JP2004289328A - 無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラムおよび無線通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠距離通信を可能としつつ、コリジョンを生じさせることなく、低い利得で確実にパケットを送受信する。
【解決手段】送信側は無指向性アンテナ206をそのまま使用してRTS信号を低データレートで送信した後(S302)、そのまま待ち受け状態となる。受信側は、RTS信号を無指向性アンテナ206で受信する(S303)。RTS信号を受信した後、受信側はCTS信号を低データレートで返信する(S304)。そしてアンテナを指向性アンテナ207に切り替える(S305)。送信側は、CTS信号を受信すると(S306)、無指向性アンテナ206をそのまま使用してデータパケットを高データレートで送信した後(S307)、無指向性アンテナ206のままで待ち受け状態となる。受信側は高データレートで送信されたユニキャストパケットを指向性アンテナで受信する(S308)。
【選択図】 図1
【解決手段】送信側は無指向性アンテナ206をそのまま使用してRTS信号を低データレートで送信した後(S302)、そのまま待ち受け状態となる。受信側は、RTS信号を無指向性アンテナ206で受信する(S303)。RTS信号を受信した後、受信側はCTS信号を低データレートで返信する(S304)。そしてアンテナを指向性アンテナ207に切り替える(S305)。送信側は、CTS信号を受信すると(S306)、無指向性アンテナ206をそのまま使用してデータパケットを高データレートで送信した後(S307)、無指向性アンテナ206のままで待ち受け状態となる。受信側は高データレートで送信されたユニキャストパケットを指向性アンテナで受信する(S308)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LANなどに適用される無線通信システムに関し、詳細には、コリジョンを生じさせることなく、低い利得で確実にパケットを送受信することが可能な無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラムおよびこれを記録した記録媒体、および無線通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、無線LANが急速に普及している。無線LANは伝送媒体として無線を使用し、11Mbpsや54Mbpsといった高速なデータ通信を可能とするローカルエリアネットワーク(LAN)であり、その標準的な通信プロトコルはIEEE802.11によって規定されている。無線LANを利用すれば、面倒なケーブル接続が不要となるためネットワークの構築や変更が容易である。
【0003】
無線LANでは無線を使用することから、データの送受信にはアンテナが使用される。アンテナとして無指向性アンテナを使用した場合には、全方位をカバーすることができるが、利得が低いため遠距離通信は困難となる。一方、指向性アンテナを用いた場合には、アンテナの利得を含めて電波法により送信出力の規制を受けるとともに、指向性が特に強い場合には2点間の通信にしか使えないという問題がある。
【0004】
そこで、指向性アンテナと無指向性アンテナを切り替えて使用する方法も知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、キャリアセンス時にはエリア内の端末からの信号を見逃さないように無指向性アンテナを用い、通信中はペンシルビーム用アンテナを用いるので、アンテナの指向性利得を向上させるとともに、いわゆる隠れ端末から送信された信号によるコリジョンが解消し、通信品質を向上させることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−217914号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、無指向性アンテナは利得が低いため、遠距離通信や高利得な通信を実現することは困難である。またアクセスポイントが受信時に指向性アンテナを使用する限り、指向性の範囲外にいる他の無線端末はアクセスポイントから送信される信号を受信することができず、コリジョンが避けられないことに変わりがない。すなわち、従来の無線通信システムにおいては、指向性アンテナと無指向性アンテナを切り替えて使用したとしても、遠距離通信を実現することができず、またコリジョンの発生を防止することができず、マルチポイント通信を実現することが困難であった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、遠距離通信を可能とし、かつコリジョンを防止しつつ低利得で確実にパケットを送受信することが可能な無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラム、記録媒体、および無線通信方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信システムであって、前記第1の無線通信装置は、無指向性アンテナと、前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部を有し、前記第2の無線通信装置は、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、前記第1の無線通信装置から送信された前記制御パケット及び前記データパケットを受信する受信部と、前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信システムによって達成される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、前記アンテナ切り替え部は、受信したRTS信号に応答してCTS信号を送信した場合に前記指向性アンテナと前記受信部とを接続する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、適切なタイミングで簡単にアンテナの切替を行うことができる。
【0011】
