JP2004303557A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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剛 飯島
Kazuya Ogawa
和也 小川
Atsushi Sano
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Satoru Maruyama
哲 丸山
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Abstract

【課題】容量を1300〜5000mAhとする場合であっても、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を有するリチウムイオン二次電池の提供。
【解決手段】リチウムイオン二次電池1は、主として、互いに対向するアノード10及びカソード20と、アノードとカソードとの間に隣接して配置される絶縁性を有するセパレータ40と、リチウムイオンを含む電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50とから構成され、容量は1300〜5000mAhである。アノードはアノード活物質を含む多孔質のアノード活物質層を有し、カソードはカソード活物質を含む多孔質のカソード活物質層を有し、セパレータは、合成樹脂を含んで形成されており、アノード活物質はBET比表面積が0.5〜1.5m/gの電子伝導性の炭素材料であり、かつ、アノードとセパレータとの間及びカソードとセパレータとの間には、ゲルポリマーを含むゲル状の合成樹脂層71及び72がそれぞれ配置されている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器、特に、携帯用電話、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistants)などの小型電子機器は高性能化が目覚ましく進んでおり、その普及とともに年々消費電力が増加する傾向にある。これに伴い、このような電子機器に搭載される電源として高いエネルギー密度を有する電池の開発が望まれている。このような電池の一つとして、エネルギー密度が高いなどの理由によりリチウムイオン二次電池が携帯機器の電源として広く採用されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、主として、カソード、アノード、セパレータ、電解質溶液(ゲル状の固体電解質、固体高分子電解質などもある)から構成されており、高電圧化、高エネルギー密度化等の電池特性の更なる向上や、小型化及び軽量化のための様々な検討がなされている。このように電池特性の向上を図る場合、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度は他の電池に比較して非常に高いため、使用中或いは保存中の電池の安全性を十分に確保することも同時に重要となる。この安全性の確保は、電解質溶液として可燃性の非水電解質溶液(有機溶媒を含む電解質溶液)を使用する場合には特に重要となる。
【0004】
リチウムイオン二次電池の安全性の評価試験の中で規格化されたものとしては、米国UL(Underwriters Laboratories)規格の「UL1642」又は「UL2054」がある。
【0005】
電池特性の向上の観点からは電極反応に対する活性の高い電極を構成することが望ましいが、安全性の観点からは電極と電解質溶液の成分との反応、電解質溶液の成分間の反応等を抑制するような工夫を電極或いは電解質に施すことが望ましい。このように電池特性(容量、エネルギー密度、出力特性など)の向上と、電池の安全性の確保とは二律背反の関係にあり、所望の優れた電池特性と安全性とを兼ね備えたリチウムイオン二次電池を開発することは容易ではない。
【0006】
例えば、BET比表面積が0.5〜2.0m/gである負極活物質層を有する負極を備えることにより、高度な安全性・信頼性を保ちつつ良好な放電特性を得ることを意図したリチウムイオン二次電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3139390号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の従来のリチウムイオン二次電池であっても、電池(特に、電解質溶液として非水電解質溶液を使用する構成の電池)の容量を1300〜5000mAhにすることを意図した場合には、上記安全性の評価試験規格「UL1642」の150℃加熱試験を確実にクリアすることが極めて困難であり、確実な安全性を得られなくなることを本発明者らは見出した。
【0009】
「UL1642」の150℃加熱試験を確実にクリアできない電池は、使用中又は保存中に電池内で異常な発熱反応が進行する等して電池内部の温度が上昇した場合に、内部でガスが発生し内圧が上昇して、液漏れや、発火等の問題が発生するおそれがある。特に、ケースが可とう性を有するフィルムから形成されている場合には、ケースのシール部がはがれる等して上記の問題が発生し易くなる。
【0010】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、容量を1300〜5000mAhとする場合であっても、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、リチウムイオン二次電池の容量を特に1300〜5000mAhとする場合に、電池の構成を、UL1642規定の150℃加熱試験において電池のアノードとカソードとの間に短絡現象が観測され始める温度(以下、「短絡開始温度」という)が125℃以上となる構成とすることにより、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることができることを見出した。そして更に、本発明者らは、電池の構成を以下の条件を満たす構成とすることが上記目的達成のために極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は、互いに対向する板状のアノード及び板状のカソードと、アノードとカソードとの間に配置されており、絶縁性を有する板状のセパレータと、リチウムイオンを含む電解質溶液と、アノード、カソード、セパレータ及び電解質溶液を密閉した状態で収容するケースと、を有しており、容量が1300〜5000mAhであり、アノードは、アノード活物質を含む多孔質のアノード活物質層を有し、カソードは、カソード活物質を含む多孔質のカソード活物質層を有し、セパレータは、合成樹脂を構成材料として含んで形成されており、アノード活物質は、BET比表面積が0.5〜1.5m/gの電子伝導性の炭素材料であり、かつ、アノードとセパレータとの間、及び、カソードとセパレータとの間には、ゲルポリマーを含むゲル状の合成樹脂層がそれぞれ配置されていること、を特徴とするリチウムイオン2次電池を提供する。
