JP2004289095A - 窒化物系化合物半導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】GaInN成膜工程前に必要な低温と高温の2段階の成膜工程のうち、低温の成膜工程を省略し、高温の成膜工程のみとする方法による発光素子の収率向上。
【解決手段】サファイア基板上に窒化珪素バッファ体、高温バッファ層を作成することにより、AlGaN、GaInNからなる発光素子の製造収率の向上を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】サファイア基板上に窒化珪素バッファ体、高温バッファ層を作成することにより、AlGaN、GaInNからなる発光素子の製造収率の向上を解決する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、青、緑色発光ダイオード、青色レーザーダイオード等に使用される窒化物系化合物半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
サファイア基板上に直接気相法で成長させた窒化ガリウムインジウム化合物半導体(GaxIn1−xN、0<X<1、以下GaInNと記す。)、あるいはサファイア基板上に高温で気相法により窒化アルミニウムガリウム化合物半導体(AlxG1−xN、0≦X≦1、以下AlGaNと記す。)を成長後、該膜上に成長させたGaInNの発光特性は悪く、青、緑色発光ダイオード、青色レーザーダイオードに使用できなかった。
そのために、500℃程度の低温でAlGaNのバッファ層を成長させ、ついでそのバッファ層の成膜温度よりも高温の1000℃程度でAlGaNを成長させた後、GaInNを成長させている。この方法は有機金属気相成長法(以下MOCVD法と記す。)のGaInN成膜工程前に、基本的に低温と高温のAlGaNの成膜工程が必要であり、工程の複雑化、昇温・降温による装置への負担等の問題があった。このために、微細な凹凸を有するサファイア基板上にAlGaNのバッファ層を高温で成長後、AlGaN、GaInNを成長させる方法(特開2002−164295)が提案されている。この方法で製造したGaInNの発光特性は良いが、更に収率を向上させることが好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
AlGaNのバッファ層を高温で成長後、AlGaN、GaInNを成長させる方法において製品収率を向上させる必要がある。再現性が良くない場合においては、微細な凹凸を有するサファイア基板上にAlGaNのバッファ層を高温で成長させる初期段階でGaやAlのドロップレット(あるいは金属の微少塊)が形成し、凸状のサファイア基板表面から凹部に移動しているためと推定された。収率を向上させるために金属のドロップレットの移動を少なくする必要がある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、AlGaNの高温バッファ層の形成に先立ち、基板上に複数の微細な孔を有する窒化珪素化合物からなるバッファ体を形成する手段を採用した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、サファイア基板上に、原料ガスを前記基板上に窒化珪素化合物が離散的に複数の微細な孔を有する程度に制限された供給量だけ供給することで離散的にバッファ体を形成し、高温でGa、Alからなる金属ドロップレットを離散的に形成、窒化した高温バッファ層を作成後、AlGaNを高温で成長し、ついでGaInNを成長させ、発光特性の良いGaInNを作成するとともに、製造収率の向上をはかることである。
【0006】
また本発明は、表面がナノレベルで制御された凹凸を有するサファイア基板上に、原料ガスを前記基板上に窒化珪素化合物が離散的に複数の微細な孔を有する程度に制限された供給量だけ供給することで離散的にバッファ体を形成し、高温でGa、Alからなる金属ドロップレットを離散的に形成、窒化した高温バッファ層を作成後、AlGaNを高温で成長し、ついでGaInNを成長させ、発光特性の良いGaInNを作成するとともに、製造収率の向上をはかることである。
【0007】
