JP2004304004A - 量子演算素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】量子演算素子において制御ノット操作を可能とする。
【解決手段】核スピンモーメントが3/2以上である元素を含む固体材料を用いて作成したホールバー型の素子。一方向に延在する第1のメサ部23と、その中央付近Pから延びる第2のメサ部25a及び第3のメサ部25bとを有する。第2及び第3のメサ部25a・25bの延在方向は、第1のメサ部23の延在方向に対して、略45度の角度を有している。第1のメサ部23の両端には、点Pからみて図示左側の端部にソース電極Sが、右側の端部に第2電圧端子E2が形成されている。点Pからみて左側に延びる第3のメサ部23bの端部には第1電圧端子E1が形成され、点Pからみて図示右側に延びる第2のメサ部23aの端部にはドレイン電極Dが形成されている。さらに、点Pからみて図示左側であってソース電極Sよりも点Pに近い方に第1のショットキーゲート電極G1が、点Pからみて図示右側であって第2電圧端子E2よりも点Pに近い方に第2のショットキーゲート電極G2が形成されている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、量子計算機の基本素子となる量子演算素子に関し、特に、固体材料の原子核スピンに依存する特性を利用する量子演算素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
量子演算素子を用いた量子計算機は超並列的な演算処理を行うことができるため、従来の古典計算機に比べて飛躍的に速い計算速度が実現できるものと期待されている。量子計算機を用いると、現在の最速の古典計算機を用いても数十億年を要し事実上計算が不可能である問題、例えば、200桁の整数の因数分解などの処理がほんの数分で計算可能と予測されている。量子計算機では、古典的なビット「0」および「1」の代わりに、|0〉状態と|1〉状態の重ね合わせ状態を取りうる量子ビットを使用して、超並列的に計算を実行する。量子ビットの状態は、|0〉状態と|1〉状態の重ね合わせとして、以下の式で表すことができる。
|a〉=cos(θ/2)|0〉+exp(iα)sin(θ/2)|1〉
ここで、θは|0〉状態と|1〉状態との重み付けを決定するパラメータであり、αはその位相に関するパラメータである。
【0003】
全ての量子計算アルゴリズムは、「位相シフタ」と「制御ノット」との2つの基本操作により行うことができる。「位相シフタ」は1つの量子ビットに対する量子操作であり、量子ビットの|0〉状態と|1〉状態の割合αや位相θを変化させる操作である。「制御ノット」は2つの量子ビットに対する量子操作であり、制御ビット|a〉と信号ビット|b〉とに対して、制御ビットが|1〉の場合のみ信号ビットに対して|0〉と|1〉を入れ替えるノット操作を行う。
【0004】
静磁場中の原子核スピンは、上向きスピン状態と下向きスピン状態から構成される二準位系を形成し、そのエネルギー間隔に相当する周波数の高周波磁場を印加することにより、核磁気共鳴が生じ量子状態の重ね合わせを制御することができる。これまでに、溶液中分子の原子核スピンを核磁気共鳴で制御することにより7量子ビットの量子アルゴリズムが実現されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、実用的な量子計算機の実現に必要な多量子ビットを作製するためには、拡張性の高い固体材料を用い、固体材料における原子核スピンを利用した量子ビット素子の実現が必要不可欠である。
【0006】
量子ホール素子において、固体中の核スピンをコヒーレントに制御することによる「位相シフタ」の量子操作が実現されている。具体的には、量子ホール端状態における電子スピン・核スピン間の超微細相互作用を通じて、半導体素子中の局所領域にある核スピンを初期化し、初期化した核スピン近傍に作製した微細金属コイルを用いて核磁気共鳴を引き起こして「位相シフタ」の量子操作を行う。「位相シフタ」の量子操作後における核スピン状態を、量子ホール端状態における電子輸送特性を測定することにより電気的に検出する(例えば、非特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】
