JP2004292548A - 透明なスチレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観、透明性と耐衝撃性のバランスに優れた、包装材や容器、あるいはラベル材料に適するシート・フィルム用の透明な樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%の共重合体(a)の20〜80重量%と、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%の線状ブロック共重合体及び/又は放射状枝分かれしてなるブロック共重合体(b)の80〜20重量%と、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%のブロック共重合体(c)の0〜15重量%からなるスチレン系樹脂組成物であって、上記共重合体(a)が、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9センチポイズ(cP)であることを特徴とする透明なスチレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%の共重合体(a)の20〜80重量%と、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%の線状ブロック共重合体及び/又は放射状枝分かれしてなるブロック共重合体(b)の80〜20重量%と、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%のブロック共重合体(c)の0〜15重量%からなるスチレン系樹脂組成物であって、上記共重合体(a)が、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9センチポイズ(cP)であることを特徴とする透明なスチレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート表面の外観と耐衝撃性のバランスに優れた、更には成形性に優れた押出シート、包装容器、キャリアーテープ等に適する透明なスチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性の高い透明なスチレン系樹脂シートを得る方法として、スチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂とのブレンド物が知られているが、未だ透明性と衝撃強度に優れたものが得られていない。例えば、特許文献1においては、放射状スチレン−ブタジエンブロック共重合とスチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂とのブレンド物が提案されており、特にスチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂との屈折率を±0.003以内に近接させることに主眼が置かれている。そのためにはスチレン含有率が少なくとも60重量%(メタクリル酸エステルが40重量%以下)含有することとしているが、該特許文献1の第5欄26行目の概略光屈折率を示す関係式と実施例1によると光屈折率の差を±0.003以内にするとメタクリル酸エステルの含有率が18〜26重量%(スチレン含有量が82〜74重量%)前後となっている。かかるブレンド物からなる樹脂は、確かに射出成形品においては、透明で高衝撃性に優れた成形品が得られるが、しかしシート押出機で薄いシートを作製した場合、シートの表面が曇りガラス模様(以下、梨子状模様と呼ぶ)となり、透明性が低下するという欠点を有する。
【0003】
また、特許文献2においては、これらの欠点を改良する方法として、スチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂を下記のように規定している。すなわち、還元粘度(dl/g)をXとし、メタクリ酸エステル含有率(%)をYとした時の関係式が1.3<0.0515Y+X<1.5を満足する(但し5<Y<18で且つ0.5<X<1.1である)。この方法では確かにシート表面の曇りガラス模様がなくなり、透明性は改良されるが、衝撃強度に起因するメタクリ酸エステル含有率が低くなり、耐衝撃性は十分とは言えない。
【0004】
【特許文献1】
特公昭60−26429号公報
【特許文献2】
特開平6−240098号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シート表面の外観、透明性と耐衝撃性のバランスに優れた、更には成形性に優れた押出シート、包装容器、キャリアーテープ等に適する透明なスチレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とスチレン−共役ジエン系ブロック共重合体とのブレンド組成物において、それぞれの樹脂組成、混合比及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の特定の構造因子と、特定の溶液粘度の範囲に調整することにより、これまで予想し得なかったシート表面の外観と耐衝撃性のバランスに優れた、更には成形性に優れた特性を有する透明なスチレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%の共重合体(a)の20〜80重量%と、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%の線状ブロック共重合体及び/又は放射状枝分かれしてなるブロック共重合体(b)の80〜20重量%、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%のブロック共重合体(c)が0〜15重量%からなるスチレン系樹脂組成物であって、上記共重合体(a)が、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9センチポイズ(cP)で、共重合体(a)と共重合体(b)の屈折率の差が±0.005以下からなることを特徴とする透明なスチレン系樹脂組成物。又組成物中のスチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる低分子量化合物(ガスクロマトグラフィーでスチレン単量体以降からスチレン三量体までのリテンションタイム領域に検出される化合物)の残存量合計が6000ppm以下、組成物中のスチレン系単量体と(メタ)アタクリル酸エステル系単量体の残存量合計が500ppm以下であるスチレン系樹脂組成物、更には組成物に高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩を合計で0.01〜0.5重量部添加してなる、押出シート、包装容器、キャリアーテープ等に好適な透明なスチレン系樹脂組成物に関する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる共重合体(a)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルの単量体を重合してなる共重合体であり、その重合方法は特に制限がなく、公知の塊状重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が採用できる。又、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方式であっても差し支えない。スチレン系単量体とは、具体的にはスチレン、α−アルキル置換スチレン類、例えばα−メチルスチレン、核アルキル置換スチレン類、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等である。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でもスチレンが好ましい。
【0009】
又、(メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等などで、中でもメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。なお(メタ)アクリル酸エステルは、スチレンとの共重合において、ビカット軟化点が90℃以上になるように種類と量を調整する必要がある。
【0010】
本発明に云う共重合体(a)とは、具体的にはスチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸エチル共重合樹脂、α−スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合樹脂等であり、又、共重合体(a)の重合時、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル以外の共重合可能なビニル系単量体、例えばアクリロニトリル等をスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの合計100重量部に対し10重量部以内であれば使用することができる。又、共重合体(a)と屈折率が合致するスチレン−共役ジエン系ゴム等のゴム状弾性体をスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルの合計100重量部に対し20重量部以下含有させて重合しても差し支えない。
【0011】
本発明では、共重合体(a)の重合時、重合開始剤としては2,2’ーアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2ーメチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等の公知のアゾ化合物や、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−プチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の公知の有機過酸化物を用いることが好ましい。使用するアゾ化合物や有機過酸化物が少ない場合やこれらを用いないラジカル熱重合では、得られる樹脂中の二量体、三量体が増加して最終組成物が目的を達成しないことがある。又、公知の分子量調整剤、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1−フェニルー2−フルオレン、ジベンテン、クロロホルムなどのメルカプタン類、テルペン類、ハロゲン化合物、テレピノーレン等のテレピン類を必要に応じて添加してもよい。さらに、ジビニルベンゼン等の公知の架橋剤を添加して重合しても差し支えない。
