JP2004301656A - 鮮鋭度測定方法、鮮鋭度測定装置および画像記録装置ならびに鮮鋭度測定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を評価する際において、トレンドノイズによる測定誤差を低減した客観的な評価を可能にする。
【解決手段】鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度指標値を算出する鮮鋭度測定方法であって、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度指標値を算出する第1演算処理と、前記鮮鋭度指標値に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれる低空間周波数域ノイズ(トレンドノイズ)についてのトレンドプロファイルを算出する第2演算処理と、前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算処理と、を有し、前記第1演算処理および前記第2演算処理並びに前記第3演算処理を所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度指標値を算出する。
【選択図】 図2
【解決手段】鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度指標値を算出する鮮鋭度測定方法であって、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度指標値を算出する第1演算処理と、前記鮮鋭度指標値に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれる低空間周波数域ノイズ(トレンドノイズ)についてのトレンドプロファイルを算出する第2演算処理と、前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算処理と、を有し、前記第1演算処理および前記第2演算処理並びに前記第3演算処理を所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度指標値を算出する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の鮮鋭度を評価するに適した鮮鋭度測定方法、鮮鋭度測定装置および画像記録装置ならびに鮮鋭度測定プログラムに関し、特に、医用画像撮影装置などの装置で得られた医用画像の鮮鋭度を評価するに適した鮮鋭度測定方法、鮮鋭度測定装置および画像記録装置ならびに鮮鋭度測定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
主に医療を目的とするX線画像形成装置における画像評価方法、例えば、従来のスクリーン/フィルム系における鮮鋭度測定方法として、鮮鋭度測定用チャートを用いてSWTF(Square Wave Transfer Function)を求め、さらにコルトマンの変換式でMTF(Modulation Transfer Function)を求める方法、すなわちチャート法が良く用いられている。
【0003】
この方法は、チャートと呼ばれる鮮鋭度測定用テストパターンをX線で撮影し、フィルム上にチャート像を得た後、そのチャート像の光学濃度をミクロ濃度計で測定し、その光学濃度プロファイルを用いて解析を行う方法である。詳細は、『放射線画像情報工学(I)』(内田、金森、稲津著:日本放射線技術学会編)p167−172に記載されている。
【0004】
また、近年、電磁的方法により画像情報の保持が可能である機器、いわゆるデジタル機器の普及により、その鮮鋭度測定方法も必要とされ、実際に各装置に対して物理評価が行われている。デジタル医用画像記録装置における鮮鋭度測定方法として、例えば、チャートを模写した画像信号を作成し、画像記録装置を用いて該画像信号に基づいてプリントし、以下スクリーン/フィルム系と同様の鮮鋭度測定を行うことが多い。また、デジタル医用画像記録装置においては、濃度プロファイルに基づいたSWTFを用いることが多い。
【0005】
しかし、SWTFを求める場合、主に高空間周波数帯域におけるノイズの影響を受けやすいことが知られている。矩形波チャート像のピークを検出方法によって最終的に得られる物理評価値に差異が生じてしまう。ピーク検出のアルゴリズムに関して様々な方法が提案されているが、ピーク検出方法によって全く同一のプロファイルに対しても異なった物理評価値が得られる場合がある。
【0006】
また、SWTFを求める場合、プロファイルに含まれるノイズ量が大きいときには、検出されるピーク値がノイズの影響を受けて、測定結果が大きく異なることがある。
【0007】
測定誤差を低減するための第1の方法として、プロファイルに係るノイズを低減する方法が挙げられる。例えば、プロファイルに対して予め移動平均を取った後にピークを検出する方法もあるが、高周波では移動平均でピークが鈍化してしまう場合もあり好ましくない。
【0008】
測定誤差を低減するための第2の方法として、特開2000−298076号公報(特許文献1)によると、中央値のピーク値または該中央値±nの平均値、あるいは最大、最小値からm個を除いた残りのデータを用いる方法が提案されている。しかし、この方法は、個々のピークのバラツキを低減する方法であるに過ぎず、ピーク検出方法そのものの改善にはなってはいない。
【0009】
そこで、主観評価によらずに測定誤差を低減できる有力な鮮鋭度測定方法が提案されている。『日本放射線技術学会雑誌,50(3),p379−385(1994):室・他』によると、矩形波チャート像そのものをフーリエ変換し、前記チャート像と略同空間周波数におけるフーリエ変換成分を基にMTFを計算する方法(以下、「フーリエ法」という。)が提案されている。また、『日本放射線技術学会雑誌,58(9),p1261−1267(2002):市川・他』によると、デジタル画像入力装置におけるプリサンプリングMTFを求めるために、フーリエ法を適用した報告もされている。
【0010】
フーリエ法に関して具体的に説明する。実際に評価を行うべき空間周波数に相当するチャート画像を作成し一部抜粋した矩形波プロファイルデータに対して離散フーリエ変換を行いパワースペクトル(空間周波数特性)を求める。スペクトルのピークが最も高い部分が出力像の空間周波数に相当し、そのスペクトル値の平方根が振幅値に相当する。その振幅値をAi(i=1は正規化空間周波数、i=2〜Nは被正規化空間周波数)とし、被正規化部分の振幅値を正規化振幅値で割った値、すなわち振幅比MTF(ui)=Ai/A1をもってMTF(ui)とする。なお、uiはi番目のチャート要素が有する空間周波数を表す。また、本方法におけるMTF計算精度をより高める方法として、特開2003−36437号公報(特許文献2)が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−298076号公報(第1頁〜第6頁、図1〜図2)
【特許文献2】
特開2003−036437号公報(第1頁〜第5頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のチャート法あるいはフーリエ法であるかを問わず、これらの鮮鋭度測定方法には欠点がある。それは、チャート像プロファイルが低空間周波帯域を主成分とするノイズを多く含むとき、鮮鋭度指標値に大きな測定誤差を生じることである。
【0013】
なお、従来のスクリーンフィルムでは、一次関数で表現できる単純勾配のノイズが主なものであったが、記録方式や現像方式の違いにより、不均一性で単純には予測ができない特性の低空間周波数域のノイズが存在することが、本件出願の発明者の研究により明らかにされた。
【0014】
すなわち、鮮鋭度指標値が測定の度に大きくばらつくと、評価そのものの信頼性がなくなり、客観的画質評価たるべきその意義が失われてしまうことになる。
【0015】
本発明は、上記課題について鑑みてなされたものであり、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズ(いわゆる、トレンドノイズ)による測定誤差を低減し得る鮮鋭度測定方法及び鮮鋭度測定装置を実現することにある。
【0016】
また、以上の鮮鋭度を簡便に測定し得る鮮鋭度測定手段を有する画像記録装置及び、前記鮮鋭度測定方法を用いた評価結果の良好な画像を記録し得る画像記録装置を提供することにある。
【0017】
さらに、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズによる測定誤差を低減し得る鮮鋭度測定プログラムを実現することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題は、以下に述べるそれぞれの解決手段によって解決されるものである。
【0019】
(1)請求項1記載の発明は、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する鮮鋭度測定方法であって、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算処理と、前記鮮鋭度に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算処理と、前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算処理と、を有し、前記第1演算処理および前記第2演算処理並びに前記第3演算処理を所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する、ことを特徴とする鮮鋭度測定方法である。
【0020】
この鮮鋭度測定方法では、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する方法において、低空間周波数域ノイズ(いわゆる、トレンドノイズ)による測定誤差を低減し得る鮮鋭度の測定が可能となる。
【0021】
