JP2004292713A - ドライクリーニング用洗浄剤組成物、調整剤及びそれを用いた洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とするものであり、好ましくは、その洗浄剤組成物の全量に対して0.1〜5.0容量%の水及び/又は0.01〜1.50容量%の界面活性剤を含むものである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、衣服など布製品の洗浄方法の1つであるドライクリーニングに用いることができるドライクリーニング用洗浄剤組成物、調整剤及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ドライクリーニング溶剤として、パラフィン系、ナフテン系の炭化水素などの石油系溶剤や塩素系溶剤,フッ素系溶剤に代表されるハロゲン化炭化水素などの合成溶剤が使用されていることが多い。
石油系溶剤とは、引火点がある有機溶剤の総称であり、安価なことや入手が容易であることからよく用いられる。
合成溶剤とは、引火点がない有機溶剤の総称であり、安価なことや溶解力が高いこと、比重が0.8前後と比較的軽いことで、水による洗浄と比べ、被洗浄物を傷めにくいことからよく用いられる。
【0003】
前記合成溶剤のうち塩素系溶剤としては、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)などがあり、フッ素系溶剤としては、フロン113等が用いられている。又、その他にも臭素等を付与したものがある。
近年、より安全性を考慮したシリコーン系溶剤を用いることもある。このシリコーン系溶剤には、下記の特開2001−279291、特開2002−256292公報のようなものが挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−279291公報
この公報では、カルボキシル変性シリコーンとシリコーン系の溶剤とを混合させたものであり、これを使用することで、再汚染性、平滑性、柔軟性に優れた洗浄ができるものである。
【0005】
【特許文献2】特開2002−256292公報
この公報では、トリス(トリメチルシロキシ)シランを用いるものであり、これを使用することで、被洗浄物への残留溶剤臭が少なく、風合いが良好で、安全性に優れ、オゾン層を破壊することなく、皮膚刺激が少ないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)、フロン113等の合成溶剤は不燃性で溶解力が大きく乾燥速度が速いなど優位な特徴を持つ一方で、法的な規制もあって使用に制約がある。又、これら合成溶剤は、比重が1.5前後と重いため、合成溶剤,水を用いた洗浄に比べ、被洗浄物を傷めやすい。
【0007】
また、パラフィン系、ナフテン系の炭化水素等の石油系溶剤は、合成溶剤に比べて、その使用に際しての制約が少ないが、汚れに対する溶解力が小さく、長時間洗浄しなければならない。また、石油系溶剤は、乾燥性が遅いため、洗浄した後の被洗浄物の乾燥時間を十分に確保しなければならない。
さらに、特開2001−279291、特開2002−256292等のシリコーン系溶剤は、より安全性を向上させたものではあるが、合成溶剤や石油系溶剤に比べ、溶解力が低く、十分な洗浄効果を得られるものではなかった。
【0008】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少ないドライクリーニング用洗浄剤組成物であり、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いドライクリーニング用洗浄剤組成物及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のドライクリーニング用洗浄剤は、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物は、請求項1に記載の発明において、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とする洗浄剤組成物の全量に対して0.1〜5.0容量%の水及び/又は0.01〜1.50容量%の界面活性剤を含むものである。
【0011】
請求項3に記載の発明のドライクリーニング用調整剤は、水:界面活性剤:炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体が100:(10〜150):(5〜50)の重量比により混合するものである。
【0012】
請求項4に記載の発明の洗浄方法は、請求項1又は請求項2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分をその洗浄剤組成物中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤組成物を分離し、被洗浄物を乾燥させることである。
【0013】
請求項5に記載の発明の洗浄方法は、請求項4に記載の発明において、請求項1又は請求項2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物中に、請求項3に記載のドライクリーニング用調整剤を添加することである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明について、詳細に説明する。
この発明は、炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とするものである。
【0015】
まず、環式モノテルペンとは、2つのイソプレンが環状に結合したものであり、下記化1〜化6に示されるような一般式で表されるものである。R1、R2、R3は、同じであっても、異なっても良い。
また、これらには、少なくとも2カ所以上の2重結合が、隣り合っていない限り任意の位置に存在し、更に、任意の位置に水酸基を付与させることもできる。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0016】
この環式モノテルペンには、化1に示されたボルナン類、化2に示されたカラン類、化3に示されたフェンカン類、化4に示されたp−メンタン類、化5に示されたピナン類、化6に示されたツジャン類がある。
