JP2004299096A - 印刷記録媒体用水性組成物、インクジェット記録媒体用水性組成物及びインクジェット記録媒体 - Google Patents

印刷記録媒体用水性組成物、インクジェット記録媒体用水性組成物及びインクジェット記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】離型性に優れることで、表面の平滑性に優れた印刷記録媒体が得られると共に、耐水性、発色濃度、耐光性、耐オゾン性、インク吸収性をも優れたものとすることができる印刷記録媒体用水性組成物と、それから得られる記録媒体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】カチオン性の有機高分子粒子と、水に不溶または難溶である界面活性剤、好ましくはカチオン性及び/又はノニオン性の界面活性剤を含有することを特徴とする印刷記録媒体用水性組成物。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン性の有機高分子粒子と水に不溶または難溶である界面活性剤を含有することを特徴とするアート紙、インクジェット専用紙等の表面が平滑な印刷記録媒体用の水性組成物、及びそれから得られる印刷記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に樹脂等を塗工し、優れた印刷性を付与したり、表面を平滑にすることで優れた光沢を付与した印刷用記録媒体、例えばアート紙、キャスト紙、インクジェット専用光沢紙等が広く使用されている。オフセット印刷では表面の平滑性が高いほど画質が向上し、また、近年、急速に普及しているインクジェット印刷では、写真ライクな画質が得られことから、その記録媒体として表面の平滑性が優れた専用光沢紙等の印画紙ライクな専用紙が求められている。
【0003】
さらに、インクジェット印刷用の記録媒体には発色濃度や耐水性を付与するためにカチオン性化合物が使用されている。これはインク中の染料がアニオン性であり、染料を静電的結合によって定着させるためである。これらのカチオン性化合物は一般的に水溶性のポリマーや化合物であり、耐水性に劣っていたり、その他配合剤と混合したときの安定性に問題があり、使用量に制限があった。さらに同用途ではインク吸収性を優れたものにするため、多量のシリカ、アルミナ等の超微粒無機粒子を少量のポリビニルアルコール等のバインダーによって結着することで、粒子間空隙を形成させ、その空隙によってインクを吸収させる方法が一般的に行われている。しかし、無機粒子はその表面活性により染料の変質を促進し、経時での耐退色性、耐ガス性に劣るという問題を抱えていた。これらを解決するために本発明者らは既に特開平2002−046347号、特開平2002−086905号に開示している。
【0004】
光沢紙を得る方法としては、表面を平滑にするため、例えば一般的なカレンダー処理、つまりはスーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけた金属ロール間を通過させて塗層表面を平滑化するカレンダー法や、一般的に印刷用キャストコート紙の製造で行われている、直接法、凝固法、リウエット法(再湿潤法)、プレキャスト法などのキャスト法と呼ばれる、金属ロールに接触させながら塗工液を乾燥させる方法が、広く実施されている。
【0005】
例えばインクジェット記録媒体では、無機粒子を適用した場合には金属ロールからの離型性に優れるが、表面平滑性に優れる有機高分子粒子を適用した場合には、離型性が低下するという問題を抱えていた。この問題を解決するために、ステアリン酸の金属塩等の脂肪酸や鉱物油の金属塩、シリコーン、ポリエチレン樹脂等のワックスによる離型剤を配合する方法があるが、これらを配合するとその撥水性のために、インクジェット印刷の場合には、インクの吸収性に影響を与え画質が低下するという問題があった。また、オフセット印刷では、湿し水の濡れが低下し、やはり画質が低下するという問題があった。特開平11−11011号ではカチオン性ラテックスを使用するインクジェット専用紙が開示されているが、これでは十分な離型性が得られず、生産性が悪いと共に、十分に平滑な記録媒体が得られなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−046347号公報
【特許文献2】
特開平2002−086905号公報
【特許文献3】
特開平11−11011号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カチオン性の有機高分子粒子と水に不溶または難溶である界面活性剤を含有した印刷記録媒体用組成物であり、優れた離型性を有することで平滑性、光沢性に優れた印刷記録媒体が得られると共に、耐退色性、耐ガス性、画質に優れた記録媒体を得ることができるものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意検討した結果、カチオン性の高分子有機粒子と水に不溶または難溶の界面活性剤を含有した印刷記録媒体用水性組成物が、優れた離型性を有し、これから得られる記録媒体が、優れた印刷性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の[1]〜[11]に記載した事項により特定される。
[1] カチオン性の有機高分子粒子と、水に不溶または難溶である界面活性剤を含有することを特徴とする印刷記録媒体用水性組成物。
[2] 界面活性剤がカチオン性、ノニオン性、両性から選択される1種又は2種以上の界面活性剤であることを特徴とする[1]の印刷記録媒体用水性組成物。
[3] 界面活性剤が少なくとも炭素数12以上のアルキル基を有する界面活性剤であることを特徴とする[1]の印刷記録媒体用水性組成物。
[4] 有機高分子粒子が、不飽和二重結合を有する単量体の(共)重合体、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエポキシから選択される1種又は2種以上の高分子の粒子であることを特徴とする[1]の印刷記録媒体用水性組成物。
