JP2004291140A - 微小立体構造物形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タングステンヘキサカルボニルを含む原料ガスをガスノズル1から基板2に吹き付け、そこへイオンビーム3を照射し、基板2上に原料ガスの分解生成物からなる微小立体構造物4を局所的に生成・堆積する。さらに生成した微小立体構造物4の側壁部をイオンビーム3によってエッチングし、側壁の突起を除去する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超微細加工方法に関し、特に、超強度タングステン含有の微細構造体の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タングステン化合物及び金属タングステン(以下、W材料)は、伝導性で、且つ高融点、高硬度である特徴を有する。例えば炭化タングステンは、その硬度、耐摩耗性などの点で非常に優れており、切削工具や、金型などの強い摩擦力、圧力がかかる部品の表面材に使われている。また、金属タングステンも、金属の中で最も高い融点を持つこと、熱膨張係数が最も小さいこと、さらに弾性率、硬度、密度が大きいことから、化合物と同様非常に重要である。これらの特徴を活かして、熱、光を放出するフィラメントや、電子デバイスの配線などの材料として利用されている。
【0003】
さらに近年では、μmやnmの寸法で、センサーやアクチュエータなどの電気機械素子(MEMS素子)を作製する技術が工業応用上非常に重要になっている。MEMS素子においても、高融点、高硬度、耐摩耗性、伝導性などの特性を持つW材料は、非常に重要な材料として、微細構造の作製が試みられている。
【0004】
W材料の加工は、切削、折り曲げ、研磨などの機械加工による方法や、レーザー照射や、放電によって局所的に溶融加工する方法等が一般的である。また、部品の表面だけをW材料の微粒子でコーティングし焼結加工する方法がある。一方、半導体デバイス作製に利用されるリソグラフィや、エッチングの技術によっても、W材料の薄膜の加工が可能である。また、集束イオンビーム(FIB)を用いて、W(CO)6等の金属ヘキサカルボニルの分解生成物を堆積させる方法(特許文献1参照)がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−172013号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般にW材料は、非常に硬く且つ脆いため加工性が良くない。また融点も高いために、溶融して型成形することも困難である。そのため機械加工では100μm以下の微細な構造の作製は非常に困難である。二次元的な薄膜の加工に限れば、半導体デバイスの配線作製技術の応用が可能で、1μm以下の構造を作製することができる。しかし、微細で、且つ3次元的なW材料製の構造物の作製は困難である。一方、FIBを使ったW材料の堆積方法では、唯一微細で、且つ3次元的な構造の作製が可能である。しかし、FIB堆積法では、作製した構造物の側壁が大きく荒れてしまい、加工の微細限界が著しく大きくなる問題があった。さらに、原料の金属ヘキサカルボニルに含まれる炭素、酸素や、FIBのイオン源(例えばGa)が不純物として含まれ、電気抵抗や、融点、硬度などの点で優れた特性の材料を得ることができなかった。
【0007】
本発明の課題は、加工精度、材料特質を向上させた、例えばW材料の100μm以下の微細構造で、特に3次元的な構造物(微小立体構造物)の形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による微小立体構造物形成方法は、以下のとおりである。
【0009】
(1) 原料ガスの雰囲気中に置いた物体にイオンビームを照射することで、該物体上に原料ガスの分解生成物からなる微小立体構造物を局所的に生成、堆積する工程を含む微小立体構造物形成方法であって、前記物体上に生成、堆積した前記微小立体構造物の特定の部位をイオンビームによりエッチングするエッチング工程を有することを特徴とする微小立体構造物形成方法。
【0010】
(2) 上記(1)項に記載の微小立体構造物形成方法において、前記エッチング工程の前あるいは後に前記微小立体構造物を加熱処理することにより材料特性を変化させる工程を、更に含むことを特徴とする微小立体構造物形成方法。
【0011】
(3) 加熱処理温度が600℃以下であることを特徴とする上記(2)項に記載の微小立体構造物形成方法。
【0012】