【0012】
本発明では、必要に応じて重合溶剤として、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等ジアルキルケトン類などを用いてよい。それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の溶剤、例えば脂肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類に混合することができる。これらの溶剤は、単量体に対して、25重量%を超えない範囲で使用するのが好ましい。溶剤が25重量%を超えると、重合速度が著しく低下し、且つ得られる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる。又、溶剤の回収のために、多量のエネルギーを要する。溶剤は、重合が進み、比較的高粘度になってから添加してもよいし、あるいは重合前から添加しておいてもよいが、重合前に5〜20重量%の割合で添加しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
【0013】
本発明では、脱揮工程についても特に制限はない。スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの重合を塊状重合で行なう場合は、最終的に未反応単重体が、好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%以下になるまで重合を進め、かかる単量体などの揮発分を除去するために、公知の方法にて脱揮処理する。この脱揮工程は、重合反応後の反応物から、未反応物及び/又は溶剤を除去するためのものであり、脱揮処理には、例えばフラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮装置を用いることができる。なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度であり、又、脱揮処理の圧力は通常、1〜100torr(トール)程度である、好ましくは1〜50torrであり、さらに好ましくは1〜10torrである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して除去する方法や、揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去することが望ましい。
【0014】
本発明の共重合体(a)は、スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%、好ましくはスチレン系単量体76〜81重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体24〜19重量%、より好ましくはスチレン系単量体77〜80重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体23〜20重量%である。スチレン系単量体が81.9重量%を越えると屈折率を共重合体(b)に合わせた透明な組成物において、耐衝撃性が低下して好ましくない。又、スチレン系単量体が75重量%未満の場合は共重合体(b)との透明な組成物を得ようとすれば、共重合体(b)の共役ジエンの含有量が増加し、耐衝撃性は向上するものの、共重合体(a)との相溶性が悪化し、シート表面に梨子状模様が発生しやすく、透明性が悪くなり好ましくない。更にはシート表面に共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなり好ましくない。
【0015】
本発明の共重合体(a)は、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9cpである。ビカット軟化点は、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上である。ビカット軟化点が90℃以下の場合は共重合体(b)との組成物において、耐熱性が低いものとなり包装容器、キャリアーテープ等の用途で耐熱性に問題が発生する場合があり好ましくない。又、10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4未満の場合は共重合体(b)との組成物において、耐衝撃性が低いものとなり好ましくない。又、9cpを超えると共重合体(b)との相溶性が悪化し、シート表面に梨子状模様が発生しやすく、透明性が悪くなり好ましくない。
本発明の共重合体(a)は、10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9cpの範囲で、重量平均分子量(Mw)が10から20万、好ましくは11〜19万、より好ましくは12〜18万である。分子量が10万未満の場合は耐衝撃性(例えば落垂衝撃強度)が低下し好ましくない。又、分子量が22万を超えると共重合体(b)との組成物において、相溶性が悪化し、透明性が悪くなり好ましくない。重量平均分子量の調整は、重合溶剤の量、重合温度、分子量調整剤の添加等公知の方法が利用できる。
【0016】
本発明の共重合体(a)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3.5、好ましくは1.7〜3.2、より好ましくは1.8〜3である。Mw/Mnが1.5未満の場合はシートの厚みムラが大きくなり好ましくない。又、Mw/Mnが3.5を越えると耐衝撃性が低下し好ましくない。Mw/Mnの調整は、重合溶剤の量、重合温度、分子量調整剤の添加、Mw/Mnの異なる樹脂の混合等公知の手法が利用できる。
本発明の共重合体(a)は、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比Mz/Mwが1.4〜4、好ましくは1.6〜3.6、より好ましくは1.8〜3.2である。Mz/Mwが1.4未満の場合はシートの厚みムラが大きくなり、Mz/Mwが4を越えると耐衝撃性が低下し好ましくない。Mz/Mwの調整は、重合溶剤の量、重合温度、分子量調整剤の添加、Mz/Mwの異なる樹脂の混合、架橋剤の添加等公知の手法が利用できる。
【0017】
本発明で用いる共重合体(b)は、公知の方法により製造できる。例えば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム開始剤を用い、バッチプロセスあるいは連続重合プロセスで、スチレン系単量体および共役ジエン単量体を順次ブロック共重合することにより得られる。又は共重合後、リチウム活性末端をカップリング反応することによりラジアル構造にブロック共重合体化することもできる。具体的製造法としては、例えば特公昭43−14979号公報、特公昭45−19388号公報、特公昭47−43618号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭49−86959号公報にその例が詳細に記載されている。
【0018】
本発明で云う線状ブロック共重合体としては、一般式(A−B)n、A−(B−A)n、A−(B−A)n、B−(A―B)n(ここでAはスチレン系ブロック重合体、Bは共役ジエン系ブロック重合体であり、nは1以上の整数で一般には1〜5の整数である)で表わされるものである。又、放射状枝分かれブロック共重合体としては、一般式(A−B)nY、で表わされるものが最も好ましい。このブロック共重合体において、スチレン系ブロック共重合体Aとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等スチレン系単量体で形成された重合体ブロックである。又、共役ジエン系重合体Bとしては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物で形成された重合体ブロックである。又、原子(単数又は複数)Yは放射状重合体の形成に使用される多官能性処理剤、例えばポリエポキシド類、ポリイソシアネート類、ポリアルデヒド類、ポリケトン類、ポリアミン類、テトラアリル錫や、フッ化第二錫の如き錫化合物等の三官能性以上のカップリング剤から誘導される放射状枝分かれブロック共重合体の中心原子或いは中心原子団であり、nは少なくとも3以上の整数である。
【0019】
スチレン系単量体とは、前述の共重合体(a)に用いたものと同一のグループから選ばれ、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でもスチレンが好ましい。又、共役ジエン単量体とは、共役2重結合を有するオレフィン類で、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等である。これら共役ジエン単量体は、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でも1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
【0020】
重合時に利用できる溶媒は、基本的に有機リチウム開始剤に対して不活性で、単量体および生成重合体を溶解できる炭化水素溶媒であって、重合時に液状を保ち、重合後の脱溶媒工程で脱揮除去が容易な溶媒が挙げられる。例えばC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒、C5〜C9の脂肪族炭化水素およびC6〜C9の芳香族系溶媒が挙げられる。特にC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒が好ましく利用できる。具体的にはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘキセンおよびこれらの混合物等が挙げられる。又、エーテル化合物や第3アミン化合物の混合は、有機リチウムの単量体に対する重合活性を改善できる。重合溶媒の使用量は、好ましくは単量体1kg当たり0.1〜3kgの範囲である。より好ましくは0.5〜2.0kg、特に好ましくは0.67〜1.5kgの範囲である。
【0021】
