JP2004292216A - 炭素繊維の製造方法およびそれを用いた電子放出素子、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】配向特性に優れた炭素繊維の製造工程を低温化する。
【解決手段】基体1上に炭素繊維5を成長させる成長工程を含む炭素繊維の製造方法において、前記成長工程が酸化コバルトを含む配向物質4を炭素含有ガスに晒す工程を含む。基体1上にコバルトを含む配向物質6を配置する配置工程と、酸化コバルトを含む配向物質4を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質6を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質4を炭素含有ガスに晒して炭素繊維5を成長させる成長工程と、を含む。また、他の炭素繊維の製造方法においては、基体1上にコバルトを含む配向物質6を配置する配置工程と、Co3O4からなる酸化コバルトを含む配向物質4を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質6を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質4を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】基体1上に炭素繊維5を成長させる成長工程を含む炭素繊維の製造方法において、前記成長工程が酸化コバルトを含む配向物質4を炭素含有ガスに晒す工程を含む。基体1上にコバルトを含む配向物質6を配置する配置工程と、酸化コバルトを含む配向物質4を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質6を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質4を炭素含有ガスに晒して炭素繊維5を成長させる成長工程と、を含む。また、他の炭素繊維の製造方法においては、基体1上にコバルトを含む配向物質6を配置する配置工程と、Co3O4からなる酸化コバルトを含む配向物質4を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質6を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質4を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、を含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイなどの画像形成装置や、電子線リソグラフィーなどに利用される電子放出素子や、微細化されたトランジスタに用いられる炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は高いアスペクト比を有する形状と、化学的に優れた耐久性をもつために、これを、低電圧で低真空駆動が可能で、かつ長寿命の電子放出体として利用することが期待されている。
【0003】
炭素繊維の集合を、高温下において触媒を用いて炭化水素ガスを分解して形成する、炭素繊維の熱化学気相成長法(以下CVD法と呼ぶ)は、製法が簡便で低コストであり、製造装置が複雑でない点で、アーク放電法や、プラズマCVD法などに比べて優れている。
【0004】
一方、前記炭素繊維の集合を、電子放出素子の電子放出体として用いる場合には、該炭素繊維の配向を制御することが求められる。しかしながら、上記CVD法で作製した炭素繊維は、多くの場合、炭素繊維の配向が充分になされず、触媒の配置領域から、不確定な方向へ炭素繊維が成長する。そのため、例えば炭素繊維近傍にゲート電極を配置する場合、不確定方向に成長した炭素繊維がゲート電極と接触することによって、電子放出体としての炭素繊維からゲート電極への電流のリークが発生し、アノード電極への電子放出がなされず、電子放出素子としての機能を失う。
【0005】
例えば、非特許文献1においては、炭素繊維の触媒として鉄を用い、シリコン基板上における鉄の堆積膜厚を制御する方法によって、CVD法で作製した炭素繊維を、成長させる方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献1においては、多孔質シリコン上において、鉄を堆積させたのち、該鉄を酸化させる方法によって、CVD法で作製した炭素繊維を、成長させる方法が記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
APPLIED PHYSICS LETTERS VOL.78 No.20 p.3130 (2001)
【特許文献1】
特表2002−530805
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1においては、CVD法において、鉄を堆積させたシリコン基板を配置した反応容器の温度を、800℃といった高温に保たなければならない。また、上記特許文献1においては、鉄を堆積させた多孔質シリコン基板に対して酸化処理を行ったのち、CVD法において、試料を配置した反応容器の温度を、700℃といった高温に保たなければならない。
【0009】
例えば、基板としてその歪み点が約570℃のガラス基板を用いる場合、それ以上の高温下に晒すことができないため、上述した方法は不適当である。また、炭素繊維の大量生産を考える場合、製造工程における低温化は、製造コストの削減のため、或いは、製造過程での高い安全性を保持するためにも望まれることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、従来より低温で配向特性に優れた炭素繊維を製造することができる炭素繊維の製造方法、およびそれを用いた電子放出素子、画像形成装置を提供することにある。
【0011】
本発明の骨子は、基体上に炭素繊維を成長させる成長工程を含む炭素繊維の製造方法において、前記成長工程が酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒す工程を含むことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記基体上にコバルトを含む配向物質を配置し、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する工程を含むことが望ましい。
【0013】
また、前記酸化コバルトの針状粒子が分散した液体を前記基体上に塗布する工程を含むことが望ましい。
【0014】
更には、前記酸化コバルトの針状粒子を基板に吹き付ける工程を含むことが望ましい。
【0015】
本発明の別の骨子は、炭素繊維の製造方法において、基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程と、酸化コバルトを含む配向物質を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の骨子は、炭素繊維の製造方法において、基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程と、Co3O4からなる酸化コバルトを含む配向物質を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
上述した本発明においては、前記酸化コバルトは針状粒子であることが望ましい。
【0018】
また、熱処理工程は、熱処理容器内の温度を300℃以上とした状態を2時間以上継続することが望ましい。
【0019】
そして、前記基体上にチタンを含む下地層を形成した後、その上に、前記コバルトを含む配向物質を配置することが望ましい。
【0020】
更に、前記酸化コバルトはCo3O4からなることが望ましい。
【0021】
また、前記酸化コバルトは針状粒子であり、その直径に対する長さの比が3以上であることが望ましい。
【0022】
本発明の電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子は、上述した炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維を前記電子放出体として有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の、電子放出体を有する陰極の複数と、ゲート電極と、陽極と、発光体と、を備えた画像形成装置は、上述した炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維を前記電子放出体として有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、配向特性に優れた炭素繊維の製造工程を低温化することができる。
【0025】
また、本発明の骨子は、電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子において、前記電子放出体はグラファイト壁に内包されたコバルトを含む炭素繊維を有することを特徴とする電子放出素子である。このような新規な素子により、電子放出特性に優れた素子を提供できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(実施形態1)
以下の説明では炭素繊維を用いた電子放出素子を例に挙げて説明するが、本発明は電子放出素子に限定されるものではなく、広く炭素繊維の製造方法に適用できる。
【0028】
まず、図1の工程(A)に示すように、基体としてガラスなどの陰極基板1上に、金属などの陰極電極2とゲート電極13とを形成する。
【0029】
本発明に用いられる基体としては、セラミックス、溶融石英、ガラス、シリコンなどの絶縁性又は半導体の基板が好ましく用いられる。具体的には、高歪点ガラス、Na等の不純物含有量を減少させKなどに一部置換したガラス、青板ガラス、シリコンウエハ、アルミナなどであり、それらの材料自体をそのまま基体として用いてもよいし、必要に応じて、基体の表面にスパッタ法等によりSiO2のような絶縁膜を形成した基体であってもよい。
【0030】
本発明に用いられる陰極電極又はゲート電極の材料は、例えば、炭素、金属、金属の窒化物、金属の炭化物、金属のホウ化物、半導体、半導体の金属化合物から適宜選択される。これらは、蒸着法、スパッタ法等の一般的な真空成膜技術とフォトリソグラフィー技術により形成される。陰極電極とゲート電極の厚さは、10nm〜100μmの範囲から適宜選択される厚さである。
【0031】
また、必要に応じて、陰極電極と基体の密着性を高めるために、それらの間に、密着層を配置するとよい。たとえば、基板として高歪点ガラスのPD200、陰極電極及びゲート電極としてプラチナを用いる場合には、密着層としてクロム、チタン、タンタルなどを形成することが望ましい。
【0032】
次に、図1の工程(B)に示すように、陰極電極2上にチタンなどの金属からなる下地層3を形成し、その上に配向物質として、コバルトなどの金属触媒6を形成する。具体的には、下地層3となる膜と金属触媒6となる膜をスパッタリングなどにより積層した後、フォトフォトリソグラフィー技術により図示した形状になるよう、膜がエッチング除去される。
【0033】
本発明に用いられる下地層としては、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ジルコニウム、ニオブなどを用いることができる。特に、電子放出素子として炭素繊維を用いる場合には、電気的接触の観点から、それらのような金属又は金属化合物からなる導電体を用いることが好ましいものである。
【0034】
基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程において、本発明に用いられる配向物質としての金属触媒には、コバルトを用いることが好ましい。ここでいう配向物質としては、炭素繊維の成長時にそれを配向させる機能があればよく、この時点では、そのような機能があっても、無くてもよい。例えば、コバルトは単体でも酸化コバルトのような化合物でも炭素繊維成長の触媒及び配向物質となり得る材料である。
