【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複合セラミックスおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、加工容易性が要求される構造用セラミックスとして、また、導電性を利用した各種電極材料として有用な複合セラミックスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Al2O3は、研削が困難な材料であり、また、その靭性も窒化ケイ素材料と比較して劣るため、信頼性に欠ける材料であるということができる。これまでに、Al2O3と他の材料とを含有する複合セラミックスが種々検討されてきたが、研削が容易で、しかも信頼性の高いAl2O3を母相とする複合セラミックスは開発されていない現状である。
【0003】
一方、Ti3SiC2は、優れた導電性を有し、しかも低い硬度(4〜6Gpa)と高い靭性(〜8.5Mpa√m)とを有する材料であることが知られている。しかし、曲げ強度に若干劣るという問題があった。
【0004】
Ti3SiC2の製造については、これまでにいくつかの方法が提案されている。例えば、Ti3SiC2の化学量論比となるようなTi、SiCおよびCと共に、少量のTiSi2を添加した混合物を焼成することによって製造する方法が知られている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−504433号公報(特許請求の範囲)
【0006】
しかしながら、前記Ti、SiC、CおよびTiSi2の混合物を用いた場合、得られるセラミックスの密度は、理論密度の85%であった。また、5容量%のTiSi2結晶相を含んでいた。
【0007】
また、前記Ti、SiCおよびCの混合物を一度焼成し、Ti3SiC2を有する塊状物を製造し、この塊状物を粉砕して得られた粉末と少量のTiSi2粉末との混合物を用いた場合、得られるセラミックスの密度は、理論密度の95%と向上した。しかし、5容量%のTiSi2結晶相を含んでいた。
【0008】
さらに、Ti3SiC2を気相合成法(CVD法)によって製造する方法が知られている(特許文献2)。
【0009】
【特許文献2】
特公平7−72104号公報(請求項1〜5)
【0010】
しかし、このTi3SiC2は、CVD法によって製造されるため、生成物は基本的に薄膜状となることから、バルク製品の製造に対応できないという問題があった。また、製造コストが高騰するという問題もあった。
【0011】
Al2O3と他の材料とを含有する複合セラミックスの製造については、例えば、Al2O3粉末と、Ti、SiおよびTiCとの混合物を放電プラズマ焼結する方法が報告されている(非特許文献1)。
【0012】
【非特許文献1】
2002年、日本セラミックス協会年会(予稿集p47/1D40)
【0013】
しかしながら、この製造方法においては、Ti3SiC2の合成は液相を介して行われ、短時間で焼結を完了しなければならないため、焼結体の大きさが極小となる、特殊な形状とすることができない、コスト高となるという問題を有する放電プラズマ焼結法を採用せざるを得なかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような従来の問題を解消し、優れた加工性、低い硬度および高い靭性を有する複合セラミックスを提供すると共に、自在な形状とすることができ、効率的で低廉な複合セラミックスの製造方法を提供することをその課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために、Al2O3とTi3SiC2とを含有する複合セラミックスにおけるTi3SiC2とAl2O3とのX線回折ピーク強度値について種々検討を重ねた結果、両者のX線回折ピーク強度値の比を特定範囲にすることにより、前記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
【0016】
すなわち、この発明の前記課題を解決するための第1の手段は、
(1) Al2O3とTi3SiC2とを含有する複合セラミックスであって、前記Ti3SiC2の〔104〕面に対応するX線回折ピーク強度値と〔008〕面に対応するX線回折ピーク強度値とのうち、いずれか大きい方の値(P値)を、前記Al2O3の〔113〕面に対応するX線回折ピーク強度値で除した値が、0.2〜0.8であることを特徴とする複合セラミックスである。
【0017】
この第1の手段における好ましい態様としては、下記▲1▼および▲2▼の複合セラミックスを挙げることができる。
▲1▼ 前記Ti3SiC2は、その平均粒径が、大きくとも300μmである前記(1)の複合セラミックス。
▲2▼ 前記P値に対するX線回折ピークの強度比が大きくとも0.50であるTiC1−x(ただし、Xは0〜1未満の小数である。)、Ti5Si3およびTiSi2を含有する前記(1)の複合セラミックス。
