JP2004290583A - 穿刺センサを有するカテーテル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】経皮的に生体内腔に挿入されるカテーテル20である。カテーテル20は、内部を延長するルーメンを有する鞘部55と、鞘部55のルーメンに摺動自在に配置され、鞘部55の先端部57から突出可能である先端部62を有する挿通部材と、挿通部材の先端部62に配置され、目的組織に治療用組成物を注入するための注射針63と、カテーテル20の先端部22に配置され、インピーダンスを測定するための電極70,75とを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内の患部、特に心臓虚血部位またはその周辺部に、治療用組成物を注入するためのカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
虚血性心疾患の患者は、食生活の欧米化や社会的ストレスの増大などの危険因子の増加により、年々増加している。特に、重症心不全の患者の増加は、先進国において大きな問題となっており、例えば、世界では年間1500万人もの新規患者が発生している。
【0003】
このような虚血性心疾患に対する治療法として、遺伝子治療や細胞療法の検討が進められている。これらの治療法に適用可能な従来のカテーテルは、先端部に治療用組成物を注入するための注射針を有している(例えば、特許文献1〜8参照。)。
【0004】
特許文献1および特許文献2は、螺旋形状の注射針を有するカテーテルを開示している。特許文献3および特許文献4は、先端部に圧力センサからなる接触式センサを有するカテーテルを開示している。
【0005】
特許文献5および特許文献6は、カテーテル内を陰圧にし、吸着によって先端部を組織に固定する機構を有するカテーテルを開示している。特許文献7は、機械的に組織を把持し、先端部を組織に固定して穿刺する穿刺装置を開示している。
【0006】
特許文献8は、先端部に収容可能な注射針と、先端部から放射状に外側に開く固定装置とを有するカテーテルを開示している。なお、特許文献8は、先端が尖っている固定装置および先端が尖っていない固定装置の両者を開示している。
【0007】
【特許文献1】
特表平8−508917号公報
【特許文献2】
米国特許第5797870号明細書
【特許文献3】
米国特許第6254573号明細書
【特許文献4】
特開2001−87392号公報
【特許文献5】
米国特許第5972013号明細書
【特許文献6】
特表2001−516625号公報
【特許文献7】
米国特許第5931810号明細書
【特許文献8】
米国特許第6102887号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1および特許文献2に係る螺旋針は、治療用組成物を注入する際に、組織から抜け落ちることが防がれ、確実な注入が可能であるが、引き抜き方向に関しては、簡単には抜けない。したがって、例えば、脆弱な梗塞心筋組織に、螺旋針が刺さった状態において、カテーテルの先端部が誤って動いた場合、螺旋針は、心筋組織を引きちぎる虞がある。
【0009】
特許文献3および特許文献4に係る接触式センサは、カテーテルの先端部の端面に配置され、心筋組織に確実に接触させる必要がある。しかし、心臓内部は凹凸が激しいため、接触式センサはエラーを発生し易く、精度に問題を有する。
【0010】
特許文献5および特許文献6に係るカテーテルは、血液などの体液で満たされていない平坦な部位での使用を目的としている。したがって、体液で満たされた必ずしも平坦でない組織表面に適用される場合、カテーテルの先端部を組織表面に完全に密着させることは困難であり、体液を吸引する虞がある。
【0011】
特許文献7に係る穿刺装置は、比較的強度を有する心膜を把持の対象としており、例えば、梗塞心筋組織のような脆弱な組織に適用される場合、組織を引きちぎる虞がある。
【0012】
特許文献8に係る先端が尖っている固定装置は、組織への穿針および治療用組成物の注入時において、カテーテルを組織に固定することが可能であるが、目的組織に刺された後に放射状に広げられる。したがって、目的組織周辺部への侵襲は、非常に大きい。また、特許文献8に係る先端が尖っていない固定装置は、心臓内の肉柱を押し広げて、カテーテルを組織に固定するため、カテーテルの操作が非常に難しく、また、心臓内の任意の部位にカテーテルを固定することはできない。
【0013】
本発明は、このような従来の問題を解決するために成されたものであり、低侵襲かつ、目的組織に対する注射針による穿刺および治療用組成物の注入を確実に達成し得るカテーテルを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は次のように構成される。
【0015】
(1) 経皮的に生体内腔に挿入されるカテーテルであって、
内部を延長するルーメンを有する鞘部と、
前記鞘部のルーメンに摺動自在に配置され、前記鞘部の先端部から突出可能である先端部を有する挿通部材と、
前記挿通部材の先端部に配置され、目的組織に治療用組成物を注入するための注射針と、
カテーテルの先端部に配置され、インピーダンスを測定するための電極対と
を有することを特徴とするカテーテル。
【0016】
(2) 前記電極対を構成する各電極は、電気絶縁体によって被覆された導電体に接続されており、前記導電体は、前記カテーテルの基端部まで延長していることを特徴とする前記(1)に記載のカテーテル。
【0017】
(3) 前記電極対は、前記挿通部材の先端部に配置されることを特徴とする前記(1)又は前記(2)に記載のカテーテル。
【0018】
(4) 前記電極対の少なくとも一方の電極は、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする前記(3)に記載のカテーテル。
【0019】
(5) 前記電極対は、複数組存在し、前記挿通部材の長手方向に関し、各組が離間して位置することを特徴とする前記(3)に記載のカテーテル。
【0020】