(4) 加熱処理温度が200℃以下であることを特徴とする上記(2)項に記載の微小立体構造物形成方法。
【0013】
(5) 加熱処理温度が1000℃以上で、前記微小立体構造物の少なくとも一部を結晶化させることを特徴とする上記(2)項に記載の微小立体構造物形成方法。
【0014】
(6) 原料ガスにタングステンヘキサカルボニルを含むことを特徴とする上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の微小立体構造物形成方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明では、FIBを照射することで、原料物質であるタングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)を分解し、その分解生成物からなる微細な立体構造物を作製する方法に関して、その立体構造物の一部を除去(エッチング)することで、その形状のみならず硬度をも改善する手段を提供する。
【0017】
FIB堆積法における、構造物側壁の荒れは、一般にガウス分布のビームプロファイルを持つFIBのテイル(周辺)部分のビームにより引き起こされるので、本質的に抑制することは難しい。そこで、構造物作製後に選択的に除去することで、3次元加工の精度が飛躍的に向上する。さらに、硬度の向上や、共振器として使用した場合に重要な特性であるQ値の向上などの効果を得ることができる。
【0018】
さらに、本発明では、FIB堆積法により作製したW材料製三次元構造物を、前述の除去(エッチング)する工程の前あるいは後に、加熱処理することで、硬度や導電性を改善する手段を提供する。作製した構造物を、乾燥窒素雰囲気で、200度に加熱し、1時間保持したところ、熱処理以前に比べてヤング率が30%向上した。また、10−3Pa以下の真空下で600度に加熱し30分間保持した結果、同じくヤング率が30%向上した。さらに、同様の真空下で900度、30分程度の加熱処理を行った結果、構造物中にタングステン金属および三酸化タングステンの結晶粒が析出する。
【0019】
これらの手法により、1μm以下の加工精度で硬度や導電性に優れたW材料を作製することが出来る。
【0020】
<第一の実施形態>
以下、図1から図3を参照して、本発明の第一の実施形態を説明する。
【0021】
図1は、FIBを用いたW材料製の微細構造物の作製方法を示したものである。微細構造物の作製は、ガスノズル1から基板2にWを含む原料物質を吹き付けておき、そこへFIB3を照射することによって、表面に吸着もしくは場合によっては雰囲気中に漂う原料ガスを局所的に分解し、その分解生成物4を固着、堆積させることによって行う。ビームを照射する領域には、原料ガスの供給が均一になる様な仕組み、例えばガス反射板5を配置しておくことが好ましい。
【0022】
この方法では、Wを含む物質をガス状にして吹き付け、基板上に吸着させる必要がある。従って、原料物質としては、室温では固体でありながら、100度から150度程度の低い融点を持つ物質が好ましい。これにより、50〜100度程度に加熱すれば原料は、蒸発もしくは昇華し、ガス状になって排出することができる。同時に、基板表面はより低い温度、たとえば室温に保てば、基板表面における原料ガスの吸着率が高くなる。ここでは、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)を用いた。原料供給時の成長室内の圧力は10−2Pa以下である。
【0023】
また、本実施形態では原料の供給を局所的に増大し、且つ効率を向上するため、成長点の近傍約0.5mmまで近づけた外径1mm、内径0.4mmの金属製の管を通して、原料を供給している。さらに、成長点近傍の原料分圧を均一に保つために、原料ガスの反射板5を設けている。これにより、三次元的な構造物を作製する場合の、部分的な成長速度の増減を解消することができる。
【0024】
近年では、FIBの最小ビーム径は10nm以下にまで集束することが出来る。FIBを物質に照射すると入射イオンよりエネルギーの小さい二次的なイオンや電子が発生し、照射点から半径50nm程度広がる。原料物質の分解は、入射ビームに加えて二次的なイオン、電子によって起こるため、分解生成物の堆積は照射点からおよそ半径が50nmの範囲で起こる。その結果、約100nmを最小寸法とした構造物の作製が可能である。
【0025】
