JP2004303505A - 電気接点材料 - Google Patents
電気接点材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004303505A JP2004303505A JP2003093371A JP2003093371A JP2004303505A JP 2004303505 A JP2004303505 A JP 2004303505A JP 2003093371 A JP2003093371 A JP 2003093371A JP 2003093371 A JP2003093371 A JP 2003093371A JP 2004303505 A JP2004303505 A JP 2004303505A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- contact material
- metal
- alloy
- contact
- conductor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
- Manufacture Of Switches (AREA)
- Contacts (AREA)
Abstract
【課題】製造が容易かつ能率的、経済的であり、しかも予め設計した範囲内の耐用開閉回数になると確実に不導通となるフェイルセーフ型接点と、そのための電気接点材料と、それらの製造方法を提供することを、課題とする。
【解決手段】接点材に覆われてこの接点材中にあって、接点材の接点面が消耗して接点材の耐用命数が来ると、表に露呈して接点材を不導通にする絶縁層が、本来が導電体である金属によってつくられる。この金属は当初は導体であるが、接点材と共に一体化するようにて成形加工され、その後に酸化雰囲気下で加熱し酸化して、少なくともその一部が上記の絶縁層をなす。
【選択図】 図1
【解決手段】接点材に覆われてこの接点材中にあって、接点材の接点面が消耗して接点材の耐用命数が来ると、表に露呈して接点材を不導通にする絶縁層が、本来が導電体である金属によってつくられる。この金属は当初は導体であるが、接点材と共に一体化するようにて成形加工され、その後に酸化雰囲気下で加熱し酸化して、少なくともその一部が上記の絶縁層をなす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、所定の寿命が来ると導通がなくなる電気接点材料、及びこの材料になる電気接点、並びにそれらの製造方法を提供するものである。
かかる電気接点は、この技術分野でフェイルセーフ接点とも呼ばれ、最近その需要が盛んである。
【0002】
【従来の技術】
従来より提案されているこの種の電気接点では、導電性の接点材の中にセラミック繊維やガラス繊維等の絶縁物を入れておき、接点材が消耗して所定の寿命が来ると、この絶縁物が接点の表面にもたらされて、接点が導通不能になる。ここで採用されているセラミックやガラス繊維は、接点材中に組み込まれる以前から本来的に絶縁物であり、かかる絶縁物は粉状になり易い。
【0003】
接点材中に組み込まれる際に絶縁物が粉状になると、接点材の表面に粉状の絶縁物が付着し、接点の電気特性が著しく損なわれることになる。また、この種の絶縁物の展延性等を初めとする物理特性は、接点材をなす銀や銀合金の金属材料と著しく異なるので、両者の合わせ材を所望の接点形状に成形加工するのは、誠に困難である。殊に絶縁物の破砕なしに、この種のフェイルセーフ接点に要求されるミリ単位の形状に、上記した種類の合わせ材を成形するのは至難の技である。
【0004】
また、接点を接点材と接点母材に分け、この間の中間材として元々が絶縁体であるセラミックやガラス等の粉末絶縁物または樹脂を介在させたフェイルセーフ接点があるが、これもまた上述した種類の困難を伴うことを免れない。更にまた、かかる接点では、その構成からして、接点材の事実上全部が消失したときにのみ不導通になるので、その実用上の不利、不都合もある。