JP2004293984A - 蓄熱構造体の製造方法、および、蓄熱構造体 - Google Patents
蓄熱構造体の製造方法、および、蓄熱構造体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】蓄熱粒子を用いた蓄熱構造体を連続的に生産性よく、製造できる蓄熱構造体の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】搬送される容器内に搬送途中で蓄熱粒子を供給し、容器に供給された蓄熱粒子を均等に均したのち、蓋部材を上方から繰り出し、蓄熱粒子の上面を覆い容器に収まるように蓄熱粒子を圧縮させ、その後、容器の左右の上端部が蓋部材の上面を覆うように折り曲げ、蓄熱粒子を覆う外壁を作製する工程を備えていることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】搬送される容器内に搬送途中で蓄熱粒子を供給し、容器に供給された蓄熱粒子を均等に均したのち、蓋部材を上方から繰り出し、蓄熱粒子の上面を覆い容器に収まるように蓄熱粒子を圧縮させ、その後、容器の左右の上端部が蓋部材の上面を覆うように折り曲げ、蓄熱粒子を覆う外壁を作製する工程を備えていることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱構造体の製造方法、および、蓄熱構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄熱粒子として、樹脂製のシェル中にワックス等の潜熱蓄熱剤が封入された蓄熱マイクロカプセルが既に提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、このような蓄熱マイクロカプセルは、その用途によって所定の形状に賦形する必要があるが、微粒の粉体であるため、それ単体では、形状保形することができない。
【0003】
そこで、この蓄熱マイクロカプセルを用いて所望形状の蓄熱成形体を製造する方法としては、(1)蓄熱マイクロカプセルをそのまま所望形状の樹脂や金属製の容器に充填する方法、(2)蓄熱マイクロカプセルスラリーを不織布に含浸させたのち、乾燥してシート化する方法、(3)蓄熱マイクロカプセルを熱可塑性樹脂に混練し、この混練物を押し出し成形する方法、(4)蓄熱マイクロカプセルと各種バインダーとの混合物を型枠に入れ硬化させる方法等が挙げられるが、いずれの方法にも以下のような問題がある。
【0004】
すなわち、(1)の方法では、生産性が悪いという問題、壁材や床材となる長尺板状構造体の場合、軽量化や熱伝導性をよくするために容器の壁厚を薄くすると、構造体を立てかけたときに、上方の蓄熱粒子の荷重のため、容器下方の壁が外側に膨らみ、床材や壁材として使用できなくなるという問題等がある。
(2)の方法では、スラリー含浸後、乾燥しなければならず、製造に時間がかかるという問題、不織布内がポーラスになるため、熱効率が悪いという問題、薄くできないという問題等がある。
【0005】
(3)の方法では、混練時に蓄熱マイクロカプセルが破壊されるという問題、蓄熱マイクロカプセルと蓄熱マイクロカプセルとの間に熱伝導性が悪い熱可塑性樹脂層があるため、熱効率が悪いという問題等がある。
(4)の方法では、バインダーとして2液硬化型樹脂バインダーを用いた場合、バインダーの可使時間が短いため、すばやく処理しないと、成形前に硬化してしまい、ロスが多くなるという問題、1液硬化型樹脂バインダーを用いた場合、可使時間は延びるが、高価であるため製造コストがかかるという問題等がある。
【0006】
【特許文献1】特開2001−181611号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、蓄熱粒子を用いた蓄熱構造体を連続的に生産性よく、製造できる蓄熱構造体の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項1の製造方法」と記す)は、搬送される容器内に搬送途中で蓄熱粒子を供給し、容器に供給された蓄熱粒子を均等に均したのち、蓋部材を上方から繰り出し、蓄熱粒子の上面を覆い容器に収まるように蓄熱粒子を圧縮させ、その後、容器の左右の上端部が蓋部材の上面を覆うように折り曲げ、蓄熱粒子を覆う外壁を作製する工程を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項2に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項2の製造方法」と記す)は、請求項1の製造方法において、蓄熱粒子が、蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)とが混合された混合粒子であって、蓋部材で蓄熱粒子を覆ったあと、外壁内で主剤と硬化剤とを反応させる工程を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項3に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項3の製造方法」と記す)は、請求項1または請求項2の製造方法において、少なくとも搬送方向に容器内部を複数に区画する仕切りを、蓋部材を被せる以前のいずれかの工程で容器内に形成することを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項4に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項4の製造方法」と記す)は、請求項3の製造方法において、格子状の仕切りを容器内に供給し、区画部を形成することを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項5に記載の蓄熱構造体(以下、「請求項5の蓄熱構造体」と記す)は、薄板材で形成された外壁を有し、内部に仕切りが設けられ少なくとも長手方向に区画された区画部を備え、蓄熱粒子が各区画部に充填されていることを特徴としている。
【0013】
本発明において、蓄熱粒子としては、特に限定されないが、たとえば、樹脂製のシェル中に潜熱蓄熱剤が充填された蓄熱マイクロカプセルや、この蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)との混合物等が挙げられる。
【0014】
上記蓄熱マイクロカプセルを構成するシェルの材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体等のラジカル重合性の高いモノマーから構成されるラジカル重合型樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0015】
上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられる(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の極性基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられるスチレン誘導体モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐クロロスチレン等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられるその他のモノマーとしては、特に限定されないが、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
また、シェルの機械的強度を改善する目的で、上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられるモノマーとして必要に応じて多官能性モノマーを上記各モノマーと併用するようにしてもよい。
