JP2004291306A - 透明バリアフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも高いガス・水蒸気バリア性能を持つ透明バリアフィルムを提供する。
【解決手段】表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、その表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層をプラスチック基材上に3層以上形成した透明バリアフィルム。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材、エレクトロニクス部材、一般包装部材、薬品包装部材などの幅広い用途に応用が可能なガス・水蒸気バリア性の高い透明バリアフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラスチック基材の表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガス・水蒸気バリアフィルムは、ガスや水蒸気の遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。
【0003】
特に液晶表示素子EL素子などへの応用が進んでいる透明基板には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等の基板が採用され始めている。また、プラスチック基板は上記要求に応えるだけでなく、ロールトゥロール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。
【0004】
しかしながら、透明プラスチック等の基板はガラスに対しガス・水蒸気バリア性が劣るという問題がある。ガス・水蒸気バリア性が劣る基板を用いると、ガスや水蒸気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。この様な問題を解決するためにプラスチック基板上に金属酸化物薄膜を形成して透明バリアフィルムとすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用される透明バリアフィルムとしてはプラスチック基板上に酸化珪素を蒸着したもの(特許文献1)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特許文献2)が知られており、いずれも1g/m/day程度の水蒸気バリア性を有する。近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発により透明バリアフィルムへのバリア性能について0.1g/m/day程度まで要求が上がってきている。これに応えるためにより高いバリア性能が期待できる手段としてスパッタリング法やCVD法による成膜検討が行われている。
【0005】
ところが、ごく近年においてさらなるバリア性を要求される有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイなどの開発が進み、これに使用可能な透明性を維持しつつもさらなる高バリア性0.1g/m/day未満の性能をもつ透明バリアフィルムが要求されるようになってきた。
【0006】
【特許文献1】
特公昭53−12953号公報
【特許文献2】
特開昭58−217344号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来よりも高いガス・水蒸気バリア性能を持つ透明バリアフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、その表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層がプラスチック基材の少なくとも片面に少なくとも3層以上積層されたことを特徴とする透明バリアフィルム。
(2)表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、その表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層がプラスチック基材の少なくとも片面に少なくとも3層以上積層されたことを特徴とする透明バリアフィルム。
(3)プラスチック基材上にSiOxNy(1<x<2、0≦y≦1.3)層▲1▼、前記SiOxNy層▲1▼とは異なる無機物質層▲2▼、SiOxNy(1<x<2、0≦y≦1.3)層▲3▼を順次積層した透明バリアフィルムであって、無機物質層▲2▼と前記SiOxNy層▲1▼および/またはSiOxNy層▲3▼との厚みの比が、0.002≦(無機物質層▲2▼)/(SiOxNy層▲1▼および/またはSiOxNy層▲3▼)≦0.5である透明バリアフィルム。
(4)前記無機物質層▲1▼と無機物質層▲3▼が同一の組成である(3)の透明バリアフィルム。
(5)前記無機物質層▲1▼と無機物質層▲2▼を複数層順次積層した後に前記無機物質層▲3▼を積層した(3)、(4)の透明バリアフィルム。
(6)前記無機物質層▲2▼がその厚みにおいて透明な無機物質である(3)〜(5)の透明バリアフィルム。
(7)前記無機物質層▲2▼が無機物質層▲1▼及び無機物質層▲3▼と元素濃度比O/(O+N)が異なるSiOxNy層である(3)〜(6)の透明バリアフィルム。
(8)前記無機物質層▲2▼の元素濃度比O/(O+N)が無機物質層▲1▼及び無機物質層▲3▼の元素濃度比O/(O+N)よりも大である(7)の透明バリアフィルム。
(9)プラスチック基材と前記無機物質層▲1▼との間に有機物層を持つことを特徴とする(1)〜(8)の透明バリアフィルム。
