JP2004302622A - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動による接触回避の可能性を判断して行う接触回避のための制動制御を、最適なタイミングで行うことができる。
【解決手段】車両用制動制御装置は、運転者の操舵特性に影響する環境の状態を検出する走行環境検出部11と、環境状態検出部11が検出した環境の状態に基づいて、自車両前方に存在する障害物の側方へ、操舵による接触回避が可能か否かを判断するドライバ回避操作緩慢度算出部12、操舵特性選択部13及び操舵回避判断部14と、自車両前方の障害物に対して、制動による接触回避が可能か否かを判断する制動回避判断部15と、操舵回避判断部14の判断結果と制動回避判断部15の判断結果とに基づいて、障害物に対する接触回避のための制動制御を行う自動制動開始判断部16とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車等の障害物に対する接触回避のための制動制御を行う車両用制動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
障害物回避を目的とする車両用制動制御装置として、特許文献1等に記載されている技術がある。特許文献1に記載されている車両用制動制御装置は、車両前方の障害物に対して、ブレーキ操作で可能な接触回避距離と、操舵操作で可能な接触回避距離とを算出して、自車両と障害物との間の距離がそれら算出したどの接触回避距離よりも下回った場合に自動制動を行うものである。すなわち、操舵による接触回避距離と制動による接触回避距離とを基準として、操舵及び制動による接触回避の可能性を判断し、操舵及び制動による接触回避が不可能である場合、接触回避のための自動制動制御を作動させている。これにより、運転者がブレーキ操作や操舵操作により障害物を回避する意志がある場合に、不要な制動が作動してしまうことを防止している。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−298022
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許文献1に記載の車両用制動制御装置では、自車両の発生する横加速度を固定値として、幾何学的な関係で前記操舵による接触回避距離を演算している。
しかし、操舵による接触回避の可能性には、運転者の操舵特性が影響するところが大きい。このようなことから、前述の特許文献1に記載の車両用制動制御装置のように、自車両の発生する横加速度を固定値として、幾何学的な関係で前記操舵による接触回避距離を演算したのでは、その接触回避距離が、本来の最適な接触回避距離よりも大きくなったり、又は小さくなったりする。すなわち、操舵による接触回避の可能性を正確に判断することができない。
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みてなされたものであり、操舵による接触回避の可能性を判断して行う接触回避のための制動制御を、最適なタイミングで行うことができる車両用制動制御装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述の問題を解決するために、本発明に係る車両用制動制御装置は、運転者の操舵特性に影響する環境に基づいて、自車両前方に存在する障害物に対する接触回避のための制動制御を行う。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、自車両前方に存在する障害物に対する接触回避のための制動制御を、運転者の操舵特性に影響する環境を考慮して行うことで、その制動制御を、最適なタイミングで行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施の形態は、本発明を適用した車両用制動制御装置である。
図1は第1の実施の形態の車両用制動制御装置の構成を示す。
この図1に示すように、車両用制動制御装置は、前方監視部1、周囲監視部2及びナビゲーション装置3、車載制御部10及び自動制御部4を備えている。そして、車載制御部10は、走行環境検出部11、ドライバ回避動作緩慢度算出部12、操舵特性選択部13、操舵回避判断部14、制動回避判断部15及び自動制動開始判断部16を備えている。
【0008】
前方監視部1は、自車両前方の障害物に対しての縦距離、横変位量及び相対速度を検出する。相対速度については、例えば縦距離の微分演算やバンドパスフィルタ処理によって求める。前方監視部1は、検出結果を車載制御部10の操舵回避判断部14及び制動回避判断部15に出力する。
周囲監視部2は、自車両の左右及び後方の他車両の存在を検出する。例えば、周囲監視部2は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像装置で自車両周囲を撮像して、その撮像画像を画像処理することで、他車両状況としての自車両の周囲車両を検出する。周囲監視部2は、検出結果を車載制御部10の道路及び周囲検出部11に出力する。
【0009】
ナビゲーション装置3は、走行中の自車両の現在位置や進行方向等の情報を人工衛星・地磁気計・走行距離計等を利用して測定し、画面に表示して運転者に知らせる装置である。このナビゲーション装置3により、自車両が走行している道路の状況及ぶ周囲環境を取得する。具体的には、ナビゲーション装置3から、現在走行中の道路の路肩状況や合流地点の有無等の道路環境、及び自車両が走行する地域の属性、前方の渋滞情報等の周囲環境を取得する。ナビゲーション装置3からの環境情報は、車載制御部10の走行環境検出部11に出力される。
【0010】
走行環境検出部11は、周囲監視部2からの他車両状況の情報及びナビゲーション装置3からの環境情報に基づいて、運転者の操舵操作が緩慢となるような事象を検出する。ここでいう事象は、運転者の操舵特性に影響する環境の因子になる。道路及び周囲環境認識部11は、検出した前記事象をドライバ回避操作緩慢度算出部12に出力する。
【0011】
ドライバ回避操作緩慢度算出部12は、走行環境検出部11からの出力に基づいて、運転者が操舵回避を行う場合に操作が緩慢となる事象に対して点数付けをし、さらのその点数に基づいて運転者の操舵操作が緩慢となる度合いを算出する。このドライバ回避操作緩慢度算出部12は、算出した前記運転者の操舵操作が緩慢となる度合い(以下、運転者操舵操作緩慢度合いという。)を操舵特性選択部13に出力する。
【0012】
操舵特性選択部13は、ドライバ回避操作緩慢度算出部12からの運転者操舵操作緩慢度合いに基づいて、操舵による障害物回避を行う場合に想定する運転者の操舵特性を選択する。操舵特性選択部15は、その選択結果を操舵回避判断部14に出力する。
操舵回避判断部14は、そのように操舵特性選択部13からの選択結果が入力されるほかに、前方監視部1からの検出結果が入力される。操舵回避判断部14は、これら入力情報に基づいて、操舵により障害物に対する接触回避が可能か否かを判断する。操舵回避判断部14は、その判断結果を自動制動開始判断部16に出力する。
【0013】
制動回避判断部15は、前方監視部1からの検出結果に基づいて、制動により障害物に対する接触回避が可能か否かを判断する。この制動回避判断部15は、その判断結果を自動制動開始判断部16に出力する。
自動制動開始判断部16は、操舵回避判断部18からの判断結果と制動回避判断部12からの判断結果とに基づいて、接触防止のための減速制動を作動させるか否かを判断する。この自動制動開始判断部16は、その判断結果に基づいて、制動開始信号を自動制動部4に出力する。
【0014】
自動制動部4は、車載制御部10の自動制動開始判断部16からの制動開始信号に基づいて、制動制御を開始する。この自動制御部4の駆動により、車両5に制動力が発生し、車両101は接触回避のために減速するようになる。
車両用制動制御装置は、以上のような構成部を備えている。
図2は、前述の車両用制動制御装置の構成により実現される処理の処理手順を示す。また、この処理手順について説明しつつ、前述した各構成部の処理等についてもさらに詳細に説明する。
