JP2004298063A - D−アミノ酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アミノ酸、特にアラニンについて、DL−アラニンのうちL−アラニンを選択資化し、得られた培養物に残存したD−アラニンを、高効率に精製分離するD−アミノ酸の製造方法に関するものである。
【解決手段】DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、D−アミノ酸を電気透析で精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、D−アミノ酸を電気透析で精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ酸、特にアラニンについて、DL−アラニンのうちL−アラニンを選択資化し、得られた培養物に残存したD−アラニンを、高効率に精製分離するD−アミノ酸の製造方法に関するものである。
【従来の技術】
アミノ酸、特にアラニンについて、従来のDL―アラニンを原料とする選択資化によるD−アラニンの製造方法では、イオン交換、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせて精製を行っている。(例えば、特許文献1参照。)このうち、イオン交換では、D−アラニンと、選択資化で培地中に含まれている金属や選択資化で副生するアンモニア塩を強カチオンH型の樹脂に通液し、いったん吸着させた後、アンモニア水溶液でD−アラニンを脱離して回収し、その後、鉱酸にて金属を脱離するとともにH型に再生している。
別のアラニンの精製法としては、選択資化ではないが、アミノプロピオニトリルを苛性ソーダ水溶液で加水分解し、得られたアラニンソーダ水溶液を電気分解し、ついで電気透析に付し、晶析を行ってアラニンを取得する方法がある。(例えば、特許文献2参照。)また別の方法では、DL−アラニンアミド鉱酸塩を酵素不斉加水分解することにより得られる酵素反応液から、一方の光学活性アラニンと、もう一方の光学活性アラニンアミドの鉱酸塩および副生するアンモニアの鉱酸塩とを電気透析により分離したあと、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせてアラニンを取得する方法がある。(例えば、特許文献3)
【特許文献1】特開平8−8878
【特許文献2】特開昭57−81443
【特許文献3】特開平11−46792
【発明が解決しようとする課題】
DL−アラニンを含有する培地中で、酵母を利用してL−アラニンを資化する場合、培地中には、酵母を培養するため添加したリン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄などの金属塩が含まれている。また培養pHは、pH5からスタートするが、培養が進むにつれ、アンモニアが副生してpHが上昇する。pHが上昇すると、アラニンラセマーゼ、D−アラニントランスフェラーゼが活性化されるため、D−アラニンが資化されるおそれがあるので、pHは、4〜7にコントロールする。そのため、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸を添加する必要があり、アンモニア鉱酸塩が、D−アラニンの0.3〜0.6倍モル量副生する。さらに、従来のイオン交換を使用した場合は、吸着したD−アラニンを溶出する際に、D−アラニンの約2倍モルのアンモニアでD−アラニンを押し出す。鉱酸で樹脂をH型に再生するが、金属は、アンモニアと比べて樹脂への吸着力が強いため、鉱酸は、D−アラニンの2〜3倍モルも必要となる。また再生廃液中には、D−アラニンの約2倍モルのアンモニア鉱酸塩が含まれ、選択資化で副生するアンモニアの鉱酸塩と合計して、D−アラニンの2〜3倍のアンモニア鉱酸塩が廃液に含まれることになる。このようにイオン交換を使用した場合、培地由来の金属除去のため、廃液は大量となり、また多量のアンモニア鉱酸塩を含んでおり、廃液処理負荷の低減が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、基本的には以下の通りの構成よりなる。即ち、DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、電気透析でD−アミノ酸を精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法である。
【発明の実施の形態】
本発明では、DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、電気透析で精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法である。前記アミノ酸としては特に限定されるものではなく、各種アミノ酸(アスパラギン酸、アラニン、グルタミン酸、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン)について適用可能であるが、好ましくはアラニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、リシンであり、より好ましくはアラニンである。以下、アラニンを例に挙げて本発明を説明するが、何等これに限定されるものではない。