殊に、通常は全体として導電性に優れていなければならない接点の電気特性が、接点を二分する導体間に挟まれた絶縁体で損なわれることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この発明の課題は、製作が容易であり且つ設定した寿命が来たときにのみ確実に不導通となるフェイルセーフ接点と、そのための材料と、それらの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、接点材に覆われてこの接点材中にあって、接点が消耗してその寿命が来たときに、表面に露呈して接点を不導通にする絶縁層が、元来が導電体である金属の銅、銅合金、鉄族金属、鉄族金属合金、錫、錫合金、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、または亜鉛合金によってつくられる。これらの金属は接点材中にあって当初は導電体であるが、先ずは接点材と共に一体化されるように成形加工され、その後に酸化雰囲気下で加熱されて酸化して、初めてその少なくとも一部が絶縁層となる。
【0007】
即ち、この発明になるフェイルセーフ接点材料にあっては、それを構成する接点材も絶縁層となる上記の導電体も共に金属であるので、この両者をロール加工、線引き、圧着、或いはダイス引き加工等によって一体化し、所望の接点形状にするのに、通常の接点材の製造方法と同じ方法が用いられ、容易である。接点材中の上記した導電体を酸化して絶縁層とする技術も、例えば銀合金接点材料の内部酸化法等と共通するところがあり、この分野の技術に通暁する者にとっては容易なところである。また、該絶縁層は接点材によって覆われているので、通常の作動時に接点材料の導電特性が、絶縁層によって損なわれことがないのも、この発明の優れた特徴の一つである。
【0008】
【発明の実施の態様】
以下に、この発明になる接点材料または接点を、いずれも説明的な縦断面図で示す図1ないし図5を参照して、これらの好適な実施例によって更に詳述する。
【0009】
実施例1:
図1の(a)に示すようにこの実施例では、接点材は銀よりなる外径5mm、内径3mmのパイプ1である。このパイプ1の芯穴に、接点材1と一体となり且つこの接点材1中に埋没して後に絶縁層3をつくる直径2.9mmの銅線2を挿入した。続いて、図1の(b),(c)で示すように、ロール加工、線引き加工により、接点材1と銅線2とを一体化し、幅2.5mm,厚さ1.5mmの一体のテープ状に成形した。全体が金属になるテープを、空気を雰囲気とする電気炉で、600℃で10時間加熱、酸化処理したところ、図1の(d)で示されるように接点材1の芯部をなす銅線2の表面部に0.05mmの酸化銅の絶縁層3が生成された。この接点材料を更にダイス引きして成形し、その断面が図1の(c)に示されるように、脚部4を有するリベット状のカシメ型接点材料とした。
【0010】
この接点材料を長さ2mmに切断して、多数の単体接点をつくり、これをリレーに組み込んで電気開閉試験を行った。その結果は次の通りであった。
試験用開閉器: ISOμリレー
試験電圧・電流: DC12V, 5A
負荷: 誘導負荷(pf0.8)
試験結果: 試験した単体接点は、11,000回〜13,00回の範囲内で不導通となった。
なお、この実施例では銅線2の外表面の全面に、酸化銅の絶縁層3を生成したが、かかる絶縁層は、例えば図1の(c)で示される接点材の接点面をなす部分(この図において脚部4と対向する上面部分)と対面する銅線2の外周部の少なくとも一部(この図において銅線の上面)にだけでも生成されていれば、この発明の目的であるフェイルセーフの機能をこの発明の接点は果たせる。
【0011】
実施例2:
図2の(a)に示すように、接点材をなす銀ー酸化錫ー酸化インジウムの外径5mm、内径3mmのパイプ1の芯穴中に、酸化されて絶縁層をつくる直径2.9mmの銅線2を挿入し、ついで図2の(b),(c)で示されるように、ロール加工、線引き加工により銀合金の接点材1と銅線2とを一体のテープ状に成形し、幅2.5mm、厚さ
1.5mmのテープを得た。これを空気を雰囲気とする電気炉内で700℃、12時間で加熱、酸化処理したところ、図2の(d)の通りに、テープの芯部の銅線2の表面に0.06mmの酸化銅の絶縁層3が生成した。これを更にダイス引きで成形して、その断面形状を図2の(e)で示される如くに、カシメ用脚部4を有するT型断面のテープとした。
【0012】
この全体が金属になる電気接点材料テープを切断して、それぞれの長さが2mmの多数の単体接点とした。この接点をリレーに組み込み、電気開閉試験を行い、次の通りの結果をみた。
試験用開閉器: ISO μリレー
試験電圧・電流: DC12V, 5A