【0015】
先ず、ステップS1において、自車両前方の障害物との縦距離及び横変位量を検出し、さらにその検出結果に基づいて相対速度を算出する。具体的には次のようにである。
先ず、前方監視部1が自車両前方の障害物との縦距離及び横変位量を検出する。前方監視部1は、例えばスキャニング式のレーザレーダセンサを備えて構成されている。
【0016】
図3は、前方監視部1の動作を説明する図である。
この図3に示すように、前方監視部1は、自車両101と自車両101の前方障害物(先行車)102との間の縦方向の距離Lを計測する。さらに、位置関係及び相対速度検出部11は前記縦距離Lに基づいて相対速度Vrを算出する。
また、前方監視部1は、水平方向左右において、中心位置(水平方向における当該前方監視部1取り付け位置)から自車前方障害物102の後端右端までの角度範囲θ1や中心位置から自車前方障害物102の後端左端までの角度範囲θ2を計測する。例えば、図3に示すように、角度範囲θ1,θ2の計測を自車前方障害物102の後端を基準に行っている。そして、前方監視部1は、角度範囲θ1と角度範囲θ2との関係からの自車両101と自車前方障害物102との横変位量(オフセット量)を得る。
【0017】
続いてステップS2において、他車両状況、道路環境及び周囲環境を検出する。具体的には、走行環境検出部11は、周囲監視部2が検出した自車両の左右及び後方の他車両状況の情報及びナビゲーション装置3から取得した道路環境及び周囲環境の情報に基づいて、運転者の操舵操作を緩慢にする事象を検出する。
具体的には、検出対象事象を、▲1▼他車両状況、道路環境としての▲2▼路肩状況及び▲3▼合流地点、周囲環境としての▲4▼走行地域の環境といったように4項目に大別する。そして、各検出対象事象についての事象認識フラグをオン(“1”)及びオフ(“0”)して、事象の検出結果を得る。
【0018】
具体的には、自車両の周囲の車両有無に関して、次のように事象を検出する。
自車両の左に他車が存在する場合、事象検出フラグCAR_Lを1にする(CAR_L=1)。また、自車両の右に他車が存在する場合、事象検出フラグCAR_Rを1にする(CAR_R=1)。また、自車両の後方に他車が存在する場合、事象検出フラグCAR_Bを1にする(CAR_B=1)。また、VICS(Vehicle Information Communication System )等の渋滞情報により渋滞が発生していることを検出した場合、すなわち、自車両の四方が他車両により囲まれている場合、事象検出フラグJAMを1にする(JAM=1)。
【0019】
また、道路環境に関して、次のように事象を検出する。
山岳道路や橋梁等を自車両が走行中で、路肩に崖や土手、河川等がある場合、事象検出フラグSHLD_1を1にする(SHLD_1=1)。また、自車両が高速道路や都市高速等を走行中で路肩に壁やガードレールがある場合、事象検出フラグSHLD_2を1にする(SHLD_2=1)。また、高速道路や幹線道路の合流地点の前後10mを自車両が走行している場合、事象検出フラグJOIN_1を1にする(JOIN_1=1)。また、当該合流地点の前後11〜50mを自車両が走行している場合、事象検出フラグJOIN_2を1にする(JOIN_2=1)。
【0020】
また、周囲環境に関して、次のように事象を検出する。
自車両の走行中の地域が大都市部の場合、事象検出フラグAREA_1を1にする(AREA_1=1)。また、自車両が走行中の地域が国立公園領域内の場合、事象検出フラグAREA_2を1にする(AREA_2=1)。
そして、前述の各項目について、該当しない場合には、事象検出フラグの値を0にする。
【0021】
続いてステップS3において、運転者の回避操作緩慢度を算出する。具体的には、ドライバ回避操作緩慢度算出部12は、前記ステップS2で検出した事象の各項目について重み付けを行い、その重み付けして得た値の総計を運転者が操舵を行う場合の緩慢さの度合いとして算出する。具体的には次のように、運転者が操舵を行う際の緩慢さが大きくなるような場合、その度合いが大きくなるように算出する。
【0022】
他車両の状況を示す事象検出フラグCAR_L、CAR_R、CAR_B、JAMについて、次のように、重み付けをして、さらに点数化する。
自車両の左右に車両が存在する場合、操舵操作は緩慢になることが考えられる。これを考慮して、事象検出フラグCAR_Lや事象検出フラグCAR_Rには、例えば2の重みを与える。
【0023】
また、自車両後方に車両が存在する場合、当該後続車両の回避行動によっては自車両が接触される可能性が考えられる。これを考慮して、事象検出フラグCAR_Bには、例えば1の重みを与える。
また、自車の四方が他車両で囲まれているような状況では、運転者は操舵操作が行えず、結果として運転者の操舵操作が緩慢になると考えられる。これを考慮して、事象検出フラグJAMには、例えば3の重みを与える。
【0024】
そして、前述の結果に基づいて、他車両項目CARについて下記のように点数を得る。
事象検出フラグJAMが0であり、かつ事象検出フラグCAR_Lが1又は事象検出フラグCAR_Rが1の場合、他車両項目CARを下記式により点数化する。
CAR=(CAR_L又はCAR_R)×2
また、事象検出フラグJAM、事象検出フラグCAR_L及び事象検出フラグCAR_Rが全て0であり、かつ事象検出フラグCAR_Bが1の場合、他車両項目CARを下記式により点数化する。
【0025】
CAR=CAR_B×1
また、事象検出フラグJAM、事象検出フラグCAR_L、事象検出フラグCAR_R及び事象検出フラグCAR_Bが全て0の場合、他車両項目CARを下記式により点数化する。
CAR=0
また、事象検出フラグJAMが1の場合、他車両項目CARを下記式により点数化する。
【0026】
CAR=JAM×3
一方、路肩状況を示す事象検出フラグSHLD_1、SHLD_2について、次のように、重み付けをして、さらに点数化する。
道路外に車両がはみだした場合、危険性が高くなるような状況が想定される事象に関しては、運転者の操舵操作は緩慢になると考えられる。これを考慮して、事象検出フラグSHLD_1には、例えば3の重みを与える。
【0027】
また、操舵回避によって道路側壁への接触可能性が高くなるような場合には、前記事象検出フラグSHLD_1のものより重み付けを小さくする。例えば、事象検出フラグSHLD_2には、例えば2の重みを与える。
そして、前述の結果に基づいて、路肩状況項目SHLDについて下記のように点数を得る。
【0028】
事象検出フラグSHLD_1が1の場合、路肩状況項目SHLDを下記式により点数化する。
SHLD=SHLD_1×3
また、事象検出フラグSHLD_1が0であり、かつ事象検出フラグSHLD_2が1の場合、路肩状況項目SHLDを下記式により点数化する。
【0029】
SHLD=SHLD_2×2
また、事象検出フラグSHLD_1及び事象検出フラグSHLD_2がともに0の場合、路肩状況項目SHLDを下記式により点数化する。
SHLD=0
一方、合流地点での状況を示す事象検出フラグJOIN_1、JOIN_2について、次のように、重み付けをして、さらに点数化する。
【0030】
自車両が合流地点を走行しており、流入車両がある場合や自車両が本線に合流する場合、操舵回避が困難となり、結果的に運転者の操舵操作が緩慢となると考えられる。これを考慮して、事象検出フラグJOIN_1には、例えば3の重みを与える。
また、自車両が合流地点に向かっている場合や合流地点から遠ざかっている場合、自車両が合流地点を走行しているほどではないが、ある程度、運転者の操舵操作が緩慢となることが考えられる。これを考慮して、事象検出フラグJOIN_2には、例えば2の重みを与える。
【0031】
そして、前述の結果に基づいて、合流地点状況項目JOINについて下記のように点数を得る。
事象検出フラグJOIN_1が1の場合、合流地点状況項目JOINを下記式により点数化する。
JOIN=JOIN_1×3
また、事象検出フラグJOIN_1が0であり、かつ事象検出フラグJOIN_2が1の場合、合流地点状況項目JOINを下記式により点数化する。