(6) 複数組の前記電極対に含まれる電極の少なくとも1つは、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする前記(5)に記載のカテーテル。
【0021】
(7) 前記電極対の一方の電極は、前記挿通部材の先端部に位置し、前記電極対の他方の電極は、前記鞘部の先端部に位置することを特徴とする前記(1)又は前記(2)に記載のカテーテル。
【0022】
(8) 前記挿通部材の先端部に位置する前記電極は、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする前記(7)に記載のカテーテル。
【0023】
(9) 前記電極対は、複数組存在し、前記挿通部材の先端部に位置する複数の電極は、前記挿通部材の長手方向に関し、それぞれ離間して位置することを特徴とする前記(7)に記載のカテーテル。
【0024】
(10) 前記挿通部材の先端部に位置する複数の前記電極の少なくとも1つは、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする前記(9)に記載のカテーテル。
【0025】
(11) 前記挿通部材の先端部に位置する前記電極対の一方の電極は、前記注射針のべベルに形成されており、
前記べベルに形成された電極は、前記注射針を導電性材料から構成し、前記注射針の内周面および外周面を電気絶縁体によって被覆することにより得られていることを特徴とする前記(9)に記載のカテーテル。
【0026】
(12) 前記鞘部の先端部に位置する前記電極対の他方の電極は、前記注射針と電気的に絶縁されていることを特徴とする前記(11)に記載のカテーテル。
【0027】
(13) 前記鞘部の先端部は、前記ルーメンに連通する貫通孔を有することを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のカテーテル。
【0028】
(14) 前記貫通孔は、前記鞘部の長手方向に関し、前記鞘部の先端部の端面から1mm以上離れていることを特徴とする前記(13)に記載のカテーテル。
【0029】
(15) 前記目的組織は、心臓であることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれか1項に記載のカテーテル。
【0030】
(16) 前記治療用組成物は、核酸、タンパク質、あるいは細胞を含有することを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載のカテーテル。
【0031】
(17) 内部を延長するルーメンを有する鞘部と、前記鞘部のルーメンに摺動自在に配置され、前記鞘部の先端部から突出可能である先端部を有する挿通部材と、前記挿通部材の先端部に配置され、目的組織に治療用組成物を注入するための注射針と有し、経皮的に生体内腔に挿入されるカテーテルと、
カテーテルの先端部に配置され、インピーダンスを測定するための電極対と、
前記電極対から延長する導電体が接続され、前記電極対により測定されるインピーダンス値に基づいて、前記注射針による穿刺を検出するための穿刺検出装置と
を有することを特徴とするカテーテルシステム。
【0032】
(18) 前記電極対の一方の電極は、前記電極対の他方の電極より、前記カテーテルの基端側に位置することを特徴とする前記(17)に記載のカテーテルシステム。
【0033】
(19) 前記(1)に記載のカテーテルを用いて、治療用組成物を注入するための方法であって、
前記カテーテルを生体内に挿入し、目的組織の近傍まで進めるステップと、
前記電極対により測定されるインピーダンス値に基づいて、前記注射針を目的組織に穿刺し、前記注射針を経由して目的組織に、前記治療用組成物を注入するステップと
を有することを特徴とする方法。
【0034】
(20) 前記治療用組成物を注入するステップは、
前記電極対によってインピーダンスを測定しながら、前記鞘部に対して前記挿通部材を先端方向に移動させ、前記鞘部の先端部から前記注射針を突出させることで、目的組織を穿刺するステップと、
測定されたインピーダンス値に変化が検出された後において、前記治療用組成物を、前記注射針を経由して目的組織に注入するステップと
を有することを特徴とする前記(19)に記載の方法。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1は、実施の形態1に係るカテーテルの概略図である。カテーテル20は、操作部30と、鞘部55と、挿通部材の先端部62に配置される注射針63と、カテーテル20の先端部22に配置される電極70,75とを有しており、経皮的に生体内腔に挿入されて使用される。電極70,75は、インピーダンスを測定するために使用される電極対を構成し、穿刺センサとして機能する。
【0037】
操作部30は、カテーテル20の基端部21に位置し、挿通部材60の先端部62および注射針63は、カテーテル20の先端部22に位置する。
【0038】
鞘部55は、内部を延長するルーメンを有しており、挿通部材60が摺動自在に延長している。鞘部55の形状は、特に限定されないが、円筒状であることが好ましい。鞘部55の外径は、特に限定されないが、10フレンチ(3.3mm)以下であることが好ましい。
【0039】
鞘部55の材料は、特に限定されないが、ポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、ポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ウレタン系エラストマー、ポリアミド、アミド系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素樹脂エラストマー、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴムなどの高分子材料を使用することができる。
【0040】
ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンである。オレフィン系エラストマーは、例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーである。アミド系エラストマーは、例えば、ポリアミドエラストマーである。