【0018】
上記多官能性モノマーとしては、特に限定はされないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1, 6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類や、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、その他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
蓄熱剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪酸、アルコール等が挙げられ、特に住宅用の保温材として使用する場合、室温付近で相転移を起こす有機化合物、即ち、0℃以上50℃未満の融点を持つ脂肪族炭化水素を使用することが好ましく、具体例として、例えば、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ドコサン等が挙げられる。これらの炭化水素は、炭素数の増加と共に融点が上昇するため、目的に応じた融点を有する炭化水素を選択したり、2種以上の炭化水素を混合して使用することが可能である。上記有機化合物には、マイクロカプセルの熱伝導性、比重を調節する目的で、カーボン、金属粉、アルコール等が添加されても良い。
【0020】
蓄熱マイクロカプセルの大きさは、特に限定されないが、30μm〜40μm程度が好ましい。
蓄熱マイクロカプセルの製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、シェルをポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体等のラジカル重合性の高いモノマーから構成されるラジカル重合型樹脂で形成する場合、蓄熱剤となる成分をとシェルの形成に用いられるラジカル重合性モノマーの混合物を、水中に乳化懸濁し、油滴中のモノマーをラジカル重合することによって得る懸濁重合法を用いることができる。特に蓄熱剤として疎水性の高い脂肪族炭化水素を用いると、ラジカル重合性モノマーは油滴中で熱力学的に安定な水相界面付近にポリマーを生成し、より強固なシェルが得られる。また、上記懸濁重合法では、分散剤及び重合開始剤が用いられる。
【0021】
上記分散剤は、上記蓄熱剤とモノマーの混合乳化懸濁液の分散安定性を向上させ、重合を効率的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特に望ましくはアニオン系界面活性剤であり、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、油溶性のフリーラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。また、上記懸濁重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0022】
なお、上記懸濁重合法は、モノマーの添加方法の違いから一括重合法、エマルジョン添加法の2つに大別されが、いずれの方法も採用することができる。
一括重合法とは、例えば、まず、蓄熱剤、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を予め混合しモノマー溶液を調製するとともに、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水、分散剤を入れ、重合容器内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧まで圧力を戻し、窒素雰囲気下において、上記モノマー溶液を一括して重合容器内へ添加する。撹拌翼によって、モノマー溶液を乳化懸濁した後、槽内をジャケットにより所定の温度に昇温して重合する方法である。さらに、モノマー溶液は分散剤及び仕込水の一部と予め混合乳化され、重合容器へ添加されても良い。
【0023】
一方、エマルジョン添加法とは、例えば、まず、蓄熱剤、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、分散剤、イオン交換水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノマー液を調製するとともに、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水を入れ、重合容器内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧まで圧力を戻し、窒素雰囲気下において、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、上記乳化モノマー液を一括添加、あるいは一定量ずつ滴下することにより重合する方法である。
【0024】
また、上記懸濁重合法によれば、蓄熱マイクロカプセルは、重合直後、スラリー中に分散されているため、まず、スラリーから濾別し、乾燥することによって得られる。
なお、重合の結果得られるマイクロカプセルを含むスラリー中の樹脂固形分量は、特に限定されるものではないが、生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10〜70重量%が好ましい。上記スラリー中のマイクロカプセルの平均粒子径は特に限定されないが、使用方法により好ましい粒子径が異なり、例えば、スラリーとして用いる場合は、大きくなるとマイクロカプセルと水の分離が起こりやすくなり、小さすぎるとカプセルの強度が落ちるため、0.01〜10μmが適当である。一方、マイクロカプセルを乾燥し、粉体として使用する場合は、乾燥工程の操作性等より10〜3000μmが適当である。
【0025】
本発明において用いられる2液硬化型樹脂バインダーとしては、特に限定されないが、たとえば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂系の接着剤が挙げられ、エポキシ樹脂系のものが好適に用いられる。
因みに、エポキシ樹脂系バインダーの場合、主剤となるエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、1分子中にエポキシ基を2個以上有する、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとの重縮合物であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、(ポリ)エチレングリコールまたはグリセリン等の多価アルコールあるいはアニリンまたはジアミノジフェニルメタン等のアミン化合物とエピクロルヒドリンとの重縮合物が挙げられ、これらを複数種混合して使用することもできる。
【0026】
また、これら一般的なエポキシ樹脂以外にも、例えばポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルや、高級脂肪酸のグリシジルエステル、あるいはグリシジルアミン型エポキシ等の特殊エポキシ樹脂を、硬化後の耐熱性や柔軟性を付与する目的で添加してもよい。
【0027】
一方、硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体、ルイス酸複合体、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、酸無水物、酸性ポリエステル、スチレンマレイン酸共重合体等、カルボキシル基含有ポリマー、ポリアミンおよび変性ポリアミン等の潜在型硬化剤が挙げられ、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、およびイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が好適に用いられる。