【0013】
上記本発明のリチウムイオン2次電池は、上記の構成のアノードと、ゲル状の合成樹脂層を有するため、UL1642規定の150℃加熱試験における短絡開始温度」を125℃以上とすることが容易かつ確実にできる。そのため、容量を1300〜5000mAhとする場合であっても、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【0014】
また、本発明者らは、ゲル状の合成樹脂層をセパレータと各電極との間に配置することにより、融点が120〜180℃、好ましくは130〜140℃であるセパレータを使用することができることを見出した。このように本発明では、150℃加熱試験の温度よりも低い融点のセパレータを使用できるため、セパレータの構成材料の選択範囲をひろくすることができ、また、製造コストも容易に削減できるようになる。
【0015】
ここで、本発明において、容量が5000mAhを超えると、電池の構成要素(電極、電解質、セパレータ、ゲル状の合成樹脂層)の質量及び体積が大きくなり、これらを密封した状態で収容する充分な機械的強度を有するケースを構成することができなくなる。また、この場合には、電池の体積が大きすぎて、搭載されるべき電子機器(特に小型電子機器)内の設置スペースに収容することが困難となり好ましくない。更に、この場合、電池の質量も大きくなるため、搭載されるべき電子機器(特に小型電子機器)の質量を増大させることになり好ましくない。また、容量が1300mAh未満となると、搭載されるべき電子機器(特に小型電子機器)の電源として要求される充分な電力の供給ができなくなる。
【0016】
また、本発明において、アノード活物質(電子電導性の炭素材料)のBET比表面積が0.5m/g未満であると、充分なアノードの電極反応速度を確保できず、搭載されるべき電子機器(特に小型電子機器)から要求される負荷要求の変動に応じた充分な電力の供給を速やかに行うことができなくなる。また、BET比表面積が1.5m/gを超えると、電極の反応活性が高くなりすぎて、所望のアノードの電極反応以外に、例えば、電解質溶液成分の分解反応などの副反応が同時にかつ速やかに進行し易くなり、安全性を十分かつ確実に確保することができなくなる。
【0017】
ここで、本発明において、アノード及びカソードとなる電極は、リチウムイオン(又は金属リチウム)が酸化還元種として関与する電子移動反応を可逆的に進行させることが可能な反応場となるものである。また、「電子移動反応を可逆的に進行させること」とは、搭載されるべき機器の電源又は補助電源として要求される電池寿命の範囲内で上記電子移動反応を可逆的に進行させることである。
【0018】
そして、アノードに構成材料として含まれるアノード活物質及びカソードに構成材料として含まれるカソード活物質は、上記電子移動反応に寄与する物質を示す。アノード活物質及びカソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、又は、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)が可能な構造を有する炭素材料或いは金属酸化物であってもよい。また、アノード活物質及び/又はカソード活物質として導電性ポリマーのようなリチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることの可能な物質を単独又は他の活物質とともに使用する構成としてもよい。
【0019】
なお、説明の便宜上、本明細書において、「アノード活物質」という場合の「アノード」とは、電池の放電時の極性を基準とするもの(負極活物質)であり、「カソード活物質」という場合の「カソード」も、電池の放電時の極性を基準とするもの(正極活物質)である。アノード活物質及びカソード活物質の具体的な例示については後述する。
【0020】
また、本発明において、「ゲル状の合成樹脂層」には、電解質溶液を含有する以前の状態で既にゲル状となっているものの他に、電解質溶液を含有することによりゲル状となるものも含むこととする。また、「ゲル状の合成樹脂層」は電解質溶液の一部をその内部に吸収することが可能なものであってもよく、吸収しないものであってもよい。
【0021】
また、本発明では、電解質溶液には、溶媒として有機溶媒が含まれていることを特徴としていてもよい。特に本発明では、電解質溶液として有機溶媒を含む非水電解質溶液を使用する場合であっても、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【0022】
更に、本発明では、上記範囲の容量をより確実に確保し、かつ先に述べた本発明の効果をより確実に得る観点から、アノード活物質となる炭素材料は、黒鉛類似の層状結晶構造を有しており、X線回折法により求められる炭素材料の層間距離d002が0.335〜0.338nm以下であり、かつ、X線回折法により求められる炭素材料の結晶子の大きさLc002が30〜120nmであることが好ましい。
【0023】
また、本発明では、先に述べた本発明の効果をより確実に得る観点から、セパレータの融点が120〜180℃であることが好ましい。更にこの場合には、セパレータは、融点が130〜140℃のポリオレフィンを含む多孔質の膜を1以上有してなることが好ましい。
【0024】
ポリオレフィンを含む多孔質の膜からなるセパレータの場合、電池が異常な高温になると、当該セパレータの溶融により内部細孔が塞がれるため電流が流れにくくなり、異常反応の進行をより確実に抑制することができる。上記のセパレータのいわゆるシャットダウン機能をより確実に発揮させる観点から、このポリオレフィンを含む多孔質の膜は、ポリオレフィンからなる多孔質の膜であることがより好ましい。更に同様の観点から、この場合、上記ポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
更に、先に述べた本発明の効果をより確実に得る観点から、本発明においては、ゲル状の合成樹脂層に含まれるゲルポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド及びポリアクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の一次元鎖状ポリマーであることが好ましい。
