JP2004290602A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも透液性を有するトップシートと、不透液性を有するバックシートと、前記シート間に介在する吸収体とにより物品本体が形成され、該物品本体を着用者の下着に貼着、固定する接着剤面を有する一対のウィングを両側に備えた吸収性物品において、前記物品本体の長手方向先端を前記下着からの剥離開始の作用点としたとき、前記各ウィングの接着剤面の平面形状を前記作用点に頂角が向いた三角模様とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウィングを備えた生理用ナプキン、パンティーライナー等の吸収性物品に関し、さらに詳細には、ウィングを下着あるいは個装フィルムから剥がし易くした吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような吸収性物品、例えば図6に斜視図で、図7に図6のX−X断面図で示すような生理用ナプキン100は、昼用、夜用等の使用目的により種々の形態のものが知られているが、その基本構成は略同一である。
【0003】
すなわち、この生理用ナプキン100は、着用者の身体と接する側より順に透液性を有するトップシート101と、不透液性を有するバックシート102と、これらのシート間に介在するティッシュ103で全体を被覆された吸収体104とによりナプキン本体105が形成され、このナプキン本体105をショーツ等の下着に貼着、固定するための接着剤面106を有する一対のウィング107を両側に備えている。なお、この生理用ナプキン100では、ナプキン本体104の略中央部には略楕円凹状の体液溜部108が設けられ、この幅方向の両側には体液の漏れ防止用の立体ギャザー109が設けられている。
【0004】
このウィング107は、使用時にナプキン本体105がズレることを防止するもので、着用者の下着の股間部分外面にウィング107を折り返し、ズレ止め用の接着剤面106で貼着、固定して使用される。ところが、この生理用ナプキン100を使用後に下着から取り外す際に、剥離力に起因しウィング107に剪断力が働くためにナプキン本体105が破断することがあり、またウィング107の一部が破れ、この破片がズレ止め用の接着剤106と共に下着の表面に残ってしまう等の問題があった。特に、ナプキン本体105が破断した場合には、破断した部分から体液溜部108に溜まっていた経血等の体液が漏れてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するために、例えば、ウィング107の接着剤面106の接着力を弱くしてウィング107の破断の発生を防止したもの、あるいはウィング107自体の剛性を高めウィング107の操作性を向上させたもの等が提案されている。しかし、ズレ止め用の接着剤面106の接着力を弱くすると、生理用ナプキン100のズレやヨレ防止としての機能がなくなり、逆にウィング107自体の剛性を高めると、ゴワゴワして着用者の装着感を損なうという問題があり、本質的な解決策には至らなかった。
【0006】
そこで、ウィング107の接着剤面106の接着力を十分な範囲に維持しつつ、この下着との装着面を形成するバックシート102と、このバックシート102の上に積層されてウィング107を形成するトップシート101とを、接着剤面106の塗設部位において所定の接合強度で接合し、少なくとも2層に積層することにより、破れや裂けを防止した生理用ナプキン100が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、このような生理用ナプキン100であっても、図8に背面図で示すように、ウィング107の外面の略全域に渡って接着剤面106が形成されているため、次のような問題があった。
【0008】
すなわち、この生理用ナプキン100を長手方向先端P0(これを剥離開始の作用点と定義する)を持って下着(あるいは個装フィルム)から剥離する場合に、長手方向に作用する剥離力F1に対し、接着剤面106の接着力F2が幅方向の中心に向かって作用するため、ウィング107の付け根の点P1,点P2の部分が破断してしまい、生理用ナプキン100を下着や個装フィルムからスムーズに剥離することができなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−65746号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り外しの際にウィングが破断したり、下着に接着剤が残ったりすることがなく、スムーズに取り外しができる吸収性物品を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、少なくとも透液性を有するトップシートと、不透液性を有するバックシートと、前記シート間に介在する吸収体とにより物品本体が形成され、該物品本体を着用者の下着に貼着、固定する接着剤面を有する一対のウィングを両側に備えた吸収性物品において、前記物品本体の長手方向先端を前記下着からの剥離開始の作用点としたとき、前記各ウィングの接着剤面の平面形状を前記作用点に頂角が向いた三角模様としたことを特徴とする吸収性物品を提供することによって、達成される。
【0012】