【0018】
また、この発明の前記課題を解決するための第2の手段は、
(2) Al2O3と、TiC、TiまたはTiH2、SiC、TiSi2、Ti5Si3およびCから選ばれた少なくとも2種の成分とを混合して混合物を調製し、次いで、前記混合物を非酸化性雰囲気中または真空中で焼成することを特徴とする前記(1)の複合セラミックスの製造方法である。
【0019】
この第2の手段における好ましい態様としては、下記▲1▼および▲2▼の複合セラミックスの製造方法を挙げることができる。
▲1▼ 前記焼成を、メタルヒータ炉またはカーボンヒータ炉を用いて1300〜1700℃で行う前記(2)の複合セラミックスの製造方法。
▲2▼ 前記焼成を、加圧下で行う前記(2)の複合セラミックスの製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
(1) この発明の複合セラミックスは、Al2O3とTi3SiC2とを含有する複合セラミックスであって、前記Ti3SiC2の〔104〕面に対応するX線回折ピーク強度値と〔008〕面に対応するX線回折ピーク強度値とのうち、いずれか大きい方の値(P値)を、前記Al2O3の〔113〕面に対応するX線回折ピーク強度値で除した値が、0.2〜0.8であることを特徴とする。
【0021】
この発明の複合セラミックスを構成するAl2O3は、アルミナと称される化合物であり、α−アルミナであっても、γ−アルミナであってもよく、両者の混合物であってもよい。また、この発明の複合セラミックスを構成するTi3SiC2は、通常は六方晶の結晶形態をとる化合物である。
【0022】
ここに、Ti3SiC2の〔104〕面および〔008〕面とあるのは、JCPDSカードNo.40−1132に記載の面であり、Al2O3の〔113〕面とあるのは、JCPDSカードNo.43−1484に記載の面である。
【0023】
この発明の複合セラミックスにおいては、このTi3SiC2の〔104〕面に対応するX線回折ピーク強度値と〔008〕面に対応するX線回折ピーク強度値とのうち、いずれか大きい方の値(P値)を、前記Al2O3の〔113〕面に対応するX線回折ピーク強度値で除した値が、0.2〜0.8であることを要する。
【0024】
前記X線回折は、Al2O3とTi3SiC2とを含有する複合セラミックスの表面からの一定の厚さをダイヤモンド砥石を用いて研削して平面状にし、その後、X線発生装置およびモノクロメータ付き広角ゴニオメータを用いて行う。このとき、管電流、管電圧、ステップおよびスキャンスピードの条件を調整する。
【0025】
前記P値を、前記Al2O3の〔113〕面に対応するX線回折ピーク強度値で除した値が、0.2未満では、Ti3SiC2の含有量が過少となって、複合化の効果を奏することができない。また、0.8を超えると、Ti3SiC2の含有量が過多となって、Al2O3が有する高強度、耐蝕性という作用効果を奏することができなくなる。
【0026】
この発明のAl2O3とTi3SiC2とを含有する複合セラミックスにおいて、Ti3SiC2の含有状態および含有されるTi3SiC2の形態に制限はないが、Al2O3を母相とし、Ti3SiC2を粒子として分散させることが好ましい。このときのTi3SiC2の平均粒径は、大きくとも300μmであることが好ましい。Ti3SiC2の平均粒径が300μm以下であると、複合セラミックスの強度の低下を抑制することができるからである。
【0027】
また、この発明の複合セラミックスは、前記P値に対するX線回折ピークの強度比が大きくとも0.50であるTiC1−x(ただし、Xは0〜1未満の小数である。)、Ti5Si3およびTiSi2を含有していることが好ましい。
【0028】
ここに、Xは0〜1未満の小数であるとあるのは、炭素が欠損していることを表しており、TiC1−xの電荷を中性にする数である。TiC1−xにおけるXが0の場合は、TiCとなる。
【0029】
前記P値に対するX線回折ピークの強度比は、〔P値/TiC1−x、Ti5Si3またはTiSi2のX線回折ピークの強度〕により表される。このP値に対するTiC1−x、Ti5Si3およびTiSi2のX線回折ピークの強度比がそれぞれ0.50以下であると、複合セラミックスの脆化を防止することができるからである。
【0030】
前記TiC1−x、Ti5Si3およびTiSi2の配合割合に制限はないが、三者合計質量に対し、通常は、TiC1−x0〜75体積%、Ti5Si30〜75体積%、TiSi20〜75体積%の範囲から選択、決定される。
【0031】
(2) この発明の複合セラミックスの製造方法は、Al2O3と、TiC、TiまたはTiH2、SiC、TiSi2、Ti5Si3およびCから選ばれた少なくとも2種の成分とを混合して混合物を調製し、次いで、前記混合物を非酸化性雰囲気中または真空中で焼成することを特徴とする。
【0032】