【0026】
更に、先に述べた本発明の効果をより確実に得る観点から、本発明においては、ゲル状の合成樹脂層に含まれるゲルポリマーが、二官能基モノマー及び該モノマーを繰り返し単位として含むマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを繰り返し単位として含む三次元架橋ポリマーであることであることも好ましい。
【0027】
上記本発明のリチウムイオン二次電池は、上記ケースが可とう性を有するフィルム(以下、「フィルム」という)から形成されていることが好ましい。
【0028】
このようにケースをフィルムから形成すると、リチウムイオン二次電池自体の形状を薄膜状とすることができる。そのため、本来の体積エネルギー密度を容易に向上させることができるとともに、リチウムイオン二次電池の設置されるべき設置空間の単位体積当たりのエネルギー密度(以下、「設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度」という)も容易に向上させることができる。
【0029】
なお、リチウムイオン二次電池の「体積エネルギー密度」とは、本来、リチウムイオン二次電池の電極及びセパレータからなる発電に寄与する部分(後述の「素体」)の全体積又は容器を含む全体積に対する全出力エネルギーの割合で定義されるものである。これに対して、「設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度」とは、リチウムイオン二次電池の最大縦、最大横、最大厚さに基づいて求められる見かけ上の体積に対するリチウムイオン二次電池の全出力エネルギーの割合を意味する。実際に、リチウムイオン二次電池を小型電子機器に搭載する場合、上述した本来の体積エネルギー密度の向上とともに、設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度を向上させることが、小型電子機器内の限られたスペースをデッドスペースを充分に低減した状態で有効利用する観点から重要となる。
【0030】
更にケースを可とう性を有するフィルムから形成する場合、上記ケースが、互いに対向する一対のフィルムを少なくとも用いて形成されていることが好ましい。これにより、密閉性の高いケースをより容易に製造することができる。
【0031】
更にこの場合、ケースの密閉性を向上させる観点から、フィルムが電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層と、最内部の層の上方に配置される金属層とを少なくとも有する複合包装フィルムであることが好ましい。
【0032】
また、上記本発明のリチウムイオン二次電池においては、電解質溶液は、少なくともその一部がアノード、カソード、ゲル状の合成樹脂層、及び、セパレータの内部に含有されていることが好ましい。かかる構成を採用することにより、設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度を更に向上させることが可能となる。
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明のリチウムイオン二次電池の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図1は本発明のリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1に示すリチウムイオン二次電池の内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。更に、図3は図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX1−X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。また、図4は図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX2−X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。また、図5は図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のY−Y線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
【0034】
図1〜図5に示すように、リチウムイオン二次電池1は、主として、互いに対向する板状のアノード10及び板状のカソード20と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される板状のセパレータ40と、リチウムイオンを含む電解質溶液(本実施形態では非水電解質溶液)と、アノード10とセパレータ40との間に配置されるゲルポリマーを含むゲル状の合成樹脂層71と、カソード20とセパレータ40との間に配置されるゲルポリマーを含むゲル状の合成樹脂層72と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、アノード10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるアノード用リード12と、カソード20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるカソード用リード22とから構成されている。
【0035】
ここで、「アノード」10及び「カソード」20は説明の便宜上、リチウムイオン二次電池1の放電時の極性を基準に決定したものである。従って、充電時には、「アノード10」が「カソード」となり、「カソード20」が「アノード」となる。
【0036】
そして、リチウムイオン二次電池1は、容量が1300〜5000mAhであり、先に述べた本発明の目的を達成するために、以下に説明する構成を有している。
【0037】
以下に図1〜図9に基づいて本実施形態の各構成要素の詳細を説明する。
【0038】
ケース50は、互いに対向する一対のフィルム(第1のフィルム51及び第2のフィルム52)を用いて形成されている。ここで、図2に示すように、本実施形態における第1のフィルム51及び第2のフィルム52は連結している。すなわち、本実施形態におけるケース50は、一枚の複合包装フィルムからなる矩形状のフィルムを、図2に示す折り曲げ線X3−X3において折り曲げ、矩形状のフィルムの対向する1組の縁部同士(図中の第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルム52の縁部52B)を重ね合せて接着剤を用いるか又はヒートシールを行うことにより形成されている。
