JP2004290287A - 角膜内皮細胞像撮影装置 - Google Patents

角膜内皮細胞像撮影装置 Download PDF

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Abstract

【課題】角膜内皮細胞像撮影装置において、ノイズとしての暗部の現出を抑制して撮影画像のS/Nを向上させる。
【解決手段】撮影光投影光学系のスリット板43と被検眼Eとの間に、スリット板43を通過した撮影光であるスリット光束が入射する面と出射する面とが平行に形成されて、このスリット光束を透過させる平行平板92と、スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りにこの平行平板92を揺動させる平板揺動手段93とを備え、平行平板92を揺動させることによって、スリット光束による角膜Cの上名条件を変化させつつ、角膜内皮細胞像を撮影する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼の角膜内皮細胞像を含む角膜に関する像を撮影する角膜内皮細胞像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、角膜内皮細胞像を撮影する装置として、可視光を出射する撮影光源と、出射された可視光(撮影光)を絞るスリットと、スリットを通過して細長のスリット光束となった撮影光(以下、スリット光束という。)を、被検眼の角膜に対して斜め方向から照射する撮影光投影光学系と、スリット光束が被検眼の角膜によって反射して得られた反射光像を撮影する撮影光学系とを備えたものが知られている。
【0003】
そして、このような角膜内皮細胞像撮影装置は、被検眼と装置との間の距離を適切に設定した上で撮影を行うため、撮影に先立って、この距離に対応したアライメント(Zアライメント:距離方向(Z方向)のアライメント)を調整すべく、被検眼にアライメント調整用のアライメント光を投光して、アライメント光と被検眼との位置関係を観察することが行われている。
【0004】
このため、角膜内皮細胞像撮影装置には、アライメント光を投光するアライメント光投影光学系や、被検眼に投光されたアライメント光の像ととともに被検眼の前眼部の像を観察するための観察光学系も備えられている。
【0005】
そして、装置内部の構成が複雑になるのを防ぐために、アライメント光投影光学系は上述した撮影光投影光学系と一部が兼用され、観察光学系も撮影光学系と一部が兼用されて構成されている。
【0006】
なお、アライメント光は、上述したZアライメントだけでなく、水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)のアライメントを調整するためにも用いられており、これらXYアライメントを検出するための光学系や検出回路等も設けられている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−117190号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した角膜内皮細胞像撮影装置によって撮影された角膜内皮の細胞像には、斑状等の暗部が現出する場合がある。
【0009】
この暗部は、例えば、角膜内皮細胞表面の微小な凹凸による影であったり、角膜表面や角膜実質による光の散乱によるものであったり、あるいは、撮影光投影光学系におけるスリットのスリット幅が狭いためにスリット光束が可干渉性を有するに至って生じたスペックルノイズなどである。
【0010】
そして、このような暗部が撮影画像に認められると、画像の読影性能が低下して診断への影響が生じたり、この画像に基づいてさらに解析を行う場合には、解析結果の精度が低下する可能性もある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ノイズとしての暗部の現出を抑制して撮影画像のS/Nを向上させることができる角膜内皮細胞像撮影装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明の第1の角膜内皮細胞像撮影装置は、角膜への照明方向を変化させたり、小領域ごとに照明しつつ走査することにより、角膜表面若しくは角膜実質の特定部分による散乱の影響を空間的に平均化して、画像における暗部の現出を抑制したものである。
【0013】
すなわち、本発明の請求項1に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、撮影光源から出射されスリットを通過したスリット光束を、被検眼の角膜に対して斜め方向から照射する撮影光投影光学系と、前記スリット光束が前記被検眼の角膜により反射して得られた反射光像を撮影する撮影光学系とを備えた角膜内皮細胞像撮影装置において、前記スリット光束が前記角膜を照射する範囲を、該角膜に対する照射角度を変化させつつ照射するように、または小領域ごとに走査しつつ照射するように、前記スリットと前記被検眼との間の前記スリット光束の光路上に、前記スリット光束を走査させる走査手段を配設したことを特徴とする。
【0014】
ここで、スリット光束を走査させるとは、角膜への照射範囲を大幅に変化させることなく、この照射範囲に対するスリット光束の照射方向を振ることや、スリット光束をさらに幅狭のスリット光束にしたうえで上記照射範囲を移動させることなどをいう。
【0015】
このように構成された本発明の請求項1に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、走査手段によってスリット光束が走査されている期間中は、角膜が照射される照明条件が変化し、この結果、撮影光学系によって撮影される角膜内皮細胞像も変化し、走査期間中に得られた複数の角膜内皮細胞像を位置合わせして重ね合わせる加算処理(等荷重加算または重み付け加算)を行うことによって、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部は平均化される。
【0016】
また、幅狭のスリット光束を移動して、その都度、小領域ごとの画像を得るようにした走査手段を用いた角膜内皮細胞像撮影装置の場合は、例えば照明されている小領域に隣接した非照明の小領域も、照明されている小領域からの伝搬光、散乱光等のクロストーク光を、照明時の撮影光とは異なる方向から受けるため、各小領域に対する照明条件は、照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとなる。
【0017】
この結果、各小領域ごとに照明された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理し、あるいは繋ぎ合わせ処理することにより、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部は平均化される。
【0018】
したがって、角膜内皮細胞像のS/Nを、特定の部位に暗部が生じる従来の角膜内皮細胞像よりも向上させることができる。
【0019】
なお、撮影光学系にさらに偏光板を設け、この偏光板を光軸回りに回転させながら撮影を行うことによって、フレアとして画質低下の原因となる角膜内皮細胞以外での散乱光あるいは反射光の写り込みを防止または抑制することができる。
【0020】
また、画像の重ね合わせは、各画像中の特定位置に現れた特徴部分同士を一致させるように位置合わせを行なって加算処理を行う等、種々の公知の画像加算処理手段を用いればよく、本発明に係る角膜内皮細胞像撮影装置の外部に設けられた画像処理装置に備えるものとしてもよいし、角膜内皮細胞像撮影装置が画像処理手段等として備えていてもよい。
【0021】
さらに重ね合わせる画像は、照明条件を変えて撮影された全ての画像を対象とするものに限らず、撮影された全ての画像を一旦提示して、重ね合わせ処理しようとする複数の画像を、検者の選択に委ねるようにしてもよい。
【0022】
この場合、検者の選択を受け付ける選択手段をさらに設ければよい。
【0023】
また、本発明の請求項2に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項1に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記走査手段は、前記スリット光束の幅よりも狭く形成された開口を有する幅狭スリットと、該幅狭スリットの開口長手方向に直交する方向に該幅狭スリットを駆動するスリット駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