【0035】
金属触媒の厚さとしては、特に限定されるものではないが、6nm以上15nm以下から選択することが好ましい。この範囲より薄いと炭素繊維の成長方向が揃い難くなる。逆に、この範囲より厚いと炭素繊維の先端が金属触媒で被覆されやすいので、これを除去する必要が生じる。また、金属触媒は均一な連続膜である必要はなく、欠陥や亀裂を含んでいてもよい。
【0036】
そして、図1の工程(C)に示すように、金属触媒6を酸化させることにより、金属触媒6をその酸化物を含む配向物質(酸化金属触媒)4に変える熱処理工程を施す。
【0037】
本発明に用いられる配向物質としては、酸化コバルトが好ましく用いられ、特に酸化コバルトの多くがCo3O4を含むことがより好ましいものである。具体的には、Co3O4のみ、あるいはCo3O4を主成分として、他の組成比からなるCoxOyを含むものであってもよい。また、配向物質の全てが酸化コバルトである必要はなく、Co単体を含んでいてもよい。
【0038】
とりわけ、炭素繊維の垂直配向性をより一層増大させるためには、コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程が重要であり、熱処理温度、すなわち基体を配した処理容器内の温度を300℃以上とし、熱処理時間を2時間以上とすることが、より好ましいものである。熱処理温度の上限としては特に限定はないが、下地層の酸化による高抵抗化を防止する必要がある場合には、600℃以下とすることが好ましいものである。
【0039】
図2は、工程(c)を経た後の配向物質の断面構造を示しており、配向物質4は、酸化金属触媒の針状粒子121を含んでいる。この酸化金属触媒の針状粒子の大部分(80%以上)は、直径が10nm以下であり、長さが30nm以上であり、つまり、直径に対する長さの比が3以上の針状粒子である。そして、この針状粒子は、角度をもって立っており、その組成は、コバルトと酸素によって構成されることが、元素分析によって判明している。コバルトの膜は連続膜であっても不連続膜であってもよい。
【0040】
また、必要に応じて、酸化性雰囲気中で熱処理の後に、還元処理を行うこともできる。還元処理としては、水素或いは水素と不活性ガスの混合ガスなどの還元性雰囲気中で熱処理を行うものであり、好ましい熱処理温度としては、400℃〜600℃であり、好ましい熱処理時間としては、5分〜2時間である。この処理により酸化コバルトの少なくとも一部が還元される。
【0041】
そして、図1の工程(D)に示す成長工程では、酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる。具体的には、酸化コバルトからなる酸化金属触媒4を炭素含有ガスに晒すことで、基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合体を形成する。
【0042】
本発明に用いられる炭酸含有ガスとしては、エチレン、アセチレン、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素などの、炭化水素ガス或いは炭酸ガスから選択される少なくとも1種のガスが挙げられる。これらは、単独ないし組み合わせて用いられても良いし、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈されたものであってもよい。
【0043】
炭素繊維の成長は550℃以上で可能であり、基板材料に制限がなければ、上限は特に限定されることはない。好ましくは550℃以上690℃以下、より好ましくは550℃以上570℃以下が好ましいものである。
【0044】
こうして得られた炭素繊維は図1や図3に示すように個々の繊維体が垂直配向したカーボンナノチューブからなる。
【0045】
カーボンナノチューブは、触媒粒子131を内包するグラファイトの壁132から構成されている。詳しくは、触媒粒子131が、筒状、あるいは、カップ状のグラファイト壁132に覆われて、炭素繊維の上端、炭素繊維の中間、炭素繊維の下端のいずれか、あるいは、その全ての場所に存在している。炭素繊維を構成している該グラファイト壁の枚数は、1枚又は複数枚である。触媒粒子131は、コバルト又は酸化コバルトである。
【0046】
次に、こうして得られた炭素繊維を備えた電子放出素子の構造と動作について説明する。
【0047】
図4は、陰極上に作製された炭素繊維5を電子放出体として、陽極に対向させることによって形成させた、ゲート電極を具備する電子放出素子の一例を示す図である。
【0048】
図4において、10は陽極電極、11は陽極基板、12は真空容器、144は陽極電極と陰極電極の間に陽極電圧を印加する陽極電圧源、145はゲート電極と陰極電極の間にゲート電圧を印加するゲート電圧源、14は真空排気装置である。
【0049】
図4において不図示であるが、真空排気装置を取り外す場合において、容器内の残留ガス、あるいは、電子放出に伴う、脱ガスを吸着し、真空容器内の真空度を維持、あるいは向上させるための、ガス吸着剤を用いることもある。
【0050】
また、図4において、不図示であるが、陽極と陰極の間隔を維持、固定するためのスペーサが、陽極基板と陰極基板の間に配置されている。
【0051】
図4に図示のゲート電極を備えた、電子放出素子の駆動においては、陽極電圧源144により、陽極電圧Vaを印加し、その値を固定した状態で、ゲート電圧源145によりゲート電圧Vfを印加する。このとき、ゲート電圧Vfによって、電子放出体である炭素繊維からの電子放出量が制御される。電子放出体から放出された電子の集合は、陽極電極に到達する電子と、ゲート電極に到達する電子からなる。該陽極電極に到達する電子によって、構成される電流は、陽極電流Ieであり、該ゲート電極に到達する電子によって、構成される電流は、ゲート電流Ifである。ゲート電流Ifと陽極電流Ieの和、すなわち、該電子放出体である炭素繊維からの電子放出量の総量に対する陽極電流Ieの比Ie/(If+Ie)を、効率、と呼ぶ。該効率を高めることは、該電子放出体である炭素繊維に対して電圧源から供給される総電流に対する、陽極電極に到達しうる電流の、比を高めることである。陽極電極に発光体としての蛍光体を備え、該電子放出素子を画像形成装置として用いる場合には、陽極電流の大きさが、発光強度に貢献するので、効率を高めることは明るく高コントラストの画像を形成するうえで重要である。図4に示される素子構成において、ゲート電極と陰極電極の距離、ゲート電極と陽極電極の距離などの、素子の各部分のサイズを適当に選択することによっても、該効率Ie/(If+Ie)を高めることができる。また、電子放出体における電子放出位置、あるいは、電子放出方向にも、該効率Ie/(If+Ie)は依存する。
【0052】
図5は、図4に示すゲート電極を備えた電子放出素子において、ゲート電圧Vfと陽極電流Ieの関係における、電子放出特性を示す図である。
【0053】
図5の(A)はVfとLog(Ie)の関係を示す図であり、図5の(B)は、1/VfとLog(Ie/Vf2)の関係を示す図、すなわちFNプロットである。
【0054】
図5においては、異なる2つの陽極電圧Va=Va1、Va=Va2、における駆動でのVfとIeの関係を示している。すなわち、図中の曲線1は、Va=Va1における関係であり、図中の曲線2は、Va=Va2における関係である。ここで、Va1>Va2である。
【0055】
図5の(B)に示すように、ゲート電圧Vfと陽極電流IeによるFNプロットは、該2つの陽極電圧Va=Va1、Va=Va2における駆動において、いずれも略直線の関係を示しており、したがって、ゲート電圧Vfの印加による、電子放出体の陽極電極への電子放出が、該いずれの陽極電圧においても、生じていることが示される。
【0056】
また、図5の(A)では、曲線1は曲線2に対して、同一駆動電圧Vfに対する陽極電流Ieが大きい。また、図5の(B)で示されるFNプロットからは、曲線1は曲線2に対して、傾きの絶対値が小さく、切片が大きい。このことは、同一のゲート電圧Vfを用いた場合、曲線1を呈する駆動条件では、曲線2を呈する駆動条件に対して、電子放出体にかかる局所電界が大きく、電子放出に寄与する面積が大きくなっていることを示している。
【0057】
図6、図7は、電子放出素子を、陰極基板上にマトリックス状に配列することによって形成したマルチ電子源を示している。
【0058】
図6は、該マルチ電子源を上方から見た図であり、図7は、図6の一点斜線A−A’における断面図である。
【0059】
図6において、5は電子放出体としての炭素繊維の集合であり、2は陰極電極であり、13はゲート電極であり、164は行方向配線であり、165は絶縁層であり、166は列方向配線であり、1は陰極基板であり、3は下地層である。
【0060】
図6に示す該マルチ電子源を製造する工程は、前記、ゲート電極を備える電子放出素子の工程と同一である。
【0061】
陰極電極2は、行方向配線y1、y2、y3と電気的に接続されている。また、ゲート電極13は、列方向配線x1、x2、x3と電気的に接続されている。陰極電極2は、下地層3と電気的に接合し、下地層3は、電子放出体である炭素繊維5の集合と電気的に接合している。また、列方向配線x1、x2、x3は、絶縁層165の下を通って直線状に延びており、列方向に配列する全ての各素子におけるゲート電極13と電気的に接続されている。一方、行方向配線y1、y2、y3は、絶縁層165の上を通って直線状に延びており、行方向に配列する、陰極電極2と電気的に接続されている。図7に示されるマルチ電子源の上には、不図示のスペーサを介して、不図示の陽極電極が設けられている。その陽極電極と陰極電極2の間にはVaなる陽極電圧が印加される。
【0062】
該マルチ電子源は、列方向配線と行方向配線を選択して、電圧を印加することにより、選択的に素子を駆動することができる。
【0063】
尚、図6に示すマルチ電子源は、図示の便宜上、3x3のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限ったわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけの素子を配列し配線するものである。
【0064】
たとえば、行方向配線y2を選択し、その行と列方向配線x1の交点に接続された電子放出素子を選択駆動するとき、選択する素子のある行方向配線y2にV1なる電圧を印加し、非選択行すなわち行方向配線y1、y3には零を印加する。このとき選択する素子のある列方向配線x1に V2なる電圧を印加し、非選択列すなわち列方向配線x2,x3に V3なる電圧を印加する。このとき、選択行における、それぞれの素子において、陰極電極とゲート電極の間に印加されるゲート電圧Vfは、選択素子では、Vf= V2ー V1 、非選択素子では、Vf= V3ー V1、非選択行における非選択素子では、Vf= V2、又は V3、なるゲート電圧Vfが、それぞれ印加される。今、仮にV1、V3、V3において、V2>V1、V3<V1、であるならば、このマトリックス上において、Vf>0となるのは、選択素子だけであり、したがって、選択素子のみ駆動することが可能である。
【0065】
これらの印加電圧を適当な大きさにすれば、選択する行の電子放出素子だけから所望の強度の電子ビームが出力され、また列方向配線の各々に異なる電圧を印加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力される。また、電子放出素子の応答速度は高速であるため、電圧を印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の長さを変えられる。
【0066】