窒化珪素化合物バッファ体は約500℃の温度でシラン等のSi含有化合物とアンモニアを100秒程度反応させサファイア基板上に作成する。窒化物系化合物半導体膜の結晶特性が良い場合のバッファ体は電子顕微鏡観察ではサファイア基板を覆うように層状に形成されていず、ナノメータサイズの孔を有するポーラス状態である。反応時間が短く窒化珪素化合物がつながっていない状態、或いは反応時間が長く、窒化珪素化合物が離散的に複数の微細な孔を有しない状態の表面上に成長した窒化物系化合物半導体膜の結晶性は好ましくない。孔は約10〜500nm径程度である。窒化珪素化合物バッファ体は結晶状態あるいは非晶質状態のいずれでもよい。
【0008】
高温バッファ層は、800℃〜1050℃の温度で数秒間トリメチルガリウム(TMGa、以下TMGと記す。)やトリメチルアルミニウム(TMAl、以下TMAと記す。)の有機金属原料ガスを基板に供給し、約10〜500nm径からなるGa、Alからなる金属ドロップレットをバッファ体上に離散的に形成し、アンモニアを供給、窒化して作成する。
【0009】
ナノレベルで制御された凹凸基板は化学的、物理的方法で作成する。化学的方法としては、サファイア基板表面をリン酸、ピロリン酸でエッチングするか、スプレー法、ゾルゲル法でサファイア基板表面にサファイアの結晶格子定数に近い格子定数を持つ材料を付加する方法がある。又ゾルゲル法で付加した後、リン酸、ピロリン酸でエッチングするか、或いは水素でエッチングするという組み合わせた方法もある。物理的方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッター、プラズマ法でサファイアの結晶格子定数に近い格子定数を持つ材料を表面に付加する方法がある。これらの物理的方法に、薬液、水素ガス処理を組み合わせても良い。
サファイア基板の凸部の平均的大きさ(概略直径)は3次元表面構造解析顕微鏡で測定し、30nmから200nmで、特に50nm以上100nm以下が好ましい。高さは凸部上でのAlGaNの横方向成長が凹部から成長してきたAlGaNに阻害されない高さが好ましく、ほぼ同じ高さが好ましい。高さはAlGaNの成長速度、凸部の密度により決まる。大きさが約100nmの場合で、高さは3次元表面構造解析顕微鏡で約50nm程度である。凹凸の存在状態は、凸部が粒界で接する或いはつながった状態よりは、凸部がひとつひとつ島状的に分離され、高密度に存在する状態が好ましい。凸部の密度は、大きさが100nmであれば、サファイア基板1cm2当たり1010以下、大きさが30nmであれば1cm2当たり1011程度以下が好ましい。
【0010】
窒化珪素化合物バッファ体上の成膜はMOCVD法で行う。AlGaNを成長する温度範囲は900℃から1200℃で、2次元的成長がしやすい900℃以上が好ましく、又1150℃以上では、AlGaNの分解が激しくなるので、1150℃以下が好ましい。GaInNの成長温度範囲は500℃から900℃で、発光特性を良くするために600℃以上が好ましく、又GaInNの分解が800℃以上では激しくなるので、800℃以下が好ましい。
【0011】
【実施例1】
アルミナ成分の濃度が20%のアルミナゾルに、アルミナのシード成分を加え、攪拌機で混合し、粘度を10センチポアズにした。アルミナのシード成分の作成方法は次のように行った。アルミナのポットミルに高純度のアルミナボールと純水を入れ、3日間回転させた後、液体を1.5万rpmの遠心分離器にかけた。そしてその上澄み液をアルミナのシード成分として用いた。シードを加えたアルミナゾルをc面の平滑なサファイア基板上に、スピンコーターで15秒間、1500rpmの条件で薄く塗布した。これを加熱炉に入れ70℃で5時間、120℃で5時間、250℃で3時間、350℃で5時間、450℃で5時間、650℃で3時間、750℃で3時間順次加熱処理し、ついで焼結のために、この基板を1200℃の温度の加熱炉に3分間保持するように、急速加熱し、200℃/分で急速冷却した。炉から取りだし、110℃に加熱した混酸(硫酸:リン酸=3:1)中で30分処理し、ついで230℃のリン酸に15分間浸せき後、純水で良く水洗し乾燥した。凸部の平均的大きさは約75nm、高さは約40nmで、ほぼ6角形状で島状的であった。
【0012】
このナノメーターレベルの凹凸のあるサファイア基板を横型のMOCVD装置内部の基板ホルダに設置し、水素ガスを流しながら、基板表面温度を1150℃に5分間保持し基板表面のクリーニングを行なった。
【0013】
その後、基板表面温度を500℃まで降下させ、この状態で主キャリアガスとして水素ガスを12リットル/分、アンモニアを5リットル/分、シランガスを水素で10ppmに希釈したキャリアーガスを20cc/分で2分流しながら、窒化珪素化合物のバッファ体をサファイア基板上に作成させた。
【0014】
