JP2004294805A - 液晶表示装置、表示装置の製造方法、パターニング方法 - Google Patents

液晶表示装置、表示装置の製造方法、パターニング方法 Download PDF

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健 中嶋
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Abstract

【課題】表示品質の劣化が抑制され、高歩留りで製造される液晶表示装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる液晶表示装置は、液晶層を挟んで互いに対向して配置された一対の基板を備える液晶表示装置であって、基板上に設けられた絶縁膜7と、絶縁膜の上に設けられた有機膜8と、絶縁膜の一部を除去することにより、設けられたコンタクトホール12と、コンタクトホール12の上に設けられた導電性薄膜9とを備えている。コンタクトホール12が、絶縁膜7の上に形成された有機膜8をコンタクトホール12に対応する開口部30及び開口部20の周辺に設けられ露光装置の解像度以下の幅のスリットパターン21を有するマスクを用いて露光されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、表示装置の製造方法、膜のパターニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示装置は、それぞれの上面および下面に電極を備えた2枚の基板の間に液晶からなる液晶層が挟持され、さらに2枚の基板の上下に偏光板が設置され、透過型のものでは背面にバックライトが設置された構造を有している。これらの基板の電極を有する表面には、いわゆる配向処理がなされ、液晶分子の向きを平均的に表わしたダイレクタが所望の液晶には複屈折性があり、バックライトから偏光板を通して入射された光は複屈折により楕円偏光に変化し、反対側の偏光板に入射される。この状態で、上下の電極間に電圧を印加すると、ダイレクタの配列状態が変化して液晶層の複屈折率が変化し、反対側の偏光板に入射される楕円偏光状態が変化し、したがって、液晶表示装置を透過する光強度およびスペクトルが変化する電気光学効果が得られる。
【0003】
液晶表示装置には、バックライト(背面光源)をその背面又は側方に設置して、画像表示を行う透過型液晶表示装置と、基板に反射板を設置し、周囲光を反射板表面で反射させることにより画像表示を行う反射型液晶表示装置とがある。この透過型液晶表示装置は、周囲光が非常に明るい場合には、周囲光に比べて表示光が暗いため表示を観察できないという問題がある。他方、反射型液晶表示装置は、周囲光が暗い場合には視認性が極端に低下するという欠点を有する。
【0004】
これらの問題点を解決するために、光の一部を透過し、また光の一部を反射する半透過型反射膜を用いた液晶表示装置(以下、半透過型液晶表示装置)が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。さらに、本件の出願人は良好な散乱特性を得るために絶縁膜の上に有機膜を設け、有機膜の表面に凸凹パターンを形成する半透過型液晶表示装置の開発を行っている(例えば、特許文献4)。
【0005】
この半透過型液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板では例えば、ガラス基板等の基板上にゲート配線となる第1の金属薄膜(たとえばクロム、モリブデン、タンタル、チタン、アルミニウム、銅やこれらに他の物質を微量に添加した合金等)を形成する。次に、SiN等の第1の絶縁膜、a−Si等の半導体能動膜、n−a−Si等のオーミックコンタクト膜4を連続で成膜する。その上からソース配線、ソース電極、ドレイン電極となる第2の金属薄膜(たとえばクロム、モリブデン、タンタル、チタン、アルミニウム、銅やこれらに他の物質を微量に添加した合金)を形成する。さらに第2の絶縁膜及び有機膜を設ける。画素電極を設ける部分等では第1の絶縁膜、第2の絶縁膜及び有機膜を除去し、ITO等の透明導電膜を形成する。そして、透明導電膜の上に反射電極を形成している。
しかし、絶縁膜の上に有機膜を設ける液晶表示装置では以下のような問題点があった。この問題点について図3を用いて説明する。図3(a)はマスクパターンの平面図、図3(b)はマスクパターンの断面図、図3(c)はTFTアレイ基板の断面図である。7は絶縁膜、8は有機膜、20は開口部、30は遮光部である。
【0006】
有機膜及び絶縁膜を除去する工程では、図3(a)に示すような開口部20を有するマスクパターン30を用いて光を照射する。このとき、開口部20からの光の拡がりによって、開口部に対応した領域の周辺にも光が漏れ、光が照射される。アルカリ現像液等で現像すると、光を照射した部分(開口部に対応した領域及びその周辺)の有機膜8が溶解する。しかし、周辺の領域は光が完全に照射されておらず、光量が少ない。そのため、周辺の領域は現像しても完全に除去されず、有機膜8はテーパ形状になるがテーパ角は大きくなってしまう。その後、ドライエッチングを行うことで絶縁膜7及び有機膜8の一部が除去され、図3(c)のようなパターンが形成される。