【0028】
主剤および硬化剤には、加熱して硬化させる際の温度を下げる目的で、硬化促進剤を混合しておいても構わない。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、たとえば三級アミン系またはホスフィン系などが挙げられ、溶液の保存安定性と硬化促進効果の点でアミン系のイミダゾール化合物が最も好ましい。具体的には1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−C11イミダゾール(C11は炭素数11のアルキル基)および1−フェニルイミダゾールが挙げられる。
【0029】
凝集防止微粒子としては、蓄熱粒子(A)および蓄熱粒子(B)の凝集が防止でき、しかも、主剤と硬化剤との反応を阻害しなければ、特に限定されず、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸;それらのエステル類、アミド類、ニトリル類;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等のビニル芳香族類、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパン等のビニル基を二つ以上有するジビニル化合物等を単量体として、乳化重合法、ソープフリー重合法、分散重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン重合法等により重合された有機系微粒子、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、セラミックビーズ、水晶ビーズ、ガラスビーズ、から選ばれた無機系粒子が挙げられ、帯電防止、性を有し、吸湿性の乏しい無機系粒子、たとえは、炭酸カルシウムやシリカが好適に用いられる。
【0030】
凝集防止微粒子の粒径は、特に限定されないが、たとえば、蓄熱マイクロカプセルの粒径が30μm〜40μmのとき、2μm〜3μm程度とすることが好ましい。
【0031】
本発明の蓄熱粒子(A)の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、まず、上記蓄熱マイクロカプセルと主剤とを混合し、その混合溶液をノズルから溶剤とともに連続的に吐出させることによって、混合溶液を液滴状に散布し、空中で溶剤を揮散させることにより球状の粒子として回収したのち、粒子をふるい分けて主剤で被覆された蓄熱マイクロカプセルを得る。つぎに、蓄熱マイクロカプセルと凝集防止微粒子とを混合して蓄熱マイクロカプセルに凝集防止微粒子をまぶし、蓄熱粒子(A)を得る。なお、蓄熱マイクロカプセルと凝集防止微粒子とを均一に混合させるには、例えば、混合物をミル、ニーダー、押出機、ミキサー等で混合すればよい。
【0032】
一方、蓄熱粒子(B)の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、主剤に代えて硬化剤を用いることで、上記蓄熱粒子(A)と同様にして得ることができる。
【0033】
本発明の製造方法において、容器は、予め容器状に成形されていても構わないが、生産性を考慮すると、ロールに巻回された帯状の長尺シートをロールから連続的に送り出しつつ、両側縁を折り曲げて枠状の容器に成形することが好ましい。なお、長尺の蓄熱構造体の長さは、繰り出すシートの長さを調節してもよく、切断により調節してもよい。
容器および蓋部材の材質としては、特に限定されないが、たとえば、鋼やアルミニウム等の金属、プラスチック、紙等が挙げられるが、蓄熱構造体を床材や壁材等として用いる場合、軽量で熱伝導率の大きい鋼やアルミニウム等の金属が好ましい。
容器の厚みは、所望の強度が確保できれば特に限定されないが、床下暖房ユニットの床下地材として用いる場合、アルミニウム製のもので200μm〜300μm程度とすることが好ましい。
仕切りは、蓄熱粒子による荷重を受け止めて蓄熱粒子が蓄熱構造体の内部を移動するのを抑止できれば、蓄熱粒子がかたよることによる変形は起こらず、その形状は特に限定されないが、格子状に設けることが好ましい。
【0034】
また、仕切りの形成方法は、枠部材に予め形成されていても構わないが、生産性を考慮すると、仕切りを形成する長尺の仕切り部材を搬送されている枠部材内に連続的に供給することが好ましい。
仕切りの材質は、特に限定されず、容器や蓋部材と同様の材質で構わない。
仕切りは、ホットメルト接着剤を用いて形成してもよく、容器の底にホットメルト接着剤を網目状に塗布したり、予め網状に形成したホットメルト接着剤のシートを容器内に収めてもよい。なお、ホットメルト接着剤は、融点あるいは軟化点が40℃〜80℃であることが好ましい。
【0035】
本発明の蓄熱構造体は、上記請求項3または請求項4の製造方法を用いることが好ましいが、予め枠部材を得ようとする蓄熱構造材の形状をした容器形状に形成するとともに、容器内に仕切りを設けておき、バッチ式で蓄熱粒子を容器に充填し、容器の開口部を蓋部材で閉じるようにしても構わない。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の1つの実施の形態をあらわしている。
【0037】
図1に示すように、この蓄熱構造体の製造方法は、長尺の枠部材用アルミニウムシート1aが巻回されたロール1からアルミニウムシート1aを連続的に送り出し、フォーミングローラ2によって搬送に伴ってアルミニウムシート1aの両側縁を上方に折り曲げ、枠状の容器1bを連続的に成形する。
そして、シェル内に蓄熱剤が封入された蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)との混合粒子3を、複数の散布機(図では1つしかあらわれていない)10からこの容器1b上に供給する。
【0038】
つぎに、この混合粒子3を均しブレード4a、均しローラ4bや図示していないブラシ等によって上面が平坦になるように均したのち、長尺のアルミニウムシートからなる蓋部材5aが巻回されたロール5から蓋部材5aを連続的に混合粒子3の上面を覆うとともに、容器1b内に入り込むように連続的に供給する。
そして、複数の圧縮ローラ6によって蓋部材5aの上側から混合粒子3を圧縮したのち、フォーミングローラ7によって、容器1bの上端部を内側に折り曲げ、蓋部材5aの上面に密着させて外壁8を形成する。
【0039】
つぎに、加熱炉9に送り込み、加熱炉9内で外壁8越しに混合粒子3を加熱して、混合粒子3の主剤と硬化剤とを反応させて、隣接する蓄熱マイクロカプセル同士をバインダーを介して結合させたのち、図示していないが裁断機で所望の長さに切断し、図2に示すようなパネル状の蓄熱構造体Aを得る。
なお、切断面は、容器や蓋部材と同様の材料等からなる封止材を貼着する等して封止し、蓄熱マイクロカプセルがもれ出ないようにすることが好ましい。
【0040】
この蓄熱構造体の製造方法は、以上のように、蓄熱粒子である混合粒子3を搬送される容器1bの内部に充填し、その後蓋部材5aで容器1bの上部開口を閉じて外壁8を形成するようにしたので、パネル状をした蓄熱構造体Aを連続して製造することができる。また、蓋部材5a越しに圧縮ロール6によって混合粒子3を圧縮するようにしたので、混合粒子3が最密充填され、熱伝達性に優れたものとなる。さらに、蓄熱粒子として、シェル内に蓄熱剤が封入された蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)との混合粒子3を用いるようにしたので、蓄熱マイクロカプセルが最密充填された状態で隣接する蓄熱マイクロカプセルがバインダーによって結合される。したがって、蓄熱構造体Aを施工現場の形状に合うように切断等の加工をしても蓄熱マイクロカプセルがもれ出ることがなく、取り扱い性に優れる。