分解生成物の堆積は、FIBと原料物質を供給し続ける限り連続的に進行する。例えば、原料物質を供給したまま、FIBを同じ点に照射し続ければ、FIBの入射方向に伸びるピラー状の構造物を得ることができる。また、FIBの照射点を、堆積物の成長速度と同程度の速度で移動させれば、FIBの入射方向に対して横方向に伸びる構造物を得ることが出来る。
【0026】
タングステンヘキサカルボニルの分圧を1x10−3Paに保ち、30keVに加速したGa+FIBを、9pAのビーム電流(ビーム径nm)で、Si基板上に5分間定点照射すると、長さ13.5μmのピラー状構造物を得た(図2)。先端の径は230nmで、ピラーの側壁には、細かい枝状の突起物が多数成長している。この突起物は、散乱したイオンおよび二次電子により成長したもので、ガス分圧が1x10−4Pa以上に高い場合や、ビーム電流が1pA以上に高い場合に見られる現象である。この側壁における突起物の成長は、目的の形状の構造物を作製する上で大きな問題となっている。
【0027】
さらに、一般に、イオンビーム堆積法により作製した材料は、イオン衝撃による非晶質化と同時に、打ち込み効果による高密度化が起きるために、高硬度になると考えられている。このピラー状構造物においては、突起物をふくむピラー側壁部では、イオン照射量が中心部に比べて非常に小さい。つまり、ピラー側壁部においては、密度や硬度が、中心部分に比べて低い。
【0028】
また、ピラー中心部のおよそビーム照射点からおよそ半径30nmの範囲には、FIBのイオン種であるGaが混入している。Gaは、融点約30℃に低融点金属で、合金も含めてその機械的強度は低い。その他、原料ガスであるW(CO)6に含まれる炭素および炭素がピラー中には少なからず含まれており、Gaと共にFIBによるW材料の機械的強度を低下させる原因となっている。
【0029】
そこで、FIBにより作製したW材料の第一の特性改質方法として、構造物側壁部を選択的に除去することで、構造物の形状を最適化し、さらに構造物の機械的強度を向上する方法を提供する。側壁部の選択的除去は、成長と同じくFIBを用いて行う。FIBは本来被照射点においてイオン衝撃によるエッチング効果をもたらすことが知られている。
【0030】
具体的な方法は、以下のとおりである。まず、図2で示したピラーについて、成長後に原料ガスの供給を止め、ピラー先端部方向からピラーを観察すると、半径0.1μm程度の芯の部分と、芯から同心円状に広がる突起物が半径0.8μm程度の範囲に広がっていることがわかる。この半径0.8μm程度に広がる突起物の部分が除去すべき部分である。そこで、芯と突起物全体を含む、約1.5x1.5μm2の範囲に平均的に行き渡るようにFIBをラスター走査しながら照射する。ビーム電流は50pA、照射時間は約5分間である。
【0031】
照射を行った結果、密度の小さい側壁の突起物が、イオン衝撃によってより高速でエッチングされるために、突起物のみが除去され、芯の部分はそのまま残る(図3)。これにより、側壁に成長する突起物を持たない三次元構造物の作製が可能になる。さらに、低密度、低硬度な部分を除去したことにより、エッチング後に残った構造物の密度、高度は実質的に向上している。また、エッチング後の構造物を機械的共振器として使用した場合、共振器の表面積が大幅に減ったことにより、微小共振器で重要な表面における振動減衰効果が低減し、共振器のQ値が向上する。
【0032】
FIBにより構造物側壁部のエッチング処理を行う際には、FIBを照射する位置、及び照射を停止する時期を適切に決定するために、加工中の試料表面の状況を把握する必要がある。FIBを含む高エネルギー粒子線を固体に照射すると、非弾性散乱によってエネルギーの一部を失った二次的な電子が固体表面より放出される。その放出強度を、二次電子検出器でモニターすることが可能であり、その強度によって非照射点の材質や形状などの情報を知ることができる。
【0033】
GaイオンのFIBを使用した場合、原料ガスにW(CO)6を用いて成長した構造物と、基板である例えばSiとを比べると、構造物からの二次電子放出が基板からの放出より多い。この現象を利用することで、まず構造物の正確な位置を判定し、適切なエッチング領域を決定することが可能になる。さらに、エッチング処理中には、エッチング領域の適当な地点からの二次電子放出強度を継続的にモニターする。エッチングが完了すると、その地点からの二次電子放出が基板から起こるために、絶対的な放出強度が変化する。この強度変化を検出することで、エッチングを停止するタイミングを正確に決定することができる。
【0034】