【0039】
そして、第1のフィルム51及び第2のフィルム52は、1枚の矩形状のフィルムを上述のように折り曲げた際にできる互いに対向する面を有する該フィルムの部分をそれぞれ示す。ここで、本明細書において、接合された後の第1のフィルム51及び第2のフィルム52のそれぞれの縁部を「シール部」という。
【0040】
これにより、折り曲げ線X3−X3の部分に第1のフィルム51と第2のフィルム52とを接合させるためのシール部を設ける必要がなくなるため、ケース50におけるシール部をより低減することができる。その結果、リチウムイオン二次電池1の設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度をより向上させることができる。
【0041】
そして、本実施形態の場合、図1及び図2に示すように、アノード10に接続されたアノード用リード12及びカソード用リード22のそれぞれの一端が、上述の第1のフィルム51の縁部51Bと第2のフィルムの縁部52Bとを接合したシール部から外部に突出するように配置されている。
【0042】
また、第1のフィルム51及び第2のフィルム52を構成するフィルムは先に述べたように、可とう性を有するフィルムである。フィルムは軽量であり薄膜化が容易なため、リチウムイオン二次電池自体の形状を薄膜状とすることができる。そのため、本来の体積エネルギー密度を容易に向上させることができるとともに、リチウムイオン二次電池の設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度も容易に向上させることができる。
【0043】
このフィルムは可とう性を有するフィルムであれば特に限定されないが、ケースの充分な機械的強度と軽量性を確保しつつ、ケース50外部からケース50内部への水分や空気の侵入及びケース50内部からケース50外部への電解質成分の逸散を効果的に防止する観点から、非水電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層と、最内部の層の上方に配置される金属層とを少なくとも有する「複合包装フィルム」であることが好ましい。
【0044】
第1のフィルム51及び第2のフィルム52として使用可能な複合包装フィルムとしては、例えば、図6及び図7に示す構成の複合包装フィルムが挙げられる。図6に示す複合包装フィルム53は、その内面F53において非水電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層50aと、最内部の層50aのもう一方の面(外側の面)上に配置される金属層50cとを有する。また、図7に示す複合包装フィルム54は、図6に示す複合包装フィルム53の金属層50cの外側の面に更に合成樹脂製の最外部の層50bが配置された構成を有する。
【0045】
第1のフィルム51及び第2のフィルム52として使用可能な複合包装フィルムは、上述の最内部の層をはじめとする1以上の合成樹脂の層、金属箔などの金属層を備えた2以上の層を有する複合包装材であれば特に限定されないが、上記と同様の効果をより確実に得る観点から、図7に示した複合包装フィルム54のように、最内部の層50aと、最内部の層50aから最も遠いケース50の外表面の側に配置される合成樹脂製の最外部の層50bと、最内部の層50aと最外部の層50bとの間に配置される少なくとも1つの金属層50cとを有する3層以上の層から構成されていることがより好ましい。
【0046】
最内部の層50aは可とう性を有する層であり、その構成材料は上記の可とう性を発現させることが可能であり、かつ、使用される非水電解質溶液に対する化学的安定性(化学反応、溶解、膨潤が起こらない特性)、並びに、酸素及び水(空気中の水分)に対する化学的安定性を有している合成樹脂であれば特に限定されないが、更に酸素、水(空気中の水分)及び非水電解質溶液の成分に対する透過性の低い特性を有している材料が好ましい。例えば、エンジニアリングプラスチック、並びに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン酸変成物、ポリプロピレン酸変成物、ポリエチレンアイオノマー、ポリプロピレンアイオノマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0047】
なお、「エンジニアリングプラスチック」とは、機械部品、電気部品、住宅用材等で使用されるような優れた力学特性と耐熱性、耐久性を有しているプラスチックを意味し、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシテトラメチレンオキシテレフタロイル(ポリブチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。
【0048】
また、図7に示した複合包装フィルム54のように、最内部の層50a以外に、最外部の層50b等のような合成樹脂製の層を更に設ける場合、この合成樹脂製の層も、上記最内部の層50aと同様の構成材料を使用してよい。
【0049】
金属層50cとしては、酸素、水(空気中の水分)及び非水電解質溶液に対する耐腐食性を有する金属材料から形成されている層であることが好ましい。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、クロム等からなる金属箔を使用してもよい。
【0050】
また、ケース50における全てのシール部のシール方法は、特に限定されないが、生産性の観点から、ヒートシール法であることが好ましい。
【0051】
次に、アノード10及びカソード20について説明する。図8は図1に示すリチウムイオン二次電池1のアノード10の基本構成の一例を示す模式断面図である。また、図9は、図1に示すリチウムイオン二次電池1のカソード20の基本構成の一例を示す模式断面図である。
【0052】
図8に示すようにアノード10は、集電体16と、該集電体16上に形成されたアノード活物質含有層18とからなる。また、図9に示すようにカソード20は、集電体26と、該集電体26上に形成されたカソード活物質含有層28とからなる。
【0053】
集電体16及び集電体26は、アノード活物質含有層18及びカソード活物質含有層28への電荷の移動を充分に行うことができる良導体であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている集電体を使用することができる。例えば、集電体16及び集電体26としては、アルミニウム、銅などの金属箔が挙げられる。
【0054】
