JP2004293349A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空燃比補正量不足によるオーバーリーンまたはオーバーリッチによって、エンジンの始動不良や排気性能の悪化を防止する。
【解決手段】燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性があった場合には、燃料種の変更の可能性があったと判定されてから、燃料の単一組成分濃度が推定されるまでの間は、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲が、通常時(燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性がない場合)よりも拡大する。
これによって、空燃比補正量の過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性があった場合には、燃料種の変更の可能性があったと判定されてから、燃料の単一組成分濃度が推定されるまでの間は、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲が、通常時(燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性がない場合)よりも拡大する。
これによって、空燃比補正量の過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンの他にアルコールとガソリンの各種組成の混合燃料でも走行可能な、いわゆるフレキシブルフューエルビークル(FFV)と言われる自動車がある。
【0003】
アルコールは、通常のガソリン(混合燃料)に対してC(炭素)原子の含有量が異なるため、フレキシブルフューエルビークルに用いられる内燃機関にアルコールとガソリンの混合燃料を供給するにあたっては、燃料内のアルコール濃度に従って燃料噴射量を調整する必要がある。
【0004】
そして、このようなフレキシブルフューエルビークルにおいては、燃料内のアルコール濃度を燃料タンク内に配設されたアルコール濃度センサにて検出し、アルコール濃度センサの故障時には、排気空燃比に基づいて算出される空燃比フィードバック補正係数の平均値とアルコール濃度との相関関係により、アルコール濃度推定を行うものが従来から知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−163992号公報(第1−4頁、第5図)。
【0006】
また、排気空燃比を三元触媒の転化率の高い理論空燃比付近の狭い範囲に制御するいわゆる空燃比フィードバック制御においては、排気空燃比に基づいて算出された空燃比補正係数αを用いて燃料噴射量を補正するが、空燃比補正係数αに上下限のリミッタを設け、この範囲外のα値が算出された時には、センサの故障等の可能性有りとして、このαに代えてリミッタ値を用いて空燃比フィードバック制御を行なうようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フレキシブルフューエルビークルにおいて、空燃比補正係数αのリミッタを一律ガソリンエンジン専用のものに設定してしまうと、ガソリン(E0燃料)からE85燃料(エタノール濃度85%)のようにアルコール濃度が高い燃料に切り替わった時に算出される空燃比補正係数αの値が空燃比補正係数αのリミッタの範囲外となってしまい、空燃比補正量不足によるオーバーリーンまたはオーバーリッチによって、エンジンの始動不良や排気性能の悪化を招く虞がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の内燃機関の制御装置は、燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性があった場合には、燃料種の変更の可能性があったと判定されてから、燃料の単一組成分濃度が推定されるまでの間は、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲を、通常時(燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性がない場合)よりも拡大することを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、空燃比補正量の過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、これにより始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成を示している。尚、図1に示す内燃機関は、アルコールを含む燃料を用いる内燃機関である。
【0011】
エンジン本体1の燃焼室2には、吸気弁3を介して吸気通路4が接続されていると共に、排気弁5を介して排気通路6が接続されている。
【0012】
吸気通路4には、エアクリーナ7、吸入空気量を検出するエアフローメータ8、吸入空気量を制御するスロットル弁9及び吸気中に燃料を噴射供給する燃料噴射弁11が配設されている。
【0013】
燃料噴射弁11は、エンジンコントロールユニット12(以下、ECUと記す)からの噴射指令信号により運転条件に応じて所定の空燃比となるよう吸気中に燃料を噴射供給している。
【0014】
排気通路6には、排気中の酸素濃度を検出することによって排気中の空燃比を算出可能にする空燃比検出手段としての酸素濃度センサ13と、三元触媒14が配設されている。
【0015】
三元触媒14は理論空燃比を中心とするいわゆるウィンドウに空燃比がある場合に最大の転化効率をもって排気中のNOx、HC、COを同時に浄化できるため、ECU12では、三元触媒14の上流側に設けた酸素濃度センサ13からの出力に基づいて排気空燃比が上記のウィンドウの範囲内で変動するように排気空燃比のフィードバック制御を行う。
【0016】
また、ECU12には、エンジン本体1の冷却水温度を検知する水温センサ15からの信号が入力されている。
【0017】
