JP2004299423A - バルブ、舵、船舶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船体1の船尾部に設けられたプロペラ3の後方に、舵軸11を介して舵9が設けられている。プロペラ3は回転軸芯線Cを中心に回転駆動される様に設けられ、プロペラ3の回転中心部を構成するプロペラボス5の先端(舵9と対向する側)には、プロペラキャップ7が取り付けられている。舵9においてプロペラ3と対向し且つプロペラ3の回転軸芯線Cと交差する位置にはバルブ13が設けられ、該バルブ13は、プロペラ3の回転軸芯線方向視における形状が、プロペラ3の回転軸芯より上側領域の面積に対し、下側領域の面積が大なる様に形成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶の推進効率向上の為に舵においてプロペラと対向する位置に設けられるバルブ及び該バルブを備えた舵並びに該舵を備えた船舶に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶におけるプロペラ及び舵まわりにおいては、船舶の推進効率向上の為、種々の工夫がなされる。その一つとしてバルブがあり、バルブは、舵においてプロペラと対向する位置に設けられることにより、プロペラへの後流を外側に排除して、プロペラへ流れ込む後流の流入速度を遅くして船舶の推進効率を向上させる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−11990号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、バルブはプロペラへ流れ込む後流の流入速度を遅くして推進効率を向上させる一方で、他方、それ自体が抗力を発生させ、推進効率を低下させる一因となるため、そのバランスを如何にとるかが重要な課題となる。
【0005】
従来のバルブは、プロペラの回転軸芯線方向視において、回転軸芯を中心にして上下対称の形状(所謂回転体形状)をなす様に形成されていたが、必ずしも、上述したバランスの観点からは理想的な形状とは言えなかった。
【0006】
そこで本発明は、プロペラへ流れ込む後流の流入速度を遅くするバルブのメリットと、それ自体が抗力を発生させるデメリットとの観点から、より一層バランスの優れたバルブ形状を形成することによって、より一層推進効率を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、船舶の舵においてプロペラと対向する位置であって前記プロペラの回転軸芯線の延長線上に設けられるバルブであって、前記回転軸芯線方向視における形状が、前記プロペラの回転軸芯と交差する水平線より上側領域の面積に対し、下側領域の面積が大なる様に形成されていることを特徴とする。
【0008】
プロペラ後流(プロペラ作動時)の伴流分布においてバルブが設けられる範囲には、プロペラ回転軸芯から上側部分に流れの速い領域が存在する為、当該領域が、バルブによる抗力発生が著しい領域、即ち推進効率を低下させ易い領域となっている。一方、プロペラに流入する船体伴流の伴流分布においては、プロペラ回転軸芯から下側において、流れの速い領域が存在することから、バルブによって当該領域のプロペラ流入速度を遅くして、プロペラによる伴流利得を効果的に向上させることができる状態となっている。従って、上記第1の態様においては、この様な流れの分布に鑑みて、バルブ形状を、プロペラ回転軸線方向視において、プロペラ回転軸芯より上側の領域を小さくし、プロペラ回転軸芯より下側領域を大きくした。これにより、バルブによる抗力が減少するとともに、プロペラへ流れ込む後流を効果的にプロペラ回転面の外側に排除して、推進効率を向上させることが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記下側領域が真円弧によって形成され、前記上側領域が楕円弧によって形成されていることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、前記下側領域が真円弧によって形成され、前記上側領域が楕円弧によって形成されたことにより、バルブのプロペラ軸芯線方向視におけるプロペラ回転軸芯から下側領域の面積が上側領域の面積より大きくなり、これにより、上述した第1の態様の作用効果を得ることができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様において、前記下側領域が真円弧によって形成され、前記下側領域が、前記真円弧の2つの端点に接続する2つの直線と、該2つの直線の端点に接続する真円弧とによって形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