JP2004294198A - シリカガラスの耐紫外線性の評価方法および耐紫外線性シリカガラス - Google Patents
シリカガラスの耐紫外線性の評価方法および耐紫外線性シリカガラス Download PDFInfo
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Abstract
【課題】信頼性が高く、より実使用に適応したシリカガラスの耐紫外線性を評価する方法と、この評価方法で保証された十分に耐紫外線性を有する耐紫外線性シリカガラスを得る。
【解決手段】エネルギー密度が30〜50mJ/cm2で、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、シリカガラスの透過率劣化を計測して、透過率劣化が5%の値を基準にして、その値よりの高低で耐紫外線性の良否を判断する。また、この評価方法によって評価され、透過率劣化が5%以下の耐紫外線性を有するシリカガラス。
【選択図】 なし
【解決手段】エネルギー密度が30〜50mJ/cm2で、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、シリカガラスの透過率劣化を計測して、透過率劣化が5%の値を基準にして、その値よりの高低で耐紫外線性の良否を判断する。また、この評価方法によって評価され、透過率劣化が5%以下の耐紫外線性を有するシリカガラス。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体露光装置等の短波長のパルスレーザを利用する光学装置に使用されるシリカガラスの耐紫外線性の評価方法と、この評価方法で評価された高い耐紫外線性を有するシリカガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の縮小化や高密度化の要求、進展に伴い、ウエハー上の回路パターン形成において超細密化が進み、このために光リソグラフィに用いられる光線として、より波長の短い真空紫外線領域の光が用いることが必要となっている。このようなことより、かかる光学装置に使用する光学ガラスとして、紫外線の透過性が優れた酸化珪素SiO2を主成分としてなる合成シリカガラスが用いられている。
【0003】
しかしながら、使用される紫外線の波長が短く、高エネルギーになるに伴い、シリカガラスであってもダメージを受けることこととなり、その耐用寿命が短くなることとなっていた。これは、ガラス構造そのものが損傷を受け、各種の欠陥を惹起せしめることによって、新たな吸収帯の発生や、局所的な密度変化による屈折率や均質性の変化による透過特性の劣化が生じるからである。
【0004】
ところで、シリカガラスの耐紫外線性は、エキシマレーザを照射してエキシマレーザに対する耐性を評価することによって行われている。すなわち、エキシマレーザを照射し、その透過率変化や、コンパクションが生じる程度を比較するのが一般的である。そして、特開2000−200750号公報、特開平11−108839号公報、特開平10−19727号公報等においては、エキシマレーザの照射によって誘起される以下の数式で規定される内部損失係数Δγを考慮して、評価されている。
【0005】
すなわち、
Δγ=ks・εn・P
ここで、εはパルス当たりエネルギー密度、
nは2±0.2(波長193nmのArFエキシマレーザの場合)、
Pはパルス数であり、そしてksは比例係数である。
これは、内部損失係数(Δγ)がエキシマレーザにおけるパルス当たりエネルギー密度の2乗(ε2)に比例し、又パルス数(P)に比例するとしているものである。
【0006】
そして、これによって、実際の使用態様環境に近い10mJ/cm2以下の低エネルギー密度でパルスを108〜109ショットする場合での信頼性を、より高い100mJ/cm2以上の高エネルギー密度にして、比較的少ないパルス・ショット数での評価により行って、信頼性の良否を判断していた。
【0007】
しかしながら、このようにシリカガラスに加えるエネルギーを等価に保つように、エネルギー密度とパルス数の値を増減せしめて測定しても、パルスの周波数が変化するとシリカガラスの劣化度合に差異が生じることが新たに判明した。このため、上記した周波数の変化による劣化への影響を考慮していない従来の評価方法は、実用的に適当でなく、またその方法で評価されシリカガラスは耐性が十分に保証されたものでなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−200750号公報
【特許文献2】
特開平11−108839号公報
【特許文献3】
特開平10−019727号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、信頼性が高く、より実用に適応するシリカガラスの耐紫外線性を評価する方法と、この評価方法で保証された保証値を有する耐紫外線性シリカガラスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1に係わる発明は、エネルギー密度30〜50mJ/cm2、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、透過率劣化度合を計測して耐紫外線性を評価することを特徴とするシリカガラスの耐紫外線性の評価方法である。