【0032】
JOIN=JOIN_2×2
また、事象検出フラグJOIN_1及び事象検出フラグ0がともに0の場合、合流地点状況項目JOINを下記式により点数化する。
JOIN=0
一方、走行地域の環境を示す事象検出フラグAREA_1、AREA_2について、次のように、重み付けをして、さらに点数化する。
【0033】
大都市部を自車両が走行しているために交通量が多く、同時に歩行者や自転車等の自動車以外の存在する場合、繁華街やオフィス街などで多くの混雑が予想される場合、運転者の操舵操作は緩慢とならざるを得ないことが考えられる。これを考慮して、事象検出フラグAREA_1には、例えば3の重みを与える。
また、観光客が多く、道路の混雑が予想される地域を自車両が走行している場合には、前述の大都市部を自車両が走行している場合や繁華街やオフィス街などで多くの混雑が予想される場合ほどではないが、運転者の操舵操作が緩慢となることが考えられる。これを考慮して、事象検出フラグAREA_2には、例えば2の重みを与える。
【0034】
そして、前述の結果に基づいて、走行地域環境項目AREAについて下記のように点数を得る。
事象検出フラグAREA_1が1である場合、走行地域環境項目AREAを下記式により点数化する。
AREA=AREA_1×3
また、事象検出フラグAREA_1が0であり、かつ事象検出フラグAREA_2が1の場合、走行地域環境項目AREAを下記式により点数化する。
【0035】
AREA=AREA_2×2
また、事象検出フラグAREA_1及び事象検出フラグAREA_2がともに0の場合、走行地域環境項目AREAを下記式により点数化する。
AREA=0
以上のように、他車両項目CAR、路肩状況項目SHLD、合流地点状況項目JOIN、走行地域環境項目AREAの各項目について点数化して、それらを下記式のように総計して、運転者の回避操作緩慢度Dを算出する。
【0036】
D=CAR+SHLD+JOIN+AREA
続いてステップS4において、運転者の操舵特性を選択する。具体的には、操舵特性選択部13は、前記ステップS3で算出した運転者の回避操作緩慢度Dに基づいて、運転者による操舵特性を選択する。例えば、運転者の回避操作緩慢度Dと所定の閾値(第3の所定の閾値)とを比較する。そして、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値以下の場合、運転者が思い切りよく操舵操作するものと想定し、短時間に多くの操舵量を与えるような操舵特性を選択する。例えば、図4に示すように、操舵量が多く、かつ短時間でそのような操舵量に達するような操舵特性を選択する。すなわち、操舵量最大値が大きく、操舵速度が速い操舵特性を選択する。
【0037】
また、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値よりも大きい場合、運転者が操舵回避を躊躇して、操舵操作が緩慢になると想定される操舵特性を選択する。例えば、図5に示すように、操舵量が少なく、かつそのような操舵量に達するまで時間がかかるような操舵特性を選択する。すなわち、操舵量最大値が小さく、操舵速度が遅い操舵特性を選択する。
【0038】
なお、前記所定の閾値を実験等により得る。また、前記所定の閾値を実験を行ないながら調整するようにしてもよい。
続いてステップS5において、操舵による接触回避に必要な横移動量を算出する。具体的には、操舵回避判断部14は、前記ステップS1で算出した前記距離L及び横変位量に基づいて、操舵回避に必要な横移動量Yを算出する。
【0039】
横変位量(オフセット量)が存在(発生)している側、すなわち角度範囲θ1,θ2でみた場合に角度が小さくなる側に回避すれば、少ない横移動量で済む。このようなことから、横移動量を少なくして操舵回避可能となる方の当該横移動量Yを算出する。
例えば、角度範囲θ1の方が小さい場合、横移動量Yを下記(1)式で与える。
【0040】
Y=Lsin(θ1)+Lw/2 ・・・(1)
ここで、Lwは、自車両の全幅(W1)である。この場合、右方向に操舵回避する場合であり、その横移動量Yは、図3に示すように、自車両101の左端から自車前方障害物102の右端まで距離になる。
一方、角度範囲θ2の方が小さい場合、横移動量Yを下記(2)式で与える。
【0041】
Y=Lsin(θ2)+Lw/2 ・・・(2)
このように操舵による接触回避に必要な横移動量Yを算出することで、自車両に対して自車両幅方向で自車前方障害物がオフセットされて位置している場合でも、そのオフセット量に応じて前記横移動量Yが算出することができる。これにより、操舵回避可能か否かを正確に判断することができる。
【0042】
なお、前記(1)式及び(2)式の右辺中の(Lw/2)の値は、全幅がLwである車幅中央に前方監視部1(レーザレーダセンサ)が取り付けられていることを前提とするものである。このようなことから、前方監視部1(レーザレーダセンサ)が車幅中央から左右どちらかにオフセットして取り付けられている場合、前記(1)式及び(2)式では、そのオフセット分を加える又は減ずる必要がある。
【0043】
続いてステップS6において、操舵による障害物回避可能性を判断する。具体的には、操舵回避判断部14は、前記ステップS5で算出した横移動量Y分から自車両が横移動するのに必要な時間(以下、横移動必要時間という。)Tyを算出して、この横移動必要時間Tyに基づいて操舵による障害物回避の可能性を判断する。
【0044】
先ず、前記ステップS5で得た横移動量Yに基づいて前記横移動必要時間Tyを算出する。
ここで、操舵特性を考慮して横移動必要時間Tyを算出する。先ず、操舵特性を次のような関係で与える。
mV(r+dβ/dt)=2Y+2Y ・・・(3)
(dr/dt)=2l−2l ・・・(4)
=f(β+lr/V−θ) ・・・(5)
=f(β+lr/V) ・・・(6)
ここで、mは車両重量であり、lは車両ヨー方向の慣性モーメントであり、Vは車速であり、rはヨーレイトであり、βは車体スリップ角であり、lは車両重心から前輪までの距離であり、lは車両重心から後輪までの距離であり、Y,Yはそれぞれ前輪、後輪の発生する横力である。これらが、その時点での自車両状態を示すものとなる。
【0045】
また、θは、前輪舵角で、前記ステップS4で選択した操舵特性(操舵速度、操舵最大量)に基づいて決定する。
また、f,fはタイヤスリップ角に対し発生するタイヤ横力を表す関数である。例えば、タイヤ横力を示す関数f,fは、図6のような関係により、タイヤスリップ角により決定される。
【0046】
以上のような関係の下、横移動量Yは下記(7)式として表される。
Y=∫Vsin(∫rdt+β)dt ・・・(7)
以上の(3)式〜(7)式を解くことで、前記横移動必要時間Tyを算出することができる。すなわち、運転者操作による操舵特性に影響される操舵特性を考慮して、横移動必要時間Tyを算出することができる。
【0047】
なお、前記(3)式〜(7)式の演算を予めオフラインで行い、その演算結果をマップ化しておいてもよい。図7は、そのようなマップを示す。図7に示すマップでは、車速をパラメータとして、横移動量Yから前記横移動必要時間Tyを得ることができるようになっている。回避に必要な横移動量Y分、横移動するのに必要な時間Tyを演算する際には、このようなマップを参照して、車速Vと横移動量Yとから最適な横移動必要時間Tyを得ることができる。これにより、前記(3)式〜(7)式の演算をオンライン或いはオンタイムで行う場合に比べ、短時間で横移動必要時間Tyを得ることができる。
【0048】
続いて、下記(8)式により、横移動必要時間Tyを用いた操舵による障害物回避の可能性の判断をする。
L/Vr<Ty ・・・(8)
ここで、(8)式の左辺(L/Vr)は衝突推定時間である。
この(8)式が成立する場合、操舵による障害物回避が不可能であると判断し、この(8)式が不成立の場合、操舵による障害物回避が可能であると判断する。
【0049】
以上のように、ステップS6で、操舵による障害物回避の可能性を判断する。