この発明の複合セラミックスの製造方法においては、まず、原料成分であるAl2O3と、TiC、TiまたはTiH2、SiC、TiSi2、Ti5Si3およびCから選ばれた少なくとも2種の成分とを混合して混合物を調製する。
【0033】
これら原料成分は、それぞれを粉末として用い、所定の割合となるように秤量、採取して、ミキサー等により、2〜40時間、水および/またはアルコール中、湿式混合することが好ましい。次いで、得られた混合物(泥しょう)に所望によりバインダーを加え、スプレードライヤー等の造粒機を用いて造粒する。
【0034】
所望により用いるバインダーとしては、特に制限はなく、公知のもの、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。このバインダーの使用量に特に制限はないが、通常は、前記泥しょうの粉末成分100質量部に対し、0.1〜10質量部、好ましくは、0.3〜5質量部である。
【0035】
続いて、造粒することにより得られた粒状体を、必要により金型に充填し成形して成形体を製造する。成形手段としては特に制限はなく、圧縮成形、射出成形、押出成形等が採用され、これらの中でも、より緻密な焼結体が得られる圧縮成形が好ましい。
【0036】
このようにして得られた前記混合物または成形体を焼成することにより、この発明の複合セラミックスが製造される。この焼成は、非酸化性雰囲気中または真空中で行うことが必要である。非酸化性雰囲気中で焼成する態様としては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス雰囲気下に焼成することを挙げることができる。酸素を含む雰囲気下に焼成すると、酸素との反応による原料成分の酸化物が析出する。非酸化性雰囲気中または真空中で焼成を行うことにより、この酸化物の析出が抑制できるからである。
【0037】
その他の焼成条件に特別な制限はないが、メタルヒータ炉またはカーボンヒータ炉を用いて1300〜1700℃、好ましくは、1450〜1650℃で焼成することが望ましい。1450℃以上であると、焼結体の緻密化が促進され、1650℃を越えると、Ti3SiC2が分解したり、複合セラミックスの過剰な粒成長が起きるからである。
【0038】
また、焼成は加圧下、好ましくは、0.5〜10MPaで行うことが望ましい。0.5〜10MPaであると、焼結体の緻密化が促進され、10MPaを越えると、緻密化の程度が最高(頭打ち)となり、コストの上昇を招くからである。焼成時間は通常、1〜5時間、好ましくは、2〜3時間である。
【0039】
メタルヒータ炉は、例えば、発熱体としてモリブデンメッシュヒータを用い、雰囲気制御が可能な電気炉であり、カーボンヒータ炉は、発熱体としてカーボンヒータを用い、雰囲気制御が可能な電気炉である。このような炉を用いて焼成することにより、非酸化性雰囲気下、焼成することができるという利便性を確保することができる。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。
【0041】
実施例1〜8および比較例1〜5
表1に示す原料粉末を、表1に示す割合で配合し、エタノールを媒体として、アルミナ製のボールと容器とにより湿式粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥し、この乾燥物を100メッシュの篩を通すことにより造粒した。この造粒粉を金型一軸プレス法によって成形し、冷間静水圧プレス(CIP)により高密化した。続いて、得られた成形体を表1に示す焼成温度で2時間、アルゴン雰囲気圧力0.1MPa下、メタル(モリブデン)ヒータ炉中で焼成した後、アルゴン圧力10MPa下、1600℃で2時間、熱間静水圧プレス(HIP)により緻密化を図って、表2に示す複合セラミックスを製造した。
【0042】
表2に、製造された複合セラミックスの密度(%)、X線回折ピーク強度比およびTi3SiC2の平均粒径を示す。表2における「密度(%)」は、このセラミックスの密度の理論密度に対する割合であり、〔密度/理論密度×100〕により表される。また、表2におけるX線回折ピーク強度比(強度比1および強度比2)は、次のとおりである。
A Ti3SiC2/Al2O3
B TiC/Ti3SiC2
C TiSi2/Ti3SiC2
D Ti5Si3/Ti3SiC2
【0043】
なお、X線回折は、複合セラミックスの表面から1mmを♯200のダイヤモンド砥石を用いて研削して平面状にし、その後、X線発生装置(リガク社製、RU−200T)およびモノクロメータ付き広角ゴニオメータを用いて行った。条件は、管電流100A、管電圧40kV、ステップ0.01°、スキャンスピード10°/分とした。また、平均粒径は、インターセプト法により測定した。詳しくは、走査型電子顕微鏡(SEM)写真において、Ti3SiC2の6mmの間に粒界と交差する回数から平均の粒界間の距離を算出し、平均粒径とした。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