【0041】
図3は、本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の他の実施の形態をあらわしている。
図3に示すように、この蓄熱構造体の製造方法は、容器1b内に混合粒子3を供給する前に、格子状のアルミニウム製の仕切り部材20を連続的に供給する。これにより、上記の実施の形態と同様にして、図4に示す外壁8内が仕切り21で細かく仕切られた蓄熱構造体Bが得られる。
【0042】
この蓄熱構造体Bは、内部が仕切り21によって仕切られているので、蓄熱構造体Bを壁等に立てかけて長期間放置しても、内部の蓄熱マイクロカプセルga移動しないように、荷重が仕切り21によって受けとめられる。したがって、下方の外壁8が上方の蓄熱マイクロカプセルの荷重によって外側に膨れたりすることがない。
【0043】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、加熱することによって2液硬化型樹脂バインダーを硬化させるようにしていたが、紫外線や電子線を照射する方法で硬化させるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、外壁がアルミニウムのみで形成されていたが、たとえば、この蓄熱構造体を暖房ユニットを内蔵した床の床下地材として用いる場合、床下側の面に、断熱材層を設けても構わない。
【0044】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0045】
(実施例1)
まず、300重量部のイオン交換水に、水溶性重合禁止剤として亜硫酸ナトリウムを0.08重量部と、分散安定剤として部分ケン化ポリ酢酸ビニル(日本合成化学工業社製 GM−14)の10重量%水溶液を20重量部、混合撹拌して、水性分散媒体を調製する。一方、表1に示すラジカル重合性モノマー(メチルメタクリレート)、2官能架橋性モノマー(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート)、脂肪族炭化水素(直鎖ヘキサデカン)、重合開始剤を混合撹拌して重合用モノマー溶液を調製する。この水性分散媒体と重合用モノマー溶液とを混合し、ホモジナイザー(KNEMATICA GmbH LITTAU製の分散機、POLYTRON PT10−35)で撹拌速度5000rpmにて懸濁分散した。得られた懸濁分散液の油滴は、平均粒子径が20μm程度のものであった。
【0046】
ついで、撹拌機、ジャケット、還流冷却器、および温度計を備えた重合器に、得られた懸濁分散液を投入し、重合容器内を減圧して容器内の脱酸素を行い、窒素により圧戻しをして置換した。重合容器を80℃まで昇温し、撹拌翼を回転させた状態で、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合容器を室温まで冷却した。マイクロカプセル濃度約25重量%の蓄熱マイクロカプセルを含むスラリーを得た。
このスラリーを、濾紙を用いて濾過し、蓄熱マイクロカプセルを単離し、これを80℃、大気圧下にて乾燥し、粉末状の蓄熱マイクロカプセルを得た。
【0047】
なお、平均粒子径は、蓄熱マイクロカプセルのスラリーを水媒体中に分散させ、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 LA−910)を用いて体積平均粒径を測定した。
つぎに、500mlの紙製容器に上記のようにして得られた蓄熱マイクロカプセル82gをエポキシ樹脂(JER製 E807)36g中に入れ、ガラス棒で均一に分散させた。これを目開き2mmのフルイにかけて、フルイを通過したエポキシ樹脂で被覆された蓄熱マイクロカプセルに炭酸カルシウム(白石カルシウム社製 P−30)8gを均一にまぶし、蓄熱粒子(A)を得た。
【0048】
そして、エポキシ樹脂に代えて硬化剤(大都産業社製 D677)18gとした以外、上記と同様にして蓄熱粒子(B)を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
得られた蓄熱粒子(A)と蓄熱粒子(B)とを混合し、この混合粒子3を得た。
【0051】
厚み0.19mm、幅294mmの枠部材用アルミニウムシート1aのロール1および厚み0.19mm、幅270mmのアルミニウム製蓋部材5aのロール5をそれぞれ用意し、図1に示すようにして、まず、枠部材用アルミニウムシート1aをロール1から送り出しフォーミングローラ2によって、枠部材用アルミニウムシート1aの両側縁を12mmずつ略直角に折り曲げて、容器1bを形成し、この容器1bに上記で得られた混合物3を散布機10から供給したのち、均しブレード4a、均しローラ4bによって、厚み12mmになるまで均した。その後、混合粒子3の上方から蓋部材5aを連続的に供給するとともに、蓋部材5aの上から圧縮ローラ6によって混合粒子6を6mmの厚さになるまで圧縮した。つぎに、圧縮によって、蓋部材5aより上方に飛び出た枠部材の上端6mmをフォーミングローラ7によって、蓋部材5aの上面に密着するように折り曲げて外壁8を形成し、加熱炉9内で加熱したのち、裁断機で425mmの長さに裁断し、図2に示す蓄熱構造体Aを得た。
得られた蓄熱構造体Aは、その長手方向の中間部を手で持っても撓まず、また、蓄熱粒子が約450g外壁8内に充填されていた。
【0052】
(実施例2)
枠部材用アルミニウムシート1aおよびアルミニウム製蓋部材5aの厚みを0.27mmにするとともに、850mmの長さに裁断した以外は、実施例1と同様にして蓄熱構造体Aを得た。
得られた蓄熱構造体Aは、その長手方向の中間部を手で持っても撓まなかった。
【0053】
【発明の効果】
本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法は、以上のように構成されているので、蓄熱粒子を用いた長尺の熱効率のよい蓄熱構造体を連続的に生産性よく、製造できる。
また、本発明にかかる蓄熱構造体は、以上のように構成されているので、内部に充填された蓄熱粒子による荷重によって、外壁の一部が外側に膨れたりすることがない
【0054】
特に請求項2の製造方法のようにすれば、蓄熱マイクロカプセル同士がそのシェル壁を接した状態でしっかりとバインダーによって結合されるので、熱が各蓄熱マイクロカプセルにすばやく伝導される。すなわち、蓄熱−放熱がすみやかに行われるとともに、単位体積当りの蓄熱量も大きいものとなる。しかも、切断しても蓄熱マイクロカプセルが漏れ出たりすることがない蓄熱構造体を得ることができる。
請求項3および請求項4の製造方法のようにすれば、本発明の蓄熱構造体を連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の1つの実施の形態を模式的にあらわす説明図である。
【図2】図1の製造方法で得られる蓄熱構造体の斜視図である。
【図3】本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の他の実施の形態を模式的にあらわす説明図である。
【図4】図3の製造方法で得られる蓄熱構造体の斜視図である。
【符号の説明】
A,B 蓄熱構造体
1b 枠部材
5a 蓋部材
3 混合粒子(蓄熱粒子)
20 仕切り部材
21 仕切り