続いてステップS7において、制動による障害物回避可能性を判断する。具体的には、制動回避判断部15は、前記ステップS1で得た前記距離Lと相対速度Vrとにより、制動による回避の可能性を判断する。例えば、下記(9)式に示す関係が成立するとき、制動による回避性が不可能であると判断する。
【0050】
L<−VrT+Vr/2a ・・・(9)
ここで、Tは運転者のブレーキ操作時に減速度が発生するまでの無駄時間で、例えば0.2秒、aは運転者のブレーキ操作で発生する減速度で、例えば8.0m/sである。
続いてステップS8において、自車制動開始判断部16は、前記ステップS6で得た操舵による障害物回避可能性の判断結果に基づいて、操舵による障害物回避が可能か否かを判定し、また、前記ステップS7で得た制動による障害物回避可能性の判断結果に基づいて、制動による障害物回避が可能か否かを判定する。ここで、操舵による障害物回避が不可能であり、かつ制動による障害物回避が不可能である場合、ステップS10に進み、そうでない場合、ステップS9に進む。
【0051】
ステップS10では、第2の制動力による制動制御を行う。この第2の制動力による制動制御については後で説明する。
また、ステップS9では、自車制動開始判断部16は、前記ステップS6で得た操舵による障害物回避可能性の判断結果に基づいて、操舵による障害物回避が可能か否かを判定し、また、前記ステップS8で得た制動による障害物回避可能性の判断結果に基づいて、制動による障害物回避が可能か否かを判定する。ここで、操舵による障害物回避が不可能であり、又は制動による障害物回避が不可能である場合、ステップS11に進み、そうでない場合、すなわち、操舵及び制動の両方による障害物回避が可能である場合、ステップS12に進む。
【0052】
ステップS11では、第1の制動力による制動制御を行う。この第1の制動力による制動制御については後で説明する。
ステップS12では制動制御解除を行う。
次に、前記ステップS11で行う第1の制動力による制動制御、前記ステップS10で行う第2の制動力による制動制御、及び前記ステップS12で行う制動制御解除について説明する。ここで、自動制御部4が制動制御を行う。
【0053】
図8は、前記第1の制動力と第2の制動力との関係を示す。図8は、制動力の経時変化を示す。
この図8に示すように、第1の制動力による制動制御では、第1の傾きα1で増加し、第1の制動力p1になるような制動制御であり、また、第2の制動力による制動制御は、前記第1の傾きα1よりも大きい第2の傾きα2で増加し、第2の制動力(p1+p2)になるような制動制御である。そして、第2の制動力による制動制御は、通常、第1の制動力による制動制御から移行するようになっている。また、前記第1の傾きα1は、第1の制動力による制動制御から、第2の制動力による制動制御に移行する際に、第1の制動力の制動力の大きさであるp1が所定値以下になるように決定している。例えば、第1の傾きα1については次のように決定する。
【0054】
先ず、第1の制動力による制動制御が作動し始めてから第2の制動力による制動制御が作動するまでの時間T1(図8中に示す時間)を推定する。
例えば、制動による障害物回避が不可能となってから、操舵による障害物回避が不可能になる場合には、下記(10)式により、前記ステップS6で算出した横移動必要時間Tyを用いて前記時間T1を算出する。
【0055】
T1=L/Vr−T ・・・(10)
一方、操舵による障害物回避が不可能となってから制動による障害物回避が不可能になる場合には、下記(11)式により、前記時間T1を算出する。
T1=−(L−Vr/2a+VrT)/Vr ・・・(11)
ここで、前述したように、Tは運転者のブレーキ操作時に減速度が発生するまでの無駄時間であり、aは運転者のブレーキ操作により発生する減速度である。
【0056】
そして、前記(10)式又は(11)式で算出した時間T1に基づいて、前記第1の傾きα1を下記(12)式により算出する。
α1=(第2の制動力−制動力差p1)/T1 ・・・(13)
前記ステップS11では、以上のような第1の制動力による制動制御を行い、また、ステップS10では、以上のような第2の制動力による制動制御を行う。そして、前記ステップS12では、そのような制動制御を解除する。制動制御の解除は、例えば所定の傾きで徐々に制動力の大きさを小さくして行う。
【0057】
次に動作を説明する。
車両用制動制御装置は、自車両の左右及び後方の他車両状況の情報並びに道路環境及び周囲環境の情報に基づいて、運転者の操舵操作を緩慢にする事象を検出する(前記ステップS2)。そして、車両用制動制御装置は、その検出した事象に基づいて、運転者の回避操作時の緩慢度を示す運転者の回避操作緩慢度Dを算出する(前記ステップS3)。
【0058】
ここで、走行環境について、自車両の左右に車両が存在する場合、自車両後方に車両が存在する場合、自車両の四方が他車両により囲まれている場合、山岳道路や橋梁等を自車両が走行中で、路肩に崖や土手、河川等がある場合、高速道路や都市高速等を自車両が走行中で路肩に壁やガードレールがある場合、高速道路や幹線道路の合流地点の前後10mを自車両が走行している場合、高速道路や幹線道路の合流地点の前後11〜50mを自車両が走行している場合、自車両の走行中の地域が大都市部の場合、自車両が走行中の地域が国立公園領域内の場合、運転者の回避操作緩慢度Dを大きい値に設定している。
【0059】
さらに、車両用制動制御装置は、前記運転者の回避操作緩慢度Dに基づいて、運転者の操舵特性を選択する(前記ステップS4)。具体的には、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値よりも大きい場合、すなわち、自車両の左右及び後方の他車両状況、道路環境或いは周囲環境から運転者の操舵動作が緩慢な動作であると予測できる場合、そのような緩慢な操舵特性にする選択をする(図5の操舵特性)。また、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値以下の場合、すなわち、自車両の左右及び後方の他車両状況、道路環境或いは周囲環境から運転者の操舵動作が俊敏な動作であると予測できる場合、そのような俊敏な操舵特性にする選択をする(図4の操舵特性)。
【0060】
そして、車両用制動制御装置は、距離L及び角度範囲θ1、θ2(横変位量)に基づいて、横移動量Yを算出し(前記ステップS1、ステップS5)、この横移動量Yと前記選択した操舵特性に基づいて、操舵による障害物回避の可能性を判断する(前記ステップS6)。
さらに、車両用制動制御装置は、距離L及び相対速度Vrに基づいて、制動による障害物回避の可能性を判断する(前記ステップS1、ステップS7)。そしてまた、車両用制動制御装置は、前記操舵による障害物回避可能性の判断結果と制動による障害物回避可能性の判断結果とに基づいて、第1の制動力による制動制御、又は第2の制動力による制動制御、或いはその制動制御の解除を行う(前記ステップS8〜ステップS12)。
【0061】
ここで、前述したように、運転者の操舵動作が緩慢な動作であると予測できる場合、そのような緩慢な操舵特性にし、また、運転者の操舵動作が俊敏な動作として予測できる場合、そのような俊敏な操舵特性にしている。この結果、運転者の操舵動作が緩慢な動作であると予測できる場合、操舵による障害物回避可能性が低くなり、接触回避のための制動制御の作動タイミングが早くなる。一方、運転者の操舵動作が俊敏な動作として予測できる場合、操舵による障害物回避可能性が高くなり、接触回避のための制動制御の作動タイミングが遅くなる。なお、この場合でも、制動による障害物回避可能性に応じて、接触回避のための制動制御の作動タイミングは変化する。
【0062】
次に効果を説明する。
前述したように、操舵による障害物回避の可能性の判断を、運転者の操舵特性に影響する環境を考慮して行っている。これにより、操舵による障害物回避の可能性の判断を正確にすることができ、最適なタイミングで障害物に対する接触回避のための制動制御を行うことができる。
【0063】
具体的には、運転者の操舵特性に影響する環境の状態が、運転者の操舵操作を緩慢にするほど、操舵による障害物回避の可能性を低くすることで、接触回避のための制動制御の開始タイミングを早くする方向に変更している。