(10)プラスチック基材のガラス転移温度が200℃以上である(1)〜(9)の透明バリアフィルム。
(11)プラスチック基材がシクロオレフィン系樹脂またはポリエーテルスルホンを主成分とする(1)〜(10)の透明バリアフィルム。
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。プラスチック基材にバリア性を付与する無機物質層を3層以上積層し積層時の各層での構造欠陥位置を異ならせることにより、バリア性を高めるものである。しかし該無機物質形成時には異物の混入などによって無機物質層に突起や穴が生じてしまうことがあり、3層構成における更なるバリア性能の向上を実現するにあたり、各無機物質層において突起や穴のサイズや数量を制限する必要があることがわかった。これを実現するにはプラスチック基材上に無機物質層▲1▼を形成し、つぎに無機物質層▲1▼とは異なる無機物質層▲2▼を形成し、さらに無機物質層▲1▼と同様の無機物質層▲3▼を形成し積層体を構成する。このとき、各無機物質層の表面についてAFMで20μ×20μの範囲を観察し表面の平滑性を確認することが好ましい。さらには、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmで、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、その表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物質層となっていることが好ましい。
【0010】
無機物質層を構成する材料については無機物質層▲3▼は無機物質層▲1▼と同一組成の無機物質でも良い。また、無機物質層▲2▼の組成については、その厚みにおいて透明な無機物質であれば特に制限はない。無機物質層は例えばSi、Al、Ta、W、Nb、Ni、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Cr等の1種以上を含む金属、その酸化物もしくは窒化物もしくは酸化窒化物などを用いることができる。無機物質層▲2▼については、無機物質層▲1▼および無機物質層▲3▼と元素比率が異なれば、SiOxNyでも良く、その元素濃度比O/(O+N)は、特に限定はしないが、無機物質層▲1▼または無機物質層▲3▼よりも大であることが、良好な光線透過率と水蒸気バリア性および曲げによるクラック耐性が得られるので、好ましい。SiOxNy層▲1▼と無機物質層▲2▼を異なる組成とすることにより、SiOxNy層▲1▼が持つ層構造の欠陥部分の成長が無機物質層▲2▼によって断ち切られ、たとえ新たにSiOxNy層▲1▼と同じ組成の無機物質層▲3▼を積層しても、無機物質層▲1▼と無機物質層▲3▼とは構造欠陥部の位置が異なるものと考えられる。無機物質層▲2▼が無い場合には、無機物質層▲1▼の積層後、無機物質層▲3▼を積層すると構造欠陥成長が無機物質層▲1▼と無機物質層▲3▼で同じ位置で継続されてしまい、これを分断することができない。
【0011】
SiOxNy(1<x<2、0≦y≦1.3)層▲1▼をバリアとして備える透明バリアフィルムにおいて、SiOxNy層▲1▼を
無機物質層▲2▼は上記のように層▲1▼と層▲3▼との構造欠陥位置を変えるためのものであるため、特にバリア性は必要なく、層▲1▼および/または層▲3▼との厚さの比は0.002≦(無機物質▲2▼)/(層▲1▼および/または層▲3▼)≦0.5であり、好ましくは0.01≦(無機物質▲2▼)/(層▲1▼および/または層▲3▼)≦0.3、さらに好ましくは0.02≦(無機物質▲2▼)/(層▲1▼および/または層▲3▼)≦0.2である。下限値未満では、構造欠陥成長の分断の効果が十分ではなく、また無機物質層▲2▼が充分に薄ければ、厚いと光線透過率が低くなるような無機物質でも透明性を損なわずに使用することができる。
また、層▲1▼〜▲3▼全体の厚さは10〜500nmであるとより良好な光線透過率と水蒸気バリア性、および曲げによるクラック耐性が得られるので好ましい。
プラスチック基材にSiOxNy(1<x<2、0≦y≦1.3)▲1▼およびそれとは異なる組成の無機物質▲2▼は複数積層してもよく、積層数にはとくに制限はない。積層数を増加することにより、各層の厚さを薄くしても上記理由によりバリア性を十分発現させることができる。また、クラック耐性も向上する。
【0012】
無機物質層の形成方法については真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、スパッタリングなどの手段で実現される。特に、組成のコントロール性がよく、緻密な膜を形成できるスパッタリング、真空工程が不要で成膜コストの安価な大気圧の近傍下で放電プラズマ処理を利用することにより無機膜を成膜する常圧CVDが好ましい。スパッタリング方式は特に制限されるものではなく、例えば、DCスパッタリング方式、RFスパッタリング方式、RFとDCを混合する方式等を選択できる。
【0013】
また、プラスチック基材と無機物質層との間に有機物層を設けると無機物質層の曲げに対する耐性や密着性の向上を見込める。この場合、有機物層の材質については特に制限はないが、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を使用することができる。中でも、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌル酸アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーを塗工後、架橋させて得られる高分子を主成分とすることが塗工性も良く好ましい。特に架橋度が高い、イソシアヌル酸アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートを主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いても、また1官能のアクリレートを混合して用いても良い。また、それ自体で比較的バリア性のあるPVA系やEVA系、ポリ塩化ビニリデン、もしくはこれらの樹脂の複数を混用することもできる。樹脂基材直上の有機物層▲1▼については、その厚みの制限は特に無いが、0.01〜10μmが好ましい。