ボルナン類(化1)としては、ボルナン、ボルニル、ボルネオール、イソボルネオール、ショウノウ、カンホルキノン、ノルボルナン、ノルボルニル、カンフェンなどがあり、カラン類(化2)には、カラン、カリル、ノルカラン、ノルカリルなどがある。
【0017】
フェンカン類(化3)としては、フェンカン、フェンキルアルコール、フェンコンなどがあり、p−メンタン類(化4)には、p−メンタン、p−メンチル、リモネン、α−テルピネン、γ−テルピネン、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、α−テルピネオール、ペリルアルデヒド、メントン、カルボン、ピペリトン、プレゴンなどがある。
【0018】
ピナン類(化5)としては、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、クリサンテノン、ベルベノン、ノルピナンがあり、ツジャン類(化6)には、ツジャン、ツジル、ツジョンなどがある。
これらの環式モノテルペンのうち、炭素数が10〜13であることにより、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いドライクリーニング用洗浄剤組成物となる。
【0019】
炭素数が9以下の場合では、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ったものではあるが、環式モノテルペンではなくなり、その分子の極性が大きくなることで、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが多くなる。又、分子量が小さくなることで、引火点が下がり、より安全性が高い洗浄剤組成物を得ることができない。
【0020】
逆に、炭素数が14以上の場合では、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、より安全性が高い洗浄剤組成物ではあるが、環式モノテルペンの分子量が大きくなり、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を得ることができない。又、環式モノテルペンの分子量が大きくなることで、洗浄剤組成物の生分解性が低下するため、不要となった洗浄剤組成物の処理が困難になることがある。
【0021】
前記炭素数が10〜11の範囲の場合には、洗浄力、乾燥性と安全性とのバランスが良く、被洗浄物の傷みが少ない洗浄剤組成物となり、好ましいものとなる。
上記環式モノテルペンの誘導体では、化1〜化6の式中のR1〜R3が炭素数1〜2の基のものであり、この基には、アルキル基、ビニル基、アルコキシル基、アルデヒド基など一般的なものがあり、これらのうち、極性が無いアルキル基、ビニル基などが好ましく用いられる。極性が無いことにより、被洗浄物の繊維を痛めることが少なく、汚れの洗浄が効果的なものとなり、より洗浄性を向上させることができる。
【0022】
上記環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物の汚れ、特に油分を主体とした油性の汚れに対しての洗浄効果を計るもとして、カウリブタノール価(以下、KB価と言う。)がある。
このKB価は、ASTM−D1133に規定されているものであり、炭化水素溶媒の相対的な溶解力を示すものである。この発明では、洗浄剤組成物が脂肪酸などの油分を主体とした油性の汚れに対しての溶解力を示すものとして用いることができる。
【0023】
このKB価の測定方法は、ナンヨウスギ科の針葉樹であるカウリの樹皮から取れる樹脂で、そのカウリ樹脂100gを500gのブチルアルコールで溶解した標準カウリブタノール液20gを250mlの三角フラスコに取り液温を25℃に調整する。
この標準カウリブタノール液の入った三角フラスコを10ポイントの大きさの活字で書かれている新聞紙などの上に置き、この三角フラスコに溶解特性を調べたい炭化水素溶媒を少しずつ加えて行き、白濁や沈殿によって活字が判読できなくなるまで加える。活字が不鮮明になった時を終点として、それまでに加えられた炭化水素溶媒の添加された容量を下記の計算式に入れて算出し、KB価を求める。
【0024】
また、炭化水素溶媒の測定の前に、上記記載と同じ方法で、同じ標準カウリブタノール液を用いて、トルエン及びトルエン25容量%とn−ヘプタン75容量%との混合液での測定を行い、それぞれの添加量を測定する。この添加量がトルエンの場合、100〜110mlの範囲で、混合液の添加量が40mlに近い標準カウリブタノール液であることを確認する。
【0025】
KB価=65×(C−B)÷(A−B)
上式でのAは、トルエンの添加量(ml)であり、Bは、トルエン25容量%とn−ヘプタン75容量%の混合液の添加量(ml)である。Cは、対象となる炭化水素溶媒の添加量(ml)である。この発明では、炭化水素溶媒がドライクリーニング用洗浄剤組成物に相当する。
【0026】
このKB価は、その数値が大きいほど、溶解力が高く、脂肪酸などの油性の汚れに対して、溶解力があることになる。この発明では、KB価が40〜150の範囲であることが好ましい。このKB価が40未満の場合では、油性の汚れへの溶解力が小さく、その汚れを十分に溶解さ、被洗浄物から落とすためには、洗浄時間が長くなることになる。一方、KB価が150を越える場合では、被洗浄物の繊維中に含まれる油分をも溶解してしまうため、被洗浄物を傷めることがある。
【0027】
このKB価は、油分を溶解する程度を示すことから、洗浄剤組成物のKB価を用いて、油性の汚れを落とすのに要する洗浄時間を算出することができる。この洗浄時間は、油分を主体とする油性の汚れを溶解し、被洗浄物から落とすことができる時間のことであり、KB価が高ければ油性の汚れに対する溶解性が高く、洗浄時間も短くて済むことからKB価に反比例するものである。
【0028】
従って、このKB価から洗浄時間を算出することが可能となる。この洗浄時間は、下記の式1から求められる。
(式1)
[洗浄時間(分)]=a/[KB価](aは、定数)
【0029】
また、上記環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物の比重から布製品などである被洗浄物の繊維への浸透性を計ることができる。つまり、洗浄剤組成物の比重が被洗浄物の比重より重いものの場合では、被洗浄物が洗浄剤組成物に浮いてしまい、洗浄剤組成物が被洗浄物の繊維に浸透しないことであり、洗浄剤組成物の比重が被洗浄物の比重と比べ、軽い場合には、被洗浄物が洗浄剤組成物に沈むことで、繊維に対しての浸透性が良いことになる。