ここで、運転者の操舵特性に影響する環境として、自車両周囲の他の車両が多いほど或いは道路が混雑しているほど、自車両が走行する走行路の脇に障害物があるほど、自車両の走行地点が道路の合流地点に近いほど、接触回避のための制動制御の開始タイミングを早くする方向に変更している。
【0064】
このようにタイミングで制動制御を開始させることで、最適なタイミングで障害物に対する接触回避のための制動制御が実現できる。
また、前述したように、運転者の操舵特性に影響する環境の事象を運転者の操舵特性への影響度に応じてそれぞれ重み付けして数値化し、その重み付けした値の総計として運転者の回避操作緩慢度Dを得ている。そして、この運転者の回避操作緩慢度Dと所定の閾値とを比較して、その比較結果に基づいて、操舵による障害物回避の可能性を判断している。
【0065】
このように、前記重み付けした値の総計から、結果的に操舵による障害物回避の可能性を判断している。これにより、運転者の操舵特性に影響する環境を広く考慮して、さらに、運転者の操舵特性へのその環境の影響度を個別に考慮して、結果的に操舵による障害物回避の可能性を判断している。このようにすることで、環境と運転者の操舵特性との実際の関係を考慮して、操舵による障害物回避の可能性を判断している。この結果、最適なタイミングで障害物に対する接触回避のための制動制御が実現できる。
【0066】
次に第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態では、車内温度、車両周囲の明暗、天候、時刻、湿度或いは気圧等の運転者がおかれている運転環境に基づいて、操舵による障害物回避の可能性を判断している。すなわち、前述の第1の実施の形態では、走行環境に基づいて判断している操舵による障害物回避の可能性を、第2の実施の形態では、運転環境に基づいて判断している。
【0067】
図9は第2の実施の形態の車両用制動制御装置の構成を示す。
この図9に示すように、第2の実施の形態の車両用制動制御装置は、前方監視部1、運転者環境検出センサ21、車載制御部10及び自動制御部4を備えている。そして、車載制御部10は、運転者環境検出部17、ドライバ回避動作緩慢度算出部12、操舵特性選択部13、操舵回避判断部14、制動回避判断部15及び自動制動開始判断部16を備えている。
【0068】
ここで、第2の実施の形態の車両用制動制御装置では、特に運転者環境検出センサ21及び運転者環境検出部17を備えている。
運転者環境検出センサ21は、前述したような運転者がおかれている運転環境を測定するものである。運転者環境検出センサ21は、例えば、車内温度、車両周囲の明暗、天候、時刻、湿度或いは気圧を測定するセンサ類からなる。具体的には、車内温度を検出するセンサとして温度センサがあり、車両周囲の明暗を検出するセンサとして、自動点灯ヘッドライトに使用する照度センサがあり、天候を検出するセンサとして、ワイパ作動状態を検出するセンサがあり、時刻を検出するセンサとして、ナビゲーションシステムが受信するGPS(Global Positioning System)からの時刻データを取得するセンサがあり、湿度を検出するセンサとして、湿度センサがあり、気圧を検出するセンサとして、エンジンのブーストセンサがある。
【0069】
運転者環境検出部17は、運転者環境検出センサ21からのセンサ出力に基づいて、運転者環境を検出している。この運転者環境検出センサ21の処理について、図10を用いて詳細に説明する。
図10は、前述した第2の実施の形態の車両用制動制御装置の構成により実現される処理の処理手順を示す。前述の第1の実施の形態で示す図2の処理手順と比較すると、ステップS2に代えて、ステップS21として運転者環境検出センサ21により運転環境の検出を行うようになっている。以下では、特に、このステップS21の運転環境の検出の処理を説明しつつ、必要に応じて他のステップの処理についても説明する。
【0070】
ステップS1に続くステップS21において、運転環境を検出する。具体的には、運転環境検出部17は、運転環境検出センサ21からのセンサ出力に基づいて、運転者の操舵操作を緩慢にする事象を検出する。
具体的には、検出対象事象を、車内室温、車両周囲の明暗、視界、時刻、湿度、気圧にしている。ここで、前記車内温度、車両周囲の明暗、天候、時刻、湿度或いは気圧は、運転者の操舵特性に影響する環境の因子をなす。
【0071】
一般に、運転は、認知、判断、操作の順で行なわれる。このようなことから、運転者の操舵による回避操作を阻害する事象として、運転における認知及び判断を躊躇させる事象と、運転における操舵操作そのものを緩慢させる事象が挙げられる。このようなことから、運転者の操舵による回避操作を阻害する事象を次のように大別できる。
【0072】
a.認知及び判断を躊躇させる運転環境
a−1.朝日や夕日でまぶしい運転環境にある場合、車両周辺の情報が不明確となるので、運転者は操舵操作を躊躇しがちになる。このようなことから、視界は、運転における認知及び判断を躊躇させる事象になる。
a−2.雨、雪の運転環境にある場合、車両周辺の情報が不明確となるので、運転者は操舵操作を躊躇しがちになる。このようなことから、天候は、運転における認知及び判断を躊躇させる事象になる。
【0073】
a−3.車両周辺が暗い場合、車両周辺の情報が不明確となるので、運転者は操舵操作を躊躇しがちになる。このようなことから、車両周囲の明暗は、運転における認知及び判断を躊躇させる事象になる。
b.操舵操作を緩慢にさせる運転環境
b−1.気温が低い場合、寒さで体の動きが鈍くなるので、運転者の操舵操作は緩慢になりがちである。更に、防寒のためコートやセータを着込むため、暖かいときに比べて急激な操舵操作が難しいことも予想される。このようなことから、室温は、操舵操作を緩慢にする事象になる。
【0074】
b−2.早朝では十分に体がウォーミングアップされていないため、運転者の操舵操作は緩慢になる。このようなことから、時刻は、操舵操作を緩慢にする事象になる。
b−3.車室内の湿度及び温度が高い場合、不快指数が高いので、体の動きが鈍くなり、運転者の操舵操作は緩慢になる。このようなことから、車室内の湿度、温度は、操舵操作を緩慢にする事象になる。
【0075】
b−4.気圧が急激に変化するような場合、その変化に体の機能が追いついていかないこともあり、この場合には、運転者の操舵操作は緩慢になる。このようなことから、気圧変化は、操舵操作を緩慢にする事象になる。
このようなことから、検出対象事象を、車内室温、車両周囲の明暗、視界、時刻、湿度、気圧にしている。
【0076】
そして、各検出対象事象についての事象認識フラグをオン(“1”)及びオフ(“0”)して、事象の検出結果を得る。具体的には、運転環境に関して、次のように事象を検出する。
温度センサからのセンサ出力に基づいて、例えば室内温度が−20℃以下か否かを判断する。室内温度が−20℃以下の場合、事象検出フラグTEMPを1にする(TEMP=1)。
【0077】
また、照度センサからのセンサ出力がヘッドライトを点灯するときの値以上になったとき、事象検出フラグLIGHTを1にする(LIGHT=1)。
また、照度センサからのセンサ出力が朝日や夕日を直接浴びたときの値以上になった場合、事象検出フラグSUNを1にする(SUN=1)。この場合、例えば、予め実験等により、朝日や夕日を直接浴びた場合の照度センサのセンサ出力値を得て、この出力値を基準に判断する。
【0078】
また、ワイパ操作状態を検出するセンサからのセンサ出力に基づいて、ワイパが作動していると判断した場合、事象検出フラグWTHRを1にする(WTHR=1)。
また、ナビゲーションシステムが受信するGPSからの時刻データに基づいて、
現在時刻が早朝AM4:00〜AM6:00と判断した場合、事象検出フラグTIMEを1にする(TIME=1)。
【0079】
また、温度センサからのセンサ出力と、湿度センサからのセンサ出力とに基づいて、例えば、湿度が90%以上であり、かつ室温が30℃以上であると判断した場合、事象検出フラグHUMDを1にする(HUMD=1)。