L. M. K. Vandersypen et al. Nature 414, 883 (2001).
【非特許文献2】
T. Machida et al. Appl. Phys. Lett. 82, 409 (2003).
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、量子計算の実行に必要不可欠なもう一つの操作である「制御ノット」操作を実現する方法は提案されていなかった。本発明は、固体材料における原子核スピンを利用した量子ビット素子において制御ノット操作を可能にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、核スピンモーメントが3/2以上である第1元素を含む固体材料と、該固体材料に形成され前記第1元素の原子核スピンに基づく量子準位の重ね合わせ状態を核磁気共鳴により制御する制御手段とを有する量子演算素子が提供される。制御手段は、例えば、高周波磁場印加手段である。
【0010】
さらに、上記量子演算素子に外部静磁場を印加すると、前記第1元素の原子核スピンに基づく量子準位が四準位系を形成する。核スピンモーメントがIである元素の核スピンは2I+1個のエネルギー準位を形成する。例えば、I=3/2の場合には、外部磁場中で四準位系を形成する。外部の静磁場は超電導磁石などによって与える。
【0011】
尚、量子ホール状態になるのは電子系であり、一方、四準位系を形成するのは固体材料の原子核スピンである。量子演算において制御するのは核スピン系である。量子演算は初期化・制御・読み出しの3つのステップから成るが、初期化と読み出しのプロセスで、量子ホール端状態における電子スピン−核スピン相互作用を利用する。制御のプロセスでは電子系は関係なく、核スピン系における核磁気共鳴を利用する。
【0012】
前記固体材料は、電気四重極相互作用を有しており、該電気四重極相互作用によって、前記四準位系の量子準位におけるエネルギー準位の間隔の縮退を解くことにより、「制御ノット」操作を実現するための以下のような量子準位を形成する。等間隔の4つのエネルギー準位のうち、最も高い方の2つのエネルギー準位間の間隔が高い方がより高くなり低い方がより低くなることによって広がり、最も低い方のエネルギー準位間の間隔が高い方が低くなり、低い方が高くなることによって狭くなる。これにより、各量子準位間の遷移を全て独立に制御できる。
【0013】
前記固体材料に二次元キャリアによる伝導状態を形成し、前記外部静磁場を前記二次元キャリアが形成される面の略法線方向に印加することによりランダウ準位充填率が2の量子ホール状態を形成し、前記制御手段により前記静磁場の向きに略垂直な方向の高周波磁場又は高周波電場を印加することにより二量子遷移核磁気共鳴を可能とする。すなわち、量子ホール系における核磁気共鳴では通常の核磁気共鳴では禁制遷移である二量子遷移核磁気共鳴が観測されることを利用して、二量子ビットに対する「制御ノット」操作を実現することができる。
【0014】
さらに、前記二次元キャリア系の上に設けられたショットキーゲートを用いて該ゲートの下部領域のキャリア系のランダウ準位充填率を調整することによって、量子ホール端状態間に非平衡分布を導入する電圧印加手段を有する。
【0015】
電圧印加手段に電圧を印加することにより、2本の端状態のうち、内側の端状態のみを電圧印加手段により形成される例えばショットキー障壁によるポテンシャル障壁で反射して、電圧印加手段で挟まれた領域で端状態間に非平衡分布が形成する。すなわち、隣り合った端状態間で異なるエネルギーまで電子が充填される。ここで、外側の端状態は上向きスピンの電子が充填されており、一方、内側の端状態は下向きスピンの電子が充填されているため、端状態間非平衡分布が生じている状況では、端状態間散乱に伴って電子スピンが反転する。この電子スピン反転を利用して核スピンを初期化する。
【0016】
量子ホール端状態間での電子散乱に伴う電子スピン反転を利用して、電子スピン−核スピン間超微細相互作用を通じて核スピンを偏極させ、核スピン量子状態に対して演算前の初期化を行うことができる。例えば、初期化手段は、強磁場中における二次元キャリア系のチャネル上にゲート電極を設け、該ゲート電極に印加する電圧と前記チャネルの電流極性とを選択して量子ホール端状態であるエッジチャネル間の電子スピン反転を生起し、この電子スピン反転に基づいて核スピンを上向きスピン又は下向きスピンに初期化することができる。
【0017】