【0041】
鞘部55を合成樹脂から形成する場合、例えば、超弾性合金のパイプや、金属からなる埋め込みコイルまたは埋め込みメッシュを利用して、剛性を向上させることが可能である。
【0042】
鞘部55の先端部57は、X線造影マーカとしての機能を有することが好ましく、例えば、X線造影物質を含有する樹脂を使用して形成することが可能である。X線造影物質は、例えば、タンタル、炭化タングステン、酸化ビスマス、硫酸バリウム、プラチナもしくはその合金、コバルト合金等の粉末である。
【0043】
挿通部材60は、鞘部55のルーメンに摺動自在に配置される。挿通部材60の形状は、特に限定されないが、円筒状であることが好ましい。挿通部材60の外径は、鞘部55のルーメン内を摺動可能であれば、特に限定されないが、0.3〜1.0mmであることが好ましい。挿通部材の内径は、0.15〜0.8mmであることが好ましい。
【0044】
挿通部材60の材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス綱、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、コバルト合金、タンタル等の金属、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、あるいはこれらを適宜組み合わせたものが適用可能である。
【0045】
注射針63は、目的組織に治療用組成物を注入するために使用される。目的組織は、生体内の患部、例えば、心臓虚血部位またはその周辺部等の心臓組織である。注射針63は、例えば、挿通部材60の先端部62に針付け加工を施こしてベベル(刃面)を形成したり、挿通部材60の先端部62に別体の注射針を装着することによって、構成することが可能である。
【0046】
図2は、図1に示される操作部を説明するための断面図、図3および図4は、図1に示されるカテーテルの先端部を説明するための断面図、図5は、図1に示される挿通部材の先端部の側面図である。なお、図3は、注射針が突出している状態を示しており、図4は、注射針が後退している状態を示している。
【0047】
カテーテル20の基端部21に位置する操作部30は、スリット33が形成されたハウジング31と、外部のインピーダンスアナライザ(穿刺検出装置)に接続するための出力端子50,51と、ハブ45とを有する。
【0048】
出力端子50,51は、挿通部材60に沿って延長するワイヤ80,85を介して、電極70,75に接続される。ハブ45は、治療用組成物を注入するためのコネクタであり、例えば、シリンジが接続される。
【0049】
鞘部55の基端部56は、ハウジング31に固定され、挿通部材60の基端部61は、ハウジング31の内部に導入され、ハブ45と連結される。ハウジング31の内周面には、弾性のある材料から形成される駆動部32が摺動自在に密着して配置される。
【0050】
駆動部32は、貫通している挿通部材60が接着固定される中心部と、針制御部40が固定される外周部とを有する。針制御部40は、ハウジング31に形成されるスリット33内に摺動自在に嵌挿される。
【0051】
したがって、針制御部40を操作し、駆動部32を移動させることで、挿通部材60が駆動される。その結果、挿通部材60の先端部62に配置される注射針63は、鞘部55の先端部57から突出(図3参照)、あるいは鞘部55の先端部57に後退して収容される(図4参照)。
【0052】
駆動部32は、弾性のある材料から形成され、ハウジング31の内周面に密着して配置されるため、スリット33の任意の位置で停止させることができる。なお、ハウジング31の内周面には、駆動部32の移動距離を確実に制御するためのストッパ35が配置される。
【0053】
挿通部材60の外周面と、鞘部55の基端部56の内周面との間隙には、Oリング34が配置され、操作部30の内部を封止しており、例えば、血液が流入することを防止する。
【0054】
カテーテル20の先端部22に位置する鞘部55の先端部57は、鞘部55のルーメンに連通する貫通孔58を有する。貫通孔58は、鞘部55の内外における血液の流れを良好にし、カテーテル20の先端部22への血液の入り込みを確実にする。貫通孔58は、鞘部55の長手方向に関し、鞘部55の先端部57の端面から1mm以上離れていることが好ましい。
【0055】
電極70,75は、略矩形であり、注射針63のべベル63Aの近傍における挿通部材60の先端部62に、配置される。電極70,75は、挿通部材60の長手方向に関し、同一位置であるが、挿通部材60の円周方向に関し、異なった位置を占める。
【0056】
電極70,75により測定されるインピーダンス値は、電極70,75が血液中に存在する場合と心臓組織内に存在する場合とでは、大きな違いが認められる。インピーダンス値は、穿刺される部位や測定周波数によって異なるが、例えば、血液中におけるインピーダンス値は、心臓組織内におけるインピーダンス値に比べ、40〜60%程度である。したがって、電極70,75により測定されるインピーダンス値に基づいて、注射針63による穿刺を検出することができる。
【0057】
電極70,75は、挿通部材60の長手(延長)方向に関し、注射針63のベベル63A先端から1mm以上3mm以下離れて配置されることが好ましい。この配置位置においては、インピーダンス値の変化が測定される場合、注射針63が心臓組織内に確実に存在するためである。
【0058】
挿通部材60は、注射針63のべベル63Aを除いた外周面が電気絶縁体64で被覆されている。電気絶縁体64は、例えば、ポリイミドワニス、ポリウレタン樹脂などの電気絶縁性である。また、図2においては、図を簡略化するために、電気絶縁体64を示していない。
【0059】
電極70,75の形状は、特に限定されない。また、電極70,75の配置方法も、特に限定されず、例えば、導電体の接着、導電体の蒸着あるいはめっきを利用することも可能である。
【0060】
