6に示された接着装置を用いて、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着させ、しかる後に、第二の支持シート4を、剥離層5から剥離しているが、図5に示された接着・剥離装置を用いて、電極層6およびスペーサ層7を、接着層10を介して、セラミックグリーンシート2の表面に接着させるとともに、剥離層5から、第二の支持シート4を剥離するようにしてもよい。
【0298】
【発明の効果】
本発明によれば、セラミックグリーンシートの変形および破壊を防止するとともに、電極ペースト中の溶剤がセラミックグリーンシート中に染み込むことを防止することができ、セラミックグリーンシートと電極層とが積層された積層体ユニットを、所望のように、製造することができる積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第一の支持シートの表面上に、セラミックグリーンシートが形成された状態を示す略一部断面図である。
【図2】図2は、その表面上に、剥離層および電極層が形成された第二の支持シートの略一部断面図である。
【図3】図3は、剥離層の表面上に、電極層およびスペーサ層が形成された状態を示す略一部断面図である。
【図4】図4は、第三の支持シートの表面上に、接着層が形成された接着層シートの略一部断面図である。
【図5】図5は、第三の支持シート上に形成された接着層を、第一の支持シート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に接着させ、接着層から第三の支持シートを剥離する接着・剥離装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【図6】図6は、セラミックグリーンシートの表面に、接着層を介して、電極層およびスペーサ層を接着する接着装置の好ましい実施態様を示す略断面図である。
【図7】図7は、第一の支持シート上に、セラミックグリーンシート、接着層、電極層、スペーサ層、剥離層および接着層が積層された積層体ユニットの略断面図である。
【図8】図8は、積層体ユニットの積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【図9】図9は、積層体ユニットの積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【図10】図10は、積層体ユニットの積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【図11】図11は、積層体ユニットの積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【図12】図12は、積層体ユニットの積層プロセスの第五のステップを示す略一部断面図である。
【図13】図13は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第一のステップを示す略一部断面図である。
【図14】図14は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第二のステップを示す略一部断面図である。
【図15】図15は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第三のステップを示す略一部断面図である。
【図16】図16は、基板に固定されている支持シート上に積層された積層体ブロックを、積層セラミックコンデンサの外層上に積層する積層プロセスの第四のステップを示す略一部断面図である。
【符号の説明】
1 第一の支持シート
2 セラミックグリーンシート
3 第二の支持シート
5 剥離層
6 電極層
7 スペーサ層
9 第三の支持シート
10 接着層
11 接着層シート
15、16 加圧ローラ
17、18 加圧ローラ
20 積層体ユニット
25 基板
26 孔
28 支持体
30 基台
31 孔
32 接着層
33 積層セラミックコンデンサの外層
40 積層体ブロック
Claims (11)
- 第一の支持シートの表面に、セラミックグリーンシートを形成する工程と、第二の支持シートの表面に、剥離層を形成する工程と、前記剥離層の表面に、所定のパターンで、電極層を形成するとともに、前記電極層と相補的なパターンで、スペーサ層を形成する工程と、第三の支持シートの表面に、接着層を形成する工程と、前記第三の支持シート上に形成された前記接着層の表面と、前記セラミックグリーンシートの表面とを密着させて、加圧し、前記接着層を、前記セラミックグリーンシートの表面に転写する工程と、前記接着層から、前記第三の支持シートを剥離する工程と、前記第二の支持シートの表面に形成された前記電極層および前記スペーサ層と、前記第一の支持シートに形成された前記セラミックグリーンシートとを、前記接着層を介して、加圧し、接着させて、前記セラミックグリーンシートと、電極層およびスペーサ層とが積層された積層体ユニットを作製する工程を含み、前記第一の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有することを特徴とする積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記第二の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記接着層を介して、前記電極層および前記スペーサ層と、前記セラミックグリーンシートとを加圧したときに、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたって、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記接着層を介して、前記電極層および前記スペーサ層と、前記セラミックグリーンシートとを加圧したときに、セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有することを特徴とする請求項1に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記第三の支持シートが、面積0.01mm2あたりの表面に、前記接着層を前記セラミックグリーンシートの表面に転写したときに、前記セラミックグリーンシート中に、前記セラミックグリーンシートの厚さの1/2以上にわたり、突出可能な突起が1以下であり、かつ、面積100mm2あたりの表面に、前記接着層を前記セラミックグリーンシートの表面に転写したときに、前記セラミックグリーンシートを貫通可能な突起が1以下の表面粗さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記セラミックグリーンシートを、3μm以下の厚さに形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記セラミックグリーンシートを、1.5μm以下の厚さに形成することを特徴とする請求項4に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記第一の支持シートの表面に形成された前記セラミックグリーンシートと、前記第二の支持シートの表面に形成された前記電極層および前記スペーサ層とを、前記接着層を介して、0.2MPaないし15MPaの圧力で、加圧し、接着させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記第三の支持シートに形成された前記接着層の表面と、前記セラミックグリーンシートの表面とを密着させて、0.2MPaないし15MPaの圧力で、加圧し、前記接着層を、前記セラミックグリーンシートの表面に転写することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記剥離層の表面に、前記電極層を形成した後に、前記電極層と相補的なパターンで、前記スペーサ層を前記剥離層の表面に形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記剥離層の表面に、前記剥離層の表面に形成すべき前記電極層と相補的なパターンで、前記スペーサ層を形成した後に、前記剥離層の表面に、前記電極層を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記接着層が、前記セラミックグリーンシートに含まれているバインダと同系のバインダを含んでいることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
- 前記接着層を、0.1μm以下の厚さに形成することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法。
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