本発明の前記目的はまた、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部と、送信側からの制御パケット及びデータパケットを受信する受信部と、前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信装置によっても達成される。
【0012】
本発明の前記目的はまた、コンピュータに無線通信機能を提供する無線通信用アダプタであって、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部と、送信側からの制御パケット及びデータパケットを受信する受信部と、前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信用アダプタによっても達成される。
【0013】
本発明の前記目的はまた、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、送受信部と、前記無指向性アンテナおよび前記指向性アンテナと前記送受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有するコンピュータに、制御パケットの少なくとも1つを送信する場合には前記無指向性アンテナから第1のデータレートで送信させるステップ、少なくともデータパケットを送信する場合には前記指向性アンテナから前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信させるステップ、制御パケットを受信する場合には前記無指向性アンテナで受信させるステップ、データパケットを受信する場合には前記指向性アンテナで受信させるステップを実行させるためのコンピュータプログラムによっても達成される。
【0014】
本発明の前記目的はまた、前記コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体によっても達成される。
【0015】
本発明の前記目的はまた、無指向性アンテナおよび指向性アンテナを使用して無線通信を行う無線通信方法であって、制御パケットの少なくとも1つを送信する場合には前記無指向性アンテナから第1のデータレートで送信し、少なくともデータパケットを送信する場合には前記指向性アンテナから前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信し、制御パケットを受信する場合には前記無指向性アンテナで受信し、データパケットを受信する場合には前記指向性アンテナで受信することを特徴とする無線通信方法によっても達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる無線通信システムの構成を示す図である。
【0018】
図1に示されるように、この無線通信システム100は、アクセスポイント101と、少なくとも一つの無線端末102によって構成される。なお、アクセスポイント101および無線端末102を総称して無線通信装置ということがある。
【0019】
アクセスポイント101はベースステーションとも呼ばれ、無線端末102間の通信を中継する中継装置として機能する。これにより、アクセスポイント101を中心とする無線ネットワーク(無線LAN)103が構成される。またアクセスポイント101は無線ネットワーク103と有線ネットワークとを接続する役割を果たす。アクセスポイント101は無線端末と無線通信を行うための無線LANアダプタを備えており、またファイヤーウォール機能、暗号化通信機能、ユーザ認証機能など種々の機能を備えている。アクセスポイント101には複数台の無線端末102を接続することができ、図1では3台の無線端末102が接続されている状態が示されている。一方、無線端末102は、アクセスポイント101を中心とした無線ネットワークに接続される端末装置であって、例えば無線LANカードなどの無線LANアダプタが装着されたパーソナルコンピュータ、PDA、POS端末などである。
【0020】
図2は、アクセスポイント101および無線端末102に共通して実装される無線LANアダプタの構成を示す略ブロック図である。
【0021】
図2に示されるように、無線LANアダプタ200は、アクセスポイント本体あるいは無線端末本体とバス接続するためのバスインターフェース(I/F)部201と、パケット処理やCSMA/CAなどのアクセス制御を行うMAC(Media Access Control)部202と、PSK(Phase Shift Keying)変調方式、CCK(Complementary Code Keying)変調方式などによる一次変調、スペクトラム拡散通信方式による二次変調を行うベースバンド部203と、この変調された信号のRF処理を行う送信部および受信部を有するRF部204と、アンテナ切り替え部205と、無指向性アンテナ206と、指向性アンテナ207と、各部を制御するシステム制御部208と、所定の通信プロトコルを実行させるファームウェアやMACアドレスその他のデータを記憶するメモリ209を備えている。無指向性アンテナ206としては、例えばモノポールアンテナやダイポールアンテナが使用される。また指向性アンテナ207としては、指向性およびその向きを制御可能なフェーズドアレーアンテナなどのアクティブアンテナであることが好ましいが、指向性が固定されていても構わない。
【0022】
システム制御部208は、IEEE802.11bやIEEE802.11aなどの所定の通信プロトコルに従ってデータ通信制御を行うが、このときシステム制御部208は送信パケットのデータレートの設定およびアンテナの切り替え制御を行う。具体的には、送信側では、データパケットを高データレートで送信し、データパケット以外の制御パケットを低データレートで送信する。なお、ここにいう制御パケットとは、例えばRTS(Request To Send:送信要求)信号、CTS(Clear To Send:送信許可)信号、ACK(Acknowledge:受領)信号といった制御パケットや、ビーコンなどのブロードキャスト(マルチキャスト)パケットなどである。
【0023】