(2)請求項2記載の発明は、前記第2演算処理では、前記鮮鋭度に基づいてチャート像に係る仮想プロファイルを算出し、前記原チャート像プロファイルと前記仮想プロファイルとの差分プロファイルに基づいて前記トレンドプロファイルを算出する、ことを特徴とする請求項1記載に鮮鋭度測定方法である。
【0022】
この鮮鋭度測定方法では、トレンドプロファイルを算出の際、計算誤差を少なくすることができる。
【0023】
(3)請求項3記載の発明は、前記鮮鋭度は、チャート法に基づいて算出されたSWTF又はMTFである、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法である。
【0024】
この鮮鋭度測定方法では、最も一般的な方法を適用でき、精度良く簡便に鮮鋭度指標値を算出することができる。
【0025】
(4)請求項4記載の発明は、前記鮮鋭度は、フーリエ法に基づいて算出されたMTFである、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法である。
【0026】
フーリエ法では信号部とノイズ部との分離がきわめて困難であったにもかかわらず、この鮮鋭度測定方法では、フーリエ法で計算精度が向上する。
【0027】
(5)請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いて鮮鋭度を測定する鮮鋭度測定手段を有する、ことを特徴とする鮮鋭度測定装置である。
【0028】
(6)請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いてMTFを測定するとき、2.0cycle/mmでMTFが0.9以上である画像を記録する画像記録手段を備えた、ことを特徴とする画像記録装置である。
【0029】
(7)請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いてMTFを測定するとき、5.0cycle/mmでMTFが0.6以上である画像を記録する画像記録手段を備えた、ことを特徴とする画像記録装置である。
【0030】
(8)請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法で求めた鮮鋭度情報に基づいて画像記録する際の鮮鋭度低下分を補正する鮮鋭度補正手段を備える、ことを特徴とする画像記録装置である。
【0031】
(9)請求項9記載の発明は、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算ルーチンと、前記鮮鋭度指標値に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算ルーチンと、前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算ルーチンと、を有し、前記第1演算ルーチンおよび前記第2演算ルーチン並びに前記第3演算ルーチンを所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する、ことを特徴とする鮮鋭度測定プログラムである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、鮮鋭度測定に関する本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施の形態に示す具体例に限定されるものではない。
【0033】
〈鮮鋭度測定方法の原理説明〉
まず、鮮鋭度測定方法について説明する。鮮鋭度測定方法としては、チャート法、スリット法、エッジ法等、様々な測定方法が提案されている。以下に、チャート法による鮮鋭度測定方法の概要を示す。
【0034】
ここで、「チャート」とは、「チャート像を作成するための雛型」であり、具体的には鉛チャートやチャート像作成用画像データに相当する。また、「チャート画像」あるいは「チャート像」とは、「チャートを基に作成されたハードコピー」である。さらに、「チャート像プロファイル」とは、「チャート像を再サンプリングしたデータ列」である、と定義する。
【0035】
なお、この実施の形態例では、鮮鋭度の測定のために用いる正規化部分と被正規化部分とを有する鮮鋭度測定用チャートの具体例として、矩形波チャートあるいは矩形波チャート像を用いた場合を説明する。
【0036】
図10は、代表的な矩形波チャートの模式図である。図10(b)のテストパターン100は、鮮鋭度測定用のテストパターンである。まず、評価用チャート画像データ(図10(a))を作成し、銀塩レーザ書込方式・銀塩熱現像方式・インクジェット方式、等の評価対象となる画像記録装置10(図9(a))で記録紙p上にチャート画像(図9▲2▼、図10(b)のテストパターン100)をプリントする。
【0037】
ここで示した鮮鋭度とは、SWTF、MTF又はARTF(詳細は後述する。)等、の物理評価により算出された指標値に相当する。
【0038】
テストパターン100は最も空間周波数の低い正規化部分101と、その他の各空間周波数をもつ被正規化部分102を有する。コントラストの基準となる正規化部分と各空間周波数において測定するべき被正規化部分に分けられる。
【0039】
前記チャート像は(N+1)個の異なる空間周波数(U0,U1,…,UN)を有し、空間周波数がU0である正規化部分と、空間周波数がUk(k=1,2,…,N)である被正規化部分とを有するチャート像である。
【0040】
なお、正規化部分ではコントラストの基準になるように、コントラスト低下がほとんど起こらない程度に低空間周波数であることが好ましい。例えば、鮮鋭度測定用の鉛チャート(化成オプトニクス株式会社製:TypeI)では正規化部分における空間周波数は0.05cycle/mm、被正規化部分における空間周波数は0.5−1.0−1.5−2.0−2.5−3.0−4.0−5.0−6.0−8.0−10.0cycle/mmである。
【0041】
前記鉛チャートをX線撮影し、増感紙の発光によりフィルムに潜像を形成させ、自動現像機を用いてその露光されたフィルムを現像することによって、チャート画像を得ることができる。
【0042】
図9(b)に示すマイクロデンシトメータともよばれるミクロ濃度計を用いて、前記チャート画像に係る光学濃度を測定し、矩形波チャート像プロファイルデータを得る。矩形波チャート像プロファイルの各空間周波数部分におけるピークを検出し、最高光学濃度DH(U)及び最低光学濃度DL(U)を求める。図9▲3▼および図10(c)は濃度測定により得られたチャート像濃度プロファイルの模式図であり、横軸は位置(プロット番号)、縦軸は濃度である。
【0043】
予め作成したX線照射量−光学濃度の特性曲線を基に最大X線照射量EH(U)及び最小X線照射量EL(U)に換算し、コントラストC(U)=(EH(U)−EL(U))/(EH(U)+EL(U))を求める。この各々の空間周波数におけるコントラストをゼロ周波数で規格化した値C(U)/C(0)はCTFと呼ばれている。さらに、コルトマン変換式を用いることにより、コントラスト応答関数CTFから正弦波応答関数MTFに変換することができる。通常はこのMTFを用いて鮮鋭度を測定が行われている。
【0044】
また、デジタル系画像出力装置における鮮鋭度測定を行う場合には、前記チャートを模写した画像信号データを作成し、画像を出力することにより、チャート画像を得ることができる。ただし、光学濃度からX線照射量に換算することができないため、光学濃度のままコントラストC(U)=(DH(U)−DL(U))/(DH(U)+DL(U))を求めることがある。この各々の空間周波数におけるコントラストをゼロ周波数で規格化した値C(U)/C(0)はSWTFと呼ばれている。
【0045】
図11は、矩形波チャートを用いたフーリエ変換法に関する概略図である。図11(a−1)は矩形波チャートを用いて本来得られるべき矩形波チャート像プロファイル、すなわち理想的な矩形波チャート像プロファイルに相当する。このプロファイルをフーリエ解析した結果が図11(a−2)であり、矩形波チャートの有する空間周波数と略同空間周波数(以後、固有空間周波数)の奇数倍の振幅値のみが現われる。しかし、実際は画像記録時、或いは濃度測定時におけるプロファイル劣化により、図11(b−1)に示すようなノイズを含んだ矩形波チャート像プロファイルが得られる。このプロファイルをフーリエ解析した結果が図11(b−2)である。図11(b−2)の空間周波数特性は、図11(a−2)の特性と比較すると、固有空間周波数の奇数倍におけるフーリエ解析データ(チャート像固有の信号に相当)が低下し、他の空間周波数におけるフーリエ解析データ(チャート像に付加されるノイズに相当)が微増することがわかる。
【0046】
空間周波数Uを有する矩形波チャート像プロファイルに対してフーリエ解析を行うとき、最も大きな振幅値として現われるのは空間周波数Uにおけるフーリエ解析データであり、そのフーリエ解析データが前記プロファイルにおける最も特徴的な情報量であるのは当然である。そこで、フーリエ変換法とは、矩形波チャート像プロファイルの固有空間周波数におけるフーリエ解析データを求め、そのフーリエ解析データの割合をもって評価指標とし鮮鋭度を評価する方法である。
【0047】
上述のフーリエ解析とは以下の解析を示すものとする。正規化部分および各被正規化部分における矩形波チャート像プロファイルに対して、山谷が周期的に連なる矩形波チャート要素の一部分を抜粋し、そのプロファイルに関して離散フーリエ変換を行う。フーリエ変換後は複素数データ列(実数部と虚数部)として得られるが、前記複素数データ列の2乗値(いわゆる「パワースペクトル」)の平方根が各空間周波数成分における振幅値に相当し、この振幅値が上述のフーリエ解析データである。振幅値が大きいほどその空間周波数における情報量が多いことを意味し、その振幅値の減衰率がプリント画像の鮮鋭度を評価する指標に成りうる。
【0048】
〈鮮鋭度測定装置の構成〉
図1に、本実施の形態における鮮鋭度測定装置の機能ブロックの構成を示す。この図1に示すように、本実施の形態例の鮮鋭度測定装置200は、バス202に接続された、CPU(Central Processing Unit)202、ROM(Read Only Memory)203、RAM(Random Access Memory)204、画像信号入力部205、画像信号出力部206、演算処理部207等を備えて構成されている。