【0007】
このようにして有機膜8及び絶縁膜7を除去した場合、絶縁膜7のテーパ角度が大きくなってしまい、段差部分で上部に形成された透明導電膜が断線することがあった。ドライエッチング後の絶縁膜7のテーパ角度はドライエッチング前の有機膜8のテーパ形状が反映されるため、制御することが困難であった。例えば、絶縁膜のテーパ角度が70度となった場合、段差部分で段切れが生じることがあった。このような段切れにより配線や電極の抵抗が劣化し、表示品質が劣化するという問題点があった。さらには、段切れによってドット落ちが多数発生し歩留りが低下するといった問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−333598号公報
【特許文献2】
特開2000−19563号公報
【特許文献3】
特開2000−305110号公報
【特許文献4】
特願2002−048074号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の液晶表示装置では、表示品質の劣化や歩留りが低下するという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、表示品質の劣化が抑制され、高歩留りで製造される液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる液晶表示装置は、液晶層を挟んで互いに対向して配置された一対の基板を備える液晶表示装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板上に設けられ、テーパ角度が60度以下の絶縁膜(例えば、本実施の形態における絶縁膜7)と、前記絶縁膜の一部を除去することにより、設けられたコンタクトホール(例えば、本実施の形態におけるコンタクトホール12)と、前記コンタクトホールの上に設けられた導電性薄膜(例えば、本実施の形態における導電性薄膜9)とを備えるものである。これにより、コンタクトホールでの導電性薄膜の段切れを防ぐことができる。
【0011】
上述の液晶表示装置の好適な実施例は前記コンタクトホールが、前記絶縁膜の上に形成された感光性材料(例えば、本実施の形態における有機膜8)を前記コンタクトホールに対応する開口部(例えば、本実施の形態における開口部20)及び前記開口部の周辺に設けられ露光装置の解像度以下の幅のスリットパターン(例えば、本実施の形態におけるスリットパターン21)を有するマスクを用いて露光することにより形成されたものである。
【0012】
上述の液晶表示装置は前記感光性材料が有機膜であり、当該有機膜が前記絶縁膜の上に設けられていてもよい。
【0013】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は液晶層を挟んで互いに対向して配置された一対の基板を備える液晶表示装置の製造方法であって、前記一対の基板のうちの一方の基板上に絶縁膜を形成するステップと、前記絶縁膜の上に感光性材料を塗布するステップと、前記絶縁膜を露出させるよう、前記感光性材料の一部を除去するステップと、前記絶縁膜及び前記感光性材料の一部を除去してコンタクトホールを形成するステップと、前記コンタクトホールの上に導電性薄膜を形成するステップとを備え、前記感光性材料の一部を除去するステップでは、パターンを形成する開口部と開口部の周辺に設けられ、露光装置の解像度以下のパターンを有するマスクを用いて露光されるものである。これにより、コンタクトホールでの導電性薄膜の段切れを防ぐことができる。
【0014】
上述の液晶表示装置の製造方法の好適な実施例は前記感光性材料が有機膜である。
【0015】
上述の液晶表示装置の製造方法の別の好適な実施例は前記感光性材料がレジストであり、前記レジストを全て除去するステップをさらに備えるものである。
【0016】
上述の液晶表示装置の製造方法において前記コンタクトホールを形成するステップでは、ドライエッチングにより前記感光性材料及び前記絶縁膜を同時に除去することが望ましい。これにより、コンタクトホールでの導電性薄膜の段切れを防ぐことができる。
【0017】
本発明にかかる膜のパターニング方法は下地膜を成膜するステップと、前記下地膜の上に感光性材料を塗布するステップと、前記感光性材料を、ホールを形成するための開口部及び開口部の周辺に設けられたスリットパターンを有するマスクを用いて露光するステップと、前記感光性材料を現像するステップと、前記感光性材料及び前記下地膜をエッチングするステップとを有するものである。これにより、下地膜のホール端部における立ち上がりをなだらかにすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態1.