記第3の態様によれば、前記下側領域が真円弧によって形成され、前記下側領域が、前記真円弧の2つの端点に接続する2つの直線と、該2つの直線の端点に接続する真円弧とによって形成されているので、これによってバルブのプロペラ軸芯線方向視におけるプロペラ回転軸芯から下側領域の面積が上側領域の面積より大きくなり、以て上述した第1の態様の作用効果を得ることができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、船舶に設けられる舵であって、上記第1から第3の態様のいずれかに記載された前記バルブをプロペラと対向する位置に備えていることを特徴とする。当該第4の態様によれば、上記第1から第3の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様の舵を備えたことを特徴とする船舶である。当該第5の態様によっても、上記第1から第3のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、前記バルブと対向する位置に設けられるプロペラキャップが、前記バルブに向かって順次径が大となる様に形成されていることを特徴とする。
上記第6の態様によれば、前記バルブと対向する位置に設けられるプロペラキャップが、前記バルブに向かって順次径が大となる様に形成されていることから、この様な形状によって、プロペラの後方中央部に発生する乱れた流れや渦を拡散・整流することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
先ず、図1乃至図9を参照しながら本発明に係るバルブの実施形態について説明する。ここで、図1は船尾側面図、図2はプロペラ後流(プロペラ作動時)の伴流分布図、図3はプロペラ後流(プロペラ作動時)の伴流係数の周方向分布図、図4はプロペラに流入する船体伴流の、プロペラ位置における伴流係数の周方向分布図、図5はバルブ13の正面図、図6(A)はバルブ13の平面図、図6(B)はバルブ13の側面図(右舷側から視た図)、図7はバルブ14の正面図、図8(A)はバルブ14の平面図、図8(B)はバルブ14の側面図(右舷側から視た図)、図9は本発明と従来例の自航要素の差を示す図である。
【0016】
図1において、船体1の船尾部に設けられたプロペラ3の後方に、舵軸11を介して舵9が設けられている。プロペラ3は回転軸芯線Cを中心に回転駆動される様に設けられ、プロペラ3の回転中心部を構成するプロペラボス5の先端(舵9と対向する側)には、プロペラキャップ7が取り付けられている。また、舵9においてプロペラ3と対向し且つプロペラ3の回転軸芯線Cと交差する位置にはバルブ13が設けられている。バルブ13は、プロペラへ流れ込む後流をいわば堰止めることによってプロペラ3の回転面内に伴流係数の大きい流域を形成し、以てプロペラ3における伴流利得を向上させる為のものである。尚、符号APで示す線は舵9の回動軸芯線を示すものである。
【0017】
プロペラキャップ7は、バルブ13に向かって順次径が大となる様な形状(本実施形態では円錐体形状)に形成され、これによって推進効率を向上させる様に構成されている。即ち、プロペラボス5の後方においては船体1が航行する際に所謂ハブ渦が発生し、流れを乱すが、プロペラキャップ7を上述した様な円錐体形状とすることにより、プロペラボス5の後方においては上記ハブ渦をバルブ13の外側に拡散させ、もって上記ハブ渦による流れの乱れを整流することが可能となる。
【0018】
次に、プロペラ3の後流について図2乃至図4を参照しつつ説明する。図2において、符号Vはプロペラ3の回転軸芯と交差する垂直線、符号Hは同じくプロペラ3の回転軸芯と交差する水平線、符号PDはプロペラ回転面を示している。図示する様に、プロペラ後流の伴流分布は、プロペラ回転面PD内におけるバルブが設けられる範囲(おおよそ符号PCで示す円の範囲)においては水平線Hより下側の領域、より具体的には水平線Hより下側の領域であってプロペラ3の回転軸芯に近接する部分の流れが遅く(伴流係数が大きい)、水平線Hより上側の領域が流れが速い(伴流係数が小さい)状態となっている。
図3は、この状態を伴流係数の周方向分布で示したものである。図3においては、0°、180°が垂直線Vに対応し、90°、270°が水平線Hに対応する。図示する様に、水平線Hより上側(270°〜90°)の範囲が、下側(90°〜270°)の範囲に比して伴流係数が小さくなっている(流れが速くなっている)。
【0019】
一方、プロペラ3に流入する船体伴流の伴流係数周方向分布を示す図4においては、0°、180°が垂直線V、90°が水平線Hを表している。図4においては、水平線Hより下側の領域において伴流係数の小さい(流れの速い)領域が存在する。つまり、バルブ13を配設することで、プロペラ3へ流入する船体伴流の流入速度を遅くすることができ、もって効果的に、プロペラ3における伴流利得を向上できることが判る。
