JP2004292881A - 溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐二次加工脆性、めっき表面性状に優れた引張強度780MPa以上の溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
【解決手段】mass(%)で、C:0.03〜0.15%、Si≦0.7%、Mn:2.0〜3.0%、P≦0.05%、S≦0.01%、sol.Al:0.01〜0.1%、N≦0.005%、Nb:0.005〜0.1%、更に、必要に応じてTi:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.5%、Cr:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.002%の一種又は二種以上を含有し、残部が実質的にFeからなり、平均粒径が5μm以下のフェライトと低温変態相を備えたミクロ組織を有し、引張強度が780MPa以上であることを特徴とする耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車部品などに用いられる溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関し、特に、高強度で且つプレス成形後の耐二次加工脆性に優れたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
地球環境保護を目的に、自動車、化学メーカを始めとする各種産業界で、CO2ガス低減への取組みが進められている。自動車会社においては、電気自動車の開発とともに、自動車から排出されるCO2ガスを減らすため、ガソリン車の燃費を車体の軽量化により向上させることが検討されている。
【0003】
車体軽量化においては、使用鋼板の薄肉化が有効であるものの、車体剛性劣化を防止するため、鋼板強度の向上が必要で、高強度鋼板の自動車への適用拡大が検討されている。
【0004】
しかしながら、鋼板強度を向上させた場合、プレス成形時に結晶粒界への応力集中が大きくなり、プレス成形性は劣化し、例えば、張出し成形、伸びフランジ成形などの引張応力が付与される部位に用いられる場合には、伸び、伸びフランジ性を向上させ、絞り成形で圧縮応力が付与される部位に用いられる場合には、耐縦割れ性を向上させることが必要となっている。
【0005】
深絞り性に優れた高強度鋼板として自動車の各種部品に適用されている極低炭素IF鋼板の場合、結晶粒界が弱く、Mn,Pなどで高強度化された場合、プレス成形後の耐二次加工脆性が劣化し、B添加によりフェライト粒界の強度を向上させ、Pを低減し粒界脆化を軽減させることが行われている。
【0006】
特開平6−57373号公報は、高強度鋼板の耐縦割れ性を向上させる技術に関するもので、耐二次加工脆性に優れる高r値高張力冷延鋼板の製造技術として、P添加の極低炭素Ti−Nb−B系成分組成において、B量をSi,Mn,Pの重み付き合計量で定まる所定範囲内に調整し、耐二次加工脆性に優れた鋼板製造技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−57373号公報に記載されている鋼板の強度は、367.5〜501.8MPa(37.5〜51.2kgf/mm2)で、今後必要とされる780MPa級自動車用高強度鋼板の製造技術が開示されているわけではない。
【0008】
そこで、本発明では、780MPa以上の引張強度を有し、プレス成形後の耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造技術の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、引張強さ780MPa以上の高強度鋼板を対象に、プレス成形性に及ぼすミクロ組織の影響をカップ成形材の縦割れ試験を用いて詳細に検討し、硬質のマルテンサイト、ベイナイト等オーステナイトからの低温変態相を含む鋼板の場合は、プレス成形時のフェライトと硬質相との界面近傍における応力集中が大きく、フェライト単相組織の極低炭素IF鋼で有効とされたフェライト相の強化や、粒界強度の向上では、耐二次加工脆性は向上しないこと、及びその対策として結晶粒径の微細化が有効で、平均結晶粒径が5μm以下の場合、プレス成形時の、結晶粒界に対する応力集中が緩和され、耐二次加工脆性が向上するという知見を得た。
【0010】
本発明はこれらの知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、
