JP2007074562A - 無線ネットワークのための制御方法及び制御装置 - Google Patents

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哲郎 植田
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誠人 岩井
Sadao Obana
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Abstract

【課題】 マルチレートの無線アドホックシステムにおいて、従来技術に比較してスループットをさらに向上させる。
【解決手段】 セクタパターンと無指向性のビームパターンを形成できるアンテナを含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置において、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、検出した無線信号が無線通信を行う無線局であるときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線受信を行う。また、送信元からのRTS信号を無指向性アンテナで送信し、受信元からのCTS信号をセクタパターンで受信し、通信受付信号を受信したことに応答して、DATA信号を無指向性アンテナで送信し、受信元からのACK信号をセクタパターンで受信するように制御する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、複数の無線局を備えた、例えば無線LANなどの無線ネットワークにおいてパケット通信を行う、例えばアドホック無線ネットワークなどの無線ネットワークのための制御方法及び制御装置に関する。
無線通信やパーソナルコンピュータの最近の進歩により、各ノード無線局が無線送受信機を備えた移動局ルータ装置として動作する、高速で実施可能なインフラストラクチャ(基盤)無しのネットワークであることが仮定されたアドホック無線ネットワークが研究されている。
通常、アドホック無線ネットワークではすべてのノード無線局はオムニパターンアンテナを備えている。しかしながら、オムニパターンアンテナを備えるアドホック無線ネットワークは、広い領域に及ぶ無線媒体を確保することによって、ネットワーク容量の大部分を浪費するRTS(Request To Send;通信開始制御信号)/CTS(Clear To Send;通信受付信号)を基礎とするフロア確保方法を使用している。その結果、送信機及び受信機の近傍にある多くの隣接ノード無線局は、送信機と受信機との間のデータ通信の終了を無為に待機していなければならない。この問題を緩和するために、研究者達は、送信ビーム及び受信ビームを受信ノード無線局及び送信ノード無線局のみへと方向づける指向性(固定又は適応制御型)アンテナの使用を提案している。これは無線干渉を大幅に低減させ、これにより、無線媒体の利用を改善し、それ故、ネットワークスループットを改善することができる(例えば、特許文献1及び2など参照。)
アドホック無線ネットワークは、各ノード無線局が無線トランシーバを備えた移動体ルータとしてそれぞれ動作し、迅速に配備することが可能な、インフラストラクチャのないネットワークとして構想されている。アドホックネットワークは、ここ数年来多大な注目を集めている。一般に、アドホック無線ネットワークにおけるユーザ端末は、無指向性アンテナを使用する。しかしながら、無指向性アンテナを用いたアドホックネットワークは、RTS信号/CTS信号に基づいたフロア確保方式を使用するが、この方式は、ネットワーク容量の大部分を、広いエリアにわたって無線媒体を確保することによって浪費してしまう。その結果、送信無線局及び受信無線局の近傍に位置した多数のノード無線局は、送信無線局及び受信無線局間のデータ通信が終わるのを待つように、アイドル状態にあることを余儀なくされる。この問題点を緩和するためには、指向性アンテナを用いることによって無線干渉を大幅に低下させることができ、これにより無線媒体の利用度を向上させ、従って必然的にネットワークのスループットの向上が可能であるということが示されている(例えば、非特許文献1−5参照。)。
特開2001−024431号公報。 特開2001−244983号公報。 特開2005−064671号公報。 Y.B. Ko, et al., "Medium access control protocols using directional antennas in ad hoc networks", Proceedings of Nineteenth Annual Joint Conference of the IEEE Computer and Communications Societies, Tel Aviv, Israel, March 2000。 A. Nasipuri, et al., "A MAC Protocol for Mobile Ad Hoc Networks Using Directional Antennas", Proceedings of IEEE WCNC 2000, Chicago, Illinois, U.S.A., September 2000。 R. Ramanathan, "On the Performance of Ad Hoc Networks with Beamforming Antennas", Proceedings of ACM MobiHoc, Long Beach, California, U.S.A., October 2001。 M. Takai, et al., "Directional Virtual Carrier Sensing for Directional Antennas in Mobile Ad Hoc Networks", Proceedings of ACM MobiHoc 2002, Lausanne, Switzerland, June 2002。 Romit Roy Choudhury et al., "Deafness: A MAC Problem in Ad Hoc Networks when using Directional Antennas", Proceedings of The 10th IEEE International Conference on Network Protocols (ICNP), Berlin, Germany, October, 2004。 Jinyang Li, et al., "Capacity of Ad Hoc Wireless Networks", Proceedings of the 7th ACM International Conference on Mobile Computing and Networking, MobiCom 2001, pp.61-69, Rome, Italy, July 2001。 M. Streenstrup, "Neighbor discovery among mobile nodes equipped with smart antennas", Proceedings of ADHOC Networks, Stockholm, Sweden, May 2003。 QualNet Simulator Version 3.6, Scalable Network Technologies, accusable on August 16, 2005, http://www.scalable-networks.com。