【0049】
CPU201は、画像信号入力部205から入力される画像信号に対して、ROM203に記録されている鮮鋭度測定装置200に対応する各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM204のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果をRAM204の所定の領域に格納する。画像信号に対して最終的な処理が実行されると、CPU201は、処理済画像信号を画像信号出力部206から外部に出力する。
【0050】
ROM203は、不揮発性の半導体メモリで構成される。ROM203は、CPU201により実行される鮮鋭度測定装置200の各種プログラムを記憶している。
【0051】
RAM204は、書き換え可能な半導体素子で構成される。RAM204は、データが一時的に保存される記憶媒体であり、CPU201が実行するためのプログラムを展開するためのプログラムエリア、画像信号入力部205から入力されるデータやCPU201による各種処理結果等を保存するためのデータエリア、等が形成される。
【0052】
画像信号入力部205は、画像入力装置(撮影機器)と接続し、画像入力装置から入力された画像信号を受信する。画像信号出力部206は、画像出力装置へ画像信号を出力する。
【0053】
演算処理部207は、画像信号入力部205から入力された画像信号に鮮鋭度測定に関する各種演算処理を行う。この演算処理は、ROM203に格納された各種プログラムとCPU201との協働によってソフトウェア処理で実現される。
【0054】
〈鮮鋭度測定プログラムの内容〉
本発明の実施の形態例の一部である鮮鋭度測定プログラムは、以下の3つのルーチンにより構成されている。
・原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算ルーチン;
・鮮鋭度指標値に基づいて原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算ルーチン;
・原チャート像プロファイルからトレンドプロファイルを除去する第3演算ルーチン;
そして、第1演算ルーチンおよび第2演算ルーチン並びに第3演算ルーチンを所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出することを特徴としている。
【0055】
〈鮮鋭度演算処理の説明〉
次に、本実施の形態に共通の鮮鋭度演算処理の概要について説明する。図2は、本実施の形態に係る鮮鋭度を求める演算処理の概要を示すフローチャートである。
【0056】
まず、原プロファイル鮮鋭度算出手段によって原プロファイルに基づいてMTF等の鮮鋭度指標値を算出する(図2ステップ1)。
【0057】
ここで、図3(a)〜(e)は画像記録装置に係る鮮鋭度を求めるまでの過程を表す説明図である。
【0058】
この場合、原画像信号(チャート:図3(a))に基づいて画像記録装置でハードコピー(チャート像:図3(b))を出力する。このハードコピーを再サンプリングして、チャート像プロファイルを得る(図3(c))。この段階では、画像記録における鮮鋭度の劣化分が含まれた状態になる。
【0059】
そして、このチャート像プロファイル(図3(c))を元にして、画像記録装置に係る鮮鋭度特性(図3(d))を得て、さらに、鮮鋭度近似曲線(図3(e))を求める。このようにして、画像記録装置の鮮鋭度を求め、鮮鋭度指標値を算出する。
【0060】
つぎにトレンドプロファイルを算出する際に、まず、鮮鋭度指標値に基づいてチャート像に係る仮想プロファイルを算出し、その後に、前記原チャート像プロファイルと前記仮想プロファイルとの差分プロファイルに基づいて前記トレンドプロファイルを算出する。
【0061】
ここで、「トレンドプロファイル」とは、チャート像と独立して足し合わされたプロファイルをいい、具体的には、X線撮影時に発生するヒール効果に起因する光学濃度ムラや、画像記録装置における現像の不均一性に起因する光学濃度ムラ、等が挙げられるがこの限りではない。また、「仮想プロファイル」とは、鮮鋭度指標値に基づいて再構成された信号プロファイルをいう。
【0062】
ここでは、原プロファイル鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度指標値に基づいて、仮想プロファイル算出手段により、仮想プロファイルを算出する(図2ステップ2)。
【0063】
図4は、仮想プロファイル算出処理の概要図である。ここで、図4(a)は、画像記録による鮮鋭度劣化がなく、理想的な状態を示している。ここでは、全空間周波数においてMTF=1の特性となっている。
【0064】
また、図4(b)は、図4(a)の鮮鋭度特性に応じて矩形波を再構成した場合の様子を示している。この場合、鮮鋭度劣化が全くないため、矩形波を完全に再現することができている。
【0065】
図4(c)は、画像記録による鮮鋭度劣化がある場合を示しており、高空間周波数においてMTFが徐々に低下する特性の一例を示している。図4(d)は、図4(c)の鮮鋭度特性に応じて矩形波を再構成した状態の一例(仮想プロファイル)を示している。ここでは、高空間周波数において情報劣化があるため、矩形波にも劣化が生じている。すなわち、図4(c)の鮮鋭度特性と図4(d)の仮想プロファイルとの相関関係を、後に説明するトレンドプロファイル算出で用いることにする。
【0066】
図5は、トレンドプロファイル算出処理の概要説明のための説明図である。
【0067】
ここで、図5(a)は低空間周波数帯域ノイズ(トレンドノイズ)を含んだ状態の原矩形波プロファイルである。図5(b)は、原矩形波プロファイルに基づいて鮮鋭度(図4(c)参照)を求め、その鮮鋭度をもとに再構成された仮想プロファイル(図4(c)、図4(d)参照)である。
【0068】
図5(c)は、原矩形波プロファイル(図5(a))と仮想プロファイル(図5(b))との差分に相当する差分プロファイルである。図5(d)は、差分プロファイル(図5(c))を加工したトレンドプロファイルである。例えば、差分プロファイルの移動平均をとり、高周波成分を低減した状態のプロファイルである。このようにして、トレンドプロファイルを算出する(図2ステップ3)。
【0069】
次に、原矩形波プロファイル(図5(a))に含まれている低空間周波数帯域ノイズであるトレンドプロファイルを除去するため、トレンドプロファイル除去処理を施す(図2ステップ4)。
【0070】
この際に、原矩形波プロファイル(図5(a))とトレンドプロファイル(図5(d))との座標を一致させる必要がある。この座標の一致の作業は、例えば、1次元テンプレートマッチング等により達成される。両者のプロファイルデータにおける相関係数を求める方法、最小2乗法(両者のデータの残差2乗和が最小値とする決定法)等が挙げられるが、この限りではない。
【0071】
なお、以上のようにして、原矩形波プロファイルから低空間周波数帯域ノイズであるトレンドプロファイルを除去して得た補正済み原矩形波プロファイルについて、補正前の原矩形波プロファイルと、鮮鋭度の比較を行う(図2ステップ6)。
【0072】
この鮮鋭度の比較により、補正前後の差が所定値未満であれば(図2ステップ7でY)、トレンドプロファイルを除去する一連の処理を終了する。また、この鮮鋭度の比較により、補正前後の差が所定値以上であれば(図2ステップ7でN)、トレンドプロファイルを除去する一連の処理を再度実行する。
【0073】
そして、最新の補正後の鮮鋭度と、前回の補正後の鮮鋭度との比較を行うようにする。そして、この鮮鋭度の比較により、補正前後の差が所定値未満になるまで、トレンドプロファイルを除去する一連の処理を続行する。
【0074】
なお、ここでは、補正前後の鮮鋭度の差により判定を行っているが、トレンドプロファイルそのものが一定のレベル未満になった時点で処理を終了するような判定としてもよい。
【0075】
以上のような処理を行うことで、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズ(いわゆる、トレンドノイズ)による測定誤差を低減し得る鮮鋭度の測定が可能となる。また、トレンドプロファイルを算出の際、計算誤差を少なくすることができる。
【0076】
また、プロファイルの軸に対応する物理量は、一般的に濃度が用いられるが、これに限られない。例えば、濃度から他の物理量に変換したプロファイルを用いて演算することができる。他の物理量は、透過率、露光量(銀塩写真のような露光による記録方式の場合)や印加熱量(感熱記録方式の場合)などを用いることができる。また、明度のような心理物理量でも良い。なお、「明度」とは、CIE(Commission Internationale de l’Eclairage;国際照明委員会)が1976年に推奨したCIE−LAB表色系における明度であって、視覚的な濃淡の程度を表す心理物理量のひとつである。
【0077】
なお、以上のような処理を行う鮮鋭度測定方法や、鮮鋭度測定方法を実行する鮮鋭度測定装置だけではなく、鮮鋭度測定方法を実行する鮮鋭度測定プログラムも本発明の実施の形態例の一部分である。また、同様に、鮮鋭度測定プログラムが記録された記録媒体も本発明の実施の形態例の一部分である。
【0078】
〈第1の応用例:鮮鋭度測定装置〉
なお、鮮鋭度測定装置としては、既に図9で説明したように、マイクロデンシトメータで測定して得られた濃度プロファイルをフレキシブルディスク等の電子媒体を介して画像記録装置に入力すると、鮮鋭度測定手段あるいは鮮鋭度評価手段(図9(c)におけるデータ取得用計算機30)により鮮鋭度評価を行い、その評価結果をディスプレイ等に表示する。
【0079】
まず、鮮鋭度評価処理部を備えた鮮鋭度測定装置200について、図6を参照して説明する。
【0080】