量子ホール端状態における電子スピン−核スピン相互作用を利用して初期化した核スピンの直上(又は近傍)に作製した微細金属構造(マイクロコイルまたはコプレーナ型導波路など)によって前記量子ホール端状態近傍の初期化された核スピンに高周波磁場または高周波電場を印加することにより核磁気共鳴を引き起こし、核スピン量子状態を制御して演算を行うことができる。高周波磁場又は高周波電場の周波数が核スピンの核磁気共鳴周波数と一致した時に核磁気共鳴が引き起こされ、核スピン偏極が変化する。
【0018】
量子ホール端状態における電子輸送特性を測定する手段を有し、該手段により演算後の核スピン量子状態を電気的に検出することができる。核磁気共鳴により核スピンの量子状態が制御される。その制御の後の核スピン偏極に応じて、ホール抵抗値が変化する。すなわち、量子ホール端状態においては、量子ホール端状態の電子とその近傍の核スピンは電子スピン−核スピン間超微細相互作用をしているため、核スピンが偏極していると、核スピンは電子スピンに対して、実効的な磁場を印加する。その結果、電子スピンのゼーマン分離エネルギーが拡大ないし縮小され、それによって、端状態間の電子散乱が抑制ないし促進される。量子ホール端状態間に非平衡分布が存在している状況では、ホール抵抗値が端状態間散乱頻度のプローブとなるため、端状態間散乱頻度の抑制・促進の結果、ホール抵抗値が増大ないし減少することになる。これにより、パルス核磁気共鳴後の核スピン偏極を検出することが可能になる。
【0019】
本発明の他の観点によれば、核スピンモーメントが3/2以上である第1元素を含み、電気四重極相互作用を有する固体材料と、該固体材料に形成された2次元キャリア層と、該2次元キャリア層が形成される面の略法線方向に外部静磁場を印加する外部静磁場印加手段と、該外部静磁場の向きに略垂直な方向を有する高周波磁場又は高周波電場を印加する高周波磁場印加手段とを有する量子演算装置が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る量子演算素子(制御ノット素子)の原理について説明する。図1を参照して、量子ビット|a〉と量子ビット|b〉との2つの量子ビットについて考察する。図1(A)に示すように、量子ビット|a〉は、核スピンの向きが上向きの状態である|0〉状態と核スピンの向きが下向きである|1〉状態とのエネルギー差が(h/2π)ωである。尚(2π/h)は、図面中に表記されているいわゆるh−barのことである。
【0021】
図1(C)に示すように、量子ビット|b〉は、|0〉状態と|1〉状態とのエネルギー差が(h/2π)ωである。それぞれの量子ビットに、|0〉状態と|1〉状態とのエネルギー差に相当するエネルギー(h/2π)ωと(h/2π)ωとを有する電磁波を照射すると、それぞれ、図1(B)又は図1(D)に示すようにラビ振動が生じ、量子ビットの量子状態は|0〉状態と|1〉状態との間を振動的に遷移する。ここで、電磁波の照射時間(パルス幅)を調整することにより、|0〉状態と|1〉と状態の任意の重ね合わせ状態を実現することができる。これが、量子ビットに対する「位相シフタ」操作である。
【0022】
量子ビット|a〉と|b〉とを併せた二量子ビット系全体としてのエネルギー準位は図2の左図のようになる。但し、この状態においては、|a〉=|0〉、|b〉=|0〉と|a〉=|1〉、|b〉=|0〉との間のエネルギー差と、|a〉=|0〉、|b〉=|1〉と|a〉=|1〉、|b〉=|1〉との間のエネルギー差が(h/2π)ωで等しく、また、|a〉=|0〉、|b〉=|0〉と|a〉=|0〉、|b〉=|1〉との間のエネルギー差と|a〉=|1〉、|b〉=|0〉と|a〉=|1〉、|b〉=|1〉との間のエネルギー差が(h/π)ωで等しいため、電磁波の照射によりそれぞれの状態を独立に制御することができない。
【0023】
ここで、図2の右側の図に示すように、量子ビット|a〉が|0〉状態にあると量子ビット|b〉は|1〉状態を取りやすくなり、量子ビット|a〉が|1〉状態にあると量子ビット|b〉は|0〉状態を取りやすくなる(エネルギーが低くなる)ような、何らかの相互作用が量子ビット|a〉と量子ビット|b〉との間にある場合には、二量子ビット系のエネルギー準位は図2の右図のようになる。図2の右図に示すエネルギー準位を持つ系においては、二量子ビット系の各準位間隔がそれぞれ異なってくるため、このような系に対して、(h/2π)ωa+、(h/2π)ωb+、(h/2π)ωa−、(h/2π)ωb−のそれぞれのエネルギーに相当する電磁波を適切に照射することにより、二量子ビット系の重ね合わせ状態を独立に制御することができる。
【0024】
加えて、(h/2π)ωb+のエネルギーの電磁波を照射することにより、量子ビット|a〉が|1〉状態にある場合のみにおいて、選択的に量子ビット|b〉の状態を|0〉状態と|1〉状態との間で反転させることが可能である。これは、二量子ビットに対する「制御ノット」操作に対応する。従って、上記エネルギー状態を有する系を用いると、「制御ノット」操作が可能となる。