図1に本発明の実施の形態1にかかる半透過型液晶表示装置の製造プロセスフローを示す。この製造プロセスでは、6回の写真工程により半透過型a−SiのTFTアレイを製造している。
【0019】
まず、絶縁性基板としてガラス基板を洗浄して表面を清浄化する。絶縁性基板には、ガラス基板等の透明な絶縁性基板を用いる。また、絶縁性基板の厚さは任意でよいが、液晶表示装置の厚さを薄くするために1.1mm厚以下のものが好ましい。絶縁性基板が薄すぎる場合には各種の成膜やプロセスの熱履歴によって基板の歪みが生じるためにパターニング精度が低下するなどの不具合を生じるので、絶縁性基板の厚さは使用するプロセスを考慮して選択する必要がある。また、絶縁性基板がガラスなどの脆性破壊材料からなる場合、基板の端面は面取りを実施しておくことが、端面からのチッピングによる異物の混入を防止する上で好ましい。また、絶縁性基板の一部に切り欠きを設けて基板の向きが特定できるようにすることが、各プロセスでの基板処理の方向が特定できることでプロセス管理がしやすくなることより好ましい。
【0020】
つぎに、スパッタリングなどの方法で第1の金属薄膜1を成膜する。第1の金属薄膜1としては、たとえばクロム、モリブデン、タンタル、チタン、アルミニウム、銅やこれらに他の物質を微量に添加した合金などあるいはこれらの積層からなる100nm から500nm程度の膜厚の薄膜を用いることができる。好適な実施例では、200nmの膜厚のクロムが用いられる。第1の金属薄膜1上には、後述の工程でドライエッチングによりコンタクトホールが形成され、導電性薄膜が形成されるので、表面酸化が生じにくい金属薄膜や酸化されても導電性を有する金属薄膜を第1の金属薄膜1に用いることが好ましく、少なくとも表面がクロム、チタン、タンタル、モリブデンなどのうちのいずれかであることが好ましい。また、第1の金属薄膜1として、異種の金属薄膜を積層した金属薄膜や膜厚方向に組成の異なる金属薄膜を用いることもできる。また、第1の金属薄膜1としてアルミニウムを含む材料を用いた場合は、少なくとも表面が10〜1000μΩ程度の比抵抗を有する窒化アルミニウムであることが好ましい。
【0021】
つぎに、第1のフォトリソグラフィープロセス(写真工程)で第1の金属薄膜1をゲート電極およびゲート配線、補助容量電極および補助容量配線をパターニングする。これにより、図1(a)で示される構造が形成される。フォトリソグラフィープロセスはTFTアレイ基板を洗浄後、感光性レジストを塗布・乾燥したのちに、所定のパターンが形成されたマスクパターンを通して露光し、現像することで写真製版的にTFTアレイ基板上にマスクパターンを転写したレジストを形成し、感光性レジストを加熱硬化させたのちにエッチングを行い、感光性レジストを剥離することで行われる。感光性レジストとTFTアレイ基板との濡れ性が不良で、感光性レジストのはじきが生じる場合には、塗布前にUV洗浄を実施したり、濡れ性改善のためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を蒸気塗布するなどの処理を行う。また、感光性レジストとTFTアレイ基板との密着性が不良で、剥がれが生じる場合には加熱硬化温度を高くしたり、時間を長くしたりするなどを行う。第1の金属薄膜1のエッチングは、公知のエッチャント(たとえば、第1の金属薄膜1がクロムからなる場合には、第二硝酸セリウムアンモンおよび硝酸が混合されてなる水溶液)を用いてウェットエッチングでエッチング可能である。また、第1の金属薄膜1のエッチングはパターンエッジがテーパ形状となるようにエッチングすることが、他の配線との段差での短絡を防止する上で好ましい。ここで、テーパ形状とは断面が台形状になるようにパターンエッジがエッチングされることをいう。また、この工程でゲート電極およびゲート配線、補助容量電極および補助容量配線を形成することを示したが、その他にTFTアレイ基板を製造する上で必要な各種のマーク類や配線が形成される。
