JP2004290716A - 管内夾雑物の排出方法及び排出具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホース12の先端に取り付けた拡縮可能な袋体11を、縮小状態で枝管2を介して本管1に挿入し、ホース12から流体を供給して袋体11を本管1内で拡張させ、袋体11に形成された傾斜面14が本管1の底部から枝管2の分岐口へ向かうようにして、夾雑物Lを本管1内の流れにより袋体11の傾斜面14沿いに上昇させ、枝管2を介して外部へ排出する。枝管2の上端に取り付けられた消火栓3から袋体11を挿入することもできる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水道管等の管路に混入した土砂等の夾雑物を排出する方法及びその際使用する排出具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、地中に埋設された水道管には、補修工事等に伴って土砂などの夾雑物が混入することがある。この夾雑物を排出するため、一般には、図10に示すように、水道管の本管1から立ち上がる枝管2に接続された消火栓3を開いて、水道水と共に夾雑物を押し出す方法が採用されている。
【0003】
この方法では、比重の小さい夾雑物Sは、本管1の底部に沈むことなく、管内の流速とほぼ等速で移動するので、消火栓3から比較的容易に排出することができる。しかし、砂礫や錆といった比重の大きな夾雑物Lは、本管1の底部を低速で移動し、枝管2の分岐口下方に達しても、枝管2に吸い込まれることなく滞留して、消火栓3から排出されない場合が多い。
【0004】
このため、図11に示すように、本管1の管底の開口部21から渦巻き部22を介して枝管2を分岐させた渦巻き式T字管を使用し、管底部に滞留した比重の大きな夾雑物Lを消火栓3から効率的に排出できるようにする方法も考えられている。ところが、この方法を実施するには、既設の管路に切り込み工事を行う必要があり、コストが非常にかかるという問題がある。
【0005】
その対策として、本出願人は、下記特許文献1において、手軽に使用できる挿入式の夾雑物排出装置を提案している。この装置は、図12に示すように、枝管2の上部に接続する外筒31の内側に、挿入ロッド32のハンドル操作に伴い昇降する排出管33を設け、排出管33を本管1の管底まで到達させて、管底部の夾雑物Lを水流と共に排出管33に押し上げ、外筒31の上端部に接続した排出弁34を介してホース35から排出できるようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−314156号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示す挿入式の装置を使用する方法では、枝管2の上端に消火栓が取り付けられている場合、消火栓を外さなければ作業できず、その作業中、緊急の火災に対処できなくなるという問題が生じる。
【0008】
また、枝管2の下流側で本管1内の水流を堰き止めるバルブ等を閉じておかなければ、水流が枝管2の分岐口より下流側へ逃げるので、夾雑物の捕捉効率が低下するという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、消火栓を外さなくても、効率よく夾雑物を排出できる方法及びその方法に使用する排出具を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明は、ホースの先端に取り付けた拡縮可能な袋体を、縮小状態で枝管を介して本管に挿入し、ホースから流体を供給して袋体を本管内で拡張させ、袋体に形成された誘導面が本管の底部から枝管の分岐口へ向かうようにして、夾雑物を本管内の流れにより袋体の誘導面沿いに上昇させ、枝管を介して外部へ排出することとし、前記袋体を、枝管に取り付けられた消火栓から枝管に挿入することもできるようにしたのである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
この実施形態では、図1に示すように、水道管の本管1から立ち上がる枝管2の上端に消火栓3が取り付けられた部分で作業を行い、袋状の袋体11にホース12を接続した排出具を使用する。ホース12の末端には、袋体11に高圧の空気を供給するコンプレッサー13を接続しておく。
【0013】
ここで、上記袋体11は、ゴム等の弾性を有する材質から成り、ホース12を介して空気を供給すると拡張し、図2に示すように、片側に誘導面として傾斜面14を有する円筒形状となるものである。