このように構成された本発明の請求項2に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束が幅狭スリットによって幅狭スリット光束とされるため、幅狭スリット光束が照射する角膜の領域は狭くなり、さらに、スリット駆動手段が幅狭スリットをその開口長手方向に直交する方向に駆動することによって、この幅狭スリット光束が振られ、この結果、幅狭スリット光束が照射している小領域が移動し、各小領域についての照明条件を、スリット光束によって照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとすることができる。
【0025】
すなわち、幅狭スリット光束によって照明されている小領域に隣接した非照明の小領域は、照明されている小領域からの伝搬光、散乱光等のクロストーク光を受けるため、スリット光束によって照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとなる。
【0026】
そして、幅狭スリット光束の移動ごとに撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理し、あるいは、幅狭スリット光束の移動ごとに撮影された複数の小領域の角膜内皮細胞像を繋ぎ合わせ処理することにより、単一の照明条件で照明したときに角膜内皮細胞像に現出した暗部を平均化することができる。
【0027】
しかも、幅狭スリットおよびスリット駆動手段という簡単な構成の走査手段によって実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0028】
また、本発明の請求項3に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項2に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記幅狭スリットと前記被検眼との間の前記スリット光束の光路上に、前記幅狭スリットを通過して可干渉性を有する幅狭スリット光束が前記被検眼において干渉するのを抑制させる干渉抑制手段を配設したことを特徴とする。
【0029】
このように構成された本発明の請求項3に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、幅狭スリットを通過した幅狭スリット光束は可干渉性が高くなって、角膜を照射したときにスペックルノイズが生じる可能性があるが、幅狭スリットと被検眼との間のスリット光束の光路上に設けられた干渉抑制手段によって、被検眼における干渉が抑制されるため、スペックルノイズの発生を防止または抑制することができる。
【0030】
なお、干渉抑制手段としては、幅狭スリット光束の位相を時系列的に不揃いにして可干渉性を低下させる作用を奏するものや、角膜で乱反射した幅狭スリット光束と干渉する時間遅れの幅狭スリット光束を遮断して、角膜における干渉を抑制するものなど、種々の形態を採用することができる。
【0031】
例えば、上記干渉抑制手段としては、幅狭スリット光束を拡散させる拡散板およびこの拡散板を撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段からなるもの(時系列位相不揃い化)や、撮影光投影光学系の光軸に直交する面内で多数の遮光部がランダムな配置で形成されたランダムドットパターン板およびこのランダムドットパターン板を撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段からなるもの(時間遅れ可干渉光の遮断)や、撮影光投影光学系の光軸に直交する面内で多数の液晶分子が配列された液晶セルおよび液晶分子の駆動による透過部が面内においてランダムな位置に出現するように液晶セルを駆動する駆動回路からなるもの(時間遅れ可干渉光の除去遮断)などを適用することができる。
【0032】
また、本発明の請求項4に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項1に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記走査手段は、前記スリット光束の入射面と出射面とが平行に形成されて該スリット光束を透過させる平行平板と、前記スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りに前記平行平板を揺動させる平板揺動手段とを備えたことを特徴とする。
【0033】
このように構成された本発明の請求項4に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束が、撮影光投影光学系の光軸に対して傾いた光軸の平行平板を透過することによって、平行平板から出射したスリット光束は、この平行平板を通過しないときとは、ずれた方向に進行し、この進行方向のずれ量は、平行平板の光軸の傾き量に応じたものとなるが、平板揺動手段が、この平行平板を揺動させて光軸の傾き量を変化させることにより、スリット光束が振られ、この結果、角膜に対するスリット光束の照射方向が変化して、照明条件を変化させることができる。
【0034】
そして、この照明条件が変化して撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理することにより、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部を平均化することができる。
【0035】
しかも、平行平板および平板回動手段という簡単な構成で走査手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0036】
また、本発明の請求項5に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項1に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記走査手段は、前記スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りの頂角の角度を変化可能であって該頂角の角度に応じた方向に前記スリット光束を出射させるアクティブプリズムと、前記頂角の角度を変化させるように前記アクティブプリズムを駆動する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
【0037】
ここで、アクティブプリズムとは、頂角可変のプリズムであり、フレキシブルプリズムあるいはバリアングルプリズム(商品名)とも称されている。
【0038】
そしてその構造は、略平行に配された2つの平板ガラスが蛇腹で接続され、これら2つの平板ガラスと蛇腹とで囲まれた内部に、高屈折率の液体が封入され、蛇腹を伸縮させることによって、頂角の角度を可変としている。
【0039】
このように構成された本発明の請求項5に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束がアクティブプリズムを透過することによって、アクティブプリズムから出射したスリット光束は、このアクティブプリズムを通過しないときとは、ずれた方向に進行し、この進行方向のずれ量は、アクティブプリズムの頂角の角度に応じたものとなるが、駆動回路がこの頂角の角度を変化させることにより、スリット光束が振られ、この結果、角膜に対するスリット光束の照射方向が変化して、照明条件を変化させることができる。
【0040】
そして、この照明条件が変化して撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理することにより、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部を平均化することができる。
【0041】
しかも、アクティブプリズムおよび駆動回路という簡単な構成で走査手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0042】
また、上述した目的を達成するため、本発明の第2の角膜内皮細胞像撮影装置は、角膜への撮影光の可干渉性を低下させることによって、撮影光が可干渉性を有する場合にも、スペックルノイズが照明対象である角膜において出現するのを抑制したものである。
【0043】