【0030】
しかし、軽すぎる場合では、被洗浄物への洗浄剤組成物の浸透が良いことで、被洗浄物に過剰に浸透してしまい洗浄後の被洗浄物の乾燥に時間が掛かることがある。又、重すぎる場合では、外力を掛けて洗浄する場合において、被洗浄物への衝撃が大きくなり、汚れを落とすには、有利となる場合あるが、洗浄剤組成物の浸透した被洗浄物の重量が重くなり、外力を加え洗浄することで、被洗浄物に負荷が掛かり、被洗浄物を傷めることがある。又、洗浄に際しての外力が大きくなるものである。
【0031】
このようなことから、洗浄剤組成物の比重は、被洗浄物の比重に近いものが良く、0.50〜1.50の範囲であることが好ましく、この範囲内のものであれば、被洗浄物の繊維への洗浄剤組成物の浸透性、乾燥性が良く、被洗浄物への負荷が少ないものである。より好ましくは、洗浄剤組成物の比重が0.75〜1.25の範囲であり、洗浄剤組成物の浸透性及び乾燥性に優れ、洗浄物の傷みが少ないバランスの取れた洗浄剤組成物となる。
【0032】
この洗浄剤組成物の比重による被洗浄物に与える衝撃性の点から洗浄に要する洗浄時間に影響を与える。つまり、外力を掛けて洗浄する場合、洗浄剤組成物の比重が重いものであれば、被洗浄物への衝撃が大きくなり、汚れを物理的の落とすことができる。
このようなことより、上記(式1)の定数aは、
b/[ドライクリーニング用洗浄剤組成物の比重]となり、下記の(式2)のように表すことができる。
(式2)
[洗浄時間(分)]=b/[ドライクリーニング用洗浄剤組成物の比重]/[KB価]
と表すことができる。(bは、定数)
【0033】
次に、ドライクリーニング用洗浄剤組成物の洗浄効果とは別に、外力を加え洗浄する場合の被洗浄物の傷み具合を計るものとして、タタキ量を挙げることができる。
このタタキ量は、洗浄に際しての外力が加わった時間と洗浄剤組成物の比重に影響されるものであり、外力が加わった時間が長くなるほど、洗浄剤組成物の比重が大きくなるほどタタキ量が増え、被洗浄物の傷みが激しくなる。つまり、洗浄剤組成物の比重と外力が加わった時間の比により表すことができる。
【0034】
このタタキ量を定量的に表した場合、下記の(式3)により求めることができる。
(式3)
[タタキ量]=[ドライクリーニング用洗浄剤組成物の比重]×[外力が加わった時間(分)]
で表すことができる。
例えば、洗浄剤組成物に水を用い、45分間洗浄した場合では、1.0×45=45.0となる。
【0035】
このタタキ量での外力が加わった時間とは、上記洗浄時間とは、異なり、実際にドライクリーニングの洗浄装置に被洗浄物を投入した後、装置が作動している時間のことである。上記洗浄時間を基に、外力を加える時間を設定することになる場合が多い。又、複数の被洗浄物を一まとめにする場合では、もっとも洗浄時間の長いものに合わせることになり、他の被洗浄物は、必要な洗浄時間より長く洗浄を行うことになり、タタキ量も増加する。
【0036】
このタタキ量が4.0〜80.0の範囲に設定できるように洗浄剤組成物の比重とそれを用いた洗浄方法を設定することが好ましい。この範囲で洗浄を行うことで被洗浄物の傷みが少なくすることができる。更に、10.0〜50.0の範囲に設定することで、より被洗浄物の傷みが少なく、洗浄することができる。
【0037】
上記のことより、好ましい環式モノテルペン又はその誘導体のものとして、炭素環に対して側鎖がパラ位に配位しているp−メンタン類(化4)又はツジャン類(化6)が挙げられる。
このp−メンタン類(化4)又はツジャン類(化6)は、液状であるためドライクリーニング用洗浄剤組成物として適した形態であることや、取扱いが容易であることや、皮膚への刺激が比較的少ないため取扱いが簡単なものである。
【0038】
さらに、これらp−メンタン類(化4),ツジャン類(化6)の環式モノテルペン又はその誘導体は、炭素数が10〜13の範囲内であり、その比重が0.50〜1.50の範囲内であることから、タタキ量及びKB価を適切な範囲に設定することができる。
このため、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、引火点が40℃以上と比較的高いためその使用に際しての制約が少なく、より安全性が高く、水との分離が容易で、洗浄剤組成物を再利用することが簡単に行うことができる。又、被洗浄物をあまり傷めることなく、汚れを落とすことができるものである。
【0039】
これらp−メンタン類(化4)、ツジャン類(化6)の環式モノテルペンの内、p−メンタン類(化4)の中では、p−メンタン、p−メンチル、リモネン、γ−テルピネンで、ツジャン類(化6)の中では、ツジャンがより好ましく用いられる。又、その誘導体では、これら環式モノテルペンにメチル基、エチル基などのアルキル基が付いたものが比較的溶解力が高く、安全性の面からより好ましく用いられる。
これらの内、比重が0.79で、引火点が40℃で、水に不溶であるp−メンタン、比重が0.85で、引火点が48℃で、水に不溶であるリモネン、比重が0.85で、引火点が51℃で、水に不溶であるγ−テルピネン又はそれらの誘導体が溶解力と安全性とのバランスがとれたものとして、望ましく用いられる。
【0040】
さらに、p−メンタン類(化4)のリモネン又はその誘導体がより望ましく用いられる。このリモネンには、光学活性の違いにより(+)体と(−)体があり、それぞれD−リモネン、L−リモネンと表されることもある。これらには、洗浄剤組成物としての差異はなく、どちらか一方もしくは両方を混合して用いることができる。
このリモネンは、KB価が50〜70で、タタキ量が13.0〜30.0の範囲に設定することができることにより、汚れの溶解力が高く、洗濯時間が短く、被洗浄物の傷みが少ないものである。又、最も入手が容易であるものである。
【0041】
さらに、皮膚に対する刺激が少ないこと、生分解率がBOD換算で4週間後にはじめに比べ80%以上分解するもので、ラットに経口投与した場合の急性毒性がLD50値で2000mg/kg以上であることより、より望ましく用いられる。
この生分解率がBOD換算で4週間後に80%以上分解するものであることとは、環境中に排出された場合でも、微生物によって容易に分解されるため、環境汚染が少ないものである。生分解率が80%未満の分解である場合には、微生物による分解速度が遅いため、環境汚染の恐れが生じることがある。