[5] 有機高分子粒子が、不飽和二重結合を有する単量体に、少なくとも水に不溶あるいは難溶な界面活性剤を混合し、これをカチオン系開始剤と両性あるいはカチオン性界面活性剤の存在下で乳化重合することによって得られることを特徴とする[1]の印刷記録媒体用水性組成物。
[6] 有機高分子粒子が、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレン50〜99重量%と(B)その他共重合可能な単量体1〜50重量%の共重合体粒子であることを特徴とする[1]の印刷記録媒体用水性組成物。
[7] (B)その他共重合可能な単量体が、少なくとも(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドから選択される1種又は2種を含んでなることを特徴とする[6]の印刷記録媒体用水性組成物。
[8] 有機高分子粒子が、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を20重量%以下で共重合させてなることを特徴とする[4]の印刷記録媒体用水性組成物
[9] 有機高分子粒子が、水に溶解するカチオン性界面活性剤、水に溶解する両性界面活性剤、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を50〜100重量%未満で重合又は共重合してなる重合体、および第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を重合又は共重合してなる重合体からなる群から選ばれる1種以上の存在下で、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレン50〜99重量%と(B)その他共重合可能な単量体1〜50重量%を共重合させたものであることを特徴とする[4]の印刷記録媒体用水性組成物。
[10][1]の印刷記録媒体がインクジェット記録媒体であることを特徴とするインクジェット記録媒体用水性組成物。
[11][10]のインクジェット記録媒体用水性組成物を支持体に塗工した後、塗工面に平滑な金属面に接触させて得られる、表面が平滑なインクジェット記録媒体。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明について以下、詳細に説明する。
【0011】
本発明における有機高分子粒子としては、不飽和二重結合を有する単量体の(共)重合体、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエポキシから選択される1種又は2種以上の高分子の粒子であることが好ましい。
【0012】
本発明のカチオン性の有機高分子粒子としては、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基を有する単量体の(共)重合体、アミジノ基等のカチオン性官能基を有する開始剤により重合された(共)重合体、ウレタン重合体、エポキシ重合体の粒子が挙げられる。好ましくは少なくとも(メタ)アクリル酸エステルやスチレン、エチレン、アクリロニトリル等の不飽和結合を有する単量体の(共)重合体であり、より好ましくは、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルやスチレンの不飽和結合を有する単量体の(共)重合体であり、より好ましくは、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で重合した有機高分子粒子である。
【0013】
このようなカチオン性を有する有機高分子粒子を得る方法としては、例えば、
▲1▼(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で重合した重合体の粒子において、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を20重量%以下の割合で共重合させる方法がある。
▲2▼また、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で重合した重合体の粒子に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性の界面活性剤、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を50〜100重量%未満で重合又は共重合してなる重合体、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を重合又は共重合してなる重合体からなる群から選ばれる1種以上を混合する方法がある。
▲3▼さらに、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性の界面活性剤、両性の界面活性剤、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を50〜100重量%未満で重合又は共重合してなる重合体、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を重合又は共重合してなる重合体からなる群から選ばれる1種以上の存在下で、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で乳化重合する方法がある。
▲4▼さらに加えて、カチオン性開始剤により、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で乳化重合する方法が挙げられる。
【0014】
本発明における(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で重合した重合体の粒子は、耐水性と耐退色性をより優れたものにする可能性があるため、好ましくは、(A)が70〜99重量%と、(B)を1〜30重量%の割合で重合した重合体の粒子である。
【0015】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボロニルアクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、メチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;その他の炭素原子数3乃至20のアルキルアクリレート、メタクリレート等が挙げられる。