【0014】
このような排出具を使用して、本管1内の夾雑物を排出する際には、図3及び図4に示すように、袋体11が縮小した状態で、消火栓3から袋体11を枝管2を介して本管1に挿入する。
【0015】
そして、図1及び図5に示すように、袋体11にコンプレッサー13からホース12を介して空気を供給し、袋体11を本管1内で拡張させ、その傾斜面14が本管1の底部から枝管2の分岐口へ向かうようにする。
【0016】
この状態では、本管1の管内流の方向が傾斜面14により斜め上方へ変えられるので、管底部を流れる比重の大きい夾雑物Lは、傾斜面14沿いに昇り、上向き流速が発生している枝管2の分岐口付近に達し、比重の小さい夾雑物Sと共に一気に吸い上げられ、枝管2を介して消火栓3から排出される。
【0017】
このように、上記排出具を使用すると、既設管路への切り込み工事や、消火栓3の取り外し作業をおこなうことなく、消火栓3を枝管2に取り付けたまま、比重の大きい夾雑物Lを効率よく排出できるので、手間やコストがかからず、緊急の火災に対処することもできる。
【0018】
そして、作業終了後には、袋体11から空気を抜いて、袋体11を縮小させ、ホース12を手繰るようにして、袋体11を引き上げ、枝管2を介して消火栓3から取り出す。
【0019】
なお、本管1内での袋体11の移動を阻止するため、袋体11の外周に凸凹を設け、本管1の内径面との摩擦力を高めるようにしてもよい。この凸凹により袋体11の下流側へ水が多少流れても、作業上問題はない。
【0020】
そのほか、この例では、袋体11に空気を供給して拡張させることとしたが、袋体11に供給する流体は、漏出しても管内の水質に悪影響を与えないものであれば、他の気体や水等の液体であってもよい。
【0021】
また、この例では、袋体11の材料に弾性材を使用して様々な呼び径の本管1に対応できるようにしたが、袋体11は、拡縮が可能で、流体供給時の内圧に耐え得るものであれば、必ずしも弾性材から成るものでなくてもよい。
【0022】
なお、袋体11の誘導面は、図6に示すように、傾斜面14の中間部に段部15を有するものとしてもよく、図7に示すように、角度が異なる傾斜面14を組み合わせたり、図8に示すように、曲面16としたりしてもよい。
【0023】
さらに、図9に示すように、袋体11の内部に通過孔17を設け、その壁面を誘導面としてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、拡縮可能な袋体を縮小状態で枝管を介して本管に挿入し、本管内で拡張させ、袋体の傾斜面沿いに夾雑物を上昇させて排出することとしたので、既設管路への切り込み工事や、消火栓の取り外し作業を行うことなく、消火栓を枝管に取り付けたまま、比重の大きい夾雑物を効率よく排出でき、手間やコストがかからず、緊急の火災に対処することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る排出具の使用状態を示す概略図
【図2】同上の排出具の拡大斜視図
【図3】同上の袋体挿入前の概略図
【図4】同上の袋体挿入過程を示す概略図
【図5】同上の作用状態を示す概略図
【図6】同上の段部付きの袋体を示す概略図
【図7】同上の角度が異なる傾斜面を有する袋体を示す概略図
【図8】同上の曲面を有する袋体を示す概略図
【図9】同上の通過孔を有する袋体を示す概略図
【図10】従来の一般的な消火栓からの排出状態を示す概略図
【図11】同上の渦巻き式T字管を使用した例を示す概略図
【図12】同上の挿入式の夾雑物排出装置の使用状態を示す概略図
【符号の説明】
1 本管
2 枝管
3 消火栓
11 袋体
12 ホース
13 コンプレッサー
14 傾斜面
15 段部
16 曲面
17 通過孔
Claims (3)
- ホースの先端に取り付けた拡縮可能な袋体を、縮小状態で枝管を介して本管に挿入し、ホースから流体を供給して袋体を本管内で拡張させ、袋体に形成された誘導面が本管の底部から枝管の分岐口へ向かうようにして、夾雑物を本管内の流れにより袋体の誘導面沿いに上昇させ、枝管を介して外部へ排出する管内夾雑物の排出方法。
- 前記袋体を、枝管に取り付けられた消火栓から枝管に挿入することを特徴とする請求項1に記載の管内夾雑物の排出方法。
- 拡縮可能な袋体をホースの先端に取り付け、このホースを介して袋体に流体を供給し、袋体を拡張させると、袋体に誘導面が形成されるようにした管内夾雑物の排出具。
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