すなわち、本発明の請求項6に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、撮影光源から出射されスリットを通過した可干渉性を有するスリット光束を、被検眼の角膜に対して斜め方向から照射する撮影光投影光学系と、前記スリット光束が前記被検眼の角膜によって反射された反射光像を撮影する撮影光学系とを備えた角膜内皮細胞像撮影装置において、前記スリットと前記被検眼との間の前記スリット光束の光路上に、前記可干渉性を有するスリット光束が前記被検眼において干渉するのを抑制させる干渉抑制手段を配設したことを特徴とする。
【0044】
ここで、可干渉性を有するスリット光束とは、ノイズ光を遮断する等のために撮影光投影光学系におけるスリットのスリット幅を狭く設定した場合に、このスリットを通過した撮影光の位相が揃い、可干渉性を有するに至った光束を意味する。
【0045】
また、干渉抑制手段としては、幅狭スリット光束の位相を時系列的に不揃いにして可干渉性を低下させる作用を奏するものや、角膜で乱反射した幅狭スリット光束と干渉する時間遅れの幅狭スリット光束を遮断して、角膜における干渉を抑制するものなど、種々の形態を採用することができる。
【0046】
例えば、上記干渉抑制手段としては、幅狭スリット光束を拡散させる拡散板およびこの拡散板を撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段からなるもの(時系列位相不揃い化)や、撮影光投影光学系の光軸に直交する面内で多数の遮光部がランダムな配置で形成されたランダムドットパターン板およびこのランダムドットパターン板を撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段からなるもの(時間遅れ可干渉光の遮断)や、撮影光投影光学系の光軸に直交する面内で多数の液晶分子が配列された液晶セルおよび液晶分子の駆動による透過部が面内においてランダムな位置に出現するように液晶セルを駆動する駆動回路からなるもの(時間遅れ可干渉光の除去遮断)や、ホログラムを利用したものなどを適用することができる。
【0047】
このように構成された本発明の請求項6に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束が可干渉性を有するに至っている場合にも、このスリット光束は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられた干渉抑制手段によって、被検眼における干渉が抑制されるため、スペックルノイズの発生を防止または抑制することができ、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制することができ、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0048】
また、本発明の請求項7に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項6に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記干渉抑制手段は、前記可干渉性を有するスリット光束を拡散させる拡散板と、該拡散板を前記撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段とを備えたことを特徴とする。
【0049】
このように構成された本発明の請求項7に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、可干渉性を有するスリット光束は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられた拡散板を通過することによって進行方向がランダムに乱されるが、回転手段がこの拡散板を光軸回りに回転させることによって、後続する時間遅れのスリット光束の進行方向は、先行して被検眼に到達したスリット光束の進行方向と不揃いとなり、被検眼における干渉が抑制され、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0050】
しかも、拡散板および回転手段という簡単な構成で干渉抑制手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0051】
また、本発明の請求項8に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項6に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記干渉抑制手段は、前記撮影光投影光学系の光軸に直交する面内で多数の遮光部がランダムな配置で形成されたランダムドットパターン板と、該ランダムドットパターン板を前記撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段とを備えたことを特徴とする。
【0052】
このように構成された本発明の請求項8に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、可干渉性を有するスリット光束の一部は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられたランダムドットパターン板の非遮光部を通過して被検眼に到達するが、回転手段がこのランダムドットパターン板を光軸回りに回転させることによって、先行して被検眼に到達したスリット光束と干渉するはずの時間遅れのスリット光束は、ランダムドットパターン板の遮光部で遮断されるため、被検眼における干渉が防止または抑制されることとなり、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0053】
しかも、ランダムドットパターン板および回転手段という簡単な構成で干渉抑制手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0054】
また、本発明の請求項9に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項6に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記干渉抑制手段は、前記撮影光投影光学系の光軸に直交するように配設されて液晶分子の状態に応じて光を透過または遮蔽する液晶セルと、前記液晶セルを駆動する駆動回路とを備え、該駆動回路は、時系列的に互いに異なるランダムな透過パターンを表示させるように、前記液晶セルを駆動制御することを特徴とする。
【0055】
このように構成された本発明の請求項9に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、可干渉性を有するスリット光束の一部は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられた液晶セルの透過部を通過を通過して被検眼に到達するが、駆動回路が時系列的に互いに異なるランダムな透過パターンを表示させるように液晶セルを駆動制御することによって、先行して被検眼に到達したスリット光束と干渉するはずの時間遅れのスリット光束は、液晶セルの透過パターン以外の部分で遮断されるため、被検眼における干渉が防止または抑制されることとなり、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0056】
しかも、液晶セルおよび駆動回路という簡単な構成で干渉抑制手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0057】
また、本発明の請求項10に係る角膜内皮細胞像撮影装置は、請求項1から9のうちいずれか1項に係る角膜内皮細胞像撮影装置において、前記被検眼と前記角膜内皮細胞像撮影装置との間の距離に対応したアライメント調整用のアライメント光および前記被検眼の前眼部を観察するために該前眼部に照射される観察光を赤外光とし、前記撮影光源から出射する撮影光を可視光としたことを特徴とする。
【0058】
ここで、本発明に係る各角膜内皮細胞像撮影装置は、実用上は、被検眼と装置との間の距離を適切に設定した上で撮影を行うのが好ましい。
【0059】
すなわち、撮影に先立って、この距離に対応したアライメント(Zアライメント:距離方向(Z方向)のアライメント)を調整すべく、被検眼にアライメント調整用のアライメント光を投光するとともに、被検眼の前眼部にも観察用の照明光(観察光)を投光して、被検眼に結像したアライメント光の像を前眼部の像とともに観察して、アライメント光の像と前眼部の像との位置関係が調整される。
【0060】
このようなアライメント調整の操作時は、撮影時とは異なり、アライメント光や観察光を被検眼に照射し続けることとなり、これらの光を撮影光と同様の可視光とすると、被検者は眩しく感じてストレスとなる虞がある。