しかしながら、指向性アンテナの能力を十分に利用するためには、各ノード無線局は、その通信状態について、近傍の他のノード無線局へ通知する必要がある。特に、IVC(Intelligent Vehicular Communication:高度車両通信)の高速道路交通の環境において、すなわちストリング状のネットワークトポロジーにおいては、進行中の通信を認識していないノード無線局の中に、何らかの通信によってすでに使用中(ビジー状態)であるノード無線局との通信を試みるものが現れる可能性がある。このことは、指向性のアンテナパターンを用いた通信モードのスループット性能を低下させる可能性があり、また無指向性のアンテナパターンを用いた通信モードのそれより悪化する可能性もある。よって、指向性アンテナにより並列した複数の通信が可能であるとしても、この隠れ端末問題(Hidden Terminal Problem)は、指向性アンテナによってもたらされる利益を制限する。従って、隠れノード無線局が大幅に増大されたバックオフ時間によって多数の無駄なパケットを送信することだけでなく進行中の近傍ノード無線局によるデータ通信に干渉することを防止するブロードキャスト機構を実装することが不可欠である。
さらに、移動体は種々の距離にわたって移動するので、受信される信号は大幅に変化する。各ノード無線局の受信信号は、見通し経路と複数の反射経路とからなり、これらの経路は、レイリー分布(Rayleigh distribution)又はライス分布(Ricean distribution)を備えたフェージングモデルとして組み合わされている。移動しないノード無線局であっても、見通し経路を介して到来する成分又は反射経路を介して到来する成分において生じた変化は、チャネル品質を変化させる。IEEE 802.11a、IEEE 802.11b及びIEEE 802.11gなどのような物理層のマルチレート機能は、データレートをチャネル条件にふさわしいものに変更する。しかしながら、隠れ端末問題は、送信無線局とそのアップリンク方向における次のホップとの間の問題であるので、回避することはできない。さらに、経時的に変化するチャネル条件ではこの問題の解決はさらに困難である。
IEEE 802.11のMACプロトコルは、広く、移動体アドホックネットワークの規格とされている。しかしながら、例えば非特許文献6に示すように、パケット転送に関する最適でないチェーンスケジューリングと、バックオフ機構がうまく動作しないこととに起因して、複数のノードにてなる単一のチェーンにおいて、パケットがチェーンの最初のノード無線局で発生して最終ノード無線局へ転送される際に実現可能なスループット(伝送容量)は、シングルホップの場合のスループットの1/7である。
最近では、指向性アンテナの優位点を利用するために、指向性アンテナを用いた効率的なMACプロトコル(指向性MACプロトコル)を開発することが、大きな関心を集めた研究テーマとなっている。しかしながら、隠れ端末問題(例えば、非特許文献5参照。)は、ストリング状のチェーンにおいて、指向性MACプロトコルの性能を、無指向性アンテナを用いたMACの性能より悪化させる。従って、指向性の適応型アンテナによるSDMA(Space Division Multiple Access:空間分割多重アクセス)は、スループットを向上するのみならず、遅延量を縮小し、無指向性アンテナの通信範囲内において複数の同時的な接続を実現するが、ストリング状のネットワークトポロジーにおける上述の隠れ端末問題は、指向性アンテナがもたらす利益を相殺することになる。
ノード無線局S及びDが、指向性アンテナをそれぞれ用いて互いにビーム形成して通信を行っているものと仮定する。すなわち、ノード無線局Sは、指向性のアンテナパターンを用いてRTS信号をノード無線局Dへ送信し、ノード無線局Dは、指向性のアンテナパターンを用いてCTS信号をノード無線局Sへ送信する。指向性のアンテナパターンを用いて送信されるRTS信号/CTS信号を、以下、DRTS/DCTSという。ここで、ノード無線局Xは、ノード無線局Sとノード無線局Dとの間で以前に交換されたDRTS/DCTSを検出していなければ、ノード無線局Sに対してDRTSを発行しても安全であると決定する。ノード無線局Sは、ノード無線局Dへ向かってビーム形成しているので、ノード無線局Xが発行したDRTSを検出することができない。各ノード無線局が無指向性アンテナを使用していれば、ノード無線局Xは、ノード無線局S及びDの間で以前に無指向性アンテナを用いて交換されたRTS/CTS信号から、ノード無線局S及びDの間における通信に気付くはずである。隠れ端末問題はMACの問題であって、基本的なアドホック転送の性能に影響する可能性があるので、この問題への対処を避けることはできない。
指向性アンテナを用いたMACプロトコル(指向性MACプロトコル)について、アドホック移動体ネットワークのコンテキストにおいていくつかの研究が行われている(例えば、非特許文献1−4参照。)。しかしながら、これらの通信方式は、隠れ端末問題と、さらされ端末問題(Exposed Terminal Problem:空間再利用の問題)とを同時に回避することができない。非特許文献2では、無指向性のアンテナパターンを用いたRTS/CTS信号の交換により、位置情報をオンデマンドで識別することができる。ただし、無指向性のアンテナパターンを用いて送信されるRTS信号は、無線チャネルの空間再利用において何の恩恵ももたらさない。非特許文献3では、ビームフォーミングアンテナを用いたアドホックネットワークの性能についての研究が開示されているが、これらの問題は正しく取り組まれていない。非特許文献4におけるDNAV(Directional Network Allocation Vector:指向性ネットワーク割り当てベクトル;通信中のノード無線局に対して自局の送信指向特性を向けない。)の概念は、隠れノード無線局うちの一部が通信中の近傍ノード無線局によるデータ通信に干渉することを防止することはできるが、この指向性MACプロトコルでは指向性のアンテナパターンを用いてRTS信号を送信するので、すべてのノード無線局において隠れ端末問題の発生を防止することはできない。IVC(Intelligent Vehicular Communication:高度車両通信)の典型的な環境である、すべてのノード無線局が一直線上に配置されるネットワークトポロジーの下では、指向性のアンテナパターンを用いて送信されるRTSは、発信元ノード無線局が通信を開始しようとしていることを、宛先ノード無線局の反対に位置したノード無線局に通知することができず、そのため隠れノード無線局から多数のパケットが送信される。さらに悪いことには、経時的に変化するチャネル条件は、アップリンク方向のノード無線局が送信無線局の状態について認識することをさらに困難にする。しかしながら、従来、経時的に変化するストリング状のネットワークトポロジーにおいて指向性MACを実現する技術は存在しなかった。