従って、電子放出体として炭素繊維を用いたマルチ電子源は、種々の装置に応用でき、例えば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれば、電子ビームが出力される時間の長さを変えて、画素の発光輝度レベルを制御することもできるので、画像形成装置用の電子源として好適に用いられる。
【0067】
以上のように、本発明の実施形態による、電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子は、前記電子放出体がグラファイト壁に内包されたコバルトを含む炭素繊維を有することを特徴とすることによって、優れた電子放出特性を示す。また、配向物質の部分的な或いは全体の消失により炭素繊維の多くがTiやTi化合物のような下地層に直接密着して得られるので、機械的強度も高まる。
【0068】
(実施形態2)
図8は本発明の別の実施形態による炭素繊維の製造方法の一例を示す図である。
【0069】
図8の工程(A)において、1は基体としての陰極基板、2は陰極電極、3は下地層、6はコバルトのような金属触媒、7はカバーメタル、8はレジストである。基板1の表面上に陰極電極2を配置し、陰極電極上に下地層3を配置する。下地層3上に金属触媒6を配置し、金属触媒6上にカバーメタル7を配置し、カバーメタル7上にレジスト8を配置する。
【0070】
基体1、陰極電極2、下地層3、金属触媒6は前述した実施形態と同じ材料を用いることができる。
【0071】
本発明に用いられるカバーメタル(ハードマスク)の材料としては、後述するドライエッチング工程、あるいは、ウェットエッチング工程を施す際に、陰極電極2、下地層3、金属触媒6に対して、エッチングの選択性がある材料を用いる。たとえば、後述するウェットエッチング工程においては、カバーメタル7の下に配置される金属触媒6をオーバーエッチングしないように、カバーメタル7を選択的にウェットエッチングする必要があるので、ウェットエッチングするための溶剤が、金属触媒6をあまりエッチングせず、カバーメタル7を多くエッチングするように、溶剤とカバーメタル7の適当な組み合わせを用いる。金属触媒6だけでなく、陰極電極2、下地層3も同様に、これらがエッチングされないように、カバーメタル7の材料を選択するとよい。
【0072】
下地層3、金属触媒6、カバーメタル7は、スパッタリング法を用いて形成する。窒化チタンをカバーメタル7に用いる場合には、スパッタリング法の他に、イオンビームスパッタ法を用いて形成することも好ましいものである。その後レジストを、スピナーを用いて塗布する。
【0073】
図8の(B)に示すように、パターニングマスクを用いて、露光装置で露光し、現像液を用いて、レジストをパターニングする。
【0074】
図8の(C)に示すように、レジスト8に紫外線を照射し、UV硬化して硬化膜(ソフトマスク)9を得た後、カバーメタル7と、金属触媒6と、下地層3をドライエッチング工程によってエッチングして、パターニングする。
【0075】
図8の(D)に示すように、レジスト硬化膜9を剥離し、ウェットエッチング工程によって、カバーメタル7をエッチングすると、パターニングされた金属触媒6が露出する。
【0076】
図8の(E)に示すように、金属触媒6としてのコバルトが酸化されるように、酸化性雰囲気中で金属触媒6を熱熱処理する。この時の熱処理工程は、前述した実施形態と同様であり、具体的には、温度を300℃以上に保持した反応容器中に図8の(D)に示す構造体を配置し、反応容器内を大気で満たし、2時間以上処理を継続するとよい。こうすると、前述したように、針状粒子からなる酸化コバルトを含む酸化金属触媒4が得られる。
【0077】
図8の(F)に示すように、酸化金属触媒4から、基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合5を形成する。この成長工程においては、温度を550℃以上に保持した反応容器中において、酸化金属触媒4を炭化水素ガスに晒すことによって、そこから基板表面に対して垂直方向に炭素繊維が成長する。
【0078】
図9は、本実施形態の製造方法により陰極上に作製された炭素繊維を電子放出体として、陽極に対向させることによって形成させた電子放出素子の一例を示す図である。
【0079】
図9において、10は陽極電極であり、11は陽極基板であり、12は真空容器であり、144は電圧源であり、14は真空排気装置である。陽極電極10と陰極電極2との2端子デバイスになった点を除くと、他の構成は実施形態1と同じである。
【0080】
この素子では、Vaが電子放出の閾値を超えると垂直配向した炭素繊維5から電子が放出され陽極電極10に到達する。この電子が放出電流Ieとなる。
【0081】
図10は、前記電子放出素子における、印加電圧Vaと放出電流Ieの関係を示す図である。
【0082】
図10の(A)は、VaとLog(Ie)の関係を示し、図10の(B)は、1/VaとLog(Ie/Va2)の関係を示すFNプロットである。
【0083】
(実施形態3)
図11は、本発明の更に別の実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の製造方法の一例を示す図である。
【0084】
図11の(A)に示すように、基体としての陰極基板1上に、EB蒸着法、フォトリソグラフィー技術等を用いて、ゲート電極2をパターニングして形成する。
【0085】
図11の(B)に示すように、絶縁層43を形成する。
【0086】
図11の(C)に示すように、基体の表面に対し、レジスト44を塗布した後、パターニングする。その後、陰極電極2を形成する。
【0087】
図11の(D)に示すように、メタルマスクを用いて、陰極電極2上の一部の領域に、下地層3、コバルトを含む金属触媒6をスパッタ法によって形成する。
【0088】
リフトオフを行うことによって、基体表面上に残留しているレジスト44を除去し、図11の(E)に示す構造体が得られる。
【0089】
図11の(F)に示すように、コバルトを含む金属触媒6を、酸化コバルトの針状粒子を含む酸化金属触媒からなる配向物質4とする。この酸化金属触媒からなる配向物質4を得る方法は、前述した実施形態1,2と同様である。
【0090】
図11の(G)に示すように、酸化金属触媒4を有する基体を炭素含有ガスに晒して、酸化金属触媒4から、陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合5を成長させる。
【0091】
図12は、上述した製造方法により得られた前記炭素繊維を用いた電子放出素子を駆動する時の構成を示す図である。
【0092】
図12において、10は陽極電極、11は陽極基板、12は真空容器、144は陽極電極と陰極電極の間に陽極電圧を印加する陽極電圧源、145はゲート電極と陰極電極の間にゲート電圧を印加するゲート電圧源、14は真空排気装置である。駆動方法は、実施形態1と同じである。
【0093】
図13は、図12に示す電子放出素子において、ゲート電圧Vfと陽極電流Ieの関係における、電子放出特性を示す図である。
【0094】
本実施形態においても、実施形態1と同様の特性が得られることが判る。
【0095】
図14、図15は、前記電子放出素子を、陰極基板上にマトリックス状に配列することによって形成したマルチ電子源を示している。
【0096】
図14は、該マルチ電子源を上方から見た図であり、図15は、図14の一点斜線A−A’における断面図である。図14において、5は電子放出体としての炭素繊維の集合であり、2は陰極電極であり、43は絶縁層であり、13はゲート電極であり、1は陰極基板であり、3は下地層である。
【0097】
図14に示す該マルチ電子源を製造する工程は、電子放出素子の製造工程と同一である。
【0098】
図14において、陰極電極2はマルチ電子源の列方向配線を兼ねている。また、ゲート電極13はマルチ電子源の行方向配線を兼ねている。陰極電極2は、図15における下地層3と電気的に接合し、該下地層3は、電子放出体である炭素繊維5と電気的に接合している。また、ゲート電極13は、絶縁層43の下を通って直線状に延びており、行方向に配列する全ての各素子における電子放出体5の下側、横側へ向かって、図14において逆コの字型に、配置されている。図15に示されるマルチ電子源の上には、不図示のスペーサを介して、不図示の陽極電極が設けられている。そして、陽極電極と陰極電極の間にはVaなる陽極電圧が印加される。
【0099】
駆動方法は前述した実施形態1と同じである。
【0100】
上述した実施形態1〜3においては、下地層上にコバルトを成膜した後、酸化性雰囲気中での充分な熱処理を行いコバルトを酸化させる方法を採用している。こうすると針状粒子化した酸化コバルトが容易に得られる。
【0101】
そこで、次のような方法により、酸化コバルトを含む配向物質を基体上に形成することもできる。
【0102】
まず、上述した方法により得られた酸化コバルトの針状粒子を適当な分散媒に分散させた液体を作製し、その液体を基体上に塗布し焼成する。その後、針状粒子が付着した基体を昇温された炭素含有ガスに晒して、炭素繊維の成長工程を施すことにより、陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合を形成することもできる。
【0103】
或いは、別の方法として、上述した方法により得られた酸化コバルトの針状粒子を気体のような流体に含ませる。この流体を針状粒子とともに、基体の下地層上に向けて噴射させることにより、基体表面に酸化コバルトの針状粒子を付着させる。針状粒子が付着した基体を昇温させた炭素含有ガスに晒して炭素繊維の成長工程を施すことにより、陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合を形成することもできる。
【0104】
酸化コバルトは針状粒子が好ましいが、これに限定されるものではなく、また、その組成もCo3O4を主成分とする方が好ましいが、上述した組成に限定されることはない。更に、炭素繊維は複数のグラファイト壁(グラフェン)で囲まれたマルチウォールカーボンナノチューブである必要はなく、カップ状のグラフェンが繊維の長手方向に多数重ね合わされたカップスタック型のグラファイトナノファイバーなど、他の形態のナノ炭素繊維であり得る。
【0105】
【実施例】
(実施例1)
図1に示したような工程で炭素繊維を以下の手順で製造した。
【0106】
石英ガラスからなる基板1を用意した。家庭用洗剤を含ませたベンコットを用いてその基板1の表面を充分に擦った後、流水洗浄した。そして、イソプロパノール(IPA)に浸して超音波洗浄を行い、ついで、アセトンに浸して超音波洗浄を行った。その後、窒素ブローによって、基板表面に残留する液滴を除去した。そして、100℃に加熱して30分保持した後、紫外線を照射した。
【0107】
次に、厚さ5nmのチタンと、厚さ30nmの砒素ドープされたポリシリコンとをスパッタリングにより積層した。フォトリソグラフィー工程で、ポジ型フォトレジストを用いてレジストパターンをポリシリコンの上に形成し、レジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いてポリシリコンとチタンのドライエッチングを行った。こうして、電極ギャップ間が5μmからなるゲート電極13および陰極電極2を有する試料が得られた。(図1の(A)参照)
基板にクロムをEB蒸着にて厚さが約100nmとなるよう分堆積させた。フォトリソグラフィー工程で、ポジ型フォトレジストを用いてレジストパターンをクロム上に形成した。次に、パターニングした該フォトレジストをマスクとして、電子放出材料としての炭素繊維の集合を形成すべき領域(100μm角)を開口した。このレジストの開口部から露出しているクロムを硝酸セリウム系のエッチング液で取り除いた後、レジストを剥離した。その後、スパッタリング法により、下地層3となるチタンの薄膜(20nm厚)と、電子放出材料である炭素繊維を成長させるための金属触媒として、コバルトの薄膜(11nm厚)を、連続成膜した。成膜後、クロムを硝酸セリウム系のエッチング液にて、取り除いた。こうして、陰極電極2の一部の上に、下地層3を介して金属触媒6が形成された試料が得られた。(図1の(B)参照)
