JP2004294075A - グルコース濃度測定装置 - Google Patents

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Mamoru Kaneko
守 金子
Kazuhiro Yoshida
和博 吉田
Wataru Ono
渉 大野
Tsuguhisa Sasai
嗣久 笹井
Yasuhiro Uehara
靖弘 上原
Hidenobu Imai
英伸 今井
Kiyoshi Arifuku
潔 有福
Masaya Hieda
雅也 稗田
Kohei Sato
弘平 佐藤
Takuya Nakano
琢也 中野
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Abstract

【課題】非侵襲的でかつ、測定精度が高いグルコース濃度測定装置の提供を課題とする。
【解決手段】生体表面S1に配置されて、近赤外光を生体S内に照射する光ファイバ5と、生体S内で拡散した光を生体Sの外部で検出する複数の光ファイバ6と、これらの受光信号に基づいてグルコース濃度を求める演算手段とを備え、前記各光ファイバ6が、前記光ファイバ5の光照射端から等距離の受光端を有するとともに、相対的に深い受光方向を向く傾斜角度をもって配置された光ファイバ6Bと、浅い受光方向を向く傾斜角度をもって配置された光ファイバ6Aとを備え、前記演算手段が、光ファイバ6Bの受光信号から光ファイバ6Aの受光信号を差し引いた差分に基づいてグルコース濃度を求める構成を採用した。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコース濃度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、糖尿病の判断のために血中グルコース濃度測定が行われており、特に糖尿病患者のインシュリン投与量を決定する血糖値を検査するために、グルコース濃度の測定が行われている。グルコース濃度の測定は、一般に、指や腕から採取した血液を直接分析することで行われている。患者の体内における血液中のグルコース濃度は、食事の前後や運動後などの測定条件によって変化するため、正確な血糖値を得るためには、頻繁な測定が必要である。
しかしながら、採血した血液を直接分析する上記方法では、グルコース濃度の測定の度に注射針等を刺して採血しなければならず、患者にかかる負担が大きいという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、指、腕、耳朶などの生体組織に対し、外部から近赤外光を照射して生体内で拡散させ、生体外に出射された光を検出する非侵襲的なグルコース濃度測定方法が提案されている(例えば下記特許文献1参照。)。この特許文献1の方法は、複数本の発光ファイバと複数本の受光ファイバとを束ねて構成した光ファイババンドルを用意し、この光ファイババンドルを構成する各光ファイバの先端面を生体表面に接触させた状態に配置する。そして、各発光ファイバの先端面から近赤外光を生体内に入射させ、さらには生体内で拡散されて生体表面から生体外に戻る光を各受光ファイバで受光するとともに、受光した光のスペクトルを分析することで、グルコース濃度を算出するものである。
【0004】
【特許文献1】
特願2000−131322号公報(図3等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生体内から戻って受光ファイバに受光される光には、グルコース濃度に寄与しない表皮組織等における拡散光も含まれるため、S/N比が低いという問題がある。
特許文献1に示される方法は、多数の発光ファイバ及び受光ファイバを使用することにより、照射光量及び検出光量を増加させ、検出されるグルコース濃度の情報量を増加させている。