JP2004300267A - 炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびそれからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高い機械的特性を発現可能な炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドは、炭素繊維を強化繊維とし、かつ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂からなるモールディングコンパウンドにおいて、該炭素繊維が、単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下の断面形状が真円状であり、、繊維長が1mm以上100mm以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされなるものであることを特徴とするものである。また、本発明の成形体は、かかる炭素繊維強化モールディングコンパウンドを加圧成形することによって得られることを特徴とするものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドは、炭素繊維を強化繊維とし、かつ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂からなるモールディングコンパウンドにおいて、該炭素繊維が、単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下の断面形状が真円状であり、、繊維長が1mm以上100mm以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされなるものであることを特徴とするものである。また、本発明の成形体は、かかる炭素繊維強化モールディングコンパウンドを加圧成形することによって得られることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびそれからなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車用外板、内装材および構造材料などにガラス繊維強化のバルクモールディングコンパウンドあるいはシートモールディングコンパウンドといったモールディングコンパウンドおよびその成形体が用いられているが、ガラス繊維の比重が2.5と大きいため、さらに軽量化を狙って比重が1.8前後と軽く、かつ弾性率もガラス繊維対比約3倍高く薄肉軽量化が可能な炭素繊維で強化したモールディングコンパウンドおよびその成形体が検討されている。マトリックス樹脂の主剤としては、コストパフォーマンスからビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂が重要である。
【0003】
炭素繊維を強化繊維とするモールディングコンパウンドおよびその成形体については、たとえば、特定の強度、弾性率を有する炭素繊維を強化繊維とする技術などが提案されている(特許文献1参照)。しかし、炭素繊維とビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂との接着性が不十分なために、得られる成形体の機械的特性はエポキシ樹脂の場合に比べて低く、炭素繊維の特長を充分に発現することができないという問題があった。
【0004】
炭素繊維とビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂との接着性の向上については、たとえば特定のサイジング剤組成物を使用することにより、長繊維において樹脂接着性が向上する技術が提案されている(特許文献2参照)。しかし、そのまま短繊維に適用しても、その成形体では良い機械的特性が得られないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−139831号公報
【0006】
【特許文献2】特開平11−93078号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術が有する問題点に鑑み、高い機械的特性を発現可能な炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドは、炭素繊維を強化繊維とし、かつ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂からなるモールディングコンパウンドにおいて、該炭素繊維が、単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下である断面形状が真円状であり、繊維長が1mm以上100mm以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされなるものであることを特徴とするものである。また、本発明の成形体は、かかる炭素繊維強化モールディングコンパウンドを加圧成形することによって得られることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり高い機械的特性を発現可能な炭素繊維強化モールディングコンパウンドについて、鋭意検討し、特定の表面積比を有する真円状の断面形状と特定の長さを有する炭素繊維に特定な化合物からなるサイジング剤をコーティングしてなる炭素繊維を使用してみたところ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂との接着性が著しく改善され、得られる成形体の機械的特性も、エポキシ樹脂の場合に比べて、大幅に向上し、炭素繊維の特長を充分に発現することができることを究明したものである。
【0010】
本発明において、モールディングコンパウンドとは、バルクモールディングコンパウンドあるいはシートモールディングコンパウンドを意味し、用途によってバルクまたはシートをコストおよび要求性能から使い分けることが望ましい。すなわち、より機械的特性が厳しく求められる場合にはシートモールディングコンパウンドが好ましい。
【0011】
本発明において、重要なことは、特定の表面積比を有する真円状の断面形状と、特定の長さの炭素繊維に、特定な化合物をコーティングした点にある。かかる断面形状が真円状で、モールディングコンパウンドに使用可能な特定繊維長の炭素繊維を用い、かつかかる化合物は、成形体の機械的特性を発現させるために使用され、つまり、繊維と樹脂をよく接着させる機能を有するものである。かかる機能を発揮されるためには、繊維の表面に樹脂とのカップリング効果を有する化合物からなるサイジング剤を表面にコーティングしておくことが重要である。しかも高い機械的特性発現のためには、モールディングコンパウンドおよびその成形体の内部において、炭素繊維が蛇行することなく、真直度を保って分散することが好ましく、このように炭素繊維の真直度を上げて、炭素繊維の屈曲を防ぐためには真円状の断面形状であることが好ましい。すなわちベータ型などの断面形状では、繊維が屈曲してしまい機械的特性が低下するのである。
【0012】
本発明は、特定の真円状の断面形状を有する炭素繊維としては、真円状に対応する単繊維の原子間力顕微によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下、より好ましくは1.0以上1.03以下であり、特定の繊維長として1mm以上100mm以下である炭素繊維を用いることが重要であり、さらに、該炭素繊維にコーティングする特定化合物からなるサイジング剤として、末端不飽和基と極性基を共に有する化合物を使用することが必須であることを究明したものである。
【0013】