【0011】
請求項2に係わる発明は、繰り返し周波数が800Hzであることを特徴とする請求項1記載のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法である。
請求項3に係わる発明は、透過率劣化が5%の値を基準にして、その値よりの高低で耐紫外線性の良否を判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法である。
【0012】
請求項4に係わる発明は、エネルギー密度30〜50mJ/cm2、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、透過率劣化が5%以下であることを特徴とする耐紫外線性シリカガラスである。
【0013】
請求項5に係わる発明は、前記耐紫外線性シリカガラスが、フッ素ドープ量500〜3000ppm、水酸基(OH)2ppm以下、水素溶存量1×1018分子/cm3、及び遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属類がそれぞれ50ppb以下であることを特徴とする請求項4に記載の耐紫外線性シリカガラスである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
<パルスレーザの繰り返し周波数変化による透過率劣化への影響>
本発明のシリカガラスの耐紫外線性を評価する方法を確立するため、先ず発明者らは、シリカガラスのエキシマレーザの耐性の評価に際して、シリカガラスに照射するエキシマレーザのパルスレーザの繰り返し周波数の変化がシリカガラスの透過率劣化に及ぼす影響について検証した。
【0015】
その検証に当たっては、エキシマレーザのパルスレーザの繰り返し周波数を変化させ、同じエネルギー密度、同じショット数でレーザ光を照射し、シリカガラスの波長193nmでの透過率変化を測定した。この発明でのシリカガラスの透過率は、すべてこの波長で測定されたものである。
【0016】
パルスレーザとしてはArFのエキシマレーザ(波長193nm)を使用して、以下の条件で行った。
・エネルギー密度を、5、10、50、100、及び200mJ/cm2とした。
・パルスレーザの周波数を、50、100、200、400、600、800、及び1000Hzに変化させた。
・照射した合計ショット数はすべて1×107ショットとした。
【0017】
上記した条件のエキシマレーザを照射して、以下の2種類のシリカガラス試料について透過率劣化を計測した。
試料▲1▼ 水酸基(OH)50ppm、水素溶存量 1×1018分子/cm3、そして遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属がそれぞれ50ppb以下、等でなるように調整してVAD法によって製造したシリカガラス。
試料▲2▼ 耐エキシマレーザ用として市販されている東ソー・クォーツ社製のESL−1000(商品名)のシリカガラス。
【0018】
その結果、前記試料▲1▼については、図1に図示するように、それぞれのエネルギー密度における、パルスレーザの繰り返し周波数変化による透過率劣化のグラフを得た。又試料▲2▼については、図2に図示するように、それぞれのエネルギー密度における、パルスレーザの繰り返し周波数変化による透過率劣化のグラフを得た。
【0019】
図1及び図2のグラフで、以下の事項が確認された。
(i)試料▲1▼及び試料▲2▼とも、50mJ/cm2以下の比較的低いエネルギー密度である場合には、繰り返し周波数が100Hz以下では透過率劣化の変動に差異を認め得るほどの影響は殆ど認められないが、200Hz以上の周波数では透過率劣化が順次増大し、800Hz以上の周波数では周波数の変化による透過率劣化の度合に差が無くなり、ほぼ同じ値を示した。
【0020】
(ii)100mJ/cm2以上の高いエネルギー密度である場合には、試料▲1▼及び試料▲2▼とも、繰り返し周波数の変動によって透過率劣化の変動に差異を認め得るほどの影響は殆ど無かった。
【0021】
<耐性評価へのパルスレーザの繰り返し周波数の導入条件>
上記した検証の結果と実使用状態に基づいて、耐紫外線性評価へのパルスレーザの繰り返し周波数の導入条件を以下の通りとした。
(イ)紫外線用シリカガラスでは、実使用においてエネルギー密度が5mJ/cm2程度で使用することが多いので、評価は透過率劣化傾向が比較的低いエネルギー密度の場合と変わらない50mJ/cm2以下で行うこと。
【0022】
(ロ)実使用に近い10mJ/cm2以下のエネルギー密度で評価を行えばより望ましいが、1×107ショット程度では透過率劣化に差異が見られず、差異を生起させるために数週間乃至数ヶ月の多くの試験時間を要することが予想され、現実的ではない。
(ハ)使用するエネルギー密度を100mJ/cm2以上にすると、透過率劣化が大きくなってしまい、耐性の良否の判断が困難となる。
【0023】
以上のことから、エネルギー密度を30〜50mJ/cm2、パルスの繰り返し周波数を200Hz以上で1×107ショット以上の条件でエキシマレーザを照射し、5%以下の透過率劣化であれば、耐紫外線性を有すると評価する基準を定めた。さらに、パルスの繰り返し周波数を800Hz以上とすると、劣化傾向の変化に差が無くなるため、評価を判断するのに好都合であり、特に800Hzのパルスの繰り返し周波数を使用することが、評価のためには、より有効である。