電極70,75は、操作部30に配置される出力端子50,51から延長するワイヤ80,85が接続される。ワイヤ80,85は、電極70,75に接続される端子を有する導線81,86と、導線81,86を覆っている電気絶縁体82,87とを有する。導線81,86および電気絶縁体82,87は、挿通部材60の外周を覆っている電気絶縁体64に、例えば、接着によって固定される。
【0061】
つまり、電極70,75は、電気絶縁体82,87で被覆されている導線81,86に接続されており、導線81,86は、カテーテル20の基端部21まで延長している。電極70,75および導線81,86の材料は、特に限定されないが、金、白金、白金イリジュウム、タングステン、銀などが、好ましい。
【0062】
なお、挿通部材60と注射針63とが別体である場合、挿通部材60の外周面を電気絶縁体64で被覆し、電極70,75およびワイヤ80,85を配置した後で、注射針63の取付け加工を施す。この場合、電気絶縁体64の被覆は、注射針63のべベル63Aを避ける必要がないため、被覆作業が簡略化される。また、挿通部材60がプラスチックなどの電気絶縁体により形成される場合、電気絶縁体64の被覆は不要となる。
【0063】
図6は、図1に示されるカテーテル20が適用されるカテーテルシステム10を説明するための概略図である。カテーテルシステム10は、カテーテル20と、インピーダンスアナライザ90とを有する。
【0064】
インピーダンスアナライザ90は、入力端子91,93を有し、コード92,94によって操作部30の出力端子50,51に接続されており、鞘部55の内部を延長するワイヤ80,85を介して、挿通部材60の先端部62に配置される電極70,75と接続される。
【0065】
インピーダンスアナライザ90は、電極70,75により測定されるインピーダンス値の変化に基づいて、注射針63による穿刺を検出する。適用される周波数は、特に限定されないが、50kHz〜200kHzの範囲の周波数が好ましい。
【0066】
次に、心臓組織を目的部位とする場合に関し、カテーテルシステム10の使用方法を説明する。
【0067】
まず、術者は、X線透視下、例えば、ガイデイングカテーテルを使用して、カテーテル20を生体内に挿入し、カテーテル20の先端部22を、目的組織の近傍に位置する心室内に誘導する。
【0068】
その後、術者は、鞘部55の先端部57を心壁に押圧し、インピーダンスアナライザ90より交流電流を電極70,75間に流して、電極70,75により測定されるインピーダンス値を確認しながら、針制御部40を操作する。その結果、鞘部55に対して挿通部材60が先端方向に移動し、鞘部55の先端部57から注射針63が突出し、心筋組織を穿刺する。
【0069】
注射針63が心筋組織を穿刺することによって、電極70,75は、血液中から心臓組織内に移動するため、電極70,75により測定されるインピーダンス値に、大きな変化が生じる。これにより、注射針63による穿刺が確認される。なお、鞘部55の先端部57に形成されている貫通孔58の存在によって、鞘部55内外の血液の流れが良好であるため、血液の流入が確実となり、電極70,75が血流中にある場合におけるインピーダンスを、より正確に測定することができる。
【0070】
その後、例えば、ハブ45に接続されたシリンジを使用して、治療用組成物を、注射針63を経由して心筋組織に注入する。この際、電極70,75により測定されるインピーダンス値に、大きな変化が生じないことを確認する。これによって、治療用組成物の注入操作の反動による注射針63の目的組織からの抜けが生じていないことが確認される。
【0071】
注入終了後、針操作部40を操作して、注射針63を鞘部55の先端部57内に後退させて収容し、カテーテル20の先端部22を、次の目的部位へ移動させ、上記操作を繰り返す。
【0072】
以上のように、発明の実施の形態1においては、電極70,75により測定されるインピーダンス値に基づいて、注射針63を確実に目的組織に穿刺し、治療用組成物を、目的組織に確実に注入することが可能である。また、カテーテルを組織に固定するための特別な装置を必要としないため、低侵襲である。
【0073】
図7は、実施の形態1に係るカテーテルの変形例を説明するための側面図であり、挿通部材の先端部を示している。
【0074】
インピーダンスを測定するための電極70,75は、長手方向に関し、同一位置に配置されることに限定されず(図5参照)、異なった位置に配置することも可能である。
【0075】
このような構成においては、電極70,75の一方(電極70)が心臓組織内にありかつ電極70,75の他方(電極75)が血液中に存在する場合と、電極70,75の両方が血液中に存在する場合と、電極70,75の両方が心臓組織内に存在する場合とにおいて、電極70,75により測定されるインピーダンス値に違いが認められる。
【0076】
例えば、血液中におけるインピーダンス値は、血液中および心臓組織内の並存におけるインピーダンス値に比べ、70〜80%程度である。なお、上述のように、血液中におけるインピーダンス値は、心臓組織内におけるインピーダンス値に比べて、40〜60%程度である。
【0077】
したがって、電極70,75により測定されるインピーダンス値に基づいて、注射針63による穿刺の検出および穿刺の深度の検出が可能である。つまり、本変形例においては、注射針63による穿刺の検出に加え、注射針63の深度を検出できるため、注射針63の穿刺はより確実となる。また、本変形例は、患部の目的とする深度に、注射針63を正確に刺すことが効果上必要とされる治療に、特に適している。
【0078】
電極70,75の両方または先端側の電極70は、挿通部材60の長手方向に関し、注射針63のベベル63A先端から1mm以上3mm以下離れて配置されることが好ましい。この配置位置においては、インピーダンスの変化が測定される場合、注射針63が心臓組織内に確実に存在するためである。
【0079】
挿通部材60の長手方向に関する、電極70と電極75の離間距離は、特に限定されない。しかし、離間距離が過度に長くなると、電極70,75により測定されるインピーダンス値に、顕著な変化が現れない可能性があるため、5mm以下が好ましく、より好ましくは、2.5mm以下である。
【0080】
