JP2004296691A - 樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂封止において、停止しているフィルムに加えられる張力を適正な張力に維持できる樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法を提供する。
【解決手段】フィルム1からなる送出し側ロール2と、基準ローラ3と、巻取り側ロール4と、送出し側ロール2が嵌装される送出し側回転軸5と、送出し側回転軸5に接続された送出し側サーボモータ6と、送出し側サーボモータ6に取り付けられた送出し側エンコーダ7と、基準ローラ軸8に取り付けられた基準エンコーダ9と、巻取り側ロール4が嵌装される巻取り側回転軸10と、巻取り側回転軸10に接続された巻取り側サーボモータ11と、巻取り側サーボモータ11に取り付けられた巻取り側エンコーダ12と、各エンコーダ7,9,12からのパルス信号Sf,Ss,Swに基づいてフィルム1に加えられる張力が所定の最適な張力になるように各サーボモータ6,11を制御する制御部13とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】フィルム1からなる送出し側ロール2と、基準ローラ3と、巻取り側ロール4と、送出し側ロール2が嵌装される送出し側回転軸5と、送出し側回転軸5に接続された送出し側サーボモータ6と、送出し側サーボモータ6に取り付けられた送出し側エンコーダ7と、基準ローラ軸8に取り付けられた基準エンコーダ9と、巻取り側ロール4が嵌装される巻取り側回転軸10と、巻取り側回転軸10に接続された巻取り側サーボモータ11と、巻取り側サーボモータ11に取り付けられた巻取り側エンコーダ12と、各エンコーダ7,9,12からのパルス信号Sf,Ss,Swに基づいてフィルム1に加えられる張力が所定の最適な張力になるように各サーボモータ6,11を制御する制御部13とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に装着された半導体チップ等の電子部品を樹脂封止する際に、相対向する金型とそれらの金型間に供給されるフィルムとを使用する場合において、そのフィルムを供給する樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のフィルム供給装置を、図5を使用して説明する。図5は、従来のフィルム供給装置の構造を示す部分断面図である。相対向する金型、すなわち下型20と上型21とが設けられ、下型20の凹部22には、半導体チップ等の電子部品(図示なし)が装着されたリードフレームやプリント基板等の基板23が載置される。ここで、金型が型締めした状態で、上型21に設けられた樹脂流路(図示なし)を経由してキャビティ24に溶融樹脂が注入され、その溶融樹脂が硬化する。これにより、基板23上に硬化樹脂25が形成されて、最終製品であるパッケージを含む成形品が完成する。下型20と上型21との間には、フィルム26が張設される。このフィルム26は、送出し側ロール27から供給され、テンションローラ28,29を順次経由して巻取り側ロール30により巻き取られる。送出し側ロール27及び巻取り側ロール30は、それぞれモータ(図示なし)によって駆動される。そして、各モータに印加される電圧や送信される信号等をオン又はオフすることにより、金型間において一定の距離(送出し量)だけフィルム26が送り出される。したがって、送り出されたフィルム26をはさんで下型20と上型21とが型締めした状態で、樹脂封止が行われることになる。
【0003】
フィルム26は、次のような目的で使用される。第1に、フィルム26は、キャビティ24と硬化樹脂25との間の離型性を確保する目的で、リリースフィルムとして使用される場合がある。この場合には、フィルム26は、例えば、ふっ素樹脂から構成される。第2に、フィルム26は、硬化樹脂25に所定のパターン(ロゴタイプや製品名等)を転写する目的で、転写用フィルムとして使用される場合がある。この場合には、図5におけるフィルム26の下側の面に予め形成されたパターンが、硬化樹脂25に転写される。第3に、フィルム26は、基板23を仮固定するとともに、基板23の開口(図示なし)を経由して基板23の下面に溶融樹脂(図示なし)が漏れ出さないようにする目的で、粘着フィルム及びシール部材として使用される場合がある。この場合には、フィルム26は、図5とは異なり、基板23と下型20との間に張設され、基板23の下面に対向する側の面に粘着層を有している。
【0004】
ところで、フィルム26はこれらの目的及び機能を有するので、フィルム26にしわやたるみ等が発生すると、硬化樹脂25の表面に凹凸が生じることによる外観品位及び寸法精度の低下、転写されたパターンの不明瞭化による外観品位の低下、基板23の下面における樹脂ばりの発生等の問題が発生する。そこで、連続的に供給され走行しているフィルム26に加えられる張力を一定に保つための機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、巻き出しロール・巻き取りロール間(上述の送出し側ロール・巻取り側ロール間に相当)において一定の張力を加えながら、連続的に封止テープ(上述のフィルムに相当)の巻き出しと巻き取りとを行うことが可能に構成されている。したがって、この場合には、巻き出しロール・巻き取りロール間で封止テープに一定の張力を加えながら、連続的に封止テープを走行させることになる。また、巻き出しロール・巻き取りロール間に外方への引っ張り力を加えることで、封止テープに適正な張力を与える構成もある(例えば、特許文献1参照)。更に、巻き出しロール・巻き取りロール間に中間ローラを設け、これに張力検出用のセンサ(例えば、ロードセル)を設置して、フィルムの張力を直接測定する構成も可能である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−274194号公報(第1頁、第7頁、第10頁、
第9図、第17図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術によれば、次のような問題がある。第1に、フィルムが使用されるにつれて巻き出しロールの径が減少するとともに巻き取りロールの径が増加するので、巻き出しロールと巻き取りロールとの間においてフィルムに加えられる張力が変動する。これにより、連続的に供給され走行しているフィルムに一定の張力を加えようとしても、型締めする直前にフィルムが停止した状態において適正な張力を維持することが困難になる。したがって、フィルムが使用されるにつれて、フィルムが停止した状態でしわやたるみ等が発生するおそれがある。第2に、各ロール間に外方への引っ張り力を加える場合には、回転軸を移動させる必要があるので、機構が複雑になる。したがって、装置の大型化を招くおそれがあるとともに、コストの増大が避けられない。第3に、中間ローラと張力検出用のセンサとを使用する場合には、センサの設置場所が必要になるので装置の小型化が困難になるとともに、コストの増大が避けられない。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、樹脂封止用のフィルムが使用される場合において、停止しているフィルムに加えられる張力を適正な張力に維持することができる樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の技術的課題を解決するために、本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置は、相対向する金型を使用して電子部品を樹脂封止する際に使用され、予め巻かれているフィルムからなり所定の初期半径を有する送出し側ロールと、送出し側ロールから供給され金型の間を通過して巻き取られたフィルムからなり所定の最大巻取り半径をとり得る巻取り側ロールと、少なくとも巻取り側ロールを回転させることにより金型の間にフィルムを供給するモータとを有する樹脂封止用のフィルム供給装置であって、送出し側ロールと巻取り側ロールとの間に設けられ供給されたフィルムによって回転し所定の基準半径を有する基準ローラと、基準ローラの回転量に応じた基準回転信号を生成する基準センサと、送出し側ロールと巻取り側ロールとを各々回転させる回転軸のうち少なくとも一方の回転軸に取り付けられ送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量に応じたロール回転信号を生成するロール回転センサと、基準回転信号とロール回転信号とに基づいてロール回転センサが取り付けられた回転軸における送出し側ロール又は巻取り側ロールの実際のロール半径を算出するとともに、ロール半径と初期半径又は最大巻取り半径とに基づいて、金型の間に供給されたフィルムが停止している状態におけるフィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるようにモータを制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