データレートとしては、例えばIEEE802.11bの場合には、11/5.5/2/1Mbpsの中から高データレートおよび低データレートが相対的に決定される。またIEEE802.11aの場合には、54/48/36/24/18/12/9/6Mbpsの中から高データレートおよび低データレートが相対的に決定される。このときのアンテナとしては無指向性アンテナ206が使用され、指向性アンテナ207は使用されない。また、受信側では、送信側から低データレートで送信された制御パケットを無指向性アンテナ206で受信し、高データレートで送信されたデータパケットを指向性アンテナ207で受信するようにシステム制御部208がアンテナ切り替え部205を制御する。また、アクティブアンテナの場合にはアンテナアレー制御信号によってその利得や指向性も制御される。
【0024】
送信データは、アクセスポイント本体側もしくは無線端末本体側からバスインターフェース部201を介して入力され、MAC部202、ベースバンド部203、RF部204の順に処理され、アンテナ切り替え部205を介して無指向性アンテナ206から無線信号として送信される。また、受信データは、無指向性アンテナ206または指向性アンテナ207で受信された後、アンテナ切り替え部205を介してRF部204に入力され、RF部204、ベースバンド部203、MAC部202の順に処理され、バスインターフェース部201を介してアクセスポイント本体側もしくは無線端末本体側へ送出される。
【0025】
図3は、送信側から受信側へパケットを送信する際のアンテナ切り替え動作を示すシーケンス図である。なお、アクセスポイント101から無線端末102へデータを送信する場合にはアクセスポイント101が送信側、無線端末102が受信側となり、無線端末102からアクセスポイント101へデータを送信する場合にはその逆となる。
【0026】
図3に示されるように、待ち受け状態(待機状態)では送信側および受信側ともに無指向性アンテナ206が使用されている(S301)。送信側から受信側へデータを送信する場合、送信側は無指向性アンテナ206をそのまま使用してRTS(Request To Send)信号を低データレートで送信した後(S302)、そのまま再び待ち受け状態となる。受信側は、RTS信号を無指向性アンテナ206で受信する(S303)。RTS信号およびCTS信号はデータのコリジョンの発生を防止するために用いられる信号であり、前述のステップS302、S303が行われ、当該無線端末以外の無線端末がRTS信号、CTS信号を受信すると、当該無線端末以外の無線端末に任意の時間送信を行うことができない仕組みとなっている。低データレートで送信する場合には、高データレートで送信するよりも電波が遠方まで伝播する。すなわち、低いデータレートのほうがパケットエラー率は低く、高いデータレートのパケットよりも伝送距離が長いため、無指向性アンテナでも十分に受信することができる。なお、ここでいう高データレートとは必ずしも一つのデータレートでなくてもよく、制御パケットの少なくとも1つより高ければよい。RTS信号を受信した後、受信側はCTS(Clear To Send)信号を低データレートで返信する(S304)。そして、アンテナを指向性アンテナ207に切り替える(S305)。
【0027】
このとき、指向性アンテナ207としてアクティブアンテナを使用する場合には、その指向性および向きも設定される。アンテナの向きは、所定の方向を向くように機械的に制御されるか、あるいはアンテナアレー制御信号を供給することによって電気的に制御される。どちらの方向に向けるかは、送信信号を受信したときの電波強度などに基づいて決定することができる。または、アクセスポイント101および無線端末102の位置情報に基づいて指向性の向きを決定してもよい。例えば、移動体である無線端末102の場合にはGPS信号などの位置情報をその都度取得し、固定装置であるアクセスポイント101の場合には予めその位置情報をデータとして登録し、これら2つの位置情報から指向性の向きを決定することができる。さらにまた、レーダのようにアクティブアンテナを360度の全方位にわたって回転させることで、電波の飛来方向を特定し、その方向に指向性を設定してもよい。
【0028】
次いで送信側は、CTS信号を受信すると(S306)、無指向性アンテナ206をそのまま使用してデータパケットを高データレートでユニキャスト送信した後(S307)、無指向性アンテナ206のままで待ち受け状態となる。受信側は、高データレートで送信されたユニキャストパケットを指向性アンテナで受信する(S308)。高データレートで送信する場合には、低データレートで送信するよりも遠方まで電波を伝播させることができないが、指向性アンテナ207を使用することによってそのような欠点が補われるので、高データレートのパケットを十分に受信することができる。なお、送信するデータ量が多い場合にはデータパケットの送受信処理(S307、S308)が何回も繰り返し行われる。受信が完了すると、受信側は指向性アンテナ207から無指向性アンテナ206に切り替えて(S309)、ACK(Acknowledge)信号を低データレートで送信する(S310)。そして、送信側でACKが受信されることによって一連の送受信処理が終了する(S311)。
【0029】
なお、本実施形態においては制御パケットであるACK信号を低データレートで送信し、無指向性アンテナで受信する場合を例に説明したが、ACK信号を高データレートで送信し、受信側でアンテナ切り替えステップをさらに追加し、指向性アンテナで受信しても構わない。つまり、すべての制御パケットを低データレートで送信し、無指向性アンテナで受信しなければならないわけではなく、制御パケットの少なくとも1つを低データレートで送信し、無指向性アンテナで受信すればよい。また、データパケットのみが高データレートで送信される必要は無く、ACK信号その他の制御パケットが高データレートで送信されても構わない。つまり、少なくともデータパケットが高データレートで送信されればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態においては、送信側では所定の制御パケットを低データレートで、データパケットを高データレートでそれぞれ送信するとともに、受信側では低データレートで送信されたパケットを無指向性アンテナで、高データレートで送信されたパケットを指向性アンテナでそれぞれ受信するので、通信距離が遠い場合であってもパケットを効率よく確実に送受信することができる。特に、CTS信号を送信したタイミングで無指向性アンテナから指向性アンテナに切り替えるので、アンテナの確実な切り替えを実現することができる。