アルコールを含む燃料は、通常のガソリンに対してC(炭素)原子の含有量が異なるため、同一の当量比を得るには大きな噴射量が要求されることになり、アルコールとガソリンの混合燃料をエンジンに供給するにあたっては、燃料内のアルコール濃度に従って燃料噴射量を調整する必要がある。
【0018】
そこで、酸素濃度センサ13の検出値を利用して、可及的速やかに、かつ精度良く燃料内のアルコール濃度を予測する。
【0019】
本実施形態では、燃料内単一組成分濃度として、燃料内のアルコール濃度を以下の手順で推定する。図2は、燃料内のアルコール濃度を推定する制御の流れを示している。
【0020】
まず、ステップ(以下、単にSと表記する)1では、酸素濃度センサ13の出力信号を基に算出される空燃比補正量としての空燃比フィードバック補正係数αの大きさを制限するαリミッタ(詳細は後述)を決定する。
【0021】
S2では、S1で決定されたαリミッタに応じて空燃比フィードバック補正係数αを算出する。
【0022】
つまり、酸素濃度センサ13の出力信号を基に算出された空燃比フィードバック補正係数αが、S1で決定されたαリミッタ(決定方法は後述の図5を参照)の範囲内にあれば、この空燃比フィードバック補正係数αをそのまま出力し、空燃比フィードバック補正係数αが、S1で決定されたαリミッタ(決定方法は後述の図5を参照)の範囲外であれば、αリミッタによって制限を加える。すなわち、酸素濃度センサ13の出力信号を基に算出された空燃比フィードバック補正係数αの値が決定されたαリミッタの上限値より大きい場合には、このαリミッタの上限値をαとして出力し、空燃比フィードバック補正係数αの値がαリミッタの下限値より小さい場合には、このαリミッタの下限値をαとして出力する。
【0023】
S3では、空燃比学習条件が成立しているか否かを判定し、空燃比学習条件が成立している場合には、S4に進み、各運転領域毎のαm算出マップのマップ値の書き換えを行う。空燃比学習条件が成立していない場合には、各αm算出マップのマップ値の書き換えを行わずにS5に進む。ここで、αmは上記αに基づいて算出される空燃比学習補正係数である。尚、空燃比フィードバック補正係数α及び空燃比学習補正係数αmは、上述した排気空燃比のフィードバック制御に用いられるパラメータであり、燃料噴射弁11からの燃料噴射量がα及びαmに応じて補正される。また、空燃比フィードバック補正係数α及び空燃比学習補正係数αmの算出方法は、公知のいかなる算出方法でも使用可能であるため、これらの算出方法についての詳細な説明は省略する。
【0024】
S5では、現在の各運転領域毎のαmマップを参照し、各運転領域毎に空燃比補正量としての空燃比学習補正係数αmを求める。
【0025】
S6では、アルコール濃度推定を行うための許可条件が成立しているか否かを判定する。すなわち、このS6においては、水温、エンジン始動後時間、空燃比学習制御の進行状況、給油履歴などの条件が整ったか否かを判定し、条件が整っている場合にはS7に進み、条件が整っていない場合にはアルコール濃度推定を行うことなく終了する。
【0026】
S7では、次式(1)のように表される空燃比感度補正総量αtを算出する。
【0027】
【数1】
αt=α×αm′×ETAHOS …(1)
ここで、ETAHOSは前回の第1アルコール濃度推定値ALC1(後述)、すなわち現在記憶している第1アルコール濃度推定値ALC1から算出される燃料性状分補正量であって、後述する図3を用い、前回の第1アルコール濃度推定値ALC1から逆引きで算出されるαtの前回値である。
【0028】
また、このS7におけるαm′は、S5にて求めた各運転領域別のαmのうち代表的な回転負荷領域のαmの平均値、換言すればエンジンとしての使用頻度が高い4領域程度のαmの平均値である。
【0029】
S8では、図3に示すALC1算出マップを用い、S7にて算出された空燃比感度補正総量αtから第1アルコール濃度推定値ALC1を算出する。尚、S8にて算出された最新の第1アルコール濃度推定値ALC1は、次回S8にて最新の第1アルコール濃度推定値ALC1が算出されるまでECU12内に記憶される。
【0030】
図3においては、空燃比感度補正総量αtに対して、第1アルコール濃度推定値ALC1は、連続的な特性を持っているが、これは、排気空燃比を理論空燃比保持するために、燃料噴射量に対して、空燃比偏差、すなわち酸素濃度センサ13の検出値を基に算出される排気空燃比の目標空燃比に対する偏差に伴った補正を実現するために預けた特性である。また、図3について詳述すれば、排気空燃比が理論空燃比に対してリーン側にある状態(αtが100%以上の領域)においては、空燃比感度補正総量αtは第1アルコール濃度推定値ALC1と略比例関係となっており、排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側にある状態(αtが100%以下の領域)においては、燃料内のアルコール濃度を0%と判定する。
【0031】
そして、S9では、図4に示すALC2算出マップを用い、S8で算出された第1アルコール濃度推定値ALC1から第2アルコール濃度推定値ALC2を算出する。尚、S9にて算出された最新の第2アルコール濃度推定値ALC2は、次回S9にて最新の第2アルコール濃度推定値ALC2が算出されるまでECU12内に記憶される。
【0032】
このALC2算出マップは、第1アルコール濃度推定値ALC1に対して、第2アルコール濃度推定値ALC2が不感帯を持つ特性となっている。換言すれば、ALC2算出マップは、排気空燃比が理論空燃比に対してリーン側にある空燃比感度補正総量の特定領域に、空燃比感度補正総量の増減、すなわち第1アルコール濃度推定値ALC1の増減に関わらず第2アルコール濃度推定値ALC2が略一定となる不感帯を有しており、本実施形態においては、第1アルコール濃度推定値ALC1が0%〜30%の領域では、第2アルコール濃度推定値ALC2は一律0%、第1アルコール濃度推定値ALC1が65%〜85%の領域では、第2アルコール濃度推定値ALC2は一律85%となるように設定されている。
【0033】