かかるサイジング剤は、その極性基は炭素繊維表面の酸素含有極性基と相互作用を有し、末端不飽和基はビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂と反応することにより、炭素繊維と樹脂サイジング機能を発現するものである。かかる極性基としては、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート基およびスルホ基などから選ばれる1種類以上のものを使用することができる。また、末端不飽和基としては、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基などから選ばれる1種類以上のものを使用することができる。その際の極性基および末端不飽和基の濃度としては、炭素繊維と樹脂との接着力向上効果の上から、重量平均分子量当たり1×10−3 以上、より好ましくは1×10−2以上1×10−1以下であるのがよい。
【0014】
本発明の末端不飽和基と極性基を共に有する化合物としては、不飽和アルコールあるいは不飽和カルボン酸とイソシアネート化合物とを反応せしめた化合物などが使用され、たとえば具体的には不飽和ポリウレタン化合物などが使用される。かかる化合物の構造としては、炭素繊維と樹脂との間で立体障害となりにくいように、芳香族を有さない、脂肪族の化合物が好ましく使用される。また重量平均分子量としては、取り扱い性などから、200以上5000以下であるものが好ましく使用される。
【0015】
かかる炭素繊維の繊維長は1mm以上100mm以下が必須である。用途、樹脂および成形条件等によって、最適化することが好ましいが、代表的にはバルクモールディングコンパウンドには2mm以上15mm以下の繊維長のものが、シートモールディングコンパウンドには15mm以上50mm以下の繊維長のものが好ましく使用される。
【0016】
繊維と樹脂の接着性をより向上させるためには、繊維の表面にカルボキシル基などの酸素含有官能基を適正量含有させることが好ましい。すなわち、酸素含有官能基の量はX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cで定量化することが可能であり、該O/Cの指標で0.02以上0.20以下であることが好ましい。0.02未満では前記サイジング剤をコーティングしてもその効果を発現しにくい場合があり、一方0.20を超えると表面が酸化されすぎて構造が脆いものとなり、表層内部で凝集破壊を起こす場合がある。より好ましくは0.04〜0.15、さらに好ましくは0.06〜0.10が良い。
【0017】
本発明の炭素繊維としては、弾性率が高いほど、剛性を維持して材料厚みを薄くできるため好ましいが、高すぎると引張伸度が低下する場合があるので、樹脂含浸ストランド引張試験(JIS R−7601)による引張弾性率の範囲としては200〜400GPaの範囲であるものが好ましく、220〜300GPaであるものがより好ましい。また引張強度が高く引張伸度が高いことが好ましく、引張伸度で好ましくは1.7%以上、より好ましくは1.85%以上、特に好ましくは2.0%以上であり、かかる引張伸度には上限は特にないが、2.5%以下の範囲が現実的である。かかる引張伸度は高いほど、繊維がタフで扱いやすく、得られる成形体の機械的特性が高く発現するために好ましい。
【0018】
また硬化した成形板を窒素中450℃、30分間加熱して樹脂を焼き飛ばし、露出した炭素繊維束を観察した炭素繊維束の分割単位について、できるだけ小さい単位に分割して分散することが、均質な構造を得る上で好ましい。具体的には、炭素繊維束の分割単位が1000〜30000本であることが好ましく、1000〜15000本がより好ましく、1000〜6000本がさらに好ましい。
【0019】
炭素繊維がモールディングコンパウンド中で蛇行せず、真直であることが機械的特性を発現するために望ましい。かかる繊維の真直度としては、平均真直度で60%〜100%となるように制御することが好ましい。ここで真直度とは、シート状にしたモールディングコンパウンド表面で測定した繊維の両端間直線距離を、樹脂を焼き飛ばして繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した実繊維長で除した値を百分率で示した値である。すなわち、繊維がいかに屈曲しないで、真っ直ぐに分散しているかを示す指標である。なお、表面で測定した値と実繊維長とを比較するため、深さ方向への分散による外乱を受けるが、その影響は小さい。平均真直度とは30cm四方のモールディングコンパウンドをランダムに測定した20点以上の繊維の真直度の相加平均をいう。
【0020】
上記平均真直度とするためには、繊維束を硬くすることも有効である。繊維束を硬くするためには硬いサイジング剤を用いることが有効であり、硬さの指標としてJIS K−7215(タイプAデュロメーター)により測定される硬さが30以上であることが好ましい。より硬くするためには40以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。上限については硬すぎない程度として、100以下が好ましい。硬さを上記の範囲にするためには、サイジング剤の分子量および構造を適正化することが好ましい。また、該サイジング剤の付着量および乾燥度合いを最適化して炭素繊維束の硬さを調整し、平均真直度が上記範囲になるように適正化することが有効である。
【0021】
本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体は、次のようにして製造することができる。
【0022】
すなわち、単繊維の原子間力顕微によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされた炭素繊維を、繊維長が1mm以上100mm以下となるようにカットし、定法にしたがって、樹脂に混練してバルクモールディングコンパウンドを製造し、また樹脂上に散布してシートモールディングコンパウンドを製造することができる。
【0023】
繊維含有率としては機械的特性を発現するためには、重量含有率で5%以上とすることが好ましく、5〜60%の範囲がより好ましい。かかる繊維含有率としては、バルクモールディングコンパウンドの場合は、10〜40%が好ましく、シートモールディングコンパウンドの場合は、自動車外板などで求められる平滑性がクラスAである用途には10〜30%、構造材用途には20〜60%が好ましい。かかる繊維含有率が5%未満では機械的特性などの補強効果が小さく好ましくない。
【0024】
単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下の炭素繊維を製造するためには、炭素繊維の前駆体繊維を円形断面で平滑表面な繊維とすることが重要である。そのためにはポリアクリロニトリルを原料として用い、紡糸には湿式あるいは乾湿式紡糸を採用できるが、特に凝固開始時の張力を実質的に無張力に近い状態に下げるとともに、製糸工程での延伸倍率を好ましくは15倍以下、より好ましくは12倍以下、特に好ましくは10倍以下に抑えるのがよい。該前駆体繊維の焼成条件としては、従来公知の焼成技術を適用でき、目的とする強度および弾性率に合わせて、焼成条件を最適化することが好ましい。得られた炭素繊維の表面処理条件についても、従来公知の表面処理条件が適用できるが、表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下となるように適正化することが好ましい。表面処理後の炭素繊維は、次いで末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤をコーティングすることが必須である。かかるコーティング方法については、従来公知の方法を適用できる。かかるサイジング剤の付着量については、0.1重量%以上5重量%以下とすることが好ましく、0.3重量%以上3重量%以下とすることがより好ましい。
【0025】