これによれば、所定の基準半径を有する基準ローラの回転量と、送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量とに基づいて、実際のロール半径が正確に算出される。そして、そのロール半径と送出し側ロールの初期半径又は巻取り側ロールの最大巻取り半径とに基づいて、停止しているフィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるように、モータが制御される。これにより、フィルムが使用されるにつれて送出し側ロールの径が減少するとともに巻取り側ロールの径が増加した場合において、実際のロール半径に基づいて、フィルムの張力が適正な張力になるように制御される。したがって、フィルムが使用されるにつれて実際のロール半径が変動した場合であっても、フィルムに加えられる張力が適正な張力に維持される。
【0010】
また、本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置は、上述したフィルム供給装置において、基準センサとロール回転センサとは各々エンコーダからなり、基準回転信号は基準センサが基準ローラの回転量に応じて生成する基準回転パルス信号からなり、ロール回転信号はロール回転センサが送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量に応じて生成するロール回転パルス信号からなり、適正な張力は、送出し側ロールが初期半径を有する場合、又は巻取り側ロールが最大巻取り半径を有する場合において予め定められており、制御部は、初期半径又は最大巻取り半径と適正な張力とを記憶し、基準回転パルス信号とロール回転パルス信号とのパルス数を各々計測し、該各々計測されたパルス数に基づいて送出し側ロール又は巻取り側ロールのロール半径を算出し、該算出されたロール半径と初期半径又は最大巻取り半径とに基づいてフィルムに加えられている張力が適正な張力になるようにモータを制御することを特徴とする。
【0011】
これによれば、所定の基準半径を有する基準ローラの回転量と、送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量とが、エンコーダによって生成されたパルスに基づいて算出される。したがって、送出し側ロール又は巻取り側ロールにおける実際のロール半径が正確に算出されるので、フィルムが使用されるにつれて実際のロール半径が変動した場合であっても、フィルムに加えられる張力が適正な張力に維持される。
【0012】
また、本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給方法は、相対向する金型を使用して電子部品を樹脂封止する際において、予め巻かれているフィルムからなり所定の初期半径を有する送出し側ロールと、送出し側ロールから供給され金型の間を通過して巻き取られたフィルムからなり所定の最大巻取り半径をとり得る巻取り側ロールと、少なくとも巻取り側ロールを回転させることにより金型の間にフィルムを供給するモータとを使用する樹脂封止用のフィルム供給方法であって、初期半径又は最大巻取り半径を記憶する工程と、送出し側ロールが初期半径を有する場合、又は巻取り側ロールが最大巻取り半径を有する場合において、金型の間に供給されたフィルムが停止している状態におけるフィルムの適正な張力を決定して記憶する工程と、モータを回転させることにより金型の間にフィルムを供給する工程と、送出し側ロールと巻取り側ロールとの間に設けられ供給されたフィルムによって回転し所定の基準半径を有する基準ローラの単位時間当たりの基準回転数を計測する工程と、送出し側ロール又は巻取り側ロールの単位時間当たりのロール回転数を計測する工程と、基準半径と各々計測された基準回転数とロール回転数とに基づいて送出し側ロール又は巻取り側ロールの実際のロール半径を算出する工程と、算出されたロール半径と記憶された初期半径又は最大巻取り半径とに基づいて、金型の間に供給されたフィルムに加えられている張力が適正な張力になるようにモータを制御する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
これによれば、所定の基準半径を有する基準ローラの基準回転数と、送出し側ロール又は巻取り側ロールのロール回転数とに基づいて、実際のロール半径を正確に算出する。そして、そのロール半径と送出し側ロールの初期半径又は巻取り側ロールの最大巻取り半径とに基づいて、停止しているフィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるように、モータを制御する。これにより、フィルムが使用されるにつれて送出し側ロールの径が減少するとともに巻取り側ロールの径が増加した場合において、実際のロール半径に基づいて、フィルムの張力が適正な張力になるようにモータを制御する。したがって、フィルムを使用するにつれて実際のロール半径が変動した場合であっても、フィルムに加えられる張力を適正な張力に維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の第1の実施形態を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。図1に示されている樹脂封止用のフィルム1は、例えば、リリースフィルム、転写用フィルム、粘着フィルム(及びシール部材)等として使用される、プラスチック製のフィルムである。このフィルム1は、予め巻かれており未使用の状態で所定の初期半径Riを有する送出し側ロール2から供給され、所定の基準半径Rsを有する基準ローラ3を経由して巻取り側ロール4に巻き取られる。また、フィルム1は、基準ローラ3に密着して接触するとともにこれを回転させながら走行する。また、基準ローラ3と巻取り側ロール4との間において、上型と下型とからなる樹脂封止用の金型(図示なし)が、上型と下型とがフィルム1をはさむようにして設けられている。これらの金型は、金型間に基板(図示なし)が載置されフィルム1が停止している状態で、型締めを行う。
【0015】
送出し側ロール2は送出し側回転軸5に嵌装され、送出し側回転軸5は送出し側サーボモータ6に接続されている。この送出し側サーボモータ6には、送出し側エンコーダ7が取り付けられている。送出し側エンコーダ7は、送出し側回転軸5が1回転する際にPf(個)のパルスを生成するとともに、送出し側ロール2の回転量に応じたロール回転信号として送出し側パルス信号Sfを生成する。また、基準ローラ3が有する基準ローラ軸8には、基準エンコーダ9が取り付けられている。基準エンコーダ9は、基準ローラ軸8が1回転する際にPs(個)のパルスを生成するとともに、基準ローラ3の回転量に応じた基準回転信号として基準回転パルス信号Ssを生成する。
【0016】
巻取り側ロール4は巻取り側回転軸10に嵌装され、巻取り側回転軸10は巻取り側サーボモータ11に接続されている。巻取り側サーボモータ11には、巻取り側エンコーダ12が取り付けられている。巻取り側エンコーダ12は、巻取り側回転軸10が1回転する際にPw(個)のパルスを生成するとともに、巻取り側ロール4の回転量に応じたロール回転信号として巻取り側パルス信号Swを生成する。そして、各エンコーダ7,9,12からそれぞれ受け取った送出し側パルス信号Sf,基準回転パルス信号Ss,巻取り側パルス信号Swに基づいて送出し側サーボモータ6又は巻取り側サーボモータ11を制御する制御部13が設けられている。
【0017】
本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の動作を説明する。まず、フィルム1について送出し側ロール2が初期半径Riを有する場合に、すなわち送出し側ロール2が未使用の状態である場合において、制御部13から送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とにそれぞれ電圧を印加する。これにより、図1に示すように、巻取り側サーボモータ11は反時計回りの方向(実線の矢印の回転方向)に、送出し側サーボモータ6は時計回りの方向(破線の矢印の回転方向)に、それぞれ回転しようとする。ここで、各サーボモータ6,11に印加する電圧を様々に変化させることにより、停止しているフィルム1に様々な張力を加えることができる。ここでは、送出し側回転軸5をロックさせるように送出し側サーボモータ6に電圧を印加して、停止しているフィルム1に様々な張力を加えることとする。そして、停止しているフィルム1にしわやたるみ等が発生しないような適正な張力を見出して、その適正な張力とこれを実現する電圧の組合せ(印加条件)と初期半径Riとを、制御部13に記憶する。なお、フィルム1は、材質の相違、厚さの相違、製造ロットのばらつき等により、しわやたるみ等の発生のしやすさがまちまちなので、適正な張力とこれを実現する印加条件とを、予め実験的に見出しておくことが好ましい。