図8は、実施の形態1に係るカテーテルの別の変形例を説明するための概略図であり、挿通部材の先端部を示している。本変形例においては、インピーダンスを測定するための電極対は、複数組存在し、挿通部材の長手方向に関し、各組が離間して位置している。また、電極対の組数に対応し、複数のインピーダンスアナライザが設置される。
【0081】
詳述すると、第1組の電極対を構成する電極70,75から離間した位置に、第2組の電極対を構成する電極170,175が配置される。電極170,175は、挿通部材60の長手方向に関し、同一位置であるが、挿通部材60の円周方向に関し、異なった位置を占める。電極170,175は、インピーダンスアナライザ190の入力端子191,193に接続される。
【0082】
なお、カテーテル20の出力端子の設置数は、電極70,75,170,175の設置数に対応している。
【0083】
したがって、本変形例においては、注射針63の深度が深くなるにつれ、電極70,75および電極170,175が、心臓組織に順次接触し、測定されるインピーダンス値に変化が生じるため、図7の変形例に比べ、注射針63の深度の検出精度が向上する。また、複数組の電極対に含まれる電極70,75,170,175の少なくとも1つは、挿通部材60の長手方向に関し、注射針63のベベル63A先端から1mm以上離れていることが好ましい。
【0084】
図9は、実施の形態2に係るカテーテルを説明するための断面図、図10は、図9に示される挿通部材の先端部を説明するための側面図、図11は、図9に示される鞘部の先端部を説明するための側面図である。
【0085】
実施の形態2は、電極対の一方の電極が、挿通部材の先端部に位置し、電極対の他方の電極が、鞘部の先端部に位置する点で、電極対の両方が挿通部材の先端部に位置する実施の形態1と異なっている。
【0086】
電極対の一方の電極270は、リング状であり、また、挿通部材260の先端部262は、注射針263のべベル263Aを除いた外周面が電気絶縁体264で被覆されており、電極270は、挿通部材の先端部262に、かしめによって固定される。
【0087】
電極270は、操作部に配置される出力端子から延長するワイヤ280が接続される。ワイヤ280は、電極270に接続される端子を有する導線281と、導線281を覆っている電気絶縁体282とを有する。導線281は、カテーテルの基端部まで延長している。
【0088】
導線281および電気絶縁体282は、挿通部材260の外周を覆っている電気絶縁体264に、例えば、接着により固定される。ワイヤ280は、挿通部材260に沿って、操作部のハウジングの内部に導入され、駆動部を貫通している。
【0089】
電極対の他方の電極275も、リング状であり、鞘部255の先端部257に、例えば、かしめによって固定される。電極275は、操作部に配置される出力端子から延長するワイヤ285が接続される。ワイヤ285は、電極275に接続される端子を有する導線286と、導線286を覆っている電気絶縁体287とを有する。
【0090】
ワイヤ285は、鞘部255の基端部において、例えば、挿通部材260の基端部の外周と鞘部255の基端部の内周面との間隙を経由して、操作部のハウジングの内部に導入され、駆動部を貫通している。
【0091】
ワイヤ280,285は、実施の形態1と同様に、カテーテルの基端部まで延長し、カテーテルの出力端子に接続され、当該出力端子は、コードによって、インピーダンスアナライザの入力端子に接続される。
【0092】
次に、実施の形態2に係るカテーテルの使用方法を説明する。
【0093】
まず、術者は、X線透視下、例えば、ガイデイングカテーテルを使用して、カテーテルを生体内に挿入し、カテーテルの先端部を、目的組織の近傍に位置する心室内に誘導する。
【0094】
その後、術者は、鞘部255の先端部257を心壁に押圧し、電極270,275により測定されるインピーダンス値を確認しながら、針制御部40を操作する。その結果、鞘部255に対して挿通部材260が先端方向に移動し、鞘部255の先端部257から注射針263が突出し、心筋組織を穿刺する。
【0095】
注射針263が心筋組織を穿刺することによって、電極270は、血液中から心臓組織内に移動するため、電極270,275により測定されるインピーダンス値に、大きな変化が生じる。これにより、注射針263による穿刺が確認される。
【0096】
その後、例えば、ハブに接続されたシリンジを使用して、治療用組成物を、注射針263を経由して心筋組織に注入する。この際、電極270,275により測定されるインピーダンス値に、大きな変化が生じないことを確認する。これによって、治療用組成物の注入操作の反動による注射針263の目的組織からの抜けが生じていないことが確認される。
【0097】
注入終了後、針操作部を操作して、注射針263を鞘部255の先端部257内に後退させて収容し、カテーテルの先端部を、次の目的部位へ移動させ、上記操作を繰り返す。
【0098】
以上のように、実施の形態2に係るカテーテルにおいても、電極270,275により測定されるインピーダンス値に基づいて、注射針263を確実に目的組織に穿刺し、治療用組成物を、目的組織に確実に注入することが可能である。
【0099】
図12〜図14は、実施の形態2に係るカテーテルの変形例を、それぞれ示しており、図12および図13は、鞘部の先端部の側面図であり、図14は、鞘部の先端部の断面図である。
【0100】
電極275は、鞘部255の先端部257の端面から離間した基端側に、配置することも可能である(図12参照)。
【0101】
また、電極275を鞘部255の先端部257に埋め込むことも可能である(図13参照)。これは、例えば、鞘部255の先端部257に円周方向に沿った凹部を形成し、当該凹部に、電極275をかしめて取付け、基端部まで延長している導線を、電極257に接続した後、導線の表面を電気絶縁体で被覆することで形成することが可能である。
【0102】
さらに、電極275を鞘部255のルーメン内に配置して固定することも可能である(図14参照)。これは、例えば、鞘部255のルーメンの内径より若干小さい外径を有する電極275を、鞘部255の先端部からルーメンの内部に挿入し、鞘部255の長手方向に関し、鞘部255の先端部から数mm進んだ位置で、電極275を接着固定することで配置することができる。