本発明の目的は、フェージングのない環境(相加性白色ガウス雑音:AWGN)からフェージングのある環境にいたるまで、マルチレートのIEEE 802.11のDCF(Distributed Coordination Function:分散調整機能)の性能を向上させることのできる、DCA−MAC(Direction and Communication-Aware MAC:通信方向及び通信の有無を認識したMAC)方式を提案する。すなわち、本発明の目的は以上の問題点を解決し、複数のレートを選択可能なマルチレートの無線アドホックシステムにおいて、従来技術に比較してスループットをさらに向上させることができる無線ネットワークの制御方法及び制御装置を提供することにある。
第1の発明に係る無線ネットワークの制御方法は、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法であって、
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局であるときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線受信を行うステップと、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)を無指向性アンテナで送信するステップと、
受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を上記セクタパターンで受信するステップと、
上記通信受付信号を受信したことに応答して、データ信号(DATA)を無指向性アンテナで送信するステップと、
受信元からの受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を上記セクタパターンで受信するステップとを含むことを特徴とする。
また、上記無線ネットワークの制御方法において、送信元からの通信開始制御信号を上記セクタパターンで受信するステップと、
上記通信開始制御信号を受信したことに応答して、通信受付信号を上記セクタパターンで送信するステップと、
送信元からのデータ信号を上記セクタパターンで受信するステップと、
上記データ信号を受信したことに応答して、受信完了通知信号を上記セクタパターンで送信するステップとをさらに含むことを特徴とする。
さらに、上記無線ネットワークの制御方法において、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップをさらに含むことを特徴とする。
第2の発明に係る無線ネットワークのための制御装置は、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置であって、
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局であるときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線受信を行い、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)を無指向性アンテナで送信し、
受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を上記セクタパターンで受信し、
上記通信受付信号を受信したことに応答して、データ信号(DATA)を無指向性アンテナで送信し、
受信元からの受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を上記セクタパターンで受信するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
また、上記無線ネットワークのための制御装置において、上記制御手段は、送信元からの通信開始制御信号を上記セクタパターンで受信し、
上記通信開始制御信号を受信したことに応答して、通信受付信号を上記セクタパターンで送信し、
送信元からのデータ信号を上記セクタパターンで受信し、
上記データ信号を受信したことに応答して、受信完了通知信号を上記セクタパターンで送信するように制御することを特徴とする。
さらに、上記無線ネットワークのための制御装置において、上記制御手段は、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するように制御することを特徴とする。
従って、本発明に係る無線ネットワークの制御方法又は制御装置によれば、送信元からの通信開始制御信号を無指向性アンテナで送信し、受信元からの通信受付信号を上記セクタパターンで受信し、上記通信受付信号を受信したことに応答して、データ信号を無指向性アンテナで送信し、受信元からの受信完了通知信号を上記セクタパターンで受信するように制御する。それ故、複数のレートを選択可能なマルチレートの無線アドホックシステムにおいて、従来技術に比較してスループットをさらに向上させることができる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
図1は、本発明に係る実施形態であるアドホック無線ネットワークの構成を示す複数の無線局1−1乃至1−9(総称して、符号1を付す。)の平面配置図であり、図2は、図1の各無線局1の構成を示すブロック図である。
この実施形態の無線通信システムでは、図1に示すように、複数の無線局1が平面的に散在して存在し、各無線局1はそれぞれ、可変ビームアンテナ101の利得や送信電力、受信感度などのパラメータで決定される所定のサービスエリアを有し、このサービスエリア内でパケット通信を行うことができ、サービスエリア外の無線局1とパケット通信を行うときは、サービスエリア内の無線局1を中継局として用いてパケットデータを中継することにより、所望の宛先無線局1にパケットデータを伝送する。すなわち、各無線局1は、パケットのルーティングを行うルータ機能を備え、発信元無線局、中継局、又は宛先無線局として動作する。
この実施形態の無線通信システムは、例えば無線LANなどのアドホック無線ネットワークのパケット通信システムに適用するものであって、無指向性放射パターンであるオムニパターンと、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタビームパターンと、上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンとを選択的に切り換え可能な可変ビームアンテナ101を備えるとともに、自局を中心とするサービスエリア内の隣接ノード無線局(自局から無線通信可能なノード無線局を隣接ノード無線局という。)1から無線信号を受信するときに測定可能な隣接ノード無線局1に対する方位角及び信号強度レベルを格納する方位角及び信号強度レベルテーブルであるASテーブル(Angle and Signal strength Table)をデータベースメモリ154に格納し、これらのテーブルに基づいて、可変ビームアンテナ101の放射パターンを制御しながらパケット信号のルーティングを行うことを特徴としている。