【0016】
耐水性、耐光性をより向上させる可能性があるため、単量体(A)としてはスチレン、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、メチルメタクリレートからなる群から選ばれた単量体が好ましい。耐水性をより好ましくするためには、スチレン、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソボロニルアクリレートからなる群から選ばれた単量体が好ましい。
【0017】
単量体(B)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基含有ビニル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド等のアミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸等の不飽和カルボン酸類;スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類;モノ(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等の不飽和リン酸類;塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、ビニルピロリドン、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アリルメタアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、アリルメルカプタン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0018】
単量体(B)としては金属ロールからの離型性をより優れたものとする為、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドの使用が好ましい。これら単量体のポリマーは凝集力が強く、そのために金属ロールからの離型性に優れるものと考えられる。
【0019】
さらに、単量体(B)としては、配合安定性がより優れたものになるため、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有単量体の使用がより好ましい。また耐退色性、耐ガス性をより向上させる可能性があるため、酸化防止機能を有する1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレートや、紫外線吸収機能を有する2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましい。
【0020】
また単量体(B)として第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を20重量%以下の割合で使用すると耐水性、耐退色性、耐ガス性がより向上する可能性があり、好ましい。
【0021】
この単量体の具体例としては、第3級アミノ基を含有する単量体としてアミノ基含有アクリレート系単量体及び/又はアミノ基含有メタクリレート系単量体が挙げられ、例えば、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、N、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N、N−モノメチルアミノエチルアクリレート、N、N−モノメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルアクリレート又はアミノアルキルメタクリレート類;また、第3級アミノ基を含有するN−アミノアルキルアクリルアミド又はN−アミノアルキルメタクリルアミド系単量体が挙げられ、例えば、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N、N−ジエチルメタクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN−アミノアルキルアクリルアミド又はN−アミノアルキルメタクリルアミド類;さらに第4級アンモニウム塩基を有する単量体が挙げられる。
【0022】
また、第4級アンモニウム塩基を含有する単量体としては、上記第3級アミノ基を含有する単量体に、例えば、ハロゲンとして塩素、臭素、ヨウ素等であるハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基、ハロゲン化ベンジル基等で4級塩化された、上記アミノアルキルアクリレート又はアミノアルキルメタクリレート類と、N−アミノアルキルアクリルアミド又はN−アミノアルキルメタクリルアミド類の4級塩類の単量体が挙げられる。
【0023】
本発明における(共)重合体を得るために使用される重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用でき、例えば、アニオン性開始剤として過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、カチオン性開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−クロロフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、ノニオン性開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−〔2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、等のアゾ化合物が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。好ましくは耐水性や発色濃度をより優れたものとするためアゾ系の開始剤が好ましく、さらに優れたものとするために、開始剤としてアミジノ基を有するカチオン性開始剤の使用が好ましい。最も好ましくは2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩である。