なお、前記X線回折ピークは、表3に示すものを用いて求めた。
【表3】
【0047】
また、製造された複合セラミックスの曲げ強度(JIS1601)、破壊靭性(JIS1604)および切削性を表4に示す。切削性は、♯200、♯400のダイヤモンド砥石を用いた研削試験および刃厚さ1.0mmのダイヤモンドホイールを用いた切断試験によって評価した。
【0048】
評価は、加工時の抵抗、チッピングの有無により、抵抗が低く、チッピングの認められないものについて行った。結果を表4に示す。評価基準は次のとおりである。
◎ アルミナ単体に比較して特に優れる。
○ アルミナ単体に比較して優れる。
× アルミナ単体と同レベル。
【0049】
【表4】
【0050】
表4から明らかなように、実施例における複合セラミックスは、曲げ強度、破壊靭性および切削性に優れている。また、Ti3SiC2の平均粒径が300μm以下であると、300μmを越えるものに比べて、さらに曲げ強度が高くなっている。比較例1および3においては、切削性に劣り、比較例2および4においては、曲げ強度が低下している。
【0051】
実施例9〜21
表5に示す原料粉末を、表5に示す割合で配合し、エタノールを媒体として、アルミナ製のボールと容器とにより湿式粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥し、この乾燥物を100メッシュの篩を通すことにより造粒した。この造粒粉を金型一軸プレス法によって成形し、CIPにより高密化した。続いて、得られた成形体を、1600℃で2時間、アルゴン雰囲気圧力0.1MPa下、カーボンヒータ炉中で焼成した後、アルゴン圧力10MPa下、1600℃で2時間、HIPにより緻密化を図って、表6に示す複合セラミックスを製造した。
【0052】
表6に、製造された複合セラミックスの密度(%)、X線回折ピーク強度比およびTi3SiC2の平均粒径を示す。表6における「密度(%)」は、前記と同様であり、X線回折も前記と同様である。また、表6におけるX線回折ピーク強度比(強度比3および強度比4)は、次のとおりである。
E Ti3SiC2/Al2O3
F TiC/Ti3SiC2
G TiSi2/Ti3SiC2
H Ti5Si3/Ti3SiC2
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
また、製造された複合セラミックスの曲げ強度(JIS1601)、破壊靭性(JIS1604)および切削性を評価した。評価試験および評価基準は、前記と同様である。結果を表7に示す。
また、製造された複合セラミックスの曲げ強度(JIS1601)、破壊靭性(JIS1604)および切削性を評価した。評価試験および評価基準は、前記と同様である。結果を表7に示す。
【0056】
【表7】
【0057】
【発明の効果】
この発明によれば、優れた加工性、低い硬度および高い靭性を有する複合セラミックスが提供されると共に、自在な形状とすることができ、効率的で低廉な複合セラミックスの製造方法が提供され、加工容易性が要求される構造用セラミックスとして、また、導電性を利用した各種電極材料として有用なセラミックスを提供することができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a composite ceramic and a method for producing the same, and more particularly, to a composite ceramic useful as a structural ceramic requiring ease of processing and as various electrode materials utilizing conductivity, and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
Since Al 2 O 3 is a material that is difficult to grind and has a lower toughness than a silicon nitride material, it can be said that Al 2 O 3 is a material lacking in reliability. Various composite ceramics containing Al 2 O 3 and other materials have been studied so far, but a composite ceramic using Al 2 O 3 as a matrix which is easy to grind and has high reliability has been developed. Not at present.