上記の手法に基づき、構造物側壁のエッチング処理を行った。試料は、図2に示したようなピラー形状の構造物である。まず、ピラー成長後に原料ガスの供給を止め、ピラー先端部方向からFIBによる二次電子像を観察し、直径0.2μm程度の芯の部分と、芯から直径1.2〜1.5μm程度の範囲に同心円状に広がる突起物があることを確認した。そこで、この領域全体を含む、1.5x1.5μm2角の範囲に、ビーム電流50pAのFIBをラスター走査した。熱ドリフトなどにより、ピラー位置が徐々に移動する場合には、二次電子像を参照してスキャン位置を適切な位置に補正した。
【0035】
その結果、約5分程度で、密度の小さい側壁の突起物が、イオン衝撃によってより高速でエッチングされ、下地の基板であるSiが現れたことが、二次電子強度から確認できたのでエッチング処理を停止した。その結果、側壁の枝上突起物の無いピラー状の構造物を得ることができた。図3は、エッチング処理後のピラーSEM像の一例である。エッチング処理の結果、ピラーの寸法は1.5μmから、0.2μmに大幅に小さくなった。
【0036】
<第一の実施形態の変形例1>
第一の実施形態では、ピラーの中心部分を含む全体にFIBを照射するために、本来残すべき構造物本体部分のエッチングも起きてしまう。そこで、除去すべき側壁部にFIB照射を集中することで、エッチングの効率化と、構造物本体の損傷を防ぐことができる。この方法を、図4を参照して説明する。
【0037】
まず、構造物の設計図(図4(a))を元に、FIB堆積法による立体構造物の成長を行う。次に、作製した構造物の像(図4(b))をFIBを用いて観察する。実際の構造物では、側壁部に突起物成長がおきているので、設計図よりは大きな構造物が観察できる。そこで、元の設計図と、観察した像の差分から、除去すべき領域(図4(c))を決定し、さらに使用するFIBのビーム電流、イオン光学系の設定値からあらかじめ決定してある実効ビーム径を考慮して、周辺部除去に最適なFIB照射領域(図4(d))を決定する。決定したFIB照射領域を元にエッチング加工を行い、FIB照射領域からの二次電子強度の変化を元にエッチングを停止し、改めて像を観察する。観察した像が、設計図に一致すれば加工を終了し、一致しない場合は改めて加工処理を行う。
【0038】
図2と同様のピラー状構造物を用いて、上記の方法でエッチング処理を行った。ビーム電流50pAのFIBを用い、実質的にはおよそ直径0.8μm程度のドーナツ状にFIBを照射した場合、約3分間で突起物の除去を行うことができた。FIB照射によるエッチングがより効率化されたために、加工時間を大幅に短縮することができた。さらに、構造物本体のエッチングは最低限に抑えることができた。
【0039】
<第一の実施形態の変形例2>
第一の実施形態、及び第一の実施形態の変形例1では、FIBを用いてエッチング処理を行った。しかし、FIBは原則一本のビームしか走査できないため、同時に複数の構造物を加工することはできない。そこで、複数の構造物を同時に加工するために、集束していない幅広のビームを用いることができる。この方法を、図5を参照して説明する。
【0040】
まず、第一の実施形態に記述のFIB堆積法を用いて構造物11を作製する。次に、構造物を作製してある基板12などを、回転機構を備えた試料台13に固定する。さらに試料台は、回転軸の角度θが加工用ビーム14の入射方向に対して可変であることが望ましい。加工用ビームには、Gaに加えて、希ガスのイオンや、指向性を持つハロゲン化炭素や、ハロゲン化水素のプラズマを用いることができる。ビームの照射範囲は、エッチング加工を行う構造物全体を覆う程度の広さが必要である。また、加工用ビームの入射方向は、構造物の側壁に垂直方向とし、加工中は試料台を回転することで、側壁全面に平均に加工用ビームを照射することができる。また、構造物が密に存在する場合などで、構造物自身が障壁になってビーム照射が不均一になる場合は試料台の回転軸と、ビーム照射方向の角度を小さくすることで、ビーム照射の不均一をなくすことができる。
【0041】
<第二の実施形態>
第一の実施形態においては、FIBを用いて局所的に堆積させたタングステンカルボニル分解生成物からなる構造物の、側壁部分をエッチング処理によって除去することで、形状の改善、硬度の向上を実現したものである。しかし、依然構造物には不純物として炭素、酸素、Gaを含んでいる。そのため、FIBを用いて作製したW材料は純粋なWCやWに比べて、伝導度や硬度が低い。そこで、FIBにより作製したW材料の第二の特性改質方法として、加熱処理による材料改質方法を提供する。
【0042】