【0014】
本発明のプラスチック基板としては何ら制限はないが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィン系樹脂等を使用することができる。特に、ガラス転移温度が200℃以上のシクロオレフィン系樹脂やポリエーテルスルホンは光学特性が良好で耐熱性が高く、有機物層無機物層形成プロセスにおいて高温処理による変形や劣化が無いので好ましい。また、異なる樹脂を組み合わせてもかまわない。
【0015】
【実施例】
以下本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は、何ら下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエーテルスルホン基板にイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート50重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG−907)1.5重量部を酢酸イソアミル33重量部、ブチルセロソルブ17重量部にて撹拌溶解してRC=50wt%の均一な溶液をスピンコーターで塗布し、120℃5分加熱乾燥後さらにUV照射で硬化させて5μmの樹脂層を形成した。つぎに、スパッタ装置の真空槽内に前記有機物層を形成した基板をセットし10−4Pa台まで真空引きし、反応ガスとして酸素を分圧で0.015Pa導入、さらに系全体の圧力が0.13Paになるように放電ガスとしてアルゴンを導入した。雰囲気圧力が安定したところで放電を開始しSiターゲット上にプラズマを発生させ、スパッタリングプロセスを開始した。プロセスが安定したところでシャッターを開き基板への酸化珪素層(層▲1▼)の形成を開始した。80nmの膜が堆積したところでシャッターを閉じて層▲1▼の成膜を終了した。ここで、層▲1▼形成済みの基板の一部を切り取り層▲1▼の表面平滑性をAFMにて20μ×20μの範囲を評価したところ、Ra=1.2nm、Ry=0.2μm、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい突起が無い平滑性を有した。続いて、再びスパッタ装置の真空槽内に前記層▲1▼を形成した基板をセットし10−4Pa台まで真空引きし、反応ガスとして酸素分圧を0.009Pa、系全体の圧力を0.13Paになるようにアルゴンを導入した。雰囲気圧力が安定したところで放電を開始し、クロムターゲット上にプラズマを発生させ、スパッタリングプロセスを開始した。プロセスが安定したところでシャッターを開き基板への酸化クロム層(層▲2▼)の形成を開始した。10nmの膜が堆積したところでシャッターを閉じて成膜を終了した。ここで、層▲2▼形成済みの基板の一部を切り取り層▲2▼の表面平滑性を層▲1▼の評価と同じ方法にて評価したところ、Ra=1.2nm、Ry=0.2μm、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい突起が無い平滑性を有した。続いて、再びスパッタ装置の真空槽内に前記層▲2▼を形成した基板をセットし10−4Pa台まで真空引きし、層▲1▼と同様の条件で層▲3▼を50 nm堆積させた。真空槽内に大気を導入し、基板を取り出した。層▲3▼の表面平滑性を層▲1▼の表面平滑性の評価と同じ方法にて評価したところ、Ra=1.4nm、Ry=0.2μm、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい突起が無い平滑性を有した。この透明バリアフィルムの水蒸気透過度をJISK7129B(40℃、湿度90%)に準拠して測定したところ、0.1g/m/day(信頼限界)未満で、透明性にも問題がなかった。作製した透明バリアフィルム上に透明導電膜として、パルスDCマグネトロン法により初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入して1×10−1Paの条件下においてITOターゲットにてスパッタリングを行いIn/In+Snの原子比が0.98である酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1000Å、比抵抗は4×10−4Ω−cmであった。 得られた透明電極/透明バリアフィルムを用いて、有機EL素子を作製した。ITO陽極の上に正孔輸送層としてTPDを40nm蒸着し、ついで電子輸送層兼発光層としてAlq3を70nm蒸着後、陰極としてAg/Mg(10:1)の陰極を200nm蒸着し有機EL素子を作製した。陰極側を紫外線硬化樹脂をシール材とした接着剤を用いてガラス基板で封止した。
作成した有機EL素子を発光させたところ、目視による非発光部は無く、良好な発光特性を示した。
【0016】(実施例2)
実施例1と同様の基板を用い、酸化珪素80nm、酸化クロム5nm、酸化珪素25nm、酸化クロム5nm、酸化珪素25nmの順に成膜した。酸化珪素、酸化クロムの成膜条件は膜厚以外、実施例1と同じとした。この透明バリアフィルムの水蒸気透過度も実施例1同様、信頼限界未満であり、透明性にも問題がなかった。
(実施例3)
実施例1で使用したポリエーテルスルホンの代わりに、ポリカーボネート基板を用いた他は実施例1と同様に、ポリカーボネートの基板上に層▲1▼〜▲3▼の形成を行った。この透明バリアフィルムの水蒸気透過度も実施例1同様、信頼限界未満であり、透明性にも問題がなかった。