本実施形態では、特に、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数のノード無線局を備え、各ノード無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法であって、他のノード無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行うノード無線局であるときに、当該ノード無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線受信を行う(図4の状態S104)。本実施形態に係るRTS/CTSの伝送手順では、
(a)送信元ノード無線局は、送信元からのRTS信号を無指向性アンテナで送信し(S103)、
(b)受信元ノード無線局は、送信元からのRTS信号を上記セクタパターンで受信し(S105,S108)、
(c)受信元ノード無線局は、RTS信号を受信したことに応答して、CTS信号を上記セクタパターンで送信し(S109,S110)、
(d)送信元ノード無線局は、受信元からのCTS信号を上記セクタパターンで受信し(S105,S114)、
(e)送信元ノード無線局は、CTS信号を受信したことに応答して、DATA信号(DATA)を無指向性アンテナで送信し(S116−S117)、
(f)受信元ノード無線局は、送信元からのDATA信号を上記セクタパターンで受信し(S111)、
(g)受信元ノード無線局は、上記DATA信号を受信したことに応答して、ACK信号を上記セクタパターンで送信し(S112)、
(h)送信元ノード無線局は、受信元からのACK信号を上記セクタパターンで受信する(S117)ことを特徴としている。
(i)ここで、他のノード無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行うノード無線局でないときに、当該ノード無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するDNAV方法も用いる。
次いで、図2を参照して、各無線局1の装置構成について説明する。図2において、無線局1は、可変ビームアンテナ101と、その指向性を制御するための指向制御部103と、サーキュレータ102と、データパケット送信部140及びデータパケット受信部130を有するデータパケット送受信部104と、トラヒックモニタ部105と、回線制御部106と、上位レイヤ処理装置107とを備える。
送受信すべきデータを処理する上位レイヤ処理装置107によって発生されたパケット形式の通信用送信信号データは、送信バッファメモリ142を介して変調器143に入力され、変調器143は、所定の無線周波数の搬送波信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された所定の通信チャネル用拡散符号を用いて、入力された通信用送信信号データに従ってスペクトル拡散変調して、変調後の送信信号を高周波送信機144に出力する。高周波送信機144は入力された送信信号に対して増幅などの処理を実行した後、サーキュレータ102を介して可変ビームアンテナ101から他の無線局1に向けて送信する。一方、可変ビームアンテナ101で受信されたパケット形式の通信チャネル用受信信号は、サーキュレータ102を介して高周波受信機131に入力され、高周波受信機131は入力された受信信号に対して低雑音増幅などの処理を実行した後、復調器132に出力する。復調器132は、入力される受信信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された通信チャネル用拡散符号を用いて、スペクトル逆拡散により復調して、復調後の受信信号データを受信バッファメモリ133を介して上位レイヤ処理装置107に出力するとともに、トラヒックモニタのためにトラヒックモニタ部105に出力する。
本実施形態においては、指向性アンテナである可変ビームアンテナ101は、複数のアンテナ素子とその指向性を制御する制御部103に接続され、
(a)無指向性放射パターンであるオムニパターンと、
(b)例えば図3に示すように、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能な指向性パターンであるセクタビームパターンと、
(c)所望波の方位角方向にビームを向けかつ干渉波の方位角方向にヌルを形成した適応制御パターンと
を電気的な制御により選択的に切り換え可能なアンテナである。
なお、可変ビームアンテナ101については、例えば、公知のフェーズドアレーアンテナ装置であってもよいし、もしくは、特許文献1−3に開示された電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator Antenna Apparatus)である可変ビームアンテナであってもよい。
トラヒックモニタ部105は、検索エンジン152と、更新エンジン153と、データベースメモリ154と、クロック回路155とを備え、後述のルーティング及び通信処理を実行するとともに、無線局1が他の無線局1とのパケット通信において使用すべき通信チャネルを決定して、決定した通信チャネルに対応する拡散符号の指定データを回線制御部106を介して拡散符号発生器160に送ることにより、拡散符号発生器160が当該指定データに対応する拡散符号を発生するように制御するとともに、決定した通信チャネルに対応するタイムスロットの指定データを回線制御部106を介して送信タイミング制御部141に送ることにより、送信タイミング制御部141が送信バッファメモリ142による通信チャネル用送信信号データの書き込み及び読み出しを制御することにより通信チャネル用送信信号が対応するタイムスロットで送信されるように制御する。なお、クロック回路155は、現在日時を計時してその情報を、必要に応じて管理制御部151に出力する。
トラヒックモニタ部105の検索エンジン152は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを検索して検索したデータを管理制御部151に返信する。また、更新エンジン153は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを更新する。さらに、データベースメモリ154に、ASテーブルと、DNAV制御テーブルとを格納する。
本実施形態においては、アンテナ放射パターンを単一の通信相手先方向の利得が最大となるように指向性を変化させるセクタビームパターンの実効的な送信ビーム幅を30°としており、可変ビームアンテナ101は、方位角を30°毎に選択的に変化可能に設定できる。ビーム幅及び方位角の変化方位角は、60°又は他の方位角であってもよい。