これは、ガソリン(すなわち、エタノール濃度が0%のE0燃料)を入れられた場合や、いつも規格品のブレンド燃料(ガソリン−アルコール燃料)、例えば燃料内のエタノール濃度が85%のいわゆるE85燃料を入れられた場合は、安定した制御値(制御定数)を用いるために設定した特性である。ここで、上記制御値とは、点火時期関連、燃料の壁流補正関連、冷機増量関連、いわゆるλコントロールの3元点調整定数、換言すれば、空燃比制御における目標空燃比、等が挙げられ、これらが変動するとエミッションの再現性が悪くなるため不感帯としたものである。
【0034】
尚、第1アルコール濃度推定値ALC1は、燃料内のアルコール濃度に応じ性能保証を行う燃焼パラメータの補正に用い、第2アルコール濃度推定値ALC2は、市場流通燃料に対する安定的な性能保証や、実濃度に対して推定濃度の偏差の保証を必要とする燃焼パラメータ(例えば、壁流補正量、冷機時増量、目標空燃比及び点火時期等)の補正に用いられる。
【0035】
次に、図2におけるS1でのαリミッタの決定方法について説明する。図5は、αリミッタを決定する制御の流れを示すフローチャートである。
【0036】
S21では、最後に給油されてから第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否か、すなわち燃料タンク内における燃料のアルコール濃度に変更の可能性があるか否かを判定し、最後に給油判定されてから第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があった場合にはアルコール濃度に変更の可能性がないとしてS22に進み、更新がない場合にはアルコール濃度に変更の可能性があるとしてS23に進む。尚、給油されたか否かは、燃料タンク(図示せず)内に設けられた燃料レベルセンサ(図示せず)により検出された燃料タンク内の燃料レベルの変化量が所定値以上となった場合に給油されたと判定する。
【0037】
S22では、通常使用する従来のガソリンエンジン相当のαリミッタを設定する。詳述すれば、第1上限値となる上限値を125%、第1下限値となる下限値を75%とする第1制限範囲(75%≦α≦125%)をαリミッタと設定する。
【0038】
S23では、燃料内のアルコール濃度による排気空燃比偏差を吸収できるαリミッタを設定する。詳述すれば、第2上限値となる上限値を142%、第2下限値となる下限値を70%とする第2制限範囲(70%≦α≦142%)をαリミッタと設定する。
【0039】
つまり、燃料タンク内の燃料のアルコール濃度に変更の可能性があると判定された場合、すなわち燃料種に変更が行われた可能性がある場合には、燃料種に変更の可能性があると判定されてから燃料内のアルコール濃度が推定されるまでの間、αリミッタの上下限値が、通常時(第1制限範囲)よりも拡大される。
【0040】
ここで、第2上限値、第2下限値をそれぞれ142%、70%としたのは、ガソリン(E0燃料)とE85燃料(燃料内のエタノール濃度が85%)との間で燃料種の切り替りを行った場合の空燃比偏差を許容するためである。詳述すれば、第2上限値の142%という値は、ガソリン(E0燃料)からE85燃料(燃料内のエタノール濃度が85%)に燃料種が切り替わった場合の空燃比フィードバック補正係数αの値であり、第2下限値の70%という値は、第2上限値の142%を基準とした、E85燃料からガソリン(E0燃料)に燃料種が切り替わった場合の空燃比フィードバック補正係数αの値である。
【0041】
すなわち、第2上限値及び第2下限値は、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最もアルコール濃度が高い燃料と最もアルコール濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比フィードバック補正係数αの偏差を許容するよう設定されている。
【0042】
尚、図5に示すフローチャートにおいて、S21は燃料種変更可能性判定手段に相当し、S22及びS23は空燃比補正量上下限値制限手段に相当する。
【0043】
このような内燃機関の制御装置においては、燃料種の変更が行われた可能性がある場合には、燃料種の変更が行われた可能性があると判定されてから燃料内のアルコール濃度が推定されるまでの間、αリミッタの上下限値が通常時(第1制限範囲)よりも拡大されるので、空燃比フィードバック補正係数αの過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、これにより始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【0044】
また、第2制限範囲は、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最もアルコール濃度が高い燃料と最もアルコール濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比フィードバック補正係数αの偏差を許容するよう設定されているので、αリミッタの上下限値の変更による性能悪化を最低限に抑制することができる。
【0045】
尚、上述した実施形態においては、最後に給油されてから第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否かによって、αリミッタの上下限値を設定しているが、エンジン始動後に第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否かによって、αリミッタの上下限値を設定するようにしてもよい。すなわち、上述した図5のフローチャートのS21において、エンジン始動後に第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否かを判定し、エンジン始動後第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があった場合にはアルコール濃度に変更の可能性がないとしてS22に進み、更新がない場合にはアルコール濃度に変更の可能性があるとしてS23に進むようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