マイクロデンシトメータなどの濃度計20(図9参照)により得られた濃度プロファイルは、濃度プロファイルデータ入力部210に供給される。この濃度プロファイルデータは、濃度プロファイル以外に、付属情報として、サンプリング間隔、チャート要素の個数、チャート要素の空間周波数、チャート要素のライン数、計算開始点の目安、使用チャートの種類、などが含まれている。この濃度プロファイルデータは、鮮鋭度評価処理部220内のデータ分離手段221にて、濃度プロファイル部分と付属情報222aとに分離される。なお、付属情報222aはデータ記憶手段222に一時的に格納されて、必要に応じて鮮鋭度評価演算処理手段223から読み出される。あるいは、付属情報222aに基づいて予め記録されているチャートに関する付属情報222a’を選択し、必要に応じて鮮鋭度評価演算処理手段223から読み出される。鮮鋭度評価演算処理手段223は、データ分離手段221にて分離された濃度プロファイルと付属情報とから、以上詳細に説明したように評価指標を求めて鮮鋭度評価結果222bを得る。そして、この鮮鋭度評価結果222bを、鮮鋭度評価結果判断手段224が判断して、その評価結果をディスプレイなどの評価結果表示部230に表示する。
【0081】
〈第2の応用例:画像記録装置〉
つぎに、鮮鋭度測定装置200を備えた画像記録装置300について、図7を参照して説明する。
【0082】
制御手段101は、テストパターン記憶部311に予め保持している評価用チャート画像データ(図10(a)参照)に画像記録用の処理を施して、画像記録部320に供給する。画像記録部320では、銀塩レーザ書込方式・熱転写方式・インクジェット方式、等の評価対象となるいずれかの方式で記録媒体上にチャート画像(図9▲2▼、図10(b)のテストパターン100)をプリントする。
【0083】
その後、濃度計330を構成するスポット光照射部331からのスポット光を受光部332で検出する。そして、受光部332にて光電変換された電気信号から、A−D変換部350によりディジタルデータの濃度プロファイルが生成される。
【0084】
このようにして画像記録装置300内で生成された濃度プロファイルは、画像記録装置300内に内蔵されている鮮鋭度測定装置200で鮮鋭度評価結果が求められる。
【0085】
このように、画像記録装置300に濃度計330(光照射部331および受光部332)を内蔵し、テストパターン100に応じて画像記録後に濃度測定し、自動的に鮮鋭度評価のための解析を行う。
【0086】
この場合、鮮鋭度測定結果を保存して過去の履歴と今回の測定結果と比較し、差が大きく異なったら、制御手段301に対して、あるいは、表示部260にて警告を発するようにしてもよい。また、鮮鋭度評価基準を予め設け、その値を下回った場合に警告を発するようにしてもよい。
【0087】
例えば、インクジェット方式記録装置の場合、インク吐出不良、ヘッドの位置ずれ、インク終了、装置の故障等の異常を察知することに応用できる。この場合、原因は特定されないまでも、プリント不良の警告として効果的である。
【0088】
〈第3の応用例:画像記録装置〉
つぎに、鮮鋭度測定装置200を備え、さらに、鮮鋭度補正機能を有する画像記録装置300について、図7を参照して説明する。
【0089】
ここで、制御手段101は、前述した第2の応用例の機能に加え、鮮鋭度測定装置200で算出された鮮鋭度を用いて、鮮鋭度を補正する機能を有しているものとする。
【0090】
この場合、鮮鋭度測定結果を保存して過去の履歴と今回の測定結果と比較し、差が大きく異なったら、制御手段301が鮮鋭度劣化を補正する処理を自動的に実行する。このようにすることで、鮮鋭度劣化に基づくプリント不良を回避することが可能になる。
【0091】
なお、鮮鋭度劣化を補正する処理を実行しても鮮鋭度劣化が解消できない場合には、制御手段301が表示部260などに警告を発するようにすればよい。
【0092】
〈第4の応用例:鮮鋭度評価に適した画像記録装置〉
主観評価の結果、5.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが0.70以上であれば鮮鋭度が良好な画像であることを確認した。また、2.0cycle/mmにおいて0.90以上であると更に好ましい。すなわち、この鮮鋭度を満足する画像記録装置を、鮮鋭度評価に用いることが望ましい。なお、以上の第1の応用例のように、画像記録装置内に鮮鋭度測定装置を内蔵して、この値を閾値にして、鮮鋭度の閾値を下回った場合に警告を発するようにすれば好ましい。
【0093】
以下、この説明を具体的におこなう。
【0094】
[画像記録装置]:
銀塩レーザ書込方式の画像記録装置であるLi−62P(コニカ株式会社製)において、フィルムに露光するために用いるレーザーのビーム径を変えることにより、プリント画像の鮮鋭度を変化させた(画像記録装置1〜4)。なお、書込ピッチ(1ピクセル当りのサイズ)は主走査、副走査とも40μmである。
【0095】
[テストパターン]:
矩形波チャート画像を作成し、上記画像記録装置でプリントした。なお、チャート要素は4個であり、各々の空間周波数は、(1)0.05cycle/mm(1ライン当り250ピクセル)、(2)1.0cycle/mm(1ライン当り13ピクセル)、(3)2.1cycle/mm(1ライン当り6ピクセル)、(4)6.3cycle/mm(1ライン当り2ピクセル)である。また、濃度はハイレベルDH=2.0、ローレベルDL=1.0として設計した。
【0096】
[主観評価]:
以上の(2)〜(4)の3個のチャート要素に関し、解像度についての目視による主観評価を行った。観察者とテストパターンとの距離は20cmとした。なお、解像レベルとして、隣同士のラインが識別できるか否かを基準に判定を行い、◎…明確に識別できる、○…比較的識別できる、△…良く観察すれば識別できる、×…全く識別ができない、の4段階評価にて採点を行った。
【0097】
[客観評価]:
マイクロデンシトメータPDM−7B(コニカ株式会社製)を用いてテストパターンの濃度測定を行い、サンプリング間隔が3μmである矩形波チャート像プロファイルを取得した。その濃度プロファイルを用いて、実施の形態例1[1対1対応型]に従った方法で解析を行った。なお、正規化空間周波数は0.05cycle/mmである。
【0098】
[評価結果]:
図8は主観評価結果を示す。主観評価の結果、5.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが少なくとも0.60以上であれば鮮鋭度が良好な画像であることを確認した。
【0099】
また、主観評価の結果、5.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが少なくとも0.70以上であれば、鮮鋭度が更に良好な画像であることを確認した。
【0100】
また、同じく主観評価の結果、2.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが0.90以上であると、更に好ましいことも確認した。
【0101】
すなわち、この鮮鋭度を満足する画像記録装置を、鮮鋭度評価に用いることが望ましい。なお、以上の第1の応用例のように。画像記録装置内に鮮鋭度測定装置を内蔵して、この値を閾値にして、鮮鋭度の閾値を下回った場合に警告を発するようにすれば好ましい。
【0102】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を評価する際において、低空間周波数帯域ノイズであるトレンドノイズによる測定誤差を低減した客観的な評価が可能である鮮鋭度測定方法、および、鮮鋭度を簡便に測定し得る鮮鋭度測定手段を有する鮮鋭度測定装置、ならびに、評価手段を内蔵する画像記録装置で、前記評価方法を用いて求めた物理評価値が特定の評価基準を満たす良好な鮮鋭度を有する画像を記録し得る画像記録装置を実現できる。さらに、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズによる測定誤差を低減し得る鮮鋭度測定プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態例の動作状態を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態例の動作状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態例の動作状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態例の動作状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態例における鮮鋭度測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態例における鮮鋭度測定装置を内蔵した画像記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態例による鮮鋭度評価結果を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の一例の装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態例による鮮鋭度評価用のテストパターン(矩形チャート)による評価方法の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態例におけるフーリエ変換の説明図である。
【符号の説明】
10 画像記録装置
20 濃度計(マイクロデンシトメータ)
30 データ取得用計算機
100 テストパターン
200 鮮鋭度測定装置
300 画像記録装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の鮮鋭度を評価するに適した鮮鋭度測定方法、鮮鋭度測定装置および画像記録装置ならびに鮮鋭度測定プログラムに関し、特に、医用画像撮影装置などの装置で得られた医用画像の鮮鋭度を評価するに適した鮮鋭度測定方法、鮮鋭度測定装置および画像記録装置ならびに鮮鋭度測定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