1.mass(%)で、C:0.03〜0.15%、Si≦0.7%、Mn:2.0〜3.0%、P≦0.05%、S≦0.01%、sol.Al:0.01〜0.1%、N≦0.005%、Nb:0.005〜0.1%、残部が実質的にFeからなり、平均粒径が5μm以下のフェライトと低温変態相を備えたミクロ組織を有し、引張強度が780MPa以上であることを特徴とする耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
【0011】
2.鋼組成として、更に、Ti:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.5%、Cr:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.002%の一種又は二種以上を含有することを特徴とする1記載の耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
【0012】
3.絞り比1.6の円筒深絞り成形材の縦割れ遷移温度Tc(℃)が下記式を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
【0013】
Tc≦0.1×TS−108
但し、TS:鋼板引張強度(MPa)
4.1又は2記載の成分組成のスラブを熱間圧延後、平均冷却速度5〜500℃/sで冷却し、680℃以下の温度で巻取り、酸洗後あるいは酸洗・冷間圧延後に750〜950℃の温度で焼鈍し、次いで連続溶融亜鉛めっき処理することを特徴とする耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における、成分組成、ミクロ組織等について以下に詳細に説明する。
1.成分組成

Cは、鋼の強化に有効で0.03%以上添加する。一方、0.15%を超えると、伸びフランジ性や深絞り性が劣化するため、0.03〜0.15%とする。
【0015】
Si
Siは、鋼を強化するために0.7%以下の範囲内で添加してもよい。0.7%を超えると、溶融亜鉛めっきの密着性が低下し、不均一なめっき皮膜が形成される。めっき表面が不均一な場合、深絞り成形時、鋼板表面への応力集中が生じ、成形後の耐二次加工脆性に好ましくないため、Siを添加する場合には0.7%以下とする。
【0016】
Mn
Mnは、鋼の焼入れ強化に有効で、780MPa以上の引張強度を得るため、2.0%以上添加する。一方、3.0%を超えると、スラブに表面欠陥が生じ易くなり、圧延、溶融亜鉛めっき処理後の表面外観が著しく劣化するため、2.0〜3.0%とする。
【0017】

Pは、鋼の強化に有効なため、本発明では0.05%以下含有させることができる。0.05%を超えると、鋳造時のPの偏析に起因した不均一組織が板厚中央部に発達し、延性が劣化する。そのため、Pは0.05%以下とする。
【0018】

Sは、不純物であり、鋼中に過剰に存在すると、スラブ加熱時にオーステナイトの結晶粒界に偏析し、熱間圧延の際、鋼板表層部から赤熱脆性が起こり易くなるため、0.01%以下とする。
【0019】
sol.Al
Alは、鋼の脱酸のため、0.01%以上添加する。一方、0.1%を超えると溶融亜鉛めっき後の表面外観が著しく劣化するため、0.01〜0.1%とする。
【0020】

Nは、鋼中に過剰に存在すると、溶鋼鋳造時、スラブ表面に割れが発生し易くなるため0.005%以下とする。
【0021】
Nb
Nbは、微細炭化物を形成し、また、固溶状態で存在し、フェライトおよび低温変態相を細粒化するため、0.005%以上添加する。一方、0.1%を超えると、焼鈍時のフェライト、オーステナイトの再結晶化が抑制され、加工組織が残留し、延性が劣化するため、0.005〜0.1%とする。
【0022】
本発明は以上が基本成分組成で、所望する特性に応じてTi,V,Cr,Bの一種または二種以上を添加することが出来る。
【0023】
Ti
Tiは、微細炭化物を形成し、組織を微細組織とするため0.005%以上添加する。一方、0.1%を超えるとその効果は飽和し、めっき表面外観が劣化するため、0.005〜0.1%とする。
【0024】

Vは、鋼の焼入れ性を向上させ、強度を向上させるため、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えるとその効果が飽和するため、0.01〜0.5%とする。
【0025】
Cr
Crは、鋼の焼入れ性を向上させ、強度を向上させるため、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えるとその効果が飽和し、めっき表面外観が著しく劣化するため、0.01〜0.5%とする。
【0026】

Bは、鋼の焼入れ性を向上させ、強度を向上させるとともに、オーステナイト粒界に偏析し、粒成長の抑制により、低温変態相を微細化するため、0.0002%以上添加する。一方、0.002%を超えるとその効果が飽和するため、0.0002〜0.002%とする。
【0027】
本発明で、「残部が実質的にFe」とは、本発明の成分組成として記載がない元素であっても本発明の作用効果を損なわないことを限度に、その含有を許容することを意味する。