また、アノード10のアノード活物質含有層18は、主として、アノード活物質と、導電助剤と、結着剤とから構成されている。
【0055】
アノード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であり、かつ、BET比表面積が0.5〜1.5m/gの電子伝導性の炭素材料であれば特に限定されない。このような炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、低温度焼成炭素等の炭素材料が挙げられる。中でも、黒鉛類似の層状結晶構造を有する炭素材料であって、X線回折法により求められる炭素材料の層間距離d002が0.335〜0.338nm以下であり、かつ、X線回折法により求められる炭素材料の結晶子の大きさLc002が30〜120nmである炭素材料がより好ましい。このような条件を満たす炭素材料としては、人造黒鉛、MCF(メソカーボンファイバ)等が挙げられる。
【0056】
導電助剤は特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITOのような導電性酸化物が挙げられる。
【0057】
結着剤は、上記のアノード活物質の粒子と導電助剤の粒子とを結着可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、この結着剤は、上記のアノード活物質の粒子と導電助剤の粒子との結着のみならず、箔(集電体16)への結着に対しても寄与している。
【0058】
また、カソード20のカソード活物質含有層28は、カソード活物質を含む多孔質のカソード活物質層を有する層である。より詳しくは、アノード活物質含有層18と同様に、主として、カソード活物質と、導電助剤と、結着剤とから構成されている。
【0059】
カソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等の複合金属酸化物が挙げられる。
【0060】
更に、カソード活物質含有層28に含まれるカソード活物質以外の各構成要素は、アノード活物質含有層18を構成するものと同様の物質を使用することができる。また、このカソード活物質含有層28に含まれる結着剤も、上記のカソード活物質の粒子と導電助剤の粒子との結着のみならず、箔(集電体26)への結着に対しても寄与している。また、カソード活物質含有層28にも、電子伝導性の多孔体を含有させることが好ましい。
【0061】
また、カソード20の集電体28は、例えばアルミニウムからなるカソード用リード22の一端に電気的に接続され、カソード用リード22の他端はケース50の外部に延びている。一方、アノード10の集電体18も、例えば銅又はニッケルからなるアノード用リード12の一端に電気的に接続され、アノード用リード12の他端はケース50の外部に延びている。
【0062】
アノード10とカソード20との間に配置されるセパレータ40は、絶縁性の合成樹脂を構成材料として含んで形成されている。先に述べたように、UL1642規定の150℃加熱試験における短絡開始温度」を125℃以上とし、充分な電池の安全性をより確保する観点から、このセパレータ40の融点は120〜180℃であることが好ましい。更にこの場合には、このセパレータ40は、融点が130〜140℃のポリオレフィンを含む多孔質の膜を1以上有してなることが好ましい。
【0063】
ポリオレフィンを含む多孔質の膜からなるセパレータ40の場合、リチウムイオン2次電池1が異常な高温になると、当該セパレータ40の溶融により内部細孔が塞がれるため電流が流れにくくなり、異常反応の進行をより確実に抑制することができる。
【0064】
上記のセパレータ40のいわゆるシャットダウン機能をより確実に発揮させる観点から、このポリオレフィンを含む多孔質の膜は、ポリオレフィンからなる多孔質の膜であることがより好ましい。更に同様の観点から、この場合、上記ポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0065】
より詳しくは、セパレータ40は、ポリエチレンからなる膜又はポリプロピレンからなる膜を1つ使用して形成されたものであってもよく、ポリエチレンからなる膜を複数積層した積層体からなるものであってもよく、ポリプロピレンからなる膜を複数積層した積層体からなるものであってもよく、1以上のポリエチレンからなる膜と1以上のポリプロピレンからなる膜を組み合わせて形成した積層体からなるものであってもよい。また、セパレータ40は、熱による変形を抑制するための延伸等の加工が施されていてもよい。また、セパレータ40の厚さは、安全性の確保と電池のコンパクト化を図る観点から10〜30μmであることが好ましい。
【0066】
電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10、カソード20、及びセパレータ40の内部に含有されている。電解質溶液30は、リチウム塩を有機溶媒に溶解したものが使用される。リチウム塩としては、例えば、LiBF、LiPF、LiClO、等が使用される。なお、電解質溶液30は、ゲル化剤を添加する等してゲル状としてもよい。
【0067】
また、有機溶媒は、公知のリチウムイオン2次電池に使用されている溶媒を使用することができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
【0068】
ゲル状の合成樹脂層71及び72は、ゲルポリマーを含む層である。ゲル状の合成樹脂層71及び72を配置することにより、リチウムイオン2次電池1は、UL1642規定の150℃加熱試験における短絡開始温度」を125℃以上とすることが容易かつ確実にできる。そのため、容量を1300〜5000mAhとする場合であっても、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を確保することができる。
【0069】
上記の効果をより確実に得る観点から、ゲル状の合成樹脂層に含まれるゲルポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びポリアクリロニトリル(PAN)からなる群より選択される少なくとも1種の一次元鎖状ポリマーであることが好ましい。一次元鎖状ポリマーを使用する場合、ゲル状の合成樹脂層71及び72内には物理架橋ゲルが形成される。また、一次元鎖状ポリマーを使用する場合、一次元鎖状ポリマーと上述の電解質溶液に用いたリチウム塩及び有機溶媒との混合物を、加熱溶解し、その後冷却することにより、容易にゲル状の合成樹脂層71及び72を形成することができる。
【0070】