【0025】
上記のようなエネルギー準位は、核スピンモーメントが3/2以上である固体材料の原子核スピンが形成する量子準位の重ね合わせ状態により作り出すことができる。このエネルギー状態を、核磁気共鳴などにより制御し、二量子ビットの「制御ノット」操作を実現することができる。例えば、核スピンモーメントが3/2である元素の原子核スピンは、外部静磁場中で図3の左に示すような四準位系を形成する。電気四重極相互作用がある状況では、図3の左図から右図に示すようにエネルギー準位が変化し、これは図2の右図に示したエネルギー準位と同様の関係にあり、二量子ビットの「制御ノット」操作に必要なエネルギー準位が形成できる。
【0026】
ところが、図3の右図の(h/2π)ωa+及び(h/2π)ωa−のエネルギー間隔に相当する高周波磁場を印加しても、通常の核磁気共鳴では量子数が2以上変化するような多量子遷移は禁制遷移であるため核磁気共鳴を引き起こすことはできず、二量子ビットとして扱うことが出来ない。
【0027】
そこで、発明者は、量子ホール系の電子輸送特性によって検出するタイプの核磁気共鳴においては、通常の核磁気共鳴では本来禁制遷移である二量子遷移を明瞭に観測することが出来る点に着目した。量子ホール系の電子輸送特性によって検出するタイプの核磁気共鳴を用いると、量子ホール状態にある二次元電子系を利用し、(h/2π)ωa+、(h/2π)ωa−、(h/2π)ωb+、(h/2π)ωb−のエネルギー間隔に相当する周波数の高周波磁場(または高周波電場)を印加することにより、それぞれの遷移を核磁気共鳴により独立に制御可能であり、任意の重ね合わせ量子状態を実現できる。さらに、(h/2π)ωb+に相当するエネルギーの高周波磁場(または高周波電場)を印加することにより、制御ノット操作が実現できる。
【0028】
上記の考察に基づき、以下に本実施の形態による量子演算素子の概略構成について図4(A)、(B)を参照して説明する。図4(A)は、制御ノットを実現するための構造を概略的に示す図である。図4(B)は、図4(A)に示す構造を表面側から深さ方向に切った場合の構造をエネルギーバンド図で示した構造である。図4(A)、(B)に示すように、GaAs層(エネルギーギャップが約1.43eV)1上にAl0.3Ga0.7As層(エネルギーギャップが約1.75eV)3を形成する。例えば、Al0.3Ga0.7As層3に不純物としてSiをドーピングしておくと、GaAs層1とAl0.3Ga0.7As層3との間の界面のGaAs側に電子が閉じこめられた2次元電子ガス層が形成される。
【0029】
固体材料として電子が局在するGaAsを用いると、GaとAsとは、原子核スピンモーメントが3/2であるため、静磁場中において前述の図3の左図のように4準位系を形成する。実際のGaAsでは、電気四重極相互作用により核スピンのエネルギー準位間隔の縮退が解けるため、図3の右図に示すようなエネルギー準位が形成され、各エネルギー準位は独立して制御可能であり、かつ、制御ノットの操作が実現可能となる。
【0030】
この状態において、図4(A)に示すように図示横方向に延在するGaAs/Al0.3Ga0.7As層構造5と、これと交差する方向、すなわち縦方向に延在するGaAs層/Al0.3Ga0.7As層7とから形成される例えば十字型のメサ構造(5/7)を形成する。以下、このメサ構造を量子ホール素子構造(ホールバー型素子)と称する。ここで、GaAs/Al0.3Ga0.7As界面の法線方向に外部静磁場Bextを印加すると、GaAs層/Al0.3Ga0.7As層に形成されている量子ホール系の電子輸送特性によって検出するタイプの核磁気共鳴では、通常の核磁気共鳴では禁制遷移である二量子遷移が観測可能となる。
【0031】
上記構造において、例えば、GaAs/Al0.3Ga0.7As界面が延在する方向(上記静磁場の方向と垂直な方向)の磁場成分を含む高周波磁場を印加することができる電磁コイル11を配置し、この電磁コイル11に適切な高周波電流Iを流すことにより図3に示す遷移エネルギーに一致する高周波磁場を印加することができる。例えば、図3の左図の(h/2π)ωb+に相当するエネルギーを有する高周波磁場を与えれば、制御ビット|a〉が|1〉の場合にのみ信号ビット|b〉が反転する制御ノット操作を行うことができる。すなわち、二量子ビットに対する「制御ノット」を実現することができる。
【0032】
さらに、メサ構造5に電流Iを流し、メサ構造7の両端に設けた端子E1とE2との間の電位差を測定すると、「制御ノット」の演算結果を2次元系の電気伝導率の変化として検出(読み出し)することができる。
【0033】