【0047】
(1) 内燃機関の制御装置は、燃料内の単一組成分濃度を推定/更新し、更新された単一組成分濃度を記憶するものであって、燃料タンク内における燃料種の変更の可能性の有無を判定する燃料種変更可能性判定手段と、排気空燃比を検出する空燃比算出手段と、排気空燃比に基づいて燃料内の単一組成分濃度の推定を行う単一組成分濃度推定手段と、燃料噴射量を補正するための空燃比補正量を空燃比算出手段の検出値に基づいて算出する空燃比補正量算出手段と、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲を制限すると共に、燃料タンク内における燃料の単一組成分濃度が現在記憶している単一組成分濃度から変更された可能性の有無に応じて空燃比補正量の上下限値を制限する空燃比補正量上下限値制限手段と、を備え、空燃比補正量上下限値制限手段は、空燃比補正量の上下限値が予め設定された所定の第1上限値及び第1下限値となる第1制限範囲と、空燃比補正量の上下限値が第1上限値よりも大きい予め設定された所定の第2上限値及び第1下限値よりも小さい予め設定された所定の第2下限値となる第2制限範囲と、を有し、燃料種変更可能性判定手段により燃料タンク内の燃料種に変更の可能性がないと判定された場合には、第1制限範囲を用いて空燃比補正量の上下限値を制限し、燃料種変更可能性判定手段により燃料タンク内の燃料種に変更の可能性があると判定された場合には、燃料種に変更の可能性があると判定されてから単一組成分濃度推定手段により燃料内の単一組成分濃度が推定されるまでの間、第2制限範囲を用いて空燃比補正量の上下限値を制限する。すなわち、燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性があった場合には、燃料種の変更の可能性があったと判定されてから、燃料の単一組成分濃度が推定されるまでの間は、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲が、通常時(燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性がない場合)よりも拡大する。これによって、空燃比補正量の過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【0048】
(2) 上記(1)に記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、第1制限範囲は、燃料タンク内の燃料の単一組成分濃度が現在記憶してる単一組成分濃度から変更されていない場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定され、第2制限範囲は、燃料タンク内の燃料の単一組成分濃度が現在記憶してる単一組成分濃度から変更されている場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定されている。
【0049】
(3) 上記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、エンジン始動後に、燃料種変更可能性判定手段が燃料タンク内における燃料種の変更の可能性の有無を判定している。
【0050】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、第2上限値及び第2下限値が、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最も単一組成分濃度が高い燃料と最も単一組成分濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定されている。これによって、空燃比補正量の上下限値の変更による性能悪化を最低限に抑制することができる。
【0051】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、燃料内の単一組成分濃度が燃料内のアルコール濃度である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成を示す説明図。
【図2】燃料内のアルコール濃度推定値を算出する制御の流れを示すフローチャート。
【図3】ALC1算出マップの特性例を示す説明図。
【図4】ALC2算出マップの特性例を示す説明図。
【図5】αリミッタを算出する制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン本体
2…燃焼室
3…吸気弁
4…吸気通路
5…排気弁
6…排気通路
7…エアクリーナ
8…エアフローメータ
9…スロットル弁
11…燃料噴射弁
12…エンジンコントロールユニット
13…酸素濃度センサ
14…三元触媒
15…水温センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンの他にアルコールとガソリンの各種組成の混合燃料でも走行可能な、いわゆるフレキシブルフューエルビークル(FFV)と言われる自動車がある。
【0003】
アルコールは、通常のガソリン(混合燃料)に対してC(炭素)原子の含有量が異なるため、フレキシブルフューエルビークルに用いられる内燃機関にアルコールとガソリンの混合燃料を供給するにあたっては、燃料内のアルコール濃度に従って燃料噴射量を調整する必要がある。
【0004】
そして、このようなフレキシブルフューエルビークルにおいては、燃料内のアルコール濃度を燃料タンク内に配設されたアルコール濃度センサにて検出し、アルコール濃度センサの故障時には、排気空燃比に基づいて算出される空燃比フィードバック補正係数の平均値とアルコール濃度との相関関係により、アルコール濃度推定を行うものが従来から知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−163992号公報(第1−4頁、第5図)。
【0006】