負荷: 誘導負荷(pf0.8)
試験結果: 試験した接点は、23,000回〜25,000回の範囲内で不導通となった。
【0013】
実施例3:
図3の(a)で示すように、上面に幅1mm、深さ0.2mmの溝5を有する接点材の銀テープ1の該溝中に、対応した寸法の銅の角状テープ2をはめ込み、更にその上に接点材の一部をなす銀の平角テープ1’を重ね合わせた。これらを圧着して一体となし、図3の(b)にて示すような銀の角状接点材テープ1,1’の内部に銅テープ2が埋没した接点材を得た。ついで、これをロールによる圧延加工ならびにダイスによる線引き加工により、図3の(c)にて図示される如くに、最終仕上げ寸法の一工程前の段階の寸法に成形した。これを空気雰囲気下で電気炉にて、600℃で10時間加熱処理したところ、図3の(d)で示される通りに接点材1の内部の銅の角テープ2の表面に約0.05mmの厚みの酸化銅の絶縁層3が生成された。次に、図3の(e)の通りに、この電気接点材料の下面に、0.2mmの厚さで電気溶接性の良好な銅ーニッケル(30%)のテープ6をシーム溶接した後に、これをダイス引き加工して、最終寸法が幅2.5mm,厚さ0.8mmのテープ状接点材料を得た。
【0014】
これを切断して、各の長さが2.5mmの単体接点とし、これをサーマルプロテクターに組み込んで、以下の電気的開閉試験を行った。その結果は下記の通りに良好であった。
試験用開閉器: サーマルプロテクター
開閉試験の電気的条件:(1)電圧・電流 AC100V,10A
(2)負荷:純抵抗負荷
試験結果: 試験した接点は、11,000回〜13,000回の範囲内の開閉後に絶縁層3が現れて不導通となった。
【0015】
実施例4:
図4の(a)にて示すように、上面に幅1.5mm、深さ0.2mmの溝5が設けられた幅2.5mm、厚さ0.9mmの銀テープ1の該溝に、ニッケルの導電体のテープ2を嵌め込み、この銀テープ1の上部に幅2.5mm、厚さ0.5mmの銀ー錫ーインジウム合金のテープ1’を重合して、これらを熱圧着して一体とした。ついで図4の(b)、(c)で示されるように、これをロール成形加工して、幅2.8mm、厚さ1.2mmの接点材1中に導電体2が埋没するテープ状の材料を得た。これを空気の雰囲気下の電気炉内で700℃で48時間加熱して、酸化処理した。
【0016】
図4の(d)で示すように、上部の銀ー錫ーインジウム合金の部分1’が内部酸化されて、銀ー酸化錫ー酸化インジウム合金の接点部材の接点面となり、同時に導電体テープ2は酸化熱処理時間が長かったために、その全体が酸化されて酸化ニッケルの絶縁層3となった。一方、接点材の下部の銀の部分1は酸化されずに、そのまま電気接点材料の接点材の一部をなした。
【0017】
この上記接点材料を切断して、長さが2.5mmの接点単体とした。この接点をマイクロスイッチの接点弾条に取り付けて、下記の電気的試験を行ったところ、良い結果を得た。
試験用開閉器: マイクロスイッチ
開閉試験の電気的条件:(1)電圧・電流 DC24V, 2A
(2)負荷:純抵抗負荷
試験結果: 50,000回〜56,000回の範囲内の開閉後に試験した接点が消耗し、絶縁層3が表に現れて、不導通となった。
なお、この実施例でみられる通りに、導電体2を酸化して絶縁層3となす酸化熱処理で、該導電体を覆う接点材1の銀合金も所望によっては同時に内部酸化できるのは、この発明の優れた効果の一つである。
【0018】
実施例5:
図5の(a)で示される如くに、幅2.5mm、厚さ0.25mmの銀ー酸化錫ー酸化インジウムになる平角テープ状の接点材1’の内面に、幅1.5mm、厚さ20μの銅メッキをして導電体2を形成した。この銅メッキ導電体2を施した側の接点材1’の面に、幅2.5mm、厚さ0.25mmの銀の平角状接点材1を重ね合わせて、圧着した。これをロール成形、ダイス引き加工して、図5の(b)の如くに導電体2を一体に内蔵する接点材1を得た。これを実施例3と同様に、酸化雰囲気下の電気炉内で加熱処理したところ、図5の(c)の通りに導電体2が接点材内で後酸化されて、絶縁層3を生成した。この電気接点材料の下面に、電気溶接性の良好な幅2.5mm、厚さ0.2mmの銅ーニッケル(30%)合金の台金テープ6をシーム溶接し、更にダイス引き加工して、最終寸法が幅2.3mm、厚さ0.5mmの図5の(d)の通りのテープ状の電気接点材料とした。
【0019】