【0024】
【実施例】
実施例として、以下の試料AのシリカガラスをVAD法で作製し、該試料Aの紫外線に対する耐性を、本発明の評価方法を適用して評価した。試料Aの仕様諸元及び評価試験の仕様諸元は以下の通りである。
【0025】
{試料Aの仕様諸元}
VAD法により以下の組成を有するよう調整してシリカガラスを作製した。
・水酸基(OH):2ppm以下、・水素溶存量:1×1018分子/cm3、
・遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属がそれぞれ50ppb以下、
・フッ素ドープ量:500〜3000ppm。
【0026】
[評価試験の仕様諸元]
評価試験は以下の仕様で行った。
パルスレーザとして、以下の態様のArFのエキシマレーザ(波長193nm)を使用した。
・エネルギー密度を、5、10、50、100、及び200mJ/cm2を用い、
・パルスレーザの周波数を、上記各エネルギー密度で50、100、200、400、600、800、及び1000Hzと変化させた。
・照射した合計ショット数はすべて1×107ショットとした。
【0027】
[評価試験の結果]
上記した評価試験で、各エネルギー密度で、加えるパルス繰り返し周波数(Hz)の変動による、透過率劣化の変化(%)を測定した。その結果、図3に図示するグラフを得た。
【0028】
図3で明らかなように、上記本発明の評価方法で特定した評価条件である、エネルギー密度50mJ/cm2での照射で、パルス繰り返し周波数を200Hz以上にして、ショット数1×107ショットで、透過率劣化は評価基準である5%以下に保たれた。しかも、パルス繰り返し周波数200Hzでは、透過率劣化は0%で透過率の低下が認められず、試料Aの耐性が、照射パルスの繰り返し周波数の影響を加味して、優れていると評価された。
【0029】
なお、上記実施例では、エキシマレーザとしてArFエキシマレーザを用いたが、本発明はこれに限定されるものでなく、KrFエキシマレーザ(波長248nm)等紫外光であるエキシマレーザであれば、いかなるエキシマレーザを照射に使用しても良い。
【0030】
本発明の耐紫外線性シリカガラスは、このような評価方法で評価したときに、透過率の低下が5%以下のものであり、極めて高い耐紫外線性を有するものである。具体的には、VAD法などの気相合成法で得られた高純度多孔質ガラス母材を塩素含有化合物の雰囲気中で加熱して脱水し、ついでフッ素含有化合物の雰囲気中で加熱してフッ素をドープし、さらに透明ガラス化して得られたシリカガラスで、そのフッ素ドープ量500〜3000ppm、水酸基(OH)2ppm以下、水素溶存量1×1018分子/cm3、及び遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属類がそれぞれ50ppb以下のものである。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法によれば、 耐紫外線性の優れたシリカガラスを製造する場合の耐紫外線性の評価方法に、照射するエキシマレーザのエネルギー密度を依存因子とするばかりでなく、パルスの繰り返し周波数を依存因子として導入したので、より信頼性の高い耐紫外線性の評価が可能となり、かかるシリカガラスを使用した光学系の寿命予測、耐用年数をより正しく予測することができる。また、本発明の評価方法によって、より耐性の優れたシリカガラスの製造に大きく寄与する。
【0032】
さらに、この評価方法では実際の実使用に近い条件をもって評価するので、試験によって透過率劣化を惹起して品質を損なうことが無く、且つ短時間で評価することが可能となる。
本発明の評価方法で評価した透過率劣化が5%以下の耐紫外線性シリカガラスは、優れた紫外線透過性と耐紫外線性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例での試料▲1▼のシリカガラスの、照射するエキシマレーザの各種エネルギー密度における、パルス繰り返し周波数の変化に伴う透過率劣化の変化を示すグラフである。
【図2】実施例での試料▲2▼のシリカガラスの、照射するエキシマレーザの各種エネルギー密度における、パルス繰り返し周波数の変化に伴う透過率劣化の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の評価方法の実施例で、試料Aのシリカガラスの耐性評価をするための、照射するエキシマレーザの各種エネルギー密度における、パルス繰り返し周波数の変化に伴う透過率劣化の変化を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体露光装置等の短波長のパルスレーザを利用する光学装置に使用されるシリカガラスの耐紫外線性の評価方法と、この評価方法で評価された高い耐紫外線性を有するシリカガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の縮小化や高密度化の要求、進展に伴い、ウエハー上の回路パターン形成において超細密化が進み、このために光リソグラフィに用いられる光線として、より波長の短い真空紫外線領域の光が用いることが必要となっている。このようなことより、かかる光学装置に使用する光学ガラスとして、紫外線の透過性が優れた酸化珪素SiO2を主成分としてなる合成シリカガラスが用いられている。