その後、基板表面温度を1000℃まで昇温させ、水素と窒素ガス雰囲気中でTMAの有機金属原料ガスを5秒間基板に供給し、Ga金属ドロップレットをバッファ体上に離散的に形成し、アンモニアを供給、窒化してGaNの高温バッファ層を作成した。
【0015】
基板表面温度を1000℃で、主キャリアガスとして水素ガスを16リットル/分、アンモニアを1リットル/分を流し、TMG用のキャリアガスを40cc/分とTMA用のキャリアガスを20cc/分、水素ガスで10ppmに希釈したシランガスを3cc/分で60分同時に流しながら、1.5ミクロン厚さのn型AlGaN膜を得た。
【0016】
n型AlGaN層成長後、温度を750℃にして、主キャリアガスを窒素ガスに切り替え、窒素ガスを8リットル/分、アンモニアを4リットル/分、TMG用のキャリアガスを5cc/分、トリメチルインジウム(TMIn、以下TMIと記す。)用のキャリアガスを150cc/分流しながら、アンドープGaInNを3分間成長させた。
【0017】
次に、基板表面温度を1000℃にして、主キャリアガスとして窒素ガスを12リットル/分、水素ガスを4リットル/分、アンモニアを1リットル/分を流し、TMG用のキャリアガスを40cc/分とMg源であるCp2Mg用のキャリアガスを70cc/分で5分間同時に流しながら、0.1ミクロン厚さのp型GaN膜を得た。
【0018】
成長後、TMG用のキャリアガス、TMI用のキャリアガス、水素ガス、アンモニアを止めて窒素ガスを12リットル/分で流しながら室温まで冷却し、MOCVD装置からウエーハを取り出した。
【0019】
このようにして形成したn型AlGaNとアンドープGaInNとp型GaNとの積層構造のp型GaN層およびアンドープGaInN層の一部をエッチングしてn型AlGaNの一部を露出させ、p型GaNおよびn型AlGaNそれぞれの層にオーミック電極であるp型電極とn型電極を形成した。
【0020】
この後、サファイアの基板の裏面を研磨して100ミクロン程度まで薄くし、スクライブによりチップ状に分離する。このチップをpn接合形成面を上向きにしてステムに接着した後、チップのn側電極およびp側電極を各々ステム上の電極にワイヤで結線し、その後樹脂モールドして発光素子を作成した。
【0021】
この発光素子を20mAの順方向電流で駆動したところ、順方向電圧は3.5v、発光出力は4mW、波長は450nmで青色発光を呈した。発光素子の輝度に関する収率は2倍に向上した。
【0022】
【実施例2】
実施例1の凹凸サファイア基板でなく、平坦なサファイア基板上に実施例1において述べたものと同等の方法でバッファ体、高温バッファ層、窒化物層の成膜、冷却を行った。その後、発光素子作製を実施例1において述べたものと同等の方法で行った。この発光素子を20mAの順方向電流で駆動したところ、順方向電圧は3.7v、発光出力は3.5W、波長は450nmで青色発光を呈した。発光素子の輝度に関する収率は1.5倍に向上した。
【0023】
【比較例1】
窒化珪素化合物のバッファ体作成時間を30秒、3分とする以外は実施例1と同様に発光素子を作成した。この発光素子を20mAの順方向電流で駆動したところ、バッファ体作成時間30秒の発光素子は順方向電圧は3.8v、発光出力は2.0W、波長は450nmで青色発光を呈し、発光素子の輝度に関する収率は悪かった。 又バッファ体作成時間3分の発光素子は順方向電圧は4.5v、発光出力は0.5mW、波長は450nmで青色発光を呈し、発光素子の輝度に関する収率は悪かった。バッファ体を電子顕微鏡観察すると作成時間30秒の膜は窒化珪素化合物がつながっていず、作成時間3分の膜は平坦な膜で、作成時間2分の膜に見られたナノサイズの孔は見られなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明のサファイア基板上に窒化珪素化合物バッファ体、高温バッファ層を作成することにより、AlGaN、GaInNからなる発光素子の製造収率が大幅に向上し、コスト、性能の2点で産業上の価値が大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、青、緑色発光ダイオード、青色レーザーダイオード等に使用される窒化物系化合物半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
サファイア基板上に直接気相法で成長させた窒化ガリウムインジウム化合物半導体(GaxIn1−xN、0<X<1、以下GaInNと記す。)、あるいはサファイア基板上に高温で気相法により窒化アルミニウムガリウム化合物半導体(AlxG1−xN、0≦X≦1、以下AlGaNと記す。)を成長後、該膜上に成長させたGaInNの発光特性は悪く、青、緑色発光ダイオード、青色レーザーダイオードに使用できなかった。
