JP2004301686A - スラグの安定性評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エージング処理の後、第1の篩い目で細粒分を除去した篩い上のスラグを、さらに水和促進処理し、これを乾燥させたものを、前記第1の篩い目で分級し、さらにこの篩い下を前記第1の篩い目よりも小さな第2の篩い目で篩い分け、(第2の篩い目の篩い下の質量)/(水和促進処理前の第1の篩い上の質量)×100(%) をスラグ崩壊率とすることを特徴とするスラグの安定性評価方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄所などで発生する高炉、転炉、電気炉スラグなどの鉄鋼スラグの安定性を評価する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鉄所などで高炉、転炉、電気炉といった精錬炉から発生する鉄鋼スラグは、省資源、省エネルギーの観点から、環境への負荷を低減させるリサイクル材料として、数々の特性を生かして各方面で利用されている。
【0003】
例えば、高炉スラグや製鋼スラグが水と反応して次第に硬化していく「水硬性」は道路用の路盤材に適しているし、あるいは製鋼スラグの有する「硬質」かつ「耐磨耗」な特性は道路用のアスファルト・コンクリート用骨材に適している。
【0004】
これらの用途に用いられるスラグは長期にわたって安定であることが重要であることから、例えばJIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」に規定されるように、スラグを破砕後、数ヶ月の間、空気および水と反応させる「エージング」処理を行い十分に安定化させることが必要とされている。
【0005】
中でも、製鋼スラグは遊離のCaOやMgOなど消化性の物質を含んでおり長期にわたって膨張する現象があることから、エージングによってスラグが十分に安定になったかどうかを評価する方法として、同じくJIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」中に附属書2として「水浸膨張試験方法」が規定されている。
【0006】
附属書2に記載された方法は、ある粒度分布に従って粒度調整された試料を規定の容器(モールド)内に突き固めて充填したものを、80℃の温水に6時間保持したのちに放冷させる操作を1日1回、10日間繰り返して養生させ、養生後のモールド内試料の高さを測定してその膨張量からスラグの安定度を評価するものであり、長年、道路用鉄鋼スラグの有効な指標として用いられてきた。
【0007】
また、上記方法ではスラグの安定性評価に10日間という長い時間を有するが、例えばセメントや耐火物など、同じく消化性物質を含む材料の安定性をより迅速に評価する方法として、密封加圧容器と加熱装置からなる「オートクレーブ」装置を用いて100℃以上の高温・高圧下に試料をおいて、比較的、短時間に水和反応をおこさせた後に、例えばASTMC151−08「ポルトランドセメントの膨張試験方法」に記載されているように試料の長さを測定する方法や、JIS R2211「塩基性耐火れんがの消化性の試験方法」に記載されているように試料の圧縮強さの低下率を測定する方法、あるいは、非特許文献1に記載されているように、処理後の試料を篩い分けして篩い下重量の割合(粉化率)を測定して材料の安定度を評価するものも知られている。
【0008】
【非特許文献1】
鉄と鋼、第64年(1978)第10号、P−68
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鉄鋼スラグを、例えば道路用以外の新たな用途に利用しようとする際には、上記の従来技術における安定性評価方法では次のような問題点がある。
【0010】
すなわち、本発明者らはこれらの鉄鋼スラグ、中でも長期膨張性を有する製鋼スラグを上述のように十分なエージング処理を施したものを、他の結合材とともに混ぜ合わせて固める固化体の骨材に用いることができないかと研究開発を行ってきた。ここで、様々なエージング処理を施した製鋼スラグを骨材に用いた固化体の長期安定性を推定するため、固化体そのものの安定性促進試験を行って固化体の破壊状況を調べ、同時にこれらに用いた骨材である製鋼スラグについては上記の方法を用いてその安定性を評価し、固化体に適用が可能な製鋼スラグの安定化の条件を見出そうと検討を行った。
【0011】