しかしながら、このような方法では、同時にノイズも増加するため、やはりS/N比が改善されないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、非侵襲的でかつ、測定精度が高いグルコース濃度測定装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載のグルコース濃度測定装置は、生体表面に配置されて、近赤外光を生体内に照射する光照射部と、生体内で拡散した光を生体外部で検出する複数の検出器と、これら検出器により検出された受光信号に基づいて生体内のグルコース濃度を求める演算手段とを備え、前記各検出器が、前記光照射部の光照射端から等距離の受光端を有するとともに、相対的に深い受光方向を向く傾斜角度をもって配置された第1検出器と、浅い受光方向を向く傾斜角度をもって配置された第2検出器とを少なくとも備え、前記演算手段が、前記第1検出器の受光信号から前記第2検出器の受光信号を差し引いた差分に基づいて前記グルコース濃度を求めることを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に記載のグルコース濃度測定装置によれば、これを用いてグルコース濃度を測定する際に、第2検出器が受光する光が生体の表層箇所を通るライトパスを形成する。
したがって、光照射部から近赤外光を生体内に照射するとともに生体外に戻ってきた光を第1検出器及び第2検出器で検出する際に、相対的に深い箇所を検出する第1検出器の測定結果から浅い表層箇所を検出する第2検出器の測定結果を差し引くことで、これらの差分を求めることができる。この差分は、生体内に近赤外光を照射することにより得られる測定情報の中からノイズ成分を差し引いたものとなる。
【0009】
請求項2に記載のグルコース濃度測定装置は、請求項1に記載のグルコース濃度測定装置において、前記第1検出器及び前記第2検出器の何れか一方もしくは両方の傾斜角度を調節する角度調節機構を備えることを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に記載のグルコース濃度測定装置及によれば、ノイズ成分を含む表層部分の厚み寸法が比較的薄い部分を測定する場合には、第1検出器及び第2検出器双方の傾斜角度を、これらの受光方向が浅くなるように調整する。逆に、表層部分の厚み寸法が比較的厚い部分を測定する場合には、第1検出器及び第2検出器双方の傾斜角度を、これらの受光方向が深くなるように調整する。このようにして、表層部分の厚み寸法に応じて適切な傾斜角度に第1検出器及び第2検出器を配置させることができる。
【0011】
請求項3に記載のグルコース濃度測定装置は、生体表面に配置されて、近赤外光を生体内に照射する光照射部と、生体内で拡散した光を生体外部で検出する検出器と、該検出器により検出された受光信号に基づいて生体内のグルコース濃度を求める演算手段とを備え、前記検出器が、その受光端が前記光照射部の光照射端から一定距離に保たれた状態で傾倒自在に支持され、前記演算手段が、前記検出器が相対的に深い受光方向を向いた時の受光信号から、浅い受光方向を向いた時の受光信号を差し引いた差分に基づいて前記グルコース濃度を求めることを特徴とする。
【0012】
上記請求項3に記載のグルコース濃度測定装置によれば、光照射部から近赤外光を生体内に照射するとともに生体外に戻ってきた光を検出する際に、検出器の受光方向が異なる少なくとも2条件での測定を行う。すなわち、生体の表層箇所を通る浅い受光方向を向くように検出器を傾斜させた場合と、これよりも深い受光方向を向くように検出器を傾斜させた場合との両条件における測定を行う。
この測定後、相対的に深い箇所を検出した測定結果から浅い表層箇所を検出した測定結果を差し引くことで、これらの差分を求めることができる。この差分は、生体内に近赤外光を照射することにより得られる測定情報の中からノイズ成分を差し引いたものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のグルコース濃度測定装置の各実施形態についての説明を、図面を参照しながら以下に行うが、本発明がこれらに限定解釈されるものでないことは勿論である。まず、図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態についての説明を行う。
図1に示すように、本実施形態のグルコース濃度測定装置1は、測定ヘッド2と、この測定ヘッド2が先端に接続された測定器本体3とを備えて概略構成されている。
【0014】
測定ヘッド2は、グルコース濃度を測定する際に生体表面S1に対向配置されて近赤外光を生体S内に照射する光ファイバ5(光照射部)と、生体S内で拡散した光を取り込む複数本の光ファイバ6と、これら光ファイバ6のそれぞれに接続された各受光素子7と、これら光ファイバ5,6及び各受光素子7を収容するヘッド本体8とを備えている。
【0015】