【0061】
しかし、このように構成された本発明の請求項10に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、観察操作時のアライメント光および観察光は、被検者に対する眩しさが可視光よりも低い赤外光であるため、被検者のストレスを軽減させることができる。
【0062】
一方、撮影光は可視光であるため、撮影によって、通常の感覚で観察可能な角膜内皮細胞像を得ることができる。
【0063】
なお、アライメント光を投光するアライメント光投影光学系や、被検眼に投光されたアライメント光の像ととともに被検眼の前眼部の像を観察するための観察光学系は、撮影光投影光学系と一部を兼用するものであってもよく、装置内部の構成が複雑になるのを防止することができる。
【0064】
また、アライメント光は、上述したZアライメントだけでなく、水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)のアライメントを調整するためにも用いてもよく、これらXYアライメントを検出するための光学系や検出回路等を設けてもよい。
【0065】
なお、上述した各発明においては、重ね合わせ処理や繋ぎ合わせ処理を行うことは必須の要件ではない。
【0066】
すなわち、関心領域が局所領域に限られるときは、その局所領域に関しては、特定の照明条件の場合に、最も読影性能が高い場合があり、このような場合には、他の照明条件の画像と重ね合わせ処理(あるいは繋ぎ合わせ処理)することによって得られた重ね合わせ画像(あるいは繋ぎ合わせ画像)は、画像全体での読影性能は向上するものの、関心領域である局所領域については、特定の単一画像の場合よりも読影性能が低下する可能性があるからである。
【0067】
【実施の形態】
以下、本発明に係る角膜内皮細胞像撮影装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の第1の角膜内皮細胞像撮影装置についての一実施形態である角膜内皮細胞像撮影装置100を示す図である。
【0068】
図示の角膜内皮細胞像撮影装置100は、被検者Hの被検眼Eの前眼部を観察するための前眼部観察光学系10、被検眼Eの角膜内皮細胞像を撮影するために角膜Cに撮影光を投光する撮影光投影光学系40、被検眼Eの角膜内皮細胞像を観察するために角膜Cに観察光を投光する観察光投影光学系50、角膜内皮細胞像を観察または撮影するための観察撮影光学系60、被検眼EにXYアライメント調整用のXYアライメント指標光を投光するXYアライメント指標光投影光学系20、投光されたXYアライメント指標光によって被検眼Eと角膜内皮細胞像撮影装置100との水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)についての相対的位置関係(XYアライメント)を検出するXYアライメント検出光学系30、被検眼EにZアライメント調整用のZアライメント光を投光するZアライメント光投影光学系90、投光されたZアライメント光によって被検眼Eと角膜内皮細胞像撮影装置100との間隔方向(Z方向)についての相対的位置関係(Zアライメント)を検出するZアライメント光検出光学系70、および被検眼Eに固視標を投影する固視標投影光学系80を備えた構成である。
【0069】
ここで、前眼部観察光学系10は、前眼部照明用の赤外光源11、ハーフミラー12、対物レンズ13、ハーフミラー14、遮光板15、およびCCDカメラ16を備え、光軸O1を有している。
【0070】
そして、赤外光源11によって照明された被検眼Eの前眼部像は、ハーフミラー12、対物レンズ13、ハーフミラー14を順次経て、CCDカメラ16に投影される。なお、遮蔽板15は、前眼部観察時にはこの前眼部像の通過光路外に退避され、角膜内皮細胞像の観察時あるいは撮影時にはこの前眼部像の通過光路上に挿入される。
【0071】
XYアライメント指標光投影光学系20は、被検眼Eの角膜Cに向けて正面から、XYアライメント指標光を投光する光学系であり、赤外光源21、集光レンズ22、開口絞り23、指標を形成するピンホール板24、ダイクロイックミラー25、投影レンズ26、およびハーフミラー12を有している。なお、投影レンズ26は、ピンホール板24にその焦点が一致するように、光路上に配設されている。
【0072】
そして、赤外光源21から出射された赤外光は、集光レンズ22により集光されつつ開口絞り23を通過してピンホール板24に導かれる。
【0073】
このピンホール板24を通過した光束は、ダイクロイックミラー25によって反射され、投影レンズ26によって平行光束とされ、ハーフミラー12によって反射されて、角膜Cに入射する。
【0074】
角膜Cに入射した指標光は、図3に示すように、角膜Cの頂点Pと角膜Cの曲率中心O2との中間位置に輝点像(虚像)Rを形成するように、角膜Cの外表面Tで反射される。なお、開口絞り23は、投影レンズ26に関して、角膜頂点Pと共役な位置に設けられている。
【0075】
XYアライメント検出光学系30は、ハーフミラー12、対物レンズ13、ハーフミラー14、およびアライメントセンサ31を有しており、角膜Cの外表面で反射され輝点像Rを担持したXYアライメント指標光は、ハーフミラー12を透過し、対物レンズ13によって集束されつつ、ハーフミラー14によってその一部が反射されて、アライメントセンサ31上に輝点像Rの像(実像)R′を形成する。
【0076】
なお、アライメントセンサ31は、例えば、PSD(Position Sensitive Detector:位置検出センサ)等の受光素子であるが、少なくとも二次元平面(XY平面)についての位置を受光量に基づいて検出しうるものであればよい。
【0077】
XYアライメント検出回路33は、アライメントセンサ31の出力に基づいて、角膜内皮細胞像撮影装置100と角膜CとのXY方向についてのアライメント状態を演算し、この演算の結果を制御回路32に出力する。
【0078】
一方、ハーフミラー14を透過した、輝点像Rを担持したXYアライメント指標光は、CCDカメラ16に導かれて、CCDカメラ16上において輝点像(実像)R″を形成する。
【0079】
なお、CCDカメラ16はモニタ装置に画像信号を出力し、モニタ装置の表示面17には、図4に示すように、被検眼Eの前眼部像E′および輝点像R″が表示される。
【0080】
このとき、表示面17上には、図示しない画像生成手段によって生成された、XYアライメントの許容範囲を示すマーク18が同時に表示されており、検者は、この表示面17上に表示された輝点像R″がマーク18内に入ってピントが合うように、角膜内皮細胞像撮影装置100を被検眼Eに対してXY方向に相対的に移動させ、XYアライメントを適切な状態とする。
【0081】
撮影光投影光学系40は、角膜内皮細胞を撮影するための撮影スリット光束を角膜Cに対して斜め方向から照射するものであり、撮影用光源としてのキセノンランプ41、集光レンズ42、スリット板43、走査手段91、ダイクロイックミラー44、開口絞り45、および対物レンズ46を備え、光軸O3を有している。
【0082】
ここで、キセノンランプ41は、波長400nmから700nmまでの可視光を発する。また、スリット板43は、広い視野を撮影することができ、かつ角膜外表面からの反射光が混入して画質が低下しない程度の幅に設定されている。ダイクロイックミラー44は、可視域の波長の光(可視光)を透過し、可視光よりも長波長側の光を遮断する光学的特性に設定されている。
【0083】
そして、キセノンランプ41から出射された可視光は、集光レンズ42によって集光されつつ、スリット板43に導かれ、走査手段91を介してダイクロイックミラー44を透過し、開口絞り45を通過し、対物レンズ46によって角膜Cに導かれ、角膜Cを横断照明する。
【0084】
ここで、走査手段91としては、例えば、スリット板43を通過したスリット光束の入射面と出射面とが平行に形成されてスリット光束を透過させる平行平板92と、スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りに平行平板92を揺動させる平板揺動手段93とからなるものである。
【0085】
そして、この平行平板92を透過したスリット光束は、ダイクロイックミラー44を透過し、開口絞り45を通過して、対物レンズ46によって集束され、角膜Cに導かれる。
【0086】
なお、図5(a)は、撮影光投影光学系40によって投光されたスリット光束の角膜Cにおける反射状態を示しており、スリット光束の一部は、空気と角膜Cとの境界面である角膜外表面Tにおいて反射され、角膜外表面Tを透過したスリット光束の一部は、角膜内皮細胞面Nにおいて反射され、他の一部は、角膜外表面Tと角膜内皮細胞面Nとの間の角膜実質Mによって反射される。