重合温度は好ましくは0〜130℃の範囲で制御する。より好ましくは10〜120℃、特に好ましくは20〜110℃の範囲で制御する。バッチプロセスの重合温度は、一般に各ブロックの重合が断熱的に昇温しながら重合することになるが、この温度範囲で制御することが好ましい。重合温度が極度に低いと反応速度が低下して実用性がない。又、重合温度が極度に高いと、リビング活性末端が失活して共重合体(b)のブロック構造が不完全となり、得られるスチレン系重合体樹脂の耐衝撃性等の性能が低下して好ましくない。
重合終了後、共重合体(b)は、含有する未反応単量体や重合溶媒を脱揮、除去することにより、重合体が回収される。未反応単量体や重合溶媒の脱揮、除去の方法は、特に限定するものではない。ダブルドラムドライヤー、水に分散させてのスチームストリッピング、ベント付押出機、フラッシュタンク等の既存スチレンの重合体やゴムの製造で公知の方法が利用できる。
【0022】
本発明で用いる共重合体(b)の数平均分子量は、5万〜40万でなければならない。好ましくは6万〜30万、さらに好ましくは7万〜20万の範囲である。分子量が低過ぎると、得られるスチレン系重合体樹脂の耐衝撃性が低下して好ましくない。又、分子量が高過ぎると加工性や、重合体成分の混合分散性が低下して、均一なスチレン系重合体樹脂が得られず好ましくない。
本発明で用いる共重合体(b)は、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%、好ましくはスチレン系単量体76〜66重量%と共役ジエン系単量体24〜34重量%、より好ましくはスチレン系単量体74〜68重量%と共役ジエン系単量体26〜32重量%である。ブロック共重合体のスチレン系単量体が78重量%を超えると共重合体(a)との組成物において耐衝撃性が低いものとなり好ましくない。又、スチレン系単量体が65重量%未満の場合は、共重合体(a)との組成物において、耐衝撃性は向上するものの、シート表面に共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなり好ましくない。
【0023】
本発明で用いる共重合体(c)は、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%、好ましくはスチレン系単量体55〜25重量%と共役ジエン系単量体45〜75重量%、より好ましくはスチレン系単量体50〜30重量%と共役ジエン系単量体50〜70重量%である。スチレン系単量体が60重量%を越えると耐衝撃性等の補強効果が薄れ好ましくない。又、スチレン系単量体が20重量%未満の場合、共重合体(a)と共重合体(b)との相溶性が悪く、分散不良等でシート表面に梨子状模様の発生し、透明性が悪くなる場合があり好ましくない。更にはシート表面に共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなり好ましくない。
【0024】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、共重合体(a)が20〜80重量%、共重合体(b)が80〜20重量%、共重合体(c)が0〜15重量%、好ましくは共重合体(a)が25〜70重量%、共重合体(b)が75〜30重量%、共重合体(c)が0〜13重量%、より好ましくは共重合体(a)が30〜60重量%、共重合体(b)が70〜40重量%、共重合体(c)が0〜11重量%である。共重合体(a)が20重量%未満の場合は硬さ(弾性率)、耐熱性(ビカット軟化温度)が低下して好ましくない。又、共重合体(a)が80重量%を越えると耐衝撃性が著しく低下して好ましくない。又、共重合体(a)と共重合体(b)の屈折率の差を±0.005以下、好ましくは±0.003以下にすることにより透明性の優れたものが得られる。更に共重合体(c)を適度量添加することにより、耐衝撃性、引張伸び率の優れたものを得ることができるが、共重合体(c)を11重量%越えて添加すると透明性が劣ったり、又、成形時に、共重合体(c)由来の共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなる傾向にあり好ましくない。
【0025】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる低分子化合物の残存量合計が6000ppm以下、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは4000ppm以下である。低分子化合物の残存量合計が6000ppmを越えると、低分子化合物が成形時に析出、異物となって金型、Tダイ等に付着し、これらが成形品に付着することにより異物となって外観不良を起こす場合があり好ましくない。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体の残存量合計が500ppm以下、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。単量体の残存量合計が500ppmを越えると、射出成形、シート押出し時や得られた成形品等に臭気が感じられる場合があり好ましくない。
【0026】
本発明における高級脂肪酸とは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等挙げられ、中でもステアリン酸が特に代表的なものである。また、高級脂肪酸の金属塩とは、直鎖飽和モノカルボン酸とリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属との塩類を総称するものである。代表的な高級脂肪酸の金属塩には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸と上記金属の塩があげられ、中でもステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシムなどが特に代表的なものである。本発明に使用される高級脂肪酸と高級脂肪酸の金属塩は、炭素数12〜22を有するものが好ましい。共重合体(a)と共重合体(b)と共重合体(c)の合計100重量部に対して、その添加量は高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の合計で0.01〜0.5重量部、好ましくは高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の合計で0.03〜0.4重量部、より好ましくは高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の合計で0.05〜0.3重量部である。これら高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩を添加量することにより、共重合体(a)と共重合体(b)あるいは共重合体(c)をブレンドして押し出しされたシートの異物が非常に少なくなる。これはスクリュー等へのゴム成分である共重合体(b)の付着を防止するためと思われる。高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の添加量が0.01重量部未満では、異物発生の効果が薄くなる。また添加量が0.5重量部を超えると、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩そのものが析出、シート表面に異物となって付着する場合があり好ましくない。
【0027】
本発明のスチレン系樹脂組成物において、共重合体(a)と共重合体(b)と共重合体(c)は押出機等を用いて溶融混錬することが好ましい。又、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、シリコーンオイル、難燃剤等の添加剤を添加することができ、製造時任意の段階で配合することができる。添加剤を配合する方法については特に規定はないが、例えば、共重合体の重合時に添加して重合する方法や樹脂組成物を得る際、ブレンダーであらかじめ添加剤を混合し、押出機にて溶融混錬する方法等が挙げられる。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、従来公知の任意の成型加工方法、例えば、押出成形、射出成形、中空成形等によって、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、真空成形品等を容易に成形加工ができる。本発明の透明なスチレン系樹脂組成物は、特にシートやフィルムあるいはこれらを加工してなる食品容包装や容器ラベル材料等包装材料等に好適に使用することができる。なかでも包装容器、キャリアーテープ等に特に好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に本発明を実施例及び比較例により、詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例]
実施例及び比較例に使用した共重合体(a)及び共重合体(b)は以下の方法で製造した。
[共重合体(a)の製造(スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体)]
共重合体(a)は、重合装置として攪拌機を備えた完全混合型反応器(容量3.6リットル)と層流型反応器(容量2.7リットル)を2基と、真空ベント付き単軸押出機1基とを直列に接続した装置を用いて製造した。各共重合体は、表1に示す組成になるよう単量体の濃度を調整した。又、単量体とエチルベンゼンの混合比率は86重量部と14重量部とし、以下に述べる量の有機過酸化物(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、分子量調整剤(α−メチルスチレンダイマー)等を添加した。このようにして作成したフィード原料を、完全混合型反応器から連続的に重合装置へ1.1リットル/hrの容量で供給し、層流型反応器でさらに重合を進め、この重合物をさらに真空ベント付き単軸押出機で揮発性成分を除去して、ペレット状の樹脂を得た。各樹脂は、所望の性状のものを得るために、完全混合型反応器の温度を100〜130℃、層流型反応器の温度を130〜160℃の範囲で、又、押出機温度は200〜240℃、真空度を10〜60torrの範囲で調整した。
【0029】