図2(b)に示すように、ヘッド本体8は、測定の際に生体表面S1に当てられる平坦な測定端面8aを有している。
光ファイバ5は、例えば直径1mmの円形横断面を有し、その先端面5aが、前記測定端面8aと面一になるように配置されている。また、光ファイバ5の外周面には、光を遮光するマスクが形成されている。このマスクにより、光ファイバ5の内部から外部に向かう光の漏れや、外部からの光が光ファイバ5の内部に入り込むのを防ぐことが可能となっている。したがって、光ファイバ5内を伝搬してきた光は、前記先端面5aのみから出射されるようになっている。
【0016】
各光ファイバ6は、図2(a),(b)に示すように、前記光ファイバ5を中心として環状配置され、なおかつ、その先端面6aが、前記測定端面8aと面一になるように配置されている。
さらに、これら光ファイバ6は、光ファイバ6の先端面5a(光照射端)の中心から等距離の中心を有する先端面6a(受光端)を備えるとともに、相対的に深い受光方向を向く傾斜角度で固定配置された光ファイバ6Bと、浅い受光方向を向く傾斜角度で固定配置された光ファイバ6Aとに分類されている。より詳しく言うと、各光ファイバ6の配置は、図2(a)に示すように前記測定端面8aを対向視した場合に、光ファイバ5の軸線を中心として環状に並び、また、図2(b)に示すように光ファイバ5の軸線を含む断面で見た場合に、この軸線に対して受光方向が交差するように傾斜配置させたものとなっている。
【0017】
このような配置により、各光ファイバ6は、光ファイバ5が放つ近赤外光Laの照射線上の第1交点La1に対して交差する受光方向の光Lbを受光する大きな傾斜角を有する光ファイバ6Aと、前記照射線上でかつ、第1交点La1よりも照射方向下流側(先端面5aから離れる側)に位置する第2交点La2に対して交差する光Lcを受光する小さな傾斜角を有するものとが交互に並ぶように配置されている。
【0018】
また、これら光ファイバ6の外周面には、光を遮光するマスクが形成されている。このマスクにより、光ファイバ6の内部から外部に向かう光の漏れや、外部からの光が光ファイバ6の内部に入り込むのを防ぐことが可能となっている。したがって、光ファイバ6内に取り込まれる光は、先端面6aのみからとなっている。
【0019】
以上説明の各光ファイバ6は、これらが接続される各受光素子7と対になって複数組の検出器を構成している。そして、これら検出器は、光ファイバ6の傾斜角に応じて、相対的に浅い表層箇所からの光Lbを受光する検出器(第1検出器)と、深い箇所からの光Lcを受光する検出器(第2検出器)とに分類されている。
【0020】
図1に示すように、前記測定器本体3は、例えばハロゲンランプ等の光源10と、該光源10から発せられた光をコリメートするコリメートレンズ11と、コリメートされた光を一定の偏光方向に偏光するポーラライザ12と、入力された超音波の周波数に応じて、ポーラライザ12で偏光された光を分光して特定波長の光(近赤外光)のみをさらに偏光して出射する音響光学可変波長フィルタ(AOTF:Acoust−Optical Tunable Filter)13と、該音響光学可変波長フィルタ13に超音波を供給して制御するフィルタ制御部14と、音響光学可変波長フィルタ13において偏光された特定波長の光のみを通過させるアナライザ15と、該アナライザ15を通過した光を集光して前記光ファイバ5に入射させる集光レンズ16と、前記各受光素子7からの出力信号を受けて増幅させるアンプ17と、該アンプ17で増幅された出力信号に基づいてグルコース濃度を算出する演算部18と、該演算部18に接続されてその演算結果を表示する表示部19とを備えて構成されている。なお、図中の符号7bは、各受光素子7及びアンプ17間を接続する配線を示している。
【0021】
前記フィルタ制御部14は、音響光学可変波長フィルタ13に対して特定周波数の超音波を供給するのと同期して、その周波数に応じて音響光学可変波長フィルタ13から出射されている光の波長信号を演算部18に供給するようになっている。また、このフィルタ制御部14は、音響光学可変波長フィルタ13に供給する超音波の周波数を順次変更してスキャンさせることが可能となっている。
【0022】