【0028】
2.ミクロ組織
フェライト及び低温変態相両者の平均結晶粒径:5μm以下
本発明鋼板は、フェライトとマルテンサイト及び/又はベイナイトを有する複合組織で、特に軟質相のフェライトとオーステナイトからの低温変態相である硬質相のマルテンサイト及び/又はベイナイトの平均結晶粒径を共に5μm以下の微細組織とすることを特徴とする。
【0029】
図2に、鋼板の耐二次加工脆性に及ぼすフェライト(母相)とマルテンサイト及び/又はベイナイト(第二相)の平均結晶粒径の影響を縦割れ試験で調査した結果を示す。
【0030】
縦割れ試験では、供試鋼として成分組成がC:0.050〜0.075%、Si:0.02〜0.26%、Mn:2.1〜2.5%、P:0.01〜0.03%、S:0.001〜0.010%、sol.Al:0.02〜0.06%、N:0.0015〜0.0045%、Nb:0.02〜0.06%、Cr:0.07〜0.15%、V:0.07〜0.14%、残部が実質的にFeで、引張強度(TS):810〜840MPa,フェライト(母相)の平均粒径(dF):1〜11μm、低温変態相(第二相)の平均結晶粒径(dS):1〜9μmの溶融亜鉛めっき鋼板(板厚1.2mm)を用いた。
【0031】
これらの鋼板から、図1に示すように、試験用サンプルとして、120mmφのブランクを採取し、絞り比1.6で75mmφのカップを成形後、カップ高さ30mmにトリムした後、冷媒中で、カップの開口試験を実施し、カップ側壁部に縦割れが発生しない縦割れ臨界温度(Tc)を求めた。
【0032】
図2より明らかなように、フェライト(母相)の平均粒径(dF)が5μm以下、低温変態相(第二相)の平均結晶粒径(dS)が1〜3μmで共に微細な場合、縦割れ臨界温度Tcは−100〜−40℃と低く良好な縦割れ臨界温度(Tc)が得られている。
【0033】
引き続いて、上記と同様のカップ成形材の縦割れ試験により、耐二次加工脆性に及ぼす引張強度、フェライト、オーステナイトの低温変態相の粒径の影響を調査し、良好な耐二次加工脆性の得られる温度を求めた。用いた鋼板は、mass%でC:0.06〜0.14、Si:0.01〜0.25、Mn:2.2〜2.7、P:0.01〜0.03、S:0.001〜0.007、sol.Al:0.03〜0.05、N:0.0020〜0.0040、Nb:0.02〜0.05、Cr:0.07〜0.20の化学成分を有し、TSが800〜1100MPa、フェライトの平均粒径が1〜9μm、オーステナイトから低温変態した第二相の平均粒径が1〜9μmである溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:1.2mm)である。
【0034】
縦割れ試験結果を、引張強度TS、フェライトの平均粒径d、第二相の平均粒径dで整理して、図3に示す。TSの増大に伴い、Tcは高くなり、耐二次加工脆性は劣化する。特に、TSに対し、Tcが図中の直線より上、即ち0.1×TS−108を超える場合には、Tcは安定して0℃以下の特性が得られない。つまり、フェライトの平均粒径dが7〜9μmと大きい場合(図中の黒丸)、830MPa以上のTSでは、Tcは安定して0℃以下とならず、良好な耐二次加工脆性が得られない。また、フェライトの平均粒径dが2〜5μmと小さくても、第二相の平均粒径が6〜9μmと大きい場合(図中の×)、970MPa以上のTSでは、Tcは安定して0℃以下とならず、良好な性能が得られない。これらは、いずれもプレス成形時のフェライト/第二相の界面への応力集中が大きいための特性劣化と考えられる。一方、Tcが0.1×TS−108以下の場合には、良好な特性が得られている。つまり、フェライトの平均粒径dが3〜5μm、第二相の平均粒径が1〜5μmと小さい場合(図中の△)、800〜1070MPaのTSの範囲で、Tcは0℃以下と低温の特性が得られている。さらに、フェライトの平均粒径dが1〜3μm(但し、上限の3μmは含まず)、第二相の平均粒径が1〜4μmと小さい場合(図中の○)、800〜1100MPaのTSの範囲で、Tcは−90〜−40℃以下と低く、非常に良好な特性が得られている。
【0035】
このように、フェライトとマルテンサイト、ベイナイトなどの硬質相を有する780MPa以上の引張強度の溶融亜鉛めっき鋼板において、耐二次加工脆性を向上させるには、フェライト相オーステナイトの低温変態相のいずれも平均粒径で5μm以下に細粒化する必要があり、またこの鋼板では、絞り比1.6の円筒深絞り成形材の縦割れ遷移温度TcがTSとの関係式で表される0.1×TS−108以下の低温の特性を有していることから、加工度の大きい部品にプレス成形された後でも使用環境の厳しい寒冷地で使用できることが明らかとなった。
【0036】
3.熱延条件
本発明では、平均結晶粒径5μm以下の微細組織とするため、熱間圧延後の冷却速度とコイル巻取温度及び焼鈍温度を規定する。