【0003】
しかしながら、使用される紫外線の波長が短く、高エネルギーになるに伴い、シリカガラスであってもダメージを受けることこととなり、その耐用寿命が短くなることとなっていた。これは、ガラス構造そのものが損傷を受け、各種の欠陥を惹起せしめることによって、新たな吸収帯の発生や、局所的な密度変化による屈折率や均質性の変化による透過特性の劣化が生じるからである。
【0004】
ところで、シリカガラスの耐紫外線性は、エキシマレーザを照射してエキシマレーザに対する耐性を評価することによって行われている。すなわち、エキシマレーザを照射し、その透過率変化や、コンパクションが生じる程度を比較するのが一般的である。そして、特開2000−200750号公報、特開平11−108839号公報、特開平10−19727号公報等においては、エキシマレーザの照射によって誘起される以下の数式で規定される内部損失係数Δγを考慮して、評価されている。
【0005】
すなわち、
Δγ=ks・εn・P
ここで、εはパルス当たりエネルギー密度、
nは2±0.2(波長193nmのArFエキシマレーザの場合)、
Pはパルス数であり、そしてksは比例係数である。
これは、内部損失係数(Δγ)がエキシマレーザにおけるパルス当たりエネルギー密度の2乗(ε2)に比例し、又パルス数(P)に比例するとしているものである。
【0006】
そして、これによって、実際の使用態様環境に近い10mJ/cm2以下の低エネルギー密度でパルスを108〜109ショットする場合での信頼性を、より高い100mJ/cm2以上の高エネルギー密度にして、比較的少ないパルス・ショット数での評価により行って、信頼性の良否を判断していた。
【0007】
しかしながら、このようにシリカガラスに加えるエネルギーを等価に保つように、エネルギー密度とパルス数の値を増減せしめて測定しても、パルスの周波数が変化するとシリカガラスの劣化度合に差異が生じることが新たに判明した。このため、上記した周波数の変化による劣化への影響を考慮していない従来の評価方法は、実用的に適当でなく、またその方法で評価されシリカガラスは耐性が十分に保証されたものでなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−200750号公報
【特許文献2】
特開平11−108839号公報
【特許文献3】
特開平10−019727号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、信頼性が高く、より実用に適応するシリカガラスの耐紫外線性を評価する方法と、この評価方法で保証された保証値を有する耐紫外線性シリカガラスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1に係わる発明は、エネルギー密度30〜50mJ/cm2、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、透過率劣化度合を計測して耐紫外線性を評価することを特徴とするシリカガラスの耐紫外線性の評価方法である。
【0011】
請求項2に係わる発明は、繰り返し周波数が800Hzであることを特徴とする請求項1記載のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法である。
請求項3に係わる発明は、透過率劣化が5%の値を基準にして、その値よりの高低で耐紫外線性の良否を判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法である。
【0012】
請求項4に係わる発明は、エネルギー密度30〜50mJ/cm2、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、透過率劣化が5%以下であることを特徴とする耐紫外線性シリカガラスである。
【0013】
請求項5に係わる発明は、前記耐紫外線性シリカガラスが、フッ素ドープ量500〜3000ppm、水酸基(OH)2ppm以下、水素溶存量1×1018分子/cm3、及び遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属類がそれぞれ50ppb以下であることを特徴とする請求項4に記載の耐紫外線性シリカガラスである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
<パルスレーザの繰り返し周波数変化による透過率劣化への影響>
本発明のシリカガラスの耐紫外線性を評価する方法を確立するため、先ず発明者らは、シリカガラスのエキシマレーザの耐性の評価に際して、シリカガラスに照射するエキシマレーザのパルスレーザの繰り返し周波数の変化がシリカガラスの透過率劣化に及ぼす影響について検証した。
【0015】
その検証に当たっては、エキシマレーザのパルスレーザの繰り返し周波数を変化させ、同じエネルギー密度、同じショット数でレーザ光を照射し、シリカガラスの波長193nmでの透過率変化を測定した。この発明でのシリカガラスの透過率は、すべてこの波長で測定されたものである。