以下、より具体的な量子演算素子の構造について図面を参照しつつ説明を行う。例えば、GaAs層/Al0.3Ga0.7Asヘテロ構造を用いて図5に示す構造を有するホールバー型の素子を作製する。図5に示すように、ホールバー型の素子は、一方向に延在する第1のメサ部23と、この第1のメサ部23の中央付近Pから延びる第2のメサ部25a及び第3のメサ部25bとを有している。第2及び第3のメサ部25a・25bの延在方向は、第1のメサ部23の延在方向に対して、略45度の角度を有しており、かつ、第2のメサ部25aと第3のメサ部25bとは、略90度の角度を成して延在している。尚、45度、90度という角度は例示でありこれらに限定されるものではない。
第1から第3までのメサ部23、25a、25bは、実際には第1のメサ部23の中央付近Pにおいて繋がっている。
【0034】
上記のメサ構造上に電極を形成する。まず、第1のメサ部23の両端には、点Pからみて図示左側の端部にソース電極Sが、右側の端部に第2電圧端子E2が形成されている。点Pからみて図示左側に延びる第3のメサ部23bの端部には第1電圧端子E1が形成され、点Pからみて図示右側に延びる第2のメサ部23aの端部にはドレイン電極Dが形成されている。さらに、点Pからみて図示左側であってソース電極Sよりも点Pに近い方に第1のショットキーゲート電極G1が、点Pからみて図示右側であって第2電圧端子E2よりも点Pに近い方に第2のショットキーゲート電極G2が形成されている。第1のショットキーゲート電極G1と第2のショットキーゲート電極G2とは、第1のメサ部23の延在する方向と交差する幅方向の全幅以上の長さで形成されている。
【0035】
上記構造を有する素子21を、低温(例えば0.1K程度)に冷却し、GaAs層/Al0.3Ga0.7Asヘテロ構造界面の法線方向に強い静磁場(例えば7T程度)を印加する。これにより、素子21中のメサ部23、25a、25bの二次元電子系を、ランダウ準位充填率ν=2の量子ホール状態にすることができる。この時、メサ部23、25a、25bに形成される伝導チャネルのメサ端部にはランダウ準位充填率ν=2に対応して2つの量子ホール端状態が形成され、電気伝導を担うことになる。この端状態は、古典的には、伝導チャネル端に沿って進むスキッピング軌道に相当する。外側の端状態▲1▼(以下「第1端状態」と称する。)は上向きスピンの電子で満たされており、内側の端状態▲2▼(以下「第2端状態」と称する。)は下向きスピンの電子で満たされている。
【0036】
さらに、第1及び第2のショットキーゲート電極G1及びG2に2次元キャリア系に対して負の電圧を印加し電子濃度を下げ、ショットキーゲート電極G1・G2下の領域に存在する電子系のランダウ準位充填率νを1に調節することができる。すなわち、ゲート領域下ではランダウ準位充填率が1、それ以外の領域のランダウ準位充填率は2になる。
【0037】
この状況では、内側の第2端状態▲2▼のみが第1のショットキーゲート電極G1と第2のショットキーゲート電極G2により形成されるショットキー障壁により反射され、ゲート間領域においては隣り合った端状態間で異なるエネルギーまで電子が充填された状態が実現する。すなわち、ゲート電圧を印加することにより、図5の矢印で示されている2本の端状態のうち内側の端状態のみがゲートによるポテンシャル障壁で反射され、ゲートで挟まれた領域で端状態間に非平衡分布が形成することができる。つまり、隣り合った端状態間で異なるエネルギーまで電子が充填されていることになる。尚、ここではランダウ準位充填率が2と1の場合を例に説明したが、原理的にはランダウ準位充填率が4と3などの状況でも可能である。
【0038】
ここで、ソース電極S−ドレイン電極D間に正の極性の直流電流を印加すると、外側の第1端状態から内側の第2端状態への電子散乱に伴って、電子スピンは上向きスピンから下向きスピンに反転する。すなわち、外側の端状態▲1▼は上向きスピンの電子が充填されており、一方、内側の端状態▲2▼は下向きスピンの電子が充填されているため、端状態間非平衡分布が生じている状況では、端状態間散乱に伴って電子スピンが反転する。電子スピンと核スピンは超微細相互作用(電子スピン−核スピン相互作用)を通じて結合しているため、電子スピンの上向きスピンから下向きスピンへの反転が下向きから上向きへの核スピン反転を引き起こし、その結果、端状態近傍の核スピンが全て上向きにそろった初期状態を準備することができる。
【0039】
素子21の周囲に設置したコイル(図示せず。以下に述べる変形例においてその構成を詳細に説明する。)を用いて素子21に対して高周波磁場を印加すると、その周波数が核スピンの核磁気共鳴周波数と一致した場合に核磁気共鳴が引き起こされ、核スピン偏極が変化する。この操作により量子演算を行うことができる。
【0040】