空気で大気圧に満たされた反応容器内に、試料を配置し、300℃の温度下において2時間の間、加熱酸化処理を行った。この段階で、金属触媒6を配置した領域は、コバルトが酸化され酸化コバルトからなる配向物質4となった。この配向物質4は、後に分析したところ、Co3O4なる化合物を主成分として、他にCoOなる化合物とCoとを含んでいた。また、この配向物質4は、直径が10nm以下、長さが30nm以上であり、該下地に対して角度をもって立っている、針状粒子であった。こうして、配向物質4が形成された試料が得られた。(図1の(C)参照)
配向物質4としての針状粒子が形成された試料を、550℃に保持した反応容器中に置いて、ヘリウムガスに対するエチレンガスの比が1/99となるように混合されたヘリウム希釈エチレンガスを、反応容器内に導入し、配向物質を昇温されたエチレンガスに晒した。この工程によって、配向物質から陰極基板表面に対して垂直方向に延びた炭素繊維の集合5が、陰極基板表面上に形成された。得られた炭素繊維5の構造は、図3に示したような構造であった。
【0108】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により製造した炭素繊維を用いた電子放出素子を製造した。
【0109】
ゲート電極を備えた陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合を備える陰極基板に対し、200μmの厚さのスペーサを介して、陽極電極を配置された陽極基板を、陽極電極が配置されている側が、陰極電極側に向くように、対向させた。
【0110】
該陰極電極と該陽極電極の間に、陽極電圧Vaが印加でき、該陽極電極と該陰極電極の間を流れる陽極電流Ieが検出できるように、配線、ならびに、電圧源、電流計を設けた。また、該陰極電極とゲート電極の間に、ゲート電圧Vfが印加でき、該陽極電極と該ゲート電極の間を流れるゲート電流Ifが検出できるように、配線、ならびに、電圧源、電流計を設けた。
【0111】
該電子放出素子を真空容器としてのチャンバー内に配置した。該チャンバーには、ドライポンプを接続し、該ドライポンプと該チャンバーの間に、ターボモレキュラーポンプを接続した。また、該ドライポンプと、該ターボモレキュラーポンプが接続されるための真空排気経路とは別の真空排気経路にイオンポンプを接続した。また、該チャンバーには、該チャンバーを構成する真空部品、ならびに、試料、を加熱するためのヒータと、該加熱による温度変化をモニターするための温度計を設けるとともに、それらを用いて加熱、ならびに、加熱温度のコントロールを行うための温度コントローラを設けた。
【0112】
まず、ドライポンプと、ターボモレキュラーポンプを動作させ、該動作中において、該チャンバーの各部位を250℃〜300℃、試料を250℃になるように、18時間、加熱ならびに温度コントロールした。その後、該チャンバーを自然冷却し、該チャンバーに接続されたイオンポンプ付近の温度、あるいは、イオンポンプ本体の温度が、100℃以下になるまで冷却した後に、該イオンポンプを動作させるとともに、該ドライポンプと、該ターボモレキュラーポンプへの、該チャンバーからの排気経路を遮断した。以上の排気動作によって、該チャンバー内の真空度を、約1.33×10−8Paまで到達する。
【0113】
その後、一定の陽極電圧Vaを印加した状態で、ゲート電圧Vfを印加させると、陽極電流Ieが検出された。こうして得られた該ゲート電圧Vfと該陽極電流Ieの関係において、そのFNプロットは図5に示したような略直線の関係にあり、得られた該ゲート電圧Vfと該陽極電流Ieの関係は、電子放出体からの電子放出に起因することが分かった。
【0114】
(実施例3)
図8に示したような工程で炭素繊維を以下の手順で製造した。
【0115】
高歪点ガラスを基板として用意し、実施例1と同様に洗浄した。洗浄した基板1の表面上に陰極電極2としてTiN薄膜を、イオンビームスパッタによって、厚さが100nmとなるよう形成した。陰極電極2上に下地層3として、Ti薄膜を厚さ20nm、金属触媒6としてCo薄膜を厚さ10nm、カバーメタル7としてのアルミニウム薄膜を厚さ100nm、連続スパッタによって、積層形成した。該カバーメタル上にレジスト8を、スピナーを用いて塗布した。(図8の(A)参照)
次に90℃で2分間ベークした後、パターニングマスクを用いて露光装置によって露光した。そして、110℃で2分間のベークを行った後、レジスト8を現像してパターニングした。その後、流水洗浄を行う。窒素ブローにより水滴と除去した後、再び、110℃で2分間のベーク処理を行った。(図8の(B)参照)
レジスト8に紫外線を照射して、レジスト8をレジスト硬化膜9に改質した後、BCl3とO2の混合ガスを用いて、カバーメタル7としてのアルミニウムをエッチングした。次に、Arガスを用いて金属触媒6としてのコバルトと下地層3としてのチタンをスパッタエッチングした。(図8の(C)参照)
次いで、レジスト硬化膜9を剥離した後、ウェットエッチング工程を施すことによって、カバーメタル7としてのアルミニウムをエッチング除去した。こうして、パターニングされた金属触媒6が露出した試料が得られた。(図8の(D)参照)
温度を300℃に保持した反応容器中にこの試料を置いて、その中で300℃に保持された大気雰囲気に金属触媒6を2時間晒した。これにより、コバルトからなる金属触媒6は酸化コバルトを含む配向物質4に改質された。この配向物質4は、後にX線回折法により解析を行った結果、主成分がCo3O4、副成分としてCoOとCoとが含まれていた。こうして、配向物質4を有する試料が得られた。(図8の(E)参照)
こうして得られた配向物質4を有する試料を、反応容器中に置いて、550℃に維持された、ヘリウムガスに対するエチレンガスの比が1/99であるヘリウム希釈エチレンガスに晒した。これにより、配向物質4から陰極基板表面に対して垂直方向に配向した多数の炭素繊維を成長させることができた。(図8の(F)参照)
(実施例4)
実施例3と同様の方法により製造した炭素繊維を用いた電子放出素子を図9に示したような構成として組み立てた。
【0116】
こうして得られた電子放出素子の特性を測定したところ、そのFNプロットは図10に示したような略直線の関係にあり、得られた該陽極電圧Vaと該陽極電流Ieの関係は、電子放出体からの電子放出に起因することが分かった。
【0117】
(実施例5)
図11に示したような工程で炭素繊維を以下の手順で製造した。
【0118】
高歪点ガラスからなる基板上に、Tiを50nm、Ptを50nm、Tiを5nmの厚さで順に積層してゲート電極を形成した。(図11の(A)参照)
SiO2を成膜し、パターニングして絶縁層43を形成した。(図11の(B)参照)
レジストを塗布し、パターニングした後、陰極電極2となる、厚さ100nmのTiN薄膜を成膜した。(図11の(C)参照)
不図示のメタルマスクを用いて、下地層3となるTiを厚さ20nm、ついで、金属触媒6となるCoを厚さ10nmとなるよう連続スパッタ法によって、積層した。(図11の(D)参照)
リフトオフを行うことによって、試料表面上に残留しているレジスト44を、その上に成膜されたTi、Coとともに除去した。(図11の(E)参照)
こうして得られた試料を350℃に保持した反応容器中に置いて、大気に3時間晒した。こうして、Co3O4を主成分とし、CoOとCoとを含む配向物質4が得られた。(図11の(F)参照)
こうして得られた配向物質4を有する試料を反応容器中に置いて、ヘリウムガスに対するエチレンガスの比を1/99としたヘリウム希釈エチレンガスと、ヘリウムガスに対する該水素ガスの比を1/99としたヘリウム希釈水素ガスとを、反応容器内に導入し、550℃で、配向物質を炭素含有ガスに晒して、配向物質から炭素繊維を基板表面に対して垂直に配向して成長させることができた。
【0119】
(実施例6)
実施例5と同様の方法により製造した炭素繊維を用いた電子放出素子を実施例1と同様の工程で組み立てた。
【0120】
こうして得られた電子放出素子を図12に示したような駆動方法で駆動しその特性を測定したところ、そのFNプロットは図13に示したような略直線の関係にあり、得られた該陽極電圧Vaと該陽極電流Ieの関係は、電子放出体からの電子放出に起因することが分かった。
(実施例7)
実施例1における、酸化性雰囲気中での熱処理の後であって炭素繊維成長前に、酸化金属触媒を水素雰囲気中おいて、600℃で10分間加熱する還元処理を行った。その結果、実施例1と同様に従来より低温で垂直配向した炭素繊維を得ることができた。
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、従来よりも低温で、炭素繊維の成長方向を基板に対して垂直に配向させることができる。また、炭素繊維の向きが揃っているので、該炭素繊維の集合全体の形状が制御しやすくなり、ゲート電極との間で電流リークの恐れが少ない電子放出素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による炭素繊維及びそれを用いた電子放出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図2】酸化金属触媒からなる配向物質の構造を説明するための模式的断面図である。
【図3】炭素繊維の構造を説明するための模式的断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法を説明するための模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による電子放出素子をマトリックス状に配列したマルチ電子源を示す模式的平面図である。
【図7】図6に示したマルチ電子源の部分的な断面を示す模式的平面図である。
【図8】本発明の別の実施形態による炭素繊維及びそれを用いた電子放出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法を説明するための模式図である。
【図10】本発明の別の実施形態による電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態による炭素繊維及びそれを用いた電子放出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の他の実施形態による電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態による電子放出素子をマトリックス状に配列したマルチ電子源を示す模式的平面図である。
【図15】図14に示したマルチ電子源の部分的な断面を示す模式的平面図である。
【符号の説明】
1 基体
2 陰極電極
3 下地層
4 配向物質
5 炭素繊維
6 触媒金属
8 レジスト
9 レジスト硬化膜
10 陽極電極
11 陽極基板
12 真空容器
13 ゲート電極
14 真空排気装置
43 絶縁層
44 レジスト
121 針状粒子
132 グラファイト壁
144 陽極電圧源
145 ゲート電圧源
165 絶縁層
166 列方向配線
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイなどの画像形成装置や、電子線リソグラフィーなどに利用される電子放出素子や、微細化されたトランジスタに用いられる炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は高いアスペクト比を有する形状と、化学的に優れた耐久性をもつために、これを、低電圧で低真空駆動が可能で、かつ長寿命の電子放出体として利用することが期待されている。
【0003】
炭素繊維の集合を、高温下において触媒を用いて炭化水素ガスを分解して形成する、炭素繊維の熱化学気相成長法(以下CVD法と呼ぶ)は、製法が簡便で低コストであり、製造装置が複雑でない点で、アーク放電法や、プラズマCVD法などに比べて優れている。