また、排気空燃比を三元触媒の転化率の高い理論空燃比付近の狭い範囲に制御するいわゆる空燃比フィードバック制御においては、排気空燃比に基づいて算出された空燃比補正係数αを用いて燃料噴射量を補正するが、空燃比補正係数αに上下限のリミッタを設け、この範囲外のα値が算出された時には、センサの故障等の可能性有りとして、このαに代えてリミッタ値を用いて空燃比フィードバック制御を行なうようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フレキシブルフューエルビークルにおいて、空燃比補正係数αのリミッタを一律ガソリンエンジン専用のものに設定してしまうと、ガソリン(E0燃料)からE85燃料(エタノール濃度85%)のようにアルコール濃度が高い燃料に切り替わった時に算出される空燃比補正係数αの値が空燃比補正係数αのリミッタの範囲外となってしまい、空燃比補正量不足によるオーバーリーンまたはオーバーリッチによって、エンジンの始動不良や排気性能の悪化を招く虞がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の内燃機関の制御装置は、燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性があった場合には、燃料種の変更の可能性があったと判定されてから、燃料の単一組成分濃度が推定されるまでの間は、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲を、通常時(燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性がない場合)よりも拡大することを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、空燃比補正量の過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、これにより始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成を示している。尚、図1に示す内燃機関は、アルコールを含む燃料を用いる内燃機関である。
【0011】
エンジン本体1の燃焼室2には、吸気弁3を介して吸気通路4が接続されていると共に、排気弁5を介して排気通路6が接続されている。
【0012】
吸気通路4には、エアクリーナ7、吸入空気量を検出するエアフローメータ8、吸入空気量を制御するスロットル弁9及び吸気中に燃料を噴射供給する燃料噴射弁11が配設されている。
【0013】
燃料噴射弁11は、エンジンコントロールユニット12(以下、ECUと記す)からの噴射指令信号により運転条件に応じて所定の空燃比となるよう吸気中に燃料を噴射供給している。
【0014】
排気通路6には、排気中の酸素濃度を検出することによって排気中の空燃比を算出可能にする空燃比検出手段としての酸素濃度センサ13と、三元触媒14が配設されている。
【0015】
三元触媒14は理論空燃比を中心とするいわゆるウィンドウに空燃比がある場合に最大の転化効率をもって排気中のNOx、HC、COを同時に浄化できるため、ECU12では、三元触媒14の上流側に設けた酸素濃度センサ13からの出力に基づいて排気空燃比が上記のウィンドウの範囲内で変動するように排気空燃比のフィードバック制御を行う。
【0016】
また、ECU12には、エンジン本体1の冷却水温度を検知する水温センサ15からの信号が入力されている。
【0017】
アルコールを含む燃料は、通常のガソリンに対してC(炭素)原子の含有量が異なるため、同一の当量比を得るには大きな噴射量が要求されることになり、アルコールとガソリンの混合燃料をエンジンに供給するにあたっては、燃料内のアルコール濃度に従って燃料噴射量を調整する必要がある。
【0018】
そこで、酸素濃度センサ13の検出値を利用して、可及的速やかに、かつ精度良く燃料内のアルコール濃度を予測する。
【0019】
本実施形態では、燃料内単一組成分濃度として、燃料内のアルコール濃度を以下の手順で推定する。図2は、燃料内のアルコール濃度を推定する制御の流れを示している。
【0020】
まず、ステップ(以下、単にSと表記する)1では、酸素濃度センサ13の出力信号を基に算出される空燃比補正量としての空燃比フィードバック補正係数αの大きさを制限するαリミッタ(詳細は後述)を決定する。
【0021】
S2では、S1で決定されたαリミッタに応じて空燃比フィードバック補正係数αを算出する。
【0022】
つまり、酸素濃度センサ13の出力信号を基に算出された空燃比フィードバック補正係数αが、S1で決定されたαリミッタ(決定方法は後述の図5を参照)の範囲内にあれば、この空燃比フィードバック補正係数αをそのまま出力し、空燃比フィードバック補正係数αが、S1で決定されたαリミッタ(決定方法は後述の図5を参照)の範囲外であれば、αリミッタによって制限を加える。すなわち、酸素濃度センサ13の出力信号を基に算出された空燃比フィードバック補正係数αの値が決定されたαリミッタの上限値より大きい場合には、このαリミッタの上限値をαとして出力し、空燃比フィードバック補正係数αの値がαリミッタの下限値より小さい場合には、このαリミッタの下限値をαとして出力する。
【0023】
S3では、空燃比学習条件が成立しているか否かを判定し、空燃比学習条件が成立している場合には、S4に進み、各運転領域毎のαm算出マップのマップ値の書き換えを行う。空燃比学習条件が成立していない場合には、各αm算出マップのマップ値の書き換えを行わずにS5に進む。ここで、αmは上記αに基づいて算出される空燃比学習補正係数である。尚、空燃比フィードバック補正係数α及び空燃比学習補正係数αmは、上述した排気空燃比のフィードバック制御に用いられるパラメータであり、燃料噴射弁11からの燃料噴射量がα及びαmに応じて補正される。また、空燃比フィードバック補正係数α及び空燃比学習補正係数αmの算出方法は、公知のいかなる算出方法でも使用可能であるため、これらの算出方法についての詳細な説明は省略する。
【0024】