【0020】
以上により、バルブ13においては、図2及び図3より、水平線Hから上側の領域がバルブ13の形状による抗力の発生に大きく寄与し、プロペラ3へ流れ込む後流の堰止め効果を発揮して伴流利得を向上させる効果よりも、前記抗力発生による推進効率低下の影響が著しくなり易いことが判る。一方、図4より、水平線Hから下側の領域が、バルブ13がプロペラ後流の堰止め効果を発揮した場合に、効果的にプロペラ3における伴流利得を向上させることができることが判る。
【0021】
そこで本実施形態においては、バルブ13のプロペラ軸芯線方向視における形状を、図5に示す様に水平線Hに対して上下非対称とし、水平線Hより上側領域の面積に対し、下側領域の面積が大なる様に形成した(水平線Hより下側領域の面積に対し、上側領域の面積が小なる様に形成した)。つまり、バルブ13の形状による抗力の発生に大きく寄与する上側領域の面積は小さく、プロペラ後流の堰止め効果を効果的に得ることができる下側領域の面積は大きくとったことで、推進効率を効果的に向上させることができる。
【0022】
バルブ13の形状は、具体例として図5に示す様に、水平線Hから下側領域が真円弧13bにより、上側領域が該真円弧の端点に接続する楕円弧13aによって形成することができる。また、図6(A)、(B)に示す様に流れの剥離を防止する観点から、平面視及び側面視において流線形の形状に形成することが好ましい。また、他の実施例として、図7に示すような正面形状とすることもできる。図7及び図8は他の実施例に係るバルブ14を示すものであり、バルブ14は、正面視において下側領域が真円弧14cによって形成され、上側領域が、該真円弧に接続する直線14b、14bと、該直線14b、14bに接続する円弧14aによって形成されている。
【0023】
尚、以上説明したバルブの形状は一例であり、プロペラ3の回転軸芯から下側領域の面積が上側領域の面積より大なる形状(上側領域の面積が下側領域の面積より小なる形状)であれば、どの様な形状であっても構わない。
【0024】
図9はバルブ無しの場合と、従来技術に係るバルブ(プロペラ3の回転軸芯線方向視において上下対称の真円形状(所謂回転体形状))と、本実施形態に係るバルブ13及び14と、の自航要素を示す図である。図において「非対称バルブA」はバルブ13を、「非対称バルブB」はバルブ14を示し、ηRはプロペラ効率比、1−tは推進減少係数tに基づく1−t、1−wSは模型船の伴流係数に基づいて推定した実船の伴流係数wSに基づく1−wS、△ηはバルブ無しを基準とした場合の推進効率ηP(=((1−wS)/(1−t))×ηR×ηO:ηOはプロペラ単独効率)の向上率を示している。図示する様に、非対称バルブA、Bはともに従来技術に係るバルブに比して1−wが減少し、これによって推進効率ηPが大きく向上していることが判る。
【0025】
続いて、図10乃至図16を参照しながら、舵9に取り付けるフィンについて説明する。ここで、図10はプロペラ作動時(右回り)の舵周辺(舵断面)におけるプロペラ軸芯に垂直な面での流速分布図、図11(A)、(B)は舵の斜視図、図12は船尾部の側面図、図13はフィンを左舷のみ、右舷のみ、左舷と右舷の双方に設けた場合の自航要素を示す図、図14は右舷フィンのスパンと自航要素との関係を示す図、図15は船尾部の正面図、図16はフィンの断面形状(翼型)を示す図である。
【0026】
舵9にフィンを取り付けることで、プロペラ後流によって揚力と抗力を発生させ、該揚力と抗力の合力における推進方向成分により、プロペラ3の回転流を回収して推進効率ηPを向上させることができる。以下、当該フィンの具体的な実施形態について説明する。
【0027】
先ず、図10は、舵9の断面におけるプロペラ後流の流れ方向を示すベクトル図(船体後方から前方を視た図)である。プロペラ3は船体後方から視て右回転する為、プロペラ3のみによって発生する後流は、舵9の左舷側では上向きの流れとなり、右舷側では下向きの流れとなる。しかし、プロペラ3には、船体1から舵9の左舷側で図2の時計回り方向、右舷側で反時計回り方向の渦、つまり、船体1の推進によって船体1から発生する渦であり、プロペラ3のプロペラ回転面PDにおいては、プロペラ3の回転軸芯の左右においてプロペラ回転面PDの外周部で上方に向かうとともに前記プロペラの回転軸芯に向けて下方に流れこむ渦(所謂ビルジ渦)、が流れ込んでくる(図11参照)。従ってこれらの相殺効果と相乗効果とにより、図10に示す様に左舷側においては、舵側面近傍に遅いランダムな流場(緩流)が発生し、プロペラ回転面PDにおける外周部では、急な上向きの流場が発生する。また、右舷側においては、舵側面近傍に急な下向きの流場(急流)が発生する。