【0031】
図4は、本発明の他の好ましい実施形態にかかる無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【0032】
図4に示されるように、この無線通信システムでは、アクセスポイント101内の無線LANアダプタがアンテナとして無指向性アンテナ206のみを備えている点が上述した実施形態と異なっている。そのため、アクセスポイント内の無線LANアダプタにはアンテナ切り替え部205が設けられていない。一方、無線端末102内の無線LANアダプタには、無指向性アンテナ206と指向性アンテナ207の両方が設けられているので、アンテナ切り替え部205によっていずれか一方が選択される。
【0033】
アクセスポイント101から無線端末102へデータを送信する場合には、図3に示したシーケンスにより、送信側からマルチキャストパケットを含む制御パケットを低データレートで送信し、受信側では低データレートで送信された制御パケットを無指向性アンテナ206で受信する。またデータパケットを高データレートでそれぞれ送信し、受信側では高データレートで送信されたデータパケットを指向性アンテナ207で受信する。一方、無線端末102からアクセスポイント101へデータを送信する場合には、図3に示したシーケンスと異なり、制御パケットのみならず、データパケットについても低データレートで送信する。受信側では、これらのパケットをすべて無指向性アンテナ206で受信する。
【0034】
このようにすれば、アクセスポイント101の周囲に存在する複数の無線端末102に対してデータパケットを送信する場合に、指向性アンテナの指向性およびその向きを制御しなくてもよいため、通信制御が非常に容易となり、無線端末が多くなるほどその効果は顕著となる。また、無線端末がアクセスポイント101からの信号を受信できないことによるコリジョンの発生を防止し、隠れ端末の問題を解消することができる。しかも、一般的には無線端末側からアクセスポイント側へ送信される上りのデータ量は、アクセスポイント側から無線端末側へ送信される下りのデータ量に比べて少ない場合が多いため、通信品質にそれほど支障はない。
【0035】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更を加えることが可能であり、これらも本発明の範囲に包含されるものであることは言うまでもない。
【0036】
例えば、前記実施態様においては、アクセスポイント101と無線端末102との間でインフラストラクチャモードにより通信する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、無線端末どうしが直接通信を行うアドホックモードにも適用可能である。
【0037】
また、指向性アンテナとしては、フェーズドアレーアンテナのような指向性を制御可能なアンテナのみならず、指向性が固定された指向性アンテナを使用しても構わない。
【0038】
また、前記実施形態においては、無線ネットワークが無線LANである場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、WAN(Wide Area Network)やFWA(Fixed Wireless Access)などにも適用可能である。したがって、アクセスポイントおよび無線端末に実装される無線通信用アダプタとしては、無線LANアダプタに限定されるものではなく、それぞれの無線ネットワークに対応する無線通信用アダプタが実装されていればよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遠距離通信を可能としつつ、コリジョンを生じさせることなく、低い利得で確実にパケットを送受信することが可能な無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラムおよび無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる無線通信システム全体の構成を示す図である。
【図2】図2は、アクセスポイントおよび無線端末に共通して実装される無線ネットワークアダプタの構成を示す略ブロック図である。
【図3】図3は、送信側から受信側へパケットを送信する際のアンテナ切り替え動作を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、本発明の他の好ましい実施形態にかかる無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 無線通信システム
101 アクセスポイント
102 無線端末
103 無線ネットワーク
200 無線LANアダプタ
201 バスインターフェース(I/F)部
202 MAC(Media Access Control)部
203 ベースバンド部
204 RF部
205 アンテナ切り替え部
206 無指向性アンテナ
207 指向性アンテナ
208 システム制御部
209 メモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LANなどに適用される無線通信システムに関し、詳細には、コリジョンを生じさせることなく、低い利得で確実にパケットを送受信することが可能な無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラムおよびこれを記録した記録媒体、および無線通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、無線LANが急速に普及している。無線LANは伝送媒体として無線を使用し、11Mbpsや54Mbpsといった高速なデータ通信を可能とするローカルエリアネットワーク(LAN)であり、その標準的な通信プロトコルはIEEE802.11によって規定されている。無線LANを利用すれば、面倒なケーブル接続が不要となるためネットワークの構築や変更が容易である。