しかしながら、JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」に記載されている「水浸膨張試験方法」においては、モールド内のある容積の製鋼スラグの固まり(群)としての平均的な膨張性が評価できるが、固化体を破壊に至らせるような、構成要素の一つであるスラグ粒の個々の膨張に伴う破壊は測定できないため、膨張率が小さくても固化体が破壊するような現象が見られ、的確にスラグの安定性が評価できていないことが判明した。
【0012】
また、ASTMC151−08「ポルトランドセメントの膨張試験方法」に記載されているような試料の長さを測定する方法、 あるいはJIS R2211「塩基性耐火れんがの消化性の試験方法」に記載されている試料の圧縮強さの低下率を測定する方法などは成形体の膨張挙動は評価できるが、個々のスラグ粒の安定性評価は困難である。
【0013】
また、非特許文献1に記載されている粉化率を測定する方法では、水和膨張の結果として生じた粉分だけでは測定値が小さい、あるいはばらつきが大きくて、固化体を破壊に至らせしめるスラグの判別がつきずらく、当該論文中にも「スラグの崩壊性の表示として適当な方法がない」と述べられているように、やはり個々のスラグ粒の安定性を評価するには難しい。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決しエージング処理を施した鉄鋼スラグの安定性をより精度良く評価する方法を提供することにある。
【0015】
つまり、エージング処理等によって安定化させたスラグ中に残存する、今なお未崩壊の個々のスラグ粒の存在確率を的確に把握することが本発明の目的である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述したように、様々なエージング処理を施した製鋼スラグを骨材に用いた固化体の安定性促進試験における固化体の破壊状況を調べ、同時にこれら骨材に用いた製鋼スラグについても様々な方法によってその安定性(崩壊性)を測定し、両者の間に定量的な相関が見いだせられないか解析と検討を重ねた結果、以下の発明にて上記の課題が解決される知見を得た。
(1)エージング処理の後、第1の篩い目で細粒分を除去した篩い上のスラグをさらに水和促進処理し、これを乾燥させたものを、前記第1の篩い目で分級し、さらにこの篩い下を前記第一の篩い目よりも小さな第2の篩い目で篩い分け、
(第2の篩い目の篩い下の質量)/(水和促進処理前の第1の篩い上の質量)×100(%)をスラグ崩壊率とすることを特徴とするスラグの安定性評価方法。
(2)水和促進処理がJIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」の「水浸膨張試験方法」、又はASTMC151−08「ポルトランドセメントの膨張試験方法」に記載された処理であることを特徴とする前記(1)記載のスラグの安定性評価方法。
(3)第1の篩い目が、第2の篩い目よりJIS Z8801−1の規定において1段又は2段粗いことを特徴とする前記(1)又は(2)記載のスラグの安定性評価方法。
(4)第1の篩い目を9.5mmとし、第2の篩い目を8mmとすることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のスラグの安定性評価方法。
(5)50mm以上の粗粒分も除去したスラグを水和促進処理することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載のスラグの安定性評価方法。
(6)エージング処理が、少なくとも大気下にて1ヶ月以上、又は常圧若しくは加圧の蒸気下にて6時間以上放置する処理であることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか1項に記載のスラグの安定性評価方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明者らが、エージング処理を施した種々のスラグの安定性を調査した結果、従来、報告されているスラグの膨張性を評価するための「水浸膨張試験」や「オートクレーブ膨張試験」によれば確かにスラグは水和反応が促進され、消化性を有する一部のスラグ粒が水和に伴い膨張、破壊していることは明らかであり、当然のことながらスラグをエージング処理すればするほどこの膨張率が低減することもきちんと評価できることはわかっていた。
【0019】