得られた炭素繊維を用いて下記のような従来公知の方法で、モールディングコンパウンドおよびその成形体を得ることができる。
【0026】
モールディングコンパウンドの樹脂としては、ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂が使われる。バルクモールディングコンパウンド用途あるはシートモールディングコンパウンドのクラスA用途には不飽和ポリエステル樹脂が多く、より高い機械的特性が求められる構造材用途にはビニルエステル樹脂が多く使われる。
【0027】
かかる樹脂には炭酸カルシウムなどの増量剤など、通常の添加物が適用できる。モールディングコンパウンドの製造条件としては、基本的にはガラス繊維強化モールディングコンパウンドの製造条件を適用できる。
【0028】
成形体の成形条件についても、基本的にガラス繊維強化モールディングコンパウンドの成形条件を適用できる。前記炭素繊維の平均真直度を上記範囲にするためには、カバーファクター、すなわち成形体面積に対するモールディングコンパウンドの専有面積を20〜80%程度にすることが好ましい。前記クラスA用の成形体を得るためには20〜50%と低めに設定して、型内で流すことにより、平滑な表面を得ることが望ましいが、構造材を成形する場合には50〜80%と高めに設定して、流れによる糸の蛇行を抑制することが好ましい。すなわち、いずれの場合にも、モールディングコンパウンドを成形して得られる成形板においても平均真直度を60〜100%に設定することが好ましく、カバーファクターに対応して糸の硬さを設定することが好ましい。すなわち、流れを大きくする場合には、糸を硬くすることが好ましいが、流れが小さい場合には、かかる糸の硬さを低めに抑えることも可能である。
【0029】
このようにして得られた本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドは、炭素繊維の特性を十分に成形体に発現できることにより、従来不可能であった高性能な成形体を提供することを可能にしたものである。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例で用いた特性の測定方法は以下の通りである。
<炭素繊維の表面積比測定>
測定に供する炭素繊維を試料台に固定し、原子間力顕微鏡(DigitalInstruments社製 NanoScopeIII)を用い、下記条件にて3次元表面形状の像を得る。
・探針:Siカンチレバー一体型探針(オリンパス光学工業社製 OMCL−AC120TS)
・測定環境:20℃〜30℃の室温大気中
・観察モード:タッピングモード
・走査速度:0.3〜0.4Hz
・走査範囲:2.5μm×2.5μm
・ピクセル数:512×512
得られた像全体について、前記装置付属ソフトウエア(NanoScopeIIIバージョン4.22r2、1次Flattenフィルタ、Lowpassフィルタ、3次Plane Fitフィルタ使用)によりデータ処理し、実表面積と投影面積を算出する。なお、投影面積については、繊維断面積の曲率を考慮し近似した、ほぼ円筒形である糸形状の横断面に相当する2次曲面への投影面積を算出したものを用い、表面積比は以下の式で求めた。
【0031】
表面積比=実表面積/投影面積
同様の測定を2回行い、その平均値をその炭素繊維の表面積比とした。
【0032】
なお、投影面積として、繊維断面積の曲率を考慮し近似した2次曲面への投影面積を用いているため、厳密には完全な真円ではないが、上記視野での両端部の2次曲面の真円からのズレは無視できるものであり、表面積比1.0が真円に対応するという定義は妥当なものである。
<ストランド引張強度の測定>
束状の炭素繊維に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、得られた樹脂含浸ストランドを用いてJIS R−7601に基づいて引張試験を行った。
【0033】
(樹脂組成)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート(ERL−4221、ユニオンカーバイド社製)100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製) 3重量部
・アセトン(和光純薬工業(株)製) 4重量部
<炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)>
表面酸素濃度比O/Cは、次の手順に従ってX線光電子分光法により求めた。試料となる炭素繊維は、適当な長さにカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた。光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1,2を用い、試料チャンバー内を1×10−8Torrの真空度に保った。測定時の帯電に伴うピークの補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー値を284.6eVに合わせた。C1sピーク面積は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸素濃度O/Cは、上記C1sピーク面積に対するO1sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本実施例ではX線光電子分光測定装置として島津製作所(株)製ESCA−750を用い、かかる装置固有の感度補正値は2.85であった。
<成形板の曲げ強度>
得られた平板状成形品を切断し、長さ100±1mm、幅15±0.2mm、厚さ2±0.2mmの試験片を作製した。加圧くさびの曲率半径を5mmとし、支点の曲率半径を2mmとし、支点間距離は試験片厚さの40倍の80mm、試験速度5mm/分として、JIS K−7074に規定する試験方法に従って測定した。本実施例においては、試験機としてインストロン(登録商標)試験機4208型を用いた。
<炭素繊維束の分割単位>
炭素繊維束の分割単位は、硬化した成形板を窒素中450℃、30分間加熱して樹脂を焼き飛ばし、露出した炭素繊維束の分割単位を糸束太さなどを測定し、3000フィラメント、6000フィラメントなどのフィラメント数が既知の糸束太さと比較することにより、概算して求めた。
<炭素繊維の真直度>
シート状にしたモールディングコンパウンド表面で繊維の両端間直線距離を定規などを使って測定後、同モールディングコンパウンドを窒素中450℃、30分間加熱して樹脂を焼き飛ばし、繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した測定した実繊維長で除した値を百分率で示した値である。平均真直度とは30cm四方のモールディングコンパウンドをランダムに測定した20点以上の繊維の真直度の相加平均をいう。
【0034】
なお、モールディングコンパウンドを成形した成形板での真直度は、モールディングコンパウンドの場合と同様に、成形板表面で繊維の測定した両端間直線距離を、樹脂を焼き飛ばして繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した実繊維長で除した値を百分率で示した値である。平均真直度とは30cm四方の成形板をランダムに測定した20点以上の繊維の真直度の相加平均をいう。
【0035】
いずれの場合においても、シートモールディングコンパウンドなどでカット長が既知であり、モールディングコンパウンドあるいは成形プロセスの過程で繊維が細断されないことが明確な場合には、実繊維長としてカット長を使ってもよい。
<サイジング剤の硬さ>