【0004】
一方、前記炭素繊維の集合を、電子放出素子の電子放出体として用いる場合には、該炭素繊維の配向を制御することが求められる。しかしながら、上記CVD法で作製した炭素繊維は、多くの場合、炭素繊維の配向が充分になされず、触媒の配置領域から、不確定な方向へ炭素繊維が成長する。そのため、例えば炭素繊維近傍にゲート電極を配置する場合、不確定方向に成長した炭素繊維がゲート電極と接触することによって、電子放出体としての炭素繊維からゲート電極への電流のリークが発生し、アノード電極への電子放出がなされず、電子放出素子としての機能を失う。
【0005】
例えば、非特許文献1においては、炭素繊維の触媒として鉄を用い、シリコン基板上における鉄の堆積膜厚を制御する方法によって、CVD法で作製した炭素繊維を、成長させる方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献1においては、多孔質シリコン上において、鉄を堆積させたのち、該鉄を酸化させる方法によって、CVD法で作製した炭素繊維を、成長させる方法が記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
APPLIED PHYSICS LETTERS VOL.78 No.20 p.3130 (2001)
【特許文献1】
特表2002−530805
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1においては、CVD法において、鉄を堆積させたシリコン基板を配置した反応容器の温度を、800℃といった高温に保たなければならない。また、上記特許文献1においては、鉄を堆積させた多孔質シリコン基板に対して酸化処理を行ったのち、CVD法において、試料を配置した反応容器の温度を、700℃といった高温に保たなければならない。
【0009】
例えば、基板としてその歪み点が約570℃のガラス基板を用いる場合、それ以上の高温下に晒すことができないため、上述した方法は不適当である。また、炭素繊維の大量生産を考える場合、製造工程における低温化は、製造コストの削減のため、或いは、製造過程での高い安全性を保持するためにも望まれることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、従来より低温で配向特性に優れた炭素繊維を製造することができる炭素繊維の製造方法、およびそれを用いた電子放出素子、画像形成装置を提供することにある。
【0011】
本発明の骨子は、基体上に炭素繊維を成長させる成長工程を含む炭素繊維の製造方法において、前記成長工程が酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒す工程を含むことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記基体上にコバルトを含む配向物質を配置し、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する工程を含むことが望ましい。
【0013】
また、前記酸化コバルトの針状粒子が分散した液体を前記基体上に塗布する工程を含むことが望ましい。
【0014】
更には、前記酸化コバルトの針状粒子を基板に吹き付ける工程を含むことが望ましい。
【0015】
本発明の別の骨子は、炭素繊維の製造方法において、基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程と、酸化コバルトを含む配向物質を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の骨子は、炭素繊維の製造方法において、基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程と、Co3O4からなる酸化コバルトを含む配向物質を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、前記酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
上述した本発明においては、前記酸化コバルトは針状粒子であることが望ましい。
【0018】
また、熱処理工程は、熱処理容器内の温度を300℃以上とした状態を2時間以上継続することが望ましい。
【0019】
そして、前記基体上にチタンを含む下地層を形成した後、その上に、前記コバルトを含む配向物質を配置することが望ましい。
【0020】
更に、前記酸化コバルトはCo3O4からなることが望ましい。
【0021】
また、前記酸化コバルトは針状粒子であり、その直径に対する長さの比が3以上であることが望ましい。
【0022】
本発明の電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子は、上述した炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維を前記電子放出体として有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の、電子放出体を有する陰極の複数と、ゲート電極と、陽極と、発光体と、を備えた画像形成装置は、上述した炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維を前記電子放出体として有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、配向特性に優れた炭素繊維の製造工程を低温化することができる。
【0025】
また、本発明の骨子は、電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子において、前記電子放出体はグラファイト壁に内包されたコバルトを含む炭素繊維を有することを特徴とする電子放出素子である。このような新規な素子により、電子放出特性に優れた素子を提供できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(実施形態1)
以下の説明では炭素繊維を用いた電子放出素子を例に挙げて説明するが、本発明は電子放出素子に限定されるものではなく、広く炭素繊維の製造方法に適用できる。
【0028】
まず、図1の工程(A)に示すように、基体としてガラスなどの陰極基板1上に、金属などの陰極電極2とゲート電極13とを形成する。
【0029】
本発明に用いられる基体としては、セラミックス、溶融石英、ガラス、シリコンなどの絶縁性又は半導体の基板が好ましく用いられる。具体的には、高歪点ガラス、Na等の不純物含有量を減少させKなどに一部置換したガラス、青板ガラス、シリコンウエハ、アルミナなどであり、それらの材料自体をそのまま基体として用いてもよいし、必要に応じて、基体の表面にスパッタ法等によりSiO2のような絶縁膜を形成した基体であってもよい。
【0030】
本発明に用いられる陰極電極又はゲート電極の材料は、例えば、炭素、金属、金属の窒化物、金属の炭化物、金属のホウ化物、半導体、半導体の金属化合物から適宜選択される。これらは、蒸着法、スパッタ法等の一般的な真空成膜技術とフォトリソグラフィー技術により形成される。陰極電極とゲート電極の厚さは、10nm〜100μmの範囲から適宜選択される厚さである。
【0031】
また、必要に応じて、陰極電極と基体の密着性を高めるために、それらの間に、密着層を配置するとよい。たとえば、基板として高歪点ガラスのPD200、陰極電極及びゲート電極としてプラチナを用いる場合には、密着層としてクロム、チタン、タンタルなどを形成することが望ましい。
【0032】
次に、図1の工程(B)に示すように、陰極電極2上にチタンなどの金属からなる下地層3を形成し、その上に配向物質として、コバルトなどの金属触媒6を形成する。具体的には、下地層3となる膜と金属触媒6となる膜をスパッタリングなどにより積層した後、フォトフォトリソグラフィー技術により図示した形状になるよう、膜がエッチング除去される。
【0033】
本発明に用いられる下地層としては、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ジルコニウム、ニオブなどを用いることができる。特に、電子放出素子として炭素繊維を用いる場合には、電気的接触の観点から、それらのような金属又は金属化合物からなる導電体を用いることが好ましいものである。
【0034】
基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程において、本発明に用いられる配向物質としての金属触媒には、コバルトを用いることが好ましい。ここでいう配向物質としては、炭素繊維の成長時にそれを配向させる機能があればよく、この時点では、そのような機能があっても、無くてもよい。例えば、コバルトは単体でも酸化コバルトのような化合物でも炭素繊維成長の触媒及び配向物質となり得る材料である。
【0035】
金属触媒の厚さとしては、特に限定されるものではないが、6nm以上15nm以下から選択することが好ましい。この範囲より薄いと炭素繊維の成長方向が揃い難くなる。逆に、この範囲より厚いと炭素繊維の先端が金属触媒で被覆されやすいので、これを除去する必要が生じる。また、金属触媒は均一な連続膜である必要はなく、欠陥や亀裂を含んでいてもよい。
【0036】
そして、図1の工程(C)に示すように、金属触媒6を酸化させることにより、金属触媒6をその酸化物を含む配向物質(酸化金属触媒)4に変える熱処理工程を施す。
【0037】
本発明に用いられる配向物質としては、酸化コバルトが好ましく用いられ、特に酸化コバルトの多くがCo3O4を含むことがより好ましいものである。具体的には、Co3O4のみ、あるいはCo3O4を主成分として、他の組成比からなるCoxOyを含むものであってもよい。また、配向物質の全てが酸化コバルトである必要はなく、Co単体を含んでいてもよい。
【0038】
とりわけ、炭素繊維の垂直配向性をより一層増大させるためには、コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程が重要であり、熱処理温度、すなわち基体を配した処理容器内の温度を300℃以上とし、熱処理時間を2時間以上とすることが、より好ましいものである。熱処理温度の上限としては特に限定はないが、下地層の酸化による高抵抗化を防止する必要がある場合には、600℃以下とすることが好ましいものである。
【0039】
図2は、工程(c)を経た後の配向物質の断面構造を示しており、配向物質4は、酸化金属触媒の針状粒子121を含んでいる。この酸化金属触媒の針状粒子の大部分(80%以上)は、直径が10nm以下であり、長さが30nm以上であり、つまり、直径に対する長さの比が3以上の針状粒子である。そして、この針状粒子は、角度をもって立っており、その組成は、コバルトと酸素によって構成されることが、元素分析によって判明している。コバルトの膜は連続膜であっても不連続膜であってもよい。
【0040】
また、必要に応じて、酸化性雰囲気中で熱処理の後に、還元処理を行うこともできる。還元処理としては、水素或いは水素と不活性ガスの混合ガスなどの還元性雰囲気中で熱処理を行うものであり、好ましい熱処理温度としては、400℃〜600℃であり、好ましい熱処理時間としては、5分〜2時間である。この処理により酸化コバルトの少なくとも一部が還元される。
【0041】
そして、図1の工程(D)に示す成長工程では、酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる。具体的には、酸化コバルトからなる酸化金属触媒4を炭素含有ガスに晒すことで、基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合体を形成する。
【0042】