【0018】
次に、金型(図示なし)の間にフィルム1を供給して停止させる。その後に、制御部13から送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに印加条件に従ってそれぞれ電圧を印加して、フィルム1に所定の適正な張力を加える。そして、その状態で樹脂封止を開始する。樹脂封止を行いフィルム1が使用されて巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール2のロール半径が減少するとともに巻取り側ロール4のロール半径が増加する。これにより、フィルム1に加えられる張力が、当初加えられていた適正な張力から徐々に変化していく。具体的には、送出し側ロール2から送り出されるフィルム1に送出し側サーボモータ6によって加えられる張力が徐々に減少するとともに、巻取り側ロール4に巻き取られるフィルム1に巻取り側サーボモータ11によって加えられる張力が徐々に増加する。この状態を放置すれば、フィルム1に加えられる張力の均衡が崩れて、しわやたるみ等が発生するおそれがある。
【0019】
そこで、次に、制御部13は、その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを、次の手順によって算出する。まず、所定の単位時間だけフィルム1を送り出して、その後に停止させる。この単位時間において、基準エンコーダ9を使用して基準ローラ3の回転量に応じた基準回転パルス数Ns(個)を計測し、送出し側エンコーダ7を使用して送出し側ロール2の回転量に応じたロール回転パルス数Nf(個)を計測する。
【0020】
ところで、基準ローラ3と送出し側ロール2とについて、フィルム1の実際の走行距離Lを算出すると、次式が得られる。
L=2π・Rs・(Ns/Ps)=2π・Rf・(Nf/Pf)
ここで、各符号の意味をまとめると、以下のようになる。
Ps:基準ローラ軸8の1回転に対して基準エンコーダ9が生成するパルス数
Pf:送出し側回転軸5の1回転に対して送出し側エンコーダ7が生成するパルス数
Rs:基準ローラ軸8の基準半径
Nf:単位時間において計測されたロール回転パルス数
Ns:単位時間において計測された基準回転パルス数
Rf:その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径
そして、上述の式を変形すると、その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfが、次式で表される。
Rf=(Ns/Ps)・(Pf/Nf)・Rs
制御部13は、上述した符号によって表される値(既知)をこの式に代入することにより、その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出する。
【0021】
次に、制御部13は、算出された実際のロール半径Rfと記憶されていた初期半径Riとを比較して、送出し側ロール2が初期半径Riを有する場合における適正な張力に対して、比例計算を行う。これにより、制御部13は、記憶されていた適正な張力のうち、実際のロール半径Rfに対応して送出し側サーボモータ6がフィルム1に加えるべき張力を算出する。更に、制御部13は、案分計算を行って、適正な張力のうち、巻取り側サーボモータ11がフィルム1に加えるべき張力を算出する。
【0022】
次に、制御部13は、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに対して、算出された張力が実現するためのトルクを発生させるように、それぞれ電圧を印加する。これにより、送出し側ロール2が実際のロール半径Rfを有する場合において、そのロール半径Rfに対応した、しわやたるみ等が発生しにくい張力が、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とによってフィルム1に加えられる。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、フィルム1が巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール2のロール半径が減少するとともに巻取り側ロール4のロール半径が増加した場合において、ある時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出する。そして、算出された実際のロール半径Rfに基づいて、停止した状態にあるフィルム1に適正な張力が加えられるように、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とを制御する。これにより、当初設定した適正な張力、すなわちしわやたるみ等が発生しにくい張力を、停止した状態にあるフィルム1に加えるとともに、フィルム1を使いきるまでそのように張力を加えることを維持する。したがって、樹脂封止において、フィルム1にしわやたるみ等が発生することを防止することができる。また、各樹脂封止動作の前後に送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出することができるので、残量を正確に知ることが可能になる。したがって、フィルム1を残すことなく、送出し側ロール2を有効に使いきることができる。更に、フィルム供給装置の大型化を避けることができる。
【0024】
なお、ここまでの説明では、送出し側ロール2の初期半径Riを記憶して、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とを制御することとした。これに代えて、巻取り側ロール4がとり得る最大巻取り半径Rmを記憶して、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とを制御してもよい。この場合には、フィルム1が巻き取られる際に、空気の巻き込み等により、通常、最大巻取り半径Rmが初期半径Riよりも大きくなる。そこで、巻取り側ロール4が最大巻取り半径Rmを有する場合に、すなわちフィルム1のほぼ全量が巻取り側ロール4に巻き取られた状態で、停止しているフィルム1にしわやたるみ等が発生しないような適正な張力を、実験的に見出す。そして、最大巻取り半径Rmと、最大巻取り半径Rmを有する場合に見出された適正な張力及びこれを実現する印加条件とを、制御部13に記憶する。更に、制御部13は、最大巻取り半径Rmと、見出された適正な張力及び印加条件と、その時点において算出された巻取り側ロール4の実際のロール半径とに基づいて、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに電圧を印加する。また、この場合には、最大巻取り半径Rmと実際のロール半径とを比較することにより、送出し側ロール2の残量を把握することができる。
【0025】
また、制御部13により、初期半径Riと最大巻取り半径Rmとを記憶して、フィルム1が停止した状態で、それらの双方を使用して送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに電圧を印加してもよい。この場合には、制御部13は、その時点における送出し側ロール2と巻取り側ロール4との実際のロール半径を、それぞれ算出することになる。
【0026】
また、フィルム1が停止した状態で、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11との双方を回転させようとした。これに限らず、送出し側回転軸5をロックさせるように、送出し側サーボモータ6に電圧を印加してもよい。この場合には、巻取り側サーボモータ11を制御して適正なトルクを発生させることにより、フィルム1に適正な張力を加えることになる。また、逆に、巻取り側回転軸10をロックさせるように巻取り側サーボモータ11に電圧を印加し、図1に示された破線の矢印の方向に回転しようとするように送出し側サーボモータ6を制御して、適正なトルクを発生させることとしてもよい。
【0027】
また、本実施形態においては図2に示されているような変形例も可能である。図2は、図1の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。本変形例においては、基準ローラ3と巻取り側ロール4との間にガイドローラ14を設けて、フィルム1のスムーズな走行を可能にしている。本変形例によれば、樹脂封止装置の構成において、図1に示された場合よりも、構成要素を配置する際の自由度が増すことになる。また、ガイドローラ軸15にエンコーダを取り付けてこれを基準エンコーダとして、ガイドローラ14に基準ローラとしての機能を持たせることもできる。この場合には、図2に示された基準ローラ3とガイドローラ14とが位置を入れ換えた構成になる。