S5では、現在の各運転領域毎のαmマップを参照し、各運転領域毎に空燃比補正量としての空燃比学習補正係数αmを求める。
【0025】
S6では、アルコール濃度推定を行うための許可条件が成立しているか否かを判定する。すなわち、このS6においては、水温、エンジン始動後時間、空燃比学習制御の進行状況、給油履歴などの条件が整ったか否かを判定し、条件が整っている場合にはS7に進み、条件が整っていない場合にはアルコール濃度推定を行うことなく終了する。
【0026】
S7では、次式(1)のように表される空燃比感度補正総量αtを算出する。
【0027】
【数1】
αt=α×αm′×ETAHOS …(1)
ここで、ETAHOSは前回の第1アルコール濃度推定値ALC1(後述)、すなわち現在記憶している第1アルコール濃度推定値ALC1から算出される燃料性状分補正量であって、後述する図3を用い、前回の第1アルコール濃度推定値ALC1から逆引きで算出されるαtの前回値である。
【0028】
また、このS7におけるαm′は、S5にて求めた各運転領域別のαmのうち代表的な回転負荷領域のαmの平均値、換言すればエンジンとしての使用頻度が高い4領域程度のαmの平均値である。
【0029】
S8では、図3に示すALC1算出マップを用い、S7にて算出された空燃比感度補正総量αtから第1アルコール濃度推定値ALC1を算出する。尚、S8にて算出された最新の第1アルコール濃度推定値ALC1は、次回S8にて最新の第1アルコール濃度推定値ALC1が算出されるまでECU12内に記憶される。
【0030】
図3においては、空燃比感度補正総量αtに対して、第1アルコール濃度推定値ALC1は、連続的な特性を持っているが、これは、排気空燃比を理論空燃比保持するために、燃料噴射量に対して、空燃比偏差、すなわち酸素濃度センサ13の検出値を基に算出される排気空燃比の目標空燃比に対する偏差に伴った補正を実現するために預けた特性である。また、図3について詳述すれば、排気空燃比が理論空燃比に対してリーン側にある状態(αtが100%以上の領域)においては、空燃比感度補正総量αtは第1アルコール濃度推定値ALC1と略比例関係となっており、排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側にある状態(αtが100%以下の領域)においては、燃料内のアルコール濃度を0%と判定する。
【0031】
そして、S9では、図4に示すALC2算出マップを用い、S8で算出された第1アルコール濃度推定値ALC1から第2アルコール濃度推定値ALC2を算出する。尚、S9にて算出された最新の第2アルコール濃度推定値ALC2は、次回S9にて最新の第2アルコール濃度推定値ALC2が算出されるまでECU12内に記憶される。
【0032】
このALC2算出マップは、第1アルコール濃度推定値ALC1に対して、第2アルコール濃度推定値ALC2が不感帯を持つ特性となっている。換言すれば、ALC2算出マップは、排気空燃比が理論空燃比に対してリーン側にある空燃比感度補正総量の特定領域に、空燃比感度補正総量の増減、すなわち第1アルコール濃度推定値ALC1の増減に関わらず第2アルコール濃度推定値ALC2が略一定となる不感帯を有しており、本実施形態においては、第1アルコール濃度推定値ALC1が0%〜30%の領域では、第2アルコール濃度推定値ALC2は一律0%、第1アルコール濃度推定値ALC1が65%〜85%の領域では、第2アルコール濃度推定値ALC2は一律85%となるように設定されている。
【0033】
これは、ガソリン(すなわち、エタノール濃度が0%のE0燃料)を入れられた場合や、いつも規格品のブレンド燃料(ガソリン−アルコール燃料)、例えば燃料内のエタノール濃度が85%のいわゆるE85燃料を入れられた場合は、安定した制御値(制御定数)を用いるために設定した特性である。ここで、上記制御値とは、点火時期関連、燃料の壁流補正関連、冷機増量関連、いわゆるλコントロールの3元点調整定数、換言すれば、空燃比制御における目標空燃比、等が挙げられ、これらが変動するとエミッションの再現性が悪くなるため不感帯としたものである。
【0034】
尚、第1アルコール濃度推定値ALC1は、燃料内のアルコール濃度に応じ性能保証を行う燃焼パラメータの補正に用い、第2アルコール濃度推定値ALC2は、市場流通燃料に対する安定的な性能保証や、実濃度に対して推定濃度の偏差の保証を必要とする燃焼パラメータ(例えば、壁流補正量、冷機時増量、目標空燃比及び点火時期等)の補正に用いられる。
【0035】
次に、図2におけるS1でのαリミッタの決定方法について説明する。図5は、αリミッタを決定する制御の流れを示すフローチャートである。
【0036】
S21では、最後に給油されてから第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否か、すなわち燃料タンク内における燃料のアルコール濃度に変更の可能性があるか否かを判定し、最後に給油判定されてから第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があった場合にはアルコール濃度に変更の可能性がないとしてS22に進み、更新がない場合にはアルコール濃度に変更の可能性があるとしてS23に進む。尚、給油されたか否かは、燃料タンク(図示せず)内に設けられた燃料レベルセンサ(図示せず)により検出された燃料タンク内の燃料レベルの変化量が所定値以上となった場合に給油されたと判定する。
【0037】
S22では、通常使用する従来のガソリンエンジン相当のαリミッタを設定する。詳述すれば、第1上限値となる上限値を125%、第1下限値となる下限値を75%とする第1制限範囲(75%≦α≦125%)をαリミッタと設定する。
【0038】
S23では、燃料内のアルコール濃度による排気空燃比偏差を吸収できるαリミッタを設定する。詳述すれば、第2上限値となる上限値を142%、第2下限値となる下限値を70%とする第2制限範囲(70%≦α≦142%)をαリミッタと設定する。
【0039】