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱構造体の製造方法、および、蓄熱構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄熱粒子として、樹脂製のシェル中にワックス等の潜熱蓄熱剤が封入された蓄熱マイクロカプセルが既に提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、このような蓄熱マイクロカプセルは、その用途によって所定の形状に賦形する必要があるが、微粒の粉体であるため、それ単体では、形状保形することができない。
【0003】
そこで、この蓄熱マイクロカプセルを用いて所望形状の蓄熱成形体を製造する方法としては、(1)蓄熱マイクロカプセルをそのまま所望形状の樹脂や金属製の容器に充填する方法、(2)蓄熱マイクロカプセルスラリーを不織布に含浸させたのち、乾燥してシート化する方法、(3)蓄熱マイクロカプセルを熱可塑性樹脂に混練し、この混練物を押し出し成形する方法、(4)蓄熱マイクロカプセルと各種バインダーとの混合物を型枠に入れ硬化させる方法等が挙げられるが、いずれの方法にも以下のような問題がある。
【0004】
すなわち、(1)の方法では、生産性が悪いという問題、壁材や床材となる長尺板状構造体の場合、軽量化や熱伝導性をよくするために容器の壁厚を薄くすると、構造体を立てかけたときに、上方の蓄熱粒子の荷重のため、容器下方の壁が外側に膨らみ、床材や壁材として使用できなくなるという問題等がある。
(2)の方法では、スラリー含浸後、乾燥しなければならず、製造に時間がかかるという問題、不織布内がポーラスになるため、熱効率が悪いという問題、薄くできないという問題等がある。
【0005】
(3)の方法では、混練時に蓄熱マイクロカプセルが破壊されるという問題、蓄熱マイクロカプセルと蓄熱マイクロカプセルとの間に熱伝導性が悪い熱可塑性樹脂層があるため、熱効率が悪いという問題等がある。
(4)の方法では、バインダーとして2液硬化型樹脂バインダーを用いた場合、バインダーの可使時間が短いため、すばやく処理しないと、成形前に硬化してしまい、ロスが多くなるという問題、1液硬化型樹脂バインダーを用いた場合、可使時間は延びるが、高価であるため製造コストがかかるという問題等がある。
【0006】
【特許文献1】特開2001−181611号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、蓄熱粒子を用いた蓄熱構造体を連続的に生産性よく、製造できる蓄熱構造体の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項1の製造方法」と記す)は、搬送される容器内に搬送途中で蓄熱粒子を供給し、容器に供給された蓄熱粒子を均等に均したのち、蓋部材を上方から繰り出し、蓄熱粒子の上面を覆い容器に収まるように蓄熱粒子を圧縮させ、その後、容器の左右の上端部が蓋部材の上面を覆うように折り曲げ、蓄熱粒子を覆う外壁を作製する工程を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項2に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項2の製造方法」と記す)は、請求項1の製造方法において、蓄熱粒子が、蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)とが混合された混合粒子であって、蓋部材で蓄熱粒子を覆ったあと、外壁内で主剤と硬化剤とを反応させる工程を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項3に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項3の製造方法」と記す)は、請求項1または請求項2の製造方法において、少なくとも搬送方向に容器内部を複数に区画する仕切りを、蓋部材を被せる以前のいずれかの工程で容器内に形成することを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項4に記載の蓄熱構造体の製造方法(以下、「請求項4の製造方法」と記す)は、請求項3の製造方法において、格子状の仕切りを容器内に供給し、区画部を形成することを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項5に記載の蓄熱構造体(以下、「請求項5の蓄熱構造体」と記す)は、薄板材で形成された外壁を有し、内部に仕切りが設けられ少なくとも長手方向に区画された区画部を備え、蓄熱粒子が各区画部に充填されていることを特徴としている。
【0013】
本発明において、蓄熱粒子としては、特に限定されないが、たとえば、樹脂製のシェル中に潜熱蓄熱剤が充填された蓄熱マイクロカプセルや、この蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)との混合物等が挙げられる。
【0014】
上記蓄熱マイクロカプセルを構成するシェルの材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体等のラジカル重合性の高いモノマーから構成されるラジカル重合型樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0015】
上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられる(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の極性基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられるスチレン誘導体モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐クロロスチレン等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられるその他のモノマーとしては、特に限定されないが、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
また、シェルの機械的強度を改善する目的で、上記ラジカル重合型樹脂の重合に用いられるモノマーとして必要に応じて多官能性モノマーを上記各モノマーと併用するようにしてもよい。
【0018】
上記多官能性モノマーとしては、特に限定はされないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1, 6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類や、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、その他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
蓄熱剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪酸、アルコール等が挙げられ、特に住宅用の保温材として使用する場合、室温付近で相転移を起こす有機化合物、即ち、0℃以上50℃未満の融点を持つ脂肪族炭化水素を使用することが好ましく、具体例として、例えば、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ドコサン等が挙げられる。これらの炭化水素は、炭素数の増加と共に融点が上昇するため、目的に応じた融点を有する炭化水素を選択したり、2種以上の炭化水素を混合して使用することが可能である。上記有機化合物には、マイクロカプセルの熱伝導性、比重を調節する目的で、カーボン、金属粉、アルコール等が添加されても良い。
【0020】
蓄熱マイクロカプセルの大きさは、特に限定されないが、30μm〜40μm程度が好ましい。