また、本実施形態のパケット通信システムで用いるパケットデータは、図4に示す形式のフォーマットを有する。すなわち、パケットデータは、宛先無線局のIDと、パケット種別(トーン、RTS(Request To Send)、CTS(Clear To Send)、DATAなど)と、自局のIDと、データ(上位レイヤでのデータなどを含む)とを含む。なお、RTS信号又はCTS信号のとき、データには当該無線通信における通信持続時間を含む。
さらに、データベースメモリ154に格納されたASテーブルは、図5に示すように、自局のサービスエリア内の隣接ノード無線局毎に、方位角と、信号強度レベルの情報を格納し、無線通信制御処理の過程において作成更新される。具体的には、図9に示すように、状態S104においてセクタパターンを1回転して例えば30度毎に、信号到来方向を追跡し、最大受信方向に主ビームを向けて、その方位角と信号強度レベルをASテーブルに格納する。
次いで、電子制御導波器アレーアンテナ装置の具体例について以下に詳細説明する。特に、実施形態に係るMACプロトコルについて詳述する。
指向性アンテナを用いた通信を実現するためには、各ノード無線局は、それが通信しようとしている受信無線局が位置した相対的な方向についての情報を維持する必要がある。近傍ノード無線局の追跡方式として、プロアクティブな方式(定期的な情報交換により予め経路表を生成する方式)と、リアクティブな方式(通信開始時に経路表を生成する方式)とがいくつか提案されている(例えば、非特許文献7参照。)。本実施形態の指向性MACプロトコルは、無指向性のアンテナパターンを用いたRTS信号の送信を最初に行うので、オーバーヘッド問題をもたらす処理である、近傍方向をプロアクティブに認識する処理は不要である。パケットを受信するとき、そのパケットを指向性のアンテナパターンで受信することにより、当該パケットを送信したノード無線局が位置する方向を認識することができる。本実施形態の指向性MACプロトコルは、このリアクティブな位置追跡機構による位置情報を利用して、一対のノード無線局間で指向性アンテナを用いた通信を行う。
IEEE 802.11のMACプロトコル規格では、信頼性の高いデータ通信を保証するために、RTS−CTS−DATA−ACK信号の交換機構が使用される。本発明に係る実施形態の通信方式ではまず、ノード無線局nはノード無線局mとの通信を希望すると媒体検出を行い、その媒体が空いていれば、無指向性のアンテナパターンを用いてRTS信号を送信する。バックオフ機構は、IEEE 802.11の場合と同じである。RTS信号を送信する目的は、(無指向性アンテナを使用する場合がそうであるように)ノード無線局nの近傍ノード無線局による送信又は受信の実行を抑止することにではなく、ノード無線局nからノード無線局mへの通信が要求されていることについて、ノード無線局mを含む、ノード無線局nのすべての近傍ノード無線局に対して通知することにある。RTS信号はまた、通信の近似的な持続時間を指定する。ノード無線局nのすべての近傍ノード無線局は、ノード無線局nからのこの要求を追跡し、各近傍ノード無線局からのノード無線局nの方向を、指向性のアンテナパターンでRTS信号を受信することにより認識する。目標ノード無線局mは、アイドル状態の間、無指向性の検出モードで待機する。ノード無線局mは、所定のしきい値を上回る何らかの信号を検出すると、そのビームを、最大の受信信号強度を有する信号を受信する可能性が最も高い方向へ設定して、信号を受信する。
宛先の受信元ノード無線局mは、指向性のアンテナパターンを用いてCTS信号を送信することにより、ノード無線局nからの通信要求を認可する(すなわち、RTS信号に応答する)。CTS信号はまた、通信の近似的な持続時間を指定する。CTS信号を受信する機構は、RTS信号の場合と同じである。受信側のノード無線局は、指向性のアンテナパターンを用いたCTS信号の送信後、アイドル状態の間に無指向性の検出モードで待機する。ノード無線局nは、所定のしきい値を上回る何らかの信号を検出すると、そのビームを、最大の受信信号強度を有する信号を受信する可能性が最も高い方向へ設定して、信号を受信する。ノード無線局nは、DATA信号が送信完了になるまで、又は所定のタイムアウト時間が経過するまでこの方向へロックされ、その後で無指向性の受信モードに戻る。また、送信無線局は、いったんCTS信号を受信すると、無指向性のアンテナパターンを用いてDATA信号を送信して、指向性のアンテナパターンを用いてACK信号(肯定応答信号)の受信を待機し、ACK信号を受信した後又は所定のタイムアウト時間が経過した後で無指向性の受信モードに戻る。ここでRTS信号/DATA信号を送信する目的は、(無指向性アンテナを使用する場合がそうであるように)ノード無線局nの近傍ノード無線局による送信又は受信の実行を抑止することにではなく、ノード無線局mがノード無線局nからデータを受信中であることについて、ノード無線局nの近傍ノード無線局に通知することにあるという点は留意されるべきである。この反復される通知は、フェージングのない環境下で、ストリング状のネットワークトポロジーにおける隠れ端末問題が存在する状況に特に効果的である。受信無線局は、DATA信号を受信すると、指向性のアンテナパターンを用いてACK信号を送信して、無指向性の受信モードに戻る。
ノード無線局nの近傍に位置しかつRTS/DATA交換を傍受した他のノード無線局は、それら他のノード無線局におけるDNAVベクトルを、RTS信号又はDATA信号の到来方向としてそれら他のノード無線局がそれぞれ検出した方向へ設定する。これで、当該他のノード無線局は、DNAVベクトルによってブロックされた方向とは異なる方向に位置したノード無線局へ送るパケットを有していれば、ノード無線局n及びmの間の通信を妨げることなく、RTS信号及びDATA信号の両方を無指向性のアンテナパターンを用いて発行することができる。受信側のノード無線局の方向がDNAVベクトルによってブロックされている場合にRTS信号が発行されれば、CTS信号が発行されないか又はRTS信号の衝突が発生する可能性が最も高い。その結果、当該ノード無線局はそのコンテンションウィンドウを拡大してバックオフに入る。このことは繰り返し発生する可能性があり、その結果、当該ノード無線局による送信の機会は減少する。よって、この場合はRTS信号の送信を許可しない。ここで、当該ノード無線局は、DNAV制御テーブル(図6)に記録された時間だけ待って通信開始を試みる。この動作はIEEE 802.11規格に記述されているNAVの待機に類似している。
ここで、実施形態で用いるDNAV制御テーブルの作成及び更新処理について以下に説明する。なお、可変ビームアンテナ101は30度毎にビームの方位角を設定できるセクタパターンを有するものとする。DNAV制御テーブルは、図6に示すように、設定可能な方位角毎に、制御データの欄において、「時刻データ」と「使用可能」の情報が付与されており、「時刻データ」はその時刻まで当該方位角は使用中であることを示し、すなわち、その時刻まで使用不可能であることを示している。また、「使用可能」はその方位角について無線通信は使用可能であることを示している。