【0087】
そして、これら反射光のうち、角膜外表面Tにおける反射光束T′が最も光量が大きく、次いで角膜内皮細胞面Nにおける反射光束N′の光量が大きく、角膜実質Mによる反射光束M′の光量が最も小さい。
【0088】
Zアライメント光投影光学系90は、赤外光を出射するZアライメント用光源51、集光レンズ52、スリット板53、ダイクロイックミラー44、開口絞り45、対物レンズ46を有している。
【0089】
このZアライメント用光源51からは赤外域の光が出射され、また、スリット板53の開口幅は、Z方向のアライメント精度向上のために、スリット板43の開口幅よりも狭く設定されている。
【0090】
Zアライメント用光源51から出射された赤外光は、集光レンズ52によって集束されつつスリット板53を通過し、この通過したスリット光束は、ダイクロイックミラー44によって反射され、開口絞り45を通過し、対物レンズ46によって集束されて角膜Cに導かれる。
【0091】
そして、Zアライメント光投影光学系90によって角膜Cに投光されたスリット光束は、撮影光投影光学系40によって投光されたスリット光束と同様に、図5(a)に示すように、角膜Cにおいて反射される。
【0092】
なお、Zアライメント光投影光学系90は、被検眼Eの角膜内皮細胞像を観察するために角膜Cに観察光を投光する観察光投影光学系50を兼ねており、観察光として、Zアライメント用光源51から出射される赤外光が用いられる。
【0093】
観察撮影光学系60は、前眼部観察光学系10の光軸O1に関して、撮影光投影光学系40と対称の位置に設けられており、対物レンズ61、ダイクロイックミラー62、マスク63、ミラー64、リレーレンズ65、遮光板66、ミラー67、CCDカメラ16を備え、光軸O4を有している。
【0094】
ここで、ダイクロイックミラー62は、820nm以下の波長の光を透過させ、820nmを超える波長の光を遮断する光学特性を有している。
【0095】
マスク63は、角膜内皮細胞像を形成する光束以外の反射光束がCCDカメラ16に入射するのを阻止するために設けられており、ミラー67は、前眼部観察光束の妨げとならない位置に配設されるとともに、被検眼Eの傾斜角度θと同一角度を以て傾斜されている。
【0096】
撮影光投影光学系40および観察光投影光学系50から出射され、角膜Cによって反射された反射光束は、対物レンズ61により集光されつつダイクロイックミラー62を透過してマスク63上に角膜内皮細胞像として一旦結像される。
【0097】
角膜内皮細胞像を形成する以外の反射光束は、このマスク63により遮断され、マスク63を通過した角膜内皮細胞像を担持した反射光束はミラー64によって反射され、リレーレンズ65により集束されつつミラー67に導かれ、このミラー67によって反射され、CCDカメラ16上に、角膜内皮細胞像を形成する。
【0098】
CCDカメラ16は、モニタ装置にこの角膜内皮細胞像を表す画像信号を出力し、モニタ装置の表示面17には、この画像信号に基づいて図5(b)に示すように、角膜内皮細胞像68aが可視表示される。
【0099】
ここで、図5(b)において、破線で示す光像68bは、マスク63によって遮断されないとした場合に、角膜外表面Tからの反射光束T′により形成される像である。
【0100】
なお、遮光板66は、角膜内皮細胞像の観察時や撮影時は、光路上から退避されていて、前眼部観察時は光路中に挿入される。
【0101】
固視標投影光学系80は、可視光を出射する固視標用光源81、ピンホール板82、ダイクロイックミラー25、投影レンズ26、ハーフミラー12を有している。
【0102】
そして、固視標用光源81から出射された固視標光は、ピンホール板82を経てダイクロイックミラー25を透過し、投影レンズ26により平行光束とされた後、ハーフミラー12に反射投影される。ここで、被験者Hは、このハーフミラー12に反射投影された固視標光を固視目標として注視することにより、被験者Hの視線が固定される。
【0103】
Zアライメント検出光学系70は、対物レンズ61、ダイクロイックミラー62、および合焦位置検出センサ71を有している。
【0104】
Zアライメント光投影光学系90により投光されたスリット光束の角膜Cによる反射光は、対物レンズ61により集束されつつダイクロイックミラー62に導かれ、合焦位置検出センサ71上に結像される。
【0105】
合焦位置検出センサ71は、ラインセンサ等の光量分布を検出可能な受光素子であり、合焦位置検出センサ71には、図6(a)に示す像が形成され、図6(b)に示すような光量分布を得ることができる。
【0106】
また、図6(b)に示すように、角膜外表面Tにおいて反射された光束T′による光像74に対応する領域は、角膜内皮細胞面Nにおいて反射された光束N′による光像75に対応する領域よりも、大きな光量を示している。
【0107】
そして、Zアライメント検出回路72は、図6(b)に示した合焦位置検出センサ71の出力に基づいて、反射光束N′の光量が極大となるピーク位置75′を検出し、この検出結果によって角膜内皮細胞面Nの位置が検出され、角膜内皮細胞面Nの位置は制御回路32に入力される。
【0108】
また、合焦位置検出センサ71の検出結果は角膜Cの厚さを測定する角膜厚測定回路73にも入力され、角膜厚測定回路73は、合焦位置検出センサ71の出力に基づいて、反射光束T′の光量が極大となるピーク位置74′と、反射光束N′の光量が極大となるピーク位置75′との間の距離Kを検出し、この距離Kに基づいて、角膜Cの厚さを演算し、得られらた演算結果を制御回路32に出力する。
【0109】
制御回路32は、Zアライメント検出回路72の結果に基づいて、Z方向のアライメント情報を、図4および図5(b)におけるアライメントバー76の表示位置によって、検者に報知する。
【0110】
次に、本実施形態の角膜内皮細胞像撮影装置100の作用について説明する。
【0111】
まず、制御回路32は、光源11,21,51,81を点灯させ、検者は、モニタ装置の表示面17上に表示された前眼部観察像を観察しながら、概略のアライメント調整操作を行う。
【0112】
すなわち、XYアライメント検出回路33およびZアライメント検出回路72から検出結果が制御装置32に入力されて、角膜内皮細胞像撮影装置100と被検眼Eとの間の概略のアライメント調整が完了すると、制御回路32は、撮影用光源41を点灯させる。
【0113】
制御回路32は同時に、遮光板15を光路中に挿入させるとともに、遮光板66を光路から退避させる。そして、この作用によって、モニタ装置の表示面17には、前眼部観察像から角膜内皮細胞像に切り換えられる。
【0114】
XY方向のアライメントが完了し、角膜内皮細胞面Nが観察撮影光学系60のピント位置に合致したことがXYアライメント検出回路33、Zアライメント検出回路72により検出されると、角膜厚測定回路73が、合焦位置検出センサ71の出力に基づいて、角膜Cの厚さを演算し、制御回路32に出力する。
【0115】
そして、モニタ装置の表示面17には、角膜の厚さおよび角膜内皮細胞像が表示される。
【0116】
角膜内皮細胞の撮影は、走査手段91を構成する平行平板92を、同じく走査手段91を構成する平板揺動手段93により、スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りに揺動させながら行われる。
【0117】
すなわち、図7に示すように、スリット板43を通過したスリット光束が、撮影光投影光学系40の光軸O3に対して傾いた光軸の平行平板92を透過することによって、平行平板92から出射したスリット光束は、この平行平板92を通過しないときとは、ずれた方向に進行し、この進行方向のずれ量は、平行平板92の光軸の傾き量に応じたものとなるが、平板揺動手段93が、この平行平板92を揺動させて光軸の傾き量を変化させることにより、スリット光束は、同図における実線や二点鎖線のように振られ、この結果、角膜Cに対するスリット光束の照射方向が平行平板92の傾き量が変わるごとに変化し、照明条件を変化させる。
【0118】
したがって、角膜内皮細胞面Nの微小な凹凸や散乱によって角膜内皮細胞像において現出する明暗は、照明条件が変化するごとに、その現出位置が変わり、あるいは明暗の濃淡も変化する。
【0119】
そして、単一の角膜内皮細胞像においては観察に悪影響を与える明暗も、この照明条件が変化するごとに撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理することによって得られた重ね合わせ後の角膜内皮細胞像においては、平均化(平滑化)されるために、S/Nを向上させることができる。