本発明では、電気透析により、培地由来の金属除去のために必要な鉱酸使用量を削減でき、またイオン交換樹脂からのD−アラニン押し出しに必要なD−アラニンの約2倍モルのアンモニアが必要なく、アンモニア鉱酸塩は、選択資化で残ったD−アラニンの0.3〜0.6倍モル量となる。電気透析に加えて、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせて精製することによって高純度のD−アラニンを製造できるものである。図1に本発明の作業の流れのあらましを図示する。
DL−アラニンを原料とする場合、DL−アラニンを単一炭素源、単一窒素源として含有する培地中で、キャンディダ属、サッカロマイコプシス属、ビキア属、トルロプシス属、クリプトコッカス属、ハンゼヌラ属またはトリコスポロン属に属し、かつL−アラニンを資化し、D−アラニンを資化しない能力を有する酵母を培養し、培養液を精製してD−アラニンを製造する。培地中には、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄などの酵母を培養するために添加した金属塩が含まれている。
培養は、酸性で実施するのが好ましく、培養液は通常培養開始時にpH5に調整するが、培養が進むにつれてpHが上昇する。そのままで培養するとD−アラニンの回収率が低下するので、pHを酸性側にコントロールする必要がある。pHがアルカリ側になるとD−アラニンの回収率が低下する原因として、アラニンラセマーゼが活性化されること、またはD−アラニンアミノトランスフェラーゼが活性化されることなどにより、D−アラニンが資化されるものと考えられる。これらの理由から、培養時のpHは通常4〜7、好ましくは4.5〜6.5に調整する。調整用の酸としては、たとえば、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸水溶液を使用する。
得られた培養液は、まず遠心分離によって、菌体を除去した後、活性炭処理をして着色成分を除去し、限外ろ過によって、高分子量不純物を除去した後、電気透析を行う。電気透析では、図2に示すように、D−アラニンは、等電点であるpH6にアルカリを添加して調整することによって、脱塩液に残り、培地由来のカリウム、マグネシウム、鉄、アンモニウムイオン等の陽イオンは、陽イオン交換膜を通過して陰極方向に、硫酸イオン等の陰イオンは陰イオン交換膜を通過して陽極方向に移動して塩廃液側に除去される。
次いで、濃縮晶析を実施し、結晶を回収した後、乾燥工程を経て、高純度のD−アラニンとなる。
【実施例】
本発明の実施例を以下に示す。
実施例1
原料として、選択資化で得られた培養液を遠心分離によって除菌した上清液(D−アラニン68g/L)を使用した。培養については、DL−アラニン、金属塩(リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄)、酵母エキス等を添加して、キャンディダ属に属する酵母を培養した。培養温度は30℃、主培養時間は69時間、培養時のpHはpH5であった。この原料に、活性炭を20重量%(対D−アラニン)添加し、加熱処理後、活性炭を除去した。これを処理原料液とする。次に電気透析でのD−アラニンロスを防ぐために48%苛性ソーダ水溶液で処理原料液のpHを、等電点であるpH6に調節し、限外ろ過で高分子の不純物を除去した後、電気透析を行った。電気透析装置には、旭化成のS3型を、膜は、旭化成AC−120(陽イオン交換膜分画分子量100、陰イオン交換膜分画分子量300)を使用した。電気透析装置の電極液には、50g/L硫酸ソーダ、塩廃液には、イオン交換水を使用した。電圧を15Vとなるように調節した後、処理原料液4Lを脱塩液として供給し、脱塩液にD−アラニンを残して培地由来の金属成分とアンモニアの鉱酸塩を、塩廃液に除去開始した。脱塩液の電気伝導度が、1mS/cm以下になるまで電気透析を行った。電気透析でのD−アラニン収率は、92.0%であった。電気透析前後で培地由来の金属成分除去率は、カリウム99.6%、マグネシウム79.9%、鉄74.9%、亜鉛13.5%であった。また硫酸アンモニウムの除去率は、99.6%であった。電気透析で得られた脱塩液を濃縮晶析によって結晶化し、得られた結晶のD−アラニン純度は、99.3%であった。この晶析母液を活性炭処理後、再度濃縮晶析し、さらにD−アラニンを回収した。こちらの結晶のD−アラニン純度は、99.6%であった。
実施例2