【0022】
つぎに、プラズマCVDにより第1の絶縁膜2、半導体能動膜3、オーミックコンタクト膜4を連続で成膜する。ゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜2としてはSiNx膜、SiOy膜、SiOzNw膜やこれらの積層膜が用いられる(なお、x、y、z、wはそれぞれ正数である)。第1の絶縁膜2の膜厚は300nmから600nm程度とする。膜厚が薄い場合にはゲート配線とソース配線の交差部で短絡を生じやすく、第1の金属薄膜1の厚さ程度以上とすることが好ましい。膜厚が厚い場合にはTFTのON電流が小さくなり、表示特性が低下することからなるべく薄くすることが好ましい。好ましい実施例では、300nmのSiN膜を成膜した後、100nmのSiN膜を成膜することにより、第1の絶縁膜2を形成する。
【0023】
半導体能動膜3としてはアモルファスシリコン(a−Si)膜、ポリシリコン(p−Si)膜が用いられる。半導体能動膜3の膜厚は100nmから300nm程度とする。膜厚が薄い場合には後述するオーミックコンタクト膜4のドライエッチ時の消失が発生し、厚い場合にはTFTのON電流が小さくなることより、オーミックコンタクト膜4のドライエッチ時のエッチング深さの制御性と必要とするTFTのON電流より膜厚を選択する。半導体能動膜3としてa−Si膜を用いる場合には第1の絶縁膜2のa−Si膜との界面はSiNx膜またはSiOzNw膜とすることが、TFTが導通状態となるゲート電圧であるTFTのVthの制御性および信頼性上好ましい。半導体能動膜3としてp−Si膜を用いる場合には第1の絶縁膜2のp−Si膜との界面はSiOy膜またはSiOzNw膜とすることがTFTのVthの制御性および信頼性上好ましい。また、半導体能動膜3としてa−Si膜を用いる場合には第1の絶縁膜2との界面付近を成膜レートの小さい条件で成膜し、上層部を成膜レートの大きい条件で成膜することが短い成膜時間で移動度の大きいTFT特性がえられることと、TFTのオフ時のリーク電流を小さくできることより好ましい。好適な実施例では、半導体能動膜3として150nmのi−a−Si膜を成膜する。
【0024】
オーミックコンタクト膜4としては、a−Siにリン(P)を微量にドーピングしたn−a−Si膜、n−p−Si膜が用いられる。オーミックコンタクト膜4の膜厚は、20nmから70nm程度とすることができる。これらのSiNx膜、SiOy膜、SiOzNw膜、a−Si膜、p−Si膜、n−a−Si膜、n−p−Si膜は公知のガス(SiH、NH、H、NO、PH、Nおよびこれらの混合ガス)を用いて成膜することが可能である。好適な実施例では、オーミックコンタクト膜4として30nmのn−a−Si膜を成膜する。
【0025】
つぎに、第2のフォトリソグラフィープロセスで半導体能動膜3およびオーミックコンタクト膜4を少なくともTFT部が形成される部分にパターニングする。これにより、図1(b)に示す構造が形成される。第1の絶縁膜2は、全体に亘って残存する。半導体能動膜3およびオーミックコンタクト膜4はTFT部が形成される部分の他に、ソース配線とゲート配線および補助容量配線とが平面的に交差する部分にもパターニングして残存させることが交差部での耐電圧が大きくなることより好ましい。また、TFT部の半導体能動膜3およびオーミックコンタクト膜4をソース配線の下部まで連続形状で残存させることが、ソース電極が半導体能動膜3およびオーミックコンタクト膜4の段差をのりこえることがなく、段差部でのソース電極の断線が発生しにくいので好ましい。
【0026】
半導体能動膜3およびオーミックコンタクト膜4のエッチングは、公知のガス組成(たとえば、SFとOの混合ガスまたはCFとOの混合ガス)でドライエッチングが可能である。
【0027】
つぎに、スパッタリングなどの方法で第2の金属薄膜を成膜する。第2の金属薄膜1としては、たとえばクロム、モリブデン、タンタル、チタン、アルミニウム、銅やこれらに他の物質を微量に添加した合金あるいはこれらの積層膜が用いられる。好適な実施例では、200nmの膜厚を有するクロムが成膜される。