前記演算部18は、アンプ17を介して各受光素子7から得た各出力信号(受光信号)と、フィルタ制御部14から得た各出力信号に対応する波長信号とから得られる出力信号のスペクトル分布に基づいて、特定波長領域、例えば波長1.5μm近傍の領域における出力信号値からグルコース濃度を演算するようになっている。すなわち、この演算部18では、真皮部分の光Lcを受光する前記光ファイバ6B及びこれに接続される受光素子7の組み合わせで構成される前記第1検出器の受光信号から、表皮部分の光Lbを受光する前記光ファイバ6A及びこれに接続される受光素子7の組み合わせで構成される前記第2検出器の受光信号を差し引いた差分を求める。そして、この差分の周波数分析を行い、特定波長、例えば1.5μm近傍の領域の光量に応じてグルコース濃度を算出すものとなっている。
【0023】
以上説明の構成を有する本実施形態のグルコース濃度測定装置1の動作について以下に説明する。
まず、測定ヘッド2の測定端面8aを生体S、例えば指先の表面に密着させる。これにより、各光ファイバ5,6の各先端面5a,6aが生体表面S1に密着する。この状態で光源10及び音響光学可変波長フィルタ13を作動させ、光源10から発せられた光より近赤外光を分光して光ファイバ5に入射させる。光ファイバ5に入射されて伝搬する近赤外光は、光ファイバ5の先端面5aから生体S内に入射される。
【0024】
生体S内に入射した近赤外光Laは、その入射方向に沿って生体S内を進行する間に、生体組織に衝突して拡散される。この時、通過する生体組織や体液の成分に応じて特定波長の光が吸収される。したがって、生体S内で拡散された後、生体S外に戻ってくる光は、通過した生体組織や体液に応じた特定波長領域の光量が低下している。そして、このようにして生体S外に出射された光を、各光ファイバ6を介して各受光素子7で検出する。この時、前記光ファイバ6Aに接続された受光素子7が受光する光Lbは、生体Sの表皮を通るライトパスを形成する。また、前記光ファイバ6Bに接続された受光素子7が受光する光Lcは、生体Sの真皮を通るライトパスを形成する。
【0025】
そして、各受光素子7から発せられた出力信号は、アンプ17において増幅された後、演算部18に入力される。
演算部18では、相対的に深い箇所である真皮からの光Lcを検出した測定結果より、浅い表層箇所である表皮からの光Lbを検出した測定結果を差し引くことで、これらの差分を求めることができる。この差分は、生体S内に近赤外光Laを照射することにより得られる測定情報の中からノイズ成分を差し引いたものとなるので、ノイズ成分の少ない測定結果を得ることが可能となる。
このようにして求められたグルコース濃度値は、表示部19に表示される。
【0026】
以上説明の本実施形態のグルコース濃度測定装置1によれば、グルコース濃度の測定に際し、生体Sの深い箇所の測定結果から浅い箇所の測定結果の差分を求めることで、生体Sの浅い箇所をライトパスが通ることにより生じるノイズ成分を差し引いた差分を求めることができる。この差分は、純粋に血液のみを測定した場合の結果に近くなるので、測定精度が高いグルコース濃度の測定が可能となる。
【0027】
なお、上記実施形態では、各光ファイバ6の先端面6aが前記測定端面8aと面一になるように斜めにカットされている場合を例に説明したが、これに限らず、例えば図3(a)に示すように、その軸線に垂直をなすとともに測定端面8aから突出した形状や、または図3(b)に示すように、半球形状を有してかつ測定端面8aから突出した形状など、その他の形状を採用しても良い。
【0028】
続いて、本発明の第2実施形態の説明を、図4を参照しながら以下に説明する。なお、本実施形態は、各光ファイバ6の傾斜角度を調節する角度調整機構を備えた点に特徴があるので、この特徴点を中心に説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、本実施形態のグルコース濃度測定装置1では、各光ファイバ6の先端部分それぞれが、角度調整機構21によって任意の傾斜角度に調節されるようになっている。
この角度調整機構21は、測定ヘッド2内に傾倒自在に取り付けられた複数本のファイバホルダ22と、これらファイバホルダ22を傾倒させる駆動部23と、各ファイバホルダ22の傾倒動作をガイドするガイド24とを備えて構成されている。
【0030】