【0042】
この生分解率の測定は、OECDテストガイドライン301CにあるMITI(I)法(化学物質100mg/L、汚泥濃度30mg/L)で行い、25℃に保たれた恒温室内に28日間放置し、その後のBODを測定することにより行われるものである。
ラットに経口投与した場合の急性毒性がLD50値で2000mg/kg以上であることとは、誤って飲み込んでしまった場合にも致死量に達する可能性が少なく、より安全なものである。LD50値が2000mg/kg未満の場合には毒性が高いため、誤飲による事故の危険がある。
【0043】
上記環式モノテルペン又はその誘導体に加えて、1種又は2種以上の他の溶剤も混合したドライクリーニング用洗浄剤組成物を用いることができる。この溶剤としては、石油系溶剤、合成溶剤などがある。これらの溶剤を混合することにより、沸点や蒸発速度、引火点、比重、カウリブタノール価を最適な値に調整することができ、乾燥速度や引火性、タタキ量、汚れの溶解性等を調整することができる。
【0044】
この溶剤と環式モノテルペン又はその誘導体との沸点の差が20〜100℃の範囲であることが好ましい。この沸点の差は、蒸留による回収が容易となる。沸点差が30〜80℃であることがより好ましい。沸点差が20℃未満の場合には蒸留による分離回収が困難で、100℃を越えると沸点が高すぎ、被洗浄物の洗浄後の乾燥性が劣る場合がある。
【0045】
また、被洗浄物の汚れが水に溶け易い汗や醤油染みなどの場合には、環式モノテルペン又はその誘導体と水溶性の溶剤、水、界面活性剤のいずれか1つ又は2つ以上と混合したドライクリーニング用洗浄剤組成物を用いることが好ましい。このことにより、油性の汚れと水性の汚れとを同時に洗浄させることができる。この水溶性の溶剤は、水への溶解度は50重量%以上であることが好ましく、水性の汚れの洗浄力が大きいものであり、水性の汚れを環式モノテルペン又はその誘導体中に溶けさせることができ、油性の汚れと一緒にすることができ、それらを一括して処理することができる。
【0046】
この水溶性の溶剤には、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンターノール、ヘキサノール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、p−クレジルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酸化プロピレン等のエーテル、アセタール類、アセトアルデヒド、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン、アルデヒド類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジアセタート、1,4−シクロヘキサンジオール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール誘導体、アセトアミド、エチレンジアミン、N−メチルピロリドン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等の含窒素化合物等が挙げられる。これらは、いずれも分子内に極性を持つものである。
【0047】
この水溶性の溶剤を混合する場合の割合は、環式モノテルペン又はその誘導体の全量に対して、1.0〜15.0容量%の範囲であることが好ましく、1.0容量%未満では水性の汚れに対する溶解力が十分でないことがある。15.0%を越えると洗浄剤組成物中に被洗浄物に含まれる水分が混ざり、その水分が蓄積してしまいドライクリーニング用洗浄剤組成物の洗浄効果の低下が速くなる場合がある。
この水容性溶剤を用いた場合では、ドライクリーニングに使われる装置に環式モノテルペン又はその誘導体と水容性の溶剤とを一緒若しくは別々に又はそれらを混合させたものを投入して洗浄を行うことができる。
【0048】
水を用いた場合では、水溶性の溶剤と比較して、洗浄後の被洗浄物の乾燥性が劣ることがあるが、その扱いや入手が容易で、使用に際しての制約が少なく、安全なことから好ましく用いられる。
この場合では、ドライクリーニングに使われる装置に環式モノテルペン又はその誘導体と水とを一緒若しくは別々に又はそれらを混合させたものを投入して洗浄を行うことができる。この水の投入に際して、好ましくは、水を予め振動、加温などをすることで、水分子のクラスターの大きさが小さくなり、洗浄力が増すことがある。
【0049】
洗浄に使用したドライクリーニング用洗浄剤組成物は、容易に水と分離することができる。この分離された水は、水に溶け出た水性の汚れと共に廃棄することができる。
この水の添加量は、環式モノテルペン又はその誘導体である洗浄剤組成物の全量に対して、0.1〜5.0容量%であることが好ましい。水の添加量が0.1%未満の場合には、水性の汚れの洗浄力が十分でなく、5.0%を越えると繊維の種類によっては皺や収縮が生じる原因となる。
【0050】
界面活性剤を用いた場合では、水性の汚れを環式モノテルペン又はその誘導体中に溶けさせることができ、油性の汚れと一緒にすることができ、それらを一括して処理することができる。又、界面活性剤の添加により一度除去した汚れの再付着を防止できる。この場合では、ドライクリーニングに使われる洗浄機に環式モノテルペン又はその誘導体と界面活性剤とを一緒にした洗浄用組成物を投入して洗浄を行うことができる。
【0051】
この界面活性剤の添加量は、環式モノテルペン又はその誘導体であるドライクリーニング用洗浄剤組成物の全量に対して、0.01〜1.50容量%であることが好ましく、この範囲にあるとき、最も効果的な洗浄性が得られる。0.01容量%未満の時は、水性の汚れに対する洗浄力が十分でなく、1.50容量%を越えるときは乳化される環式モノテルペン量が増加するため、相対的な環式モノテルペン量が減少してしまう。
【0052】
このときに使用する界面活性剤は任意のものを使用できるが、生分解性の界面活性剤を使用することが好ましい。生分解性の界面活性剤を使用することで、環境中に誤って流出した場合でも、微生物によって容易に分解されるため、汚染の心配が少ないものである。ここで言う生分解性とは、MITI(I)法(化学物質100mg/L、汚泥濃度30mg/L)で行い、25℃に保たれた恒温室内に28日間放置し、その後のBOD値が80%以上であるものを言う。