量子演算の結果として、ホール抵抗値が変化する。尚、ホール抵抗値は、第1電圧端子E1と第2電圧端子E2との間の電圧として検出することができ、これが読み出し動作に相当する。
【0041】
図6(A)は、高周波磁場の周波数を75As原子核の核磁気共鳴周波数近辺で掃引してホール抵抗値を測定した結果を示すグラフであり、核磁気共鳴スペクトルに相当する。図6(A)に示すように、一量子遷移に相当するエネルギーに対応する掃引周波数範囲を掃引すると、スペクトル中には矢印で示す位置に3つのディップが観測される。それぞれのディップが、図3の右図の一量子遷移に相当する。さらに、図6(A)の掃引周波数の2倍の周波数範囲を掃引すると、図6(B)に示す核磁気共鳴スペクトルが得られる。図6(B)に示すように、スペクトルは矢印で示す位置において2つのディップに分裂しており、これは図3の右図の二量子遷移に相当する。
【0042】
以上のように、通常の核磁気共鳴では禁制遷移であり観測できない二量子遷移の核磁気共鳴が明瞭に観測されており、上記量子ホール素子における端状態を利用することにより、二量子遷移に関しても核スピンの状態を制御できることを示している。
【0043】
以上の結果より、本実施の形態による量子演算素子を用いると、図3の右図の遷移を全て独立に制御できることになり、2量子ビットに対する位相シフタの操作ができることがわかる。さらに、図3の右図の(h/2π)ωb+に相当する周波数の高周波磁場を一定時間印加して、|a,b〉=|1,1〉状態が|1,0〉状態に、|a,b〉=|1,0〉状態が|1,1〉状態に移り変わるような核磁気共鳴遷移を引き起こせば、二量子ビットに対する制御ノット操作が実現できる。
【0044】
以下にまとめるように、上記素子を用いると、初期化操作と、位相シフタ及び制御ノットの演算操作と、読み出し操作とを1つの量子演算素子を用いて行うことができることがわかる。
▲1▼初期化:量子ホール端状態間での電子散乱に伴う電子スピン反転を利用して、電子スピン・核スピン間超微細相互作用を通じて核スピンを偏極させ、核スピン量子状態に対して演算前の初期化を行うことができる。
▲2▼位相シフタ及び制御ノットの演算:量子ホール端状態近傍に作製した微細金属構造(例えば、後述するマイクロコイルまたはコプレーナー型導波路)によって量子演算素子に対して高周波磁場または高周波電場を印加して核磁気共鳴を引き起こし、核スピン量子状態を制御して演算を行う。高周波磁場または高周波電場を印加することにより、1量子ビットの任意の重ね合わせ(位相シフタ操作)ができる。また、上述のように、図3の右図の(h/2π)ωb+に相当する周波数の高周波磁場を一定時間印加して、|a,b〉=|1,1〉状態が|1,0〉状態に、|a,b〉=|1,0〉状態が|1,1〉状態に移り変わるような核磁気共鳴遷移を引き起こすことで、二量子ビットに対する制御ノット操作ができる。
▲3▼読み出し:量子ホール端状態における電子輸送特性を測定することにより、演算後の核スピン量子状態を電気的に検出することができる。具体的には、ホール抵抗の測定に基づいて演算結果を読み出すことができる(図6参照)。
【0045】
【実施例】
以下に、量子演算素子の具体的な構成について量子ホール端状態近傍に作製した微細金属構造(例えば、後述するマイクロコイルまたはコプレーナー型導波路)に焦点を絞って説明する。
【0046】
図7は、本発明の第1実施例による量子演算素子におけるパルス磁場の印加手段の詳細な構成を示す平面図である。図7において、符号101は固体材料を用いた二次元電子系チャネル、102Sはソース電極、102Dはドレイン電極、102VA、102VBは電圧プローブ電極、103A、103Bは、金属材料によるショットキーゲート、104Aは、金属材料によるコプレーナ導波路型ショットキーゲート芯線、104Bは金属材料によるコプレーナ導波路型ショットキーゲートグラウンド線である。
【0047】
図8は、本発明の第2実施例による量子演算素子におけるパルス磁場の印加手段の詳細な構成を示す平面図である。図2において、符号201は固体材料を用いた二次元電子系チャネル、202Sはソース電極、202Dはドレイン電極、202VA、202VBは電圧プローブ電極、203A、203Bは、金属材料によるショットキーゲート、204Bは、金属材料による微小コイルである。
【0048】
以下に図7及び図8に関する動作について簡単に説明する。図7に示す構造において、ソース及びドレイン電極(102S・102D又は202S・202D)間に電流を与え、ショットキーゲート電極(103Aおよび103B又は203Aおよび203B)に電圧を与えることによって、ショットキーゲート下の領域のランダウ準位充填率が1になるように調整する。尚、ショットキーゲート下の領域以外の領域のランダウ準位充填率は予め2になるように調整しておく。