【0103】
電極275を埋め込んだり、ルーメン内に配置する場合、例えば、心室表面の凹凸に電極275が誤接触し、測定エラーを引き起こすことを抑制することができる。
【0104】
図15は、鞘部の先端部に電極を配置するための製造方法の一例を説明するための側面図、図16は、挿通部材の先端部に電極を配置するための製造方法の一例を説明するための側面図、図17は、図15に示される鞘部の基端部および図16に示される挿通部材の基端部の構造を説明するための概略図である。
【0105】
鞘部355は、X線造影マーカとして機能する炭化タングステンを含有するブレード線入りポリイミドチューブ(マイクロルーメン社)によって形成した。ポリイミドチューブは、ブレード線をサンドイッチ状に挟んだ三層構造を有し、長さが1300mm、外径が1.0mm、内径が0.9mmである。
【0106】
ポリイミドチューブ355の一端(先端部)は、レーザ加工が施され、約2mmの最外周面のポリイミド層だけを剥がすことで、ブレード線を露出させた。
【0107】
そして、図15に示されるように、ポリイミドチューブ355の先端部に、先端キャップ357を取り付けた。先端キャップ357は、導電性材料(SUS304)によって形成された円錐台状であり、先端キャップ357の端面近傍の外周面部を除いた外周面に、電気絶縁体387が被覆されている。先端キャップ357の内周面には、ポリイミドチューブ355における露出したブレード線に接触して電気が流れるようにするため、絶縁被覆は行わない。
【0108】
先端キャップの先端の外径は、1.8mmであり、ポリイミドチューブ355との取付け部の外径は、1.2mmであり、長さは、3mmである。インピーダンスを測定するための電極対の一方を構成する電極375は、先端キャップ357の端面近傍において露出している導電性材料からなる環状部位である。
【0109】
ポリイミドチューブ355の他端は、レーザ加工が施され、最外周面のポリイミド層だけを剥がすことで、ブレード線を露出させた。そして、図17に示されるように、ポリイミドチューブ355の他端(基端部)356のブレード線を露出した部分に、接続コネクタ386を取り付けた。
【0110】
接続コネクタ386は、操作部に配置される出力端子351から延長するワイヤ385が接続される。なお、接続コネクタ381において、ブレード線は、ワイヤ385の導線と接続される。また、ワイヤ385は、駆動部332に形成される貫通孔を延長する。
【0111】
挿通部材360は、中空鋼管(大場機工製)の内周面および外周面にポリイミドワニス(電気絶縁体)を塗布することによって、形成された。挿通部材360は、SUS304からなり、長さは、1500mm、外径は、0.7mm、内径は、0.5mmである。
【0112】
挿通部材360の先端部362は、図16に示されるように、刃面を構成するベベル370を形成するために、研磨した。この際、ポリイミドからなる絶縁皮膜が剥がれた環状部位(電気絶縁体364と電気絶縁体382と中間に位置する環状部位)が、インピーダンスを測定するための電極対の他方を構成する電極となる。
【0113】
挿通部材360の基端部361は、駆動部332を越えた適当な部位において、最外周面のポリイミド層だけを剥がすことで、SUS304の鋼管を露出させた。そして、図17に示されるように、SUS304の鋼管が露出した部分に、接続コネクタ381を取り付けた。接続コネクタ381は、出力端子350から延長するワイヤ380が接続される。なお、接続コネクタ381において、SUS304の鋼管は、ワイヤ380の導線と接続される。
【0114】
以上のように、インピーダンスを測定するための電極対の一方の電極を、挿通部材の先端部に配置し、電極対の他方の電極を、鞘部の先端部に配置することができた。
【0115】
図18は、挿通部材の先端部に電極対を配置するための製造方法の一例を説明するための側面図、図19は、図18から続く工程を説明するための側面図、図20は、図19から続く工程を説明するための側面図である。
【0116】
挿通部材460は、中空鋼管(大場機工製)の外周面をポリウレタン樹脂(電気絶縁体)で被覆することによって、形成された。中空鋼管は、SUS304からなり、長さは、1500mm、外径は、0.7mm、内径は、0.5mmである。
【0117】
そして、挿通部材460の外周面の被覆層に対して、スパッタリング装置を使用した逆スパッタによって表面処理を施した。その後、長尺の矩形形状の開口部が平行に2つ形成されたマスキング部材を、挿通部材460の長手方向に沿って配置し、当該マスキング部材に向かって、蒸着装置によって金を積層した。
【0118】
マスキング部材を除去後、マスキング部材の開口部が配置されていた部位に形成された導電体(金の蒸着膜)469,474に対し、電解めっき法により金めっきを施し、導電体469,474を肉厚化した(図18参照)。
【0119】
そして、導電体469,474の長手方向の両端部を除いた中央部に、ポリイミドワニス(電気絶縁体)464を塗布することで、インピーダンスを測定するための電極470,475および導体481,486を形成した(図19参照)。つまり、導電体469,474の先端部が、電極470,475を形成し、導電体469,474の基端部が、カテーテルの出力端子に接続されるワイヤの導線と接続するための接続端子を形成する。
【0120】
その後、挿通部材460の先端部462を、研磨し、ベベル463Aを形成した(図20参照)。
【0121】
以上のように、インピーダンスを測定するための電極対を、挿通部材の先端部に、形成することができた。
【0122】
図21は、インピーダンスの測定に基づく穿刺の検出を検証するための動物実験において適用された注射針を説明するための側面図である。
【0123】
穿刺に使用された注射針563は、次のようにして形成された。まず、ステンレス製中空針に、側孔565,566を形成した。中空針の外径は、0.6mmであり、内径は、0.3mmである。側孔565は、中空針の長手方向に関し、中空針のベベル先端から10mm離れて位置している。側孔566は、中空針の長手方向の基端側に向かって、側孔565から5mm離れて位置している。