【0053】
このような生分解性の界面活性剤としては、高級アルコール硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート等が挙げられる。
この中から1種又は2種以上を混合して使用することが好ましい。特にポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec−C11−15)エーテル、トリエタノールアミン、トルエンスルホン酸ナトリウム、脂肪酸(C10−14)ジエタノールアミド等が中から1種又は2種以上を混合して使用することで環式モノテルペン又はその誘導体である洗浄剤組成物との混合の乳化または可溶化が容易になる。
【0054】
より好ましくは、環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物の全量に対して、水と界面活性剤との両方を含むものである。更に、望ましくは、その添加量が環式モノテルペン又はその誘導体である洗浄剤組成物の全量に対して、0.1〜5.0容量%の水、0.01〜1.50容量%の界面活性剤を含むものである。
このような洗浄剤組成物を用いることにより、油性の汚れと水溶性の汚れとを同時に洗浄させることができ、その洗浄性が優れ、油性の汚れと一緒にすることができ、それらを一括して処理することができ、使用に際しての制約が少なく、安全なものとなる。
【0055】
上記記載したようにドライクリーニング用洗浄剤組成物は、構成され、その洗浄剤組成物中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分を洗浄剤組成物中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤を分離し、被洗浄物を乾燥させる洗浄方法に用いることができる。
この洗浄方法では、まず、被洗浄物を洗浄剤組成物中に浸す。浸すことにより、被洗浄物に付着している汚れの成分を洗浄剤中に溶出させることができる。又、浸した洗浄物に、攪拌、回転、落下、振動等の物理的な力を加える。この物理的な力を加えることにより、被洗浄物繊維の細部にまで洗浄剤を浸透させることができ、繊維と汚れ成分との分離を促進することができ、より効率的に汚れを溶出させることができる。
【0056】
また、この洗浄に際して、洗浄剤組成物を加熱により洗浄剤組成物の温度を上げることで、洗浄剤組成物を構成する分子の運動が激しくなり、汚れの成分の溶解性を向上させることができる。このときの洗浄剤組成物の温度は、30〜60℃が好ましく、この範囲にあるとき最も汚れに対する洗浄力と被洗浄物の傷み度合いのバランスが取れたものになる。
【0057】
被洗浄物と汚れの成分とを分離した後、その被洗浄物と汚れの成分が溶出した洗浄剤組成物とを分離し、被洗浄物を乾燥させる。分離、乾燥を行うことで、被洗浄物中に洗浄剤組成物の成分が残ることを防ぎ、化学やけどの危険を低下させる。この分離では、被洗浄物に残っている洗浄剤組成物を搾る、遠心力などの外力を与え、より多くの汚れの成分が溶出した洗浄剤組成物を被洗浄物から分離する。この分離工程を終えた被洗浄物に残っている洗浄剤組成物を乾燥することで、蒸発させる。
【0058】
この乾燥では、常温、加熱いずれの場合でも可能であるが、加熱乾燥を行うことにより、乾燥速度が速まるため好ましく用いられる。この際の加熱温度は、40〜80℃が好ましく、この範囲にあるとき乾燥が速く被洗浄物の傷みが少ないものである。
一方、洗浄に用いられた洗浄剤組成物は、再度、ドライクリーニングに用いることが可能である。この場合、汚れた洗浄剤組成物に対して、同量程度又はそれ以上の新しい洗浄剤組成物を混ぜることで、洗浄剤組成物中の汚れの成分を少なくし、次の洗浄に用いることができる。
【0059】
また、汚れの成分が溶出した洗浄剤を回収し、蒸留することで、再び洗浄剤組成物として用いることが好ましい。これにより、汚れの成分がほとんど溶出していない洗浄剤組成物を用いることができ、十分な洗浄作用及び効果を持続させることができるものである。
さらに、乾燥工程により揮発した洗浄剤組成物を回収し、回収したものを冷却し、蒸留によって再利用することも可能である。
【0060】
また、前記炭素数10〜13の環式モノテルペン又はその誘導体と水と界面活性剤との比率を変えることにより、ドライクリーニング用調整剤として用いることができる。この調整剤は、前記環式モノテルペン又はその誘導体からなるドライクリーニング用洗浄剤組成物をはじめとするドライクリーニングに用いる洗浄剤に対して、添加するものであり、これを添加することにより、油性の汚れのほか、水性の汚れを落すことができるものとなる。
【0061】
この調整剤は、水:界面活性剤:環式モノテルペン又はその誘導体が100:(10〜150):(5〜50)の重量比の範囲に調整し、混合されたものである。この範囲内の調整剤を用いることにより、ドライクリーニングに用いる洗浄剤を油性の汚れのほか、水性の汚れを十分に落すことができるものとなる。
【0062】
この調整剤は、通常に用いられるドライクリーニング洗浄剤又は環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物に対して、0.1〜10.0容量%添加することが好ましい。この内、環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物を用い、前記範囲内で添加することにより、請求項2に記載したドライクリーニング用洗浄剤組成物と同様又は類似した洗浄剤組成物を容易に得ることができる。より好ましくは、0.1〜5.0容量%添加することにより、請求項2に記載した洗浄剤組成物と同様なものを得ることができる。
【0063】
このドライクリーニング用調整剤の使い方としては、洗浄を開始する前にドライクリーニング洗浄剤に添加することや洗浄中に添加することなどがあるが、洗浄を開始する前に添加することにより、調整剤が洗浄剤中に均一に混ざり、より効率的に水性の汚れを落すことができるものとなる。
【0064】