上記フィード原料においては、下記の原料を用いた。表1中の共重合体SC1は有機過酸化物を0.02重量部、分子量調整剤を0.2重量部用いた。SC2は有機過酸化物を0.045重量部、分子量調整剤を0.2重量部用いた。SC3は有機過酸化物を0.045重量部、分子量調整剤を0.5重量部用いた。SC4は有機過酸化物を0.06重量部、分子量調整剤0.2重量部用いた。SC5は有機過酸化物を0.06重量部、分子量調整剤0.4重量部用いた。SC6は有機過酸化物を0.03重量部、分子量調整剤を0.3重量部用いた。SC7は有機過酸化物、分子量調整剤共に使用しなかった。SC8は有機過酸化物を0.03重量部、分子量調整剤を0.2重量部用いた。なお単量体の最終重合率は80〜90%で、最終重合率は全単量体に対する重合した単量体の割合をさす。
【0030】
[共重合体(b)の製造(スチレン−共役ジエン共重合体)]
表2に示す共重合体(b)のSB4は、攪拌器を備えた容量100リットルの反応器に、溶媒としてシクロヘキサン50Kgを仕込み、その後50℃に保ちながら、重合開始剤であるセカンダリーブチルリチウム9.8ミリモル、スチレン単量体3.5kg、次いでブタジエン1.5kgとイソプレン単量体1.5kgの共役ジエン単量体混合液、さらにスチレン単量体3.5kgを順次仕込み、各ブロックを50℃〜80℃の温度範囲で、各1時間、2時間および1時間かけて重合した。得られた重合体溶液はリチウム量の10倍当量のメタノールを添加することによりアニオン活性末端を失活させた。その後、重合体をメタノールにて沈殿分離した後、重合体100g当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、ベント付き脱揮押し出し機を用い、160℃で揮発成分を除去した。このようにして得られた重合体は、A−B−Aタイプのトリブロック構造を有し、共役ジエン結合単位におけるイソプレン結合単位の割合は50重量%であり、重量平均分子量12.3万、数平均分子量11.0万、スチレン含有率78重量%であった。なおSB4以外の共重合体は所望の組成比になるようにスチレンとブタジエンの濃度を調整した。得られた共重合体(a)及び共重合体(b)を表1及び表2に、又その組成物の性状を表3及び表4に示す。
【0031】
なお、本発明では、下記の測定法を用いた。
(1)10重量%メチルエチルケトン溶液粘度(cP)の測定
樹脂をメチルエチルケトン溶液に10重量%の濃度で溶解し、300番のキャノンケ粘度管を用いて、25℃で測定した。
(2)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の単量体単位の測定:
13C−NMRを用いて、それぞれの単量体単位に起するスペクトルピークの面積比より共重合樹脂組成物の組成を算出した。
(3)ビカット軟化温度: ASTM D1525に準拠して測定した。
【0032】
(4)数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量の測定
ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した、なお定量は単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算として分子量を求めた。
測定条件
試料調製:テトラヒドロフランに共重合樹脂組成物約1000ppmを溶解
機器:昭和電工社製 Shodex21 カラム:サンプル:KF−806L2本、 リファレンス:KF−800RL2本、温度:40℃、 キャリア:THF 1ml/min、 検出器:RI、UV:254nm、 検量線:東ソー社製の単分散PS使用、 データ処理:Sic−480
(5)樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル単量体の残存量の測定:ガスクロマトグラフィーで測定した
測定条件
試料調製:共重合樹脂組成物1gをジメチルフォルアミド25mlに溶解、
検出方法:FID、 機器:島津製製作所 GC14B、 カラム:CHROMAPACK CP WAX 52CB、100m、膜厚2μm、0.52mmφ、 カラム温度:110℃−10分→15℃/分→130℃−2分、 注入口温度 :150℃、 検出器温度:150℃、 キャリアガス:ヘリウム
【0033】
(6)樹脂中のスチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの単量体からなる低分子量化合物の測定
ポリスチレン樹脂のスチレンの二量体、三量体の測定と同様に、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を昇温ガスクロマトグラフィーで測定した。スチレン単量体あるいは(メタ)アクリル酸エステルの単量体のリテンションタイム以降から最も遅いリテンションタイムのスチレン三量体までの間に、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルの単量体に起因する二量体、三量体等の低分子量化合物のピークが多数検出された。これらのピークを総称して、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの単量体からなる低分子量化合物と呼ぶ。なお、これら低分子量化合物はGC−MSのフラグメントと、GC−IRの吸収波長からスチレンと(メタ)アクリル酸エステルの単量体に起因する化合物であることを確認した。この低分子量化合物の残存量は、各低分子量化合物の面積を合計し、標準物質として1−フェニル−4−(1’−フェニルエチル)テトラリンを用い、換算して求めた。
測定条件
試料調製:樹脂1gをメチルエチルケトン/メタノール(9/1)20mlに溶解
検出方法:FID、 機器:AGILENT製 6890、 カラム:5%ジフェニルジメチルポリシロキサン 30m 内径0.25mm 膜厚0.25μm、オーブン温度:40℃−1分→20℃/分→320℃、 注入口温度:200℃、 検出器温度:200℃、 キャリアガス:He 80ml/min
【0034】
(7)屈折率の測定:アッペ屈折計を用いて、25℃で測定した。
(8)引張降伏強さ、引張破断伸び、引張弾性率の測定:30mmシート押出機で得られた厚さ0.6mmのシートを押出方向に切り出し、JIS K6872に準拠して測定した。
(9)落錘衝撃強度の測定:30mmシート押出機で得られた厚さ0.6mmのシートで、ミサイルの重錘形状を半径1/2インチを用いた以外は、ASTM D1709に準拠して測定した。
(10)全光線透過率、曇り度の測定:厚さ0.6mmのシートで、JIS K7105に準拠して測定した。
【0035】
(11)成形品の臭気の有無の判定:開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの温湯の臭いを嗅ぎ、臭気有無を判定した。
(12)シートの異物有無の判定:30mmシート押出機を用いて、樹脂を2時間連続押出して、最後の30分間でシート表面の異物の数をカウントした。異物無しを◎、異物5点未満を○、5点以上を×とした。
(13)梨地模様の有無の判定:目視判定で、シート表面に曇りガラス状模様が全くない場合を◎(シートを透かして物を見た場合鮮明)、シート表面に微かに曇りガラス状模様がある場合を○、シート表面に曇りガラス状模様が全面にある場合を×(シートを透かして物を見た場合不鮮明)とした。
【0036】
[実施例1〜10]
得られた樹脂の評価結果を表3及び表4に示すが、外観、透明性と耐衝撃性(落錘衝撃強度)のバランスが優れたものである。
比較例1〜8の評価結果を表4に示す。
[比較例1]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が少な過ぎると耐衝撃性が低いものとなる。
[比較例2]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が同一な実施例2と比較すると、共重合体(a)の溶液粘度が4センチポイズ未満では耐衝撃性が低いものとなる。
[比較例3]
共重合体(b)の混合比率が多過ぎると引張弾性率が非常に低くなる。
【0037】
[比較例4]
共重合体(a)の混合比率が多過ぎると耐衝撃性が低いものとなる。又Tダイに析出した低分子化合物が、シート表面に異物となって発生した。なお析出した異物を分析したところスチレン及び/又は(メタ)アクリル酸エステル由来の低分子化合物であることを同定した。
[比較例5]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が同一な実施例8と比較すると、共重合体(a)の溶液粘度が9センチポイズを超えるとシート表面に梨子状模様が発生し、透明性が悪いものとなる。
[比較例6]
共重合体(c)の混合比率が多過ぎると、共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多く、外観が悪いものとなる。なお共重合体(c)として旭化成(株)製のスチレン−ブタジエンブロック共重合体であるタフプレン126(NMR法で測定したスチレン含量約40重量%)を用いた。
[比較例7]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量及び共重合体(b)の共役ジエン含有量が高すぎると、シート表面に梨子状模様が発生し、透明性が悪いものとなる。又単量体残存量が多過ぎると臭気が感じられる。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】
本発明の透明な樹脂組成物は、透明性と耐衝撃性のバランスに優れたシート・フィルムが得られ、包装容器、蓋材等の各種包装材料や容器のラベル材料として好適に用いることができる。更に、本発明の透明な樹脂組成物は、包装材料以外にも、射出成形、ブロー成形等による製品として好適に用いられ、玩具、雑貨、日用品、電気製品部品や各種工業部品等の用途にも幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート表面の外観と耐衝撃性のバランスに優れた、更には成形性に優れた押出シート、包装容器、キャリアーテープ等に適する透明なスチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性の高い透明なスチレン系樹脂シートを得る方法として、スチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂とのブレンド物が知られているが、未だ透明性と衝撃強度に優れたものが得られていない。例えば、特許文献1においては、放射状スチレン−ブタジエンブロック共重合とスチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂とのブレンド物が提案されており、特にスチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂との屈折率を±0.003以内に近接させることに主眼が置かれている。そのためにはスチレン含有率が少なくとも60重量%(メタクリル酸エステルが40重量%以下)含有することとしているが、該特許文献1の第5欄26行目の概略光屈折率を示す関係式と実施例1によると光屈折率の差を±0.003以内にするとメタクリル酸エステルの含有率が18〜26重量%(スチレン含有量が82〜74重量%)前後となっている。かかるブレンド物からなる樹脂は、確かに射出成形品においては、透明で高衝撃性に優れた成形品が得られるが、しかしシート押出機で薄いシートを作製した場合、シートの表面が曇りガラス模様(以下、梨子状模様と呼ぶ)となり、透明性が低下するという欠点を有する。