【0028】
以上により、舵9にフィンを取り付ける場合には、左舷側に取り付けるフィンは上述した急な上向きの流場に届く様に、プロペラ回転面PDの外周部まで充分に延設する必要がある。しかしこの場合、フィンは、舵9の左側面近傍における遅いランダムな流場を通る必要がある。
【0029】
ここで、舵9の左側面近傍における遅いランダムな流場においては、フィンは充分な揚力を発揮することができず、抗力が支配的となり、むしろ推進効率(以下符号ηPで表す)を低下させる要因となり易い。また、推進効率ηPを向上させることができるフィン取付位置或いは取付角度等の、フィン取付条件の許容範囲が極めて狭く、調整作業が極めて困難となり易い。そして殆どの場合、船の全ての航行条件において最適なフィン取付条件が結果として得ることができず、フィンを取り付けたことによって、逆に推進効率ηPを低下させてしまうことになる。
【0030】
そこで、上述した舵9における左舷側の側面近傍に生じる遅いランダムな流場を確実に避けるべく、フィンを舵9の右舷側のみに設けることで、推進効率ηPの低下要因を確実に排除して、推進効率ηPを効率的に向上させることが可能となる。
【0031】
図13は、フィンを左舷のみ、右舷のみ、左舷と右舷の双方に設けた場合のそれぞれの自航要素を比較する図である(フィンスパンは右舷及び左舷双方ともにそれぞれプロペラ直径Dpの35%)。図示する様に、両舷にフィンを設けた場合の推進効率ηPに比して右舷のみにフィンを設けた場合の推進効率ηPが向上していることが判る(特に、1−tが顕著に向上)。つまり、左舷フィンが推進効率ηPを低下させる要因となっていることが判る。
【0032】
次に、図14は、右舷フィンのスパン(プロペラ直径Dpに対する割合)を0%(フィン無し)から20%、28%、35%と変化させた場合の自航要素の変化を示すものであり、図示する様に、フィンのスパンを大きくするに従って、35%までは、推進効率ηPがフィンのスパンに比例して向上することが判る(特に、1−tが顕著に向上)。
【0033】
一方、フィンがプロペラ回転面から外側に張り出すと、プロペラ回転流の存在しない範囲にまでフィンが存在することとなり、抗力が支配的となって推進効率ηPが低下することが考えられるとともに、プロペラ後流はプロペラによって加速される為に縮流され、プロペラ回転流が存在する範囲は、実際にはプロペラ回転面よりも狭い範囲となる。
以上により、右舷フィンのスパンをプロペラ直径の少なくとも20%乃至45%程度とすることにより、右舷フィンの機能を効果的に発揮することが可能となる。
【0034】
次に、図11及び図12は右舷フィンの一実施例を示すものであり、図11及び図12に示す舵9のいずれにおいても、左舷側にフィンは設けられておらず、右舷側の側面9aにのみフィン15aが設けられている。図11(A)は、側面9aに直接フィン15aを取り付けた実施例を示すものであり、図11(B)及び図12は、バルブ12にフィン15aを取り付けた実施例を示すものである。
【0035】
また、バルブ12は、図5乃至図8を参照しながら説明したバルブ13、14と同様に、プロペラ回転軸芯線方向視における形状を、プロペラ回転軸芯に対して上下非対称とし、プロペラ回転軸芯より上側領域の面積に対し、下側領域の面積が大なる様に形成することで、上述した様により一層推進効率ηPを向上させることができる。しかし、上下対称のバルブ形状(所謂回転体形状)であっても、上述した右舷側のみのフィン15aの作用効果を得ることができる。
【0036】
加えて、以下の様な作用効果を得ることもできる。図15(A)は舵9の左右両舷にフィンを取り付けた状態を示す図(符号15bは左舷側フィン)であり、図15(B)は右舷のみにフィン15aを取り付けた状態を示す図である。左右両舷にフィンを取り付けた場合には、それぞれのフィンには図の矢印で示す方向の揚力が発生する。ここで、それぞれの揚力は、舵9の舵軸11或いは舵9本体に図の時計方向回りの回転モーメントを付与することとなり、舵軸11或いは舵9の強度設計にこれを考慮する必要が生じる。しかし、右舷のみにフィン15aを取り付けたことにより、上記回転モーメントを低減させることができ、これにより、舵軸11或いは舵9の設計に考慮する強度を低く設定することができ、設計の自由度が向上するとともに、構造の簡素化等によって舵軸11或いは舵9の低コスト化を図ることが可能となる。
【0037】