主に医療を目的とするX線画像形成装置における画像評価方法、例えば、従来のスクリーン/フィルム系における鮮鋭度測定方法として、鮮鋭度測定用チャートを用いてSWTF(Square Wave Transfer Function)を求め、さらにコルトマンの変換式でMTF(Modulation Transfer Function)を求める方法、すなわちチャート法が良く用いられている。
【0003】
この方法は、チャートと呼ばれる鮮鋭度測定用テストパターンをX線で撮影し、フィルム上にチャート像を得た後、そのチャート像の光学濃度をミクロ濃度計で測定し、その光学濃度プロファイルを用いて解析を行う方法である。詳細は、『放射線画像情報工学(I)』(内田、金森、稲津著:日本放射線技術学会編)p167−172に記載されている。
【0004】
また、近年、電磁的方法により画像情報の保持が可能である機器、いわゆるデジタル機器の普及により、その鮮鋭度測定方法も必要とされ、実際に各装置に対して物理評価が行われている。デジタル医用画像記録装置における鮮鋭度測定方法として、例えば、チャートを模写した画像信号を作成し、画像記録装置を用いて該画像信号に基づいてプリントし、以下スクリーン/フィルム系と同様の鮮鋭度測定を行うことが多い。また、デジタル医用画像記録装置においては、濃度プロファイルに基づいたSWTFを用いることが多い。
【0005】
しかし、SWTFを求める場合、主に高空間周波数帯域におけるノイズの影響を受けやすいことが知られている。矩形波チャート像のピークを検出方法によって最終的に得られる物理評価値に差異が生じてしまう。ピーク検出のアルゴリズムに関して様々な方法が提案されているが、ピーク検出方法によって全く同一のプロファイルに対しても異なった物理評価値が得られる場合がある。
【0006】
また、SWTFを求める場合、プロファイルに含まれるノイズ量が大きいときには、検出されるピーク値がノイズの影響を受けて、測定結果が大きく異なることがある。
【0007】
測定誤差を低減するための第1の方法として、プロファイルに係るノイズを低減する方法が挙げられる。例えば、プロファイルに対して予め移動平均を取った後にピークを検出する方法もあるが、高周波では移動平均でピークが鈍化してしまう場合もあり好ましくない。
【0008】
測定誤差を低減するための第2の方法として、特開2000−298076号公報(特許文献1)によると、中央値のピーク値または該中央値±nの平均値、あるいは最大、最小値からm個を除いた残りのデータを用いる方法が提案されている。しかし、この方法は、個々のピークのバラツキを低減する方法であるに過ぎず、ピーク検出方法そのものの改善にはなってはいない。
【0009】
そこで、主観評価によらずに測定誤差を低減できる有力な鮮鋭度測定方法が提案されている。『日本放射線技術学会雑誌,50(3),p379−385(1994):室・他』によると、矩形波チャート像そのものをフーリエ変換し、前記チャート像と略同空間周波数におけるフーリエ変換成分を基にMTFを計算する方法(以下、「フーリエ法」という。)が提案されている。また、『日本放射線技術学会雑誌,58(9),p1261−1267(2002):市川・他』によると、デジタル画像入力装置におけるプリサンプリングMTFを求めるために、フーリエ法を適用した報告もされている。
【0010】
フーリエ法に関して具体的に説明する。実際に評価を行うべき空間周波数に相当するチャート画像を作成し一部抜粋した矩形波プロファイルデータに対して離散フーリエ変換を行いパワースペクトル(空間周波数特性)を求める。スペクトルのピークが最も高い部分が出力像の空間周波数に相当し、そのスペクトル値の平方根が振幅値に相当する。その振幅値をAi(i=1は正規化空間周波数、i=2〜Nは被正規化空間周波数)とし、被正規化部分の振幅値を正規化振幅値で割った値、すなわち振幅比MTF(ui)=Ai/A1をもってMTF(ui)とする。なお、uiはi番目のチャート要素が有する空間周波数を表す。また、本方法におけるMTF計算精度をより高める方法として、特開2003−36437号公報(特許文献2)が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−298076号公報(第1頁〜第6頁、図1〜図2)
【特許文献2】
特開2003−036437号公報(第1頁〜第5頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のチャート法あるいはフーリエ法であるかを問わず、これらの鮮鋭度測定方法には欠点がある。それは、チャート像プロファイルが低空間周波帯域を主成分とするノイズを多く含むとき、鮮鋭度指標値に大きな測定誤差を生じることである。
【0013】
なお、従来のスクリーンフィルムでは、一次関数で表現できる単純勾配のノイズが主なものであったが、記録方式や現像方式の違いにより、不均一性で単純には予測ができない特性の低空間周波数域のノイズが存在することが、本件出願の発明者の研究により明らかにされた。
【0014】
すなわち、鮮鋭度指標値が測定の度に大きくばらつくと、評価そのものの信頼性がなくなり、客観的画質評価たるべきその意義が失われてしまうことになる。
【0015】
本発明は、上記課題について鑑みてなされたものであり、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズ(いわゆる、トレンドノイズ)による測定誤差を低減し得る鮮鋭度測定方法及び鮮鋭度測定装置を実現することにある。
【0016】
また、以上の鮮鋭度を簡便に測定し得る鮮鋭度測定手段を有する画像記録装置及び、前記鮮鋭度測定方法を用いた評価結果の良好な画像を記録し得る画像記録装置を提供することにある。
【0017】
さらに、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズによる測定誤差を低減し得る鮮鋭度測定プログラムを実現することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題は、以下に述べるそれぞれの解決手段によって解決されるものである。
【0019】
(1)請求項1記載の発明は、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する鮮鋭度測定方法であって、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算処理と、前記鮮鋭度に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算処理と、前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算処理と、を有し、前記第1演算処理および前記第2演算処理並びに前記第3演算処理を所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する、ことを特徴とする鮮鋭度測定方法である。
【0020】
この鮮鋭度測定方法では、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する方法において、低空間周波数域ノイズ(いわゆる、トレンドノイズ)による測定誤差を低減し得る鮮鋭度の測定が可能となる。
【0021】
(2)請求項2記載の発明は、前記第2演算処理では、前記鮮鋭度に基づいてチャート像に係る仮想プロファイルを算出し、前記原チャート像プロファイルと前記仮想プロファイルとの差分プロファイルに基づいて前記トレンドプロファイルを算出する、ことを特徴とする請求項1記載に鮮鋭度測定方法である。
【0022】
この鮮鋭度測定方法では、トレンドプロファイルを算出の際、計算誤差を少なくすることができる。
【0023】
(3)請求項3記載の発明は、前記鮮鋭度は、チャート法に基づいて算出されたSWTF又はMTFである、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法である。
【0024】
この鮮鋭度測定方法では、最も一般的な方法を適用でき、精度良く簡便に鮮鋭度指標値を算出することができる。
【0025】
(4)請求項4記載の発明は、前記鮮鋭度は、フーリエ法に基づいて算出されたMTFである、ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法である。
【0026】
フーリエ法では信号部とノイズ部との分離がきわめて困難であったにもかかわらず、この鮮鋭度測定方法では、フーリエ法で計算精度が向上する。
【0027】
(5)請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いて鮮鋭度を測定する鮮鋭度測定手段を有する、ことを特徴とする鮮鋭度測定装置である。
【0028】
(6)請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いてMTFを測定するとき、2.0cycle/mmでMTFが0.9以上である画像を記録する画像記録手段を備えた、ことを特徴とする画像記録装置である。
【0029】
(7)請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いてMTFを測定するとき、5.0cycle/mmでMTFが0.6以上である画像を記録する画像記録手段を備えた、ことを特徴とする画像記録装置である。
【0030】
(8)請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法で求めた鮮鋭度情報に基づいて画像記録する際の鮮鋭度低下分を補正する鮮鋭度補正手段を備える、ことを特徴とする画像記録装置である。
【0031】