【0120】
しかも、角膜内皮細胞のひとつ一つを画する細胞膜の像は、重ね合わせ処理によっても、コントラストよく形成されるため、細胞膜の像に基づいて細胞の大きさを解析、診断する場合にも、悪影響を与えることがない。
【0121】
なお、複数の角膜内皮細胞像の重ね合わせに際しては、種々の公知の位置合わせ処理を行えばよい。
【0122】
一方、重ね合わせ処理を行わない方が、部分的にはコントラストが良い場合もあり、このような場合は、重ね合わせ処理前の、照明条件が違いに異なる個々の単一画像で表示可能、撮影可能としてもよい。
【0123】
すなわち、関心領域が局所領域に限られるときは、その局所領域に関しては、特定の照明条件の場合に、最も読影性能が高い場合があり、このような場合には、他の照明条件の画像と重ね合わせ処理することによって得られた重ね合わせ画像は、画像全体での読影性能は向上するものの、関心領域である局所領域については、特定の単一画像の場合よりも読影性能が低下する可能性があるからである。
【0124】
また、モニタ装置の表示面17に、各照明光軸を示す画像を表示してもよい。
【0125】
さらにまた、撮影光源41の発光および角膜内皮細胞像の撮影は、上述したように、走査手段91の走査および撮影に同期させて行ってもよいし、撮影光源41の1回の発光中および1回の撮影中に、走査手段91を連続して走査してもよい。
【0126】
後者の場合は、より短時間での撮影が可能となり、被験者の負担を軽減させることができるとともに、視軸の微動による影響を低減することもできる。
【0127】
なお、走査手段91としては、上述した平行平板92および平板揺動手段93を備えた構成の他、図8に示すように、スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りの頂角の角度を変化可能であって、この頂角の角度に応じた方向にスリット光束を出射させるアクティブプリズム94と、このアクティブプリズム94の頂角の角度を変化させるようにアクティブプリズム94を駆動する駆動回路95とを備えたものを適用することもでき、このような走査手段91を適用した構成の角膜内皮細胞像撮影装置100によっても、上述した実施形態1と同様の効果を発揮することができる。
【0128】
また、走査手段91として、図9に示すように、スリット板43を通過したスリット光束が角膜Cを小領域ごとに走査しつつ照射するように、スリット板43のスリット幅よりも狭く形成された開口を有する幅狭スリット96と、この幅狭スリット96の開口長手方向に直交する方向に、幅狭スリット96を駆動するスリット駆動手段97とを備えた構成を適用することもできる。
【0129】
そして、このような走査手段91を適用した構成の角膜内皮細胞像撮影装置100によれば、スリット光束が幅狭スリット96によって幅狭スリット光束とされるため、幅狭スリット光束が照射する角膜Cの領域は狭くなり、さらに、スリット駆動手段97が幅狭スリット96をその開口長手方向に直交する方向に駆動することによって、幅狭スリット光束が振られ、この結果、幅狭スリット光束が照射している小領域が移動し、各小領域についての照明条件を、スリット光束によって照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとすることができる。
【0130】
ここで、幅狭スリット96は、撮影光投影光学系40の瞳位置に配設するのが、最も効率良く走査可能であるため、好ましい。
【0131】
そして、幅狭スリット光束の移動ごとに撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理し、あるいは、幅狭スリット光束の移動ごとに撮影された複数の小領域の角膜内皮細胞像を繋ぎ合わせ処理すれば、単一の照明条件で照明した場合に角膜内皮細胞像に現出するノイズとしての明暗を平均化して、S/Nを向上させることができる。
【0132】
なお、走査手段91として幅狭スリット96を用いる場合には、幅狭スリット96と被検眼Eとの間のスリット光束の光路上に、幅狭スリット96を通過して可干渉性を有する幅狭スリット光束が被検眼E(角膜C)において干渉するのを抑制させる干渉抑制手段をさらに配設するのが好ましい。
【0133】
すなわち、幅狭スリット96を通過した幅狭スリット光束は、可干渉性が高くなっていることがあり、角膜Cを照射したときにスペックルノイズを生じる可能性があるが、幅狭スリット96と被検眼Eとの間のスリット光束の光路上に設けられた干渉抑制手段によって、被検眼Eにおける干渉が抑制されるため、スペックルノイズの発生を防止または抑制することができる。
【0134】
なお、そのような干渉抑制手段としては、幅狭スリット光束の位相を時系列的に不揃いにして可干渉性を低下させる作用を奏するものや、角膜で乱反射した幅狭スリット光束と干渉する時間遅れの幅狭スリット光束を遮断して、角膜における干渉を抑制するものなど、種々の形態を採用することができる。
【0135】
例えば、上記干渉抑制手段としては、幅狭スリット光束を拡散させる拡散板およびこの拡散板を撮影光投影光学系40の光軸O3回りに回転させる回転手段からなるもの(時系列位相不揃い化)や、撮影光投影光学系40の光軸O3に直交する面内で多数の遮光部がランダムな配置で形成されたランダムドットパターン板およびこのランダムドットパターン板を撮影光投影光学系40の光軸O3回りに回転させる回転手段からなるもの(時間遅れ可干渉光の遮断)や、撮影光投影光学系40の光軸O3に直交する面内で多数の液晶分子が配列された液晶セルおよび液晶分子の駆動による透過部が面内においてランダムな位置に出現するように液晶セルを駆動する駆動回路からなるもの(時間遅れ可干渉光の除去遮断)などを適用することができる。
(実施形態2)
図10は、本発明の第2の角膜内皮細胞像撮影装置についての一実施形態である角膜内皮細胞像撮影装置100を示す図である。
【0136】
ここで、本実施形態2の角膜内皮細胞像撮影装置100は、その構成の大部分が図1に示した実施形態1の角膜内皮細胞像撮影装置100と共通であるため、異なる部分についてのみ説明し、共通部分についての説明は省略する。
【0137】
すなわち、本実施形態2の角膜内皮細胞像撮影装置100は、スリット板43のスリット幅が、実施形態1の角膜内皮細胞像撮影装置100のスリット板43のスリット幅よりも狭く形成されており、このスリット板43を通過したスリット光束が、図9に示した幅狭スリット光束と同様に、可干渉性を有するに至っている。
【0138】
また、本実施形態2の角膜内皮細胞像撮影装置100は、実施形態1の角膜内皮細胞像撮影装置100における走査手段91が、干渉抑制手段98に置換されている。
【0139】
この干渉抑制手段98は、可干渉性を有しているスリット光束が被検眼E(角膜C)において干渉するのを抑制させるものであり、図11に示すように、例えば可干渉性を有するスリット光束を拡散させる拡散板98aと、この拡散板98aを撮影光投影光学系40の光軸O3回りに回転させる回転手段98bとを備えた構成である。
【0140】
そして、このように構成された本実施形態2の角膜内皮細胞像撮影装置100によれば、可干渉性を有する撮影光であるスリット光束は、スリット板43と被検眼Eとの間のスリット光束の光路上に設けられた拡散板98aを通過することによって進行方向がランダムに乱されるが、回転手段98bがこの拡散板98aを光軸O3回りに回転させることによって、後続する時間遅れのスリット光束の進行方向が、先行して被検眼に到達したスリット光束の進行方向と不揃いとなって位相がずれるため、被検眼Eにおいて、先行したスリット光束と後続するスリット光束との干渉が抑制され、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、撮影された角膜内皮細胞像のS/Nを向上させることができる。
【0141】
なお、干渉抑制手段98としては、上述した拡散板98aおよび回転手段98bを備えた構成の他、撮影光投影光学系40の光軸O3に直交する面内で多数の遮光部が半径方向および回転方向についてランダムな配置で形成されたランダムドットパターン板およびランダムドットパターン板を撮影光投影光学系40の光軸O3回りに回転させる回転手段とを備えた構成や、撮影光投影光学系40の光軸O3に直交するように配設されて液晶分子の状態に応じて幅狭スリット光束を透過または遮蔽する液晶セルおよび液晶セルを駆動する駆動回路とを備え、この駆動回路が時系列的に互いに異なるランダムな透過パターンを表示させるように液晶セルを駆動制御する構成や、ホログラムを利用した干渉抑制手段などを適用することもでき、このような干渉抑制手段98を適用した構成の角膜内皮細胞像撮影装置100によっても、上述した実施形態2と同様の効果を発揮することができる。