この電気接点材料を切断して、それぞれが長さ2mmの単体接点とし、これを小型リレーに組み込み、下記の電気的開閉試験を行ったところ、良好な試験結果をみた。
試験用開閉器: 小型リレー
開閉試験の電気的条件:(1)電圧・電流 DC12V, 1A
(2)負荷:純抵抗負荷
試験結果: 24,000回〜26,000回の範囲内の開閉後に、試験した接点が消耗して、絶縁層が表に現れて不導通となった。
【0020】
上記の実施例1ないし5において、接点材1として銀、および銀合金として銀ー錫ーインジウム系合金を用いたが、その他の銀合金、例えば銀ーカドミウム系合金、銀ー錫系合金、銀ー亜鉛系合金、銀ーインジウム系合金等を用いうることは、勿論なことである。また、上記実施例では、金属導電体2の金属として銅、ニッケルを使用したが、上述した通り銅合金、その他の鉄族金属、鉄族金属合金錫、錫合金、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、または亜鉛合金等を使用しうることは、勿論なところである。また、台金6として銅ーニッケル合金を使ったが、易溶接性の他の金属を用いてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上で詳細に記述した通りに、この発明によれば、作動が確実で安全な所謂フェイルセーフ接点が、在来の通常の一般開閉接点と同様な構成ででき、従ってそれを在来の電気接点の製造方法と設備をもって容易且つ能率的に作ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】上記した実施例1による、この発明の電気接点材料と電気接点をつくる一連の製造工程を、各段階での接点材料の説明的な縦断面図でそれぞれ示すものである。
【図2】図1と同様な実施例2についての説明図である。
【図3】図1と同様な実施例3についての説明図である。
【図4】図1と同様な実施例4についての説明図である。
【図5】図1と同様な実施例5についての説明図である。
【符号の説明】
1−接点材
1’−接点材の一部
2−接点材と一体に接点材中にあって成形され、少なくともその一部が内部酸化後に絶縁層をなす導電体の金属
3−導電体の金属に生成する絶縁層
4−接点の脚部
5−当初の接点材に設けられた溝
6−金属製台金
【産業上の利用分野】
この発明は、所定の寿命が来ると導通がなくなる電気接点材料、及びこの材料になる電気接点、並びにそれらの製造方法を提供するものである。
かかる電気接点は、この技術分野でフェイルセーフ接点とも呼ばれ、最近その需要が盛んである。
【0002】
【従来の技術】
従来より提案されているこの種の電気接点では、導電性の接点材の中にセラミック繊維やガラス繊維等の絶縁物を入れておき、接点材が消耗して所定の寿命が来ると、この絶縁物が接点の表面にもたらされて、接点が導通不能になる。ここで採用されているセラミックやガラス繊維は、接点材中に組み込まれる以前から本来的に絶縁物であり、かかる絶縁物は粉状になり易い。
【0003】
接点材中に組み込まれる際に絶縁物が粉状になると、接点材の表面に粉状の絶縁物が付着し、接点の電気特性が著しく損なわれることになる。また、この種の絶縁物の展延性等を初めとする物理特性は、接点材をなす銀や銀合金の金属材料と著しく異なるので、両者の合わせ材を所望の接点形状に成形加工するのは、誠に困難である。殊に絶縁物の破砕なしに、この種のフェイルセーフ接点に要求されるミリ単位の形状に、上記した種類の合わせ材を成形するのは至難の技である。
【0004】
また、接点を接点材と接点母材に分け、この間の中間材として元々が絶縁体であるセラミックやガラス等の粉末絶縁物または樹脂を介在させたフェイルセーフ接点があるが、これもまた上述した種類の困難を伴うことを免れない。更にまた、かかる接点では、その構成からして、接点材の事実上全部が消失したときにのみ不導通になるので、その実用上の不利、不都合もある。殊に、通常は全体として導電性に優れていなければならない接点の電気特性が、接点を二分する導体間に挟まれた絶縁体で損なわれることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この発明の課題は、製作が容易であり且つ設定した寿命が来たときにのみ確実に不導通となるフェイルセーフ接点と、そのための材料と、それらの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、接点材に覆われてこの接点材中にあって、接点が消耗してその寿命が来たときに、表面に露呈して接点を不導通にする絶縁層が、元来が導電体である金属の銅、銅合金、鉄族金属、鉄族金属合金、錫、錫合金、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、または亜鉛合金によってつくられる。これらの金属は接点材中にあって当初は導電体であるが、先ずは接点材と共に一体化されるように成形加工され、その後に酸化雰囲気下で加熱されて酸化して、初めてその少なくとも一部が絶縁層となる。