以上のように、この実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とするものであることにより、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少ないドライクリーニング用洗浄剤組成物であり、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いものである。
【0065】
・炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とする洗浄剤組成物の全量に対して0.1〜5.0容量%の水及び/又は0.01〜1.50容量%の界面活性剤を含むものであることにより、油性の汚れと水性の汚れとを同時に洗浄させることができ、その洗浄性が優れ、油性の汚れと一緒にすることができ、それらを一括して処理することができ、使用に際しての制約が少なく、安全なものとなる。
【0066】
・水:界面活性剤:炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体が100:(10〜150):(5〜50)の重量比により混合するものであることにより、油性の汚れのほか、水性の汚れを十分に落すことができるものとなる。
【0067】
・請求項1又は請求項2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分をその洗浄剤組成物中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤組成物を分離し、被洗浄物を乾燥させることにより、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少ないドライクリーニング用洗浄剤組成物であり、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いものである。
【0068】
・請求項1又は請求項2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物中に、請求項3に記載のドライクリーニング用調整剤を添加することにより、調整剤が洗浄剤中に均一に混ざり、より効率的に水性の汚れを落すことができるものとなる。
【0069】
・前記炭素数が10〜11の範囲であることにより、洗浄力、乾燥性と安全性とのバランスが良く、被洗浄物の傷みが少ないものとなる。
・環式モノテルペンと炭素数1〜2のアルキル基及び/又はビニル基の誘導体であることにより、被洗浄物の繊維を痛めることが少なく、汚れの洗浄が効果的なものとなり、より洗浄性を向上させることができる。
【0070】
・KB価が40〜150の範囲であることにより、被洗浄物を傷めることが少なく、比較的短時間で汚れを落すことができるものである。
・洗浄剤組成物の比重が0.50〜1.50の範囲であることにより、被洗浄物の繊維への洗浄剤組成物浸透性が良く、被洗浄物への負荷が少ないものである。
・タタキ量が4.0〜80.0の範囲であることにより、被洗浄物の傷みが少なくすることができる。
【0071】
・環式モノテルペン又はその誘導体がのものがp−メンタン類又はツジャン類であることにより、ドライクリーニング用洗浄剤組成物として適した形態で、取扱いが容易であることや、皮膚への刺激が比較的少ないため取扱いが簡単なものである。更に、タタキ量及びKB価を適切な範囲に設定することができるため、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、引火点が40℃以上と比較的高いためその使用に際しての制約が少なく、より安全性が高く、水との分離が容易で、洗浄剤組成物を再利用することが簡単に行うことができる。又、被洗浄物をあまり傷めることなく、汚れを落とすことができるものである。
【0072】
・環式モノテルペンがp−メンタン、p−メンチル、リモネン、γ−テルピネン、ツジャンのうちいずれか又はそれらにアルキル基が付いた誘導体であることにより、比較的溶解力が高く、より安全性の高いものである。
・環式モノテルペンがp−メンタン、リモネン、γ−テルピネンのうちいずれかであることにより、溶解力と安全性とのバランスがとれたものとなる。
【0073】
・環式モノテルペンがリモネンであることにより、KB価が50〜70で、タタキ量が13.0〜30.0の範囲に設定することができ、汚れの溶解力が高く、洗濯時間が短く、被洗浄物の傷みが少ないものである。又、最も入手が容易であるものである。更に、皮膚に対する刺激が少ないものである。
・環式モノテルペン又はその誘導体に1種又は2種以上の他の溶剤も混合したものであることにより、沸点や蒸発速度、引火点、比重、カウリブタノール価を最適な値に調整することができ、乾燥速度や引火性、タタキ量、汚れの溶解性等を調整することができる。
【0074】
・溶剤が環式モノテルペン又はその誘導体との沸点の差が20〜100℃の範囲であることにより、蒸留による分離回収が容易で、洗浄後の乾燥性の良いものである。
・環式モノテルペン又はその誘導体と水溶性の溶剤、水、界面活性剤のいずれか1つ又は2つ以上と混合したものであることにより、油性の汚れと水溶性の汚れとを同時に洗浄させることができ、水性の汚れを油性の汚れと一緒にすることができ、それらを一括して処理することができる。
【0075】
・水溶性の溶剤を環式モノテルペン又はその誘導体に対して、1.0〜15.0容量%の範囲で混合することにより、水性の汚れに対する溶解力が十分で、洗浄効果の低下が少ないものである。
・水を環式モノテルペン又はその誘導体に対して、0.1〜5.0容量%の範囲で混合することにより、水性の汚れの洗浄力が十分で、繊維の皺や収縮が少ないものである。
【0076】
・界面活性剤を環式モノテルペン又はその誘導体に対して、0.01〜1.50容量%の範囲で混合することにより、水性の汚れに対する洗浄力が十分で、相対的に環式モノテルペン量が十分なものである。
・ドライクリーニング洗浄剤組成物を加熱により温度を上げることにより、洗浄剤組成物を構成する分子の運動が激しくなり、汚れの成分の溶解性を向上させることができる。
【0077】
・調整剤を環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物全量に対して、0.1〜10.0容量%添加することにより、請求項1に記載したものを請求項2に記載したものと同様又は類似した洗浄剤組成物を容易に得ることができる。
【0078】
【実施例】