【0142】
また、本実施形態2の角膜内皮細胞像撮影装置100においては、干渉抑制手段98を、光投影光学系40のみならず、Zアライメント光投影光学系90(観察光投影光学系50)にも設けることができ、このようにZアライメント光投影光学系90に設けることによって、合焦位置検出センサ71上における検出信号のS/Nを向上させることができる。
【0143】
さらに、干渉抑制手段98をダイクロイックミラー44に対して被検眼E側に配置することによって、撮影される角膜内皮細胞像のS/Nと合焦位置検出センサ71上における検出信号のS/Nとの両方を、単一の干渉抑制手段98のみによって向上させることができ、製造コストを抑制しつつ性能を向上させることができる。
【0144】
また、実施形態1と同様に、複数回の撮影を行って複数の角膜内皮細胞像を取得するようにしてもよく、この場合、実施形態1の場合と同様に、複数の角膜内皮細胞像を位置合わせ処理したうえで重ね合わせ処理することにより、単一の角膜内皮細胞像よりも、さらにS/Nの高い重ね合わせ角膜内皮細胞像を得ることができる。
【0145】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、走査手段によってスリット光束が走査されている期間中は、角膜が照射される照明条件が変化し、この結果、撮影光学系によって撮影される角膜内皮細胞像も変化し、走査期間中に得られた複数の角膜内皮細胞像を位置合わせして重ね合わせる加算処理(等荷重加算または重み付け加算)を行うことによって、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部は平均化される。
【0146】
また、幅狭のスリット光束を移動して、その都度、小領域ごとの画像を得るようにした走査手段を用いた角膜内皮細胞像撮影装置の場合は、例えば照明されている小領域に隣接した非照明の小領域も、照明されている小領域からの伝搬光、散乱光等のクロストーク光を、照明時の撮影光とは異なる方向から受けるため、各小領域に対する照明条件は、照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとなる。
【0147】
この結果、各小領域ごとに照明された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理し、あるいは繋ぎ合わせ処理することにより、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部は平均化される。
【0148】
したがって、特定の部位に暗部が生じる従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0149】
また、本発明の請求項2に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束が幅狭スリットによって幅狭スリット光束とされるため、幅狭スリット光束が照射する角膜の領域は狭くなり、さらに、スリット駆動手段が幅狭スリットをその開口長手方向に直交する方向に駆動することによって、この幅狭スリット光束が振られ、この結果、幅狭スリット光束が照射している小領域が移動し、各小領域についての照明条件を、スリット光束によって照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとすることができる。
【0150】
すなわち、幅狭スリット光束によって照明されている小領域に隣接した非照明の小領域は、照明されている小領域からの伝搬光、散乱光等のクロストーク光を受けるため、スリット光束によって照明範囲全体を照射したときの各小領域についての照明条件とは異なるものとなる。
【0151】
そして、幅狭スリット光束の移動ごとに撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理し、あるいは、幅狭スリット光束の移動ごとに撮影された複数の小領域の角膜内皮細胞像を繋ぎ合わせ処理することにより、単一の照明条件で照明したときに角膜内皮細胞像に現出した暗部を平均化することができる。
【0152】
しかも、幅狭スリットおよびスリット駆動手段という簡単な構成の走査手段によって実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0153】
また、本発明の請求項3に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、幅狭スリットを通過した幅狭スリット光束は可干渉性が高くなって、角膜を照射したときにスペックルノイズが生じる可能性があるが、幅狭スリットと被検眼との間のスリット光束の光路上に設けられた干渉抑制手段によって、被検眼における干渉が抑制されるため、スペックルノイズの発生を防止または抑制することができる。
【0154】
また、本発明の請求項4に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束が、撮影光投影光学系の光軸に対して傾いた光軸の平行平板を透過することによって、平行平板から出射したスリット光束は、この平行平板を通過しないときとは、ずれた方向に進行し、この進行方向のずれ量は、平行平板の光軸の傾き量に応じたものとなるが、平板揺動手段が、この平行平板を揺動させて光軸の傾き量を変化させることにより、スリット光束が振られ、この結果、角膜に対するスリット光束の照射方向が変化して、照明条件を変化させることができる。
【0155】
そして、この照明条件が変化して撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理することにより、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部を平均化することができる。
【0156】
しかも、平行平板および平板回動手段という簡単な構成で走査手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0157】
また、本発明の請求項5に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束がアクティブプリズムを透過することによって、アクティブプリズムから出射したスリット光束は、このアクティブプリズムを通過しないときとは、ずれた方向に進行し、この進行方向のずれ量は、アクティブプリズムの頂角の角度に応じたものとなるが、駆動回路がこの頂角の角度を変化させることにより、スリット光束が振られ、この結果、角膜に対するスリット光束の照射方向が変化して、照明条件を変化させることができる。
【0158】
そして、この照明条件が変化して撮影された複数の角膜内皮細胞像を重ね合わせ処理することにより、各角膜内皮細胞像においてそれぞれ異なる位置に現出した暗部を平均化することができる。
【0159】
しかも、アクティブプリズムおよび駆動回路という簡単な構成で走査手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0160】
また、本発明の請求項6に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、スリット光束が可干渉性を有するに至っている場合にも、このスリット光束は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられた干渉抑制手段によって、被検眼における干渉が抑制されるため、スペックルノイズの発生を防止または抑制することができ、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制することができ、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0161】
また、本発明の請求項7に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、可干渉性を有するスリット光束は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられた拡散板を通過することによって進行方向がランダムに乱されるが、回転手段がこの拡散板を光軸回りに回転させることによって、後続する時間遅れのスリット光束の進行方向は、先行して被検眼に到達したスリット光束の進行方向と不揃いとなり、被検眼における干渉が抑制され、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0162】