【0007】
即ち、この発明になるフェイルセーフ接点材料にあっては、それを構成する接点材も絶縁層となる上記の導電体も共に金属であるので、この両者をロール加工、線引き、圧着、或いはダイス引き加工等によって一体化し、所望の接点形状にするのに、通常の接点材の製造方法と同じ方法が用いられ、容易である。接点材中の上記した導電体を酸化して絶縁層とする技術も、例えば銀合金接点材料の内部酸化法等と共通するところがあり、この分野の技術に通暁する者にとっては容易なところである。また、該絶縁層は接点材によって覆われているので、通常の作動時に接点材料の導電特性が、絶縁層によって損なわれことがないのも、この発明の優れた特徴の一つである。
【0008】
【発明の実施の態様】
以下に、この発明になる接点材料または接点を、いずれも説明的な縦断面図で示す図1ないし図5を参照して、これらの好適な実施例によって更に詳述する。
【0009】
実施例1:
図1の(a)に示すようにこの実施例では、接点材は銀よりなる外径5mm、内径3mmのパイプ1である。このパイプ1の芯穴に、接点材1と一体となり且つこの接点材1中に埋没して後に絶縁層3をつくる直径2.9mmの銅線2を挿入した。続いて、図1の(b),(c)で示すように、ロール加工、線引き加工により、接点材1と銅線2とを一体化し、幅2.5mm,厚さ1.5mmの一体のテープ状に成形した。全体が金属になるテープを、空気を雰囲気とする電気炉で、600℃で10時間加熱、酸化処理したところ、図1の(d)で示されるように接点材1の芯部をなす銅線2の表面部に0.05mmの酸化銅の絶縁層3が生成された。この接点材料を更にダイス引きして成形し、その断面が図1の(c)に示されるように、脚部4を有するリベット状のカシメ型接点材料とした。
【0010】
この接点材料を長さ2mmに切断して、多数の単体接点をつくり、これをリレーに組み込んで電気開閉試験を行った。その結果は次の通りであった。
試験用開閉器: ISOμリレー
試験電圧・電流: DC12V, 5A
負荷: 誘導負荷(pf0.8)
試験結果: 試験した単体接点は、11,000回〜13,00回の範囲内で不導通となった。
なお、この実施例では銅線2の外表面の全面に、酸化銅の絶縁層3を生成したが、かかる絶縁層は、例えば図1の(c)で示される接点材の接点面をなす部分(この図において脚部4と対向する上面部分)と対面する銅線2の外周部の少なくとも一部(この図において銅線の上面)にだけでも生成されていれば、この発明の目的であるフェイルセーフの機能をこの発明の接点は果たせる。
【0011】
実施例2:
図2の(a)に示すように、接点材をなす銀ー酸化錫ー酸化インジウムの外径5mm、内径3mmのパイプ1の芯穴中に、酸化されて絶縁層をつくる直径2.9mmの銅線2を挿入し、ついで図2の(b),(c)で示されるように、ロール加工、線引き加工により銀合金の接点材1と銅線2とを一体のテープ状に成形し、幅2.5mm、厚さ
1.5mmのテープを得た。これを空気を雰囲気とする電気炉内で700℃、12時間で加熱、酸化処理したところ、図2の(d)の通りに、テープの芯部の銅線2の表面に0.06mmの酸化銅の絶縁層3が生成した。これを更にダイス引きで成形して、その断面形状を図2の(e)で示される如くに、カシメ用脚部4を有するT型断面のテープとした。
【0012】
この全体が金属になる電気接点材料テープを切断して、それぞれの長さが2mmの多数の単体接点とした。この接点をリレーに組み込み、電気開閉試験を行い、次の通りの結果をみた。
試験用開閉器: ISO μリレー
試験電圧・電流: DC12V, 5A
負荷: 誘導負荷(pf0.8)
試験結果: 試験した接点は、23,000回〜25,000回の範囲内で不導通となった。
【0013】
実施例3:
図3の(a)で示すように、上面に幅1mm、深さ0.2mmの溝5を有する接点材の銀テープ1の該溝中に、対応した寸法の銅の角状テープ2をはめ込み、更にその上に接点材の一部をなす銀の平角テープ1’を重ね合わせた。これらを圧着して一体となし、図3の(b)にて示すような銀の角状接点材テープ1,1’の内部に銅テープ2が埋没した接点材を得た。ついで、これをロールによる圧延加工ならびにダイスによる線引き加工により、図3の(c)にて図示される如くに、最終仕上げ寸法の一工程前の段階の寸法に成形した。これを空気雰囲気下で電気炉にて、600℃で10時間加熱処理したところ、図3の(d)で示される通りに接点材1の内部の銅の角テープ2の表面に約0.05mmの厚みの酸化銅の絶縁層3が生成された。次に、図3の(e)の通りに、この電気接点材料の下面に、0.2mmの厚さで電気溶接性の良好な銅ーニッケル(30%)のテープ6をシーム溶接した後に、これをダイス引き加工して、最終寸法が幅2.5mm,厚さ0.8mmのテープ状接点材料を得た。
【0014】
これを切断して、各の長さが2.5mmの単体接点とし、これをサーマルプロテクターに組み込んで、以下の電気的開閉試験を行った。その結果は下記の通りに良好であった。
試験用開閉器: サーマルプロテクター
開閉試験の電気的条件:(1)電圧・電流 AC100V,10A
(2)負荷:純抵抗負荷
試験結果: 試験した接点は、11,000回〜13,000回の範囲内の開閉後に絶縁層3が現れて不導通となった。
【0015】
実施例4:
図4の(a)にて示すように、上面に幅1.5mm、深さ0.2mmの溝5が設けられた幅2.5mm、厚さ0.9mmの銀テープ1の該溝に、ニッケルの導電体のテープ2を嵌め込み、この銀テープ1の上部に幅2.5mm、厚さ0.5mmの銀ー錫ーインジウム合金のテープ1’を重合して、これらを熱圧着して一体とした。ついで図4の(b)、(c)で示されるように、これをロール成形加工して、幅2.8mm、厚さ1.2mmの接点材1中に導電体2が埋没するテープ状の材料を得た。これを空気の雰囲気下の電気炉内で700℃で48時間加熱して、酸化処理した。
【0016】
図4の(d)で示すように、上部の銀ー錫ーインジウム合金の部分1’が内部酸化されて、銀ー酸化錫ー酸化インジウム合金の接点部材の接点面となり、同時に導電体テープ2は酸化熱処理時間が長かったために、その全体が酸化されて酸化ニッケルの絶縁層3となった。一方、接点材の下部の銀の部分1は酸化されずに、そのまま電気接点材料の接点材の一部をなした。
【0017】
この上記接点材料を切断して、長さが2.5mmの接点単体とした。この接点をマイクロスイッチの接点弾条に取り付けて、下記の電気的試験を行ったところ、良い結果を得た。
試験用開閉器: マイクロスイッチ
開閉試験の電気的条件:(1)電圧・電流 DC24V, 2A
(2)負荷:純抵抗負荷
試験結果: 50,000回〜56,000回の範囲内の開閉後に試験した接点が消耗し、絶縁層3が表に現れて、不導通となった。
なお、この実施例でみられる通りに、導電体2を酸化して絶縁層3となす酸化熱処理で、該導電体を覆う接点材1の銀合金も所望によっては同時に内部酸化できるのは、この発明の優れた効果の一つである。
【0018】
実施例5:
図5の(a)で示される如くに、幅2.5mm、厚さ0.25mmの銀ー酸化錫ー酸化インジウムになる平角テープ状の接点材1’の内面に、幅1.5mm、厚さ20μの銅メッキをして導電体2を形成した。この銅メッキ導電体2を施した側の接点材1’の面に、幅2.5mm、厚さ0.25mmの銀の平角状接点材1を重ね合わせて、圧着した。これをロール成形、ダイス引き加工して、図5の(b)の如くに導電体2を一体に内蔵する接点材1を得た。これを実施例3と同様に、酸化雰囲気下の電気炉内で加熱処理したところ、図5の(c)の通りに導電体2が接点材内で後酸化されて、絶縁層3を生成した。この電気接点材料の下面に、電気溶接性の良好な幅2.5mm、厚さ0.2mmの銅ーニッケル(30%)合金の台金テープ6をシーム溶接し、更にダイス引き加工して、最終寸法が幅2.3mm、厚さ0.5mmの図5の(d)の通りのテープ状の電気接点材料とした。
【0019】
この電気接点材料を切断して、それぞれが長さ2mmの単体接点とし、これを小型リレーに組み込み、下記の電気的開閉試験を行ったところ、良好な試験結果をみた。
試験用開閉器: 小型リレー