蓄熱マイクロカプセルの製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、シェルをポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体等のラジカル重合性の高いモノマーから構成されるラジカル重合型樹脂で形成する場合、蓄熱剤となる成分をとシェルの形成に用いられるラジカル重合性モノマーの混合物を、水中に乳化懸濁し、油滴中のモノマーをラジカル重合することによって得る懸濁重合法を用いることができる。特に蓄熱剤として疎水性の高い脂肪族炭化水素を用いると、ラジカル重合性モノマーは油滴中で熱力学的に安定な水相界面付近にポリマーを生成し、より強固なシェルが得られる。また、上記懸濁重合法では、分散剤及び重合開始剤が用いられる。
【0021】
上記分散剤は、上記蓄熱剤とモノマーの混合乳化懸濁液の分散安定性を向上させ、重合を効率的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特に望ましくはアニオン系界面活性剤であり、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、油溶性のフリーラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。また、上記懸濁重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0022】
なお、上記懸濁重合法は、モノマーの添加方法の違いから一括重合法、エマルジョン添加法の2つに大別されが、いずれの方法も採用することができる。
一括重合法とは、例えば、まず、蓄熱剤、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を予め混合しモノマー溶液を調製するとともに、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水、分散剤を入れ、重合容器内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧まで圧力を戻し、窒素雰囲気下において、上記モノマー溶液を一括して重合容器内へ添加する。撹拌翼によって、モノマー溶液を乳化懸濁した後、槽内をジャケットにより所定の温度に昇温して重合する方法である。さらに、モノマー溶液は分散剤及び仕込水の一部と予め混合乳化され、重合容器へ添加されても良い。
【0023】
一方、エマルジョン添加法とは、例えば、まず、蓄熱剤、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤、分散剤、イオン交換水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノマー液を調製するとともに、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水を入れ、重合容器内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧まで圧力を戻し、窒素雰囲気下において、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、上記乳化モノマー液を一括添加、あるいは一定量ずつ滴下することにより重合する方法である。
【0024】
また、上記懸濁重合法によれば、蓄熱マイクロカプセルは、重合直後、スラリー中に分散されているため、まず、スラリーから濾別し、乾燥することによって得られる。
なお、重合の結果得られるマイクロカプセルを含むスラリー中の樹脂固形分量は、特に限定されるものではないが、生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10〜70重量%が好ましい。上記スラリー中のマイクロカプセルの平均粒子径は特に限定されないが、使用方法により好ましい粒子径が異なり、例えば、スラリーとして用いる場合は、大きくなるとマイクロカプセルと水の分離が起こりやすくなり、小さすぎるとカプセルの強度が落ちるため、0.01〜10μmが適当である。一方、マイクロカプセルを乾燥し、粉体として使用する場合は、乾燥工程の操作性等より10〜3000μmが適当である。
【0025】
本発明において用いられる2液硬化型樹脂バインダーとしては、特に限定されないが、たとえば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂系の接着剤が挙げられ、エポキシ樹脂系のものが好適に用いられる。
因みに、エポキシ樹脂系バインダーの場合、主剤となるエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、1分子中にエポキシ基を2個以上有する、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとの重縮合物であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、(ポリ)エチレングリコールまたはグリセリン等の多価アルコールあるいはアニリンまたはジアミノジフェニルメタン等のアミン化合物とエピクロルヒドリンとの重縮合物が挙げられ、これらを複数種混合して使用することもできる。
【0026】
また、これら一般的なエポキシ樹脂以外にも、例えばポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルや、高級脂肪酸のグリシジルエステル、あるいはグリシジルアミン型エポキシ等の特殊エポキシ樹脂を、硬化後の耐熱性や柔軟性を付与する目的で添加してもよい。
【0027】
一方、硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体、ルイス酸複合体、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、酸無水物、酸性ポリエステル、スチレンマレイン酸共重合体等、カルボキシル基含有ポリマー、ポリアミンおよび変性ポリアミン等の潜在型硬化剤が挙げられ、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、およびイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が好適に用いられる。
【0028】
主剤および硬化剤には、加熱して硬化させる際の温度を下げる目的で、硬化促進剤を混合しておいても構わない。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、たとえば三級アミン系またはホスフィン系などが挙げられ、溶液の保存安定性と硬化促進効果の点でアミン系のイミダゾール化合物が最も好ましい。具体的には1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−C11イミダゾール(C11は炭素数11のアルキル基)および1−フェニルイミダゾールが挙げられる。
【0029】
凝集防止微粒子としては、蓄熱粒子(A)および蓄熱粒子(B)の凝集が防止でき、しかも、主剤と硬化剤との反応を阻害しなければ、特に限定されず、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸;それらのエステル類、アミド類、ニトリル類;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等のビニル芳香族類、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパン等のビニル基を二つ以上有するジビニル化合物等を単量体として、乳化重合法、ソープフリー重合法、分散重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン重合法等により重合された有機系微粒子、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、セラミックビーズ、水晶ビーズ、ガラスビーズ、から選ばれた無機系粒子が挙げられ、帯電防止、性を有し、吸湿性の乏しい無機系粒子、たとえは、炭酸カルシウムやシリカが好適に用いられる。