【0024】
一般的な開始剤の使用量は、(共)重合させるモノマーの全重量を基準として0.1〜5重量%である。
【0025】
また、(共)重合体を得る場合に、必要に応じてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸及びこれ等のソーダ塩等のアリル化合物などを分子量調節剤として使用することも可能である。
【0026】
本発明における、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50〜99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で重合した重合体の重量平均分子量としては、好ましくは10000以上、より好ましくは30000以上、さらに好ましくは60000以上である。重量平均分子量が低い場合には、耐水性の低下や支持体へ適用後の粒子の脱離が生じる場合が有る。
【0027】
本発明における有機高分子粒子の平均粒子径としては、5nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは5nm〜500nm、さらに好ましくは5〜300nmである。平均粒子径が小さい場合にはインク吸収性が低下したり、配合安定性が低下する場合があり、平均粒子径が大きい場合には発色濃度が低下したり、表面の平滑性が低下する場合がある。
【0028】
本発明における、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレンを50から99重量%と、上記以外の共重合可能な単量体(B)を1〜50重量%の割合で重合した重合体の粒子のガラス転移温度としては、特に限定はないが−50℃〜250℃である。一般的に印刷に供されるような製品に適用される場合、例えば塗工紙等では、本発明の水性組成物に顔料が配合されることがある。この際、本発明を顔料として使用する場合にはガラス転移温度が40℃以上、より好ましくは60℃以上である。また本発明を顔料のバインダーとして使用する場合にはガラス転移温度が40℃未満であることが好ましく、より好ましくは20℃未満である。
【0029】
本発明におけるカチオン性の高分子有機粒子を得る方法としては、例えば、
▲1▼単量体を適当な分散剤によって水に分散させた後、重合させる分散重合法、懸濁 重合法、
▲2▼単量体を適当な分散剤の存在する水中へ滴下しながら重合させる、乳化重合法、などが上げられる。特に小粒子径で分散安定性に優れる粒子が得られることから、乳化重合法が好ましい。
【0030】
さらに好ましくは本発明における有機高分子粒子をカチオン性とするためには、以下の▲1▼〜▲4▼に掲げる化合物の存在下で、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレン50〜99重量%と(B)その他共重合可能な単量体1〜50重量%を共重合させることによって得られる。
【0031】
▲1▼水に溶解するカチオン性界面活性剤
▲2▼水に溶解する両性界面活性剤
▲3▼第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を重合又は共重合してなる重合体
▲4▼第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を50〜100重量%未満の割合で重合又は共重合してなる重合体
▲1▼〜▲4▼の割合は(A)と(B)の合計100重量部に対して、0.01〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%である。
【0032】
水に溶解するカチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベタイン、ココナットアミンアセテート、アルキルアミングアニジンポリオキシエタノール、アルキルピコリニウムクロライド等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0033】
水に溶解する両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイドなどのアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
【0034】
▲3▼、▲4▼における第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体としては先に例示した単量体と同様である。また、▲4▼における第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体以外に使用される単量体としては、先に例示した(B)と同様な単量体が例示される。
【0035】
本発明における水に不溶または難溶である界面活性剤は、具体的には25℃で蒸留水に界面活性剤を10重量%溶解させたときに、透明に溶解しない界面活性剤である。このような界面活性剤としては炭素数12以上のアルキル鎖を有する界面活性剤が好ましく、また耐水性や発色濃度を優れたものにするためには、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤が好ましく、より好ましくはカチオン性及び/又は両性の界面活性剤である。
【0036】
このような界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤としては、ステアリルアミンアセテート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、両性の界面活性剤としてはステアリルベタインが挙げられ、これら界面活性剤が有するアルキル鎖の炭素数がより多い界面活性剤も適用できる。
【0037】