また、一次元鎖状ポリマーの他の好ましいゲルポリマーとしては、二官能基モノマー及び該モノマーを繰り返し単位として含むマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを繰り返し単位として含む三次元架橋ポリマーであることであることも好ましい。二官能基モノマーとしては、ウレタン及びアクリレートが好ましく挙げられる。三次元架橋ポリマーを使用する場合、ゲル状の合成樹脂層71及び72内にはより耐熱性の高い化学架橋ゲルが形成される。また、三次元架橋ポリマーを使用する場合、三次元架橋ポリマーと上述の電解質溶液に用いたリチウム塩及び有機溶媒との混合物に、熱重合処理又は紫外線照射などの光重合処理を施すことにより、ゲル状の合成樹脂層71及び72を形成することができる。
【0071】
また、ゲル状の合成樹脂層71及び72は、それぞれゲル状態を保持可能であれば、上述のゲルポリマーのみから構成されていてもよい。この場合にはゲル状の合成樹脂層71及び72を更に容易に形成することができる。また、ゲル状の合成樹脂層71及び72の厚さは、安全性の確保と電池のコンパクト化を図る観点から0.1〜10μmであることが好ましい。
【0072】
更に、図1及び図2に示すように、第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルム52の縁部52Bからなる封入袋のシール部に接触するアノード用リード12の部分には、アノード用リード12と各フィルムを構成する複合包装フィルム中の金属層との接触を防止するための絶縁体14が被覆されている。更に、第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルム52の縁部52Bからなる封入袋のシール部に接触するカソード用リード22の部分には、カソード用リード22と各フィルムを構成する複合包装フィルム中の金属層との接触を防止するための絶縁体24が被覆されている。
【0073】
これら絶縁体14及び絶縁体24の構成は特に限定されないが、例えば、それぞれ合成樹脂から形成されていてもよい。なお、アノード用リード12及びカソード用リード22のそれぞれに対する複合包装フィルム中の金属層の接触が充分に防止可能であれば、これら絶縁体14及び絶縁体24は配置しない構成としてもよい。
【0074】
つぎに、上述したケース50及びリチウムイオン二次電池1の作製方法について説明する。
【0075】
素体60(アノード10、ゲル状の合成樹脂層71、セパレータ40、ゲル状の合成樹脂層72及びカソード20がこの順で順次積層された積層体)の製造方法は、特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池の製造に採用されている公知の方法を用いることができる。
【0076】
アノード10及びカソード20を作製する場合、先ず、上述した各構成成分を混合し、結着剤が溶解可能な溶媒に分散させ、電極形成用塗布液(スラリー等)を作製する。溶媒としては、結着剤が溶解可能であり、導電助剤を分散可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることができる。
【0077】
次に、上記電極形成用塗布液を集電体表面上に塗布し、乾燥させ、圧延することにより集電体上に活物質含有層を形成し、アノード10及びカソード20の作製を完了する。ここで、電極形成用塗布液を集電体の表面に塗布する際の手法は特に限定されるものではなく、集電体の材質や形状等に応じて適宜決定すればよい。例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0078】
作製したアノード10及びカソード20のそれぞれに対して、アノード用リード12及びカソード用リード22をそれぞれ電気的に接続する。次にセパレータ40の両面にゲル状の合成樹脂層71及び72を形成する。具体的には、ゲルポリマーを少なくとも含む塗布液(例えば、ゲルポリマーからなる塗布液、ゲルポリマーと有機溶媒とからなる塗布液、ゲルポリマーと有機溶媒とリチウム塩とからなる塗布液、ゲルポリマーを構成するモノマーを少なくとも含む塗布液など)を調製し、これをセパレータ40の両面に塗布することにより形成する。セパレータ40の両面にゲルポリマーを少なくとも含む塗布液を塗布した後においては、必要に応じて熱処理を施してもよく、ゲルポリマーを構成するモノマーを少なくとも含む塗布液を使用する場合には、熱重合や光重合処理を更に施してもよい。
【0079】
次に、アノード10とカソード20との間に、ゲル状の合成樹脂層71及び72を形成したセパレータ40を接触した状態(好ましくは非接着状態)で配置し、素体60を完成する。
【0080】
次に、ケース50の作製方法の一例について説明する。まず、第1のフィルム及び第2のフィルムを先に述べた複合包装フィルムから構成する場合には、ドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法、エクストルージョンラミネ−ション法等の既知の製法を用いて作製する。
【0081】
例えば、複合包装フィルムを構成する合成樹脂製の層となるフィルム、アルミニウム等からなる金属箔を用意する。金属箔は、例えば金属材料を圧延加工することにより用意することができる。
【0082】
次に、好ましくは先に述べた複数の層の構成となるように、合成樹脂製の層となるフィルムの上に接着剤を介して金属箔を貼り合わせる等して複合包装フィルム(多層フィルム)を作製する。そして、複合包装フィルムを所定の大きさに切断し、矩形状のフィルムを1枚用意する。
【0083】
次に、先に図2を参照して説明したように、1枚のフィルムを折り曲げて、第1のフィルム51のシール部51B(縁部51B)と第2のフィルムのシール部52B(縁部52B)を、例えば、シール機を用いて所定の加熱条件で所望のシール幅だけヒートシールする。このとき、素体60をケース50中に導入するための開口部を確保するために、一部のヒートシールを行わない部分を設けておく。これにより開口部を有した状態のケース50が得られる。
【0084】
そして、開口部を有した状態のケース50の内部に、アノード用リード12及びカソード用リード22が電気的に接続された素体60を挿入する。そして、電解質溶液30を注入する。続いて、アノード用リード12、カソード用リード22の一部をそれぞれケース50内に挿入した状態で、シール機を用いて、ケース50の開口部をシールする。このようにしてケース50及びリチウムイオン二次電池1の作製が完了する。なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、このような形状のものに限定されず、円筒形等の形状でもよい。