次に、本実施形態におけるフィン15aの翼型について詳説する。図12に示す様に、フィン15aを翼型の形状によって形成することができ、この場合右舷側のフィン15aは、キャンバーラインが下に凸となる様に設けられる(左舷側に設ける場合は上に凸となる様に設ける)。図15は説明の便宜上、キャンバーラインが上に凸となる様にフィン15aの翼型を示した図であり、符号CBはキャンバーラインを示している。図15において、本実施形態においては翼断面形状における最大厚dが翼舷長a+bの5%乃至25%となる様に設定されている。従って確実に揚力を得るべく一定のキャンバーを得ながら、抗力の増大を一定に抑えることができる。また、最大厚dの位置Qが翼前縁から翼弦長の45%乃至50%の任意の位置(符号eで示す距離)に設定されている。従って翼厚の分布が前後で均等となり、翼強度の低下を防止することができる。
【0038】
更に、凸側とは反対側(翼底面)において、翼後縁と、該翼後縁から翼弦長の45%乃至55%における任意の位置Pとの間(符号bで示す区間)が直線(平坦面)となる様に形成されている(直線G)。従って、フィンの工作性に優れ、フィンの低コスト化を図ることができる。加えて、前記直線の終端位置から翼前縁にかけて(符号aで示す区間)が、前記直線の延長線に対して翼厚増加方向側に位置する曲線(曲線F)であり、更に該曲線と、前記直線の延長線との間の最大距離(符号cで示す距離)が、翼弦長a+bの5%未満となる様に形成されている。従って、翼効果が有効に得られる翼前半部でキャンバーを充分に得ることができる。
【0039】
尚、この様な翼型の形状は、舵9の右舷側にのみフィンを取り付ける実施例に限られず、舵9の両舷にフィンを取り付ける実施例においても、上記作用効果を得ることができることは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、バルブが設けられる範囲(プロペラキャップ面内)における流れの分布と、プロペラ回転面内全体における流れの分布とに鑑みて、バルブ形状を、プロペラ回転軸線方向視において、プロペラ回転軸芯より上側の領域を小さくし、プロペラ回転軸芯より下側領域を大きくしたので、これにより、バルブによる抗力が減少するとともに、プロペラへ流れ込む後流を効果的にプロペラ回転面の外側に排除して、推進効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る船舶の船尾側面図である。
【図2】プロペラ後流(プロペラ作動時)の伴流分布図である。
【図3】プロペラ後流(プロペラ作動時)の伴流係数の周方向分布図である。
【図4】プロペラに流入する船体伴流の、プロペラ位置における伴流係数の周方向分布図である。
【図5】本発明に係るバルブの正面図である。
【図6】(A)は本発明に係るバルブの平面図、(B)は同側面図である。
【図7】本発明に係るバルブの正面図である。
【図8】(A)は本発明に係るバルブの平面図、(B)は同側面図である。
【図9】本発明に係るバルブと従来例に係るバルブとの自航要素の差を示す図である。
【図10】プロペラ作動時(右回り)の舵周辺(舵断面)におけるプロペラ軸芯に垂直な面での流速分布図である。
【図11】(A)は舵の外観斜視図、(B)は他の実施形態に係る舵の外観斜視図である。
【図12】船尾部の側面図である。
【図13】フィンを左舷のみ、右舷のみ、両舷に設けた場合のそれぞれの自航要素を示す図である。
【図14】右舷フィンのスパンと自航要素との関係を示す図である。
【図15】船尾部の正面図である。
【図16】フィンの断面形状(翼断面)を示す図である。
【符号の説明】
1 船体
3 プロペラ
5 プロペラボス
7 プロペラ
7a プロペラキャップ
9 舵
11 舵軸
13、14 バルブ
15a フィン(右舷側)
Claims (6)
- 船舶の舵においてプロペラと対向する位置であって前記プロペラの回転軸芯線の延長線上に設けられるバルブであって、
前記回転軸芯線方向視における形状が、前記プロペラの回転軸芯と交差する水平線より上側領域の面積に対し、下側領域の面積が大なる様に形成されている、ことを特徴とするバルブ。 - 請求項1において、前記下側領域が真円弧によって形成され、
前記上側領域が楕円弧によって形成されている、ことを特徴とするバルブ。 - 請求項1において、前記下側領域が真円弧によって形成され、
前記下側領域が、前記真円弧の2つの端点に接続する2つの直線と、該2つの直線の端点に接続する真円弧とによって形成されている、ことを特徴とするバルブ。 - 船舶に設けられる舵であって、請求項1から3のいずれか1項に記載した前記バルブをプロペラと対向する位置に備えている、
ことを特徴とする舵。 - 請求項4記載の舵を備えたことを特徴とする船舶。
- 請求項5において、前記バルブと対向する位置に設けられるプロペラキャップが、前記バルブに向かって順次径が大となる様に形成されている、ことを特徴とする船舶。
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