【0030】
凝集防止微粒子の粒径は、特に限定されないが、たとえば、蓄熱マイクロカプセルの粒径が30μm〜40μmのとき、2μm〜3μm程度とすることが好ましい。
【0031】
本発明の蓄熱粒子(A)の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、まず、上記蓄熱マイクロカプセルと主剤とを混合し、その混合溶液をノズルから溶剤とともに連続的に吐出させることによって、混合溶液を液滴状に散布し、空中で溶剤を揮散させることにより球状の粒子として回収したのち、粒子をふるい分けて主剤で被覆された蓄熱マイクロカプセルを得る。つぎに、蓄熱マイクロカプセルと凝集防止微粒子とを混合して蓄熱マイクロカプセルに凝集防止微粒子をまぶし、蓄熱粒子(A)を得る。なお、蓄熱マイクロカプセルと凝集防止微粒子とを均一に混合させるには、例えば、混合物をミル、ニーダー、押出機、ミキサー等で混合すればよい。
【0032】
一方、蓄熱粒子(B)の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、主剤に代えて硬化剤を用いることで、上記蓄熱粒子(A)と同様にして得ることができる。
【0033】
本発明の製造方法において、容器は、予め容器状に成形されていても構わないが、生産性を考慮すると、ロールに巻回された帯状の長尺シートをロールから連続的に送り出しつつ、両側縁を折り曲げて枠状の容器に成形することが好ましい。なお、長尺の蓄熱構造体の長さは、繰り出すシートの長さを調節してもよく、切断により調節してもよい。
容器および蓋部材の材質としては、特に限定されないが、たとえば、鋼やアルミニウム等の金属、プラスチック、紙等が挙げられるが、蓄熱構造体を床材や壁材等として用いる場合、軽量で熱伝導率の大きい鋼やアルミニウム等の金属が好ましい。
容器の厚みは、所望の強度が確保できれば特に限定されないが、床下暖房ユニットの床下地材として用いる場合、アルミニウム製のもので200μm〜300μm程度とすることが好ましい。
仕切りは、蓄熱粒子による荷重を受け止めて蓄熱粒子が蓄熱構造体の内部を移動するのを抑止できれば、蓄熱粒子がかたよることによる変形は起こらず、その形状は特に限定されないが、格子状に設けることが好ましい。
【0034】
また、仕切りの形成方法は、枠部材に予め形成されていても構わないが、生産性を考慮すると、仕切りを形成する長尺の仕切り部材を搬送されている枠部材内に連続的に供給することが好ましい。
仕切りの材質は、特に限定されず、容器や蓋部材と同様の材質で構わない。
仕切りは、ホットメルト接着剤を用いて形成してもよく、容器の底にホットメルト接着剤を網目状に塗布したり、予め網状に形成したホットメルト接着剤のシートを容器内に収めてもよい。なお、ホットメルト接着剤は、融点あるいは軟化点が40℃〜80℃であることが好ましい。
【0035】
本発明の蓄熱構造体は、上記請求項3または請求項4の製造方法を用いることが好ましいが、予め枠部材を得ようとする蓄熱構造材の形状をした容器形状に形成するとともに、容器内に仕切りを設けておき、バッチ式で蓄熱粒子を容器に充填し、容器の開口部を蓋部材で閉じるようにしても構わない。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の1つの実施の形態をあらわしている。
【0037】
図1に示すように、この蓄熱構造体の製造方法は、長尺の枠部材用アルミニウムシート1aが巻回されたロール1からアルミニウムシート1aを連続的に送り出し、フォーミングローラ2によって搬送に伴ってアルミニウムシート1aの両側縁を上方に折り曲げ、枠状の容器1bを連続的に成形する。
そして、シェル内に蓄熱剤が封入された蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)との混合粒子3を、複数の散布機(図では1つしかあらわれていない)10からこの容器1b上に供給する。
【0038】
つぎに、この混合粒子3を均しブレード4a、均しローラ4bや図示していないブラシ等によって上面が平坦になるように均したのち、長尺のアルミニウムシートからなる蓋部材5aが巻回されたロール5から蓋部材5aを連続的に混合粒子3の上面を覆うとともに、容器1b内に入り込むように連続的に供給する。
そして、複数の圧縮ローラ6によって蓋部材5aの上側から混合粒子3を圧縮したのち、フォーミングローラ7によって、容器1bの上端部を内側に折り曲げ、蓋部材5aの上面に密着させて外壁8を形成する。
【0039】
つぎに、加熱炉9に送り込み、加熱炉9内で外壁8越しに混合粒子3を加熱して、混合粒子3の主剤と硬化剤とを反応させて、隣接する蓄熱マイクロカプセル同士をバインダーを介して結合させたのち、図示していないが裁断機で所望の長さに切断し、図2に示すようなパネル状の蓄熱構造体Aを得る。
なお、切断面は、容器や蓋部材と同様の材料等からなる封止材を貼着する等して封止し、蓄熱マイクロカプセルがもれ出ないようにすることが好ましい。
【0040】
この蓄熱構造体の製造方法は、以上のように、蓄熱粒子である混合粒子3を搬送される容器1bの内部に充填し、その後蓋部材5aで容器1bの上部開口を閉じて外壁8を形成するようにしたので、パネル状をした蓄熱構造体Aを連続して製造することができる。また、蓋部材5a越しに圧縮ロール6によって混合粒子3を圧縮するようにしたので、混合粒子3が最密充填され、熱伝達性に優れたものとなる。さらに、蓄熱粒子として、シェル内に蓄熱剤が封入された蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)との混合粒子3を用いるようにしたので、蓄熱マイクロカプセルが最密充填された状態で隣接する蓄熱マイクロカプセルがバインダーによって結合される。したがって、蓄熱構造体Aを施工現場の形状に合うように切断等の加工をしても蓄熱マイクロカプセルがもれ出ることがなく、取り扱い性に優れる。
【0041】
図3は、本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の他の実施の形態をあらわしている。
図3に示すように、この蓄熱構造体の製造方法は、容器1b内に混合粒子3を供給する前に、格子状のアルミニウム製の仕切り部材20を連続的に供給する。これにより、上記の実施の形態と同様にして、図4に示す外壁8内が仕切り21で細かく仕切られた蓄熱構造体Bが得られる。
【0042】
この蓄熱構造体Bは、内部が仕切り21によって仕切られているので、蓄熱構造体Bを壁等に立てかけて長期間放置しても、内部の蓄熱マイクロカプセルga移動しないように、荷重が仕切り21によって受けとめられる。したがって、下方の外壁8が上方の蓄熱マイクロカプセルの荷重によって外側に膨れたりすることがない。
【0043】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、加熱することによって2液硬化型樹脂バインダーを硬化させるようにしていたが、紫外線や電子線を照射する方法で硬化させるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、外壁がアルミニウムのみで形成されていたが、たとえば、この蓄熱構造体を暖房ユニットを内蔵した床の床下地材として用いる場合、床下側の面に、断熱材層を設けても構わない。