原料として、選択資化で得られた培養液を遠心分離によって除菌した上清液を実施例1と同様にして活性炭処理した液(D−アラニン61g/L)を使用し、電気透析を行った。電気透析装置には、旭化成のG4型を使用し、膜は、旭化成AC−220(陽イオン交換膜分画分子量300、陰イオン交換膜分画分子量300)とした。電気透析装置の電極液には、50g/L硫酸ソーダ、塩廃液には、イオン交換水を使用した。電圧を35Vとなるように調節した後、原料40Lを脱塩液として供給し、脱塩液にD−アラニンを残して培地由来の金属成分とアンモニアの鉱酸塩を、塩廃液に回収開始した。脱塩液の電気伝導度が、1mS/cm以下になるまで電気透析を行い、電気透析でのD−アラニン収率は、86.7%であった。硫酸アンモニウムの除去率は、99.6%であった。
【発明の効果】
本発明によれば、選択資化によるD−アミノ酸、特にD−アラニンの製造では、従来、イオン交換で行われていたのを、アンモニアでの押し出しや、鉱酸による再生の必要がない電気透析に代えることによって、廃液処理量を低減することが可能となる。また電気透析、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせて精製することによって高純度のD−アラニンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作業の流れを示すものである。
【図2】本発明における電気透析の概念図である。
本発明は、アミノ酸、特にアラニンについて、DL−アラニンのうちL−アラニンを選択資化し、得られた培養物に残存したD−アラニンを、高効率に精製分離するD−アミノ酸の製造方法に関するものである。
【従来の技術】
アミノ酸、特にアラニンについて、従来のDL―アラニンを原料とする選択資化によるD−アラニンの製造方法では、イオン交換、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせて精製を行っている。(例えば、特許文献1参照。)このうち、イオン交換では、D−アラニンと、選択資化で培地中に含まれている金属や選択資化で副生するアンモニア塩を強カチオンH型の樹脂に通液し、いったん吸着させた後、アンモニア水溶液でD−アラニンを脱離して回収し、その後、鉱酸にて金属を脱離するとともにH型に再生している。
別のアラニンの精製法としては、選択資化ではないが、アミノプロピオニトリルを苛性ソーダ水溶液で加水分解し、得られたアラニンソーダ水溶液を電気分解し、ついで電気透析に付し、晶析を行ってアラニンを取得する方法がある。(例えば、特許文献2参照。)また別の方法では、DL−アラニンアミド鉱酸塩を酵素不斉加水分解することにより得られる酵素反応液から、一方の光学活性アラニンと、もう一方の光学活性アラニンアミドの鉱酸塩および副生するアンモニアの鉱酸塩とを電気透析により分離したあと、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせてアラニンを取得する方法がある。(例えば、特許文献3)
【特許文献1】特開平8−8878
【特許文献2】特開昭57−81443
【特許文献3】特開平11−46792
【発明が解決しようとする課題】
DL−アラニンを含有する培地中で、酵母を利用してL−アラニンを資化する場合、培地中には、酵母を培養するため添加したリン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄などの金属塩が含まれている。また培養pHは、pH5からスタートするが、培養が進むにつれ、アンモニアが副生してpHが上昇する。pHが上昇すると、アラニンラセマーゼ、D−アラニントランスフェラーゼが活性化されるため、D−アラニンが資化されるおそれがあるので、pHは、4〜7にコントロールする。そのため、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸を添加する必要があり、アンモニア鉱酸塩が、D−アラニンの0.3〜0.6倍モル量副生する。さらに、従来のイオン交換を使用した場合は、吸着したD−アラニンを溶出する際に、D−アラニンの約2倍モルのアンモニアでD−アラニンを押し出す。鉱酸で樹脂をH型に再生するが、金属は、アンモニアと比べて樹脂への吸着力が強いため、鉱酸は、D−アラニンの2〜3倍モルも必要となる。また再生廃液中には、D−アラニンの約2倍モルのアンモニア鉱酸塩が含まれ、選択資化で副生するアンモニアの鉱酸塩と合計して、D−アラニンの2〜3倍のアンモニア鉱酸塩が廃液に含まれることになる。このようにイオン交換を使用した場合、培地由来の金属除去のため、廃液は大量となり、また多量のアンモニア鉱酸塩を含んでおり、廃液処理負荷の低減が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、基本的には以下の通りの構成よりなる。即ち、DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、電気透析でD−アミノ酸を精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法である。