【0124】
そして、導線581,586を、側孔565,566から中空針の内腔に導入し、中空針の基端部から引き出した。導線581,586の径は、0.08mmである。中空針の内腔にポリウレタン樹脂をポッテングして、導線581,586を、接触していない状態で、中空針の内腔に固定した。
【0125】
その後、中空針の側孔565,566から突出している導線581,586およびポリウレタン樹脂を切断した。また、中空針の側孔565,566近傍の外周面と、切断面とが平滑になるように、ヤスリをかけた。これによって、導線581,586の切断面からなる電極570,575と、電極570,575および導線581,586の周りを取り囲むポリウレタン樹脂からなる電気絶縁体564とを形成し、動物実験に適用される注射針563が得られた。
【0126】
次に、動物実験の内容を説明する。
【0127】
まず、被検体であるブタに対し、アトロピン、アザペロン、ケタミンを筋肉注射し、フローセンを吸入させることで麻酔をかけた。そして、気管を切開した後送管し、ベンチレータにより呼吸を維持した状態で、開胸手術を行い、心臓を露出させた。
【0128】
注射針563から延長する導線581,586は、インピーダンスアナライザの入力端子に接続し、インピーダンスの測定周波数を、128kHzに設定した。
【0129】
その後、心壁の厚さを確認するため、テスト針を、心臓の外側から心臓組織に刺し、徐々に深く刺し進めた。テスト針の先端が、心室内に到達し、テスト針の基端部から血液が流出すると、その位置をマーキングした。そして、テスト針を抜き、テスト針の先端からマーク位置までの長さを測定することで、心壁の概略の厚さを確認した。
【0130】
次に、テスト針によって形成された穿刺痕の近傍に、注射針563を刺し、電極570,575が心臓組織内に存在する場合における、インピーダンスを測定したところ、80kΩを示した。そして、注射針563をさらに深く刺し、電極570,575を心室内における血液中に存在する位置まで進め、インピーダンスを測定したところ、35kΩを示した。
【0131】
以上のように、電極対が血液中に存在する場合と、電極対が組織内に存在する場合とでは、測定されるインピーダンス値に違いが生じることが確認された。つまり、カテーテルの先端部に配置される電極対によって、注射針による穿刺を検出可能であることが検証された。
【0132】
このようなカテーテルは、例えば、遺伝子治療や細胞療法に適用される。
【0133】
遺伝子治療は、例えば、虚血性心疾患に対する治療であり、カテーテルに内蔵される注射針によって、遺伝子治療用組成物(例えば、核酸を含んだ組成物)を注入することは、低侵襲である点で好ましい。
【0134】
細胞療法は、例えば、外部より新たな細胞(心筋細胞、骨格筋芽細胞、平滑筋細胞、骨髄由来細胞、末梢血幹細胞、さい帯血由来細胞)を移植し、心機能を改善するための治療法である。したがって、カテーテルに内蔵される注射針を、例えば、骨髄由来細胞を梗塞部位およびその周囲に移植するために、適用することができる。
【0135】
また、本発明は、心臓の治療に適用されることに限定されず、例えば、下肢部の血管を新生する治療に適用することも可能である。
【0136】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0137】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、低侵襲かつ、目的組織に対する注射針による穿刺および治療用組成物の注入を確実に達成し得るカテーテルおよびカテーテルシステムを提供することができる。また、低侵襲かつ、目的組織に対する注射針による穿刺および治療用組成物の注入を確実に達成し得るカテーテルを用いた治療用組成物の注入方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るカテーテルの概略図である。
【図2】図1に示される操作部を説明するための断面図である。
【図3】図1に示されるカテーテルの先端部を説明するための断面図であり、注射針が突出している状態を示している。
【図4】図1に示されるカテーテルの先端部を説明するための断面図であり、注射針が後退している状態を示している。
【図5】図1に示される挿通部材の先端部の側面図である。
【図6】図1に示されるカテーテルが適用されるカテーテルシステムを説明するための概略図である。
【図7】実施の形態1に係るカテーテルの変形例を説明するための側面図であり、挿通部材の先端部を示している。
【図8】実施の形態1に係るカテーテルの別の変形例を説明するための概略図であり、挿通部材の先端部を示している。
【図9】実施の形態2に係るカテーテルを説明するための断面図である。
【図10】図9に示される挿通部材の先端部を説明するための側面図である。
【図11】図9に示される鞘部の先端部を説明するための側面図である。
【図12】実施の形態2に係るカテーテルの変形例を説明するための側面図であり、鞘部の先端部を示している。
【図13】実施の形態2に係るカテーテルの別の変形例を説明するための側面図であり、鞘部の先端部を示している。
【図14】実施の形態2に係るカテーテルの別の変形例を説明するための断面図であり、鞘部の先端部を示している。
【図15】鞘部の先端部に電極を配置するための製造方法の一例を説明するための側面図である。
【図16】挿通部材の先端部に電極を配置するための製造方法の一例を説明するための側面図である。
【図17】図15に示される鞘部の基端部および図16に示される挿通部材の基端部の構造を説明するための概略図である。
【図18】挿通部材の先端部に電極対を配置するための製造方法の一例を説明するための側面図である。
【図19】図18から続く工程を説明するための側面図である。
【図20】図19から続く工程を説明するための側面図である。
【図21】インピーダンスの測定に基づく穿刺の検出を検証するための動物実験において適用された注射針を説明するための側面図である。
【符号の説明】
10…カテーテルシステム、
20…カテーテル、
21…基端部、
22…先端部、
30…操作部、
31…ハウジング、