【0003】
また、特許文献2においては、これらの欠点を改良する方法として、スチレン−メタクリル酸エステル系共重合樹脂を下記のように規定している。すなわち、還元粘度(dl/g)をXとし、メタクリ酸エステル含有率(%)をYとした時の関係式が1.3<0.0515Y+X<1.5を満足する(但し5<Y<18で且つ0.5<X<1.1である)。この方法では確かにシート表面の曇りガラス模様がなくなり、透明性は改良されるが、衝撃強度に起因するメタクリ酸エステル含有率が低くなり、耐衝撃性は十分とは言えない。
【0004】
【特許文献1】
特公昭60−26429号公報
【特許文献2】
特開平6−240098号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シート表面の外観、透明性と耐衝撃性のバランスに優れた、更には成形性に優れた押出シート、包装容器、キャリアーテープ等に適する透明なスチレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とスチレン−共役ジエン系ブロック共重合体とのブレンド組成物において、それぞれの樹脂組成、混合比及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の特定の構造因子と、特定の溶液粘度の範囲に調整することにより、これまで予想し得なかったシート表面の外観と耐衝撃性のバランスに優れた、更には成形性に優れた特性を有する透明なスチレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%の共重合体(a)の20〜80重量%と、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%の線状ブロック共重合体及び/又は放射状枝分かれしてなるブロック共重合体(b)の80〜20重量%、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%のブロック共重合体(c)が0〜15重量%からなるスチレン系樹脂組成物であって、上記共重合体(a)が、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9センチポイズ(cP)で、共重合体(a)と共重合体(b)の屈折率の差が±0.005以下からなることを特徴とする透明なスチレン系樹脂組成物。又組成物中のスチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる低分子量化合物(ガスクロマトグラフィーでスチレン単量体以降からスチレン三量体までのリテンションタイム領域に検出される化合物)の残存量合計が6000ppm以下、組成物中のスチレン系単量体と(メタ)アタクリル酸エステル系単量体の残存量合計が500ppm以下であるスチレン系樹脂組成物、更には組成物に高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩を合計で0.01〜0.5重量部添加してなる、押出シート、包装容器、キャリアーテープ等に好適な透明なスチレン系樹脂組成物に関する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる共重合体(a)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルの単量体を重合してなる共重合体であり、その重合方法は特に制限がなく、公知の塊状重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が採用できる。又、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方式であっても差し支えない。スチレン系単量体とは、具体的にはスチレン、α−アルキル置換スチレン類、例えばα−メチルスチレン、核アルキル置換スチレン類、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等である。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でもスチレンが好ましい。
【0009】
又、(メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等などで、中でもメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。なお(メタ)アクリル酸エステルは、スチレンとの共重合において、ビカット軟化点が90℃以上になるように種類と量を調整する必要がある。
【0010】
本発明に云う共重合体(a)とは、具体的にはスチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル共重合樹脂、スチレン−メタクリル酸エチル共重合樹脂、α−スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合樹脂等であり、又、共重合体(a)の重合時、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル以外の共重合可能なビニル系単量体、例えばアクリロニトリル等をスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの合計100重量部に対し10重量部以内であれば使用することができる。又、共重合体(a)と屈折率が合致するスチレン−共役ジエン系ゴム等のゴム状弾性体をスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルの合計100重量部に対し20重量部以下含有させて重合しても差し支えない。
【0011】
本発明では、共重合体(a)の重合時、重合開始剤としては2,2’ーアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2ーメチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等の公知のアゾ化合物や、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−プチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の公知の有機過酸化物を用いることが好ましい。使用するアゾ化合物や有機過酸化物が少ない場合やこれらを用いないラジカル熱重合では、得られる樹脂中の二量体、三量体が増加して最終組成物が目的を達成しないことがある。又、公知の分子量調整剤、例えばα−メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1−フェニルー2−フルオレン、ジベンテン、クロロホルムなどのメルカプタン類、テルペン類、ハロゲン化合物、テレピノーレン等のテレピン類を必要に応じて添加してもよい。さらに、ジビニルベンゼン等の公知の架橋剤を添加して重合しても差し支えない。
【0012】
本発明では、必要に応じて重合溶剤として、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等ジアルキルケトン類などを用いてよい。それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の溶剤、例えば脂肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類に混合することができる。これらの溶剤は、単量体に対して、25重量%を超えない範囲で使用するのが好ましい。溶剤が25重量%を超えると、重合速度が著しく低下し、且つ得られる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる。又、溶剤の回収のために、多量のエネルギーを要する。溶剤は、重合が進み、比較的高粘度になってから添加してもよいし、あるいは重合前から添加しておいてもよいが、重合前に5〜20重量%の割合で添加しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
【0013】
本発明では、脱揮工程についても特に制限はない。スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの重合を塊状重合で行なう場合は、最終的に未反応単重体が、好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%以下になるまで重合を進め、かかる単量体などの揮発分を除去するために、公知の方法にて脱揮処理する。この脱揮工程は、重合反応後の反応物から、未反応物及び/又は溶剤を除去するためのものであり、脱揮処理には、例えばフラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮装置を用いることができる。なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度であり、又、脱揮処理の圧力は通常、1〜100torr(トール)程度である、好ましくは1〜50torrであり、さらに好ましくは1〜10torrである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して除去する方法や、揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去することが望ましい。