[0003]
On the other hand, Ti 3 SiC 2 is known to have excellent electrical conductivity, yet is a material having low hardness (4~6Gpa) and high toughness and (~8.5Mpa√ m). However, there was a problem that the bending strength was slightly inferior.
[0004]
Several methods have been proposed for the production of Ti 3 SiC 2 . For example, a method is known in which a mixture of Ti, SiC, and C having a stoichiometric ratio of Ti 3 SiC 2 and a small amount of TiSi 2 added is fired (Patent Document 1).
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Application Publication No. 2001-504433 (Claims)
[0006]
However, when the mixture of Ti, SiC, C and TiSi 2 was used, the density of the obtained ceramic was 85% of the theoretical density. It also contained 5% by volume of a TiSi 2 crystal phase.
[0007]
Further, a mixture of Ti, SiC and C was fired once to produce a lump having Ti 3 SiC 2 , and a mixture of a powder obtained by pulverizing the lump and a small amount of TiSi 2 powder was used. In this case, the density of the obtained ceramic was improved to 95% of the theoretical density. However, it contained 5% by volume of a TiSi 2 crystal phase.
[0008]
Furthermore, a method of manufacturing Ti 3 SiC 2 by a gas phase synthesis method (CVD method) is known (Patent Document 2).
[0009]
[Patent Document 2]
Japanese Patent Publication No. 7-72104 (Claims 1 to 5)
[0010]
However, since this Ti 3 SiC 2 is manufactured by the CVD method, the product is basically in the form of a thin film, so that there is a problem that it cannot cope with the manufacture of a bulk product. In addition, there has been a problem that the manufacturing cost rises.
[0011]
Regarding the production of composite ceramics containing Al 2 O 3 and other materials, for example, a method of spark plasma sintering a mixture of Al 2 O 3 powder and Ti, Si, and TiC has been reported (non-patent literature). Patent Document 1).
[0012]
[Non-patent document 1]
2002, Annual Meeting of the Ceramic Society of Japan (Preliminary Collection, p47 / 1D40)
[0013]
However, in this manufacturing method, the synthesis of Ti 3 SiC 2 is performed through a liquid phase, and sintering must be completed in a short time. However, the discharge plasma sintering method has a problem that the cost increases.
[0014]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention solves such a conventional problem and provides a composite ceramic having excellent workability, low hardness and high toughness, and can be formed into a free shape, and is an efficient and inexpensive composite ceramic. It is an object to provide a manufacturing method.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
Means for Solving the Problems In order to solve the above problems, the present inventors have variously studied the X-ray diffraction peak intensity values of Ti 3 SiC 2 and Al 2 O 3 in a composite ceramic containing Al 2 O 3 and Ti 3 SiC 2. As a result, the inventors have found that the above problem can be solved by setting the ratio of the X-ray diffraction peak intensity values of the two to a specific range, and have completed the present invention based on this finding.
[0016]
That is, a first means for solving the above-mentioned problem of the present invention is:
(1) A composite ceramic containing Al 2 O 3 and Ti 3 SiC 2 , wherein the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [104] plane of Ti 3 SiC 2 and the X-ray diffraction value corresponding to the [008] plane The value obtained by dividing the larger one (P value) of the X-ray diffraction peak intensity values of the X-ray diffraction peak intensity values corresponding to the [113] plane of Al 2 O 3 is 0.2 to 0.2. It is a composite ceramic characterized by being 0.8.
[0017]
Preferred embodiments of the first means include the following composite ceramics (1) and (2).
{Circle around (1)} The composite ceramic according to (1), wherein the Ti 3 SiC 2 has an average particle size of at most 300 μm.
{Circle around (2)} TiC 1-x (where X is a decimal number less than 0-1), Ti 5 Si 3 and TiSi 2 having an intensity ratio of the X-ray diffraction peak to the P value of at most 0.50. The composite ceramic according to the above (1).
[0018]
Further, a second means for solving the above problems of the present invention is:
(2) A mixture is prepared by mixing Al 2 O 3 with at least two components selected from TiC, Ti or TiH 2 , SiC, TiSi 2 , Ti 5 Si 3 and C, and then the mixture is prepared. Is fired in a non-oxidizing atmosphere or in a vacuum.