32…駆動部、
33…スリット、
34…Oリング、
35…ストッパ、
40…針制御部、
45…ハブ、
50,51…出力端子、
55…鞘部、
56…基端部、
57…先端部、
58…貫通孔、
60…挿通部材、
61…基端部、
62…先端部、
63…注射針、
63A…べベル、
64…電気絶縁体、
70,75…電極、
80…ワイヤ、
81…導線、
82…電気絶縁体、
85…ワイヤ、
86…導線、
87…電気絶縁体、
90…インピーダンスアナライザ、
91…入力端子、
92…コード、
93…入力端子、
94…コード、
170,175…電極、
190…インピーダンスアナライザ、
191,193…入力端子、
255…鞘部、
257…先端部、
260…挿通部材、
262…先端部、
263…注射針、
263A…べベル、
264…電気絶縁体、
270,275…電極、
280…ワイヤ、
281…導線、
282…電気絶縁体、
285…ワイヤ、
286…導線、
287…電気絶縁体、
332…駆動部、
350,351…出力端子、
355…鞘部、
356…基端部、
357…先端キャップ、
360…挿通部材、
361…基端部、
362…先端部、
363…注射針、
364…電気絶縁体、
370,375…電極、
380…ワイヤ、
381…接続コネクタ、
382…電気絶縁体、
385…ワイヤ、
386…接続コネクタ、
387…電気絶縁体、
460…挿通部材、
464…電気絶縁体、
469,474…導電体、
470,475…電極、
481,486…導体、
463A…ベベル、
563…注射針、
564…電気絶縁体、
565,566…側孔、
570…電極、
581…導線、
575…電極、
586…導線。
Claims (16)
- 経皮的に生体内腔に挿入されるカテーテルであって、
内部を延長するルーメンを有する鞘部と、
前記鞘部のルーメンに摺動自在に配置され、前記鞘部の先端部から突出可能である先端部を有する挿通部材と、
前記挿通部材の先端部に配置され、目的組織に治療用組成物を注入するための注射針と、
カテーテルの先端部に配置され、インピーダンスを測定するための電極対と
を有することを特徴とするカテーテル。 - 前記電極対は、前記挿通部材の先端部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
- 前記電極対の少なくとも一方の電極は、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
- 前記電極対は、複数組存在し、前記挿通部材の長手方向に関し、各組が離間して位置することを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
- 複数組の前記電極対に含まれる電極の少なくとも1つは、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
- 前記電極対の一方の電極は、前記挿通部材の先端部に位置し、前記電極対の他方の電極は、前記鞘部の先端部に位置することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
- 前記挿通部材の先端部に位置する前記電極は、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする請求項6に記載のカテーテル。
- 前記電極対は、複数組存在し、前記挿通部材の先端部に位置する複数の電極は、前記挿通部材の長手方向に関し、それぞれ離間して位置することを特徴とする請求項6に記載のカテーテル。
- 前記挿通部材の先端部に位置する複数の前記電極の少なくとも1つは、前記挿通部材の長手方向に関し、前記注射針のベベル先端から1mm以上離れていることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
- 前記鞘部の先端部は、前記ルーメンに連通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のカテーテル。
- 前記貫通孔は、前記鞘部の長手方向に関し、前記鞘部の先端部の端面から1mm以上離れていることを特徴とする請求項10に記載のカテーテル。
- 前記目的組織は、心臓であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のカテーテル。
- 内部を延長するルーメンを有する鞘部と、前記鞘部のルーメンに摺動自在に配置され、前記鞘部の先端部から突出可能である先端部を有する挿通部材と、前記挿通部材の先端部に配置され、目的組織に治療用組成物を注入するための注射針と有し、経皮的に生体内腔に挿入されるカテーテルと、
カテーテルの先端部に配置され、インピーダンスを測定するための電極対と、
前記電極対から延長する導電体が接続され、前記電極対により測定されるインピーダンス値に基づいて、前記注射針による穿刺を検出するための穿刺検出装置と
を有することを特徴とするカテーテルシステム。 - 前記電極対の一方の電極は、前記電極対の他方の電極より、前記カテーテルの基端側に位置することを特徴とする請求項13に記載のカテーテルシステム。
- 請求項1に記載のカテーテルを用いて、治療用組成物を注入するための方法であって、
前記カテーテルを生体内に挿入し、目的組織の近傍まで進めるステップと、
前記電極対により測定されるインピーダンス値に基づいて、前記注射針を目的組織に穿刺し、前記注射針を経由して目的組織に、前記治療用組成物を注入するステップと
を有することを特徴とする方法。 - 前記治療用組成物を注入するステップは、
前記電極対によってインピーダンスを測定しながら、前記鞘部に対して前記挿通部材を先端方向に移動させ、前記鞘部の先端部から前記注射針を突出させることで、目的組織を穿刺するステップと、
測定されたインピーダンス値に変化が検出された後において、前記治療用組成物を、前記注射針を経由して目的組織に注入するステップと
を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
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