(9)請求項9記載の発明は、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算ルーチンと、前記鮮鋭度指標値に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算ルーチンと、前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算ルーチンと、を有し、前記第1演算ルーチンおよび前記第2演算ルーチン並びに前記第3演算ルーチンを所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する、ことを特徴とする鮮鋭度測定プログラムである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、鮮鋭度測定に関する本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施の形態に示す具体例に限定されるものではない。
【0033】
〈鮮鋭度測定方法の原理説明〉
まず、鮮鋭度測定方法について説明する。鮮鋭度測定方法としては、チャート法、スリット法、エッジ法等、様々な測定方法が提案されている。以下に、チャート法による鮮鋭度測定方法の概要を示す。
【0034】
ここで、「チャート」とは、「チャート像を作成するための雛型」であり、具体的には鉛チャートやチャート像作成用画像データに相当する。また、「チャート画像」あるいは「チャート像」とは、「チャートを基に作成されたハードコピー」である。さらに、「チャート像プロファイル」とは、「チャート像を再サンプリングしたデータ列」である、と定義する。
【0035】
なお、この実施の形態例では、鮮鋭度の測定のために用いる正規化部分と被正規化部分とを有する鮮鋭度測定用チャートの具体例として、矩形波チャートあるいは矩形波チャート像を用いた場合を説明する。
【0036】
図10は、代表的な矩形波チャートの模式図である。図10(b)のテストパターン100は、鮮鋭度測定用のテストパターンである。まず、評価用チャート画像データ(図10(a))を作成し、銀塩レーザ書込方式・銀塩熱現像方式・インクジェット方式、等の評価対象となる画像記録装置10(図9(a))で記録紙p上にチャート画像(図9▲2▼、図10(b)のテストパターン100)をプリントする。
【0037】
ここで示した鮮鋭度とは、SWTF、MTF又はARTF(詳細は後述する。)等、の物理評価により算出された指標値に相当する。
【0038】
テストパターン100は最も空間周波数の低い正規化部分101と、その他の各空間周波数をもつ被正規化部分102を有する。コントラストの基準となる正規化部分と各空間周波数において測定するべき被正規化部分に分けられる。
【0039】
前記チャート像は(N+1)個の異なる空間周波数(U0,U1,…,UN)を有し、空間周波数がU0である正規化部分と、空間周波数がUk(k=1,2,…,N)である被正規化部分とを有するチャート像である。
【0040】
なお、正規化部分ではコントラストの基準になるように、コントラスト低下がほとんど起こらない程度に低空間周波数であることが好ましい。例えば、鮮鋭度測定用の鉛チャート(化成オプトニクス株式会社製:TypeI)では正規化部分における空間周波数は0.05cycle/mm、被正規化部分における空間周波数は0.5−1.0−1.5−2.0−2.5−3.0−4.0−5.0−6.0−8.0−10.0cycle/mmである。
【0041】
前記鉛チャートをX線撮影し、増感紙の発光によりフィルムに潜像を形成させ、自動現像機を用いてその露光されたフィルムを現像することによって、チャート画像を得ることができる。
【0042】
図9(b)に示すマイクロデンシトメータともよばれるミクロ濃度計を用いて、前記チャート画像に係る光学濃度を測定し、矩形波チャート像プロファイルデータを得る。矩形波チャート像プロファイルの各空間周波数部分におけるピークを検出し、最高光学濃度DH(U)及び最低光学濃度DL(U)を求める。図9▲3▼および図10(c)は濃度測定により得られたチャート像濃度プロファイルの模式図であり、横軸は位置(プロット番号)、縦軸は濃度である。
【0043】
予め作成したX線照射量−光学濃度の特性曲線を基に最大X線照射量EH(U)及び最小X線照射量EL(U)に換算し、コントラストC(U)=(EH(U)−EL(U))/(EH(U)+EL(U))を求める。この各々の空間周波数におけるコントラストをゼロ周波数で規格化した値C(U)/C(0)はCTFと呼ばれている。さらに、コルトマン変換式を用いることにより、コントラスト応答関数CTFから正弦波応答関数MTFに変換することができる。通常はこのMTFを用いて鮮鋭度を測定が行われている。
【0044】
また、デジタル系画像出力装置における鮮鋭度測定を行う場合には、前記チャートを模写した画像信号データを作成し、画像を出力することにより、チャート画像を得ることができる。ただし、光学濃度からX線照射量に換算することができないため、光学濃度のままコントラストC(U)=(DH(U)−DL(U))/(DH(U)+DL(U))を求めることがある。この各々の空間周波数におけるコントラストをゼロ周波数で規格化した値C(U)/C(0)はSWTFと呼ばれている。
【0045】
図11は、矩形波チャートを用いたフーリエ変換法に関する概略図である。図11(a−1)は矩形波チャートを用いて本来得られるべき矩形波チャート像プロファイル、すなわち理想的な矩形波チャート像プロファイルに相当する。このプロファイルをフーリエ解析した結果が図11(a−2)であり、矩形波チャートの有する空間周波数と略同空間周波数(以後、固有空間周波数)の奇数倍の振幅値のみが現われる。しかし、実際は画像記録時、或いは濃度測定時におけるプロファイル劣化により、図11(b−1)に示すようなノイズを含んだ矩形波チャート像プロファイルが得られる。このプロファイルをフーリエ解析した結果が図11(b−2)である。図11(b−2)の空間周波数特性は、図11(a−2)の特性と比較すると、固有空間周波数の奇数倍におけるフーリエ解析データ(チャート像固有の信号に相当)が低下し、他の空間周波数におけるフーリエ解析データ(チャート像に付加されるノイズに相当)が微増することがわかる。
【0046】
空間周波数Uを有する矩形波チャート像プロファイルに対してフーリエ解析を行うとき、最も大きな振幅値として現われるのは空間周波数Uにおけるフーリエ解析データであり、そのフーリエ解析データが前記プロファイルにおける最も特徴的な情報量であるのは当然である。そこで、フーリエ変換法とは、矩形波チャート像プロファイルの固有空間周波数におけるフーリエ解析データを求め、そのフーリエ解析データの割合をもって評価指標とし鮮鋭度を評価する方法である。
【0047】
上述のフーリエ解析とは以下の解析を示すものとする。正規化部分および各被正規化部分における矩形波チャート像プロファイルに対して、山谷が周期的に連なる矩形波チャート要素の一部分を抜粋し、そのプロファイルに関して離散フーリエ変換を行う。フーリエ変換後は複素数データ列(実数部と虚数部)として得られるが、前記複素数データ列の2乗値(いわゆる「パワースペクトル」)の平方根が各空間周波数成分における振幅値に相当し、この振幅値が上述のフーリエ解析データである。振幅値が大きいほどその空間周波数における情報量が多いことを意味し、その振幅値の減衰率がプリント画像の鮮鋭度を評価する指標に成りうる。
【0048】
〈鮮鋭度測定装置の構成〉
図1に、本実施の形態における鮮鋭度測定装置の機能ブロックの構成を示す。この図1に示すように、本実施の形態例の鮮鋭度測定装置200は、バス202に接続された、CPU(Central Processing Unit)202、ROM(Read Only Memory)203、RAM(Random Access Memory)204、画像信号入力部205、画像信号出力部206、演算処理部207等を備えて構成されている。
【0049】
CPU201は、画像信号入力部205から入力される画像信号に対して、ROM203に記録されている鮮鋭度測定装置200に対応する各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM204のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果をRAM204の所定の領域に格納する。画像信号に対して最終的な処理が実行されると、CPU201は、処理済画像信号を画像信号出力部206から外部に出力する。
【0050】
ROM203は、不揮発性の半導体メモリで構成される。ROM203は、CPU201により実行される鮮鋭度測定装置200の各種プログラムを記憶している。
【0051】
RAM204は、書き換え可能な半導体素子で構成される。RAM204は、データが一時的に保存される記憶媒体であり、CPU201が実行するためのプログラムを展開するためのプログラムエリア、画像信号入力部205から入力されるデータやCPU201による各種処理結果等を保存するためのデータエリア、等が形成される。
【0052】
画像信号入力部205は、画像入力装置(撮影機器)と接続し、画像入力装置から入力された画像信号を受信する。画像信号出力部206は、画像出力装置へ画像信号を出力する。
【0053】
演算処理部207は、画像信号入力部205から入力された画像信号に鮮鋭度測定に関する各種演算処理を行う。この演算処理は、ROM203に格納された各種プログラムとCPU201との協働によってソフトウェア処理で実現される。
【0054】
〈鮮鋭度測定プログラムの内容〉
本発明の実施の形態例の一部である鮮鋭度測定プログラムは、以下の3つのルーチンにより構成されている。
・原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算ルーチン;
・鮮鋭度指標値に基づいて原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算ルーチン;
・原チャート像プロファイルからトレンドプロファイルを除去する第3演算ルーチン;
そして、第1演算ルーチンおよび第2演算ルーチン並びに第3演算ルーチンを所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出することを特徴としている。
【0055】
〈鮮鋭度演算処理の説明〉
次に、本実施の形態に共通の鮮鋭度演算処理の概要について説明する。図2は、本実施の形態に係る鮮鋭度を求める演算処理の概要を示すフローチャートである。