サイジング剤の硬さの指標としてJIS−K7215(タイプAデュロメーター)により測定される硬さを求めた。サイジング剤溶液を純分として厚みが2mm程度になるようにアルミ製容器に注ぎ、105℃で3時間乾燥することにより、溶媒を除去する。さらに150℃で3時間熱処理して成形物を得る。作成した成形物をJIS−K7215に準じたタイプAデュロメーターを用いて、n=5の点について測定し、その相加平均をサイジング剤硬さとした。
【0036】
(実施例1)
ポリアクリロニトリルを原料として、乾湿式紡糸を用い、特に凝固開始時の張力を実質的に無張力に近い状態に下げ、製糸工程での延伸倍率を10倍として前駆体繊維を得た。該前駆体繊維を張力下1400℃で焼成し、強度5.3GPa、弾性率240GPa、比重1.79の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維を希硝酸中で電解酸化することにより、表面酸素濃度O/Cが0.12の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維を、樹脂成分が3重量%になるようにグリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート化合物(UA101H、共栄化学社製)、ポリオキシエチレン(70モル)スチレン化(5モル)クミルフェノール(重量比90:10)の乳化液を調整した浸漬浴中を通すことにより付与し、熱風循環型乾燥機にて230℃、300秒で乾燥して、サイジング剤1.5重量%付与させた炭素繊維束を得た。ここでサイジング剤の硬さ65であった。
【0037】
得られた炭素繊維は、単繊維直径7μm、フィラメント数は6000本であり、原子間力顕微鏡による表面積比は1.04であった。
【0038】
得られた炭素繊維は5mmに切断しながら、主剤樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である下記組成に、繊維含有率30重量%となるように加圧ニーダー中室温で混練して、バルクモールディングコンパウンドを得た。ここで繊維の平均真直度は80%であった。該バルクモールディングコンパウンドを加圧成形法により300mm四方、厚み2mmの成形板を得るための金型に圧入し、圧力10MPaで150℃、2分間硬化して成形板を得た。得られた成形板を幅15mm、長さ100mm、厚み2mmにカットし、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。なお、成形板での繊維分割単位はほぼ6000本であった。
・不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業(株)リゴラック157BQT−2)100部
・t−ブチルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ社製カヤブチルB) 3部
・ステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)SZ−2000) 6部
(実施例2)
主剤樹脂をビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)DERAKANE 411C4)に変えた以外は、実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0039】
(比較例1)
末端不飽和基を有さないサイジング剤として、樹脂成分が3重量%になるようにビスフェノールAジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ社製 エピコート828/エピコート1001=50/50(重量比))80部、ポリオキシエチレン(70モル)スチレン化(5モル)クミルフェノール20部の乳化液を調整して使用した以外は、実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0040】
(比較例2)
主剤樹脂をビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)DERAKANE 411C4)に変えた以外は、比較例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0041】
(比較例3)
炭素繊維のカット長を0.5mmに変えた以外は実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0042】
(比較例4)
前駆体繊維の紡糸時に、乾湿式紡糸において凝固開始時張力を上げ、かつ製糸工程での延伸倍率を16倍として前駆体繊維を得た以外は実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0043】
ここで、炭素繊維は強度4.4GPa、弾性率240GPa、比重1.79、単繊維直径7μm、フィラメント数は6000本であり、原子間力顕微鏡による表面積比は1.15であった。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、バルクモールディングコンパウンドにおいて、実施例1および実施例2に比して、末端不飽和基を有さないサイジング剤使用した比較例1および比較例2、および、繊維長が短い炭素繊維使用の比較例3、ならびに、断面形状が真円ではない炭素繊維使用の比較例4は、成形板の曲げ強度および弾性率が低いレベルにあることがわかる。
【0046】
(実施例3)
実施例1で得られた炭素繊維は25mmに切断しながら、繊維含有率40重量%となるようにシートモールディングコンパウンドシートを下記仕様で作成した。ここで繊維の平均真直度は82%であった。該シートモールディングコンパウンドを加圧成形法により、300mm四方、厚み2mmの成形板を得るための金型にカバーファクターを70%として圧入し、圧力10MPaで150℃、2分間硬化して成形板を得た。得られた成形板を幅15mm、長さ100mm、厚み2mmにカットし、曲げ特性を評価した。結果を表2に併せて示す。なお、成形板での繊維分割単位はほぼ6000本であった。成形板での繊維の平均真直度は73%であった。
・不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業)リゴラック157BQT−2 100部
・t−ブチルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ社製カヤブチルB) 3部
・ステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)SZ−2000) 6
(実施例4)
主剤樹脂をビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)DERAKANE 411C4)に変えた以外は、実施例3と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、シートモールディングコンパウンドの実施例3、4においても、実施例1,2と同様に優れた効果を奏することがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的特性に優れた炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびそれからなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車用外板、内装材および構造材料などにガラス繊維強化のバルクモールディングコンパウンドあるいはシートモールディングコンパウンドといったモールディングコンパウンドおよびその成形体が用いられているが、ガラス繊維の比重が2.5と大きいため、さらに軽量化を狙って比重が1.8前後と軽く、かつ弾性率もガラス繊維対比約3倍高く薄肉軽量化が可能な炭素繊維で強化したモールディングコンパウンドおよびその成形体が検討されている。マトリックス樹脂の主剤としては、コストパフォーマンスからビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂が重要である。