【0049】
これにより、エッジチャネル間の電子散乱に伴い、核スピンが反転し、核スピンが上向きまたは下向きに偏極した定常状態が形成される。これにより、量子ビット演算前の初期状態の準備が可能となる。ここでは、初期状態として核スピンがすべて上向きになった状態を考える。
【0050】
次に、チャネル端F近傍に付加した微細なコプレーナ型導波路104A、104B(又は微小コイル204B)に高周波電場パルスを印加する。例えば、コプレーナ型導波路芯線104Aとコプレーナ型導波路グラウンド線104Bとの間に高周波パルスを印加することにより、両者の領域において、二次元電子系が電場変調を受ける。尚、図8に示した例では、微小コイル204Bに高周波電場パルスを印加することにより、コイル直下の核スピンが静磁場に垂直方向の磁場変調を受ける。電場変調・磁場変調を問わず、その変調の周波数が核スピンの核磁気共鳴周波数に一致すると核磁気共鳴を生じさせることができる。
【0051】
パルス印加以前に上向き核スピンの状態(状態0)にあったものが、パルス幅Δtの間、高周波電場パルスのもとで状態0と状態1の間をコヒーレントに振動する。パルス幅を制御することにより、量子状態の移り変わりを任意に制御することができる。これが1量子ビット演算に対応する。パルス印加終了後、演算結果に対応した波動関数の重みで量子ビットの状態は状態0と状態1の重ね合わせとなる。以上のように、パルス幅を制御することにより、量子状態の移り変わりを任意に制御することができ、1量子ビット演算が可能である。
【0052】
次に、上述のように、図3の右図の(h/2π)ωb+に相当する周波数の高周波磁場を一定時間印加して、|a,b〉=|1,1〉状態が|1,0〉状態に、|a,b〉=|1,0〉状態が|1,1〉状態に移り変わるような核磁気共鳴遷移を引き起こせば、二量子ビットに対する制御ノット操作が実現できる。
【0053】
これらの演算結果は、図7または図8の構造においてホール抵抗を測定することにより読み出すことが可能である。すなわち、量子ビット演算後、電圧プローブ電極(102VA、102VB、または202VA、202VB)]を用いてホール抵抗を測定する。その値から、量子ビット演算後の核スピン偏極を知ることができる。これにより、量子ビット演算結果の読み出しが可能になる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態による量子演算素子を用いると、量子演算において必要な操作である制御ノット操作を実現することができ、加えて位相シフタ操作も可能であることから、基本的な量子演算が可能であることがわかる。
【0055】
以上、実施の形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【0056】
【発明の効果】
核スピンモーメントが3/2以上である元素の固体材料において、原子核スピンが形成する量子準位の重ね合わせ状態を核磁気共鳴により制御して量子演算を行う。この際、電気四重極相互作用によって、核スピンのエネルギー準位間隔の縮退が解ける効果を利用して、「制御ノット」操作を実現するための量子準位を用意し、通常の核磁気共鳴では禁制遷移である二量子遷移核磁気共鳴が、量子ホール系における核磁気共鳴では観測されることを利用して、二量子ビットに対する「制御ノット」操作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る量子演算素子(制御ノット素子)の原理を示す図である。図1(A)は、量子ビット|a〉に関する核スピンのエネルギー状態を示す図であり、核スピンの向きが上向きの状態である|0〉状態と核スピンの向きが下向きである|1〉状態とのエネルギー差が(h/2π)ωである場合を例にした図である。図1(B)は、図1(A)の状態にエネルギーが(h/2π)ωの電磁波を照射した際に生じるラビ振動の様子を示す図であり、量子ビットの量子状態は|0〉状態と|1〉状態との間を振動的に遷移することを示している。図1(C)は、量子ビット|b〉に関する図であり、図1(A)に対応する図である。図1(D)は量子ビット|b〉に関するラビ振動の様子を示す図である。
【図2】量子ビット|a〉と|b〉とを併せた二量子ビット系全体としてのエネルギー準位を示す図である。
【図3】核スピンモーメントが3/2以上である固体材料の原子核スピンが形成する量子準位の重ね合わせ状態により作り出された四準位系のエネルギー状態を示す図である。
【図4】図4(A)は、制御ノットを実現するための構造を概略的に示す図である。図4(B)は、図4(A)に示す構造を表面側から深さ方向に切った場合の構造をエネルギーバンド図で示した構造である。