まず、初期状態では、DNAV制御テーブルの制御データのすべての欄に「使用可能」の情報を挿入する。次いで、図15の状態S109又はS115においてNOであるときに、DNAV制御テーブルにおいて以下の通り制御データを記録して状態S101に戻る。
(ケース1)DNAV制御テーブルにおいて、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対応する制御データの欄が「使用可能」であるとき、RTS信号又はCTS信号に含まれている通信持続時間を現在時刻に加算することにより通信終了時刻を計算し、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対して当該計算した「時刻データ」を記録する。
(ケース2)DNAV制御テーブルにおいて、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対応する制御データの欄が所定の「時刻データ」であるときに、RTS信号又はCTS信号に含まれている通信持続時間を現在時刻に加算することにより通信終了時刻を計算し、その計算した通信終了時刻がすでに記録済みの「時刻データ」の時刻と同じ又は早い時刻であるときは何も処理をしないが、その計算した通信終了時刻がすでに記録済みの「時刻データ」の時刻よりも遅いときは、遅い方の当該計算した通信終了時刻を当該方位角の「時刻データ」として記録する。
さらに、状態S101におけるアイドル状態において、DNAV制御テーブルの制御データの欄に記載の「時刻データ」の時刻が現在時刻を過ぎたときは、当該「時刻データ」を「使用可能」に変更して更新する。
すなわち、各周辺隣接無線局は、他の無線局と無線通信を開始するときに、図9に示すように、トーン信号及びRTS信号を送信し、もしくはそれに応答してトーン信号及びCTS信号を送信するときに、DNAV制御テーブルを参照して使用可能な方位角のセクタパターンのみを用いて無線通信を行う。従って、各ノード無線局は、DNAV制御テーブルを生成して使用することにより、現在進行中の無線通信を所定の方位角毎に知ることができ、この情報を用いて、他の方向への新たな無線通信を開始することができ、このとき、現在進行中の無線通信との干渉を防止できる。これにより、1ホップの無線ネットワークにおいて、SDMAのために効率的なMACプロトコルを提供できる。
図9は図2の管理制御部151によって実行される無線通信制御処理を示す状態遷移図である。
図9において、まず、状態S101ではアイドル状態にあり、オムニパターン検出モード又は回転セクタ検出モードで待機する。ここで、状態S101で送信すべきデータがあるとき、状態S103においてオムニパターンでRTS信号を送信した後(このときオムニパターンなので受信無線局の方向のDNAVはブロックされない)、状態S101に戻る。また、状態S101で検出しきい値を超える信号レベルの信号を受信したとき、状態S104においてセクタパターンを1回転して信号到来方向を追跡し最大受信方向に主ビームを向けた後、状態S105においてセクタパターンでパケット信号を受信する。
状態S105でRTS信号を受信したときは、状態S108から状態S109に遷移し、状態S109において無線通信したい目的の受信無線局であるか否かをチェックし、YESであれば状態110に遷移する一方、NOであれば状態S113に遷移する。状態S110においてRTS信号を受信した方向のセクタパターンでCTS信号を送信し、状態S111においてセクタパターンでDATA信号を待機し、ここで、DATA信号を受信したときは、状態S112でセクタパターンでACK信号を送信した後、状態S101に戻る。一方、状態S111でタイムアウトしたとき、状態S101に戻る。さらに、上記状態S109でNOであるとき、状態S113においてDNAV制御テーブルにおいて制御データとして現在時刻に詳細後述する所定の通信時間を加算して計算した「時刻データ」(当該時刻までは当該方位角で無線通信が不可能であることを示す。)を記録した後、状態S101に戻る。
またさらに、状態S105でCTS信号を受信したとき、状態S114から状態S115に遷移し、ここで、無線通信したい目的の受信無線局であるか否かをチェックし、YESであれば状態S116に遷移する一方、NOであれば状態S118に遷移する。状態S116ではオムニパターンでDATA信号を送信した後、状態S117においてセクタパターンでACK信号を待機し、状態S101に戻る。また、状態S118では、DNAV制御テーブルにおいて制御データとして現在時刻に詳細後述する所定の通信時間を加算して計算した「時刻データ」(当該時刻までは当該方位角で無線通信が不可能であることを示す。)を記録した後、状態S101に戻る。
本発明者らは、実施形態の無線通信システムについて以下の通りシミュレーションを行い、以下のシミュレーション結果を得た。
本発明者らは、クアルネット3.6(例えば、非特許文献8参照。)を用いてシミュレーションを行った。シミュレーションは、電子制御導波器アレーアンテナ装置を用いて行ったが、このアンテナ装置は、ある意味ではスイッチングにより制御されるビームアンテナの形式を有するものであり、角度30度で離散的にステアリングされて360度の範囲をカバーする。クォールネットシミュレータには、MAC層において指向性の仮想キャリア検出を実装し、また物理層において無指向性及び指向性の伝送を実装するために必要な変更を行った。当該シミュレーションでは、すべてのノード無線局が一直線上に位置した、1つの簡単なマルチホップフローであるストリング状のネットワークトポロジーを使用した。また、プロアクティブであるか又はリアクティブであるかに関わらず、任意のルーティングプロトコルによって発生するすべてのパケットが停止する静的ルートを使用した。使用したシミュレーション環境の仕様及びパラメータを表1に記す。
Figure 2007074562
次いで、シミュレーション結果について説明する。無指向性のアンテナパターンを用いてRTS/CTS信号を送信し、また無指向性のアンテナパターンを用いてRTS/DATA信号を送信する実施形態のMACプロトコルの性能を比較して評価する上でのベンチマークとして、既存の無指向性のIEEE 802.11のMACを使用した。なお、図10−図15のグラフでは、無指向性のMACプロトコルを「O−MAC」で示し、実施形態のMACプロトコルを「DCA−MAC」で示した。「D−MAC(指向性MAC)」では、RTS信号、CTS信号、DATA信号及びACK信号のそれぞれが、指向性のアンテナパターンを用いて送信される。シミュレーションでは、1024バイトのCBRパケットを、5.4ミリ秒間隔で、11Mbps又は自動データレート(マルチレート、すなわち、伝搬状況に応答して所定のレートを選択する。)で送信した。2種類の指向性MACプロトコル(DCA−MAC及びD−MAC)に関して、指向性のアンテナパターンを用いたときの利得が無指向性のアンテナパターンを用いたときの利得に等化される場合とされない場合とでそれぞれ評価を試みた。