【0003】
炭素繊維を強化繊維とするモールディングコンパウンドおよびその成形体については、たとえば、特定の強度、弾性率を有する炭素繊維を強化繊維とする技術などが提案されている(特許文献1参照)。しかし、炭素繊維とビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂との接着性が不十分なために、得られる成形体の機械的特性はエポキシ樹脂の場合に比べて低く、炭素繊維の特長を充分に発現することができないという問題があった。
【0004】
炭素繊維とビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂との接着性の向上については、たとえば特定のサイジング剤組成物を使用することにより、長繊維において樹脂接着性が向上する技術が提案されている(特許文献2参照)。しかし、そのまま短繊維に適用しても、その成形体では良い機械的特性が得られないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−139831号公報
【0006】
【特許文献2】特開平11−93078号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術が有する問題点に鑑み、高い機械的特性を発現可能な炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドは、炭素繊維を強化繊維とし、かつ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂からなるモールディングコンパウンドにおいて、該炭素繊維が、単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下である断面形状が真円状であり、繊維長が1mm以上100mm以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされなるものであることを特徴とするものである。また、本発明の成形体は、かかる炭素繊維強化モールディングコンパウンドを加圧成形することによって得られることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり高い機械的特性を発現可能な炭素繊維強化モールディングコンパウンドについて、鋭意検討し、特定の表面積比を有する真円状の断面形状と特定の長さを有する炭素繊維に特定な化合物からなるサイジング剤をコーティングしてなる炭素繊維を使用してみたところ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂との接着性が著しく改善され、得られる成形体の機械的特性も、エポキシ樹脂の場合に比べて、大幅に向上し、炭素繊維の特長を充分に発現することができることを究明したものである。
【0010】
本発明において、モールディングコンパウンドとは、バルクモールディングコンパウンドあるいはシートモールディングコンパウンドを意味し、用途によってバルクまたはシートをコストおよび要求性能から使い分けることが望ましい。すなわち、より機械的特性が厳しく求められる場合にはシートモールディングコンパウンドが好ましい。
【0011】
本発明において、重要なことは、特定の表面積比を有する真円状の断面形状と、特定の長さの炭素繊維に、特定な化合物をコーティングした点にある。かかる断面形状が真円状で、モールディングコンパウンドに使用可能な特定繊維長の炭素繊維を用い、かつかかる化合物は、成形体の機械的特性を発現させるために使用され、つまり、繊維と樹脂をよく接着させる機能を有するものである。かかる機能を発揮されるためには、繊維の表面に樹脂とのカップリング効果を有する化合物からなるサイジング剤を表面にコーティングしておくことが重要である。しかも高い機械的特性発現のためには、モールディングコンパウンドおよびその成形体の内部において、炭素繊維が蛇行することなく、真直度を保って分散することが好ましく、このように炭素繊維の真直度を上げて、炭素繊維の屈曲を防ぐためには真円状の断面形状であることが好ましい。すなわちベータ型などの断面形状では、繊維が屈曲してしまい機械的特性が低下するのである。
【0012】
本発明は、特定の真円状の断面形状を有する炭素繊維としては、真円状に対応する単繊維の原子間力顕微によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下、より好ましくは1.0以上1.03以下であり、特定の繊維長として1mm以上100mm以下である炭素繊維を用いることが重要であり、さらに、該炭素繊維にコーティングする特定化合物からなるサイジング剤として、末端不飽和基と極性基を共に有する化合物を使用することが必須であることを究明したものである。
【0013】
かかるサイジング剤は、その極性基は炭素繊維表面の酸素含有極性基と相互作用を有し、末端不飽和基はビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂と反応することにより、炭素繊維と樹脂サイジング機能を発現するものである。かかる極性基としては、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート基およびスルホ基などから選ばれる1種類以上のものを使用することができる。また、末端不飽和基としては、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基などから選ばれる1種類以上のものを使用することができる。その際の極性基および末端不飽和基の濃度としては、炭素繊維と樹脂との接着力向上効果の上から、重量平均分子量当たり1×10−3 以上、より好ましくは1×10−2以上1×10−1以下であるのがよい。
【0014】
本発明の末端不飽和基と極性基を共に有する化合物としては、不飽和アルコールあるいは不飽和カルボン酸とイソシアネート化合物とを反応せしめた化合物などが使用され、たとえば具体的には不飽和ポリウレタン化合物などが使用される。かかる化合物の構造としては、炭素繊維と樹脂との間で立体障害となりにくいように、芳香族を有さない、脂肪族の化合物が好ましく使用される。また重量平均分子量としては、取り扱い性などから、200以上5000以下であるものが好ましく使用される。
【0015】
かかる炭素繊維の繊維長は1mm以上100mm以下が必須である。用途、樹脂および成形条件等によって、最適化することが好ましいが、代表的にはバルクモールディングコンパウンドには2mm以上15mm以下の繊維長のものが、シートモールディングコンパウンドには15mm以上50mm以下の繊維長のものが好ましく使用される。
【0016】
繊維と樹脂の接着性をより向上させるためには、繊維の表面にカルボキシル基などの酸素含有官能基を適正量含有させることが好ましい。すなわち、酸素含有官能基の量はX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cで定量化することが可能であり、該O/Cの指標で0.02以上0.20以下であることが好ましい。0.02未満では前記サイジング剤をコーティングしてもその効果を発現しにくい場合があり、一方0.20を超えると表面が酸化されすぎて構造が脆いものとなり、表層内部で凝集破壊を起こす場合がある。より好ましくは0.04〜0.15、さらに好ましくは0.06〜0.10が良い。
【0017】