【0085】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
【0086】
以下に示す手順により図1に示したリチウムイオン二次電池1と同様の構成を有する実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例5のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0087】
(実施例1)
先ず、アノードを作製した。アノードの作製においては、先ず、アノード活物質としてMCF(90質量部,比表面積:1.0m・g−1)、導電助剤としてカーボンブラック(2質量部)、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(8質量部)を混合し、溶剤のN−メチル−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーをドクターブレード法により集電体である電解銅箔に塗布し、110℃で乾燥させた。乾燥後に圧延を行い、アノードを得た。
【0088】
次に、カソードを作製した。カソードの作製においても、先ず、正極活物質としてLiNi(x=1/3)Co(y=1/3)Mn(z=1/3)(x+y+z=1)(90質量部)、導電助剤としてカーボンブラック(6質量部)、結着剤としてPVDF(4質量部)を混合し、NMP中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを集電体であるアルミニウム箔に塗布して乾燥させ、圧延を行い、カソードを得た。
【0089】
次に、非水電解質溶液を調製した。プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:2:7で混合したものを溶媒とし、溶質としてLiPFをその体積モル濃度が1.5mol/Lとなるように添加した。更に、溶媒と溶質とを混合した溶液に対して、5体積%となるようにビニレンカーボネート(VC)を添加することにより、非水電解質溶液を得た。
【0090】
次にポリエチレンを主成分とするセパレータ(旭化成社製,商品名:「H6022」,厚さ:27μm)の両面にゲル状の合成樹脂層を形成した。具体的には、PVDF及びNMPからなる塗布液を上記セパレータ両面に塗布し、多孔化処理することにより形成した。なお、多孔化処理は以下の手順により行った。即ち、塗工物を水中にキャストする相分離法にて行なった。また、DSC(示差走査熱量測定法)による分析の結果、ポリエチレンを主成分とするセパレータ(旭化成社製,商品名:「H6022」)の融点は135℃であった。
【0091】
次に、アノード及びカソードの間にゲル状の合成樹脂層が両面に形成されたセパレータを挟んで積層し積層体(素体)を得た。得られた積層体をアルミラミネーターパックに入れ、このアルミラミネーターパックに非水電解質溶液を注入した後に真空シールし、更に、80℃で熱プレスすることにより容量が2500mAhのリチウムイオン二次電池(縦:115mm、横:87mm、厚さ:3mm)を作製した。なお、アルミラミネーターパックのフィルムには、非水電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層(変性ポリプロピレンからなる層)、アルミニウム箔からなる金属層、ポリアミドからなる層がこの順で順次積層された積層体を使用した。そして、この複合包装フィルムを2枚重ね合せてその縁部をヒートシールして作製した。
【0092】
(実施例2〜6)
表1に示すアノード活物質を有するアノード及び表2に示す組成の電解質溶液を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で実施例2〜6のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0093】
(比較例1〜5)
表1に示すアノード活物質を有するアノード及び表2に示す組成の電解質溶液を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で比較例1〜5のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、比較例4のアノード活物質にはメソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)を用いた。
【0094】
(比較例6〜8)
表1に示すアノード活物質を有するアノード及び表2に示す組成の電解質溶液を用い、更に、ゲル状の合成樹脂層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で比較例6〜8のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、比較例7のセパレータにはポリエチレンを主成分とするセパレータ(旭化成社製,商品名:「S6722」)を用いた。また、DSC(示差走査熱量測定法)による分析の結果、ポリエチレンを主成分とするセパレータ(旭化成社製,商品名:「S6722」,厚さ:22μm)の融点は135℃であった。
【0095】
(比較例9及び10)
表1に示すアノード活物質を有するアノード及び表2に示す組成の電解質溶液を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で比較例9及び10のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0096】
得られた実施例1〜6及び比較例1〜10のリチウムイオン二次電池のそれぞれについて、UL1642規定の150℃加熱試験を行い各々の安全性を評価した。UL1642規定の150℃加熱試験は、各電池(4.2Vでの充電を終了させた状態のもの)を恒温槽に入れ、昇温速度5℃/minで室温から150℃まで昇温し、150℃で1時間保持することにより行った。表1にその結果を示す。各電池のUL1642規定の150℃加熱試験における短絡開始温度も測定し、これについても表1にその結果を示す。なお、表1に示す150℃加熱試験の結果のうち、「2」は「試験中に電池が破裂又は発火しなかった」という評価結果を示し、「1」は「試験中に電池が破裂又は発火した」という評価結果を示す。
【0097】
【表1】
Figure 2004303557
【0098】
【表2】
Figure 2004303557