ノニオン性の界面活性剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイドラウリルエーテル、ポリエチレンオキサイドステアリルエーテル、ポリエチレンオキサイドオレイルエーテル、ポリエチレンオキサイドノニルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノラウレート、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノステアレート、ポリエチレンオキサイドソルビタントリステアレート、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノオレエート、ポリエチレンオキサイドソルビタントリオレエート、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、ポリエチレンオキサイドソルビトールテトラオレエート、グリセリンモノオレエート等が挙げられる。
【0038】
本発明の水性組成物を得る方法としては、このような界面活性剤をカチオン性有機高分子粒子の合成後に混合する方法と、有機高分子粒子を合成する際に使用する方法がある。より少量で効果的な離型性を付与するためには、有機高分子粒子を合成する際に使用する方法がより好ましい。界面活性剤と有機高分子粒子の割合は、有機高分子粒子100重量%に対して界面活性剤0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。界面活性剤が少ない場合には離型性が低下する場合があり、多い場合にはインク吸収性や印刷適性が低下し、画質の低下が生じる場合がある。
【0039】
本発明の使用方法としては、シリカや炭酸カルシウム、アルミナ等の顔料やその他添加剤等を配合して使用する場合があり、その場合には有機高分子粒子が顔料のバインダーとして機能したり、顔料の代替として本発明の有機高分子粒子を使用する方法がある。
【0040】
さらに、その他に、本発明の水性組成物には、濡れ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、耐水化剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、浸透剤、離型剤、消泡剤、流動性改良剤、増粘剤、顔料分散剤等を含んでいてもよい。
【0041】
本発明の水性組成物を支持体上の塗工して製品を得る場合には、坪量として通常1〜300g/mで塗工するのが好ましい。支持体としては、例えば、普通紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被服紙、樹脂含浸紙、非塗工紙、塗工紙等の紙支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、フィルム支持体、布、織物等の繊維、不織布、金属フィルム、金属板、及びこれらを貼り合わせた複合支持体に適用することができる。フィルム支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネート、セロファン、ポリナイロン等のプラスチックシート等が挙げられる。これらのフィルム支持体は透明なもの、半透明なもの、及び不透明なものを用途に応じて適宜使い分けることができる。また支持体には白色のプラスチックフィルムを用いることもできる。白色のプラスチック支持体としては、少量の硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料をプラスチックに含有させたものや、微細な空隙を多数設けて不透明性を付与した発泡プラスチック支持体、及び白色顔料(酸化チタン、硫酸バリウム)を有する層を設けた支持体を用いることができる。
【0042】
本発明においては支持体の形状は限定されないが、通常用いられるフィルム状、シート状、板状等の他に、飲料缶のような円柱状、CDやCD−R等の円盤状、その他複雑な形状を有するものも支持体として使用できる。
【0043】
特に本発明は紙支持体への適用に好適であり、インクジェット記録媒体、オフセット印刷紙、アート紙、塗工紙に使用できる。インクジェット記録媒体に適用する場合、印字濃度や耐水性を向上させるために、耐水化剤と呼ばれるカチオン性物質を配合することが広く行われているが、本発明のカチオン性の粒子を使用することでこれらの性能をより優れたものにすることができる。同用途では顔料としてシリカやアルミナが好適に使用されているが、これら顔料の代替として本発明を好適に使用することができる。またこれら顔料のバインダーとして一般的にはポリビニルアルコール等の有機高分子が使用されているが、これらの代替としても好適に使用することができ、本発明は、界面活性剤による離型性の向上ばかりでなく、発色濃度、耐水性、耐退色性、耐ガス性をも向上させる機能を有している。さらには顔料としての効果によりインク吸収性や、バインダーとしての効果により表面強度も優れたものになる。
【0044】
本発明の水性組成物を支持体上に塗工する場合には、例えば、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、フローティングナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター等の従来既知の塗工方法を用いることができる。
【0045】
光沢を付与する方法には、例えば一般的なカレンダー処理、つまりはスーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間を通過させて塗層表面を平滑化する従来既知の方法を用いることができる。また、一般的に印刷用キャストコート紙の製造で行われている、直接法、凝固法、リウエット法(再湿潤法)、プレキャスト法などのキャストコーティング法も好ましく用いることができる。
【0046】
この際に特定の界面活性剤を含有していると、これが金属ロールからの離型性を優れたものとし、得られる記録媒体の表面平滑性が非常に優れたものとなり、印刷適性や光沢感に優れる印刷記録媒体が得られる。さらに離型性が優れることで生産性も向上するものである。
【0047】
また、カレンダー処理やキャストコーティング法に係る圧接時の圧力、鏡面ロールの温度、塗工速度等は適宜選択することができる。
【0048】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す部及び%は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