【0016】
パルスレーザとしてはArFのエキシマレーザ(波長193nm)を使用して、以下の条件で行った。
・エネルギー密度を、5、10、50、100、及び200mJ/cm2とした。
・パルスレーザの周波数を、50、100、200、400、600、800、及び1000Hzに変化させた。
・照射した合計ショット数はすべて1×107ショットとした。
【0017】
上記した条件のエキシマレーザを照射して、以下の2種類のシリカガラス試料について透過率劣化を計測した。
試料▲1▼ 水酸基(OH)50ppm、水素溶存量 1×1018分子/cm3、そして遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属がそれぞれ50ppb以下、等でなるように調整してVAD法によって製造したシリカガラス。
試料▲2▼ 耐エキシマレーザ用として市販されている東ソー・クォーツ社製のESL−1000(商品名)のシリカガラス。
【0018】
その結果、前記試料▲1▼については、図1に図示するように、それぞれのエネルギー密度における、パルスレーザの繰り返し周波数変化による透過率劣化のグラフを得た。又試料▲2▼については、図2に図示するように、それぞれのエネルギー密度における、パルスレーザの繰り返し周波数変化による透過率劣化のグラフを得た。
【0019】
図1及び図2のグラフで、以下の事項が確認された。
(i)試料▲1▼及び試料▲2▼とも、50mJ/cm2以下の比較的低いエネルギー密度である場合には、繰り返し周波数が100Hz以下では透過率劣化の変動に差異を認め得るほどの影響は殆ど認められないが、200Hz以上の周波数では透過率劣化が順次増大し、800Hz以上の周波数では周波数の変化による透過率劣化の度合に差が無くなり、ほぼ同じ値を示した。
【0020】
(ii)100mJ/cm2以上の高いエネルギー密度である場合には、試料▲1▼及び試料▲2▼とも、繰り返し周波数の変動によって透過率劣化の変動に差異を認め得るほどの影響は殆ど無かった。
【0021】
<耐性評価へのパルスレーザの繰り返し周波数の導入条件>
上記した検証の結果と実使用状態に基づいて、耐紫外線性評価へのパルスレーザの繰り返し周波数の導入条件を以下の通りとした。
(イ)紫外線用シリカガラスでは、実使用においてエネルギー密度が5mJ/cm2程度で使用することが多いので、評価は透過率劣化傾向が比較的低いエネルギー密度の場合と変わらない50mJ/cm2以下で行うこと。
【0022】
(ロ)実使用に近い10mJ/cm2以下のエネルギー密度で評価を行えばより望ましいが、1×107ショット程度では透過率劣化に差異が見られず、差異を生起させるために数週間乃至数ヶ月の多くの試験時間を要することが予想され、現実的ではない。
(ハ)使用するエネルギー密度を100mJ/cm2以上にすると、透過率劣化が大きくなってしまい、耐性の良否の判断が困難となる。
【0023】
以上のことから、エネルギー密度を30〜50mJ/cm2、パルスの繰り返し周波数を200Hz以上で1×107ショット以上の条件でエキシマレーザを照射し、5%以下の透過率劣化であれば、耐紫外線性を有すると評価する基準を定めた。さらに、パルスの繰り返し周波数を800Hz以上とすると、劣化傾向の変化に差が無くなるため、評価を判断するのに好都合であり、特に800Hzのパルスの繰り返し周波数を使用することが、評価のためには、より有効である。
【0024】
【実施例】
実施例として、以下の試料AのシリカガラスをVAD法で作製し、該試料Aの紫外線に対する耐性を、本発明の評価方法を適用して評価した。試料Aの仕様諸元及び評価試験の仕様諸元は以下の通りである。
【0025】
{試料Aの仕様諸元}
VAD法により以下の組成を有するよう調整してシリカガラスを作製した。
・水酸基(OH):2ppm以下、・水素溶存量:1×1018分子/cm3、
・遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属がそれぞれ50ppb以下、
・フッ素ドープ量:500〜3000ppm。
【0026】
[評価試験の仕様諸元]
評価試験は以下の仕様で行った。
パルスレーザとして、以下の態様のArFのエキシマレーザ(波長193nm)を使用した。
・エネルギー密度を、5、10、50、100、及び200mJ/cm2を用い、
・パルスレーザの周波数を、上記各エネルギー密度で50、100、200、400、600、800、及び1000Hzと変化させた。
・照射した合計ショット数はすべて1×107ショットとした。
【0027】
[評価試験の結果]
上記した評価試験で、各エネルギー密度で、加えるパルス繰り返し周波数(Hz)の変動による、透過率劣化の変化(%)を測定した。その結果、図3に図示するグラフを得た。
【0028】
図3で明らかなように、上記本発明の評価方法で特定した評価条件である、エネルギー密度50mJ/cm2での照射で、パルス繰り返し周波数を200Hz以上にして、ショット数1×107ショットで、透過率劣化は評価基準である5%以下に保たれた。しかも、パルス繰り返し周波数200Hzでは、透過率劣化は0%で透過率の低下が認められず、試料Aの耐性が、照射パルスの繰り返し周波数の影響を加味して、優れていると評価された。