しかも、拡散板および回転手段という簡単な構成で干渉抑制手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0163】
また、本発明の請求項8に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、可干渉性を有するスリット光束の一部は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられたランダムドットパターン板の非遮光部を通過して被検眼に到達するが、回転手段がこのランダムドットパターン板を光軸回りに回転させることによって、先行して被検眼に到達したスリット光束と干渉するはずの時間遅れのスリット光束は、ランダムドットパターン板の遮光部で遮断されるため、被検眼における干渉が防止または抑制されることとなり、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0164】
しかも、ランダム開口板および回転手段という簡単な構成で干渉抑制を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0165】
また、本発明の請求項9に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、可干渉性を有するスリット光束の一部は、スリットと被検眼との間の当該スリット光束の光路上に設けられた液晶セルの透過部を通過を通過して被検眼に到達するが、駆動回路が時系列的に互いに異なるランダムな透過パターンを表示させるように液晶セルを駆動制御することによって、先行して被検眼に到達したスリット光束と干渉するはずの時間遅れのスリット光束は、液晶セルの透過パターン以外の部分で遮断されるため、被検眼における干渉が防止または抑制されることとなり、スペックルノイズが生じるのを防止または抑制して、スペックルノイズに起因する暗部の現出を防止または抑制し、従来の角膜内皮細胞像よりもS/Nを向上させることができる。
【0166】
しかも、液晶セルおよび駆動回路という簡単な構成で干渉抑制手段を実現することができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0167】
また、本発明の請求項10に係る角膜内皮細胞像撮影装置によれば、観察操作時のアライメント光および観察光は、被検者に対する眩しさが可視光よりも低い赤外光であるため、被検者のストレスを軽減させることができる。
【0168】
一方、撮影光は可視光であるため、撮影によって、通常の感覚で観察可能な角膜内皮細胞像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の角膜内皮細胞像撮影装置の一実施形態を示す要部構成図であって、XZ面内(水平面内)での配置状態を示す。
【図2】本発明に係る第1の角膜内皮細胞像撮影装置の一実施形態を示す要部構成図であって、YZ面内(鉛直面内)での配置状態を示す。
【図3】角膜に照射されたアライメント光束の反射作用を説明する図である。
【図4】モニタ装置の表示面上に表示された前眼部像およびアライメント光を示す図である。
【図5】角膜に照射されるスリット光束とモニタ装置の表示面上に表示される角膜内皮細胞像との関係を示す説明図であり、(a)はスリット光束の角膜による反射の詳細を示し、(b)は(a)に示した反射作用によって表示された内皮細胞像を示す。
【図6】角膜からの反射光束と合焦位置検出センサとの位置関係および光量分布の関係を示す図であり、(a)は位置関係を示す模式図、(B)は光量分布を示すグラフである。
【図7】走査手段の具体的な一形態を示す図(その1)である。
【図8】走査手段の具体的な一形態を示す図(その2)である。
【図9】走査手段の具体的な一形態を示す図(その3)である。
【図10】本発明に係る第1の角膜内皮細胞像撮影装置の一実施形態を示す要部構成図であって、XZ面内(水平面内)での配置状態を示す。
【図11】干渉抑制手段の具体的な一形態を示す図である。
【符号の説明】
43 スリット板
92 平行平板
93 平板揺動手段
E 被検眼
C 角膜
O3 撮影光投影光学系の光軸

Claims (10)

  1. 撮影光源から出射されスリットを通過したスリット光束を、被検眼の角膜に対して斜め方向から照射する撮影光投影光学系と、前記スリット光束が前記被検眼の角膜により反射して得られた反射光像を撮影する撮影光学系とを備えた角膜内皮細胞像撮影装置において、
    前記スリット光束が前記角膜を照射する範囲を、該角膜に対する照射角度を変化させつつ照射するように、または小領域ごとに走査しつつ照射するように、前記スリットと前記被検眼との間の前記スリット光束の光路上に、前記スリット光束を走査させる走査手段を配設したことを特徴とする角膜内皮細胞像撮影装置。
  2. 前記走査手段は、前記スリット光束の幅よりも狭く形成された開口を有する幅狭スリットと、該幅狭スリットの開口長手方向に直交する方向に該幅狭スリットを駆動するスリット駆動手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  3. 前記幅狭スリットと前記被検眼との間の前記スリット光束の光路上に、前記幅狭スリットを通過して可干渉性を有する幅狭スリット光束が前記被検眼において干渉するのを抑制させる干渉抑制手段を配設したことを特徴とする請求項2に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  4. 前記走査手段は、前記スリット光束の入射面と出射面とが平行に形成されて該スリット光束を透過させる平行平板と、前記スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りに前記平行平板を揺動させる平板揺動手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  5. 前記走査手段は、前記スリット光束の長手方向に平行な回転軸回りの頂角の角度を変化可能であって該頂角の角度に応じた方向に前記スリット光束を出射させるアクティブプリズムと、前記頂角の角度を変化させるように前記アクティブプリズムを駆動する駆動回路とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  6. 撮影光源から出射されスリットを通過した可干渉性を有するスリット光束を、被検眼の角膜に対して斜め方向から照射する撮影光投影光学系と、前記スリット光束が前記被検眼の角膜によって反射された反射光像を撮影する撮影光学系とを備えた角膜内皮細胞像撮影装置において、
    前記スリットと前記被検眼との間の前記スリット光束の光路上に、前記可干渉性を有するスリット光束が前記被検眼において干渉するのを抑制させる干渉抑制手段を配設したことを特徴とする角膜内皮細胞像撮影装置。
  7. 前記干渉抑制手段は、前記可干渉性を有するスリット光束を拡散させる拡散板と、該拡散板を前記撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  8. 前記干渉抑制手段は、前記撮影光投影光学系の光軸に直交する面内で多数の遮光部がランダムな配置で形成されたランダムドットパターン板と、該ランダムドットパターン板を前記撮影光投影光学系の光軸回りに回転させる回転手段とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  9. 前記干渉抑制手段は、前記撮影光投影光学系の光軸に直交するように配設されて液晶分子の状態に応じて光を透過または遮蔽する液晶セルと、前記液晶セルを駆動する駆動回路とを備え、該駆動回路は、時系列的に互いに異なるランダムな透過パターンを表示させるように、前記液晶セルを駆動制御することを特徴とする請求項6に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
  10. 前記被検眼と前記角膜内皮細胞像撮影装置との間の距離に対応したアライメント調整用のアライメント光および前記被検眼の前眼部を観察するために該前眼部に照射される観察光を赤外光とし、前記撮影光源から出射する撮影光を可視光としたことを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項に記載の角膜内皮細胞像撮影装置。
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