【0014】
本発明の共重合体(a)は、スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%、好ましくはスチレン系単量体76〜81重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体24〜19重量%、より好ましくはスチレン系単量体77〜80重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体23〜20重量%である。スチレン系単量体が81.9重量%を越えると屈折率を共重合体(b)に合わせた透明な組成物において、耐衝撃性が低下して好ましくない。又、スチレン系単量体が75重量%未満の場合は共重合体(b)との透明な組成物を得ようとすれば、共重合体(b)の共役ジエンの含有量が増加し、耐衝撃性は向上するものの、共重合体(a)との相溶性が悪化し、シート表面に梨子状模様が発生しやすく、透明性が悪くなり好ましくない。更にはシート表面に共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなり好ましくない。
【0015】
本発明の共重合体(a)は、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9cpである。ビカット軟化点は、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上である。ビカット軟化点が90℃以下の場合は共重合体(b)との組成物において、耐熱性が低いものとなり包装容器、キャリアーテープ等の用途で耐熱性に問題が発生する場合があり好ましくない。又、10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4未満の場合は共重合体(b)との組成物において、耐衝撃性が低いものとなり好ましくない。又、9cpを超えると共重合体(b)との相溶性が悪化し、シート表面に梨子状模様が発生しやすく、透明性が悪くなり好ましくない。
本発明の共重合体(a)は、10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9cpの範囲で、重量平均分子量(Mw)が10から20万、好ましくは11〜19万、より好ましくは12〜18万である。分子量が10万未満の場合は耐衝撃性(例えば落垂衝撃強度)が低下し好ましくない。又、分子量が22万を超えると共重合体(b)との組成物において、相溶性が悪化し、透明性が悪くなり好ましくない。重量平均分子量の調整は、重合溶剤の量、重合温度、分子量調整剤の添加等公知の方法が利用できる。
【0016】
本発明の共重合体(a)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3.5、好ましくは1.7〜3.2、より好ましくは1.8〜3である。Mw/Mnが1.5未満の場合はシートの厚みムラが大きくなり好ましくない。又、Mw/Mnが3.5を越えると耐衝撃性が低下し好ましくない。Mw/Mnの調整は、重合溶剤の量、重合温度、分子量調整剤の添加、Mw/Mnの異なる樹脂の混合等公知の手法が利用できる。
本発明の共重合体(a)は、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比Mz/Mwが1.4〜4、好ましくは1.6〜3.6、より好ましくは1.8〜3.2である。Mz/Mwが1.4未満の場合はシートの厚みムラが大きくなり、Mz/Mwが4を越えると耐衝撃性が低下し好ましくない。Mz/Mwの調整は、重合溶剤の量、重合温度、分子量調整剤の添加、Mz/Mwの異なる樹脂の混合、架橋剤の添加等公知の手法が利用できる。
【0017】
本発明で用いる共重合体(b)は、公知の方法により製造できる。例えば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム開始剤を用い、バッチプロセスあるいは連続重合プロセスで、スチレン系単量体および共役ジエン単量体を順次ブロック共重合することにより得られる。又は共重合後、リチウム活性末端をカップリング反応することによりラジアル構造にブロック共重合体化することもできる。具体的製造法としては、例えば特公昭43−14979号公報、特公昭45−19388号公報、特公昭47−43618号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭49−86959号公報にその例が詳細に記載されている。
【0018】
本発明で云う線状ブロック共重合体としては、一般式(A−B)n、A−(B−A)n、A−(B−A)n、B−(A―B)n(ここでAはスチレン系ブロック重合体、Bは共役ジエン系ブロック重合体であり、nは1以上の整数で一般には1〜5の整数である)で表わされるものである。又、放射状枝分かれブロック共重合体としては、一般式(A−B)nY、で表わされるものが最も好ましい。このブロック共重合体において、スチレン系ブロック共重合体Aとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等スチレン系単量体で形成された重合体ブロックである。又、共役ジエン系重合体Bとしては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物で形成された重合体ブロックである。又、原子(単数又は複数)Yは放射状重合体の形成に使用される多官能性処理剤、例えばポリエポキシド類、ポリイソシアネート類、ポリアルデヒド類、ポリケトン類、ポリアミン類、テトラアリル錫や、フッ化第二錫の如き錫化合物等の三官能性以上のカップリング剤から誘導される放射状枝分かれブロック共重合体の中心原子或いは中心原子団であり、nは少なくとも3以上の整数である。
【0019】
スチレン系単量体とは、前述の共重合体(a)に用いたものと同一のグループから選ばれ、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でもスチレンが好ましい。又、共役ジエン単量体とは、共役2重結合を有するオレフィン類で、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等である。これら共役ジエン単量体は、単独で用いてもよいが、2種類以上を併用してもよい。中でも1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
【0020】
重合時に利用できる溶媒は、基本的に有機リチウム開始剤に対して不活性で、単量体および生成重合体を溶解できる炭化水素溶媒であって、重合時に液状を保ち、重合後の脱溶媒工程で脱揮除去が容易な溶媒が挙げられる。例えばC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒、C5〜C9の脂肪族炭化水素およびC6〜C9の芳香族系溶媒が挙げられる。特にC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒が好ましく利用できる。具体的にはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘキセンおよびこれらの混合物等が挙げられる。又、エーテル化合物や第3アミン化合物の混合は、有機リチウムの単量体に対する重合活性を改善できる。重合溶媒の使用量は、好ましくは単量体1kg当たり0.1〜3kgの範囲である。より好ましくは0.5〜2.0kg、特に好ましくは0.67〜1.5kgの範囲である。
【0021】
重合温度は好ましくは0〜130℃の範囲で制御する。より好ましくは10〜120℃、特に好ましくは20〜110℃の範囲で制御する。バッチプロセスの重合温度は、一般に各ブロックの重合が断熱的に昇温しながら重合することになるが、この温度範囲で制御することが好ましい。重合温度が極度に低いと反応速度が低下して実用性がない。又、重合温度が極度に高いと、リビング活性末端が失活して共重合体(b)のブロック構造が不完全となり、得られるスチレン系重合体樹脂の耐衝撃性等の性能が低下して好ましくない。
重合終了後、共重合体(b)は、含有する未反応単量体や重合溶媒を脱揮、除去することにより、重合体が回収される。未反応単量体や重合溶媒の脱揮、除去の方法は、特に限定するものではない。ダブルドラムドライヤー、水に分散させてのスチームストリッピング、ベント付押出機、フラッシュタンク等の既存スチレンの重合体やゴムの製造で公知の方法が利用できる。
【0022】
本発明で用いる共重合体(b)の数平均分子量は、5万〜40万でなければならない。好ましくは6万〜30万、さらに好ましくは7万〜20万の範囲である。分子量が低過ぎると、得られるスチレン系重合体樹脂の耐衝撃性が低下して好ましくない。又、分子量が高過ぎると加工性や、重合体成分の混合分散性が低下して、均一なスチレン系重合体樹脂が得られず好ましくない。
本発明で用いる共重合体(b)は、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%、好ましくはスチレン系単量体76〜66重量%と共役ジエン系単量体24〜34重量%、より好ましくはスチレン系単量体74〜68重量%と共役ジエン系単量体26〜32重量%である。ブロック共重合体のスチレン系単量体が78重量%を超えると共重合体(a)との組成物において耐衝撃性が低いものとなり好ましくない。又、スチレン系単量体が65重量%未満の場合は、共重合体(a)との組成物において、耐衝撃性は向上するものの、シート表面に共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなり好ましくない。
【0023】
本発明で用いる共重合体(c)は、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%、好ましくはスチレン系単量体55〜25重量%と共役ジエン系単量体45〜75重量%、より好ましくはスチレン系単量体50〜30重量%と共役ジエン系単量体50〜70重量%である。スチレン系単量体が60重量%を越えると耐衝撃性等の補強効果が薄れ好ましくない。又、スチレン系単量体が20重量%未満の場合、共重合体(a)と共重合体(b)との相溶性が悪く、分散不良等でシート表面に梨子状模様の発生し、透明性が悪くなる場合があり好ましくない。更にはシート表面に共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなり好ましくない。