本発明に用いられる炭酸含有ガスとしては、エチレン、アセチレン、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素などの、炭化水素ガス或いは炭酸ガスから選択される少なくとも1種のガスが挙げられる。これらは、単独ないし組み合わせて用いられても良いし、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈されたものであってもよい。
【0043】
炭素繊維の成長は550℃以上で可能であり、基板材料に制限がなければ、上限は特に限定されることはない。好ましくは550℃以上690℃以下、より好ましくは550℃以上570℃以下が好ましいものである。
【0044】
こうして得られた炭素繊維は図1や図3に示すように個々の繊維体が垂直配向したカーボンナノチューブからなる。
【0045】
カーボンナノチューブは、触媒粒子131を内包するグラファイトの壁132から構成されている。詳しくは、触媒粒子131が、筒状、あるいは、カップ状のグラファイト壁132に覆われて、炭素繊維の上端、炭素繊維の中間、炭素繊維の下端のいずれか、あるいは、その全ての場所に存在している。炭素繊維を構成している該グラファイト壁の枚数は、1枚又は複数枚である。触媒粒子131は、コバルト又は酸化コバルトである。
【0046】
次に、こうして得られた炭素繊維を備えた電子放出素子の構造と動作について説明する。
【0047】
図4は、陰極上に作製された炭素繊維5を電子放出体として、陽極に対向させることによって形成させた、ゲート電極を具備する電子放出素子の一例を示す図である。
【0048】
図4において、10は陽極電極、11は陽極基板、12は真空容器、144は陽極電極と陰極電極の間に陽極電圧を印加する陽極電圧源、145はゲート電極と陰極電極の間にゲート電圧を印加するゲート電圧源、14は真空排気装置である。
【0049】
図4において不図示であるが、真空排気装置を取り外す場合において、容器内の残留ガス、あるいは、電子放出に伴う、脱ガスを吸着し、真空容器内の真空度を維持、あるいは向上させるための、ガス吸着剤を用いることもある。
【0050】
また、図4において、不図示であるが、陽極と陰極の間隔を維持、固定するためのスペーサが、陽極基板と陰極基板の間に配置されている。
【0051】
図4に図示のゲート電極を備えた、電子放出素子の駆動においては、陽極電圧源144により、陽極電圧Vaを印加し、その値を固定した状態で、ゲート電圧源145によりゲート電圧Vfを印加する。このとき、ゲート電圧Vfによって、電子放出体である炭素繊維からの電子放出量が制御される。電子放出体から放出された電子の集合は、陽極電極に到達する電子と、ゲート電極に到達する電子からなる。該陽極電極に到達する電子によって、構成される電流は、陽極電流Ieであり、該ゲート電極に到達する電子によって、構成される電流は、ゲート電流Ifである。ゲート電流Ifと陽極電流Ieの和、すなわち、該電子放出体である炭素繊維からの電子放出量の総量に対する陽極電流Ieの比Ie/(If+Ie)を、効率、と呼ぶ。該効率を高めることは、該電子放出体である炭素繊維に対して電圧源から供給される総電流に対する、陽極電極に到達しうる電流の、比を高めることである。陽極電極に発光体としての蛍光体を備え、該電子放出素子を画像形成装置として用いる場合には、陽極電流の大きさが、発光強度に貢献するので、効率を高めることは明るく高コントラストの画像を形成するうえで重要である。図4に示される素子構成において、ゲート電極と陰極電極の距離、ゲート電極と陽極電極の距離などの、素子の各部分のサイズを適当に選択することによっても、該効率Ie/(If+Ie)を高めることができる。また、電子放出体における電子放出位置、あるいは、電子放出方向にも、該効率Ie/(If+Ie)は依存する。
【0052】
図5は、図4に示すゲート電極を備えた電子放出素子において、ゲート電圧Vfと陽極電流Ieの関係における、電子放出特性を示す図である。
【0053】
図5の(A)はVfとLog(Ie)の関係を示す図であり、図5の(B)は、1/VfとLog(Ie/Vf2)の関係を示す図、すなわちFNプロットである。
【0054】
図5においては、異なる2つの陽極電圧Va=Va1、Va=Va2、における駆動でのVfとIeの関係を示している。すなわち、図中の曲線1は、Va=Va1における関係であり、図中の曲線2は、Va=Va2における関係である。ここで、Va1>Va2である。
【0055】
図5の(B)に示すように、ゲート電圧Vfと陽極電流IeによるFNプロットは、該2つの陽極電圧Va=Va1、Va=Va2における駆動において、いずれも略直線の関係を示しており、したがって、ゲート電圧Vfの印加による、電子放出体の陽極電極への電子放出が、該いずれの陽極電圧においても、生じていることが示される。
【0056】
また、図5の(A)では、曲線1は曲線2に対して、同一駆動電圧Vfに対する陽極電流Ieが大きい。また、図5の(B)で示されるFNプロットからは、曲線1は曲線2に対して、傾きの絶対値が小さく、切片が大きい。このことは、同一のゲート電圧Vfを用いた場合、曲線1を呈する駆動条件では、曲線2を呈する駆動条件に対して、電子放出体にかかる局所電界が大きく、電子放出に寄与する面積が大きくなっていることを示している。
【0057】
図6、図7は、電子放出素子を、陰極基板上にマトリックス状に配列することによって形成したマルチ電子源を示している。
【0058】
図6は、該マルチ電子源を上方から見た図であり、図7は、図6の一点斜線A−A’における断面図である。
【0059】
図6において、5は電子放出体としての炭素繊維の集合であり、2は陰極電極であり、13はゲート電極であり、164は行方向配線であり、165は絶縁層であり、166は列方向配線であり、1は陰極基板であり、3は下地層である。
【0060】
図6に示す該マルチ電子源を製造する工程は、前記、ゲート電極を備える電子放出素子の工程と同一である。
【0061】
陰極電極2は、行方向配線y1、y2、y3と電気的に接続されている。また、ゲート電極13は、列方向配線x1、x2、x3と電気的に接続されている。陰極電極2は、下地層3と電気的に接合し、下地層3は、電子放出体である炭素繊維5の集合と電気的に接合している。また、列方向配線x1、x2、x3は、絶縁層165の下を通って直線状に延びており、列方向に配列する全ての各素子におけるゲート電極13と電気的に接続されている。一方、行方向配線y1、y2、y3は、絶縁層165の上を通って直線状に延びており、行方向に配列する、陰極電極2と電気的に接続されている。図7に示されるマルチ電子源の上には、不図示のスペーサを介して、不図示の陽極電極が設けられている。その陽極電極と陰極電極2の間にはVaなる陽極電圧が印加される。
【0062】
該マルチ電子源は、列方向配線と行方向配線を選択して、電圧を印加することにより、選択的に素子を駆動することができる。
【0063】
尚、図6に示すマルチ電子源は、図示の便宜上、3x3のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限ったわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけの素子を配列し配線するものである。
【0064】
たとえば、行方向配線y2を選択し、その行と列方向配線x1の交点に接続された電子放出素子を選択駆動するとき、選択する素子のある行方向配線y2にV1なる電圧を印加し、非選択行すなわち行方向配線y1、y3には零を印加する。このとき選択する素子のある列方向配線x1に V2なる電圧を印加し、非選択列すなわち列方向配線x2,x3に V3なる電圧を印加する。このとき、選択行における、それぞれの素子において、陰極電極とゲート電極の間に印加されるゲート電圧Vfは、選択素子では、Vf= V2ー V1 、非選択素子では、Vf= V3ー V1、非選択行における非選択素子では、Vf= V2、又は V3、なるゲート電圧Vfが、それぞれ印加される。今、仮にV1、V3、V3において、V2>V1、V3<V1、であるならば、このマトリックス上において、Vf>0となるのは、選択素子だけであり、したがって、選択素子のみ駆動することが可能である。
【0065】
これらの印加電圧を適当な大きさにすれば、選択する行の電子放出素子だけから所望の強度の電子ビームが出力され、また列方向配線の各々に異なる電圧を印加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力される。また、電子放出素子の応答速度は高速であるため、電圧を印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の長さを変えられる。
【0066】
従って、電子放出体として炭素繊維を用いたマルチ電子源は、種々の装置に応用でき、例えば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれば、電子ビームが出力される時間の長さを変えて、画素の発光輝度レベルを制御することもできるので、画像形成装置用の電子源として好適に用いられる。
【0067】
以上のように、本発明の実施形態による、電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子は、前記電子放出体がグラファイト壁に内包されたコバルトを含む炭素繊維を有することを特徴とすることによって、優れた電子放出特性を示す。また、配向物質の部分的な或いは全体の消失により炭素繊維の多くがTiやTi化合物のような下地層に直接密着して得られるので、機械的強度も高まる。
【0068】
(実施形態2)
図8は本発明の別の実施形態による炭素繊維の製造方法の一例を示す図である。
【0069】
図8の工程(A)において、1は基体としての陰極基板、2は陰極電極、3は下地層、6はコバルトのような金属触媒、7はカバーメタル、8はレジストである。基板1の表面上に陰極電極2を配置し、陰極電極上に下地層3を配置する。下地層3上に金属触媒6を配置し、金属触媒6上にカバーメタル7を配置し、カバーメタル7上にレジスト8を配置する。
【0070】
基体1、陰極電極2、下地層3、金属触媒6は前述した実施形態と同じ材料を用いることができる。
【0071】
本発明に用いられるカバーメタル(ハードマスク)の材料としては、後述するドライエッチング工程、あるいは、ウェットエッチング工程を施す際に、陰極電極2、下地層3、金属触媒6に対して、エッチングの選択性がある材料を用いる。たとえば、後述するウェットエッチング工程においては、カバーメタル7の下に配置される金属触媒6をオーバーエッチングしないように、カバーメタル7を選択的にウェットエッチングする必要があるので、ウェットエッチングするための溶剤が、金属触媒6をあまりエッチングせず、カバーメタル7を多くエッチングするように、溶剤とカバーメタル7の適当な組み合わせを用いる。金属触媒6だけでなく、陰極電極2、下地層3も同様に、これらがエッチングされないように、カバーメタル7の材料を選択するとよい。
【0072】
下地層3、金属触媒6、カバーメタル7は、スパッタリング法を用いて形成する。窒化チタンをカバーメタル7に用いる場合には、スパッタリング法の他に、イオンビームスパッタ法を用いて形成することも好ましいものである。その後レジストを、スピナーを用いて塗布する。
【0073】
図8の(B)に示すように、パターニングマスクを用いて、露光装置で露光し、現像液を用いて、レジストをパターニングする。
【0074】
図8の(C)に示すように、レジスト8に紫外線を照射し、UV硬化して硬化膜(ソフトマスク)9を得た後、カバーメタル7と、金属触媒6と、下地層3をドライエッチング工程によってエッチングして、パターニングする。
【0075】
図8の(D)に示すように、レジスト硬化膜9を剥離し、ウェットエッチング工程によって、カバーメタル7をエッチングすると、パターニングされた金属触媒6が露出する。
【0076】