[水性組成物の製造]
[水性組成物A]
脱イオン水486.8部とステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1.5部を反応容器に仕込み、窒素気流下で65℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩3.0部を反応容器に仕込んだ。これとは別に、t−ブチルメタクリレート170.0部、アクリロニトリル30.0部、メチルメタクリレート70.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30.0部、水に難溶のカチオン性界面活性剤としてジステアリルジメチルアンモニウムクロライド3.0部を脱イオン水240.0部中にステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.0部を使って乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を4時間で反応容器に滴下して、その後、更に同温度で4時間保持した。その結果、カチオン性有機高分子粒子が水に分散した水性組成物Aが得られ、不揮発分30%、pH4.2、平均粒子径75nm、ガラス転移温度99℃であった。
【0049】
[水性組成物B]
脱イオン水486.8部とステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1.5部を反応容器に仕込み、窒素気流下で65℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩3.0部を反応容器に仕込んだ。これとは別に、アクリロニトリル90.0部、n−ブチルアクリレート180.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30.0部、水に難溶のカチオン性界面活性剤としてジステアリルジメチルアンモニウムクロライド3.0部を脱イオン水240.0部中にステアリルトリメチルアンモニウムクロライド4.0部を使って乳化させた乳化混合物を作り、この乳化混合物を4時間で反応容器に滴下して、その後、更に同温度で4時間保持した。その結果、カチオン性有機高分子粒子が水に分散した水性組成物Bが得られ、不揮発分30%、pH4.5、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−15℃であった。
【0050】
[水性組成物C]
水性組成物Aの製造において、単量体であるアクリロニトリルをスチレンに置き換え、水に難溶の界面活性剤であるジステアリルジメチルアンモニウムクロライドを使用しない以外は同様な方法により水性組成物Cが得られ、不揮発分30%、pH4.2、平均粒子径82nm、ガラス転移温度99℃であった。
【0051】
[水性組成物D]
水性組成物Bの製造において、単量体であるアクリロニトリルをスチレンに置き換え、水に難溶の界面活性剤であるジステアリルジメチルアンモニウムクロライドを使用しない以外は同様な方法により水性組成物Dが得られ、不揮発分30%、pH4.8、平均粒子径75nm、ガラス転移温度−15℃であった。
【0052】
[実施例1]
水性組成物A105部を坪量105g/mの上質紙に、絶乾状態で30g/mの塗工量になるように塗工し、50℃で100秒の加温をした後、キャスト法、具体的には、表面温度が90℃に保たれた鏡面ロールに、線圧50kg/cmで圧接しながら乾燥させた。その結果、実施例1の塗工紙が得られた。
【0053】
[実施例2]
水性組成物B83.4部にシリカ100部(X37:トクヤマ製)を添加混合し、これを坪量105g/mの上質紙に、絶乾状態で30g/mの塗工量になるように塗工し、50℃で100秒の加熱をした後、キャスト法、具体的には、表面温度が100℃に保たれた鏡面ロールに、線圧50kg/cmで圧接しながら乾燥させた。その結果、実施例2の塗工紙が得られた。
【0054】
[比較例1]
実施例1で使用した水性組成物Aの代わりに水性組成物Cを使用した以外は実施例1と同様な操作により、比較例1の塗工紙が得られた。
【0055】
[比較例2]
実施例2で使用した水性組成物Bの代わりに、水性組成物Dを使用した以外は実施例2と同様な操作により、比較例2の塗工紙が得られた。
【0056】
[評価方法]
塗工紙の品質評価結果を表1と表2に示す。評価は以下の方法により行った。
【0057】
<剥離性>
キャスト法で鏡面ロールに圧接した後のロールからの剥離状態を以下のように評価した。
○:特別な力を与えずに自然にロールから剥がれる。
△:若干の抵抗があるがロールから容易に剥離する。
×:ロールから剥がすのにかなりの抵抗があり、実生産で問題となる。
【0058】
<樹脂残り>
キャスト法で鏡面ロールに圧接した後、剥離後のロール表面の樹脂残りを以下のように評価した。
○:ロールに何も残らない。
△:わずかに樹脂がロールに残る
×:ロールへの樹脂残りが多く、実生産で問題となる。
【0059】
<発色濃度の測定方法>
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM800C)を用いて、ブラックインクとシアンインクのベタ印刷を行い、ベタ部の光学反射濃度をマクベス濃度計(RD−918)で測定した。
【0060】
<インク吸収性の測定方法>
インク吸収性を評価するため、セット性と画像ムラについて評価した。
(セット性)
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM800C)を用いて、イエローインク、マゼンダインク、シアンインク、ブラックインクを縦方向にベタ印刷し、プリンターから排出された直後に、上部にPPC用紙を押しつけて、インクがPPC用紙へ転写される度合いを目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:インクの転写がなく、インク吸収性に優れる。
△:インクの転写がわずかにあるが、インク吸収性が実用レベルである。
×:インクの転写が多く、インク吸収性が実用レベル以下である。