本発明の炭素繊維としては、弾性率が高いほど、剛性を維持して材料厚みを薄くできるため好ましいが、高すぎると引張伸度が低下する場合があるので、樹脂含浸ストランド引張試験(JIS R−7601)による引張弾性率の範囲としては200〜400GPaの範囲であるものが好ましく、220〜300GPaであるものがより好ましい。また引張強度が高く引張伸度が高いことが好ましく、引張伸度で好ましくは1.7%以上、より好ましくは1.85%以上、特に好ましくは2.0%以上であり、かかる引張伸度には上限は特にないが、2.5%以下の範囲が現実的である。かかる引張伸度は高いほど、繊維がタフで扱いやすく、得られる成形体の機械的特性が高く発現するために好ましい。
【0018】
また硬化した成形板を窒素中450℃、30分間加熱して樹脂を焼き飛ばし、露出した炭素繊維束を観察した炭素繊維束の分割単位について、できるだけ小さい単位に分割して分散することが、均質な構造を得る上で好ましい。具体的には、炭素繊維束の分割単位が1000〜30000本であることが好ましく、1000〜15000本がより好ましく、1000〜6000本がさらに好ましい。
【0019】
炭素繊維がモールディングコンパウンド中で蛇行せず、真直であることが機械的特性を発現するために望ましい。かかる繊維の真直度としては、平均真直度で60%〜100%となるように制御することが好ましい。ここで真直度とは、シート状にしたモールディングコンパウンド表面で測定した繊維の両端間直線距離を、樹脂を焼き飛ばして繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した実繊維長で除した値を百分率で示した値である。すなわち、繊維がいかに屈曲しないで、真っ直ぐに分散しているかを示す指標である。なお、表面で測定した値と実繊維長とを比較するため、深さ方向への分散による外乱を受けるが、その影響は小さい。平均真直度とは30cm四方のモールディングコンパウンドをランダムに測定した20点以上の繊維の真直度の相加平均をいう。
【0020】
上記平均真直度とするためには、繊維束を硬くすることも有効である。繊維束を硬くするためには硬いサイジング剤を用いることが有効であり、硬さの指標としてJIS K−7215(タイプAデュロメーター)により測定される硬さが30以上であることが好ましい。より硬くするためには40以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。上限については硬すぎない程度として、100以下が好ましい。硬さを上記の範囲にするためには、サイジング剤の分子量および構造を適正化することが好ましい。また、該サイジング剤の付着量および乾燥度合いを最適化して炭素繊維束の硬さを調整し、平均真直度が上記範囲になるように適正化することが有効である。
【0021】
本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体は、次のようにして製造することができる。
【0022】
すなわち、単繊維の原子間力顕微によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされた炭素繊維を、繊維長が1mm以上100mm以下となるようにカットし、定法にしたがって、樹脂に混練してバルクモールディングコンパウンドを製造し、また樹脂上に散布してシートモールディングコンパウンドを製造することができる。
【0023】
繊維含有率としては機械的特性を発現するためには、重量含有率で5%以上とすることが好ましく、5〜60%の範囲がより好ましい。かかる繊維含有率としては、バルクモールディングコンパウンドの場合は、10〜40%が好ましく、シートモールディングコンパウンドの場合は、自動車外板などで求められる平滑性がクラスAである用途には10〜30%、構造材用途には20〜60%が好ましい。かかる繊維含有率が5%未満では機械的特性などの補強効果が小さく好ましくない。
【0024】
単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下の炭素繊維を製造するためには、炭素繊維の前駆体繊維を円形断面で平滑表面な繊維とすることが重要である。そのためにはポリアクリロニトリルを原料として用い、紡糸には湿式あるいは乾湿式紡糸を採用できるが、特に凝固開始時の張力を実質的に無張力に近い状態に下げるとともに、製糸工程での延伸倍率を好ましくは15倍以下、より好ましくは12倍以下、特に好ましくは10倍以下に抑えるのがよい。該前駆体繊維の焼成条件としては、従来公知の焼成技術を適用でき、目的とする強度および弾性率に合わせて、焼成条件を最適化することが好ましい。得られた炭素繊維の表面処理条件についても、従来公知の表面処理条件が適用できるが、表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下となるように適正化することが好ましい。表面処理後の炭素繊維は、次いで末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤をコーティングすることが必須である。かかるコーティング方法については、従来公知の方法を適用できる。かかるサイジング剤の付着量については、0.1重量%以上5重量%以下とすることが好ましく、0.3重量%以上3重量%以下とすることがより好ましい。
【0025】
得られた炭素繊維を用いて下記のような従来公知の方法で、モールディングコンパウンドおよびその成形体を得ることができる。
【0026】
モールディングコンパウンドの樹脂としては、ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂が使われる。バルクモールディングコンパウンド用途あるはシートモールディングコンパウンドのクラスA用途には不飽和ポリエステル樹脂が多く、より高い機械的特性が求められる構造材用途にはビニルエステル樹脂が多く使われる。
【0027】
かかる樹脂には炭酸カルシウムなどの増量剤など、通常の添加物が適用できる。モールディングコンパウンドの製造条件としては、基本的にはガラス繊維強化モールディングコンパウンドの製造条件を適用できる。
【0028】
成形体の成形条件についても、基本的にガラス繊維強化モールディングコンパウンドの成形条件を適用できる。前記炭素繊維の平均真直度を上記範囲にするためには、カバーファクター、すなわち成形体面積に対するモールディングコンパウンドの専有面積を20〜80%程度にすることが好ましい。前記クラスA用の成形体を得るためには20〜50%と低めに設定して、型内で流すことにより、平滑な表面を得ることが望ましいが、構造材を成形する場合には50〜80%と高めに設定して、流れによる糸の蛇行を抑制することが好ましい。すなわち、いずれの場合にも、モールディングコンパウンドを成形して得られる成形板においても平均真直度を60〜100%に設定することが好ましく、カバーファクターに対応して糸の硬さを設定することが好ましい。すなわち、流れを大きくする場合には、糸を硬くすることが好ましいが、流れが小さい場合には、かかる糸の硬さを低めに抑えることも可能である。
【0029】
このようにして得られた本発明の炭素繊維強化モールディングコンパウンドは、炭素繊維の特性を十分に成形体に発現できることにより、従来不可能であった高性能な成形体を提供することを可能にしたものである。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例で用いた特性の測定方法は以下の通りである。
<炭素繊維の表面積比測定>
測定に供する炭素繊維を試料台に固定し、原子間力顕微鏡(DigitalInstruments社製 NanoScopeIII)を用い、下記条件にて3次元表面形状の像を得る。
・探針:Siカンチレバー一体型探針(オリンパス光学工業社製 OMCL−AC120TS)
・測定環境:20℃〜30℃の室温大気中
・観察モード:タッピングモード
・走査速度:0.3〜0.4Hz
・走査範囲:2.5μm×2.5μm
・ピクセル数:512×512