つまり、燃料タンク内の燃料のアルコール濃度に変更の可能性があると判定された場合、すなわち燃料種に変更が行われた可能性がある場合には、燃料種に変更の可能性があると判定されてから燃料内のアルコール濃度が推定されるまでの間、αリミッタの上下限値が、通常時(第1制限範囲)よりも拡大される。
【0040】
ここで、第2上限値、第2下限値をそれぞれ142%、70%としたのは、ガソリン(E0燃料)とE85燃料(燃料内のエタノール濃度が85%)との間で燃料種の切り替りを行った場合の空燃比偏差を許容するためである。詳述すれば、第2上限値の142%という値は、ガソリン(E0燃料)からE85燃料(燃料内のエタノール濃度が85%)に燃料種が切り替わった場合の空燃比フィードバック補正係数αの値であり、第2下限値の70%という値は、第2上限値の142%を基準とした、E85燃料からガソリン(E0燃料)に燃料種が切り替わった場合の空燃比フィードバック補正係数αの値である。
【0041】
すなわち、第2上限値及び第2下限値は、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最もアルコール濃度が高い燃料と最もアルコール濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比フィードバック補正係数αの偏差を許容するよう設定されている。
【0042】
尚、図5に示すフローチャートにおいて、S21は燃料種変更可能性判定手段に相当し、S22及びS23は空燃比補正量上下限値制限手段に相当する。
【0043】
このような内燃機関の制御装置においては、燃料種の変更が行われた可能性がある場合には、燃料種の変更が行われた可能性があると判定されてから燃料内のアルコール濃度が推定されるまでの間、αリミッタの上下限値が通常時(第1制限範囲)よりも拡大されるので、空燃比フィードバック補正係数αの過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、これにより始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【0044】
また、第2制限範囲は、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最もアルコール濃度が高い燃料と最もアルコール濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比フィードバック補正係数αの偏差を許容するよう設定されているので、αリミッタの上下限値の変更による性能悪化を最低限に抑制することができる。
【0045】
尚、上述した実施形態においては、最後に給油されてから第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否かによって、αリミッタの上下限値を設定しているが、エンジン始動後に第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否かによって、αリミッタの上下限値を設定するようにしてもよい。すなわち、上述した図5のフローチャートのS21において、エンジン始動後に第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があったか否かを判定し、エンジン始動後第1アルコール濃度推定値ALC1の更新があった場合にはアルコール濃度に変更の可能性がないとしてS22に進み、更新がない場合にはアルコール濃度に変更の可能性があるとしてS23に進むようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
【0047】
(1) 内燃機関の制御装置は、燃料内の単一組成分濃度を推定/更新し、更新された単一組成分濃度を記憶するものであって、燃料タンク内における燃料種の変更の可能性の有無を判定する燃料種変更可能性判定手段と、排気空燃比を検出する空燃比算出手段と、排気空燃比に基づいて燃料内の単一組成分濃度の推定を行う単一組成分濃度推定手段と、燃料噴射量を補正するための空燃比補正量を空燃比算出手段の検出値に基づいて算出する空燃比補正量算出手段と、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲を制限すると共に、燃料タンク内における燃料の単一組成分濃度が現在記憶している単一組成分濃度から変更された可能性の有無に応じて空燃比補正量の上下限値を制限する空燃比補正量上下限値制限手段と、を備え、空燃比補正量上下限値制限手段は、空燃比補正量の上下限値が予め設定された所定の第1上限値及び第1下限値となる第1制限範囲と、空燃比補正量の上下限値が第1上限値よりも大きい予め設定された所定の第2上限値及び第1下限値よりも小さい予め設定された所定の第2下限値となる第2制限範囲と、を有し、燃料種変更可能性判定手段により燃料タンク内の燃料種に変更の可能性がないと判定された場合には、第1制限範囲を用いて空燃比補正量の上下限値を制限し、燃料種変更可能性判定手段により燃料タンク内の燃料種に変更の可能性があると判定された場合には、燃料種に変更の可能性があると判定されてから単一組成分濃度推定手段により燃料内の単一組成分濃度が推定されるまでの間、第2制限範囲を用いて空燃比補正量の上下限値を制限する。すなわち、燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性があった場合には、燃料種の変更の可能性があったと判定されてから、燃料の単一組成分濃度が推定されるまでの間は、燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲が、通常時(燃料タンクにおける燃料種の変更の可能性がない場合)よりも拡大する。これによって、空燃比補正量の過不足によるオーバーリーン、オーバーリッチを防止することができ、始動不能等の排気・運転性能の悪化を防止することができる。
【0048】