【0028】
(第2の実施形態)
本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の第2の実施形態を、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。本実施形態は、巻取り側サーボモータ11だけを使用する点と、送出し側回転軸5の一端には送出し側サーボモータ及び送出し側エンコーダに代えて電磁ブレーキ16を接続している点とで、第1の実施形態(図1参照)と相違する。そして、送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出することに代えて、巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwを算出し、これを最大巻取り半径Rmと比較して適正な張力を算出する。
【0029】
本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の動作は、次のようになる。まず、巻取り側ロール4が最大巻取り半径Rmを有する場合に、制御部13は、電磁ブレーキ16に電圧を印加して送出し側回転軸5をロックさせ、巻取り側サーボモータ11に電圧を印加する。そして、第1の実施形態と同様に、停止しているフィルム1にしわやたるみ等が発生しないような適正な張力を見出して、その適正な張力とこれを実現する電圧の組合せ(印加条件)と最大巻取り半径Rmとを、制御部13に記憶する。
【0030】
次に、実際に使用する送出し側ロール2を送出し側回転軸5に嵌装し、送出し側回転軸5のロックを解除して、樹脂封止を開始する。フィルム1が使用されて巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール2のロール半径が減少するとともに巻取り側ロール4のロール半径が増加する。そこで、制御部13は、第1の実施形態と同様に、所定の単位時間だけフィルム1を送り出す。そして、制御部13は、基準エンコーダ9と巻取り側エンコーダ12とを使用して、基準回転パルス数Ns(個)と巻取り側ロール4の回転によるロール回転パルス数Nw(個)とを、それぞれ計測する。更に、制御部13は、第1の実施形態と同様の手順により、これらのパルス数に基づいてその時点における巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwを算出する。
【0031】
次に、制御部13は、第1の実施形態と同様に、算出された実際のロール半径Rwと記憶されていた最大巻取り半径Rmとを比較して、巻取り側ロール4が最大巻取り半径Rmを有する場合における適正な張力に対して、比例計算を行う。これにより、制御部13は、巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwに対応して巻取り側サーボモータ11がフィルム1に加えるべき張力を算出する。
【0032】
次に、制御部13は、フィルム1が停止している状態で、電磁ブレーキ16に電圧を印加して送出し側回転軸5をロックさせる。そして、制御部13は、巻取り側サーボモータ11に対して、算出された張力が実現するためのトルクを発生させるように電圧を印加する。これにより、巻取り側ロール4が実際のロール半径Rwを有する場合において、そのロール半径Rwに対応した、しわやたるみ等が発生しにくい張力が、巻取り側サーボモータ11によってフィルム1に加えられる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、電磁ブレーキ16と巻取り側サーボモータ11とによって、巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwに対応したしわやたるみ等が発生しにくい張力を、フィルム1に加えることができる。そして、フィルム1を使いきるまで、そのように張力を加えることを維持する。したがって、第1の実施形態と同様に、樹脂封止において、フィルム1にしわやたるみ等が発生することを防止することができる。
【0034】
なお、本実施形態の変形例として、図4に示すような構成をとることも可能である。図4は、図3の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。この変形例では、巻取り側回転軸10の一端に、巻取り側サーボモータに代えて巻取り側トルクモータ17が設けられ、巻取り側回転軸10の他端に、巻取り側エンコーダ18が接続されている。また、送出し側回転軸5の他端には、送出し側ロール2の残量検出用の送出し側エンコーダ19が接続されている。この場合には、安価なトルクモータを使用して、図3に示された実施形態と同様の効果が得られる。また、残量検出用の送出し側エンコーダ19により、送出し側ロール2の半径を知ることができるので、送出し側ロール2の残量が正確に検出される。
【0035】
また、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルムが巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール及び取り側ロールのロール半径が変動した場合において、算出された実際のロール半径に基づいて、停止した状態にあるフィルムに適正な張力が加えられるようにモータが制御される。これにより、樹脂封止において、所定の適正な張力、すなわちしわやたるみ等が発生しにくい張力を、停止した状態にあるフィルムに加えるとともに、フィルムを使いきるまでそのように張力を加えることを維持する。したがって、樹脂封止を行う際に、フィルムにしわやたるみ等が発生することを防止することができる。これにより、本発明は、樹脂封止において、停止しているフィルムに加えられる張力を適正な張力に維持する樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法を提供することができるという、優れた実用的な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。
【図4】図3の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。
【図5】従来のフィルム供給装置の構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 フィルム
2 送出し側ロール
3 基準ローラ
4 巻取り側ロール
5 送出し側回転軸
6 送出し側サーボモータ(モータ)
7,19 送出し側エンコーダ
8 基準ローラ軸
9 基準エンコーダ(基準センサ)
10 巻取り側回転軸
11 巻取り側サーボモータ(モータ)
12,18 巻取り側エンコーダ
13 制御部
14 ガイドローラ
15 ガイドローラ軸
16 電磁ブレーキ
17 巻取り側トルクモータ(モータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に装着された半導体チップ等の電子部品を樹脂封止する際に、相対向する金型とそれらの金型間に供給されるフィルムとを使用する場合において、そのフィルムを供給する樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のフィルム供給装置を、図5を使用して説明する。図5は、従来のフィルム供給装置の構造を示す部分断面図である。相対向する金型、すなわち下型20と上型21とが設けられ、下型20の凹部22には、半導体チップ等の電子部品(図示なし)が装着されたリードフレームやプリント基板等の基板23が載置される。ここで、金型が型締めした状態で、上型21に設けられた樹脂流路(図示なし)を経由してキャビティ24に溶融樹脂が注入され、その溶融樹脂が硬化する。これにより、基板23上に硬化樹脂25が形成されて、最終製品であるパッケージを含む成形品が完成する。下型20と上型21との間には、フィルム26が張設される。このフィルム26は、送出し側ロール27から供給され、テンションローラ28,29を順次経由して巻取り側ロール30により巻き取られる。送出し側ロール27及び巻取り側ロール30は、それぞれモータ(図示なし)によって駆動される。そして、各モータに印加される電圧や送信される信号等をオン又はオフすることにより、金型間において一定の距離(送出し量)だけフィルム26が送り出される。したがって、送り出されたフィルム26をはさんで下型20と上型21とが型締めした状態で、樹脂封止が行われることになる。
【0003】