【0003】
無線LANでは無線を使用することから、データの送受信にはアンテナが使用される。アンテナとして無指向性アンテナを使用した場合には、全方位をカバーすることができるが、利得が低いため遠距離通信は困難となる。一方、指向性アンテナを用いた場合には、アンテナの利得を含めて電波法により送信出力の規制を受けるとともに、指向性が特に強い場合には2点間の通信にしか使えないという問題がある。
【0004】
そこで、指向性アンテナと無指向性アンテナを切り替えて使用する方法も知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、キャリアセンス時にはエリア内の端末からの信号を見逃さないように無指向性アンテナを用い、通信中はペンシルビーム用アンテナを用いるので、アンテナの指向性利得を向上させるとともに、いわゆる隠れ端末から送信された信号によるコリジョンが解消し、通信品質を向上させることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−217914号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、無指向性アンテナは利得が低いため、遠距離通信や高利得な通信を実現することは困難である。またアクセスポイントが受信時に指向性アンテナを使用する限り、指向性の範囲外にいる他の無線端末はアクセスポイントから送信される信号を受信することができず、コリジョンが避けられないことに変わりがない。すなわち、従来の無線通信システムにおいては、指向性アンテナと無指向性アンテナを切り替えて使用したとしても、遠距離通信を実現することができず、またコリジョンの発生を防止することができず、マルチポイント通信を実現することが困難であった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、遠距離通信を可能とし、かつコリジョンを防止しつつ低利得で確実にパケットを送受信することが可能な無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラム、記録媒体、および無線通信方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信システムであって、前記第1の無線通信装置は、無指向性アンテナと、前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部を有し、前記第2の無線通信装置は、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、前記第1の無線通信装置から送信された前記制御パケット及び前記データパケットを受信する受信部と、前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信システムによって達成される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、前記アンテナ切り替え部は、受信したRTS信号に応答してCTS信号を送信した場合に前記指向性アンテナと前記受信部とを接続する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、適切なタイミングで簡単にアンテナの切替を行うことができる。
【0011】
本発明の前記目的はまた、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部と、送信側からの制御パケット及びデータパケットを受信する受信部と、前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信装置によっても達成される。
【0012】
本発明の前記目的はまた、コンピュータに無線通信機能を提供する無線通信用アダプタであって、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部と、送信側からの制御パケット及びデータパケットを受信する受信部と、前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信用アダプタによっても達成される。
【0013】
本発明の前記目的はまた、無指向性アンテナと、指向性アンテナと、送受信部と、前記無指向性アンテナおよび前記指向性アンテナと前記送受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有するコンピュータに、制御パケットの少なくとも1つを送信する場合には前記無指向性アンテナから第1のデータレートで送信させるステップ、少なくともデータパケットを送信する場合には前記指向性アンテナから前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信させるステップ、制御パケットを受信する場合には前記無指向性アンテナで受信させるステップ、データパケットを受信する場合には前記指向性アンテナで受信させるステップを実行させるためのコンピュータプログラムによっても達成される。
【0014】
本発明の前記目的はまた、前記コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体によっても達成される。
【0015】
本発明の前記目的はまた、無指向性アンテナおよび指向性アンテナを使用して無線通信を行う無線通信方法であって、制御パケットの少なくとも1つを送信する場合には前記無指向性アンテナから第1のデータレートで送信し、少なくともデータパケットを送信する場合には前記指向性アンテナから前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信し、制御パケットを受信する場合には前記無指向性アンテナで受信し、データパケットを受信する場合には前記指向性アンテナで受信することを特徴とする無線通信方法によっても達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる無線通信システムの構成を示す図である。
【0018】