【0028】
つぎに第3のフォトリソグラフィープロセスで第2の金属薄膜がソース電極5及びドレイン電極6を形成するようにパターニングする。これにより、図1(c)に示す構造が形成される。ソース電極5は、ソース配線とゲート配線が交差する部分にまで亘って形成される。ドレイン電極6は、反射部まで亘って形成される。次に、オーミックコンタクト膜4のエッチングを行なう。このプロセスによりTFT部のオーミックコンタクト膜4の中央部が除去され、半導体能動膜3が露出する。オーミックコンタクト膜4のエッチングは、公知のガス組成(たとえば、SFとOの混合ガスまたはCFとOの混合ガス)でドライエッチングが可能である。
【0029】
つぎに、プラズマCVDにより第2の絶縁膜7を形成し、塗布、転写等により有機膜8を形成する。好適な実施例では、第2の絶縁膜7として100nmの膜厚のSiNが用いられる。また、有機膜8は、公知の感光性有機膜であり、例えば、JSR製PC335又はPC405が用いられる。有機膜8は3.0〜4.0μm程度の膜厚、望ましくは3.2〜3.9μmの膜厚で塗布される。
【0030】
つぎに第4のフォトリソグラフィープロセスで有機膜8、第2の絶縁膜7、第1の絶縁膜2を図1(d)に示す形状にパターニングする。この工程では有機膜8に露光される光量を部分的に変えて、反射部における有機膜8の表面に凸凹を設けるための凹部15を形成する。反射部における凹部15の形成には、露光領域が異なる2種類のマスクを用いて行われる。すなわち、コンタクトホール12を形成するためのマスクと凹部15を形成するマスクの2種類のマスクを用いている。それぞれのマスクでの露光量を変えることにより、有機膜8表面の凹部15とコンタクトホール12を1回の現像工程で形成することが可能になる。なお、2種類のマスクの変わりにハーフトーンマスクを用いても良い。有機膜8の表面の凹凸を設けることによって、入射された外光が散乱される。これにより、外光が散乱され良好な表示特性を得ることができる。このコンタクトホールの形成には後述するスリットパターンを備えるマスクパターンを用いて露光を行っている。
【0031】
ゲート端子部では、ゲート配線と駆動信号源とを電気的に接続するコンタクトホールを形成するため、有機膜8並びに第1の絶縁膜2及び第2の絶縁膜7の双方が除去され、第1の金属薄膜1が露出している。ソース端子部では、ソース配線と駆動信号源とを電気的に接続するコンタクトホールを形成するため、有機膜8並びに第2の絶縁膜7が除去され第2の金属薄膜が露出している。TFT部と反射部の間では、有機膜8並びに第2の絶縁膜が除去されドレイン電極6が露出している。さらに透過部では、有機膜8並びに第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の双方が除去され、第1の絶縁性基板が露出している。この工程の詳細については後述する。
【0032】
つぎに、スパッタリングなどの方法で導電性薄膜9を成膜する。導電性薄膜9としては、透明導電膜であるITO、SnO2、IZOなどを用いることができ、とくに化学的安定性の点からITOが好ましい。好適な実施例では、導電性薄膜9は、80nmの膜厚を有するITOが用いられる。なお、ITOは、結晶化ITO又はアモルファスITOのいずれでもよいが、アモルファスITOを用いた場合は、第3の金属薄膜成膜前に結晶化温度180℃以上に加熱して結晶化させる必要がある。
【0033】