フィルム26は、次のような目的で使用される。第1に、フィルム26は、キャビティ24と硬化樹脂25との間の離型性を確保する目的で、リリースフィルムとして使用される場合がある。この場合には、フィルム26は、例えば、ふっ素樹脂から構成される。第2に、フィルム26は、硬化樹脂25に所定のパターン(ロゴタイプや製品名等)を転写する目的で、転写用フィルムとして使用される場合がある。この場合には、図5におけるフィルム26の下側の面に予め形成されたパターンが、硬化樹脂25に転写される。第3に、フィルム26は、基板23を仮固定するとともに、基板23の開口(図示なし)を経由して基板23の下面に溶融樹脂(図示なし)が漏れ出さないようにする目的で、粘着フィルム及びシール部材として使用される場合がある。この場合には、フィルム26は、図5とは異なり、基板23と下型20との間に張設され、基板23の下面に対向する側の面に粘着層を有している。
【0004】
ところで、フィルム26はこれらの目的及び機能を有するので、フィルム26にしわやたるみ等が発生すると、硬化樹脂25の表面に凹凸が生じることによる外観品位及び寸法精度の低下、転写されたパターンの不明瞭化による外観品位の低下、基板23の下面における樹脂ばりの発生等の問題が発生する。そこで、連続的に供給され走行しているフィルム26に加えられる張力を一定に保つための機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、巻き出しロール・巻き取りロール間(上述の送出し側ロール・巻取り側ロール間に相当)において一定の張力を加えながら、連続的に封止テープ(上述のフィルムに相当)の巻き出しと巻き取りとを行うことが可能に構成されている。したがって、この場合には、巻き出しロール・巻き取りロール間で封止テープに一定の張力を加えながら、連続的に封止テープを走行させることになる。また、巻き出しロール・巻き取りロール間に外方への引っ張り力を加えることで、封止テープに適正な張力を与える構成もある(例えば、特許文献1参照)。更に、巻き出しロール・巻き取りロール間に中間ローラを設け、これに張力検出用のセンサ(例えば、ロードセル)を設置して、フィルムの張力を直接測定する構成も可能である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−274194号公報(第1頁、第7頁、第10頁、
第9図、第17図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術によれば、次のような問題がある。第1に、フィルムが使用されるにつれて巻き出しロールの径が減少するとともに巻き取りロールの径が増加するので、巻き出しロールと巻き取りロールとの間においてフィルムに加えられる張力が変動する。これにより、連続的に供給され走行しているフィルムに一定の張力を加えようとしても、型締めする直前にフィルムが停止した状態において適正な張力を維持することが困難になる。したがって、フィルムが使用されるにつれて、フィルムが停止した状態でしわやたるみ等が発生するおそれがある。第2に、各ロール間に外方への引っ張り力を加える場合には、回転軸を移動させる必要があるので、機構が複雑になる。したがって、装置の大型化を招くおそれがあるとともに、コストの増大が避けられない。第3に、中間ローラと張力検出用のセンサとを使用する場合には、センサの設置場所が必要になるので装置の小型化が困難になるとともに、コストの増大が避けられない。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、樹脂封止用のフィルムが使用される場合において、停止しているフィルムに加えられる張力を適正な張力に維持することができる樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の技術的課題を解決するために、本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置は、相対向する金型を使用して電子部品を樹脂封止する際に使用され、予め巻かれているフィルムからなり所定の初期半径を有する送出し側ロールと、送出し側ロールから供給され金型の間を通過して巻き取られたフィルムからなり所定の最大巻取り半径をとり得る巻取り側ロールと、少なくとも巻取り側ロールを回転させることにより金型の間にフィルムを供給するモータとを有する樹脂封止用のフィルム供給装置であって、送出し側ロールと巻取り側ロールとの間に設けられ供給されたフィルムによって回転し所定の基準半径を有する基準ローラと、基準ローラの回転量に応じた基準回転信号を生成する基準センサと、送出し側ロールと巻取り側ロールとを各々回転させる回転軸のうち少なくとも一方の回転軸に取り付けられ送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量に応じたロール回転信号を生成するロール回転センサと、基準回転信号とロール回転信号とに基づいてロール回転センサが取り付けられた回転軸における送出し側ロール又は巻取り側ロールの実際のロール半径を算出するとともに、ロール半径と初期半径又は最大巻取り半径とに基づいて、金型の間に供給されたフィルムが停止している状態におけるフィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるようにモータを制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
これによれば、所定の基準半径を有する基準ローラの回転量と、送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量とに基づいて、実際のロール半径が正確に算出される。そして、そのロール半径と送出し側ロールの初期半径又は巻取り側ロールの最大巻取り半径とに基づいて、停止しているフィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるように、モータが制御される。これにより、フィルムが使用されるにつれて送出し側ロールの径が減少するとともに巻取り側ロールの径が増加した場合において、実際のロール半径に基づいて、フィルムの張力が適正な張力になるように制御される。したがって、フィルムが使用されるにつれて実際のロール半径が変動した場合であっても、フィルムに加えられる張力が適正な張力に維持される。
【0010】
また、本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置は、上述したフィルム供給装置において、基準センサとロール回転センサとは各々エンコーダからなり、基準回転信号は基準センサが基準ローラの回転量に応じて生成する基準回転パルス信号からなり、ロール回転信号はロール回転センサが送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量に応じて生成するロール回転パルス信号からなり、適正な張力は、送出し側ロールが初期半径を有する場合、又は巻取り側ロールが最大巻取り半径を有する場合において予め定められており、制御部は、初期半径又は最大巻取り半径と適正な張力とを記憶し、基準回転パルス信号とロール回転パルス信号とのパルス数を各々計測し、該各々計測されたパルス数に基づいて送出し側ロール又は巻取り側ロールのロール半径を算出し、該算出されたロール半径と初期半径又は最大巻取り半径とに基づいてフィルムに加えられている張力が適正な張力になるようにモータを制御することを特徴とする。
【0011】
これによれば、所定の基準半径を有する基準ローラの回転量と、送出し側ロール又は巻取り側ロールの回転量とが、エンコーダによって生成されたパルスに基づいて算出される。したがって、送出し側ロール又は巻取り側ロールにおける実際のロール半径が正確に算出されるので、フィルムが使用されるにつれて実際のロール半径が変動した場合であっても、フィルムに加えられる張力が適正な張力に維持される。
【0012】
また、本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給方法は、相対向する金型を使用して電子部品を樹脂封止する際において、予め巻かれているフィルムからなり所定の初期半径を有する送出し側ロールと、送出し側ロールから供給され金型の間を通過して巻き取られたフィルムからなり所定の最大巻取り半径をとり得る巻取り側ロールと、少なくとも巻取り側ロールを回転させることにより金型の間にフィルムを供給するモータとを使用する樹脂封止用のフィルム供給方法であって、初期半径又は最大巻取り半径を記憶する工程と、送出し側ロールが初期半径を有する場合、又は巻取り側ロールが最大巻取り半径を有する場合において、金型の間に供給されたフィルムが停止している状態におけるフィルムの適正な張力を決定して記憶する工程と、モータを回転させることにより金型の間にフィルムを供給する工程と、送出し側ロールと巻取り側ロールとの間に設けられ供給されたフィルムによって回転し所定の基準半径を有する基準ローラの単位時間当たりの基準回転数を計測する工程と、送出し側ロール又は巻取り側ロールの単位時間当たりのロール回転数を計測する工程と、基準半径と各々計測された基準回転数とロール回転数とに基づいて送出し側ロール又は巻取り側ロールの実際のロール半径を算出する工程と、算出されたロール半径と記憶された初期半径又は最大巻取り半径とに基づいて、金型の間に供給されたフィルムに加えられている張力が適正な張力になるようにモータを制御する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