図1に示されるように、この無線通信システム100は、アクセスポイント101と、少なくとも一つの無線端末102によって構成される。なお、アクセスポイント101および無線端末102を総称して無線通信装置ということがある。
【0019】
アクセスポイント101はベースステーションとも呼ばれ、無線端末102間の通信を中継する中継装置として機能する。これにより、アクセスポイント101を中心とする無線ネットワーク(無線LAN)103が構成される。またアクセスポイント101は無線ネットワーク103と有線ネットワークとを接続する役割を果たす。アクセスポイント101は無線端末と無線通信を行うための無線LANアダプタを備えており、またファイヤーウォール機能、暗号化通信機能、ユーザ認証機能など種々の機能を備えている。アクセスポイント101には複数台の無線端末102を接続することができ、図1では3台の無線端末102が接続されている状態が示されている。一方、無線端末102は、アクセスポイント101を中心とした無線ネットワークに接続される端末装置であって、例えば無線LANカードなどの無線LANアダプタが装着されたパーソナルコンピュータ、PDA、POS端末などである。
【0020】
図2は、アクセスポイント101および無線端末102に共通して実装される無線LANアダプタの構成を示す略ブロック図である。
【0021】
図2に示されるように、無線LANアダプタ200は、アクセスポイント本体あるいは無線端末本体とバス接続するためのバスインターフェース(I/F)部201と、パケット処理やCSMA/CAなどのアクセス制御を行うMAC(Media Access Control)部202と、PSK(Phase Shift Keying)変調方式、CCK(Complementary Code Keying)変調方式などによる一次変調、スペクトラム拡散通信方式による二次変調を行うベースバンド部203と、この変調された信号のRF処理を行う送信部および受信部を有するRF部204と、アンテナ切り替え部205と、無指向性アンテナ206と、指向性アンテナ207と、各部を制御するシステム制御部208と、所定の通信プロトコルを実行させるファームウェアやMACアドレスその他のデータを記憶するメモリ209を備えている。無指向性アンテナ206としては、例えばモノポールアンテナやダイポールアンテナが使用される。また指向性アンテナ207としては、指向性およびその向きを制御可能なフェーズドアレーアンテナなどのアクティブアンテナであることが好ましいが、指向性が固定されていても構わない。
【0022】
システム制御部208は、IEEE802.11bやIEEE802.11aなどの所定の通信プロトコルに従ってデータ通信制御を行うが、このときシステム制御部208は送信パケットのデータレートの設定およびアンテナの切り替え制御を行う。具体的には、送信側では、データパケットを高データレートで送信し、データパケット以外の制御パケットを低データレートで送信する。なお、ここにいう制御パケットとは、例えばRTS(Request To Send:送信要求)信号、CTS(Clear To Send:送信許可)信号、ACK(Acknowledge:受領)信号といった制御パケットや、ビーコンなどのブロードキャスト(マルチキャスト)パケットなどである。
【0023】
データレートとしては、例えばIEEE802.11bの場合には、11/5.5/2/1Mbpsの中から高データレートおよび低データレートが相対的に決定される。またIEEE802.11aの場合には、54/48/36/24/18/12/9/6Mbpsの中から高データレートおよび低データレートが相対的に決定される。このときのアンテナとしては無指向性アンテナ206が使用され、指向性アンテナ207は使用されない。また、受信側では、送信側から低データレートで送信された制御パケットを無指向性アンテナ206で受信し、高データレートで送信されたデータパケットを指向性アンテナ207で受信するようにシステム制御部208がアンテナ切り替え部205を制御する。また、アクティブアンテナの場合にはアンテナアレー制御信号によってその利得や指向性も制御される。
【0024】
送信データは、アクセスポイント本体側もしくは無線端末本体側からバスインターフェース部201を介して入力され、MAC部202、ベースバンド部203、RF部204の順に処理され、アンテナ切り替え部205を介して無指向性アンテナ206から無線信号として送信される。また、受信データは、無指向性アンテナ206または指向性アンテナ207で受信された後、アンテナ切り替え部205を介してRF部204に入力され、RF部204、ベースバンド部203、MAC部202の順に処理され、バスインターフェース部201を介してアクセスポイント本体側もしくは無線端末本体側へ送出される。
【0025】
図3は、送信側から受信側へパケットを送信する際のアンテナ切り替え動作を示すシーケンス図である。なお、アクセスポイント101から無線端末102へデータを送信する場合にはアクセスポイント101が送信側、無線端末102が受信側となり、無線端末102からアクセスポイント101へデータを送信する場合にはその逆となる。
【0026】
図3に示されるように、待ち受け状態(待機状態)では送信側および受信側ともに無指向性アンテナ206が使用されている(S301)。送信側から受信側へデータを送信する場合、送信側は無指向性アンテナ206をそのまま使用してRTS(Request To Send)信号を低データレートで送信した後(S302)、そのまま再び待ち受け状態となる。受信側は、RTS信号を無指向性アンテナ206で受信する(S303)。RTS信号およびCTS信号はデータのコリジョンの発生を防止するために用いられる信号であり、前述のステップS302、S303が行われ、当該無線端末以外の無線端末がRTS信号、CTS信号を受信すると、当該無線端末以外の無線端末に任意の時間送信を行うことができない仕組みとなっている。低データレートで送信する場合には、高データレートで送信するよりも電波が遠方まで伝播する。すなわち、低いデータレートのほうがパケットエラー率は低く、高いデータレートのパケットよりも伝送距離が長いため、無指向性アンテナでも十分に受信することができる。なお、ここでいう高データレートとは必ずしも一つのデータレートでなくてもよく、制御パケットの少なくとも1つより高ければよい。RTS信号を受信した後、受信側はCTS(Clear To Send)信号を低データレートで返信する(S304)。そして、アンテナを指向性アンテナ207に切り替える(S305)。