しかしながら、様々なエージング処理を施した製鋼スラグを骨材に用いた固化体の長期安定性を推定するため、固化体そのものの安定性促進試験を行って固化体の破壊状況を調べ、同時にこれらに用いた骨材である製鋼スラグについても、上記の膨張率を測定して、固化体に適用が可能な製鋼スラグの条件を見出そうと両者の相関関係を調べてみても、この膨張率は先にも述べたようにある容積のスラグの固まり(群)としての平均的な膨張挙動を評価しており、実際に膨張率が小さくても、中に数個の崩壊するスラグが含まれていれば固化体の破壊をもたらすことが推定された。
【0020】
そこで次に、膨張率ではなく、同じ水和促進処理後のスラグを篩い分けして、篩い下の重量から崩壊率(粉化率)を測定して同じく固化体の破壊状況との相関関係を調べたが、この方法では逆に、様々なエージング処理を施してもスラグの崩壊率が大きくばらつき、やはり正当な評価が難しいという結果となった。
【0021】
しかし、上記の方法によれば、明らかに崩壊した個々のスラグ粒を測定できているはずであり、このスラグの崩壊率が大きくばらつく原因を究明するために、本発明者らがさらに種々の検討を行った結果、スラグの安定性を的確に評価する方法として次のような知見を得た。
【0022】
すなわち、第1の篩い目で分級された篩い上のスラグを水和促進処理後、同じ第1の篩い目でスラグを篩い分けして、篩い下のスラグ粒を詳細に観察したところ、水和処理で崩壊に至った破片状あるいは粉末状のスラグの中に明らかに崩壊していないと見受けられる比較的大きなスラグ粒が混入していることが判明した。
【0023】
この原因としては、これらのスラグは安定性評価のため、水和促進処理の事前に必要とされる粒度以上に分級処理によって細粒分が除去されるが、この際に全ての小さなスラグが完全に篩われるわけではなく、どうしても一部の細粒なスラグが篩い上に残ってしまい、水和促進後の分級処理時にこれらのスラグが篩い下に落ちたものと考えられる。
【0024】
そこで、水和促進処理後のスラグを第1の篩い目で分級し、この篩い下を第1の篩い目よりも小さな第2の篩い目でさらに篩うと、明白なことながら未崩壊のスラグがほぼ完全に除去される結果、水和促進処理で崩壊に至ったスラグだけを測定できることとなり、この真の崩壊率を用いることによって、元々のスラグのエージング処理が十分であればこの崩壊率も減少し、さらにはこの崩壊率が固化体の安定性(破壊状況)に密接に関係することなどを明らかにすることができた。
【0025】
図1は本発明の原理を示す図である。ここでは一例として、事前にエージング処理した10mm以上25mm以下のスラグを測定対象とするため、JIS Z8801−1に規定された呼び寸法(篩い目の1辺の長さ)22.4mm及び9.5mmの篩い目を用いて事前にスラグを分級する。エージング処理としては、大気中で少なくとも1ヶ月放置したのちに、必要に応じて180℃で6時間蒸気エージングを実施した。
【0026】
このスラグを80℃の温水への浸漬(6時間/日×10日)あるいはオートクレーブ(180℃(約20気圧)×6時間)などを用いて水和促進処理を行い乾燥させたのち、事前処理と同じく9.5mmの篩い目で分級する。しかし、この篩い下には、本来であれば事前の分級処理時に篩い落とされていなければならない未崩壊の安定なスラグ塊も未だ存在してしまう。従って、JIS Z8801−1に準じてもう1段小さな篩い目である8mmを使って、上記の9.5mmの篩い下のスラグをさらに分級する(W3)。なお図中には、この1段小さな篩い目の下のスラグをさらに2mmの篩いで篩って、破片状のスラグと粉状のスラグにわけた例をも示した(W2、W1)。
【0027】
この図から、本発明によれば、真の崩壊率は元のスラグ量W0に対する粉分のW1と破片状のスラグ量W2の和で示されることが自明である。
【0028】
しかしながら、従来は粉分(W1)と破片状分(W2)ならびに未崩壊スラグ(W3)の和をもって崩壊率と見なしていたわけである。事前の分級は当然のことながら一定条件で行われていたとしても、本来であれば篩い落とされているはずのスラグW3は処理時にばらつくことが容易に想定でき、これが測定値のばらつきをもたらしていたことを本発明者らは知見した。
【0029】
また、崩壊率を一部、粉化率と称する報告があるように、水和処理で生じた粉分W1のみを用いて崩壊率と見なしていた場合もあり、この際には当然のことながら真の崩壊率よりも相当小さく評価していることになる。
【0030】