[0019]
Preferred embodiments of the second means include the following methods (1) and (2) for producing a composite ceramic.
{Circle around (1)} The method for producing a composite ceramic according to the above (2), wherein the firing is performed at 1300 to 1700 ° C. using a metal heater furnace or a carbon heater furnace.
{Circle around (2)} The method for producing a composite ceramic according to the above (2), wherein the firing is performed under pressure.
[0020]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
(1) The composite ceramic of the present invention is a composite ceramic containing Al 2 O 3 and Ti 3 SiC 2 , wherein the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [104] plane of Ti 3 SiC 2 is [ 008] of the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the plane, the larger value (P value) was divided by the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [113] plane of Al 2 O 3 . The value is 0.2 to 0.8.
[0021]
Al 2 O 3 constituting the composite ceramics of the present invention is a compound called alumina, and may be α-alumina, γ-alumina, or a mixture of both. Further, Ti 3 SiC 2 constituting the composite ceramics of the present invention is a compound which usually takes a hexagonal crystal form.
[0022]
Here, the [104] plane and [008] plane of Ti 3 SiC 2 correspond to the JCPDS card No. 40-1132, and the [113] plane of Al 2 O 3 is the JCPDS card No. 43-1484.
[0023]
In the composite ceramics of the present invention, the larger one of the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [104] plane and the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [008] plane of Ti 3 SiC 2 . The value obtained by dividing the value (P value) by the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [113] plane of Al 2 O 3 needs to be 0.2 to 0.8.
[0024]
In the X-ray diffraction, a certain thickness from the surface of the composite ceramics containing Al 2 O 3 and Ti 3 SiC 2 is ground using a diamond grindstone into a flat shape, and thereafter, an X-ray generator and a monochromator are used. This is performed using a wide-angle goniometer with a meter. At this time, the conditions of the tube current, tube voltage, step and scan speed are adjusted.
[0025]
If the value obtained by dividing the P value by the X-ray diffraction peak intensity value corresponding to the [113] plane of Al 2 O 3 is less than 0.2, the content of Ti 3 SiC 2 becomes too small, and The effect of conversion cannot be exhibited. On the other hand, if it exceeds 0.8, the content of Ti 3 SiC 2 becomes excessive, and the effect of high strength and corrosion resistance of Al 2 O 3 cannot be exhibited.
[0026]
In the composite ceramic containing Al 2 O 3 and Ti 3 SiC 2 of the present invention, it is not limited to the embodiment Ti 3 SiC 2 contained state and containing Ti 3 SiC 2, the mother phase Al 2 O 3 It is preferable to disperse Ti 3 SiC 2 as particles. At this time, the average particle diameter of Ti 3 SiC 2 is preferably at most 300 μm. This is because when the average particle size of Ti 3 SiC 2 is 300 μm or less, a decrease in the strength of the composite ceramic can be suppressed.
[0027]
In the composite ceramics of the present invention, TiC 1-x (where X is a decimal number less than 0 to 1 ) and Ti 5 in which the intensity ratio of the X-ray diffraction peak to the P value is at most 0.50. It preferably contains Si 3 and TiSi 2 .
[0028]
Here, X being a decimal number from 0 to less than 1 indicates that carbon is deficient, and is a number that makes the charge of TiC 1-x neutral. When X in TiC 1-x is 0, it becomes TiC.
[0029]
The intensity ratio of the X-ray diffraction peak to the P value is represented by [P value / X-ray diffraction peak intensity of TiC 1-x , Ti 5 Si 3 or TiSi 2 ]. This is because embrittlement of the composite ceramics can be prevented when the intensity ratio of the X-ray diffraction peaks of TiC 1-x , Ti 5 Si 3 and TiSi 2 to this P value is 0.50 or less, respectively.
[0030]
The TiC 1-x, is not limited to the mixing ratio of Ti 5 Si 3 and TiSi 2, tripartite total mass to typically, TiC 1-x 0 to 75 vol%, Ti 5 Si 3 0~75 volume %, TiSi 2 0 to 75% by volume.
[0031]
(2) In the method for producing a composite ceramic according to the present invention, Al 2 O 3 is mixed with at least two kinds of components selected from TiC, Ti or TiH 2 , SiC, TiSi 2 , Ti 5 Si 3 and C. To prepare a mixture, and then calcining the mixture in a non-oxidizing atmosphere or in a vacuum.