得られた像全体について、前記装置付属ソフトウエア(NanoScopeIIIバージョン4.22r2、1次Flattenフィルタ、Lowpassフィルタ、3次Plane Fitフィルタ使用)によりデータ処理し、実表面積と投影面積を算出する。なお、投影面積については、繊維断面積の曲率を考慮し近似した、ほぼ円筒形である糸形状の横断面に相当する2次曲面への投影面積を算出したものを用い、表面積比は以下の式で求めた。
【0031】
表面積比=実表面積/投影面積
同様の測定を2回行い、その平均値をその炭素繊維の表面積比とした。
【0032】
なお、投影面積として、繊維断面積の曲率を考慮し近似した2次曲面への投影面積を用いているため、厳密には完全な真円ではないが、上記視野での両端部の2次曲面の真円からのズレは無視できるものであり、表面積比1.0が真円に対応するという定義は妥当なものである。
<ストランド引張強度の測定>
束状の炭素繊維に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃で35分間硬化させた後、得られた樹脂含浸ストランドを用いてJIS R−7601に基づいて引張試験を行った。
【0033】
(樹脂組成)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート(ERL−4221、ユニオンカーバイド社製)100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製) 3重量部
・アセトン(和光純薬工業(株)製) 4重量部
<炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)>
表面酸素濃度比O/Cは、次の手順に従ってX線光電子分光法により求めた。試料となる炭素繊維は、適当な長さにカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた。光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1,2を用い、試料チャンバー内を1×10−8Torrの真空度に保った。測定時の帯電に伴うピークの補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー値を284.6eVに合わせた。C1sピーク面積は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸素濃度O/Cは、上記C1sピーク面積に対するO1sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。なお、本実施例ではX線光電子分光測定装置として島津製作所(株)製ESCA−750を用い、かかる装置固有の感度補正値は2.85であった。
<成形板の曲げ強度>
得られた平板状成形品を切断し、長さ100±1mm、幅15±0.2mm、厚さ2±0.2mmの試験片を作製した。加圧くさびの曲率半径を5mmとし、支点の曲率半径を2mmとし、支点間距離は試験片厚さの40倍の80mm、試験速度5mm/分として、JIS K−7074に規定する試験方法に従って測定した。本実施例においては、試験機としてインストロン(登録商標)試験機4208型を用いた。
<炭素繊維束の分割単位>
炭素繊維束の分割単位は、硬化した成形板を窒素中450℃、30分間加熱して樹脂を焼き飛ばし、露出した炭素繊維束の分割単位を糸束太さなどを測定し、3000フィラメント、6000フィラメントなどのフィラメント数が既知の糸束太さと比較することにより、概算して求めた。
<炭素繊維の真直度>
シート状にしたモールディングコンパウンド表面で繊維の両端間直線距離を定規などを使って測定後、同モールディングコンパウンドを窒素中450℃、30分間加熱して樹脂を焼き飛ばし、繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した測定した実繊維長で除した値を百分率で示した値である。平均真直度とは30cm四方のモールディングコンパウンドをランダムに測定した20点以上の繊維の真直度の相加平均をいう。
【0034】
なお、モールディングコンパウンドを成形した成形板での真直度は、モールディングコンパウンドの場合と同様に、成形板表面で繊維の測定した両端間直線距離を、樹脂を焼き飛ばして繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した実繊維長で除した値を百分率で示した値である。平均真直度とは30cm四方の成形板をランダムに測定した20点以上の繊維の真直度の相加平均をいう。
【0035】
いずれの場合においても、シートモールディングコンパウンドなどでカット長が既知であり、モールディングコンパウンドあるいは成形プロセスの過程で繊維が細断されないことが明確な場合には、実繊維長としてカット長を使ってもよい。
<サイジング剤の硬さ>
サイジング剤の硬さの指標としてJIS−K7215(タイプAデュロメーター)により測定される硬さを求めた。サイジング剤溶液を純分として厚みが2mm程度になるようにアルミ製容器に注ぎ、105℃で3時間乾燥することにより、溶媒を除去する。さらに150℃で3時間熱処理して成形物を得る。作成した成形物をJIS−K7215に準じたタイプAデュロメーターを用いて、n=5の点について測定し、その相加平均をサイジング剤硬さとした。
【0036】
(実施例1)
ポリアクリロニトリルを原料として、乾湿式紡糸を用い、特に凝固開始時の張力を実質的に無張力に近い状態に下げ、製糸工程での延伸倍率を10倍として前駆体繊維を得た。該前駆体繊維を張力下1400℃で焼成し、強度5.3GPa、弾性率240GPa、比重1.79の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維を希硝酸中で電解酸化することにより、表面酸素濃度O/Cが0.12の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維を、樹脂成分が3重量%になるようにグリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート化合物(UA101H、共栄化学社製)、ポリオキシエチレン(70モル)スチレン化(5モル)クミルフェノール(重量比90:10)の乳化液を調整した浸漬浴中を通すことにより付与し、熱風循環型乾燥機にて230℃、300秒で乾燥して、サイジング剤1.5重量%付与させた炭素繊維束を得た。ここでサイジング剤の硬さ65であった。
【0037】
得られた炭素繊維は、単繊維直径7μm、フィラメント数は6000本であり、原子間力顕微鏡による表面積比は1.04であった。
【0038】
得られた炭素繊維は5mmに切断しながら、主剤樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である下記組成に、繊維含有率30重量%となるように加圧ニーダー中室温で混練して、バルクモールディングコンパウンドを得た。ここで繊維の平均真直度は80%であった。該バルクモールディングコンパウンドを加圧成形法により300mm四方、厚み2mmの成形板を得るための金型に圧入し、圧力10MPaで150℃、2分間硬化して成形板を得た。得られた成形板を幅15mm、長さ100mm、厚み2mmにカットし、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。なお、成形板での繊維分割単位はほぼ6000本であった。
・不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業(株)リゴラック157BQT−2)100部
・t−ブチルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ社製カヤブチルB) 3部
・ステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)SZ−2000) 6部