また、本発明の上記目的は、前記作用点から前記各ウィングの接着剤面の頂点に向かって引いた作用線により形成される作用角が20°〜60°であることを特徴とする吸収性物品を提供することによって、より効果的に達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る生理用ナプキン200の展開背面図である。なお、本生理用ナプキン200は、ウィング207及びウィング207に塗設される接着剤面206の形状を除くその他の構成については、前記生理用ナプキン100と実質的に同一である。このため、本生理用ナプキン200では前記生理用ナプキン100と対応する構成要素については、200番台の対応する同一番号を付して説明する。
【0015】
すなわち、本発明に係る生理用ナプキン200は、前記従来の生理用ナプキン100と同様に、トップシート201と、バックシート202と、これらのシート間に介在しティッシュ203で全体が被覆された吸収体204とによりナプキン本体205が形成され、また、このナプキン本体205を使用する際に、下着等に固定するための接着剤面206が塗設された一対のウィング207を備えている。
【0016】
ここに、トップシート201には、体液を吸収体204へ透過させる透液性のシートであって、肌着に近い感触を有し、きめが細かく繊維密度が高い素材、例えば不織布等、若しくは液透過性や液戻り防止性に優れている素材、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、又は酢酸ビニル重合体等から成る樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
【0017】
一方、バックシート202には、吸収体204に吸収された体液を外に透過させない不透液性のシートであって、透湿性を有する素材、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に無機充填材を溶融混練したものを、延伸処理した微多孔性シート等が好ましく用いられる。
【0018】
また、吸収体204には、解繊ポリマーを主体とした高分子ポリマーを併用した物、熱可塑性樹脂、あるいはセルロース繊維等が好ましく用いられる。この吸収体204はティッシュ203によりその全体が被覆されている。
【0019】
また、ウィング207は、トップシート201及びバックシート202がその延出部において接合されて形成されており、このウィング207における下着との装着面、すなわちバックシート202の表面(下面)にはズレ止め用の接着剤面206が形成されている。
【0020】
この接着剤面206は、平面形状が略三角形に形成されたウィング207の外面に、ナプキン本体205の長手方向の先端、すなわち剥離開始の作用点P0に頂角が向いた三角形状に塗設されている。このように接着剤面206を塗設することにより、生理用ナプキン200を接着剤面206の頂角部分から順次剥離し、下着からスムーズに剥がすことができる。このため、ナプキン本体205がウィング207の付け根部の点P1,点P2部分から破断したり、ウィング207の一部が破れることを防止できる。
【0021】
なお、生理用ナプキン200では、ナプキン本体205の製品幅Wは女性の股間の幅に合わせて12cm〜5cmに設定され、ウィング207の付け根までの幅Lは、製品幅Wの半分の6cm以下に設定されている。このように設定することにより、ウィング207を外側に折り込んだときに、ウィング207同士が重なる事を防止することができる。ウィング207が重なってしまうと、生理用ナプキン200を下着から剥がす際に、より大きな力が必要となる。なお、上述したように、ウィング207同士が重ならないことが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0022】
【実験例1】
ここで、図1に示す作用角αと単位面積当りの剥離力F1との関係につき、次のような実験を行った。
【0023】
ウィング207を折り返さずフラットな状態で剥がした場合において、剥離開始の作用点P0から三角形状の接着剤面206の頂角に伸びる作用線Rがなす作用角αを変化させて、単位面積当りの剥離力F1との関係を調べたところ表1のとおりの結果を得た。
【0024】
【表1】
表1から分かるように、従来の生理用ナプキンの単位面積当りの剥離力F1が0.05N/mm2であったことから、この数値以下の弱い力で剥がすことができる好ましい作用角αは60゜〜20°であることが判明した。
【0025】
【実験例2】
生理用ナプキン200の作用点P0からウィング207の付け根P1,P2までの長さTと作用角αの好ましい関係につき、作用角α及び長さTを夫々変化させ、製品幅Wが5.0cm及び12.0cmの2種類について実験を行った結果、表2及び表3に示すような関係が得られた。
【0026】
【表2】
【表3】
なお、女性の臀部を包み込む長さの平均は38cmであるので、作用点P0からウィング207の付け根P1,P2までの長さTは、その半分の19cm以下であることが好ましい。従って、表2及び表3から明らかなように、製品幅Wが5.0cmの場合には作用角αは20°以上60°以下であること、また製品幅Wが12.0cmの場合には作用角αは40°以上60°以下であることが好ましく、このような作用角α内のウィング207の外面に接着剤面206が塗設されることが好ましい。