図10は本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、11Mbpsの固定レートでフェージングなしのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフであり、図11は本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、11Mbpsの固定レートでライスフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフであり、図12は本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、11Mbpsの固定レートでレイリーフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。また、図13は本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、自動データレート(マルチレート)でフェージングなしのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフであり、図14は本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、自動データレート(マルチレート)でライスフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフであり、図15は本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、自動データレート(マルチレート)でレイリーフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。
最初に、固定のデータ転送レート11Mbpsの設定環境で行ったシミュレーションの結果(図10−図12)について考察する。図10(フェージングなし(AWGN))は、等化された利得を備えたD−MACの性能が、隠れ端末問題に起因して最も低いものとなっている場合を示す。指向性のアンテナパターンを用いたときの利得が、無指向性のアンテナパターンを用いたときの利得に等化されない場合、アップリンク方向の次のホップは、指向性ビームのバックローブにより送信無線局からのパケットを検出することができる。従って、隠れ端末問題はわずかながら軽減され、スループット性能は、等化されていない利得を備えたD−MACと同程度に向上する可能性があるが、依然としてO−MACのスループット性能より悪い。これに対して、DCA−MACは常にD−MACより良好な性能を有し、またO−MACの性能と比肩し得るかもしくはこれを上回る性能を有する。RTS信号及びDATA信号による無指向性の通知は、隠れ端末問題の回避に貢献する。ホップ数が増加すると、等化された利得を備えたDCA−MACは、等化なしの場合より高い性能を有する。このことは、等化なしの場合に、より高い利得を有する指向性のCTS信号及びACK信号の送信が進行中の通信に干渉し、ストリング状のネットワークトポロジーにおいて同時に実行される通信の個数を制限するためである。
図11及び図12は、ライス分布モデル及びレイリー分布モデルを用いた場合のシミュレーション結果を示す。無指向性のアンテナパターンを用いたときのRTS信号及びDATA信号は、信号強度が経時的に変化する条件下では効果的でないことが観察される。指向性のアンテナパターンを用いたときの利得は、ライス分布モデル及びレイリー分布モデルにおいてパケットを正確に受信することについては有利であり、また、D−MAC及びDCA−MACにおいて等化されていない利得を備えた場合では、ホップ数が少ないときに改善が示されるという点は興味深い。ホップ数が少ないと、等化されていない利得を備えたD−MACは、等化されていない利得を備えたDCA−MACより高い性能を有する。しかしながら、D−MACは指向性のアンテナパターンを用いた送信及び受信を行い、同時に存在する他の送信との干渉をもたらし、このことは、多数のホップが存在する場合におけるスループット性能を低下させる。CTS及びACK信号に関してのみ指向性のアンテナパターンを用いた送信が行われるDCA−MACは、他の通信をさほど妨害せず、ホップ数が少ない場合でも多い場合でも安定した性能を維持することができる。
また、シミュレーションでは、11Mbpsのデータ転送レートに代えて、自動レート下、すなわちSINR(Signal to Interference and Noise Ratio:信号対干渉雑音比)に依存して適応的に変調を行うモード下でも、上記通信方式を評価した(図13―図15)。図13―図15では、データ転送レートが11Mbpsである場合の結果とは対照的に、フェージング環境における自動レートのD−MACは最悪の性能を示す。これに対して、AWGN、ライス分布モデル及びレイリー分布モデルのうちの何れにおいても、DCA−MACは、他のプロトコルより優れたスループットか又は比較し得るスループットを常に達成する。特に、AWGNにおける等化された利得を備えたDCA−MACは、O−MACの2倍のスループットを達成する。
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システムによれば、フェージングのない環境(AWGN)からフェージングのある環境にいたるまで、マルチレートのIEEE 802.11のDCF(Distributed Coordination Function:分散調整機能)の性能を向上させることのできる、DCA−MAC(Direction and Communication-Aware MAC:通信方向及び通信の有無を認識したMAC)方式を提案した。シミュレーションでは、クォールネットネットワークシミュレータを使用して、指向性の電力制御を備えた実施形態の指向性MACプロトコルの有効性を評価したところ、無指向性のアンテナパターンを用いた送信による反復した通知と、指向性の利得による優れた信号品質とが、様々な環境でスループットの利得に貢献していることがわかった。
以上詳述したように、本発明に係る無線ネットワークの制御方法又は制御装置によれば、送信元からの通信開始制御信号を無指向性アンテナで送信し、受信元からの通信受付信号を上記セクタパターンで受信し、上記通信受付信号を受信したことに応答して、データ信号を無指向性アンテナで送信し、受信元からの受信完了通知信号を上記セクタパターンで受信するように制御する。それ故、複数のレートを選択可能なマルチレートの無線アドホックシステムにおいて、従来技術に比較してスループットをさらに向上させることができる。