【0056】
まず、原プロファイル鮮鋭度算出手段によって原プロファイルに基づいてMTF等の鮮鋭度指標値を算出する(図2ステップ1)。
【0057】
ここで、図3(a)〜(e)は画像記録装置に係る鮮鋭度を求めるまでの過程を表す説明図である。
【0058】
この場合、原画像信号(チャート:図3(a))に基づいて画像記録装置でハードコピー(チャート像:図3(b))を出力する。このハードコピーを再サンプリングして、チャート像プロファイルを得る(図3(c))。この段階では、画像記録における鮮鋭度の劣化分が含まれた状態になる。
【0059】
そして、このチャート像プロファイル(図3(c))を元にして、画像記録装置に係る鮮鋭度特性(図3(d))を得て、さらに、鮮鋭度近似曲線(図3(e))を求める。このようにして、画像記録装置の鮮鋭度を求め、鮮鋭度指標値を算出する。
【0060】
つぎにトレンドプロファイルを算出する際に、まず、鮮鋭度指標値に基づいてチャート像に係る仮想プロファイルを算出し、その後に、前記原チャート像プロファイルと前記仮想プロファイルとの差分プロファイルに基づいて前記トレンドプロファイルを算出する。
【0061】
ここで、「トレンドプロファイル」とは、チャート像と独立して足し合わされたプロファイルをいい、具体的には、X線撮影時に発生するヒール効果に起因する光学濃度ムラや、画像記録装置における現像の不均一性に起因する光学濃度ムラ、等が挙げられるがこの限りではない。また、「仮想プロファイル」とは、鮮鋭度指標値に基づいて再構成された信号プロファイルをいう。
【0062】
ここでは、原プロファイル鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度指標値に基づいて、仮想プロファイル算出手段により、仮想プロファイルを算出する(図2ステップ2)。
【0063】
図4は、仮想プロファイル算出処理の概要図である。ここで、図4(a)は、画像記録による鮮鋭度劣化がなく、理想的な状態を示している。ここでは、全空間周波数においてMTF=1の特性となっている。
【0064】
また、図4(b)は、図4(a)の鮮鋭度特性に応じて矩形波を再構成した場合の様子を示している。この場合、鮮鋭度劣化が全くないため、矩形波を完全に再現することができている。
【0065】
図4(c)は、画像記録による鮮鋭度劣化がある場合を示しており、高空間周波数においてMTFが徐々に低下する特性の一例を示している。図4(d)は、図4(c)の鮮鋭度特性に応じて矩形波を再構成した状態の一例(仮想プロファイル)を示している。ここでは、高空間周波数において情報劣化があるため、矩形波にも劣化が生じている。すなわち、図4(c)の鮮鋭度特性と図4(d)の仮想プロファイルとの相関関係を、後に説明するトレンドプロファイル算出で用いることにする。
【0066】
図5は、トレンドプロファイル算出処理の概要説明のための説明図である。
【0067】
ここで、図5(a)は低空間周波数帯域ノイズ(トレンドノイズ)を含んだ状態の原矩形波プロファイルである。図5(b)は、原矩形波プロファイルに基づいて鮮鋭度(図4(c)参照)を求め、その鮮鋭度をもとに再構成された仮想プロファイル(図4(c)、図4(d)参照)である。
【0068】
図5(c)は、原矩形波プロファイル(図5(a))と仮想プロファイル(図5(b))との差分に相当する差分プロファイルである。図5(d)は、差分プロファイル(図5(c))を加工したトレンドプロファイルである。例えば、差分プロファイルの移動平均をとり、高周波成分を低減した状態のプロファイルである。このようにして、トレンドプロファイルを算出する(図2ステップ3)。
【0069】
次に、原矩形波プロファイル(図5(a))に含まれている低空間周波数帯域ノイズであるトレンドプロファイルを除去するため、トレンドプロファイル除去処理を施す(図2ステップ4)。
【0070】
この際に、原矩形波プロファイル(図5(a))とトレンドプロファイル(図5(d))との座標を一致させる必要がある。この座標の一致の作業は、例えば、1次元テンプレートマッチング等により達成される。両者のプロファイルデータにおける相関係数を求める方法、最小2乗法(両者のデータの残差2乗和が最小値とする決定法)等が挙げられるが、この限りではない。
【0071】
なお、以上のようにして、原矩形波プロファイルから低空間周波数帯域ノイズであるトレンドプロファイルを除去して得た補正済み原矩形波プロファイルについて、補正前の原矩形波プロファイルと、鮮鋭度の比較を行う(図2ステップ6)。
【0072】
この鮮鋭度の比較により、補正前後の差が所定値未満であれば(図2ステップ7でY)、トレンドプロファイルを除去する一連の処理を終了する。また、この鮮鋭度の比較により、補正前後の差が所定値以上であれば(図2ステップ7でN)、トレンドプロファイルを除去する一連の処理を再度実行する。
【0073】
そして、最新の補正後の鮮鋭度と、前回の補正後の鮮鋭度との比較を行うようにする。そして、この鮮鋭度の比較により、補正前後の差が所定値未満になるまで、トレンドプロファイルを除去する一連の処理を続行する。
【0074】
なお、ここでは、補正前後の鮮鋭度の差により判定を行っているが、トレンドプロファイルそのものが一定のレベル未満になった時点で処理を終了するような判定としてもよい。
【0075】
以上のような処理を行うことで、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズ(いわゆる、トレンドノイズ)による測定誤差を低減し得る鮮鋭度の測定が可能となる。また、トレンドプロファイルを算出の際、計算誤差を少なくすることができる。
【0076】
また、プロファイルの軸に対応する物理量は、一般的に濃度が用いられるが、これに限られない。例えば、濃度から他の物理量に変換したプロファイルを用いて演算することができる。他の物理量は、透過率、露光量(銀塩写真のような露光による記録方式の場合)や印加熱量(感熱記録方式の場合)などを用いることができる。また、明度のような心理物理量でも良い。なお、「明度」とは、CIE(Commission Internationale de l’Eclairage;国際照明委員会)が1976年に推奨したCIE−LAB表色系における明度であって、視覚的な濃淡の程度を表す心理物理量のひとつである。
【0077】
なお、以上のような処理を行う鮮鋭度測定方法や、鮮鋭度測定方法を実行する鮮鋭度測定装置だけではなく、鮮鋭度測定方法を実行する鮮鋭度測定プログラムも本発明の実施の形態例の一部分である。また、同様に、鮮鋭度測定プログラムが記録された記録媒体も本発明の実施の形態例の一部分である。
【0078】
〈第1の応用例:鮮鋭度測定装置〉
なお、鮮鋭度測定装置としては、既に図9で説明したように、マイクロデンシトメータで測定して得られた濃度プロファイルをフレキシブルディスク等の電子媒体を介して画像記録装置に入力すると、鮮鋭度測定手段あるいは鮮鋭度評価手段(図9(c)におけるデータ取得用計算機30)により鮮鋭度評価を行い、その評価結果をディスプレイ等に表示する。
【0079】
まず、鮮鋭度評価処理部を備えた鮮鋭度測定装置200について、図6を参照して説明する。
【0080】
マイクロデンシトメータなどの濃度計20(図9参照)により得られた濃度プロファイルは、濃度プロファイルデータ入力部210に供給される。この濃度プロファイルデータは、濃度プロファイル以外に、付属情報として、サンプリング間隔、チャート要素の個数、チャート要素の空間周波数、チャート要素のライン数、計算開始点の目安、使用チャートの種類、などが含まれている。この濃度プロファイルデータは、鮮鋭度評価処理部220内のデータ分離手段221にて、濃度プロファイル部分と付属情報222aとに分離される。なお、付属情報222aはデータ記憶手段222に一時的に格納されて、必要に応じて鮮鋭度評価演算処理手段223から読み出される。あるいは、付属情報222aに基づいて予め記録されているチャートに関する付属情報222a’を選択し、必要に応じて鮮鋭度評価演算処理手段223から読み出される。鮮鋭度評価演算処理手段223は、データ分離手段221にて分離された濃度プロファイルと付属情報とから、以上詳細に説明したように評価指標を求めて鮮鋭度評価結果222bを得る。そして、この鮮鋭度評価結果222bを、鮮鋭度評価結果判断手段224が判断して、その評価結果をディスプレイなどの評価結果表示部230に表示する。
【0081】
〈第2の応用例:画像記録装置〉
つぎに、鮮鋭度測定装置200を備えた画像記録装置300について、図7を参照して説明する。
【0082】
制御手段101は、テストパターン記憶部311に予め保持している評価用チャート画像データ(図10(a)参照)に画像記録用の処理を施して、画像記録部320に供給する。画像記録部320では、銀塩レーザ書込方式・熱転写方式・インクジェット方式、等の評価対象となるいずれかの方式で記録媒体上にチャート画像(図9▲2▼、図10(b)のテストパターン100)をプリントする。
【0083】
その後、濃度計330を構成するスポット光照射部331からのスポット光を受光部332で検出する。そして、受光部332にて光電変換された電気信号から、A−D変換部350によりディジタルデータの濃度プロファイルが生成される。
【0084】
このようにして画像記録装置300内で生成された濃度プロファイルは、画像記録装置300内に内蔵されている鮮鋭度測定装置200で鮮鋭度評価結果が求められる。
【0085】
このように、画像記録装置300に濃度計330(光照射部331および受光部332)を内蔵し、テストパターン100に応じて画像記録後に濃度測定し、自動的に鮮鋭度評価のための解析を行う。
【0086】
この場合、鮮鋭度測定結果を保存して過去の履歴と今回の測定結果と比較し、差が大きく異なったら、制御手段301に対して、あるいは、表示部260にて警告を発するようにしてもよい。また、鮮鋭度評価基準を予め設け、その値を下回った場合に警告を発するようにしてもよい。
【0087】
例えば、インクジェット方式記録装置の場合、インク吐出不良、ヘッドの位置ずれ、インク終了、装置の故障等の異常を察知することに応用できる。この場合、原因は特定されないまでも、プリント不良の警告として効果的である。