これによれば、所定の基準半径を有する基準ローラの基準回転数と、送出し側ロール又は巻取り側ロールのロール回転数とに基づいて、実際のロール半径を正確に算出する。そして、そのロール半径と送出し側ロールの初期半径又は巻取り側ロールの最大巻取り半径とに基づいて、停止しているフィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるように、モータを制御する。これにより、フィルムが使用されるにつれて送出し側ロールの径が減少するとともに巻取り側ロールの径が増加した場合において、実際のロール半径に基づいて、フィルムの張力が適正な張力になるようにモータを制御する。したがって、フィルムを使用するにつれて実際のロール半径が変動した場合であっても、フィルムに加えられる張力を適正な張力に維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の第1の実施形態を、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。図1に示されている樹脂封止用のフィルム1は、例えば、リリースフィルム、転写用フィルム、粘着フィルム(及びシール部材)等として使用される、プラスチック製のフィルムである。このフィルム1は、予め巻かれており未使用の状態で所定の初期半径Riを有する送出し側ロール2から供給され、所定の基準半径Rsを有する基準ローラ3を経由して巻取り側ロール4に巻き取られる。また、フィルム1は、基準ローラ3に密着して接触するとともにこれを回転させながら走行する。また、基準ローラ3と巻取り側ロール4との間において、上型と下型とからなる樹脂封止用の金型(図示なし)が、上型と下型とがフィルム1をはさむようにして設けられている。これらの金型は、金型間に基板(図示なし)が載置されフィルム1が停止している状態で、型締めを行う。
【0015】
送出し側ロール2は送出し側回転軸5に嵌装され、送出し側回転軸5は送出し側サーボモータ6に接続されている。この送出し側サーボモータ6には、送出し側エンコーダ7が取り付けられている。送出し側エンコーダ7は、送出し側回転軸5が1回転する際にPf(個)のパルスを生成するとともに、送出し側ロール2の回転量に応じたロール回転信号として送出し側パルス信号Sfを生成する。また、基準ローラ3が有する基準ローラ軸8には、基準エンコーダ9が取り付けられている。基準エンコーダ9は、基準ローラ軸8が1回転する際にPs(個)のパルスを生成するとともに、基準ローラ3の回転量に応じた基準回転信号として基準回転パルス信号Ssを生成する。
【0016】
巻取り側ロール4は巻取り側回転軸10に嵌装され、巻取り側回転軸10は巻取り側サーボモータ11に接続されている。巻取り側サーボモータ11には、巻取り側エンコーダ12が取り付けられている。巻取り側エンコーダ12は、巻取り側回転軸10が1回転する際にPw(個)のパルスを生成するとともに、巻取り側ロール4の回転量に応じたロール回転信号として巻取り側パルス信号Swを生成する。そして、各エンコーダ7,9,12からそれぞれ受け取った送出し側パルス信号Sf,基準回転パルス信号Ss,巻取り側パルス信号Swに基づいて送出し側サーボモータ6又は巻取り側サーボモータ11を制御する制御部13が設けられている。
【0017】
本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の動作を説明する。まず、フィルム1について送出し側ロール2が初期半径Riを有する場合に、すなわち送出し側ロール2が未使用の状態である場合において、制御部13から送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とにそれぞれ電圧を印加する。これにより、図1に示すように、巻取り側サーボモータ11は反時計回りの方向(実線の矢印の回転方向)に、送出し側サーボモータ6は時計回りの方向(破線の矢印の回転方向)に、それぞれ回転しようとする。ここで、各サーボモータ6,11に印加する電圧を様々に変化させることにより、停止しているフィルム1に様々な張力を加えることができる。ここでは、送出し側回転軸5をロックさせるように送出し側サーボモータ6に電圧を印加して、停止しているフィルム1に様々な張力を加えることとする。そして、停止しているフィルム1にしわやたるみ等が発生しないような適正な張力を見出して、その適正な張力とこれを実現する電圧の組合せ(印加条件)と初期半径Riとを、制御部13に記憶する。なお、フィルム1は、材質の相違、厚さの相違、製造ロットのばらつき等により、しわやたるみ等の発生のしやすさがまちまちなので、適正な張力とこれを実現する印加条件とを、予め実験的に見出しておくことが好ましい。
【0018】
次に、金型(図示なし)の間にフィルム1を供給して停止させる。その後に、制御部13から送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに印加条件に従ってそれぞれ電圧を印加して、フィルム1に所定の適正な張力を加える。そして、その状態で樹脂封止を開始する。樹脂封止を行いフィルム1が使用されて巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール2のロール半径が減少するとともに巻取り側ロール4のロール半径が増加する。これにより、フィルム1に加えられる張力が、当初加えられていた適正な張力から徐々に変化していく。具体的には、送出し側ロール2から送り出されるフィルム1に送出し側サーボモータ6によって加えられる張力が徐々に減少するとともに、巻取り側ロール4に巻き取られるフィルム1に巻取り側サーボモータ11によって加えられる張力が徐々に増加する。この状態を放置すれば、フィルム1に加えられる張力の均衡が崩れて、しわやたるみ等が発生するおそれがある。
【0019】
そこで、次に、制御部13は、その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを、次の手順によって算出する。まず、所定の単位時間だけフィルム1を送り出して、その後に停止させる。この単位時間において、基準エンコーダ9を使用して基準ローラ3の回転量に応じた基準回転パルス数Ns(個)を計測し、送出し側エンコーダ7を使用して送出し側ロール2の回転量に応じたロール回転パルス数Nf(個)を計測する。
【0020】
ところで、基準ローラ3と送出し側ロール2とについて、フィルム1の実際の走行距離Lを算出すると、次式が得られる。
L=2π・Rs・(Ns/Ps)=2π・Rf・(Nf/Pf)
ここで、各符号の意味をまとめると、以下のようになる。
Ps:基準ローラ軸8の1回転に対して基準エンコーダ9が生成するパルス数
Pf:送出し側回転軸5の1回転に対して送出し側エンコーダ7が生成するパルス数
Rs:基準ローラ軸8の基準半径
Nf:単位時間において計測されたロール回転パルス数
Ns:単位時間において計測された基準回転パルス数
Rf:その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径
そして、上述の式を変形すると、その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfが、次式で表される。
Rf=(Ns/Ps)・(Pf/Nf)・Rs
制御部13は、上述した符号によって表される値(既知)をこの式に代入することにより、その時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出する。
【0021】
次に、制御部13は、算出された実際のロール半径Rfと記憶されていた初期半径Riとを比較して、送出し側ロール2が初期半径Riを有する場合における適正な張力に対して、比例計算を行う。これにより、制御部13は、記憶されていた適正な張力のうち、実際のロール半径Rfに対応して送出し側サーボモータ6がフィルム1に加えるべき張力を算出する。更に、制御部13は、案分計算を行って、適正な張力のうち、巻取り側サーボモータ11がフィルム1に加えるべき張力を算出する。
【0022】