(実施例2)
主剤樹脂をビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)DERAKANE 411C4)に変えた以外は、実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0039】
(比較例1)
末端不飽和基を有さないサイジング剤として、樹脂成分が3重量%になるようにビスフェノールAジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ社製 エピコート828/エピコート1001=50/50(重量比))80部、ポリオキシエチレン(70モル)スチレン化(5モル)クミルフェノール20部の乳化液を調整して使用した以外は、実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0040】
(比較例2)
主剤樹脂をビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)DERAKANE 411C4)に変えた以外は、比較例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0041】
(比較例3)
炭素繊維のカット長を0.5mmに変えた以外は実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0042】
(比較例4)
前駆体繊維の紡糸時に、乾湿式紡糸において凝固開始時張力を上げ、かつ製糸工程での延伸倍率を16倍として前駆体繊維を得た以外は実施例1と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0043】
ここで、炭素繊維は強度4.4GPa、弾性率240GPa、比重1.79、単繊維直径7μm、フィラメント数は6000本であり、原子間力顕微鏡による表面積比は1.15であった。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、バルクモールディングコンパウンドにおいて、実施例1および実施例2に比して、末端不飽和基を有さないサイジング剤使用した比較例1および比較例2、および、繊維長が短い炭素繊維使用の比較例3、ならびに、断面形状が真円ではない炭素繊維使用の比較例4は、成形板の曲げ強度および弾性率が低いレベルにあることがわかる。
【0046】
(実施例3)
実施例1で得られた炭素繊維は25mmに切断しながら、繊維含有率40重量%となるようにシートモールディングコンパウンドシートを下記仕様で作成した。ここで繊維の平均真直度は82%であった。該シートモールディングコンパウンドを加圧成形法により、300mm四方、厚み2mmの成形板を得るための金型にカバーファクターを70%として圧入し、圧力10MPaで150℃、2分間硬化して成形板を得た。得られた成形板を幅15mm、長さ100mm、厚み2mmにカットし、曲げ特性を評価した。結果を表2に併せて示す。なお、成形板での繊維分割単位はほぼ6000本であった。成形板での繊維の平均真直度は73%であった。
・不飽和ポリエステル樹脂(武田薬品工業)リゴラック157BQT−2 100部
・t−ブチルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ社製カヤブチルB) 3部
・ステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)SZ−2000) 6
(実施例4)
主剤樹脂をビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)DERAKANE 411C4)に変えた以外は、実施例3と同じ条件で成形板を測定し、曲げ特性を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、シートモールディングコンパウンドの実施例3、4においても、実施例1,2と同様に優れた効果を奏することがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的特性に優れた炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびその成形体が得られる。
Claims (10)
- 炭素繊維を強化繊維とし、かつ、ビニルエステル樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂からなるモールディングコンパウンドにおいて、該炭素繊維が、単繊維の原子間力顕微鏡によって測定される表面積比が1.0以上1.1以下である断面形状が真円状であり、繊維長が1mm以上100mm以下であり、かつ末端不飽和基と極性基を共に有する化合物からなるサイジング剤が表面にコーティングされてなるものであることを特徴とする炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該極性基が、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート基およびスルホ基から選ばれる少なくとも1種であり、該末端不飽和基が、ビニル基、アクリレート基およびメタクリレート基から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該極性基および該末端不飽和基の濃度が、いずれも分子量当たり1×10−3以上である請求項1または2に記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該末端不飽和基と極性基を共に有する化合物が、脂肪族の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該末端不飽和基と極性基を共に有する化合物が、200以上5000以下の重量平均分子量を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該炭素繊維が、X線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下の範囲のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該炭素繊維が、樹脂含浸ストランド引張試験による引張弾性率が200GPa以上、引張伸度が1.7%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 該炭素繊維が、該モールディングコンパウンド中に5〜60重量%含有されている請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- モールディングコンパウンド表面で測定した繊維の両端間直線距離を、樹脂を焼き飛ばして繊維のみを真っ直ぐに伸ばして測定した実繊維長で除して求められる該炭素繊維の平均真直度が60〜100%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンド。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の炭素繊維強化モールディングコンパウンドを加圧成形することによって得られることを特徴とする成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003094292A JP2004300267A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 炭素繊維強化モールディングコンパウンドおよびそれからなる成形体 |
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