【0027】
このとき、指向性アンテナ207としてアクティブアンテナを使用する場合には、その指向性および向きも設定される。アンテナの向きは、所定の方向を向くように機械的に制御されるか、あるいはアンテナアレー制御信号を供給することによって電気的に制御される。どちらの方向に向けるかは、送信信号を受信したときの電波強度などに基づいて決定することができる。または、アクセスポイント101および無線端末102の位置情報に基づいて指向性の向きを決定してもよい。例えば、移動体である無線端末102の場合にはGPS信号などの位置情報をその都度取得し、固定装置であるアクセスポイント101の場合には予めその位置情報をデータとして登録し、これら2つの位置情報から指向性の向きを決定することができる。さらにまた、レーダのようにアクティブアンテナを360度の全方位にわたって回転させることで、電波の飛来方向を特定し、その方向に指向性を設定してもよい。
【0028】
次いで送信側は、CTS信号を受信すると(S306)、無指向性アンテナ206をそのまま使用してデータパケットを高データレートでユニキャスト送信した後(S307)、無指向性アンテナ206のままで待ち受け状態となる。受信側は、高データレートで送信されたユニキャストパケットを指向性アンテナで受信する(S308)。高データレートで送信する場合には、低データレートで送信するよりも遠方まで電波を伝播させることができないが、指向性アンテナ207を使用することによってそのような欠点が補われるので、高データレートのパケットを十分に受信することができる。なお、送信するデータ量が多い場合にはデータパケットの送受信処理(S307、S308)が何回も繰り返し行われる。受信が完了すると、受信側は指向性アンテナ207から無指向性アンテナ206に切り替えて(S309)、ACK(Acknowledge)信号を低データレートで送信する(S310)。そして、送信側でACKが受信されることによって一連の送受信処理が終了する(S311)。
【0029】
なお、本実施形態においては制御パケットであるACK信号を低データレートで送信し、無指向性アンテナで受信する場合を例に説明したが、ACK信号を高データレートで送信し、受信側でアンテナ切り替えステップをさらに追加し、指向性アンテナで受信しても構わない。つまり、すべての制御パケットを低データレートで送信し、無指向性アンテナで受信しなければならないわけではなく、制御パケットの少なくとも1つを低データレートで送信し、無指向性アンテナで受信すればよい。また、データパケットのみが高データレートで送信される必要は無く、ACK信号その他の制御パケットが高データレートで送信されても構わない。つまり、少なくともデータパケットが高データレートで送信されればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態においては、送信側では所定の制御パケットを低データレートで、データパケットを高データレートでそれぞれ送信するとともに、受信側では低データレートで送信されたパケットを無指向性アンテナで、高データレートで送信されたパケットを指向性アンテナでそれぞれ受信するので、通信距離が遠い場合であってもパケットを効率よく確実に送受信することができる。特に、CTS信号を送信したタイミングで無指向性アンテナから指向性アンテナに切り替えるので、アンテナの確実な切り替えを実現することができる。
【0031】
図4は、本発明の他の好ましい実施形態にかかる無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【0032】
図4に示されるように、この無線通信システムでは、アクセスポイント101内の無線LANアダプタがアンテナとして無指向性アンテナ206のみを備えている点が上述した実施形態と異なっている。そのため、アクセスポイント内の無線LANアダプタにはアンテナ切り替え部205が設けられていない。一方、無線端末102内の無線LANアダプタには、無指向性アンテナ206と指向性アンテナ207の両方が設けられているので、アンテナ切り替え部205によっていずれか一方が選択される。
【0033】
アクセスポイント101から無線端末102へデータを送信する場合には、図3に示したシーケンスにより、送信側からマルチキャストパケットを含む制御パケットを低データレートで送信し、受信側では低データレートで送信された制御パケットを無指向性アンテナ206で受信する。またデータパケットを高データレートでそれぞれ送信し、受信側では高データレートで送信されたデータパケットを指向性アンテナ207で受信する。一方、無線端末102からアクセスポイント101へデータを送信する場合には、図3に示したシーケンスと異なり、制御パケットのみならず、データパケットについても低データレートで送信する。受信側では、これらのパケットをすべて無指向性アンテナ206で受信する。
【0034】
このようにすれば、アクセスポイント101の周囲に存在する複数の無線端末102に対してデータパケットを送信する場合に、指向性アンテナの指向性およびその向きを制御しなくてもよいため、通信制御が非常に容易となり、無線端末が多くなるほどその効果は顕著となる。また、無線端末がアクセスポイント101からの信号を受信できないことによるコリジョンの発生を防止し、隠れ端末の問題を解消することができる。しかも、一般的には無線端末側からアクセスポイント側へ送信される上りのデータ量は、アクセスポイント側から無線端末側へ送信される下りのデータ量に比べて少ない場合が多いため、通信品質にそれほど支障はない。
【0035】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更を加えることが可能であり、これらも本発明の範囲に包含されるものであることは言うまでもない。
【0036】