次に、制御部13は、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに対して、算出された張力が実現するためのトルクを発生させるように、それぞれ電圧を印加する。これにより、送出し側ロール2が実際のロール半径Rfを有する場合において、そのロール半径Rfに対応した、しわやたるみ等が発生しにくい張力が、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とによってフィルム1に加えられる。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、フィルム1が巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール2のロール半径が減少するとともに巻取り側ロール4のロール半径が増加した場合において、ある時点における送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出する。そして、算出された実際のロール半径Rfに基づいて、停止した状態にあるフィルム1に適正な張力が加えられるように、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とを制御する。これにより、当初設定した適正な張力、すなわちしわやたるみ等が発生しにくい張力を、停止した状態にあるフィルム1に加えるとともに、フィルム1を使いきるまでそのように張力を加えることを維持する。したがって、樹脂封止において、フィルム1にしわやたるみ等が発生することを防止することができる。また、各樹脂封止動作の前後に送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出することができるので、残量を正確に知ることが可能になる。したがって、フィルム1を残すことなく、送出し側ロール2を有効に使いきることができる。更に、フィルム供給装置の大型化を避けることができる。
【0024】
なお、ここまでの説明では、送出し側ロール2の初期半径Riを記憶して、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とを制御することとした。これに代えて、巻取り側ロール4がとり得る最大巻取り半径Rmを記憶して、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とを制御してもよい。この場合には、フィルム1が巻き取られる際に、空気の巻き込み等により、通常、最大巻取り半径Rmが初期半径Riよりも大きくなる。そこで、巻取り側ロール4が最大巻取り半径Rmを有する場合に、すなわちフィルム1のほぼ全量が巻取り側ロール4に巻き取られた状態で、停止しているフィルム1にしわやたるみ等が発生しないような適正な張力を、実験的に見出す。そして、最大巻取り半径Rmと、最大巻取り半径Rmを有する場合に見出された適正な張力及びこれを実現する印加条件とを、制御部13に記憶する。更に、制御部13は、最大巻取り半径Rmと、見出された適正な張力及び印加条件と、その時点において算出された巻取り側ロール4の実際のロール半径とに基づいて、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに電圧を印加する。また、この場合には、最大巻取り半径Rmと実際のロール半径とを比較することにより、送出し側ロール2の残量を把握することができる。
【0025】
また、制御部13により、初期半径Riと最大巻取り半径Rmとを記憶して、フィルム1が停止した状態で、それらの双方を使用して送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11とに電圧を印加してもよい。この場合には、制御部13は、その時点における送出し側ロール2と巻取り側ロール4との実際のロール半径を、それぞれ算出することになる。
【0026】
また、フィルム1が停止した状態で、送出し側サーボモータ6と巻取り側サーボモータ11との双方を回転させようとした。これに限らず、送出し側回転軸5をロックさせるように、送出し側サーボモータ6に電圧を印加してもよい。この場合には、巻取り側サーボモータ11を制御して適正なトルクを発生させることにより、フィルム1に適正な張力を加えることになる。また、逆に、巻取り側回転軸10をロックさせるように巻取り側サーボモータ11に電圧を印加し、図1に示された破線の矢印の方向に回転しようとするように送出し側サーボモータ6を制御して、適正なトルクを発生させることとしてもよい。
【0027】
また、本実施形態においては図2に示されているような変形例も可能である。図2は、図1の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。本変形例においては、基準ローラ3と巻取り側ロール4との間にガイドローラ14を設けて、フィルム1のスムーズな走行を可能にしている。本変形例によれば、樹脂封止装置の構成において、図1に示された場合よりも、構成要素を配置する際の自由度が増すことになる。また、ガイドローラ軸15にエンコーダを取り付けてこれを基準エンコーダとして、ガイドローラ14に基準ローラとしての機能を持たせることもできる。この場合には、図2に示された基準ローラ3とガイドローラ14とが位置を入れ換えた構成になる。
【0028】
(第2の実施形態)
本発明に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の第2の実施形態を、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。本実施形態は、巻取り側サーボモータ11だけを使用する点と、送出し側回転軸5の一端には送出し側サーボモータ及び送出し側エンコーダに代えて電磁ブレーキ16を接続している点とで、第1の実施形態(図1参照)と相違する。そして、送出し側ロール2の実際のロール半径Rfを算出することに代えて、巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwを算出し、これを最大巻取り半径Rmと比較して適正な張力を算出する。
【0029】
本実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置の動作は、次のようになる。まず、巻取り側ロール4が最大巻取り半径Rmを有する場合に、制御部13は、電磁ブレーキ16に電圧を印加して送出し側回転軸5をロックさせ、巻取り側サーボモータ11に電圧を印加する。そして、第1の実施形態と同様に、停止しているフィルム1にしわやたるみ等が発生しないような適正な張力を見出して、その適正な張力とこれを実現する電圧の組合せ(印加条件)と最大巻取り半径Rmとを、制御部13に記憶する。
【0030】
次に、実際に使用する送出し側ロール2を送出し側回転軸5に嵌装し、送出し側回転軸5のロックを解除して、樹脂封止を開始する。フィルム1が使用されて巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール2のロール半径が減少するとともに巻取り側ロール4のロール半径が増加する。そこで、制御部13は、第1の実施形態と同様に、所定の単位時間だけフィルム1を送り出す。そして、制御部13は、基準エンコーダ9と巻取り側エンコーダ12とを使用して、基準回転パルス数Ns(個)と巻取り側ロール4の回転によるロール回転パルス数Nw(個)とを、それぞれ計測する。更に、制御部13は、第1の実施形態と同様の手順により、これらのパルス数に基づいてその時点における巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwを算出する。
【0031】
次に、制御部13は、第1の実施形態と同様に、算出された実際のロール半径Rwと記憶されていた最大巻取り半径Rmとを比較して、巻取り側ロール4が最大巻取り半径Rmを有する場合における適正な張力に対して、比例計算を行う。これにより、制御部13は、巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwに対応して巻取り側サーボモータ11がフィルム1に加えるべき張力を算出する。
【0032】
次に、制御部13は、フィルム1が停止している状態で、電磁ブレーキ16に電圧を印加して送出し側回転軸5をロックさせる。そして、制御部13は、巻取り側サーボモータ11に対して、算出された張力が実現するためのトルクを発生させるように電圧を印加する。これにより、巻取り側ロール4が実際のロール半径Rwを有する場合において、そのロール半径Rwに対応した、しわやたるみ等が発生しにくい張力が、巻取り側サーボモータ11によってフィルム1に加えられる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、電磁ブレーキ16と巻取り側サーボモータ11とによって、巻取り側ロール4の実際のロール半径Rwに対応したしわやたるみ等が発生しにくい張力を、フィルム1に加えることができる。そして、フィルム1を使いきるまで、そのように張力を加えることを維持する。したがって、第1の実施形態と同様に、樹脂封止において、フィルム1にしわやたるみ等が発生することを防止することができる。