【0037】
熱間圧延後の平均冷却速度が、5℃/s未満の場合、巻取り後の結晶粒径が粗大化し、焼鈍によってもフェライトとオーステナイトからの変態組織は細粒化されず、平均結晶粒径が5μm以下とならない。
【0038】
一方、500℃/sを超えると、冷却による微細化効果は飽和し、冷却に特殊な設備が必要となり設備負荷が大きくなるため、平均冷却速度は5〜500℃/sとする。
【0039】
コイル巻取り温度は、680℃を超えると、板厚表層の組織が粗大化し、焼鈍後に板厚方向で不均一な組織となり、平均結晶粒径5μm以下の微細組織が得られないため、巻取り温度は680℃以下とする。
【0040】
本発明鋼の製造において、鋼の溶製、鋳造は成分偏析、組織の均一性がえられるものならば良く特にその方法は規定しない。熱間圧延は鋳造後、直ちに、或いは冷却し再加熱後、粗圧延、仕上圧延後、コイル巻き取りを行う。
【0041】
板厚方向の組織の均一化を測るため、仕上圧延終了温度はAr3点以上とするのが好ましい。
【0042】
熱延後、酸洗し、必要に応じて冷間圧延し、連続溶融亜鉛めっき処理を行なう。焼鈍条件は、粗大組織とならないように焼鈍温度を750〜950℃とする。より好ましくは750〜900℃とする。溶融亜鉛めっき条件は特に規定せず、亜鉛めっき後、めっき層に合金化処理を行なうことができる。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
種々の成分組成の鋼を用いて本発明の効果を確認した。表1に供試鋼の化学成分を示す。鋼1〜7は、本発明鋼で、鋼8〜14は比較鋼である。
【0044】
それぞれの鋼を実験室にて溶製後、鋳造し、板厚50mmのスラブを製造した。但し、鋼7は、電気炉にて溶製した。該スラブを板厚30mmに分塊圧延し、大気炉で1250℃×1hrの加熱処理し、熱間圧延に供した。
【0045】
仕上圧延を870℃で終了し、平均冷却速度30℃/sで冷却後、550℃×1hrの巻取り相当の熱処理を施し、板厚4mmの熱延板とした。酸洗後、板厚1.2mmまで冷間圧延し、830℃で180sec均熱し、平均冷却速度5℃/secで冷却し、460℃の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬した後、550℃で亜鉛めっき層の合金化処理を施した。その後、伸長率1.0%で調質圧延を施した。得られた亜鉛めっき鋼板について、引張特性、耐二次加工脆性、めっき表面外観の評価および組織観察を行った。
【0046】
引張試験はJISZ2241に準拠した方法により、引張強度(TS)が780MPa以上を特性良好(表中○で表示)、780MPa未満の場合を強度不足(表中×で表示)とした。
【0047】
耐二次加工脆性は、カップ成形材の縦割れ試験で、縦割れ遷移温度(Tc)が0.1×TS−108以下の場合、特性良好(表中○で表示)、0.1×TS−108超えの場合、特性不良(表中×で表示)とした。
【0048】
めっき表面外観は、幅100mm×長さ1500mmの範囲を目視で観察し、不めっき、点状およびすじ状欠陥が観察された場合、表面性状不良(×)と判定した。
【0049】
フェライトと低温変態相の平均結晶粒径は、鋼板断面組織を1500倍の走査型電子顕微鏡で観察し、各々200個について求めた。
【0050】
表2に、これらの結果を示す。本発明例No.1〜7は本発明鋼番1〜7を用い、引張強度(TS)が795〜1010MPa,フェライトの平均結晶粒径が1〜3μm、低温変態相の平均結晶粒径が2〜4μmで、いずれの縦割れ遷移温度(Tc)も0.1×TS−108以下で、−90〜−35℃と低温であり、良好な耐二次加工脆性が得られている。また、良好なめっき表面性状であった。
【0051】
一方、比較例No.8〜14は成分組成が本発明範囲外の比較鋼No.8〜14を用いた例であり、本発明例と比較して特性に劣っている。
【0052】
比較例No.8,9は、TSが680MPa,645MPaと低い。比較例No.10はTSが810MPa,フェライト、低温変態相の平均結晶粒径はそれぞれ3μm、5μmであるが、不めっき状欠陥が観察された。また、深絞り成形後の縦割れ遷移温度は−10℃と高い。
【0053】
比較例No.11は、TSが840MPa,フェライト、低温変態相の平均結晶粒径はいずれも5μm以下で,深絞り成形後の縦割れ遷移温度も−50℃と良好であったが、めっき表面に不めっき部が観察された。
【0054】
比較例No.12は、TSとして830MPaが得られているが、フェライト、低温変態相の平均結晶粒径がいずれも6μmであり、縦割れ遷移温度が30℃と高く、耐二次加工脆性に劣っている。
【0055】
比較例No.13は、TSとして930MPaが得られているが、多量のNbを含有しているためフェライトに加工組織が存在し、深絞り成形後の縦割れ遷移温度が60℃で、耐二次加工脆性に劣っている。