以下、この発明について、実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1のドライクリーニング用洗浄剤組成物では、上記化4において、R1〜R3が全て−CH3の環式モノテルペンであるリモネンを用いた。この洗浄剤組成物のカウリブタノール価は、67であり、比重が0.84であり、外力が加わる時間を20分間とし、タタキ量を16.4と設定した。以下、外力が加わる時間をすべて20分間とした。
【0079】
実施例2のドライクリーニング用洗浄剤組成物では、上記化4において、R1=C2H5、R2及びR3が−CH3の環式モノテルペンであるリモネンの誘導体を用いた。この洗浄剤組成物のカウリブタノール価は、56であり、比重が0.84、タタキ量が16.8であった。
実施例3のドライクリーニング用洗浄剤組成物では、実施例1のリモネンとそのリモネンに対して、3.0容量%の水を混合したものを用いた。この洗浄剤組成物のカウリブタノール価は、55であり、比重が0.90であり、タタキ量が18.0であった。
【0080】
実施例4のドライクリーニング用洗浄剤組成物では、実施例1のリモネンとそのリモネンに対して、界面活性剤と水の混合物0.6容量%を加えたものを用いた。このときの界面活性剤と水の混合割合は、水100重量部に対して、界面活性剤50重量部であり、界面活性剤は、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテルを使用した。この洗浄剤組成物のカウリブタノール価は、77であり、比重が0.84であり、タタキ量が16.8であった。
【0081】
一方、比較例1として、市販されているイソパラフィン系炭化水素を用いた。これのカウリブタノール価は、30であり、比重が0.77で、タタキ量が15.4であった。又、比較例2として、市販されているパークロロエチレンを用いた。これのカウリブタノール価は、90であり、比重が1.62で、タタキ量が32.4であった。
【0082】
これら実施例1〜4、比較例1及び2のドライクリーニング用洗浄剤組成物を用いて、洗浄性の試験を行った。
まず、試験1として、油性の汚れに対しての洗浄性能を比較した。この洗浄性の試験は、一辺10cmの正方形のポリエステル、綿、毛、アクリルの各布に食用油1gを滴下して50℃で8時間乾燥し試験体とした。この試験体を6枚用意した。
【0083】
実施例1〜4、比較例1、2の洗浄剤組成物を容器に1リットル取り、この洗浄剤組成物中に試験体を入れ、15分間攪拌し、洗浄を行った。洗浄を終えた試験体は、洗浄剤組成物中から取り出し、80℃で15分乾燥した。その後、目視により洗浄度合いを確認した。
その結果としては、比較例1の洗浄剤組成物により、洗浄した試験体の汚れは、あまり汚れが落ちていなかった。実施例1〜4及び比較例2の洗浄剤組成物により、洗浄した試験体の汚れは、比較例1と比較して、汚れの落ち具合が良く、洗浄効果が優れたものであった。
【0084】
また、試験2として、水溶性の汚れに対しての洗浄効果を確認した。この試験2での試験体は、試験1で使った食用油の代わりに醤油1gを滴下して、試験体を用意した。洗浄条件は、油性の汚れの洗浄性能を確認したときと同じである。この結果は、実施例4の洗浄剤組成物を用いたものが汚れを一番よく落としていた。次いで実施例3の順番であり、実施例1、2及び比較例1、2はほとんど汚れが落ちていなかった。
【0085】
さらに、試験3として、試験1での条件で完全に汚れが落ちるまでの洗浄時間を測定した。この場合、試験体を攪拌しながら目視により完全に汚れが落ちるまで洗浄し、その時間を測定した。その結果は、実施例1が11分、実施例2が13分、実施例3が13分、実施例4が10分間掛かった。比較例1では、25分、比較例2では、9分であった。
また、試験3で、汚れが落ちた時間を確認しながら、そのまま撹拌を継続し、全体で、3時間の撹拌を行い、撹拌を終えた試験体を洗浄剤組成物から取り出し、80℃で15分乾燥して、生地の傷み度合いを目視により確認した。この試験を試験4とした。
その結果は、実施例1〜4では、ほとんど傷みを生じていなかったのに対して、比較例1ではかなりの傷みが、比較例2ではやや傷みが見受けられた。
【0086】
次に、試験5として、洗浄剤組成物の安全性について実施例1〜4及び比較例1、2を比較した。安全性は人間の皮膚に対する刺激をパッチテストにより確認することで行った。2cm×2cmの綿に各洗浄剤をしみ込ませ、皮膚に3時間貼り付けた。その結果、実施例1〜4は変化が見られないかわずかに赤くなる程度であり、比較例1、2は真っ赤に腫れあがった。
このように試験1〜5で、実施例1〜4のドライクリーニング用組成物は、十分な洗浄力があり、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少ないものであり、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いものであることが分かる。
さらに、実施例2及び実施例3の洗浄剤組成物では、油汚れに対してだけではなく、水性の汚れに対しても十分な洗浄効果があるものである。
【0087】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・KB価が40〜150の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
このことにより、被洗浄物を傷めることが少なく、比較的短時間で汚れを落すことができるものである。
【0088】
・比重が0.50〜1.50の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
このことにより、被洗浄物の繊維への洗浄剤組成物浸透性が良く、被洗浄物への負荷が少ないものである。
【0089】
・タタキ量が4.0〜80.0の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
このことにより、被洗浄物の傷みが少なくすることができる。
【0090】
・環式モノテルペン又はその誘導体がp−メンタン類又はツジャン類であることを特徴とする請求項1又は請求項2のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