(比較例1)
実施例1と同様の条件で、ポリエーテルスルホン基板上に酸化珪素層の形成を行った。各無機物質層の表面平滑性をAFMにて評価したところ、無機物質層▲1▼はRa=11nm、Ry=0.6μm、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい突起が1個存在した。無機物質層▲2▼はRa=12nm、Ry=0.5μm、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい突起が1個存在した。無機物質層▲3▼はRa=14nm、Ry=0.7μm、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい突起が1個存在した。
この透明バリアフィルムの水蒸気透過度をJISK7129B(40℃、湿度90%)に準拠して測定したところ、0.1g/m/day(信頼限界)未満で、透明性にも問題がなかった。作製した透明バリアフィルムを用いて実施例1と同様に有機EL素子を形成し発光評価を行ったところ、目視による非発光部が存在した。
【0017】
(比較例2)
実施例1と同様の条件で、ポリエーテルスルホン基板上に酸化珪素層の形成を行い、その厚みを140nm単層とした。この透明バリアフィルムの水蒸気透過度は、0.14g/m/dayであった。
(比較例3)
実施例1と同様の条件で、ポリエーテルスルホン基板上に酸化珪素を80nm堆積させ、一度真空引きした後、再度同じ条件で酸化珪素10nm、再度真空引き後、さらに同じ条件で酸化珪素50nmを成膜した。この透明バリアフィルムの水蒸気透過度は、0.13g/m/dayであった。
(比較例4)
ポリエーテルスルホン基板に有機物層を形成するところまでは実施例1と同じにした基板上に、酸化クロム80nm、酸化珪素10nm、酸化クロム50nmの順に成膜した。酸化クロム、酸化珪素の成膜条件は膜厚以外、実施例1と同じとした。この透明バリアフィルムの水蒸気透過度は信頼限界未満であったが、透明性に問題があった。
【0018】
実施例1〜3は表示素子としての要求特性を十分に満たしていたが、表面性の劣る比較例1や酸化珪素層単層である比較例2、同じ組成の酸化珪素を3層に分けて積層した比較例3では、光線透過率は良好であったものの、表示素子用としての要求特性を満たさなかった。また、層▲1▼および層▲3▼と層▲2▼の組成を逆にした比較例4では、光線透過率が要求性能を満たさなかった。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、高いガス・水蒸気バリア性と高い透明性をあわせもつことを特徴とする透明バリアフィルムである。本発明の透明バリアフィルムをたとえば表示用素子として適用すれば、軽くて割れないディスプレイが実現できる。また、薬品などの保存に適用すれば中身が見えて、落としても割れないような保存容器を実現することも可能であり、その工業的価値は極めて高い。

Claims (11)

  1. 表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、その表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層がプラスチック基材の少なくとも片面に少なくとも3層以上積層されたことを特徴とする透明バリアフィルム。
  2. 表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、その表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い無機物層がプラスチック基材の少なくとも片面に少なくとも3層以上積層されたことを特徴とする透明バリアフィルム。
  3. プラスチック基材上にSiOxNy(1<x<2、0≦y≦1.3)層▲1▼、前記SiOxNy層▲1▼とは異なる無機物質層▲2▼、SiOxNy(1<x<2、0≦y≦1.3)層▲3▼を順次積層した透明バリアフィルムであって、無機物質層▲2▼と前記SiOxNy層▲1▼および/またはSiOxNy層▲3▼との厚みの比が、0.002≦(無機物質層▲2▼)/(SiOxNy層▲1▼および/またはSiOxNy層▲3▼)≦0.5である透明バリアフィルム。
  4. 前記無機物質層▲1▼と無機物質層▲3▼が同一の組成である請求項3記載の透明バリアフィルム。
  5. 前記無機物質層▲1▼と無機物質層▲2▼を複数層順次積層した後に前記無機物質層▲3▼を積層した請求項3または4記載の透明バリアフィルム。
  6. 前記無機物質層▲2▼がその厚みにおいて透明な無機物質である請求項3〜5何れか一項記載の透明バリアフィルム。
  7. 前記無機物質層▲2▼が無機物質層▲1▼及び無機物質層▲3▼と元素濃度比O/(O+N)が異なるSiOxNy層である請求項3〜6何れか一項記載の透明バリアフィルム。
  8. 前記無機物質層▲2▼の元素濃度比O/(O+N)が無機物質層▲1▼及び無機物質層▲3▼の元素濃度比O/(O+N)よりも大である請求項7記載の透明バリアフィルム。
  9. プラスチック基材と前記無機物質層▲1▼との間に有機物層を持つことを特徴とする請求項1〜8何れか一項記載の透明バリアフィルム。
  10. プラスチック基材のガラス転移温度が200℃以上である請求項1〜9何れか一項記載の透明バリアフィルム。
  11. プラスチック基材がシクロオレフィン系樹脂またはポリエーテルスルホンを主成分とする請求項1〜10何れか一項記載の透明バリアフィルム。
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