例えば、前記実施態様においては、アクセスポイント101と無線端末102との間でインフラストラクチャモードにより通信する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、無線端末どうしが直接通信を行うアドホックモードにも適用可能である。
【0037】
また、指向性アンテナとしては、フェーズドアレーアンテナのような指向性を制御可能なアンテナのみならず、指向性が固定された指向性アンテナを使用しても構わない。
【0038】
また、前記実施形態においては、無線ネットワークが無線LANである場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、WAN(Wide Area Network)やFWA(Fixed Wireless Access)などにも適用可能である。したがって、アクセスポイントおよび無線端末に実装される無線通信用アダプタとしては、無線LANアダプタに限定されるものではなく、それぞれの無線ネットワークに対応する無線通信用アダプタが実装されていればよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遠距離通信を可能としつつ、コリジョンを生じさせることなく、低い利得で確実にパケットを送受信することが可能な無線通信システム、無線通信装置、無線通信用アダプタ、コンピュータプログラムおよび無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる無線通信システム全体の構成を示す図である。
【図2】図2は、アクセスポイントおよび無線端末に共通して実装される無線ネットワークアダプタの構成を示す略ブロック図である。
【図3】図3は、送信側から受信側へパケットを送信する際のアンテナ切り替え動作を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、本発明の他の好ましい実施形態にかかる無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 無線通信システム
101 アクセスポイント
102 無線端末
103 無線ネットワーク
200 無線LANアダプタ
201 バスインターフェース(I/F)部
202 MAC(Media Access Control)部
203 ベースバンド部
204 RF部
205 アンテナ切り替え部
206 無指向性アンテナ
207 指向性アンテナ
208 システム制御部
209 メモリ
Claims (7)
- 第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間で無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
無指向性アンテナと、
前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部を有し、
前記第2の無線通信装置は、
無指向性アンテナと、
指向性アンテナと、
前記第1の無線通信装置から送信された前記制御パケット及び前記データパケットを受信する受信部と、
前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信システム。 - 前記アンテナ切り替え部は、
受信したRTS信号に応答してCTS信号を送信した場合に、前記指向性アンテナと前記受信部とを接続することを特徴とする無線通信システム。 - 無指向性アンテナと、
指向性アンテナと、
前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部と、
送信側からの制御パケット及びデータパケットを受信する受信部と、
前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信装置。 - コンピュータに無線通信機能を提供する無線通信用アダプタであって、
無指向性アンテナと、
指向性アンテナと、
前記無指向性アンテナから制御パケットの少なくとも1つを第1のデータレートで送信しかつ前記無指向性アンテナから少なくともデータパケットを前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信する送信部と、
送信側からの制御パケット及びデータパケットを受信する受信部と、
前記制御パケットの少なくとも1つが前記無指向性アンテナで受信されかつ前記データパケットが前記指向性アンテナで受信されるように前記無指向性アンテナ及び前記指向性アンテナと前記受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有することを特徴とする無線通信用アダプタ。 - 無指向性アンテナと、指向性アンテナと、送受信部と、前記無指向性アンテナおよび前記指向性アンテナと前記送受信部との接続状態を切り替えるアンテナ切り替え部を有するコンピュータに、
制御パケットの少なくとも1つを送信する場合には前記無指向性アンテナから第1のデータレートで送信させるステップ、
少なくともデータパケットを送信する場合には前記指向性アンテナから前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信させるステップ、
制御パケットを受信する場合には前記無指向性アンテナで受信させるステップ、
データパケットを受信する場合には前記指向性アンテナで受信させるステップを実行させるためのコンピュータプログラム。 - 請求項5に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
- 無指向性アンテナおよび指向性アンテナを使用して無線通信を行う無線通信方法であって、
制御パケットの少なくとも1つを送信する場合には前記無指向性アンテナから第1のデータレートで送信し、
少なくともデータパケットを送信する場合には前記指向性アンテナから前記第1のデータレートよりも高い第2のデータレートで送信し、
制御パケットを受信する場合には前記無指向性アンテナで受信し、
データパケットを受信する場合には前記指向性アンテナで受信することを特徴とする無線通信方法。
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