また、エンジンのブーストセンサを用いて大気圧を検出し、その検出した大気圧の所定時間内における気圧変化が所定量以上になっていると判断した場合、事象検出フラグPRESSを1にする(PRESS=1)。
【0080】
例えば、航空機が着陸等する際には、0.8気圧(上空気圧)から1気圧(地上気圧)に戻すような場合、約15〜30分程かけてゆっくり地上に降りてくる。このようなことから、例えば、前記所定時間を15分として、前記所定量を0.2気圧にする。これは、例えば、気圧が低い走行環境(0.8気圧、標高2000m級の山にいる状態)から地上(標高0m)への移動が、15分程度であるか否かを判断することに相当する。すなわち、0.2気圧/15分(0.013気圧/分)の気圧変化が発生しているか否かを判断していることになる。
【0081】
続いてステップS3において、運転者の回避操作緩慢度を算出する。具体的には、ドライバ回避操作緩慢度算出部12は、前記ステップS2で検出した事象の各項目について重み付けを行い、その総計を運転者が操舵を行う場合の緩慢さの度合いとして算出する。具体的には次のように、運転者が操舵を行う際の緩慢さが大きくなるような場合、その度合いが大きくなるように算出する。
【0082】
例えば、検出対象事象間の関係は次のようになる。
認知及び判断を躊躇させる運転環境(前記a.項目)と、操舵操作を緩慢にさせる運転環境(前記b.項目)との関係では、運転操作以前である認知及び判断を躊躇させる運転環境の方が、運転者の操舵回避操作に大きく影響すると考えられる。このことから、操作を緩慢にさせる運転環境(前記b.項目)についての事象よりも、認知及び判断を躊躇させる運転環境(前記a.項目)についての事象の方を、重み付けを大きくする。
【0083】
また、認知及び判断を躊躇させる運転環境(前記a.項目)の事象でも、朝日や夕日のまぶしさが、瞬時に視界状況を変えることから、運転者の操舵操作に大きく影響すると考えられるので、視界の事象(事象検出フラグSUN)に、より大きい重み付けをする。また、車両周囲の明暗はトンネルの前後で比較的急に変化する場合があるため、車両周囲の明暗の事象(事象検出フラグLIGHT)に、その次に大きい重み付けをする。そして、雨や雪は、比較的穏やかに変化するため、天候の事象(事象検出フラグWTHR)に、前述の2つの事象よりも小さい重み付けをする。
【0084】
このようなことから、例えば、視界の事象(事象検出フラグSUN)には、例えば20の重みを与え、車両周囲の明暗の事象(事象検出フラグLIGHT)には、例えば10の重みを与え、天候の事象(事象検出フラグWTHR)には、例えば5の重みを与える。
また、操舵操作を緩慢にさせる運転環境(前記b.項目)の事象は、温度、湿度、気圧及び時刻になるが、これら事象は通常急激に変わるものではないため、これら事象(事象検出フラグTEMP、HUMD、PRESS、TIME)には等しい重み付けをする。例えば全てに2の重みを与える。
【0085】
そして、下記式のように総計して、運転者の回避操作緩慢度Dを算出する。
D=SUN×20+LIGHT×10+WTHR×5+TEMP×2+HUMD×2+PRESS×2+TIME×2
この式は、事象検出フラグSUNが0、事象検出フラグHUMDが0の場合、その他の事象(LIGHT、WTHR、TEMP、PRESS、TIME)について、対応する重みが考慮して、運転者の回避操作緩慢度Dを算出することを示す。
【0086】
続いてステップS4において、運転者の操舵特性を選択する。ここでは、前述の第1の実施の形態の場合と同様な処理となる。すなわち、操舵特性選択部13は、前記ステップS3で算出した運転者の回避操作緩慢度Dに基づいて、運転者による操舵特性を選択する。例えば、運転者の回避操作緩慢度Dと所定の閾値とを比較する。そして、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値以下の場合、運転者が思い切りよく操舵操作するものと想定し、短時間に多くの操舵量を与えるような操舵特性を選択する。例えば、図4に示すように、操舵量が多く、かつ短時間でそのような操舵量に達するような操舵特性を選択する。すなわち、操舵量最大値が大きく、操舵速度が速い操舵特性を選択する。
【0087】
また、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値よりも大きい場合、運転者が操舵回避を躊躇して、操舵操作が緩慢になると想定される操舵特性を選択する。例えば、図5に示すように、操舵量が少なく、かつそのような操舵量に達するまで時間がかかるような操舵特性を選択する。すなわち、操舵量最大値が小さく、操舵速度が遅い操舵特性を選択する。
【0088】
そして、ステップS5以降の処理では、第1の実施の形態の場合と同様な処理を行う。
次に動作を説明する。
第2の実施の形態の車両用制動制御装置は、自車両の左右及び後方の他車両状況の情報並びに道路環境及び周囲環境の情報に基づいて、運転者の操舵操作を緩慢にする事象を検出する(前記ステップS2)。そして、車両用制動制御装置は、その検出した事象に基づいて、運転者の回避操作時の緩慢度を示す運転者の回避操作緩慢度Dを算出する(前記ステップS3)。
【0089】
ここで、朝日や夕日でまぶしい運転環境にある場合、雨、雪の運転環境にある場合、車両周辺が暗い場合、温度が低い場合、早朝の場合、車室内の湿度及び温度が高い場合、気圧が急激に変化するような場合、運転者の回避操作緩慢度Dを大きい値に設定している。
さらに、車両用制動制御装置は、前記運転者の回避操作緩慢度Dに基づいて、運転者の操舵特性を選択する(前記ステップS4)。具体的には、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値よりも大きい場合、すなわち、運転環境から運転者の操舵動作が緩慢な動作であると予測できる場合、そのような緩慢な操舵特性にする選択をする(図5の操舵特性)。また、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値以下の場合、すなわち、運転環境から運転者の操舵動作が俊敏な動作であると予測できる場合、そのような俊敏な操舵特性にする選択をする(図4の操舵特性)。
【0090】
そして、車両用制動制御装置は、距離L及び角度範囲θ1、θ2(横変位量)に基づいて、横移動量Yを算出し(前記ステップS1、ステップS5)、この横移動量Yと前記選択した操舵特性に基づいて、操舵による障害物回避の可能性を判断する(前記ステップS6)。
さらに、車両用制動制御装置は、距離L及び相対速度Vrに基づいて、制動による障害物回避の可能性を判断する(前記ステップS1、ステップS7)。そしてまた、車両用制動制御装置は、前記操舵による障害物回避可能性の判断結果と制動による障害物回避可能性の判断結果とに基づいて、第1の制動力による制動制御、又は第2の制動力による制動制御、或いはその制動制御の解除を行う(前記ステップS8〜ステップS12)。
【0091】
ここで、前述したように、運転環境に基づいて運転者の操舵動作が緩慢な動作であると予測できる場合、そのような緩慢な操舵特性にし、また、運転環境に基づいて運転者の操舵動作が俊敏な動作として予測できる場合、そのような俊敏な操舵特性にしている。この結果、運転環境に基づいて運転者の操舵動作が緩慢な動作であると予測できる場合、操舵による障害物回避可能性が低くなり、接触回避のための制動制御の作動タイミングが早くなる。一方、運転環境に基づいて運転者の操舵動作が俊敏な動作として予測できる場合、操舵による障害物回避可能性が高くなり、接触回避のための制動制御の作動タイミングが遅くなる。なお、この場合でも、制動による障害物回避可能性に応じて、接触回避のための制動制御の作動タイミングは変化する。
【0092】