熱処理には、第一の実施形態で作製したものと同様のピラー状構造物で、さらに側壁部のエッチング処理を施したものを使用した。構造物を作製後、加熱処理用のオーブンに入れて、200℃の乾燥窒素雰囲気中で1時間保持した後、徐冷した。加熱処理後のピラーのヤング率は、最大30%上昇した。構造物自体が、およそ100μm以下の微小な寸法であるので、より低い温度での材質の改善が可能である。
【0043】
次に、同じく第一の実施形態の方法で作製したピラーを、1x10−3Pa以下の真空状態にしたガラス管内に保持し、電気炉を用いて過熱した。まず、ピラーを600度に加熱、30分保持した後、約3時間かけて室温に冷却した。冷却後、ヤング率を測定した結果、加熱処理する以前に比べて30%向上し、350GPaとなった。さらに、ピラーの均質性が増し、その結果、機械共振特性(Q値)が向上した。
【0044】
さらに、ピラーを1000度に加熱、30分保持した後、約5時間かけて冷却した後、同様にSEM観察を行ったところ、構造物全体に、粒径が約1μmの結晶粒が現れた。TEMにより、結晶粒の回折パターンを観察した結果、結晶はW金属およびWO3であることがわかった。
【0045】
なお、第二の実施形態では、熱処理は、第一の実施形態で作製したものと同様のピラー状構造物で、さらに側壁部のエッチング処理を施したものに対して熱処理した例を説明したが、エッチング処理を施す前のピラー状構造物に熱処理を施しても同様の効果がある。
【0046】
以上説明したように、本発明によるW材料の成形方法を用いることで、枝状突起物を含む構造物周辺部を除去したW材料の構造物を作製することができ、加工寸法を0.2μmに縮小することができる。さらに、密度、高度の劣る構造物周辺部を除去することによって、構造物の密度、硬度が向上できる。さらに、加熱処理によって硬度を向上することが可能である。さらに、加熱処理によって、金属W結晶を含む微細構造物の作製が可能となる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加工精度、材料特質を向上させた、例えばW材料の100μm以下の微細構造で、特に3次元的な構造物(微小立体構造物)の形成方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるW含有微細構造物の形成方法を説明するための図である。
【図2】本発明によるW含有微細構造物の形成方法におけるエッチング処理以前のW含有微細構造物の電子顕微鏡像である。
【図3】本発明によるW含有微細構造物の形成方法をにおけるエッチング処理を施したW含有微細構造物の電子顕微鏡像である。
【図4】本発明によるW含有微細構造物の形成方法におけるエッチング処理手順を説明するための図である。
【図5】本発明によるW含有微細構造物の形成方法をにおける、エッチング処理方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ガスノズル
2 基板
3 FIB(集束イオンビーム)
4 分解生成物
5 ガス反射板
11 構造物
12 基板
13 試料台
14 加工用ビーム
Claims (6)
- 原料ガスの雰囲気中に置いた物体にイオンビームを照射することで、該物体上に原料ガスの分解生成物からなる微小立体構造物を局所的に生成、堆積する工程を含む微小立体構造物形成方法であって、前記物体上に生成、堆積した前記微小立体構造物の特定の部位をイオンビームによりエッチングするエッチング工程を有することを特徴とする微小立体構造物形成方法。
- 請求項1に記載の微小立体構造物形成方法において、前記エッチング工程の前あるいは後に前記微小立体構造物を加熱処理することにより材料特性を変化させる工程を、更に含むことを特徴とする微小立体構造物形成方法。
- 加熱処理温度が600℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の微小立体構造物形成方法。
- 加熱処理温度が200℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の微小立体構造物形成方法。
- 加熱処理温度が1000℃以上で、前記微小立体構造物の少なくとも一部を結晶化させることを特徴とする請求項2に記載の微小立体構造物形成方法。
- 原料ガスにタングステンヘキサカルボニルを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微小立体構造物形成方法。
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