【0027】
以上、本発明の内容を一実施例に基づき説明したが、本発明は次のような変更が可能である。
【0028】
図2〜図4は、本実施例の変更例に係る生理用ナプキン200A,200B,200C,200Dの4つの実施形態を示す展開背面図である。なお、生理用ナプキン200A,200B,200C,200Dの夫々は、主としてウィングに塗設される接着剤面の塗設形状及びウィング206の形状を除くその他の構成については、前記生理用ナプキン200と実質的に同一であるので、以下では生理用ナプキン200と対応する構成要素には同一番号に符号A,B,C,Dを付して説明する。
【0029】
図2に示す生理用ナプキン200Aは、ウィング207Aに塗設される接着剤面206Aが頂角を作用点P0に向けた略V字状に塗設されたものである。このように接着剤面206Aを塗設して成る生理用ナプキン200Aでも、前記同様の効果が得られる。また、接着剤面206Aの面積が少なくなるので、接着力が弱められ、より小さな力で剥がすことができると共に、製造コストを低減できる。
【0030】
図3に示す生理用ナプキン200Bは、ウィング207Bの平面形状が丸みをもって形成され、このウィング207Bに塗設される接着剤面206Bが頂点を作用点P0に向けて、長手方向に複数本のストライプによって全体が略三角形状に形成されているものである。このような接着剤面206Bを有する生理用ナプキン200Bでも、前記同様の効果が得られる。
【0031】
図4に示す生理用ナプキン200Cは、前記生理用ナプキン200Bと同様にウィング207Cの平面形状が丸みをもって形成され、このウィング207Cに塗設される接着剤面206Cが頂点を作用点に向けて、幅方向に複数本のストライプによって全体が略三角形状に形成されているものである。このような接着剤面206Cを有する生理用ナプキン200Cでも、前記同様の効果が得られる。
【0032】
図5に示す生理用ナプキン200Dは、ウィング207Dの形状は前記従来の生理用ナプキン100と同一であるが、接着剤面206Dを前記生理用ナプキン200と同様に三角形状に塗設したものであり、このような生理用ナプキン200Dでも、前記同様の効果が得られる。このように従来の生理用ナプキン100であっても、ウィング107に塗設する接着剤面106の塗設形状を変更するだけで、所望の目的を達成することができるので、大規模な設備改造を必要としないという利点がある。
【0033】
なお、本発明においては、接着剤面の塗設形状はウィングの形状に左右されるものではなく、上述したようにその平面形状が頂角が作用点に向いた三角模様であるもの、好ましくは作用角内に塗設されているものであれば、種々の形状のものが適用可能である。
【0034】
なお、上記実施例及び変更例では、いずれもトップシートと吸収体の間にセカンドシートがない生理用ナプキンについて説明したが、上述したようなウィングを設ければ、ウィングのないタイプ等の種々の形態の生理用ナプキンについても適用できる。
【0035】
また、本発明の内容を、吸収性物品が生理用ナプキンを例に説明したが、本発明はこのような生理用ナプキンに限らず、この他パンティーライナー、使い捨て紙おむつ等の公知の吸収性物品についても適用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明に係る吸収性物品によれば、ウィングに塗設される接着剤面が作用角内に塗設されているので、ナプキン本体を下着や個装フィルムからスムーズに剥がすことができる。また、ウィングを損傷することがなくなるので、体液溜部に溜まった体液の漏れを防止することができるという実用上顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る生理用ナプキンの展開背面図である。
【図2】本発明の変更例に係る生理用ナプキンの展開背面図である。
【図3】本発明の変更例に係る生理用ナプキンの展開背面図である。
【図4】本発明の変更例に係る生理用ナプキンの展開背面図である。
【図5】本発明の変更例に係る生理用ナプキンの展開背面図である。
【図6】従来の生理用ナプキンの斜視図である。
【図7】図6のX−X断面図である。
【図8】従来の生理用ナプキンの展開背面図である。
【符号の説明】
100,200 生理用ナプキン
101,201 トップシート
102,202 バックシート
104,204 吸収体
105,205 ナプキン本体
106,206 接着剤面
107,207 ウィング
P0 作用点
R 作用線
Claims (2)
- 少なくとも透液性を有するトップシートと、不透液性を有するバックシートと、前記シート間に介在する吸収体とにより物品本体が形成され、該物品本体を着用者の下着に貼着、固定する接着剤面を有する一対のウィングを両側に備えた吸収性物品において、前記物品本体の長手方向先端を前記下着からの剥離開始の作用点としたとき、前記各ウィングの接着剤面の平面形状を前記作用点に頂角が向いた三角模様としたことを特徴とする吸収性物品。
- 前記作用点から前記各ウィングの接着剤面の頂点に向かって引いた作用線により形成される作用角が20°〜60°であることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
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