このことにより、ドライクリーニング用洗浄剤組成物として適した形態で、取扱いが容易であることや、皮膚への刺激が比較的少ないため取扱いが簡単なものである。更に、タタキ量及びKB価を適切な範囲に設定することができるため、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少なく、引火点が40℃以上と比較的高いためその使用に際しての制約が少なく、より安全性が高く、水との分離が容易で、洗浄剤組成物を再利用することが簡単に行うことができる。又、被洗浄物をあまり傷めることなく、汚れを落とすことができるものである。
【0091】
・環式モノテルペンがp−メンタン、p−メンチル、リモネン、γ−テルピネン、ツジャンのうちいずれか又はそれらにアルキル基が付いた誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
このことにより、比較的溶解力が高く、より安全性の高いものである
【0092】
・環式モノテルペンがリモネンであることを特徴とする請求項1又は請求項2のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
このことにより、KB価が50〜70で、タタキ量が13.0〜30.0の範囲に設定することができ、汚れの溶解力が高く、洗濯時間が短く、被洗浄物の傷みが少ないものである。又、最も入手が容易であるものである。更に、皮膚に対する刺激が少ないものである。
【0093】
・ドライクリーニング洗浄剤組成物を加熱により温度を上げることを特徴とする請求項4に記載の洗浄方法。
このことにより、洗浄剤組成物を構成する分子の運動が激しくなり、汚れの成分の溶解性を向上させることができる。
【0094】
・調整剤を環式モノテルペン又はその誘導体を主成分とするドライクリーニング用洗浄剤組成物の全量に対して、0.1〜10.0容量%添加することを特徴とする請求項5に記載の洗浄方法。
このことにより、請求項1に記載したものを請求項2に記載したものと同様又は類似した洗浄剤組成物を容易に得ることができる。
【0095】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物によれば、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少ないドライクリーニング用洗浄剤組成物であり、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いものである。
【0096】
請求項2に記載の発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、油性の汚れと水性の汚れとを同時に洗浄させることができ、その洗浄性が優れ、油性の汚れと一緒にすることができ、それらを一括して処理することができ、使用に際しての制約が少なく、安全なものとなる。
【0097】
請求項3に記載の発明のドライクリーニング用調整剤によれば、油性の汚れのほか、水性の汚れを十分に落すことができるものとなる。
【0098】
請求項4に記載の発明の洗浄方法によれば、十分な洗浄力と洗浄した後の被洗浄物の乾燥性を併せ持ち、更に、洗浄に際しての被洗浄物の傷みが少ないドライクリーニング用洗浄剤組成物であり、その使用に際しての制約が少なく、より安全性が高いものである。
【0099】
請求項5に記載の発明の洗浄方法によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、調整剤が洗浄剤中に均一に混ざり、より効率的に水性の汚れを落すことができるものとなる。
Claims (5)
- 炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とすることを特徴とするドライクリーニング用洗浄剤組成物。
- 炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体を主成分とする洗浄剤組成物の全量に対して0.1〜5.0容量%の水及び/又は0.01〜1.50容量%の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
- 水:界面活性剤:炭素数10〜13の環式モノテルペン及び/又はその誘導体が100:(10〜150):(5〜50)の重量比により混合することを特徴とするドライクリーニング用調整剤。
- 請求項1又は請求項2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物中に被洗浄物を浸し、外力を加え、汚れ成分をその洗浄剤組成物中に溶出させた後、その被洗浄物と洗浄剤組成物を分離し、被洗浄物を乾燥させることを特徴とする洗浄方法。
- 請求項1又は請求項2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物中に、請求項3に記載のドライクリーニング用調整剤を添加することを特徴とする請求項4に記載の洗浄方法。
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JP2007119576A (ja) * | 2005-10-27 | 2007-05-17 | Kikusui Chemical Industries Co Ltd | 洗浄用溶剤、洗浄用溶剤を用いた洗浄方法、洗剤及び酸化防止剤指示薬 |
JP2007154038A (ja) * | 2005-12-05 | 2007-06-21 | Kikusui Chemical Industries Co Ltd | ドライクリーニング用洗浄剤組成物、ドライクリーニング用洗浄液およびそれを用いたドライクリーニング方法 |
JP2008296109A (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-11 | Hitachi Plant Technologies Ltd | 配管洗浄時における洗浄時間算出方法、パラメータ値算出方法、および洗浄設計支援方法 |
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2003
- 2003-03-28 JP JP2003089501A patent/JP2004292713A/ja active Pending
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