開閉試験の電気的条件:(1)電圧・電流 DC12V, 1A
(2)負荷:純抵抗負荷
試験結果: 24,000回〜26,000回の範囲内の開閉後に、試験した接点が消耗して、絶縁層が表に現れて不導通となった。
【0020】
上記の実施例1ないし5において、接点材1として銀、および銀合金として銀ー錫ーインジウム系合金を用いたが、その他の銀合金、例えば銀ーカドミウム系合金、銀ー錫系合金、銀ー亜鉛系合金、銀ーインジウム系合金等を用いうることは、勿論なことである。また、上記実施例では、金属導電体2の金属として銅、ニッケルを使用したが、上述した通り銅合金、その他の鉄族金属、鉄族金属合金錫、錫合金、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、または亜鉛合金等を使用しうることは、勿論なところである。また、台金6として銅ーニッケル合金を使ったが、易溶接性の他の金属を用いてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上で詳細に記述した通りに、この発明によれば、作動が確実で安全な所謂フェイルセーフ接点が、在来の通常の一般開閉接点と同様な構成ででき、従ってそれを在来の電気接点の製造方法と設備をもって容易且つ能率的に作ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】上記した実施例1による、この発明の電気接点材料と電気接点をつくる一連の製造工程を、各段階での接点材料の説明的な縦断面図でそれぞれ示すものである。
【図2】図1と同様な実施例2についての説明図である。
【図3】図1と同様な実施例3についての説明図である。
【図4】図1と同様な実施例4についての説明図である。
【図5】図1と同様な実施例5についての説明図である。
【符号の説明】
1−接点材
1’−接点材の一部
2−接点材と一体に接点材中にあって成形され、少なくともその一部が内部酸化後に絶縁層をなす導電体の金属
3−導電体の金属に生成する絶縁層
4−接点の脚部
5−当初の接点材に設けられた溝
6−金属製台金
Claims (10)
- 銀または銀合金の接点材で覆われて該接点材と一体化した導電体の金属の上記接点材の接点面をなす部分と対面する外周部が、少なくとも接点材内で酸化されて、該導電体の金属の一部または全部が絶縁層をなす電気接点材料。
- 上記の導電体の金属が銅、銅合金、鉄族金属、鉄族金属合金、
錫、錫合金、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、または亜鉛合金である請求項1記載の電気接点材料。 - 上記の導電体の金属が接点材中に埋没する請求項1又は2記載の電気接点材料。
- 接点材の接点面と対向する他面に金属製台金が複合された請求項1、2又は3記載の電気接点材料。
- 全体が所望の接点形状に加工された請求項1、2、3又は4記載の電気接点材料。
- 銀または銀合金の接点材で導電体の金属を覆ってこれらを一体化し、これを酸化雰囲気下で加熱して、該導電体の金属の上記接点材の接点面をなす部分と対面する外周部を、少なくとも接点材内で酸化して、該導電体の金属の一部または全部を絶縁層となすことを特徴とする電気接点材料の製造方法。
- 上記の導電体の金属が銅、銅合金、鉄族金属、鉄族金属合金、
錫、錫合金、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、または亜鉛合金である請求項6記載の電気接点材料の製造方法。 - 上記の導電体の金属を接点材中に埋没させる請求項6又は7記載の電気接点材料の製造方法。
- 一体化された材料の接点面と対向する他面に金属製台金を複合する請求項6、7又は8記載の電気接点材料の製造方法。
- 電気接点材料を全体として所望の接点形状に加工する請求項6、7、8又は9記載の電気接点材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093371A JP2004303505A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 電気接点材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093371A JP2004303505A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 電気接点材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004303505A true JP2004303505A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33406188