【発明の実施の形態】
本発明では、DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、電気透析で精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法である。前記アミノ酸としては特に限定されるものではなく、各種アミノ酸(アスパラギン酸、アラニン、グルタミン酸、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン)について適用可能であるが、好ましくはアラニン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、メチオニン、リシンであり、より好ましくはアラニンである。以下、アラニンを例に挙げて本発明を説明するが、何等これに限定されるものではない。
本発明では、電気透析により、培地由来の金属除去のために必要な鉱酸使用量を削減でき、またイオン交換樹脂からのD−アラニン押し出しに必要なD−アラニンの約2倍モルのアンモニアが必要なく、アンモニア鉱酸塩は、選択資化で残ったD−アラニンの0.3〜0.6倍モル量となる。電気透析に加えて、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせて精製することによって高純度のD−アラニンを製造できるものである。図1に本発明の作業の流れのあらましを図示する。
DL−アラニンを原料とする場合、DL−アラニンを単一炭素源、単一窒素源として含有する培地中で、キャンディダ属、サッカロマイコプシス属、ビキア属、トルロプシス属、クリプトコッカス属、ハンゼヌラ属またはトリコスポロン属に属し、かつL−アラニンを資化し、D−アラニンを資化しない能力を有する酵母を培養し、培養液を精製してD−アラニンを製造する。培地中には、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄などの酵母を培養するために添加した金属塩が含まれている。
培養は、酸性で実施するのが好ましく、培養液は通常培養開始時にpH5に調整するが、培養が進むにつれてpHが上昇する。そのままで培養するとD−アラニンの回収率が低下するので、pHを酸性側にコントロールする必要がある。pHがアルカリ側になるとD−アラニンの回収率が低下する原因として、アラニンラセマーゼが活性化されること、またはD−アラニンアミノトランスフェラーゼが活性化されることなどにより、D−アラニンが資化されるものと考えられる。これらの理由から、培養時のpHは通常4〜7、好ましくは4.5〜6.5に調整する。調整用の酸としては、たとえば、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸水溶液を使用する。
得られた培養液は、まず遠心分離によって、菌体を除去した後、活性炭処理をして着色成分を除去し、限外ろ過によって、高分子量不純物を除去した後、電気透析を行う。電気透析では、図2に示すように、D−アラニンは、等電点であるpH6にアルカリを添加して調整することによって、脱塩液に残り、培地由来のカリウム、マグネシウム、鉄、アンモニウムイオン等の陽イオンは、陽イオン交換膜を通過して陰極方向に、硫酸イオン等の陰イオンは陰イオン交換膜を通過して陽極方向に移動して塩廃液側に除去される。
次いで、濃縮晶析を実施し、結晶を回収した後、乾燥工程を経て、高純度のD−アラニンとなる。
【実施例】
本発明の実施例を以下に示す。
実施例1
原料として、選択資化で得られた培養液を遠心分離によって除菌した上清液(D−アラニン68g/L)を使用した。培養については、DL−アラニン、金属塩(リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄)、酵母エキス等を添加して、キャンディダ属に属する酵母を培養した。培養温度は30℃、主培養時間は69時間、培養時のpHはpH5であった。この原料に、活性炭を20重量%(対D−アラニン)添加し、加熱処理後、活性炭を除去した。これを処理原料液とする。次に電気透析でのD−アラニンロスを防ぐために48%苛性ソーダ水溶液で処理原料液のpHを、等電点であるpH6に調節し、限外ろ過で高分子の不純物を除去した後、電気透析を行った。電気透析装置には、旭化成のS3型を、膜は、旭化成AC−120(陽イオン交換膜分画分子量100、陰イオン交換膜分画分子量300)を使用した。電気透析装置の電極液には、50g/L硫酸ソーダ、塩廃液には、イオン交換水を使用した。電圧を15Vとなるように調節した後、処理原料液4Lを脱塩液として供給し、脱塩液にD−アラニンを残して培地由来の金属成分とアンモニアの鉱酸塩を、塩廃液に除去開始した。脱塩液の電気伝導度が、1mS/cm以下になるまで電気透析を行った。電気透析でのD−アラニン収率は、92.0%であった。電気透析前後で培地由来の金属成分除去率は、カリウム99.6%、マグネシウム79.9%、鉄74.9%、亜鉛13.5%であった。また硫酸アンモニウムの除去率は、99.6%であった。電気透析で得られた脱塩液を濃縮晶析によって結晶化し、得られた結晶のD−アラニン純度は、99.3%であった。この晶析母液を活性炭処理後、再度濃縮晶析し、さらにD−アラニンを回収した。こちらの結晶のD−アラニン純度は、99.6%であった。