つぎに、第5のフォトリソグラフィープロセスで導電性薄膜9を図1(e)に示されるように画素電極等の形状にパターニングする。導電性薄膜9のエッチングは使用する材料によって公知のウェットエッチング(たとえば、導電性薄膜9が結晶化ITOからなる場合には塩酸および硝酸が混合されてなる水溶液)などを用いて行うことが可能である。導電性薄膜9がITOの場合、公知のガス組成(たとえば、HI、HBr)でのドライエッチングによるエッチングも可能である。また、この工程で画素電極を形成することを示したが、その他に対向基板とTFTアレイ基板間を導電性粒子を含む樹脂を用いて電気的に接続するためのトランスファー端子部の導電性薄膜9による電極などが形成される。なお、アモルファスITOの場合、パターニングは、加熱後であればITOと同様に、加熱前であれば公知のしゅう酸が混合されてなる水溶液で行う。好適な実施例ではアモルファスITOを成膜し、第3の金属薄膜形成前に大気中で220〜230℃に加熱する。この透過部に設けられた導電性薄膜9が液晶の駆動に用いられる。
【0034】
つぎに、スパッタリングなどの方法で第3の金属薄膜10、11を成膜する。第3の金属薄膜10、11としては、たとえばクロム、モリブデン、タンタル、チタン、アルミニウム、銅、銀やこれらに他の物質を微量に添加した合金などのうちのいずれかからなる100nmから500nm程度の膜厚の薄膜を用いることができる。金属薄膜10は、金属薄膜11がコンタクトホール部等の段差で段切れ生じるのを防ぐ効果を有する。この段切れが無視できる場合は、金属薄膜10は形成しなくてもよい。この場合、工程数が減少し、コスト低減が可能となる。好適な実施例では、100nmの膜厚を有するクロムを成膜後、300nmの膜厚を有するアルミニウムとCuの合金を成膜し、さらに100nmの膜厚を有するクロムを成膜する。アルミニウムとCuの合金が露出していると、次の写真工程の現像時に、ITO9の腐食が進むため、これを防止するために最上層にクロムを設けている。
【0035】
つぎに、第6のフォトリソグラフィープロセスで第3の金属薄膜10、11及び最上層のクロムを反射電極の形状にパターニングおよび最上層のクロムをエッチング除去して、反射電極を形成する。なお、金属膜10がクロムの場合、最上層のクロムと同時にエッチングすることも可能である。反射電極は、クロムよりなる金属薄膜10上にアルミニウムとCuの合金からなる金属薄膜11が積層した状態で形成される。最上層のクロムは、ITO9の腐食防止のため設けられたが、反射率を上げるためにこの段階で除去される。第3の金属薄膜のエッチングは、公知のエッチャントを用いてウェットエッチングで行うことが可能である。反射部に設けられた第3の金属薄膜11は反射電極として用いられ、この反射電極及び透過電極により液晶が駆動される。最終的には、図1(f)で示す構造が形成される。
【0036】
この上から配向膜が塗布され、一定の方向にラビングすることによってTFTアレイ基板が製造される。このように製造されたTFTアレイ基板は対向配置されたCF基板とスペーサーを介して貼り合わされ、その間に液晶が注入される。この液晶層が狭持された液晶パネルをバックライトユニットに取り付けることにより、液晶表示装置が製造される。
【0037】
次に第4のフォトリソグラフィープロセスの詳細について図2を用いて説明する。図2(a)はコンタクトホールを設ける部分のマスクの平面図、図2(b)はマスクの断面図、図2(c)はその部分に対応して形成されたコンタクトホールを示す基板の断面図である。12はコンタクトホール、20は開口部、21はスリットパターン、30は遮光部、31は遮光部である。図1で付した符号と同一の符号は同一の構成を示すため説明を省略する。この工程では、ITOの段差部分での断線(段切れ)を防ぐため、スリットパターンを有するマスクパターンを用いて露光を行っている。これにより、SiN等の絶縁膜のテーパ角度が減少し、段切れを防ぐことができる。
【0038】