【0034】
なお、本実施形態の変形例として、図4に示すような構成をとることも可能である。図4は、図3の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。この変形例では、巻取り側回転軸10の一端に、巻取り側サーボモータに代えて巻取り側トルクモータ17が設けられ、巻取り側回転軸10の他端に、巻取り側エンコーダ18が接続されている。また、送出し側回転軸5の他端には、送出し側ロール2の残量検出用の送出し側エンコーダ19が接続されている。この場合には、安価なトルクモータを使用して、図3に示された実施形態と同様の効果が得られる。また、残量検出用の送出し側エンコーダ19により、送出し側ロール2の半径を知ることができるので、送出し側ロール2の残量が正確に検出される。
【0035】
また、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルムが巻き取られて行くにつれて、送出し側ロール及び取り側ロールのロール半径が変動した場合において、算出された実際のロール半径に基づいて、停止した状態にあるフィルムに適正な張力が加えられるようにモータが制御される。これにより、樹脂封止において、所定の適正な張力、すなわちしわやたるみ等が発生しにくい張力を、停止した状態にあるフィルムに加えるとともに、フィルムを使いきるまでそのように張力を加えることを維持する。したがって、樹脂封止を行う際に、フィルムにしわやたるみ等が発生することを防止することができる。これにより、本発明は、樹脂封止において、停止しているフィルムに加えられる張力を適正な張力に維持する樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法を提供することができるという、優れた実用的な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る樹脂封止用のフィルム供給装置について、その構造を示す概略斜視図である。
【図4】図3の樹脂封止用のフィルム供給装置の変形例について、その構造を示す概略斜視図である。
【図5】従来のフィルム供給装置の構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 フィルム
2 送出し側ロール
3 基準ローラ
4 巻取り側ロール
5 送出し側回転軸
6 送出し側サーボモータ(モータ)
7,19 送出し側エンコーダ
8 基準ローラ軸
9 基準エンコーダ(基準センサ)
10 巻取り側回転軸
11 巻取り側サーボモータ(モータ)
12,18 巻取り側エンコーダ
13 制御部
14 ガイドローラ
15 ガイドローラ軸
16 電磁ブレーキ
17 巻取り側トルクモータ(モータ)
Claims (3)
- 相対向する金型を使用して電子部品を樹脂封止する際に使用され、予め巻かれているフィルムからなり所定の初期半径を有する送出し側ロールと、前記送出し側ロールから供給され前記金型の間を通過して巻き取られたフィルムからなり所定の最大巻取り半径をとり得る巻取り側ロールと、少なくとも前記巻取り側ロールを回転させることにより前記金型の間に前記フィルムを供給するモータとを有する樹脂封止用のフィルム供給装置であって、
前記送出し側ロールと前記巻取り側ロールとの間に設けられ前記供給されたフィルムによって回転し所定の基準半径を有する基準ローラと、
前記基準ローラの回転量に応じた基準回転信号を生成する基準センサと、
前記送出し側ロールと前記巻取り側ロールとを各々回転させる回転軸のうち少なくとも一方の回転軸に取り付けられ前記送出し側ロール又は前記巻取り側ロールの回転量に応じたロール回転信号を生成するロール回転センサと、
前記基準回転信号と前記ロール回転信号とに基づいて前記ロール回転センサが取り付けられた回転軸における前記送出し側ロール又は前記巻取り側ロールの実際のロール半径を算出するとともに、前記ロール半径と前記初期半径又は前記最大巻取り半径とに基づいて、前記金型の間に供給されたフィルムが停止している状態における前記フィルムに加えられている張力が所定の適正な張力になるように前記モータを制御する制御部とを備えたことを特徴とする樹脂封止用のフィルム供給装置。 - 請求項1記載の樹脂封止用のフィルム供給装置において、
前記基準センサと前記ロール回転センサとは各々エンコーダからなり、
前記基準回転信号は前記基準センサが前記基準ローラの回転量に応じて生成する基準回転パルス信号からなり、
前記ロール回転信号は前記ロール回転センサが前記送出し側ロール又は前記巻取り側ロールの回転量に応じて生成するロール回転パルス信号からなり、
前記適正な張力は、前記送出し側ロールが前記初期半径を有する場合、又は前記巻取り側ロールが前記最大巻取り半径を有する場合において予め定められており、
前記制御部は、前記初期半径又は前記最大巻取り半径と前記適正な張力とを記憶し、前記基準回転パルス信号と前記ロール回転パルス信号とのパルス数を各々計測し、該各々計測されたパルス数に基づいて前記送出し側ロール又は前記巻取り側ロールのロール半径を算出し、該算出されたロール半径と前記初期半径又は前記最大巻取り半径とに基づいて前記フィルムに加えられている張力が前記適正な張力になるように前記モータを制御することを特徴とする樹脂封止用のフィルム供給装置。 - 相対向する金型を使用して電子部品を樹脂封止する際において、予め巻かれているフィルムからなり所定の初期半径を有する送出し側ロールと、前記送出し側ロールから供給され前記金型の間を通過して巻き取られたフィルムからなり所定の最大巻取り半径をとり得る巻取り側ロールと、少なくとも前記巻取り側ロールを回転させることにより前記金型の間に前記フィルムを供給するモータとを使用する樹脂封止用のフィルム供給方法であって、
前記初期半径又は前記最大巻取り半径を記憶する工程と、
前記送出し側ロールが前記初期半径を有する場合、又は前記巻取り側ロールが前記最大巻取り半径を有する場合において、前記金型の間に供給されたフィルムが停止している状態における前記フィルムの適正な張力を決定して記憶する工程と、
前記モータを回転させることにより前記金型の間に前記フィルムを供給する工程と、
前記送出し側ロールと前記巻取り側ロールとの間に設けられ前記供給されたフィルムによって回転し所定の基準半径を有する基準ローラの単位時間当たりの基準回転数を計測する工程と、
前記送出し側ロール又は前記巻取り側ロールの単位時間当たりのロール回転数を計測する工程と、
前記基準半径と各々計測された前記基準回転数と前記ロール回転数とに基づいて前記送出し側ロール又は前記巻取り側ロールの実際のロール半径を算出する工程と、
前記算出されたロール半径と記憶された前記前記初期半径又は前記最大巻取り半径とに基づいて、前記金型の間に供給されたフィルムに加えられている張力が前記適正な張力になるように前記モータを制御する工程とを備えたことを特徴とする樹脂封止用のフィルム供給方法。
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---|---|---|---|
JP2003085862A JP2004296691A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 樹脂封止用のフィルム供給装置及び供給方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006107057A1 (en) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Nissha Printing Co., Ltd. | Molding apparatus and molding method using a transfer film |
JP2016008142A (ja) * | 2014-06-26 | 2016-01-18 | キヤノン株式会社 | 搬送装置、記録装置、制御方法及びシート送り出し方法 |
CN108688049A (zh) * | 2017-04-11 | 2018-10-23 | 矽品精密工业股份有限公司 | 模封设备 |
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2003
- 2003-03-26 JP JP2003085862A patent/JP2004296691A/ja active Pending
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