(画像ムラ)
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM800C)を用いて高精細カラーデジタル標準画像データ(ISO/JIS−SCID)の女性の写真を印刷し、画像のムラを目視で評価した。インク吸収性が劣る場合にはインクが十分吸収されずに画像にムラが生じる。評価基準は以下の通りである。
○:画像ムラがなく、インク吸収性に優れる。
△:画像ムラがわずかにあるが、インク吸収性が実用レベルである。
×:画像ムラが多く、インク吸収性が実用レベル以下である。
【0061】
<耐水性の測定方法>
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM800C)を用いて、ブラックインクで文字印刷を行い、これに水を一滴垂らし、一日放置後のにじみの状態を目視で判定した。評価基準は以下の通りである。
○:にじみがほとんどない。
△:にじみがわずかにある。
×:にじみが激しい。
【0062】
<耐退色性の測定方法>
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM800C)を用いて、マゼンタインクのベタ印刷を行った。キセノンフェードメーターを用いて、印刷した記録シートに100時間光照射し、光照射前に対する光照射後の光学反射濃度の残存率を耐光性とした。光学反射濃度はマクベス濃度計(RD−918)で測定した。
【0063】
<耐オゾン性の測定方法>
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM800C)を用いて、イエロー、マゼンダ、シアンの各色のベタ印刷を行った記録シートを、オゾン導入口と排出口のついたガラス製容器中に入れ、シルバー精工株式会社製オゾナイザーOS−100にて発生させたオゾン(約100ppm)を1時間連続して導入した。試験前後の色度の差ΔEをJIS―Z87301法により求めた。ΔEが小さいほど変色が小さく、耐オゾン性が良好であることを意味する。
【0064】
【表1】
Figure 2004299096
【0065】
【表2】
Figure 2004299096
【0066】
【表3】
Figure 2004299096
【0067】
【発明の効果】
本発明の印刷記録媒体用水性組成物によれば、離型性に優れた光沢を有する印刷記録媒体が得られると共に、耐水性、発色濃度、耐光性、耐オゾン性、インク吸収性をも優れたものとすることができる。

Claims (11)

  1. カチオン性の有機高分子粒子と、水に不溶または難溶である界面活性剤を含有することを特徴とする印刷記録媒体用水性組成物。
  2. 界面活性剤がカチオン性、ノニオン性、両性から選択される1種又は2種以上の界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  3. 界面活性剤が少なくとも炭素数12以上のアルキル基を有する界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  4. 有機高分子粒子が、不飽和二重結合を有する単量体の(共)重合体、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエポキシから選択される1種又は2種以上の高分子の粒子であることを特徴とする請求項1記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  5. 有機高分子粒子が、不飽和二重結合を有する単量体に、少なくとも水に不溶あるいは難溶な界面活性剤を混合し、これをカチオン系開始剤と両性あるいはカチオン性界面活性剤の存在下で乳化重合することによって得られることを特徴とする請求項1記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  6. 有機高分子粒子が、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレン50〜99重量%と(B)その他共重合可能な単量体1〜50重量%の共重合体粒子であることを特徴とする請求項1記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  7. (B)その他共重合可能な単量体が、少なくとも(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドから選択される1種又は2種を含んでなることを特徴とする請求項6記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  8. 有機高分子粒子が、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を20重量%以下で共重合させてなることを特徴とする請求項4記載の印刷記録媒体用水性組成物
  9. 有機高分子粒子が、水に溶解するカチオン性界面活性剤、水に溶解する両性界面活性剤、第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を50〜100重量%未満で重合又は共重合してなる重合体、および第3級アミノ基を有する単量体及び/又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体を重合又は共重合してなる重合体からなる群から選ばれる1種以上の存在下で、(A)(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレン50〜99重量%と(B)その他共重合可能な単量体1〜50重量%を共重合させたものであることを特徴とする請求項4に記載の印刷記録媒体用水性組成物。
  10. 請求項1に記載の印刷記録媒体がインクジェット記録媒体であることを特徴とするインクジェット記録媒体用水性組成物。
  11. 請求項10に記載のインクジェット記録媒体用水性組成物を支持体に塗工した後、塗工面に平滑な金属面に接触させて得られる、表面が平滑なインクジェット記録媒体。
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