実施例2
原料として、選択資化で得られた培養液を遠心分離によって除菌した上清液を実施例1と同様にして活性炭処理した液(D−アラニン61g/L)を使用し、電気透析を行った。電気透析装置には、旭化成のG4型を使用し、膜は、旭化成AC−220(陽イオン交換膜分画分子量300、陰イオン交換膜分画分子量300)とした。電気透析装置の電極液には、50g/L硫酸ソーダ、塩廃液には、イオン交換水を使用した。電圧を35Vとなるように調節した後、原料40Lを脱塩液として供給し、脱塩液にD−アラニンを残して培地由来の金属成分とアンモニアの鉱酸塩を、塩廃液に回収開始した。脱塩液の電気伝導度が、1mS/cm以下になるまで電気透析を行い、電気透析でのD−アラニン収率は、86.7%であった。硫酸アンモニウムの除去率は、99.6%であった。
【発明の効果】
本発明によれば、選択資化によるD−アミノ酸、特にD−アラニンの製造では、従来、イオン交換で行われていたのを、アンモニアでの押し出しや、鉱酸による再生の必要がない電気透析に代えることによって、廃液処理量を低減することが可能となる。また電気透析、活性炭処理、限外ろ過、晶析を組み合わせて精製することによって高純度のD−アラニンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作業の流れを示すものである。
【図2】本発明における電気透析の概念図である。
Claims (2)
- DL−アミノ酸を含有する培地中で、L−アミノ酸を資化し、D−アミノ酸を実質的に資化しない酵母を培養し、培養物から、電気透析でD−アミノ酸を精製分離することを特徴とするD−アミノ酸の製造方法。
- 該アミノ酸がアラニンであることを特徴とする請求項1に記載のD−アミノ酸の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2003094300A JP2004298063A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | D−アミノ酸の製造方法 |
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JP2003094300A JP2004298063A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | D−アミノ酸の製造方法 |
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JP2003094300A Pending JP2004298063A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | D−アミノ酸の製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102603548A (zh) * | 2012-02-22 | 2012-07-25 | 蒋光玉 | 一种从母液中提取l-丙氨酸的方法 |
JP5635602B2 (ja) * | 2010-05-17 | 2014-12-03 | アサヒグループホールディングス株式会社 | アラニン高含有調味料組成物 |
CN109776344A (zh) * | 2017-11-13 | 2019-05-21 | 秦皇岛华恒生物工程有限公司 | 一种利用电渗析分离l-丙氨酸和乳酸的方法 |
WO2020173453A1 (zh) * | 2019-02-27 | 2020-09-03 | 上海艾美晶生物科技有限公司 | 使用电渗析技术拆分光学异构体的方法 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003094300A patent/JP2004298063A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN109776344A (zh) * | 2017-11-13 | 2019-05-21 | 秦皇岛华恒生物工程有限公司 | 一种利用电渗析分离l-丙氨酸和乳酸的方法 |
CN109776344B (zh) * | 2017-11-13 | 2022-01-18 | 秦皇岛华恒生物工程有限公司 | 一种利用电渗析分离l-丙氨酸和乳酸的方法 |
WO2020173453A1 (zh) * | 2019-02-27 | 2020-09-03 | 上海艾美晶生物科技有限公司 | 使用电渗析技术拆分光学异构体的方法 |
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