【0044】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0045】
(実施例1)
まず、300重量部のイオン交換水に、水溶性重合禁止剤として亜硫酸ナトリウムを0.08重量部と、分散安定剤として部分ケン化ポリ酢酸ビニル(日本合成化学工業社製 GM−14)の10重量%水溶液を20重量部、混合撹拌して、水性分散媒体を調製する。一方、表1に示すラジカル重合性モノマー(メチルメタクリレート)、2官能架橋性モノマー(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート)、脂肪族炭化水素(直鎖ヘキサデカン)、重合開始剤を混合撹拌して重合用モノマー溶液を調製する。この水性分散媒体と重合用モノマー溶液とを混合し、ホモジナイザー(KNEMATICA GmbH LITTAU製の分散機、POLYTRON PT10−35)で撹拌速度5000rpmにて懸濁分散した。得られた懸濁分散液の油滴は、平均粒子径が20μm程度のものであった。
【0046】
ついで、撹拌機、ジャケット、還流冷却器、および温度計を備えた重合器に、得られた懸濁分散液を投入し、重合容器内を減圧して容器内の脱酸素を行い、窒素により圧戻しをして置換した。重合容器を80℃まで昇温し、撹拌翼を回転させた状態で、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合容器を室温まで冷却した。マイクロカプセル濃度約25重量%の蓄熱マイクロカプセルを含むスラリーを得た。
このスラリーを、濾紙を用いて濾過し、蓄熱マイクロカプセルを単離し、これを80℃、大気圧下にて乾燥し、粉末状の蓄熱マイクロカプセルを得た。
【0047】
なお、平均粒子径は、蓄熱マイクロカプセルのスラリーを水媒体中に分散させ、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 LA−910)を用いて体積平均粒径を測定した。
つぎに、500mlの紙製容器に上記のようにして得られた蓄熱マイクロカプセル82gをエポキシ樹脂(JER製 E807)36g中に入れ、ガラス棒で均一に分散させた。これを目開き2mmのフルイにかけて、フルイを通過したエポキシ樹脂で被覆された蓄熱マイクロカプセルに炭酸カルシウム(白石カルシウム社製 P−30)8gを均一にまぶし、蓄熱粒子(A)を得た。
【0048】
そして、エポキシ樹脂に代えて硬化剤(大都産業社製 D677)18gとした以外、上記と同様にして蓄熱粒子(B)を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
得られた蓄熱粒子(A)と蓄熱粒子(B)とを混合し、この混合粒子3を得た。
【0051】
厚み0.19mm、幅294mmの枠部材用アルミニウムシート1aのロール1および厚み0.19mm、幅270mmのアルミニウム製蓋部材5aのロール5をそれぞれ用意し、図1に示すようにして、まず、枠部材用アルミニウムシート1aをロール1から送り出しフォーミングローラ2によって、枠部材用アルミニウムシート1aの両側縁を12mmずつ略直角に折り曲げて、容器1bを形成し、この容器1bに上記で得られた混合物3を散布機10から供給したのち、均しブレード4a、均しローラ4bによって、厚み12mmになるまで均した。その後、混合粒子3の上方から蓋部材5aを連続的に供給するとともに、蓋部材5aの上から圧縮ローラ6によって混合粒子6を6mmの厚さになるまで圧縮した。つぎに、圧縮によって、蓋部材5aより上方に飛び出た枠部材の上端6mmをフォーミングローラ7によって、蓋部材5aの上面に密着するように折り曲げて外壁8を形成し、加熱炉9内で加熱したのち、裁断機で425mmの長さに裁断し、図2に示す蓄熱構造体Aを得た。
得られた蓄熱構造体Aは、その長手方向の中間部を手で持っても撓まず、また、蓄熱粒子が約450g外壁8内に充填されていた。
【0052】
(実施例2)
枠部材用アルミニウムシート1aおよびアルミニウム製蓋部材5aの厚みを0.27mmにするとともに、850mmの長さに裁断した以外は、実施例1と同様にして蓄熱構造体Aを得た。
得られた蓄熱構造体Aは、その長手方向の中間部を手で持っても撓まなかった。
【0053】
【発明の効果】
本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法は、以上のように構成されているので、蓄熱粒子を用いた長尺の熱効率のよい蓄熱構造体を連続的に生産性よく、製造できる。
また、本発明にかかる蓄熱構造体は、以上のように構成されているので、内部に充填された蓄熱粒子による荷重によって、外壁の一部が外側に膨れたりすることがない
【0054】
特に請求項2の製造方法のようにすれば、蓄熱マイクロカプセル同士がそのシェル壁を接した状態でしっかりとバインダーによって結合されるので、熱が各蓄熱マイクロカプセルにすばやく伝導される。すなわち、蓄熱−放熱がすみやかに行われるとともに、単位体積当りの蓄熱量も大きいものとなる。しかも、切断しても蓄熱マイクロカプセルが漏れ出たりすることがない蓄熱構造体を得ることができる。
請求項3および請求項4の製造方法のようにすれば、本発明の蓄熱構造体を連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の1つの実施の形態を模式的にあらわす説明図である。
【図2】図1の製造方法で得られる蓄熱構造体の斜視図である。
【図3】本発明にかかる蓄熱構造体の製造方法の他の実施の形態を模式的にあらわす説明図である。
【図4】図3の製造方法で得られる蓄熱構造体の斜視図である。
【符号の説明】
A,B 蓄熱構造体
1b 枠部材
5a 蓋部材
3 混合粒子(蓄熱粒子)
20 仕切り部材
21 仕切り
Claims (5)
- 搬送される容器内に搬送途中で蓄熱粒子を供給し、
容器に供給された蓄熱粒子を均等に均したのち、蓋部材を上方から繰り出し、蓄熱粒子の上面を覆い容器に収まるように蓄熱粒子を圧縮させ、
その後、容器の左右の上端部が蓋部材の上面を覆うように折り曲げ、蓄熱粒子を覆う外壁を作製する工程を備えていることを特徴とする蓄熱構造体の製造方法。 - 蓄熱粒子が、蓄熱マイクロカプセルの表面が2液硬化型樹脂バインダーの主剤によって被覆され、さらに主剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(A)と、前記カプセル本体の表面が前記2液硬化型樹脂バインダーの硬化剤によって被覆され、さらに硬化剤の上から凝集防止微粒子が付着している蓄熱粒子(B)とが混合された混合粒子であって、蓋部材で蓄熱粒子を覆ったあと、外壁内で主剤と硬化剤とを反応させる工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱構造体の製造方法。
- 少なくとも搬送方向に容器内部を複数に区画する仕切りを、蓋部材を被せる以前のいずれかの工程で容器内に形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄熱構造体の製造方法。
- 格子状の仕切りを容器内に供給し、区画部を形成することを特徴とする請求項3に記載の蓄熱構造体の製造方法。
- 薄板材で形成された外壁を有し、内部に仕切りが設けられ少なくとも長手方向に区画された区画部を備え、蓄熱粒子が各区画部に充填されていることを特徴とする蓄熱構造体。
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003088772A patent/JP2004293984A/ja active Pending
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