以上のように、第2の実施の形態では、車内温度、車両周囲の明暗、天候、時刻、湿度或いは気圧等の運転者がおかれている運転環境に基づいて、操舵による障害物回避の可能性を判断している。これにより、操舵による障害物回避の可能性を走行環境に基づいて判断する第1の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、操舵による障害物回避の可能性の判断を正確にすることができ、最適なタイミングで障害物に対する接触回避のための制動制御を行うことができる等の効果を得ることができる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施の形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前述の実施の形態では、(1)式〜(13)式を用い、操舵による接触回避可能性と制動による接触回避可能性とを判断する場合を説明しているが、他の演算を用いてもその判断をすることができる。例えば、次のような演算を用いてもよい。
【0094】
先ず、操舵により接触回避できる条件を次のように考える。
例えば、自車両101と自車前方障害物(先行車)102との位置関係が図3に示すようになっている場合、自車前方障害物(先行車)102との車間距離が0になる前に、自車両101の車両前部左端Aが自車前方障害物(先行車)102の幅W分だけ横方向に移動できれば、操舵による接触回避が可能になる。この場合、自車両101が横方向加速度aで横方向に移動できる場合、自車両101が前記幅Wだけ横方向に移動するには、下記(14)式で与える横移動必要時間Tyがかかる。
【0095】
Ty=√(2W/a) ・・・(14)
よって、操舵により接触回避を実現するには、横方向加速度a、相対速度V及び車間距離Lの関係は下記(15)式になればよい。
L>Ty×V ・・・(15)
一方、制動により接触回避が可能な条件を次のように考える。
【0096】
制動により接触回避を実現するには、走行方向減速度a、前記相対速度V及び車間距離Lの関係は下記(16)式のようになればよい。
L>V /(2・a) ・・・(16)
よって、前記(15)式及び(16)式から、横方向加速度a、走行方向減速度a、相対速度V及び車間距離Lに基づいて、操舵及び制動による接触回避の可能性を判断できることがわかる。
【0097】
図11は、相対速度Vと車間距離Lとを座標にとった特性図である。この図11中、操舵による接触可回避可能性を示す境界値(図中実線)と操舵による接触可回避可能性を示す境界値(図中破線)とは、横方向加速度aと走行方向減速度aとをそれぞれある値に設定した場合の値である。ともに、境界値から左上領域が接触回避可能領域であり、境界値から右下領域が接触回避不可能領域である。例えば、横方向加速度aが5(m/s)であり、走行方向減速度aが8(m/s)である。
【0098】
このような特性図を用いることで、横方向加速度a、走行方向減速度a、相対速度V及び車間距離Lに基づいて、操舵や制動による接触回避が可能か否を判断することができる。例えば、図12に示すように、横方向加速度a、走行方向減速度a、相対速度V及び車間距離Lに基づいて前記(15)式及び(16)式がともに不成立となる場合、すなわち前記(15)式と(16)式との算出値が操舵による接触可回避不可能領域と制動による接触可回避不可能領域とが重なる領域に含まれる場合、操舵及び制動による接触回避が不可能であると判断できる。
【0099】
以上のようにして、(14)式〜(16)式によっても、操舵による接触回避可能性と制動による接触回避可能性とを判断することができる。
例えば、操舵及び制動による接触回避が不可能な場合、すなわち、前記(15)式及び(16)式がともに不成立する場合、所定の減速度aBRを発生させる液圧指令値をブレーキアクチュエータに出力し、車両を減速させる。
【0100】
ここで、目標減速度を前記aBRとした場合、走行抵抗とエンジンブレーキによる制動トルクとを無視すれば、目標制動トルクTBRは下記(17)式のようになる。
BR=M・aBR・R ・・・(17)
ここで、Mは車重であり、Rはタイヤ半径である。
【0101】
そして、目標制動トルクTBRに対して下記(18)式及び(19)式で得られるブレーキ液圧PBRを発生させて、車両を減速させる。
BR=TBR/KBR ・・・(18)
BR=8・ABC・R・k ・・・(19)
ここで、ABCブレーキシリンダ面積であり、Rはロータ有効半径であり、kはパッド摩擦係数である。
【0102】
以上のような関係において、横方向加速度aを小さくすると、前記(14)及び(15)式から、操舵による接触回避が困難になる。すなわち、横方向加速度aを小さくすると、図11及び図12において、操舵による接触回避可能性を示す境界値(図中実線)から左上領域の部分が狭くなる。このように操舵による接触回避が困難になった場合、接触回避のための自動制動制御の開始タイミングが早くなる。
【0103】
このようなことから、横方向加速度aを所定値に設定しておいて、操舵による回避操作が緩慢になると想定される場合には、その横方向加速度aを小さい値に変更する。例えば、前記ステップS4の処理のように、運転者の回避操作緩慢度Dと所定の閾値とを比較し、運転者の回避操作緩慢度Dが所定の閾値よりも大きい場合には、その横方向加速度aを小さい値に変更する。例えば、横方向加速度aを5(m/s)といった通常値として設定していれば、横方向加速度aを4(m/s)に変更する。
【0104】
これにより、操舵による回避操作が緩慢になると予測される場合、操舵による接触回避が困難になったとして、接触回避のための自動制動制御が早めに作動するようになる。
なお、以上の処理では、障害物との間の距離と第1の所定の閾値との比較結果と、前記障害物との間の相対速度と第2の所定の閾値との比較結果とに基づいて、自車両前方に存在する障害物の側方へ、操舵による接触回避が可能か否かを判断しており、前記第1の所定の閾値又は第2の所定の閾値のうちのいずれか一方を、運転者の操舵特性に影響する環境の状態に基づいて変更する処理に対応する。
【0105】
すなわち、図11及び図12において、操舵による接触回避可能性を示す境界値が、前記第1及び第2の所定の閾値に対応しており、横方向加速度aを小さい値に変更することで操舵による接触回避可能性を示す境界値を変更することが運転者の操舵特性に影響する環境の状態に基づいて第1及び第2の所定の閾値を変更することに対応している。
【0106】
なお、この例の場合、運転者の操舵特性に影響する環境の状態に基づいて第1及び第2の所定の閾値の両方を変更することになるが、第1の所定の閾値又は第2の所定の閾値のうちのいずれか一方を変更するようにしてもよい。
また、前述の実施の形態では、運転者の操舵特性に影響する環境の因子を、自車両周囲の他の車両、自車両が走行する走行路として挙げて、これらの全てを操舵による回避可能性の判断において考慮している。しかし、これらの因子のうち少なくとも一つを考慮すれば足りる。
【0107】
また、前述の実施の形態では、運転者の操舵特性に影響する環境の因子を、車内温度、車内湿度、気圧、車内に入射する太陽光、走行環境の明暗及び走行環境の視界として挙げて、これらの全てを操舵による回避可能性の判断において考慮している。しかし、これらの因子のうち少なくとも一つを考慮すれば足りる。
また、運転者の操舵特性に影響する環境の因子が前述の具体例に限定されないことはいうまでもない。運転者の操舵特性に影響する環境の因子であれば、他の因子であってもよい。
【0108】
また、前述の第1の実施の形態では、主に走行環境に基づいて操舵による回避可能性の判断をするようにしており、前述の第2の実施の形態では、主に運転環境に基づいて操舵による回避可能性の判断をするようにしている。これに限定されるものではなく、走行環境及び運転環境の両方を考慮して、操舵による回避可能性の判断をするようにしてもよい。
【0109】
また、前述の実施の形態では、運転者の回避操作緩慢度Dと所定の閾値とを比較して、車両の操舵特性を決定したり、横加速度を決定したりしている。しかし、これに限定されるものではない。例えば、運転者の回避操作緩慢度Dの値に、車両の操舵特性や横加速度を直接対応させてもよい。この場合、運転者の回避操作緩慢度Dの変化に、車両の操舵特性や横加速度が直接反応するようになる。
【0110】