【図5】GaAs層/Al0.3Ga0.7Asヘテロ構造を用いて作成したホールバー型の量子演算素子の平面図である。
【図6】図6(A)は、高周波磁場の周波数を75As原子核の核磁気共鳴周波数近辺で掃引してホール抵抗値を測定した結果を示すグラフであり、核磁気共鳴スペクトルに相当する。図6(B)は、図6(A)の掃引周波数の2倍の周波数範囲を掃引した核磁気共鳴スペクトル図である。
【図7】本発明の第1実施例による量子演算素子におけるパルス電場の印加手段の詳細な構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施例による量子演算素子におけるパルス磁場の印加手段の詳細な構成を示す平面図である。
【符号の説明】
23…第1のメサ部、25a…第2のメサ部、25b…第3のメサ部b、P…中央付近、S…ソース電極、E1…第1電圧端子、E2…第2電圧端子、D…ドレイン電極、G1…第1のショットキーゲート電極、G2…第2のショットキーゲート電極。

Claims (10)

  1. 核スピンモーメントが3/2以上である第1元素を含む固体材料と、
    該固体材料に形成され前記第1元素の原子核スピンに基づく量子準位の重ね合わせ状態を核磁気共鳴により制御する制御手段とを有する量子演算素子。
  2. さらに、外部静磁場により前記第1元素の原子核スピンに基づく量子準位が四準位系を形成していることを特徴とする請求項1に記載の量子演算素子。
  3. 前記固体材料は、電気四重極相互作用を有しており、該電気四重極相互作用によって、前記四準位系の量子準位におけるエネルギー準位の間隔の縮退を解くことにより、「制御ノット」操作を実現するための量子準位を形成することを特徴とする請求項2に記載の量子演算素子。
  4. 前記固体材料に二次元キャリアによる伝導状態を形成し、前記外部静磁場を前記二次元キャリアが形成される面の略法線方向に印加することによりランダウ準位充填率が2の量子ホール状態を形成し、前記制御手段により前記静磁場の向きに略垂直な方向の高周波磁場又は高周波電場を印加することにより二量子遷移核磁気共鳴を可能とすることを特徴とする請求項2に記載の量子演算素子。
  5. さらに、前記二次元キャリア系の上に設けられたショットキーゲートを用いて該ゲートの下部領域のキャリア系のランダウ準位充填率を調整することによって、量子ホール端状態間に非平衡分布を導入する電圧印加手段を有することを特徴とする請求項4に記載の量子演算素子。
  6. 量子ホール端状態間での電子散乱に伴う電子スピン反転を利用して、電子スピン−核スピン間超微細相互作用を通じて核スピンを偏極させ、核スピン量子状態に対して演算前の初期化を行うことを特徴とする請求項5に記載の量子演算素子。
  7. 量子ホール端状態における電子スピン−核スピン相互作用を利用して初期化した核スピンの直上に作製した微細金属構造によって前記量子ホール端状態に高周波磁場または高周波電場を印加することにより核磁気共鳴を引き起こし、核スピン量子状態を制御して演算を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の量子演算素子。
  8. 量子ホール端状態における電子輸送特性を測定する手段を有し、該手段により演算後の核スピン量子状態を電気的に検出することを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載の量子演算素子。
  9. 核スピンモーメントが3/2以上である第1元素を含み、電気四重極相互作用を有する固体材料と、
    該固体材料に形成された2次元キャリア層と、
    該2次元キャリア層が形成される面の略法線方向に外部静磁場を印加する外部静磁場印加手段と、
    該外部静磁場の向きに略垂直な方向を有する高周波磁場又は高周波電場を印加する高周波磁場印加手段と
    を有する量子演算装置。
  10. さらに、前記2次元キャリア層の電気伝導率を測定する伝導率測定手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の量子演算装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006261610A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Hokkaido Univ 核スピンメモリセルおよび情報処理回路
JP2009016767A (ja) * 2007-07-09 2009-01-22 Fujitsu Ltd ナノマグネット、量子デバイス、及びこれらの製造方法

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