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003093371A Pending JP2004303505A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 電気接点材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004303505A (ja) |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003093371A patent/JP2004303505A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101215837B1 (ko) | 코일 부품 | |
KR100277614B1 (ko) | 단자재료 및 단자 | |
JP6180324B2 (ja) | 温度ヒューズおよび当該温度ヒューズに用いられる摺動電極 | |
JP6051298B2 (ja) | リベット型接点及びその製造方法 | |
WO2007065887A3 (de) | Elektrische wicklung | |
JP2004303505A (ja) | 電気接点材料 | |
JP4758054B2 (ja) | 巻線型コイル部品およびコイルの導線と金属端子の接続方法 | |
CA1291864C (en) | Electrical contact assembly with composite contact construction | |
TW200419878A (en) | Flat air core coil and its manufacturing method | |
CN114864305A (zh) | 一种铜支撑件及其制备方法、电气组件 | |
JPH05120940A (ja) | バイメタル電気接点 | |
EP2849194B1 (en) | Electrode material for thermal-fuse movable electrode | |
CN103608888A (zh) | 熔丝 | |
JPH0460284B2 (ja) | ||
US20230197393A1 (en) | Contact material for thermal fuse and thermosensitive pellet-type thermal fuse using the same | |
US20230187866A1 (en) | Silver alloy clad structure for charging terminals and manufacturing method thereof | |
JP2001273826A (ja) | Ag系−炭素系接点材料およびその製造方法 | |
CN115782321A (zh) | 复合金属带、电触头及复合金属带制造方法 | |
JP2004303574A (ja) | サーマルプロテクタおよびその製造方法 | |
JP2023018739A (ja) | コイル部品 | |
CN115346808A (zh) | 电触头支撑件及制备方法、电触头组件及制备方法 | |
CN201829362U (zh) | 银氧化镉复合触点 | |
JPH062521U (ja) | 電気接点用線材 | |
JPH0724180B2 (ja) | 銀―錫酸化物系電気接点の製造方法 | |
JPH0119212B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060307 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090106 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090526 |