また、前述の実施の形態では、操舵による接触回避可能性の判断結果と制動による接触回避可能性の判断結果とに基づいて、接触回避のための制動制御を行う場合を説明している。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、本発明を適用する場合には、車両用制動制御装置は少なくとも操舵による接触回避可能性の判断する構成であればよく、その判断結果に基づいて接触回避のための制動制御を行えばよい。
【0111】
また、前述の実施の形態では、前方監視部1がスキャニング式のレーザレーダセンサを備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、前方監視部1は自車両の前方の走行環境を検出するものであればよく、例えばミリ波レーダセンサや赤外レーダセンサを備えるようにしてもよい。
【0112】
なお、前述の実施の形態の説明において、周囲監視部2、ナビゲーション装置3及び走行環境検出部11や運転環境検出センサ21及び運転環境検出部17は、運転者の操舵特性に影響する環境の状態を検出する環境状態検出手段を実現しており、ドライバ運転操舵緩慢度算出部12、操舵特性選択部13及び操舵回避判断部14は、前記環境状態検出手段が検出した前記環境の状態に基づいて、自車両前方に存在する障害物の側方へ、操舵による接触回避が可能か否かを判断する操舵接触回避可能性判断手段を実現しており、前方監視部1及び制動回避判断部15は、自車両前方の障害物に対して、制動による接触回避が可能か否かを判断する制動接触回避可能性判断手段を実現しており、自動制動開始判断部16及び自動制動部2は、前記操舵接触回避可能性判断手段の判断結果と制動接触回避可能性判断手段の判断結果とに基づいて、前記障害物に対する接触回避のための制動制御を行う制動制御手段を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の車両用制動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】前記車両用制動制御装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図3】前記車両用制動制御装置の前方監視部の動作を説明するために使用した図である。
【図4】操舵回避容易度に基づいて選択される運転者操作に基づく操舵特性を示す特性図である。
【図5】操舵回避容易度に基づいて選択される運転者操作に基づく他の操舵特性を示す特性図である。
【図6】タイヤ横力とタイヤスリップ角との関係を示す特性図である。
【図7】車速Vと横移動量Yとから最適な横移動必要時間Tyを得るためのマップを示す図である。
【図8】第1の制動力による制動制御と第2の制動力による制動制御との関係を説明するために使用した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の車両用制動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】前記第2の実施の形態の車両用制動制御装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図11】横方向加速度a、走行方向減速度a、相対速度V及び車間距離Lに基づいて、操舵及び制動による接触回避の可能性を判断することができる特性図である。
【図12】操舵及び制動による接触回避が不可能な場合の説明に使用した特性図である。
【符号の説明】
1 前方監視部
2 周囲監視部
3 ナビゲーション装置
4 自動制動部
10 車載制御部
11 走行環境検出部
12 ドライバ回避操作緩慢度算出部
13 操舵特性選択部
14 操舵回避判断部
15 制動回避判断部
16 自動制御開始判断部
17 運転環境検出部
21 運転環境検出センサ
101 自車両
102 自車前方障害物

Claims (12)

  1. 運転者の操舵特性に影響する環境に基づいて、自車両前方に存在する障害物に対する接触回避のための制動制御を行うことを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. 前記環境の状態が、運転者が操舵しにくい状態になるほど、前記接触回避のための制動制御の開始タイミングを早くする方向に変更することを特徴とする請求項1記載の車両用制動制御装置。
  3. 運転者の操舵特性に影響する環境の状態を検出する環境状態検出手段と、
    前記環境状態検出手段が検出した前記環境の状態に基づいて、自車両前方に存在する障害物の側方へ、操舵による接触回避が可能か否かを判断する操舵接触回避可能性判断手段と、
    自車両前方の障害物に対して、制動による接触回避が可能か否かを判断する制動接触回避可能性判断手段と、
    前記操舵接触回避可能性判断手段の判断結果と制動接触回避可能性判断手段の判断結果とに基づいて、前記障害物に対する接触回避のための制動制御を行う制動制御手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制動制御装置。
  4. 前記環境状態検出手段が検出した前記環境の状態に基づいて、車両の操舵特性を決定する操舵特性決定手段を備え、
    前記操舵接触回避可能性判断手段は、前記操舵特性決定手段が決定した操舵特性に基づいて、自車両前方に存在する障害物の側方へ、操舵による接触回避が可能か否かを判断することを特徴とする請求項3記載の車両用制動制御装置。
  5. 前記操舵特性決定手段は、前記環境の状態が、運転者が操舵しにくい状態になるほど、運転者の操舵操作に対する前記車両の操舵速度が小さく、かつ操舵量が少なくなる操舵特性に決定することを特徴とする請求項4記載の車両用制動制御装置。
  6. 前記操舵接触回避可能性判断手段は、前記障害物との間の距離と第1の所定の閾値との比較結果と、前記障害物との間の相対速度と第2の所定の閾値との比較結果とに基づいて、自車両前方に存在する障害物の側方へ、操舵による接触回避が可能か否かを判断しており、前記第1の所定の閾値又は第2の所定の閾値のうちのいずれか一方を、前記環境状態検出手段が検出した前記環境の状態に基づいて変更することを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用制動制御装置。
  7. 複数の前記環境の因子について、運転者の操舵特性への影響度に応じてそれぞれ重み付けをし、その重み付けした後の因子の状態に基づいて、自車両前方に存在する障害物に対する接触回避のための制動制御を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用制動制御装置。
  8. 前記環境の状態を量子化して、その量子化した値と第3の所定の閾値との比較結果に基づいて、自車両前方に存在する障害物に対する接触回避のための制動制御を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用制動制御装置。
  9. 前記環境の因子が、自車両周囲の他の車両、自車両が走行する走行路のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用制動制御装置。
  10. 前記自車両周囲の他の車両が多いほど、前記自車両が走行する走行路の脇に障害物があるほど、又は自車両の走行地点が道路の合流地点に近いほど、前記接触回避のための制動制御の開始タイミングを早くする方向に変更することを特徴とする請求項9記載の車両用制動制御装置。
  11. 前記環境の因子が、車内温度、車内湿度、気圧、車内に入射する太陽光、走行環境の明暗又は走行環境の視界のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の車両用制動制御装置。
  12. 前記車内温度が高いほど、前記車内湿度が高いほど、前記気圧の変動量が大きいほど、車内に入射する太陽光により運転者がまぶしく感じるほど、走行環境の明暗の変化量が大きいほど、又は走行環境の視界が悪いほど、前記接触回避のための制動制御の開始タイミングを早くする方向に変更することを特徴とする請求項11記載の車両用制動制御装置。
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