【0099】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池は、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を有することが確認された。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、容量を1300〜5000mAhとする場合であっても、UL1642規定の150℃加熱試験を確実にクリアすることのできる優れた安全性を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示すリチウムイオン二次電池の内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。
【図3】図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX1−X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。
【図4】図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX2−X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
【図5】図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のY−Y線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
【図6】図1に示すリチウムイオン二次電池のケースの構成材料となるフィルムの基本構成の一例を示す模式断面図である。
【図7】図1に示すリチウムイオン二次電池のケースの構成材料となるフィルムの基本構成の別の一例を示す模式断面図である。
【図8】図1に示すリチウムイオン二次電池のアノードの基本構成の一例を示す模式断面図である。
【図9】図1に示すリチウムイオン二次電池のカソードの基本構成の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…リチウムイオン二次電池、10…アノード、12…アノード用リード線、14…絶縁体、20…カソード、22…カソード用リード線、24…絶縁体、30…電解質溶液、40…セパレータ、50…ケース、60…素体、71,72・・・ゲル状の合成樹脂層。

Claims (11)

  1. 互いに対向する板状のアノード及び板状のカソードと、
    前記アノードと前記カソードとの間に配置されており、絶縁性を有する板状のセパレータと、
    リチウムイオンを含む電解質溶液と、
    前記アノード、前記カソード、前記セパレータ及び前記電解質溶液を密閉した状態で収容するケースと、
    を有しており、
    容量が1300〜5000mAhであり、
    前記アノードは、アノード活物質を含む多孔質のアノード活物質層を有し、
    前記カソードは、カソード活物質を含む多孔質のカソード活物質層を有し、
    前記セパレータは、合成樹脂を構成材料として含んで形成されており、
    前記アノード活物質は、BET比表面積が0.5〜1.5m/gの電子伝導性の炭素材料であり、かつ、
    前記アノードと前記セパレータとの間、及び、前記カソードと前記セパレータとの間には、ゲルポリマーを含むゲル状の合成樹脂層がそれぞれ配置されていること、
    を特徴とするリチウムイオン2次電池。
  2. 前記電解質溶液には、溶媒として有機溶媒が含まれていること、を特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン2次電池。
  3. 前記アノード活物質となる前記炭素材料は、黒鉛類似の層状結晶構造を有しており、
    X線回折法により求められる前記炭素材料の層間距離d002が0.335〜0.338nm以下であり、かつ、
    X線回折法により求められる前記炭素材料の結晶子の大きさLc002が30〜120nmであること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン2次電池。
  4. 前記セパレータの融点が120〜180℃であること、を特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン2次電池。
  5. 前記セパレータは、融点が130〜140℃のポリオレフィンを含む多孔質の膜を1以上有してなること、を特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン2次電池。
  6. 前記ポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であること、を特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン2次電池。
  7. 前記ゲル状の合成樹脂層に含まれる前記ゲルポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド及びポリアクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の一次元鎖状ポリマーであること、
    を特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン2次電池。
  8. 前記ゲル状の合成樹脂層に含まれる前記ゲルポリマーが、二官能基モノマー及び該モノマーを繰り返し単位として含むマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを繰り返し単位として含む三次元架橋ポリマーであること、
    を特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン2次電池。
  9. 前記ケースが、可とう性を有するフィルムから形成されていること、を特徴とする請求項1〜8のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン2次電池。
  10. 前記電解質溶液は、少なくともその一部が前記アノード、前記カソード、前記ゲル状の合成樹脂層、及び、前記セパレータの内部に含有されていること、を特徴とする請求項5〜9のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン2次電池。
  11. UL1642規定の150℃加熱試験における短絡開始温度が125℃以上であること、を特徴とする請求項1〜10のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン2次電池。
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