各ファイバホルダ22は、測定ヘッド2の先端に設けられた支点r回りに傾倒自在に連結された筒状体であり、それぞれ内部に、その先端と先端面6aとが面一になるように光ファイバ6が挿入されている。これらファイバホルダ22は所定強度を備えており、傾倒動作を行う際に、内部に保持している光ファイバ6の先端部分に不要な曲げや圧迫を加えることがないようになっている。なお、各支点rは、光ファイバ5の軸線を中心とする同一円周上に配置されているため、前記軸線から全て等距離に配置されたものとなっている。
各ガイド24は、円弧状のスライドガイドであり、一端において前記支点rに連結されたファイバホルダ22の他端側を摺動可能に支持している。
各駆動部23は、例えば、各ファイバホルダ22の周面に対して貼り付けられたバルーンであり、その膨張・収縮の変形動作により各ファイバホルダ22を傾倒させるようになっている。
【0031】
上記構成を有するグルコース濃度測定装置1によれば、ノイズ成分を含む表皮の厚み寸法が比較的薄い部分を測定する場合には、各光ファイバ6A,6B双方の傾斜角度を、これらの受光方向が浅くなるように調整する。逆に、表皮の厚み寸法が比較的厚い部分を測定する場合には、各光ファイバ6A,6B双方の傾斜角度を、これらの受光方向が深くなるように調整する。
このようにして、表皮部分の厚み寸法に応じて適切な傾斜角度に各光ファイバ6A,6Bを配置させることができるので、様々な測定部位の測定に適用することが可能となる。
【0032】
続いて、本発明の第3実施形態の説明を、図5(a),(b)を参照しながら以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第2実施形態の変形例に相当するので、相違点を中心に説明し、その他については上記第2実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0033】
本実施形態のグルコース濃度測定装置1では、全ての光ファイバ6の傾斜角度を互いに同一にするとともに、これらの受光方向が深くなるように傾倒させた時と受光方向が浅くなるように傾倒させた時の少なくとも2点において受光信号を取得し、これら受光信号の差分に基づいてグルコース濃度を求めるものとしている。
【0034】
すなわち、まず、図5(a)に示すように、受光方向が深くなるように全光ファイバ6の傾倒角度を前記角度調整機構21で固定した後、第1回目の受光を行う。続いて、図5(b)に示すように、受光方向が浅くなるように全光ファイバ6の傾倒角度を前記角度調整機構21で固定した後、第2回目の受光を行う。
そして、前記演算部18は、各光ファイバ6が相対的に深い受光方向を向いた図5(a)の時の受光信号から、浅い受光方向を向いた図5(b)の時の受光信号を差し引いた差分を求める。この差分は、生体S内に近赤外光Laを照射することにより得られる測定情報の中からノイズ成分を差し引いたものとなるので、ノイズ成分の少ない測定結果を得ることが可能となる。
【0035】
以上説明の構成を有する本実施形態のグルコース濃度測定装置1によれば、グルコース濃度の測定に際し、生体Sの深い箇所の測定結果から浅い箇所の測定結果の差分を求めることで、生体Sの浅い箇所をライトパスが通ることにより生じるノイズ成分を差し引いた差分を求めることができる。この差分は、純粋に血液のみを測定した場合の結果に近くなるので、測定精度が高いグルコース濃度の測定が可能となる。
なお、本実施形態では、同一の光ファイバ6の受光方向を時間的に変えて、受光深さの異なる複数条件の測定を行えるものであるので、受光側としては、少なくとも1本の光ファイバ6が有れば良く、構成要素を大幅に減らすことが可能である。ただし、上記説明のように複数本を用いる構成の方が、受光量を大幅に増大させることができるので、測定精度向上の観点より、より好ましいと言える。
【0036】
【発明の効果】
請求項1に記載のグルコース濃度測定装置は、その検出器が、光照射部の光照射端から等距離の受光端を有するとともに、相対的に深い受光方向を向く第1検出器と、浅い受光方向を向く第2検出器とを少なくとも備え、演算手段が、第1検出器の受光信号から第2検出器の受光信号を差し引いた差分に基づいてグルコース濃度を求める構成を採用した。この構成によれば、グルコース濃度の測定に際し、生体の深い箇所の測定結果から浅い箇所の測定結果の差分を求めることで、生体の浅い箇所をライトパスが通ることにより生じるノイズ成分を差し引いた差分を求めることができる。この差分は、純粋に血液のみを測定した場合の結果に近くなるので、測定精度が高いグルコース濃度の測定が可能となる。
【0037】