【0056】
比較例No.14は,多量のCを含有しているため、TSは1060MPaであるが、深絞り性に劣っている。
【0057】
(実施例2)
次に、本発明範囲内の成分組成の鋼番7を用いて、製造条件の影響について調査した。鋼番7を電気炉で出鋼し、板厚220mmのスラブとし、1270℃で1.5hr加熱後粗圧延し、880℃で仕上圧延を行った。
【0058】
この内、1本の熱延材を用いて、仕上圧延後、コイル巻取温度までの冷却速度を圧延方向で平均2〜500℃/sに変化させた後、600℃でコイルに巻取り、板厚4mmの熱延材を製造した。また、他の3本の熱延材は仕上圧延後、コイル巻取温度まで平均20℃/sの速度で冷却した後、それぞれ550、650、700℃でコイルに巻取り、板厚4mmの熱延コイルとした。この熱延コイルを酸洗した後、板厚1.4mmまで冷間圧延した、この冷延板を860℃に加熱し、−5〜−10℃/sの平均速度で冷却した後、460℃で溶融亜鉛めっき浴中に浸漬し、その後550℃で合金化処理を施し、室温まで冷却した。また、めっき後、各々の焼鈍板に、伸長率1.0%の調質圧延を施した。各々の焼鈍コイルで、熱間圧延時にコイルに巻取るまでの冷却速度と巻取温度を変化させた場所に対応する位置から、引張試験、カップ成形材の縦割れ試験、めっき表面および断面組織の観察に使用するサンプルを採取し、実施例1と同様の方法にて、特性を評価した。この評価結果を表3に示す。
【0059】
鋼板No.21は仕上圧延後、巻取温度までの平均冷却速度が2℃/sと本発明範囲外で遅く、フェライトおよび低温変態相の平均粒径5μm超えと大きく、縦割れ遷移温度が50℃と高く耐二次加工脆性に劣って比較例となっている。
【0060】
鋼板No.22〜28は、仕上圧延後、巻取温度までの平均冷却速度および巻取温度が本発明範囲内で、引張強度、耐二次加工脆性およびめっき表面外観に優れている。
【0061】
鋼板No.29は、巻取温度が700℃と高く本発明範囲外で、フェライトの平均粒径7μmが大きいため、縦割れ遷移温度が30℃と高く耐二次加工脆性に劣って比較例となっている。
【0062】
【表1】
Figure 2004292881
【0063】
【表2】
Figure 2004292881
【0064】
【表3】
Figure 2004292881
【0065】
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車用鋼板として最適な耐二次加工脆性およびめっき表面外観に優れた780MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られ産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐二次加工脆性評価試験方法(カップ成形材による縦割れ試験)を模式的に示す図。
【図2】縦割れ遷移温度に及ぼすフェライトの平均結晶粒径(dF)、マルテンサイト、ベイナイトの平均結晶粒径(ds)の影響を示す図。
【図3】縦割れ遷移温度に及ぼすフェライトの平均結晶粒径(dF)、マルテンサイト、ベイナイトの平均結晶粒径(ds)及び鋼板強度の影響を示す図。

Claims (4)

  1. mass(%)で、C:0.03〜0.15%、Si≦0.7%、Mn:2.0〜3.0%、P≦0.05%、S≦0.01%、sol.Al:0.01〜0.1%、N≦0.005%、Nb:0.005〜0.1%、残部が実質的にFeからなり、平均粒径が5μm以下のフェライトと低温変態相を備えたミクロ組織を有し、引張強度が780MPa以上であることを特徴とする耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 鋼組成として、更に、Ti:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.5%、Cr:0.01〜0.5%、B:0.0002〜0.002%の一種又は二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 絞り比1.6の円筒深絞り成形材の縦割れ遷移温度Tc(℃)が下記式を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
    Tc≦0.1×TS−108
    但し、TS:鋼板引張強度(MPa)
  4. 請求項1又は2記載の成分組成のスラブを熱間圧延後、平均冷却速度5〜500℃/sで冷却し、680℃以下の温度で巻取り、酸洗後あるいは酸洗・冷間圧延後に750〜950℃の温度で焼鈍し、次いで連続溶融亜鉛めっき処理することを特徴とする耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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