そのために、500℃程度の低温でAlGaNのバッファ層を成長させ、ついでそのバッファ層の成膜温度よりも高温の1000℃程度でAlGaNを成長させた後、GaInNを成長させている。この方法は有機金属気相成長法(以下MOCVD法と記す。)のGaInN成膜工程前に、基本的に低温と高温のAlGaNの成膜工程が必要であり、工程の複雑化、昇温・降温による装置への負担等の問題があった。このために、微細な凹凸を有するサファイア基板上にAlGaNのバッファ層を高温で成長後、AlGaN、GaInNを成長させる方法(特開2002−164295)が提案されている。この方法で製造したGaInNの発光特性は良いが、更に収率を向上させることが好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
AlGaNのバッファ層を高温で成長後、AlGaN、GaInNを成長させる方法において製品収率を向上させる必要がある。再現性が良くない場合においては、微細な凹凸を有するサファイア基板上にAlGaNのバッファ層を高温で成長させる初期段階でGaやAlのドロップレット(あるいは金属の微少塊)が形成し、凸状のサファイア基板表面から凹部に移動しているためと推定された。収率を向上させるために金属のドロップレットの移動を少なくする必要がある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、AlGaNの高温バッファ層の形成に先立ち、基板上に複数の微細な孔を有する窒化珪素化合物からなるバッファ体を形成する手段を採用した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、サファイア基板上に、原料ガスを前記基板上に窒化珪素化合物が離散的に複数の微細な孔を有する程度に制限された供給量だけ供給することで離散的にバッファ体を形成し、高温でGa、Alからなる金属ドロップレットを離散的に形成、窒化した高温バッファ層を作成後、AlGaNを高温で成長し、ついでGaInNを成長させ、発光特性の良いGaInNを作成するとともに、製造収率の向上をはかることである。
【0006】
また本発明は、表面がナノレベルで制御された凹凸を有するサファイア基板上に、原料ガスを前記基板上に窒化珪素化合物が離散的に複数の微細な孔を有する程度に制限された供給量だけ供給することで離散的にバッファ体を形成し、高温でGa、Alからなる金属ドロップレットを離散的に形成、窒化した高温バッファ層を作成後、AlGaNを高温で成長し、ついでGaInNを成長させ、発光特性の良いGaInNを作成するとともに、製造収率の向上をはかることである。
【0007】
窒化珪素化合物バッファ体は約500℃の温度でシラン等のSi含有化合物とアンモニアを100秒程度反応させサファイア基板上に作成する。窒化物系化合物半導体膜の結晶特性が良い場合のバッファ体は電子顕微鏡観察ではサファイア基板を覆うように層状に形成されていず、ナノメータサイズの孔を有するポーラス状態である。反応時間が短く窒化珪素化合物がつながっていない状態、或いは反応時間が長く、窒化珪素化合物が離散的に複数の微細な孔を有しない状態の表面上に成長した窒化物系化合物半導体膜の結晶性は好ましくない。孔は約10〜500nm径程度である。窒化珪素化合物バッファ体は結晶状態あるいは非晶質状態のいずれでもよい。
【0008】
高温バッファ層は、800℃〜1050℃の温度で数秒間トリメチルガリウム(TMGa、以下TMGと記す。)やトリメチルアルミニウム(TMAl、以下TMAと記す。)の有機金属原料ガスを基板に供給し、約10〜500nm径からなるGa、Alからなる金属ドロップレットをバッファ体上に離散的に形成し、アンモニアを供給、窒化して作成する。
【0009】
ナノレベルで制御された凹凸基板は化学的、物理的方法で作成する。化学的方法としては、サファイア基板表面をリン酸、ピロリン酸でエッチングするか、スプレー法、ゾルゲル法でサファイア基板表面にサファイアの結晶格子定数に近い格子定数を持つ材料を付加する方法がある。又ゾルゲル法で付加した後、リン酸、ピロリン酸でエッチングするか、或いは水素でエッチングするという組み合わせた方法もある。物理的方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッター、プラズマ法でサファイアの結晶格子定数に近い格子定数を持つ材料を表面に付加する方法がある。これらの物理的方法に、薬液、水素ガス処理を組み合わせても良い。