また、請求項2に記載のグルコース濃度測定装置は、第1検出器及び第2検出器の何れか一方もしくは両方の傾斜角度を調節する角度調節機構を備える構成を採用した。この構成によれば、測定部位の表層部分が有する厚み寸法に応じて、適切に対応することができるので、様々な測定部位の測定に適用することが可能となる。
【0038】
また、請求項3に記載のグルコース濃度測定装置は、検出器が、その受光端が光照射部の光照射端から一定距離に保たれた状態で傾倒自在に支持され、演算手段が、検出器が相対的に深い受光方向を向いた時の受光信号から、浅い受光方向を向いた時の受光信号を差し引いた差分に基づいてグルコース濃度を求める構成を採用した。この構成によれば、グルコース濃度の測定に際し、生体の深い箇所の測定結果から浅い箇所の測定結果の差分を求めることで、生体の浅い箇所をライトパスが通ることにより生じるノイズ成分を差し引いた差分を求めることができる。この差分は、純粋に血液のみを測定した場合の結果に近くなるので、測定精度が高いグルコース濃度の測定が可能となる。さらに、本発明では、同一の検出器の受光方向を時間的に変えて、受光深さの異なる複数条件の測定を行えるものであるので、使用する検出器の数を減らして小型化することも可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグルコース濃度測定装置の第1実施形態を示す図であって、装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】同グルコース濃度測定装置の測定ヘッドの先端部分を示す図であって、(a)は測定ヘッドの先端部分の正面図、(b)の右側半分は(a)のB−B断面図、(b)の左側半分は(a)のC−C断面図である。
【図3】同グルコース濃度測定装置の変形例を示す図であって、(a)は光ファイバ先端形状の第1変形例、(b)は光ファイバ先端形状の第2変形例を示す説明図である。
【図4】本発明のグルコース濃度測定装置の第2実施形態を示す図であって、図2(b)に相当する断面図である。
【図5】本発明のグルコース濃度測定装置の第3実施形態を示す図であって、(a),(b)共に図4に相当する断面図である。
【符号の説明】
5・・・光ファイバ(光照射部)
6・・・光ファイバ(検出器)
6A・・・光ファイバ(第2検出器)
6B・・・光ファイバ(第1検出器)
7・・・受光素子(検出器)
18・・・演算部(演算手段)
21・・・角度調節機構
S・・・生体
S1・・・生体表面

Claims (3)

  1. 生体表面に配置されて、近赤外光を生体内に照射する光照射部と、生体内で拡散した光を生体外部で検出する複数の検出器と、これら検出器により検出された受光信号に基づいて生体内のグルコース濃度を求める演算手段とを備え、
    前記各検出器が、前記光照射部の光照射端から等距離の受光端を有するとともに、相対的に深い受光方向を向く傾斜角度をもって配置された第1検出器と、浅い受光方向を向く傾斜角度をもって配置された第2検出器とを少なくとも備え、
    前記演算手段が、前記第1検出器の受光信号から前記第2検出器の受光信号を差し引いた差分に基づいて前記グルコース濃度を求める
    ことを特徴とするグルコース濃度測定装置。
  2. 請求項1に記載のグルコース濃度測定装置において、
    前記第1検出器及び前記第2検出器の何れか一方もしくは両方の傾斜角度を調節する角度調節機構を備える
    ことを特徴とするグルコース濃度測定装置。
  3. 生体表面に配置されて、近赤外光を生体内に照射する光照射部と、生体内で拡散した光を生体外部で検出する検出器と、該検出器により検出された受光信号に基づいて生体内のグルコース濃度を求める演算手段とを備え、
    前記検出器は、その受光端が前記光照射部の光照射端から一定距離に保たれた状態で傾倒自在に支持され、
    前記演算手段は、前記検出器が相対的に深い受光方向を向いた時の受光信号から、浅い受光方向を向いた時の受光信号を差し引いた差分に基づいて前記グルコース濃度を求める
    ことを特徴とするグルコース濃度測定装置。
JP2003082770A 2003-03-25 2003-03-25 グルコース濃度測定装置 Withdrawn JP2004294075A (ja)

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