ここで、分級に用いる篩いとしては、わが国においては、上述のJIS Z 8801−1で規定されるものが一般的である。さらに、事前分級処理に用いた篩い目よりも小さな篩いを用いて最終分級するのが本発明の特徴であるが、これにはJIS Z 8801−1で規定した1〜2段ほど小さな篩い目を用いることが好ましく、径の小さなスラグの測定ほど1段下の篩い目で十分でなる。事前の分級処理は、例えば大型の分級器で行われるのが一般的であるが、水和促進処理後は崩壊したスラグ量も少なく、精度を高めるためにもロータップ試験機などを用いるのが一般的で、水和促進処理後のスラグを十分に乾燥させたものを、少なくとも3分以上分級したほうが測定精度上、好ましい。
【0031】
スラグの水和促進処理としては、多くの実績があるJIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」の「水浸膨張試験方法」(80℃温水に10日間)や、短時間で処理が可能なASTMC151−08「ポルトランドセメントの膨張試験方法」に準じた方法が一般的であり、後者であれば180℃で3〜6時間の処理で評価に十分なデータが得られる。
【0032】
本発明はエージング処理を行った後のスラグ崩壊率を評価することが目的であるので、エージング処理後、未崩壊のスラグを分級するため、第1の篩い目で細粒分を除去することは必須である。
【0033】
ここで、元のスラグの粒径が50mm以下、好ましくは25mm以下であれば、粗粒を事前にあえて分級する必要はない。一方、スラグの粒径が50mm超、好ましくは25mm超であれば、混在する地金分の混入をさけるため、これらの粗粒も除去した上で水和促進処理に用いることが好ましい。
【0034】
また、エージング処理としては、消化成分が水和反応するためにも、室温で1か月以上、又は常圧若しくは加圧の蒸気下にて6時間以上放置することが好ましい。加圧の上限は特に定めることなく本発明の効果を得ることができるが、特に水和反応の速度が遅いMgOの水和促進効果を効率的かつ経済的に得るためには1〜10気圧で処理することが好ましい。
【0035】
さらに、評価に用いるスラグの量は特に問わないが、スラグの安定化のためにエージング処理を施せば施すほど、スラグの崩壊率は減少してくるので、測定値の精度を高めるためにも、少なくとも5kg以上を用いたほうが良い。
【0036】
また、スラグによっては岩石状に表面がつるつるしたものもあれば、砂岩状にざらついているものもあり、特に後者の場合は粉分がでるので、事前の分級後に水洗いを行って、極力表面の付着粉分を除去したほうが測定精度が良い。
【0037】
【実施例】
(本発明例)
図2は、室温で少なくとも1ヶ月放置するエージング処理によって安定化させた製鋼スラグを、JIS Z 8801−1で規定される呼び寸法22.4mmならびに9.5mmで篩ったもの(粒度範囲10〜25mm)5kgを、JISA5015「道路用鉄鋼スラグ」の「水浸膨張試験方法」に準じて80℃の温水に10日間、スラグを浸漬させて水和促進処理を施したのちに110℃24時間乾燥させた上で、図1に示したような方法によってJIS Z 8801−1で規定される呼び寸法9.5mmの篩い目を用いて分級し、その篩い下をJISZ8801−1に規定された呼び寸法8mmの篩いでさらに分級し、(8mmの篩い下のスラグ質量)/(水和促進処理処理前の10〜25mmのスラグ質量)×100%により求めた真の崩壊率と、同スラグを骨材に用いて、他に高炉スラグ微粉末を主な結合材として混ぜ合わせて固めた固化体(直径100mm*高さ200mm)を、スラグと同様に安定性確認のための促進評価(80℃の温水に4週間浸漬)した際の固化体の破壊率との相関を示したグラフである。尚、固化体の破壊率は促進評価により崩壊した試料個数/評価に供した試料個数により求めた。
【0038】
この図から、本発明によるスラグの真の崩壊率が約3%を超えると、該スラグを骨材に用いた固化体の試料も破壊を生じるため、崩壊率3%以下のエージング処理を施したスラグは、固化体の骨材として適していることがわかった。
(比較例1)
図3は、室温で少なくとも1ヶ月放置するエージング処理によって安定化させた製鋼スラグを、JIS Z 8801−1で規定される呼び寸法22.4mmならびに9.5mmで篩ったもの(粒度範囲10〜25mm)を、JIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」中に附属書2として「水浸膨張試験方法」中に規定されている容器(モールド)内に突き固めて充填したものを、80℃の温水に6時間保持したのちに放冷させる操作を1日1回、10日間繰り返して養生させ、養生後のモールド内試料の高さを測定して求めた膨張率と、同スラグを骨材に用いて、他に高炉スラグ微粉末を主な結合材として混ぜ合わせて固めた固化体(直径100mm*高さ200mm)を、スラグと同様に安定性確認のための促進評価(80℃の温水に4週間浸漬)した際の固化体の破壊率との相関を示したグラフである。固化体の破壊率は本発明例と同一の方法により求めた。