本実施の形態では有機膜8を除去する部分に対応した開口部20とその周辺にスリットパターン21を有するマスクを用いている。すなわち、開口部20の周辺にも光を透過する領域であるスリットパターン21が設けられていることになる。開口部20及びスリットパターン21を透過した光は有機膜8に照射される。通常、露光装置の性能や仕様により光は拡がって有機膜8に照射される。開口部20に対応する領域の有機膜8はコンタクトホール12を形成するために現像工程で除去され、絶縁膜7が露出する。コンタクトホール12の周辺の領域には開口部20から拡がった光のみならずスリットパターン21を透過した光も照射される。この部分の有機膜8も現像工程で除去されるが、本実施の形態ではスリットパターン21の幅が露光装置の解像度よりも狭くなっているため完全には除去されずに、絶縁膜7の上に一部が残存する状態となる。すなわち、コンタクトホール12周辺部分の有機膜8が現像液により全て除去され、下の絶縁膜まで開通してしまうのを防ぐために露光装置の解像度以下としている。これにより、絶縁膜7を露出させること無く、有機膜8の一部のみを除去することが可能になる。
【0039】
本実施の形態ではパターン解像度が3.0μm程度の露光装置を用いて、開口部20の周辺に幅1.25μmのスリットパターン21を設けている。なお、開口部20とスリットパターンの間隔は1.0μmである。前記露光装置の開口数NAは0.1、集光度(照明系コヒーレンシー)σは0.5であり、本件の発明者は露光シミュレーターSII(セイコーインスツルメント)製LILEを用いて前記スリット寸法及び間隔が適当であることを見出した。開口部20の大きさはテーパ角度にほとんど関係なく、マスクの開口部の大きさのみを変更して、5μm〜数mmのコンタクトホール12を形成することができた。このようなマスクパターンで露光、現像された場合、コンタクトホール12周辺の有機膜8はコンタクトホールに近いほど照射される光量が多い。さらにスリットパターン21から漏れる光のため、有機膜8は立ち上がりがなだらかになり、テーパ角が減少する。なお、上述の値は一例であって、示した値以外の値を用いて露光してもよい。さらにこれらの値は露光装置の解像度以下であればよく、露光装置の性能、仕様によって変更可能である。
【0040】
次にドライエッチングにより絶縁膜7を除去していく。このとき、露出されている絶縁膜7と同時に絶縁膜7の上の有機膜8も除去されていく。テーパ形状となっている部分の有機膜8は通常の部分と比べて薄いため、ドライエッチングの途中で絶縁膜7が露出されていく。そして、露出部分が徐々に後退していき、ドライエッチングされる絶縁膜7の面積が広くなっていく。通常、エッチング工程では、最初から露出していた部分の絶縁膜7を完全に除去するまでエッチングを行うため、有機膜8がテーパ形状となっていた部分の絶縁膜7は完全に除去されず、一部が残存する。よって、ドライエッチング後の絶縁膜7は、ドライエッチング前の有機膜8のテーパ形状が反映されたテーパ形状となる。このようにして形成されたコンタクトホール12には絶縁膜の下に設けられたゲート配線、ソース配線あるいはガラス基板等が表れる。そして、その上からITO等の導電性薄膜を形成する。本実施の形態ではスリットパターンにより有機膜8のテーパ角度を緩やかにしているため、ドライエッチング後の絶縁膜のテーパ角度も緩やかになる。よって、この上から形成されるITO膜の段切れを防ぐことができる。
【0041】
上述の寸法のスリットパターンを用いて露光した場合、ドライエッチング前の有機膜8のテーパ角度は30〜50度程度であり、ドライエッチングした後の絶縁膜7のテーパ角度は約60度となった。従来の方法で形成されたドライエッチング前の有機膜8のテーパ角度は60度程度であり、ドライエッチングした後の絶縁膜7のテーパ角度は約70度であったため、本発明によりテーパ角度を低くすることができた。なお、図2及び図3においては、従来技術と本実施の形態にかかる製造方法の差を明確にするため、絶縁膜7及び有機膜8のテーパ角を強調して図示している。さらにその上からITO膜を形成しても、段切れは生じなかった。絶縁膜7のテーパ角度を60度以下とすることで可能になり、断線を防ぐことができた。
これにより、高歩留まりで表示品質の優れた液晶表示装置を製造することができた。
【0042】
発明の実施の形態2.