[0032]
In the method for manufacturing a composite ceramic according to the present invention, first, Al 2 O 3 as a raw material component and at least two components selected from TiC, Ti or TiH 2 , SiC, TiSi 2 , Ti 5 Si 3 and C are used. To prepare a mixture.
[0033]
It is preferable that each of these raw material components is used as a powder, weighed and collected so as to have a predetermined ratio, and wet-mixed in water and / or alcohol by a mixer or the like for 2 to 40 hours. Next, a binder is added to the obtained mixture (mud) if desired, and the mixture is granulated using a granulator such as a spray dryer.
[0034]
The binder used if desired is not particularly limited, and includes known ones such as polyvinyl alcohol, polyvinyl pyrrolidone, polyacrylic acid, polyacrylamide, polyethylene oxide, polyethylene imine, carboxymethyl cellulose, and the like. The amount of the binder used is not particularly limited, but is usually 0.1 to 10 parts by mass, preferably 0.3 to 5 parts by mass, based on 100 parts by mass of the slurry powder component.
[0035]
Subsequently, the granules obtained by granulation are filled in a mold as necessary and molded to produce a molded body. The molding means is not particularly limited, and compression molding, injection molding, extrusion molding, and the like are employed. Among these, compression molding, which can obtain a denser sintered body, is preferable.
[0036]
The composite ceramics of the present invention is manufactured by firing the mixture or the molded body thus obtained. This firing needs to be performed in a non-oxidizing atmosphere or in a vacuum. Examples of the mode of firing in a non-oxidizing atmosphere include firing in a rare gas atmosphere such as helium, neon, or argon. When firing in an atmosphere containing oxygen, an oxide of a raw material component is precipitated by a reaction with oxygen. This is because by performing the firing in a non-oxidizing atmosphere or in a vacuum, the precipitation of this oxide can be suppressed.
[0037]
There are no particular restrictions on other firing conditions, but firing is preferably performed at 1300 to 1700 ° C, preferably 1450 to 1650 ° C, using a metal heater furnace or a carbon heater furnace. If the temperature is 1450 ° C. or higher, the densification of the sintered body is promoted. If the temperature exceeds 1650 ° C., Ti 3 SiC 2 is decomposed or excessive grain growth of the composite ceramic occurs.
[0038]
Further, it is desirable that the firing be performed under pressure, preferably at 0.5 to 10 MPa. When the pressure is 0.5 to 10 MPa, the densification of the sintered body is promoted. When the pressure exceeds 10 MPa, the degree of the densification is maximized (rounds off), which leads to an increase in cost. The firing time is usually 1 to 5 hours, preferably 2 to 3 hours.
[0039]
The metal heater furnace is, for example, an electric furnace capable of controlling the atmosphere using a molybdenum mesh heater as a heating element, and the carbon heater furnace is an electric furnace capable of controlling the atmosphere using a carbon heater as a heating element. By firing using such a furnace, the convenience of firing in a non-oxidizing atmosphere can be ensured.
[0040]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited by these Examples.
[0041]
Examples 1 to 8 and Comparative Examples 1 to 5
The raw material powders shown in Table 1 were blended in the proportions shown in Table 1, and were wet-pulverized and mixed with an alumina ball and a container using ethanol as a medium. Next, the obtained mixture was dried and the dried product was granulated by passing through a 100-mesh sieve. This granulated powder was formed by a uniaxial pressing method in a mold, and was densified by a cold isostatic press (CIP). Subsequently, the obtained molded body was fired in a metal (molybdenum) heater furnace at a firing temperature shown in Table 1 for 2 hours under an argon atmosphere pressure of 0.1 MPa, and then at 1600 ° C. for 2 hours under an argon pressure of 10 MPa. The composite ceramics shown in Table 2 were produced by densification by hot isostatic pressing (HIP).
[0042]
Table 2 shows the density (%), the X-ray diffraction peak intensity ratio, and the average particle size of Ti 3 SiC 2 of the manufactured composite ceramics. “Density (%)” in Table 2 is a ratio of the density of the ceramic to the theoretical density, and is represented by [density / theoretical density × 100]. The X-ray diffraction peak intensity ratios (intensity ratio 1 and intensity ratio 2) in Table 2 are as follows.