(2) 上記(1)に記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、第1制限範囲は、燃料タンク内の燃料の単一組成分濃度が現在記憶してる単一組成分濃度から変更されていない場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定され、第2制限範囲は、燃料タンク内の燃料の単一組成分濃度が現在記憶してる単一組成分濃度から変更されている場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定されている。
【0049】
(3) 上記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、エンジン始動後に、燃料種変更可能性判定手段が燃料タンク内における燃料種の変更の可能性の有無を判定している。
【0050】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、第2上限値及び第2下限値が、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最も単一組成分濃度が高い燃料と最も単一組成分濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定されている。これによって、空燃比補正量の上下限値の変更による性能悪化を最低限に抑制することができる。
【0051】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置は、より具体的には、燃料内の単一組成分濃度が燃料内のアルコール濃度である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成を示す説明図。
【図2】燃料内のアルコール濃度推定値を算出する制御の流れを示すフローチャート。
【図3】ALC1算出マップの特性例を示す説明図。
【図4】ALC2算出マップの特性例を示す説明図。
【図5】αリミッタを算出する制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン本体
2…燃焼室
3…吸気弁
4…吸気通路
5…排気弁
6…排気通路
7…エアクリーナ
8…エアフローメータ
9…スロットル弁
11…燃料噴射弁
12…エンジンコントロールユニット
13…酸素濃度センサ
14…三元触媒
15…水温センサ
Claims (5)
- 燃料内の単一組成分濃度を推定/更新し、更新された単一組成分濃度を記憶する内燃機関の制御装置において、
燃料タンク内における燃料種の変更の可能性の有無を判定する燃料種変更可能性判定手段と、
排気空燃比を検出する空燃比算出手段と、
排気空燃比に基づいて燃料内の単一組成分濃度の推定を行う単一組成分濃度推定手段と、
燃料噴射量を補正するための空燃比補正量を空燃比算出手段の検出値に基づいて算出する空燃比補正量算出手段と、
燃料噴射量を補正可能な空燃比補正量の範囲を制限すると共に、燃料タンク内における燃料の単一組成分濃度が現在記憶している単一組成分濃度から変更された可能性の有無に応じて空燃比補正量の上下限値を制限する空燃比補正量上下限値制限手段と、を備え、
空燃比補正量上下限値制限手段は、空燃比補正量の上下限値が予め設定された所定の第1上限値及び第1下限値となる第1制限範囲と、空燃比補正量の上下限値が第1上限値よりも大きい予め設定された所定の第2上限値及び第1下限値よりも小さい予め設定された所定の第2下限値となる第2制限範囲と、を有し、
燃料種変更可能性判定手段により燃料タンク内の燃料種に変更の可能性がないと判定された場合には、第1制限範囲を用いて空燃比補正量の上下限値を制限し、
燃料種変更可能性判定手段により燃料タンク内の燃料種に変更の可能性があると判定された場合には、燃料種に変更の可能性があると判定されてから単一組成分濃度推定手段により燃料内の単一組成分濃度が推定されるまでの間、第2制限範囲を用いて空燃比補正量の上下限値を制限することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 第1制限範囲は、燃料タンク内の燃料の単一組成分濃度が現在記憶してる単一組成分濃度から変更されていない場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定され、第2制限範囲は、燃料タンク内の燃料の単一組成分濃度が現在記憶してる単一組成分濃度から変更されている場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- エンジン始動後に、燃料種変更可能性判定手段は、燃料タンク内における燃料種の変更の可能性の有無を判定していることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
- 第2上限値及び第2下限値は、燃料タンクに供給される可能性がある燃料の中で、最も単一組成分濃度が高い燃料と最も単一組成分濃度が低い燃料との間で燃料種の変更が行われた場合の空燃比補正量の偏差を許容するよう設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 燃料内の単一組成分濃度は、燃料内のアルコール濃度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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WO2015079898A1 (ja) * | 2013-11-29 | 2015-06-04 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料性状推定装置 |
JP2015209762A (ja) * | 2014-04-23 | 2015-11-24 | 株式会社ケーヒン | エンジン制御システム |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084016A patent/JP2004293349A/ja active Pending
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