サファイア基板の凸部の平均的大きさ(概略直径)は3次元表面構造解析顕微鏡で測定し、30nmから200nmで、特に50nm以上100nm以下が好ましい。高さは凸部上でのAlGaNの横方向成長が凹部から成長してきたAlGaNに阻害されない高さが好ましく、ほぼ同じ高さが好ましい。高さはAlGaNの成長速度、凸部の密度により決まる。大きさが約100nmの場合で、高さは3次元表面構造解析顕微鏡で約50nm程度である。凹凸の存在状態は、凸部が粒界で接する或いはつながった状態よりは、凸部がひとつひとつ島状的に分離され、高密度に存在する状態が好ましい。凸部の密度は、大きさが100nmであれば、サファイア基板1cm2当たり1010以下、大きさが30nmであれば1cm2当たり1011程度以下が好ましい。
【0010】
窒化珪素化合物バッファ体上の成膜はMOCVD法で行う。AlGaNを成長する温度範囲は900℃から1200℃で、2次元的成長がしやすい900℃以上が好ましく、又1150℃以上では、AlGaNの分解が激しくなるので、1150℃以下が好ましい。GaInNの成長温度範囲は500℃から900℃で、発光特性を良くするために600℃以上が好ましく、又GaInNの分解が800℃以上では激しくなるので、800℃以下が好ましい。
【0011】
【実施例1】
アルミナ成分の濃度が20%のアルミナゾルに、アルミナのシード成分を加え、攪拌機で混合し、粘度を10センチポアズにした。アルミナのシード成分の作成方法は次のように行った。アルミナのポットミルに高純度のアルミナボールと純水を入れ、3日間回転させた後、液体を1.5万rpmの遠心分離器にかけた。そしてその上澄み液をアルミナのシード成分として用いた。シードを加えたアルミナゾルをc面の平滑なサファイア基板上に、スピンコーターで15秒間、1500rpmの条件で薄く塗布した。これを加熱炉に入れ70℃で5時間、120℃で5時間、250℃で3時間、350℃で5時間、450℃で5時間、650℃で3時間、750℃で3時間順次加熱処理し、ついで焼結のために、この基板を1200℃の温度の加熱炉に3分間保持するように、急速加熱し、200℃/分で急速冷却した。炉から取りだし、110℃に加熱した混酸(硫酸:リン酸=3:1)中で30分処理し、ついで230℃のリン酸に15分間浸せき後、純水で良く水洗し乾燥した。凸部の平均的大きさは約75nm、高さは約40nmで、ほぼ6角形状で島状的であった。
【0012】
このナノメーターレベルの凹凸のあるサファイア基板を横型のMOCVD装置内部の基板ホルダに設置し、水素ガスを流しながら、基板表面温度を1150℃に5分間保持し基板表面のクリーニングを行なった。
【0013】
その後、基板表面温度を500℃まで降下させ、この状態で主キャリアガスとして水素ガスを12リットル/分、アンモニアを5リットル/分、シランガスを水素で10ppmに希釈したキャリアーガスを20cc/分で2分流しながら、窒化珪素化合物のバッファ体をサファイア基板上に作成させた。
【0014】
その後、基板表面温度を1000℃まで昇温させ、水素と窒素ガス雰囲気中でTMAの有機金属原料ガスを5秒間基板に供給し、Ga金属ドロップレットをバッファ体上に離散的に形成し、アンモニアを供給、窒化してGaNの高温バッファ層を作成した。
【0015】
基板表面温度を1000℃で、主キャリアガスとして水素ガスを16リットル/分、アンモニアを1リットル/分を流し、TMG用のキャリアガスを40cc/分とTMA用のキャリアガスを20cc/分、水素ガスで10ppmに希釈したシランガスを3cc/分で60分同時に流しながら、1.5ミクロン厚さのn型AlGaN膜を得た。
【0016】
n型AlGaN層成長後、温度を750℃にして、主キャリアガスを窒素ガスに切り替え、窒素ガスを8リットル/分、アンモニアを4リットル/分、TMG用のキャリアガスを5cc/分、トリメチルインジウム(TMIn、以下TMIと記す。)用のキャリアガスを150cc/分流しながら、アンドープGaInNを3分間成長させた。
【0017】
次に、基板表面温度を1000℃にして、主キャリアガスとして窒素ガスを12リットル/分、水素ガスを4リットル/分、アンモニアを1リットル/分を流し、TMG用のキャリアガスを40cc/分とMg源であるCp2Mg用のキャリアガスを70cc/分で5分間同時に流しながら、0.1ミクロン厚さのp型GaN膜を得た。
【0018】