【0039】
この図から、従来の評価方法である膨張率を用いても、0.3%以上の範囲になると当該スラグを用いた固化体が破壊したり、破壊しなかったりしており、安定な固化体に適したスラグの条件を見出すことはできなかった。
(比較例2)
図4は、室温で少なくとも1ヶ月放置するエージング処理によって安定化させた製鋼スラグを、JIS Z 8801−1で規定される呼び寸法22.4mmならびに9.5mmで篩ったもの(粒度範囲10〜25mm)5kgを、JISA5015「道路用鉄鋼スラグ」の「水浸膨張試験方法」に準じて80℃の温水に10日間、スラグを浸漬させて水和促進処理を施したのちに110℃24時間乾燥させた上で、事前の分級処理に用いたと同じJIS Z 8801−1で規定される呼び寸法9.5mmの篩いで分級した際の(9.5mmの篩い下のスラグ質量)/(水和促進処理前の10〜25mmのスラグ質量)×100%により求めた、いわゆるこれまで言われてきた崩壊率と、同スラグを骨材に用いて他に高炉スラグ微粉末を主な結合材として混ぜ合わせて固めた固化体(直径100mm*高さ200mm)を、スラグと同様に安定性確認のための促進評価(80℃の温水に4週間浸漬)した際の固化体の破壊率との相関を示したグラフである。固化体の破壊率は本発明例と同一の方法により求めた。
【0040】
この図から、やはり従来の方法によるスラグの崩壊率では、これまで説明してきたように一部未崩壊のスラグ粒が混入していることから、崩壊率が2%以上の範囲になると比較例1と同様に当該スラグを用いた固化体が破壊したり、破壊しなかったりしており、安定な固化体に適したスラグの条件を見出すことはできなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、鉄鋼スラグ、中でも消化性の成分を有し長期にわたって膨張する性質のある製鋼スラグを、道路用以外の例えば固化体といった新たな用途に利用しようとする際に、エージング処理を施し安定化させたスラグの安定性を精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を示す図。
【図2】本発明によるスラグの崩壊率と当該スラグを骨材に用いた固化体の破壊率との関係を示す図。
【図3】従来技術によるスラグの膨張率と当該スラグを骨材に用いた固化体の破壊率との関係を示す図。
【図4】従来技術によるスラグの崩壊率と当該スラグを骨材に用いた固化体の破壊率との関係を示す図。
Claims (6)
- エージング処理の後、第1の篩い目で細粒分を除去した篩い上のスラグを、さらに水和促進処理し、これを乾燥させたものを、前記第1の篩い目で分級し、さらにこの篩い下を前記第1の篩い目よりも小さな第2の篩い目で篩い分け、(第2の篩い目の篩い下の質量)/(水和促進処理前の第1の篩い上の質量)×100(%)をスラグ崩壊率とすることを特徴とするスラグの安定性評価方法。
- 水和促進処理がJIS A5015「道路用鉄鋼スラグ」の「水浸膨張試験方法」、又はASTMC151−08「ポルトランドセメントの膨張試験方法」に記載された処理であることを特徴とする請求項1記載のスラグの安定性評価方法。
- 第1の篩い目が、第2の篩い目よりJIS Z8801−1の規定において1段又は2段粗いことを特徴とする請求項1又は2記載のスラグの安定性評価方法。
- 第1の篩い目を9.5mmとし、第2の篩い目を8mmとすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスラグの安定性評価方法。
- 50mm以上の粗粒分も除去したスラグを水和促進処理することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスラグの安定性評価方法。
- エージング処理が、少なくとも大気下にて1ヶ月以上、又は常圧若しくは加圧の蒸気下にて6時間以上放置する処理であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のスラグの安定性評価方法。
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