A Ti 3 SiC 2 / Al 2 O 3
B TiC / Ti 3 SiC 2
C TiSi 2 / Ti 3 SiC 2
D Ti 5 Si 3 / Ti 3 SiC 2
[0043]
The X-ray diffraction was performed by grinding 1 mm from the surface of the composite ceramic using a # 200 diamond grindstone into a flat shape, and then using an X-ray generator (Rigaku Corporation, RU-200T) and a wide-angle goniometer with a monochromator. This was performed using The conditions were a tube current of 100 A, a tube voltage of 40 kV, a step of 0.01 °, and a scan speed of 10 ° / min. The average particle size was measured by an intercept method. Specifically, in a scanning electron microscope (SEM) photograph, the average distance between the grain boundaries was calculated from the number of times of intersecting with the grain boundaries within 6 mm of Ti 3 SiC 2 , and the average distance between the grain boundaries was calculated.
[0044]
[Table 1]
[0045]
[Table 2]
[0046]
The X-ray diffraction peak was determined using the one shown in Table 3.
[Table 3]
[0047]
Table 4 shows the bending strength (JIS1601), fracture toughness (JIS1604), and machinability of the manufactured composite ceramics. The machinability was evaluated by a grinding test using a diamond wheel of # 200 and # 400 and a cutting test using a diamond wheel having a blade thickness of 1.0 mm.
[0048]
The evaluation was performed for those having low resistance and no chipping, depending on the resistance during processing and the presence or absence of chipping. Table 4 shows the results. The evaluation criteria are as follows.
◎ Particularly superior to alumina alone.
○ Superior to alumina alone.
× Same level as alumina alone.
[0049]
[Table 4]
[0050]
As is clear from Table 4, the composite ceramics in Examples have excellent bending strength, fracture toughness, and machinability. Further, when the average particle size of Ti 3 SiC 2 is 300 μm or less, the bending strength is further increased as compared with the case where the average particle size exceeds 300 μm. In Comparative Examples 1 and 3, the machinability was inferior, and in Comparative Examples 2 and 4, the bending strength was reduced.
[0051]
Examples 9 to 21
The raw material powders shown in Table 5 were blended in the proportions shown in Table 5, and were wet-pulverized and mixed with an alumina ball and a container using ethanol as a medium. Next, the obtained mixture was dried and the dried product was granulated by passing through a 100-mesh sieve. This granulated powder was formed by a uniaxial pressing method in a mold, and was densified by CIP. Subsequently, the obtained compact was fired in a carbon heater furnace at 1600 ° C. for 2 hours under an argon atmosphere pressure of 0.1 MPa, and then densified by HIP at 1600 ° C. for 2 hours under an argon pressure of 10 MPa. Thus, composite ceramics shown in Table 6 were produced.
[0052]
Table 6 shows the density (%), the X-ray diffraction peak intensity ratio, and the average particle size of Ti 3 SiC 2 of the manufactured composite ceramics. "Density (%)" in Table 6 is the same as above, and the X-ray diffraction is also the same as above. The X-ray diffraction peak intensity ratios (intensity ratio 3 and intensity ratio 4) in Table 6 are as follows.
E Ti 3 SiC 2 / Al 2 O 3
F TiC / Ti 3 SiC 2
G TiSi 2 / Ti 3 SiC 2
H Ti 5 Si 3 / Ti 3 SiC 2
[0053]
[Table 5]
[0054]
[Table 6]
[0055]
Further, the bending strength (JIS1601), fracture toughness (JIS1604) and machinability of the manufactured composite ceramics were evaluated. Evaluation tests and evaluation criteria are the same as described above. Table 7 shows the results.
Further, the bending strength (JIS1601), fracture toughness (JIS1604) and machinability of the manufactured composite ceramics were evaluated. Evaluation tests and evaluation criteria are the same as described above. Table 7 shows the results.
[0056]
[Table 7]
[0057]
【The invention's effect】
According to the present invention, a composite ceramic having excellent workability, low hardness, and high toughness is provided, and an efficient and inexpensive method for producing a composite ceramic which can be formed into any shape is provided. It is possible to provide ceramics useful as structural ceramics requiring easiness and various electrode materials utilizing conductivity.