【0024】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、共重合体(a)が20〜80重量%、共重合体(b)が80〜20重量%、共重合体(c)が0〜15重量%、好ましくは共重合体(a)が25〜70重量%、共重合体(b)が75〜30重量%、共重合体(c)が0〜13重量%、より好ましくは共重合体(a)が30〜60重量%、共重合体(b)が70〜40重量%、共重合体(c)が0〜11重量%である。共重合体(a)が20重量%未満の場合は硬さ(弾性率)、耐熱性(ビカット軟化温度)が低下して好ましくない。又、共重合体(a)が80重量%を越えると耐衝撃性が著しく低下して好ましくない。又、共重合体(a)と共重合体(b)の屈折率の差を±0.005以下、好ましくは±0.003以下にすることにより透明性の優れたものが得られる。更に共重合体(c)を適度量添加することにより、耐衝撃性、引張伸び率の優れたものを得ることができるが、共重合体(c)を11重量%越えて添加すると透明性が劣ったり、又、成形時に、共重合体(c)由来の共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多くなる傾向にあり好ましくない。
【0025】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる低分子化合物の残存量合計が6000ppm以下、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは4000ppm以下である。低分子化合物の残存量合計が6000ppmを越えると、低分子化合物が成形時に析出、異物となって金型、Tダイ等に付着し、これらが成形品に付着することにより異物となって外観不良を起こす場合があり好ましくない。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体の残存量合計が500ppm以下、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。単量体の残存量合計が500ppmを越えると、射出成形、シート押出し時や得られた成形品等に臭気が感じられる場合があり好ましくない。
【0026】
本発明における高級脂肪酸とは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等挙げられ、中でもステアリン酸が特に代表的なものである。また、高級脂肪酸の金属塩とは、直鎖飽和モノカルボン酸とリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属との塩類を総称するものである。代表的な高級脂肪酸の金属塩には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸と上記金属の塩があげられ、中でもステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシムなどが特に代表的なものである。本発明に使用される高級脂肪酸と高級脂肪酸の金属塩は、炭素数12〜22を有するものが好ましい。共重合体(a)と共重合体(b)と共重合体(c)の合計100重量部に対して、その添加量は高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の合計で0.01〜0.5重量部、好ましくは高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の合計で0.03〜0.4重量部、より好ましくは高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の合計で0.05〜0.3重量部である。これら高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩を添加量することにより、共重合体(a)と共重合体(b)あるいは共重合体(c)をブレンドして押し出しされたシートの異物が非常に少なくなる。これはスクリュー等へのゴム成分である共重合体(b)の付着を防止するためと思われる。高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩の添加量が0.01重量部未満では、異物発生の効果が薄くなる。また添加量が0.5重量部を超えると、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩そのものが析出、シート表面に異物となって付着する場合があり好ましくない。
【0027】
本発明のスチレン系樹脂組成物において、共重合体(a)と共重合体(b)と共重合体(c)は押出機等を用いて溶融混錬することが好ましい。又、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、シリコーンオイル、難燃剤等の添加剤を添加することができ、製造時任意の段階で配合することができる。添加剤を配合する方法については特に規定はないが、例えば、共重合体の重合時に添加して重合する方法や樹脂組成物を得る際、ブレンダーであらかじめ添加剤を混合し、押出機にて溶融混錬する方法等が挙げられる。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、従来公知の任意の成型加工方法、例えば、押出成形、射出成形、中空成形等によって、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、真空成形品等を容易に成形加工ができる。本発明の透明なスチレン系樹脂組成物は、特にシートやフィルムあるいはこれらを加工してなる食品容包装や容器ラベル材料等包装材料等に好適に使用することができる。なかでも包装容器、キャリアーテープ等に特に好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に本発明を実施例及び比較例により、詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例]
実施例及び比較例に使用した共重合体(a)及び共重合体(b)は以下の方法で製造した。
[共重合体(a)の製造(スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体)]
共重合体(a)は、重合装置として攪拌機を備えた完全混合型反応器(容量3.6リットル)と層流型反応器(容量2.7リットル)を2基と、真空ベント付き単軸押出機1基とを直列に接続した装置を用いて製造した。各共重合体は、表1に示す組成になるよう単量体の濃度を調整した。又、単量体とエチルベンゼンの混合比率は86重量部と14重量部とし、以下に述べる量の有機過酸化物(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン)、分子量調整剤(α−メチルスチレンダイマー)等を添加した。このようにして作成したフィード原料を、完全混合型反応器から連続的に重合装置へ1.1リットル/hrの容量で供給し、層流型反応器でさらに重合を進め、この重合物をさらに真空ベント付き単軸押出機で揮発性成分を除去して、ペレット状の樹脂を得た。各樹脂は、所望の性状のものを得るために、完全混合型反応器の温度を100〜130℃、層流型反応器の温度を130〜160℃の範囲で、又、押出機温度は200〜240℃、真空度を10〜60torrの範囲で調整した。
【0029】
上記フィード原料においては、下記の原料を用いた。表1中の共重合体SC1は有機過酸化物を0.02重量部、分子量調整剤を0.2重量部用いた。SC2は有機過酸化物を0.045重量部、分子量調整剤を0.2重量部用いた。SC3は有機過酸化物を0.045重量部、分子量調整剤を0.5重量部用いた。SC4は有機過酸化物を0.06重量部、分子量調整剤0.2重量部用いた。SC5は有機過酸化物を0.06重量部、分子量調整剤0.4重量部用いた。SC6は有機過酸化物を0.03重量部、分子量調整剤を0.3重量部用いた。SC7は有機過酸化物、分子量調整剤共に使用しなかった。SC8は有機過酸化物を0.03重量部、分子量調整剤を0.2重量部用いた。なお単量体の最終重合率は80〜90%で、最終重合率は全単量体に対する重合した単量体の割合をさす。
【0030】
[共重合体(b)の製造(スチレン−共役ジエン共重合体)]
表2に示す共重合体(b)のSB4は、攪拌器を備えた容量100リットルの反応器に、溶媒としてシクロヘキサン50Kgを仕込み、その後50℃に保ちながら、重合開始剤であるセカンダリーブチルリチウム9.8ミリモル、スチレン単量体3.5kg、次いでブタジエン1.5kgとイソプレン単量体1.5kgの共役ジエン単量体混合液、さらにスチレン単量体3.5kgを順次仕込み、各ブロックを50℃〜80℃の温度範囲で、各1時間、2時間および1時間かけて重合した。得られた重合体溶液はリチウム量の10倍当量のメタノールを添加することによりアニオン活性末端を失活させた。その後、重合体をメタノールにて沈殿分離した後、重合体100g当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、ベント付き脱揮押し出し機を用い、160℃で揮発成分を除去した。このようにして得られた重合体は、A−B−Aタイプのトリブロック構造を有し、共役ジエン結合単位におけるイソプレン結合単位の割合は50重量%であり、重量平均分子量12.3万、数平均分子量11.0万、スチレン含有率78重量%であった。なおSB4以外の共重合体は所望の組成比になるようにスチレンとブタジエンの濃度を調整した。得られた共重合体(a)及び共重合体(b)を表1及び表2に、又その組成物の性状を表3及び表4に示す。
【0031】
なお、本発明では、下記の測定法を用いた。
(1)10重量%メチルエチルケトン溶液粘度(cP)の測定
樹脂をメチルエチルケトン溶液に10重量%の濃度で溶解し、300番のキャノンケ粘度管を用いて、25℃で測定した。
(2)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の単量体単位の測定:
13C−NMRを用いて、それぞれの単量体単位に起するスペクトルピークの面積比より共重合樹脂組成物の組成を算出した。
(3)ビカット軟化温度: ASTM D1525に準拠して測定した。
【0032】