【0029】
なお、上記実施例では、エキシマレーザとしてArFエキシマレーザを用いたが、本発明はこれに限定されるものでなく、KrFエキシマレーザ(波長248nm)等紫外光であるエキシマレーザであれば、いかなるエキシマレーザを照射に使用しても良い。
【0030】
本発明の耐紫外線性シリカガラスは、このような評価方法で評価したときに、透過率の低下が5%以下のものであり、極めて高い耐紫外線性を有するものである。具体的には、VAD法などの気相合成法で得られた高純度多孔質ガラス母材を塩素含有化合物の雰囲気中で加熱して脱水し、ついでフッ素含有化合物の雰囲気中で加熱してフッ素をドープし、さらに透明ガラス化して得られたシリカガラスで、そのフッ素ドープ量500〜3000ppm、水酸基(OH)2ppm以下、水素溶存量1×1018分子/cm3、及び遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属類がそれぞれ50ppb以下のものである。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法によれば、 耐紫外線性の優れたシリカガラスを製造する場合の耐紫外線性の評価方法に、照射するエキシマレーザのエネルギー密度を依存因子とするばかりでなく、パルスの繰り返し周波数を依存因子として導入したので、より信頼性の高い耐紫外線性の評価が可能となり、かかるシリカガラスを使用した光学系の寿命予測、耐用年数をより正しく予測することができる。また、本発明の評価方法によって、より耐性の優れたシリカガラスの製造に大きく寄与する。
【0032】
さらに、この評価方法では実際の実使用に近い条件をもって評価するので、試験によって透過率劣化を惹起して品質を損なうことが無く、且つ短時間で評価することが可能となる。
本発明の評価方法で評価した透過率劣化が5%以下の耐紫外線性シリカガラスは、優れた紫外線透過性と耐紫外線性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例での試料▲1▼のシリカガラスの、照射するエキシマレーザの各種エネルギー密度における、パルス繰り返し周波数の変化に伴う透過率劣化の変化を示すグラフである。
【図2】実施例での試料▲2▼のシリカガラスの、照射するエキシマレーザの各種エネルギー密度における、パルス繰り返し周波数の変化に伴う透過率劣化の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の評価方法の実施例で、試料Aのシリカガラスの耐性評価をするための、照射するエキシマレーザの各種エネルギー密度における、パルス繰り返し周波数の変化に伴う透過率劣化の変化を示すグラフである。
Claims (5)
- エネルギー密度30〜50mJ/cm2、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件でエキシマレーザを照射して、透過率劣化度合を計測して耐紫外線性を評価することを特徴とするシリカガラスの耐紫外線性の評価方法。
- 繰り返し周波数が800Hzであることを特徴とする請求項1記載のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法。
- 透過率劣化が5%の値を基準にして、その値よりの高低で耐紫外線性の良否を判断することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシリカガラスの耐紫外線性の評価方法。
- エネルギー密度30〜50mJ/cm2、繰り返し周波数200Hz以上、合計パルス数107ショット以上の条件で、エキシマレーザを照射して、透過率劣化が5%以下であることを特徴とする耐紫外線性シリカガラス。
- 前記紫外線透過用シリカガラスが、フッ素ドープ量500〜3000ppm、水酸基(OH)2ppm以下、水素溶存量1×1018分子/cm3、及び遷移金属類、アルカリ土類金属、アルカリ金属類がそれぞれ50ppb以下であることを特徴とする請求項4に記載の耐紫外線性シリカガラス。
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JP2003085243A JP2004294198A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | シリカガラスの耐紫外線性の評価方法および耐紫外線性シリカガラス |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101929946A (zh) * | 2010-08-30 | 2010-12-29 | 南车株洲电力机车研究所有限公司 | 一种高原风机机舱罩抗紫外线老化的检测方法 |
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2003
- 2003-03-26 JP JP2003085243A patent/JP2004294198A/ja not_active Withdrawn
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