図8の(E)に示すように、金属触媒6としてのコバルトが酸化されるように、酸化性雰囲気中で金属触媒6を熱熱処理する。この時の熱処理工程は、前述した実施形態と同様であり、具体的には、温度を300℃以上に保持した反応容器中に図8の(D)に示す構造体を配置し、反応容器内を大気で満たし、2時間以上処理を継続するとよい。こうすると、前述したように、針状粒子からなる酸化コバルトを含む酸化金属触媒4が得られる。
【0077】
図8の(F)に示すように、酸化金属触媒4から、基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合5を形成する。この成長工程においては、温度を550℃以上に保持した反応容器中において、酸化金属触媒4を炭化水素ガスに晒すことによって、そこから基板表面に対して垂直方向に炭素繊維が成長する。
【0078】
図9は、本実施形態の製造方法により陰極上に作製された炭素繊維を電子放出体として、陽極に対向させることによって形成させた電子放出素子の一例を示す図である。
【0079】
図9において、10は陽極電極であり、11は陽極基板であり、12は真空容器であり、144は電圧源であり、14は真空排気装置である。陽極電極10と陰極電極2との2端子デバイスになった点を除くと、他の構成は実施形態1と同じである。
【0080】
この素子では、Vaが電子放出の閾値を超えると垂直配向した炭素繊維5から電子が放出され陽極電極10に到達する。この電子が放出電流Ieとなる。
【0081】
図10は、前記電子放出素子における、印加電圧Vaと放出電流Ieの関係を示す図である。
【0082】
図10の(A)は、VaとLog(Ie)の関係を示し、図10の(B)は、1/VaとLog(Ie/Va2)の関係を示すFNプロットである。
【0083】
(実施形態3)
図11は、本発明の更に別の実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の製造方法の一例を示す図である。
【0084】
図11の(A)に示すように、基体としての陰極基板1上に、EB蒸着法、フォトリソグラフィー技術等を用いて、ゲート電極2をパターニングして形成する。
【0085】
図11の(B)に示すように、絶縁層43を形成する。
【0086】
図11の(C)に示すように、基体の表面に対し、レジスト44を塗布した後、パターニングする。その後、陰極電極2を形成する。
【0087】
図11の(D)に示すように、メタルマスクを用いて、陰極電極2上の一部の領域に、下地層3、コバルトを含む金属触媒6をスパッタ法によって形成する。
【0088】
リフトオフを行うことによって、基体表面上に残留しているレジスト44を除去し、図11の(E)に示す構造体が得られる。
【0089】
図11の(F)に示すように、コバルトを含む金属触媒6を、酸化コバルトの針状粒子を含む酸化金属触媒からなる配向物質4とする。この酸化金属触媒からなる配向物質4を得る方法は、前述した実施形態1,2と同様である。
【0090】
図11の(G)に示すように、酸化金属触媒4を有する基体を炭素含有ガスに晒して、酸化金属触媒4から、陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合5を成長させる。
【0091】
図12は、上述した製造方法により得られた前記炭素繊維を用いた電子放出素子を駆動する時の構成を示す図である。
【0092】
図12において、10は陽極電極、11は陽極基板、12は真空容器、144は陽極電極と陰極電極の間に陽極電圧を印加する陽極電圧源、145はゲート電極と陰極電極の間にゲート電圧を印加するゲート電圧源、14は真空排気装置である。駆動方法は、実施形態1と同じである。
【0093】
図13は、図12に示す電子放出素子において、ゲート電圧Vfと陽極電流Ieの関係における、電子放出特性を示す図である。
【0094】
本実施形態においても、実施形態1と同様の特性が得られることが判る。
【0095】
図14、図15は、前記電子放出素子を、陰極基板上にマトリックス状に配列することによって形成したマルチ電子源を示している。
【0096】
図14は、該マルチ電子源を上方から見た図であり、図15は、図14の一点斜線A−A’における断面図である。図14において、5は電子放出体としての炭素繊維の集合であり、2は陰極電極であり、43は絶縁層であり、13はゲート電極であり、1は陰極基板であり、3は下地層である。
【0097】
図14に示す該マルチ電子源を製造する工程は、電子放出素子の製造工程と同一である。
【0098】
図14において、陰極電極2はマルチ電子源の列方向配線を兼ねている。また、ゲート電極13はマルチ電子源の行方向配線を兼ねている。陰極電極2は、図15における下地層3と電気的に接合し、該下地層3は、電子放出体である炭素繊維5と電気的に接合している。また、ゲート電極13は、絶縁層43の下を通って直線状に延びており、行方向に配列する全ての各素子における電子放出体5の下側、横側へ向かって、図14において逆コの字型に、配置されている。図15に示されるマルチ電子源の上には、不図示のスペーサを介して、不図示の陽極電極が設けられている。そして、陽極電極と陰極電極の間にはVaなる陽極電圧が印加される。
【0099】
駆動方法は前述した実施形態1と同じである。
【0100】
上述した実施形態1〜3においては、下地層上にコバルトを成膜した後、酸化性雰囲気中での充分な熱処理を行いコバルトを酸化させる方法を採用している。こうすると針状粒子化した酸化コバルトが容易に得られる。
【0101】
そこで、次のような方法により、酸化コバルトを含む配向物質を基体上に形成することもできる。
【0102】
まず、上述した方法により得られた酸化コバルトの針状粒子を適当な分散媒に分散させた液体を作製し、その液体を基体上に塗布し焼成する。その後、針状粒子が付着した基体を昇温された炭素含有ガスに晒して、炭素繊維の成長工程を施すことにより、陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合を形成することもできる。
【0103】
或いは、別の方法として、上述した方法により得られた酸化コバルトの針状粒子を気体のような流体に含ませる。この流体を針状粒子とともに、基体の下地層上に向けて噴射させることにより、基体表面に酸化コバルトの針状粒子を付着させる。針状粒子が付着した基体を昇温させた炭素含有ガスに晒して炭素繊維の成長工程を施すことにより、陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合を形成することもできる。
【0104】
酸化コバルトは針状粒子が好ましいが、これに限定されるものではなく、また、その組成もCo3O4を主成分とする方が好ましいが、上述した組成に限定されることはない。更に、炭素繊維は複数のグラファイト壁(グラフェン)で囲まれたマルチウォールカーボンナノチューブである必要はなく、カップ状のグラフェンが繊維の長手方向に多数重ね合わされたカップスタック型のグラファイトナノファイバーなど、他の形態のナノ炭素繊維であり得る。
【0105】
【実施例】
(実施例1)
図1に示したような工程で炭素繊維を以下の手順で製造した。
【0106】
石英ガラスからなる基板1を用意した。家庭用洗剤を含ませたベンコットを用いてその基板1の表面を充分に擦った後、流水洗浄した。そして、イソプロパノール(IPA)に浸して超音波洗浄を行い、ついで、アセトンに浸して超音波洗浄を行った。その後、窒素ブローによって、基板表面に残留する液滴を除去した。そして、100℃に加熱して30分保持した後、紫外線を照射した。
【0107】
次に、厚さ5nmのチタンと、厚さ30nmの砒素ドープされたポリシリコンとをスパッタリングにより積層した。フォトリソグラフィー工程で、ポジ型フォトレジストを用いてレジストパターンをポリシリコンの上に形成し、レジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いてポリシリコンとチタンのドライエッチングを行った。こうして、電極ギャップ間が5μmからなるゲート電極13および陰極電極2を有する試料が得られた。(図1の(A)参照)
基板にクロムをEB蒸着にて厚さが約100nmとなるよう分堆積させた。フォトリソグラフィー工程で、ポジ型フォトレジストを用いてレジストパターンをクロム上に形成した。次に、パターニングした該フォトレジストをマスクとして、電子放出材料としての炭素繊維の集合を形成すべき領域(100μm角)を開口した。このレジストの開口部から露出しているクロムを硝酸セリウム系のエッチング液で取り除いた後、レジストを剥離した。その後、スパッタリング法により、下地層3となるチタンの薄膜(20nm厚)と、電子放出材料である炭素繊維を成長させるための金属触媒として、コバルトの薄膜(11nm厚)を、連続成膜した。成膜後、クロムを硝酸セリウム系のエッチング液にて、取り除いた。こうして、陰極電極2の一部の上に、下地層3を介して金属触媒6が形成された試料が得られた。(図1の(B)参照)
空気で大気圧に満たされた反応容器内に、試料を配置し、300℃の温度下において2時間の間、加熱酸化処理を行った。この段階で、金属触媒6を配置した領域は、コバルトが酸化され酸化コバルトからなる配向物質4となった。この配向物質4は、後に分析したところ、Co3O4なる化合物を主成分として、他にCoOなる化合物とCoとを含んでいた。また、この配向物質4は、直径が10nm以下、長さが30nm以上であり、該下地に対して角度をもって立っている、針状粒子であった。こうして、配向物質4が形成された試料が得られた。(図1の(C)参照)
配向物質4としての針状粒子が形成された試料を、550℃に保持した反応容器中に置いて、ヘリウムガスに対するエチレンガスの比が1/99となるように混合されたヘリウム希釈エチレンガスを、反応容器内に導入し、配向物質を昇温されたエチレンガスに晒した。この工程によって、配向物質から陰極基板表面に対して垂直方向に延びた炭素繊維の集合5が、陰極基板表面上に形成された。得られた炭素繊維5の構造は、図3に示したような構造であった。
【0108】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により製造した炭素繊維を用いた電子放出素子を製造した。
【0109】
ゲート電極を備えた陰極基板表面に対して垂直方向に配向した炭素繊維の集合を備える陰極基板に対し、200μmの厚さのスペーサを介して、陽極電極を配置された陽極基板を、陽極電極が配置されている側が、陰極電極側に向くように、対向させた。
【0110】
該陰極電極と該陽極電極の間に、陽極電圧Vaが印加でき、該陽極電極と該陰極電極の間を流れる陽極電流Ieが検出できるように、配線、ならびに、電圧源、電流計を設けた。また、該陰極電極とゲート電極の間に、ゲート電圧Vfが印加でき、該陽極電極と該ゲート電極の間を流れるゲート電流Ifが検出できるように、配線、ならびに、電圧源、電流計を設けた。
【0111】
該電子放出素子を真空容器としてのチャンバー内に配置した。該チャンバーには、ドライポンプを接続し、該ドライポンプと該チャンバーの間に、ターボモレキュラーポンプを接続した。また、該ドライポンプと、該ターボモレキュラーポンプが接続されるための真空排気経路とは別の真空排気経路にイオンポンプを接続した。また、該チャンバーには、該チャンバーを構成する真空部品、ならびに、試料、を加熱するためのヒータと、該加熱による温度変化をモニターするための温度計を設けるとともに、それらを用いて加熱、ならびに、加熱温度のコントロールを行うための温度コントローラを設けた。
【0112】
まず、ドライポンプと、ターボモレキュラーポンプを動作させ、該動作中において、該チャンバーの各部位を250℃〜300℃、試料を250℃になるように、18時間、加熱ならびに温度コントロールした。その後、該チャンバーを自然冷却し、該チャンバーに接続されたイオンポンプ付近の温度、あるいは、イオンポンプ本体の温度が、100℃以下になるまで冷却した後に、該イオンポンプを動作させるとともに、該ドライポンプと、該ターボモレキュラーポンプへの、該チャンバーからの排気経路を遮断した。以上の排気動作によって、該チャンバー内の真空度を、約1.33×10−8Paまで到達する。