(4)数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量の測定
ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した、なお定量は単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算として分子量を求めた。
測定条件
試料調製:テトラヒドロフランに共重合樹脂組成物約1000ppmを溶解
機器:昭和電工社製 Shodex21 カラム:サンプル:KF−806L2本、 リファレンス:KF−800RL2本、温度:40℃、 キャリア:THF 1ml/min、 検出器:RI、UV:254nm、 検量線:東ソー社製の単分散PS使用、 データ処理:Sic−480
(5)樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル単量体の残存量の測定:ガスクロマトグラフィーで測定した
測定条件
試料調製:共重合樹脂組成物1gをジメチルフォルアミド25mlに溶解、
検出方法:FID、 機器:島津製製作所 GC14B、 カラム:CHROMAPACK CP WAX 52CB、100m、膜厚2μm、0.52mmφ、 カラム温度:110℃−10分→15℃/分→130℃−2分、 注入口温度 :150℃、 検出器温度:150℃、 キャリアガス:ヘリウム
【0033】
(6)樹脂中のスチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの単量体からなる低分子量化合物の測定
ポリスチレン樹脂のスチレンの二量体、三量体の測定と同様に、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を昇温ガスクロマトグラフィーで測定した。スチレン単量体あるいは(メタ)アクリル酸エステルの単量体のリテンションタイム以降から最も遅いリテンションタイムのスチレン三量体までの間に、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルの単量体に起因する二量体、三量体等の低分子量化合物のピークが多数検出された。これらのピークを総称して、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの単量体からなる低分子量化合物と呼ぶ。なお、これら低分子量化合物はGC−MSのフラグメントと、GC−IRの吸収波長からスチレンと(メタ)アクリル酸エステルの単量体に起因する化合物であることを確認した。この低分子量化合物の残存量は、各低分子量化合物の面積を合計し、標準物質として1−フェニル−4−(1’−フェニルエチル)テトラリンを用い、換算して求めた。
測定条件
試料調製:樹脂1gをメチルエチルケトン/メタノール(9/1)20mlに溶解
検出方法:FID、 機器:AGILENT製 6890、 カラム:5%ジフェニルジメチルポリシロキサン 30m 内径0.25mm 膜厚0.25μm、オーブン温度:40℃−1分→20℃/分→320℃、 注入口温度:200℃、 検出器温度:200℃、 キャリアガス:He 80ml/min
【0034】
(7)屈折率の測定:アッペ屈折計を用いて、25℃で測定した。
(8)引張降伏強さ、引張破断伸び、引張弾性率の測定:30mmシート押出機で得られた厚さ0.6mmのシートを押出方向に切り出し、JIS K6872に準拠して測定した。
(9)落錘衝撃強度の測定:30mmシート押出機で得られた厚さ0.6mmのシートで、ミサイルの重錘形状を半径1/2インチを用いた以外は、ASTM D1709に準拠して測定した。
(10)全光線透過率、曇り度の測定:厚さ0.6mmのシートで、JIS K7105に準拠して測定した。
【0035】
(11)成形品の臭気の有無の判定:開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの温湯の臭いを嗅ぎ、臭気有無を判定した。
(12)シートの異物有無の判定:30mmシート押出機を用いて、樹脂を2時間連続押出して、最後の30分間でシート表面の異物の数をカウントした。異物無しを◎、異物5点未満を○、5点以上を×とした。
(13)梨地模様の有無の判定:目視判定で、シート表面に曇りガラス状模様が全くない場合を◎(シートを透かして物を見た場合鮮明)、シート表面に微かに曇りガラス状模様がある場合を○、シート表面に曇りガラス状模様が全面にある場合を×(シートを透かして物を見た場合不鮮明)とした。
【0036】
[実施例1〜10]
得られた樹脂の評価結果を表3及び表4に示すが、外観、透明性と耐衝撃性(落錘衝撃強度)のバランスが優れたものである。
比較例1〜8の評価結果を表4に示す。
[比較例1]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が少な過ぎると耐衝撃性が低いものとなる。
[比較例2]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が同一な実施例2と比較すると、共重合体(a)の溶液粘度が4センチポイズ未満では耐衝撃性が低いものとなる。
[比較例3]
共重合体(b)の混合比率が多過ぎると引張弾性率が非常に低くなる。
【0037】
[比較例4]
共重合体(a)の混合比率が多過ぎると耐衝撃性が低いものとなる。又Tダイに析出した低分子化合物が、シート表面に異物となって発生した。なお析出した異物を分析したところスチレン及び/又は(メタ)アクリル酸エステル由来の低分子化合物であることを同定した。
[比較例5]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量が同一な実施例8と比較すると、共重合体(a)の溶液粘度が9センチポイズを超えるとシート表面に梨子状模様が発生し、透明性が悪いものとなる。
[比較例6]
共重合体(c)の混合比率が多過ぎると、共役ジエンの架橋に起因すると思われる異物の発生が多く、外観が悪いものとなる。なお共重合体(c)として旭化成(株)製のスチレン−ブタジエンブロック共重合体であるタフプレン126(NMR法で測定したスチレン含量約40重量%)を用いた。
[比較例7]
共重合体(a)の(メタ)アクリル酸エステル含有量及び共重合体(b)の共役ジエン含有量が高すぎると、シート表面に梨子状模様が発生し、透明性が悪いものとなる。又単量体残存量が多過ぎると臭気が感じられる。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】
本発明の透明な樹脂組成物は、透明性と耐衝撃性のバランスに優れたシート・フィルムが得られ、包装容器、蓋材等の各種包装材料や容器のラベル材料として好適に用いることができる。更に、本発明の透明な樹脂組成物は、包装材料以外にも、射出成形、ブロー成形等による製品として好適に用いられ、玩具、雑貨、日用品、電気製品部品や各種工業部品等の用途にも幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
Claims (11)
- スチレン系単量体75〜81.9重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体25〜18.1重量%の共重合体(a)の20〜80重量%と、スチレン系単量体78〜65重量%と共役ジエン系単量体22〜35重量%の線状ブロック共重合体及び/又は放射状枝分かれしてなるブロック共重合体(b)の80〜20重量%と、スチレン系単量体60〜20重量%と共役ジエン系単量体40〜80重量%のブロック共重合体(c)の0〜15重量%からなるスチレン系樹脂組成物であって、上記共重合体(a)が、ビカット軟化点が90℃以上で、且つ10重量%メチルエチルケトン溶液粘度が4〜9センチポイズ(cP)であることを特徴とする透明なスチレン系樹脂組成物。
- 共重合体(a)と共重合体(b)の屈折率の差が±0.005以下からなることを特徴とする請求項1に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる低分子量化合物(ガスクロマトグラフィーでスチレン単量体以降からスチレン三量体までのリテンションタイム領域に検出される化合物)の残存量合計が6000ppm以下からなる請求項1又は2に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- スチレン系単量体と(メタ)アタクリル酸エステル系単量体の残存量合計が500ppm以下からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- 共重合体(a)のスチレン系単量体がスチレン、メタクリル酸エステル系単量体がメタクリル酸メチル、アクリル酸エステル系単量体がアクリル酸−nブチルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- 共重合体(b)のスチレン系単量体がスチレン、共役ジエン系単量体がブタジエン及び/又はイソプレンからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- 共重合体(a)と(b)と(c)の合計100重量部に対して、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸金属塩を合計で0.01〜0.5重量部を添加してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- 高級脂肪酸がステアリン酸及び高級脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛からなる請求項7に記載の透明なスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明なスチレン系樹脂組成物からなる押出シート
- 請求項9に記載の押出シートからなるブリスターパック容器。
- 請求項9に記載の押出シートからなるキャリアーテープ。
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-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084810A patent/JP2004292548A/ja active Pending
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