本発明に係る第1の実施形態であるアドホック無線ネットワークを構成する複数の無線局1−1乃至1−9の平面配置図である。 図1の各無線局1の内部構成を示すブロック図である。 図1の可変ビームアンテナ101のセクタビームパターンの一例を示す図である。 図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いられるパケットデータのフォーマットを示す図である。 図2のデータベースメモリ154において格納される方位角及び信号強度レベルテーブル(ASテーブル)の一例を示す表である。 図2のデータベースメモリ154において格納されるDNAV制御テーブルの一例を示す表である。 図2の各ノード無線局での放射パターンの種類と無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。 本実施形態で用いるDNAV法を説明するための平面図である。 図2の管理制御部151によって実行される無線通信制御処理を示す状態遷移図である。 本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、11Mbpsの固定レートでフェージングなしのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。 本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、11Mbpsの固定レートでライスフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。 本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、11Mbpsの固定レートでレイリーフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。 本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、自動データレート(マルチレート)でフェージングなしのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。 本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、自動データレート(マルチレート)でライスフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。 本発明に係る実施形態のシミュレーション結果であって、自動データレート(マルチレート)でレイリーフェージングのときのホップ数に対する平均スループットを示すグラフである。
符号の説明
1−1乃至1−9…ノード無線局、
100…アレーアンテナ装置。
101…可変ビームアンテナ、
102…サーキュレータ、
103…指向制御部、
104…パケット送受信部、
105…トラヒックモニタ部、
106…回線制御部、
107…上位レイヤ処理装置、
130…パケット受信部、
131…高周波受信機、
132…復調器、
133…受信バッファメモリ、
140…パケット送信部、
141…送信タイミング制御部、
142…送信バッファメモリ、
143…変調器、
144…高周波送信機、
151…管理制御部、
152…検索エンジン、
153…更新エンジン、
154…データベースメモリ、
155…クロック回路、
160…拡散符号発生器。

Claims (6)

  1. それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法であって、
    他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局であるときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線受信を行うステップと、
    送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)を無指向性アンテナで送信するステップと、
    受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を上記セクタパターンで受信するステップと、
    上記通信受付信号を受信したことに応答して、データ信号(DATA)を無指向性アンテナで送信するステップと、
    受信元からの受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を上記セクタパターンで受信するステップとを含むことを特徴とする無線ネットワークの制御方法。
  2. 送信元からの通信開始制御信号を上記セクタパターンで受信するステップと、
    上記通信開始制御信号を受信したことに応答して、通信受付信号を上記セクタパターンで送信するステップと、
    送信元からのデータ信号を上記セクタパターンで受信するステップと、
    上記データ信号を受信したことに応答して、受信完了通知信号を上記セクタパターンで送信するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の無線ネットワークの制御方法。
  3. 他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の無線ネットワークの制御方法。
  4. それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置であって、
    他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局であるときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線受信を行い、
    送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)を無指向性アンテナで送信し、
    受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を上記セクタパターンで受信し、
    上記通信受付信号を受信したことに応答して、データ信号(DATA)を無指向性アンテナで送信し、
    受信元からの受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を上記セクタパターンで受信するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする無線ネットワークの制御装置。
  5. 上記制御手段は、送信元からの通信開始制御信号を上記セクタパターンで受信し、
    上記通信開始制御信号を受信したことに応答して、通信受付信号を上記セクタパターンで送信し、
    送信元からのデータ信号を上記セクタパターンで受信し、
    上記データ信号を受信したことに応答して、受信完了通知信号を上記セクタパターンで送信するように制御することを特徴とする請求項4記載の無線ネットワークの制御装置。
  6. 上記制御手段は、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するように制御することを特徴とする請求項4又は5記載の無線ネットワークの制御装置。
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