【0113】
その後、一定の陽極電圧Vaを印加した状態で、ゲート電圧Vfを印加させると、陽極電流Ieが検出された。こうして得られた該ゲート電圧Vfと該陽極電流Ieの関係において、そのFNプロットは図5に示したような略直線の関係にあり、得られた該ゲート電圧Vfと該陽極電流Ieの関係は、電子放出体からの電子放出に起因することが分かった。
【0114】
(実施例3)
図8に示したような工程で炭素繊維を以下の手順で製造した。
【0115】
高歪点ガラスを基板として用意し、実施例1と同様に洗浄した。洗浄した基板1の表面上に陰極電極2としてTiN薄膜を、イオンビームスパッタによって、厚さが100nmとなるよう形成した。陰極電極2上に下地層3として、Ti薄膜を厚さ20nm、金属触媒6としてCo薄膜を厚さ10nm、カバーメタル7としてのアルミニウム薄膜を厚さ100nm、連続スパッタによって、積層形成した。該カバーメタル上にレジスト8を、スピナーを用いて塗布した。(図8の(A)参照)
次に90℃で2分間ベークした後、パターニングマスクを用いて露光装置によって露光した。そして、110℃で2分間のベークを行った後、レジスト8を現像してパターニングした。その後、流水洗浄を行う。窒素ブローにより水滴と除去した後、再び、110℃で2分間のベーク処理を行った。(図8の(B)参照)
レジスト8に紫外線を照射して、レジスト8をレジスト硬化膜9に改質した後、BCl3とO2の混合ガスを用いて、カバーメタル7としてのアルミニウムをエッチングした。次に、Arガスを用いて金属触媒6としてのコバルトと下地層3としてのチタンをスパッタエッチングした。(図8の(C)参照)
次いで、レジスト硬化膜9を剥離した後、ウェットエッチング工程を施すことによって、カバーメタル7としてのアルミニウムをエッチング除去した。こうして、パターニングされた金属触媒6が露出した試料が得られた。(図8の(D)参照)
温度を300℃に保持した反応容器中にこの試料を置いて、その中で300℃に保持された大気雰囲気に金属触媒6を2時間晒した。これにより、コバルトからなる金属触媒6は酸化コバルトを含む配向物質4に改質された。この配向物質4は、後にX線回折法により解析を行った結果、主成分がCo3O4、副成分としてCoOとCoとが含まれていた。こうして、配向物質4を有する試料が得られた。(図8の(E)参照)
こうして得られた配向物質4を有する試料を、反応容器中に置いて、550℃に維持された、ヘリウムガスに対するエチレンガスの比が1/99であるヘリウム希釈エチレンガスに晒した。これにより、配向物質4から陰極基板表面に対して垂直方向に配向した多数の炭素繊維を成長させることができた。(図8の(F)参照)
(実施例4)
実施例3と同様の方法により製造した炭素繊維を用いた電子放出素子を図9に示したような構成として組み立てた。
【0116】
こうして得られた電子放出素子の特性を測定したところ、そのFNプロットは図10に示したような略直線の関係にあり、得られた該陽極電圧Vaと該陽極電流Ieの関係は、電子放出体からの電子放出に起因することが分かった。
【0117】
(実施例5)
図11に示したような工程で炭素繊維を以下の手順で製造した。
【0118】
高歪点ガラスからなる基板上に、Tiを50nm、Ptを50nm、Tiを5nmの厚さで順に積層してゲート電極を形成した。(図11の(A)参照)
SiO2を成膜し、パターニングして絶縁層43を形成した。(図11の(B)参照)
レジストを塗布し、パターニングした後、陰極電極2となる、厚さ100nmのTiN薄膜を成膜した。(図11の(C)参照)
不図示のメタルマスクを用いて、下地層3となるTiを厚さ20nm、ついで、金属触媒6となるCoを厚さ10nmとなるよう連続スパッタ法によって、積層した。(図11の(D)参照)
リフトオフを行うことによって、試料表面上に残留しているレジスト44を、その上に成膜されたTi、Coとともに除去した。(図11の(E)参照)
こうして得られた試料を350℃に保持した反応容器中に置いて、大気に3時間晒した。こうして、Co3O4を主成分とし、CoOとCoとを含む配向物質4が得られた。(図11の(F)参照)
こうして得られた配向物質4を有する試料を反応容器中に置いて、ヘリウムガスに対するエチレンガスの比を1/99としたヘリウム希釈エチレンガスと、ヘリウムガスに対する該水素ガスの比を1/99としたヘリウム希釈水素ガスとを、反応容器内に導入し、550℃で、配向物質を炭素含有ガスに晒して、配向物質から炭素繊維を基板表面に対して垂直に配向して成長させることができた。
【0119】
(実施例6)
実施例5と同様の方法により製造した炭素繊維を用いた電子放出素子を実施例1と同様の工程で組み立てた。
【0120】
こうして得られた電子放出素子を図12に示したような駆動方法で駆動しその特性を測定したところ、そのFNプロットは図13に示したような略直線の関係にあり、得られた該陽極電圧Vaと該陽極電流Ieの関係は、電子放出体からの電子放出に起因することが分かった。
(実施例7)
実施例1における、酸化性雰囲気中での熱処理の後であって炭素繊維成長前に、酸化金属触媒を水素雰囲気中おいて、600℃で10分間加熱する還元処理を行った。その結果、実施例1と同様に従来より低温で垂直配向した炭素繊維を得ることができた。
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、従来よりも低温で、炭素繊維の成長方向を基板に対して垂直に配向させることができる。また、炭素繊維の向きが揃っているので、該炭素繊維の集合全体の形状が制御しやすくなり、ゲート電極との間で電流リークの恐れが少ない電子放出素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による炭素繊維及びそれを用いた電子放出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図2】酸化金属触媒からなる配向物質の構造を説明するための模式的断面図である。
【図3】炭素繊維の構造を説明するための模式的断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法を説明するための模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による電子放出素子をマトリックス状に配列したマルチ電子源を示す模式的平面図である。
【図7】図6に示したマルチ電子源の部分的な断面を示す模式的平面図である。
【図8】本発明の別の実施形態による炭素繊維及びそれを用いた電子放出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法を説明するための模式図である。
【図10】本発明の別の実施形態による電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態による炭素繊維及びそれを用いた電子放出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態による炭素繊維を用いた電子放出素子の駆動方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の他の実施形態による電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態による電子放出素子をマトリックス状に配列したマルチ電子源を示す模式的平面図である。
【図15】図14に示したマルチ電子源の部分的な断面を示す模式的平面図である。
【符号の説明】
1 基体
2 陰極電極
3 下地層
4 配向物質
5 炭素繊維
6 触媒金属
8 レジスト
9 レジスト硬化膜
10 陽極電極
11 陽極基板
12 真空容器
13 ゲート電極
14 真空排気装置
43 絶縁層
44 レジスト
121 針状粒子
132 グラファイト壁
144 陽極電圧源
145 ゲート電圧源
165 絶縁層
166 列方向配線
Claims (14)
- 基体上に炭素繊維を成長させる成長工程を含む炭素繊維の製造方法において、
前記成長工程が、酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒す工程を、含むことを特徴とする炭素繊維の製造方法。 - 前記基体上にコバルトを含む配向物質を配置し、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する工程を含む請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
- 前記酸化コバルトの針状粒子が分散した液体を前記基体上に塗布する工程を含む請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
- 前記酸化コバルトの針状粒子を基板に吹き付ける工程を含む請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
- 炭素繊維の製造方法において、
基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程と、
酸化コバルトを含む配向物質を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、
前記酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、
を含むことを特徴とする炭素繊維の製造方法。 - 炭素繊維の製造方法において、
基体上にコバルトを含む配向物質を配置する配置工程と、
Co3O4からなる酸化コバルトを含む配向物質を形成すべく、前記コバルトを含む配向物質を酸化性雰囲気中で熱処理する熱処理工程と、
前記酸化コバルトを含む配向物質を炭素含有ガスに晒して炭素繊維を成長させる成長工程と、
を含むことを特徴とする炭素繊維の製造方法。 - 前記酸化コバルトは針状粒子である請求項1、5又は6の何れか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
- 熱処理工程は、熱処理容器内の温度を300℃以上とした状態を2時間以上継続する請求項5又は6に記載の炭素繊維の製造方法。
- 前記基体上にチタンを含む下地層を形成した後、その上に、前記コバルトを含む配向物質を配置する請求項1、5又は6の何れか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
- 前記酸化コバルトはCo3O4からなる請求項1又は5に記載の炭素繊維の製造方法。
- 前記酸化コバルトは針状粒子であり、その直径に対する長さの比が3以上である請求項1、5又は6の何れか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
- 電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子において、請求項1、5又は6の何れか一項に記載の炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維を前記電子放出体として有する電子放出素子。
- 電子放出体を有する陰極の複数と、ゲート電極と、陽極と、発光体と、を備えた画像形成装置において、
請求項1、5又は6の何れか一項に記載の炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維を前記電子放出体として有する画像形成装置。 - 電子放出体を有する陰極を有する電子放出素子において、前記電子放出体はグラファイト壁に内包されたコバルトを含む炭素繊維を有することを特徴とする電子放出素子。
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-
2003
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