上述の実施の形態1では絶縁膜7の上に設けられた有機膜8にスリットパターン21を有するマスクを用いて露光していたが、有機膜8の変わりに感光性のレジストを用いてもよい。本実施の形態では東京応化工業(株)製TFR1070を塗布し、同様の工程によりコンタクトホールを形成した。この場合、エッチング後にレジストを除去する工程が増えることになる。レジストを用いた場合であっても、下地の絶縁膜のテーパ角度を低くすることができる。このようにして、段切れを防ぐことが可能になった。これにより、高歩留まりで表示品質の優れた液晶表示装置を製造することができるようになった。
【0043】
その他の実施の形態.
本発明は上述した実施の形態だけに限られず、様々な変更が可能である。例えば、上述の実施の形態において示した液晶表示装置のTFTアレイ基板の製造工程は典型的な一例であり、これ以外の製造工程を用いても良い。さらにはスリットパターンの幅や開口部とスリットパターンの間のピッチは露光装置の性能や仕様に応じた値とすることができ、これらを調整することにより絶縁膜及び有機膜のテーパ角度を制御することが可能になる。また開口部の周辺に設けるパターンは解像度以下の寸法であればよく、例えば、解像度以下のピンホール等が設けられていても良い。
もちろん光を利用した露光であれば、一括露光でもステッパによる露光でもよい。実施の形態では光が照射された領域が現像液に溶け出す感光性材料(有機膜又はレジスト)を用いたが光が照射されない領域が現像液に溶け出す感光性材料を用いてもよい。この場合、光を遮光する部分と光を透過する部分が入れ替わることになる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、表示品質の劣化が抑制され、高歩留りで製造される液晶表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる液晶表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる液晶表示装置の露光工程を示す構成図である。
【図3】従来の液晶表示装置の露光工程を示す構成図である。
【符号の説明】
1 第1の金属薄膜 2 第1の絶縁膜
3 半導体能動膜 4 オーミックコンタクト膜
5 ソース電極 6 ドレイン電極
7 第2の絶縁膜 8 有機膜
9 導電性薄膜 11 第3の金属薄膜
12 コンタクトホール、20 開口部、21 スリットパターン、
30 遮光部、31 遮光部

Claims (8)

  1. 液晶層を挟んで互いに対向して配置された一対の基板を備える液晶表示装置であって、
    前記一対の基板のうちの一方の基板上に設けられ、テーパ角度が60度以下の絶縁膜と、
    前記絶縁膜の一部を除去することにより、設けられたホールと、
    前記ホールの上に設けられた導電性薄膜とを備える液晶表示装置。
  2. 前記ホールが、前記絶縁膜の上に形成された感光性材料を前記ホールに対応する開口部及び前記開口部の周辺に設けられた露光装置の解像度以下の幅のスリットパターンを有するマスクを用いて露光することにより形成された請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記感光性材料が有機膜であり、当該有機膜が前記絶縁膜の上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置。
  4. 基板上に絶縁膜を形成するステップと、
    前記絶縁膜の上に感光性材料を塗布するステップと、
    前記絶縁膜を露出させるよう、前記感光性材料の一部を除去するステップと、
    前記絶縁膜及び前記感光性材料の一部を除去してホールを形成するステップと、
    前記ホールの上に導電性薄膜を形成するステップとを備え、
    前記感光性材料の一部を除去するステップでは、ホールに対応する開口部及び開口部周辺の領域に設けられ、露光装置の解像度以下のパターンを有するマスクを用いて露光される表示装置の製造方法。
  5. 前記感光性材料が有機膜であることを特徴とする請求項4記載の表示装置の製造方法。
  6. 前記感光性材料がレジストであり、
    前記レジストを全て除去するステップをさらに備える請求項5記載の表示装置の製造方法。
  7. 前記ホールを形成するステップでは、ドライエッチングにより前記感光性材料及び前記絶縁膜を同時に除去することを特徴とする請求項4乃至6いずれかに記載の表示装置の製造方法。
  8. 下地膜を成膜するステップと、
    前記下地膜の上に感光性材料を塗布するステップと、
    前記感光性材料を、ホールを形成するための開口部及び開口部の周辺に設けられた露光装置の解像度以下の幅のスリットパターンを有するマスクを用いて露光するステップと、
    前記感光性材料を現像するステップと、
    前記感光性材料及び前記下地膜をエッチングするステップとを有する膜のパターニング方法。
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