【0088】
〈第3の応用例:画像記録装置〉
つぎに、鮮鋭度測定装置200を備え、さらに、鮮鋭度補正機能を有する画像記録装置300について、図7を参照して説明する。
【0089】
ここで、制御手段101は、前述した第2の応用例の機能に加え、鮮鋭度測定装置200で算出された鮮鋭度を用いて、鮮鋭度を補正する機能を有しているものとする。
【0090】
この場合、鮮鋭度測定結果を保存して過去の履歴と今回の測定結果と比較し、差が大きく異なったら、制御手段301が鮮鋭度劣化を補正する処理を自動的に実行する。このようにすることで、鮮鋭度劣化に基づくプリント不良を回避することが可能になる。
【0091】
なお、鮮鋭度劣化を補正する処理を実行しても鮮鋭度劣化が解消できない場合には、制御手段301が表示部260などに警告を発するようにすればよい。
【0092】
〈第4の応用例:鮮鋭度評価に適した画像記録装置〉
主観評価の結果、5.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが0.70以上であれば鮮鋭度が良好な画像であることを確認した。また、2.0cycle/mmにおいて0.90以上であると更に好ましい。すなわち、この鮮鋭度を満足する画像記録装置を、鮮鋭度評価に用いることが望ましい。なお、以上の第1の応用例のように、画像記録装置内に鮮鋭度測定装置を内蔵して、この値を閾値にして、鮮鋭度の閾値を下回った場合に警告を発するようにすれば好ましい。
【0093】
以下、この説明を具体的におこなう。
【0094】
[画像記録装置]:
銀塩レーザ書込方式の画像記録装置であるLi−62P(コニカ株式会社製)において、フィルムに露光するために用いるレーザーのビーム径を変えることにより、プリント画像の鮮鋭度を変化させた(画像記録装置1〜4)。なお、書込ピッチ(1ピクセル当りのサイズ)は主走査、副走査とも40μmである。
【0095】
[テストパターン]:
矩形波チャート画像を作成し、上記画像記録装置でプリントした。なお、チャート要素は4個であり、各々の空間周波数は、(1)0.05cycle/mm(1ライン当り250ピクセル)、(2)1.0cycle/mm(1ライン当り13ピクセル)、(3)2.1cycle/mm(1ライン当り6ピクセル)、(4)6.3cycle/mm(1ライン当り2ピクセル)である。また、濃度はハイレベルDH=2.0、ローレベルDL=1.0として設計した。
【0096】
[主観評価]:
以上の(2)〜(4)の3個のチャート要素に関し、解像度についての目視による主観評価を行った。観察者とテストパターンとの距離は20cmとした。なお、解像レベルとして、隣同士のラインが識別できるか否かを基準に判定を行い、◎…明確に識別できる、○…比較的識別できる、△…良く観察すれば識別できる、×…全く識別ができない、の4段階評価にて採点を行った。
【0097】
[客観評価]:
マイクロデンシトメータPDM−7B(コニカ株式会社製)を用いてテストパターンの濃度測定を行い、サンプリング間隔が3μmである矩形波チャート像プロファイルを取得した。その濃度プロファイルを用いて、実施の形態例1[1対1対応型]に従った方法で解析を行った。なお、正規化空間周波数は0.05cycle/mmである。
【0098】
[評価結果]:
図8は主観評価結果を示す。主観評価の結果、5.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが少なくとも0.60以上であれば鮮鋭度が良好な画像であることを確認した。
【0099】
また、主観評価の結果、5.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが少なくとも0.70以上であれば、鮮鋭度が更に良好な画像であることを確認した。
【0100】
また、同じく主観評価の結果、2.0cycle/mmにおいて、上記方法で求めたMTFが0.90以上であると、更に好ましいことも確認した。
【0101】
すなわち、この鮮鋭度を満足する画像記録装置を、鮮鋭度評価に用いることが望ましい。なお、以上の第1の応用例のように。画像記録装置内に鮮鋭度測定装置を内蔵して、この値を閾値にして、鮮鋭度の閾値を下回った場合に警告を発するようにすれば好ましい。
【0102】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を評価する際において、低空間周波数帯域ノイズであるトレンドノイズによる測定誤差を低減した客観的な評価が可能である鮮鋭度測定方法、および、鮮鋭度を簡便に測定し得る鮮鋭度測定手段を有する鮮鋭度測定装置、ならびに、評価手段を内蔵する画像記録装置で、前記評価方法を用いて求めた物理評価値が特定の評価基準を満たす良好な鮮鋭度を有する画像を記録し得る画像記録装置を実現できる。さらに、鮮鋭度測定用チャートを用いて鮮鋭度を測定する際において、低空間周波数域ノイズによる測定誤差を低減し得る鮮鋭度測定プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態例の動作状態を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態例の動作状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態例の動作状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態例の動作状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態例における鮮鋭度測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態例における鮮鋭度測定装置を内蔵した画像記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態例による鮮鋭度評価結果を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の一例の装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態例による鮮鋭度評価用のテストパターン(矩形チャート)による評価方法の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態例におけるフーリエ変換の説明図である。
【符号の説明】
10 画像記録装置
20 濃度計(マイクロデンシトメータ)
30 データ取得用計算機
100 テストパターン
200 鮮鋭度測定装置
300 画像記録装置
Claims (9)
- 鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する鮮鋭度測定方法であって、
前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算処理と、前記鮮鋭度に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれるトレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算処理と、
前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算処理と、
を有し、前記第1演算処理および前記第2演算処理並びに前記第3演算処理を所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する、
ことを特徴とする鮮鋭度測定方法。 - 前記第2演算処理では、前記鮮鋭度に基づいてチャート像に係る仮想プロファイルを算出し、
前記原チャート像プロファイルと前記仮想プロファイルとの差分プロファイルに基づいて前記トレンドプロファイルを算出する、
ことを特徴とする請求項1記載に鮮鋭度測定方法。 - 前記鮮鋭度は、チャート法に基づいて算出されたSWTF又はMTFである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法。 - 前記鮮鋭度は、フーリエ法に基づいて算出されたMTFである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いて鮮鋭度を測定する鮮鋭度測定手段を有する、
ことを特徴とする鮮鋭度測定装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いてMTFを測定するとき、2.0cycle/mmでMTFが0.9以上である画像を記録する画像記録手段を備えた、
ことを特徴とする画像記録装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法を用いてMTFを測定するとき、5.0cycle/mmでMTFが0.6以上である画像を記録する画像記録手段を備えた、
ことを特徴とする画像記録装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鮮鋭度測定方法で求めた鮮鋭度情報に基づいて画像記録する際の鮮鋭度低下分を補正する鮮鋭度補正手段を備える、
ことを特徴とする画像記録装置。 - 前記原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する第1演算ルーチンと、
前記鮮鋭度指標値に基づいて前記原チャート像プロファイルに含まれる
トレンドノイズについてのトレンドプロファイルを算出する第2演算ルーチンと、
前記原チャート像プロファイルから前記トレンドプロファイルを除去する第3演算ルーチンと、
を有し、前記第1演算ルーチンおよび前記第2演算ルーチン並びに前記第3演算ルーチンを所定の終了条件を満たすまで繰り返すことにより、鮮鋭度測定用チャート像を表す原チャート像プロファイルに基づいて鮮鋭度を算出する、
ことを特徴とする鮮鋭度測定プログラム。
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