成長後、TMG用のキャリアガス、TMI用のキャリアガス、水素ガス、アンモニアを止めて窒素ガスを12リットル/分で流しながら室温まで冷却し、MOCVD装置からウエーハを取り出した。
【0019】
このようにして形成したn型AlGaNとアンドープGaInNとp型GaNとの積層構造のp型GaN層およびアンドープGaInN層の一部をエッチングしてn型AlGaNの一部を露出させ、p型GaNおよびn型AlGaNそれぞれの層にオーミック電極であるp型電極とn型電極を形成した。
【0020】
この後、サファイアの基板の裏面を研磨して100ミクロン程度まで薄くし、スクライブによりチップ状に分離する。このチップをpn接合形成面を上向きにしてステムに接着した後、チップのn側電極およびp側電極を各々ステム上の電極にワイヤで結線し、その後樹脂モールドして発光素子を作成した。
【0021】
この発光素子を20mAの順方向電流で駆動したところ、順方向電圧は3.5v、発光出力は4mW、波長は450nmで青色発光を呈した。発光素子の輝度に関する収率は2倍に向上した。
【0022】
【実施例2】
実施例1の凹凸サファイア基板でなく、平坦なサファイア基板上に実施例1において述べたものと同等の方法でバッファ体、高温バッファ層、窒化物層の成膜、冷却を行った。その後、発光素子作製を実施例1において述べたものと同等の方法で行った。この発光素子を20mAの順方向電流で駆動したところ、順方向電圧は3.7v、発光出力は3.5W、波長は450nmで青色発光を呈した。発光素子の輝度に関する収率は1.5倍に向上した。
【0023】
【比較例1】
窒化珪素化合物のバッファ体作成時間を30秒、3分とする以外は実施例1と同様に発光素子を作成した。この発光素子を20mAの順方向電流で駆動したところ、バッファ体作成時間30秒の発光素子は順方向電圧は3.8v、発光出力は2.0W、波長は450nmで青色発光を呈し、発光素子の輝度に関する収率は悪かった。 又バッファ体作成時間3分の発光素子は順方向電圧は4.5v、発光出力は0.5mW、波長は450nmで青色発光を呈し、発光素子の輝度に関する収率は悪かった。バッファ体を電子顕微鏡観察すると作成時間30秒の膜は窒化珪素化合物がつながっていず、作成時間3分の膜は平坦な膜で、作成時間2分の膜に見られたナノサイズの孔は見られなかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明のサファイア基板上に窒化珪素化合物バッファ体、高温バッファ層を作成することにより、AlGaN、GaInNからなる発光素子の製造収率が大幅に向上し、コスト、性能の2点で産業上の価値が大きい。
Claims (2)
- サファイア基板上に、窒化珪素化合物からなる離散的に複数の微細な孔を有するバッファ体を形成し、さらに前記バッファ体上に高温でGa、Alからなる金属ドロップレットを離散的に形成、窒化した窒化物系化合物半導体からなる高温バッファ層を作成し、前記高温バッファ層上に窒化物系化合物半導体を形成する製造方法。
- 前記サファイア基板が、凸部の直径が30ナノメーター以上、200ナノメーター以下である微細な凹凸を有する請求項1に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003117613A JP2004289095A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 窒化物系化合物半導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2003117613A JP2004289095A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 窒化物系化合物半導体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004289095A true JP2004289095A (ja) | 2004-10-14 |
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ID=33296309
Family Applications (1)
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2003
- 2003-03-19 JP JP2003117613A patent/JP2004289095A/ja active Pending
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