JP2004289066A - 固体レーザ装置 - Google Patents

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Toshibumi Tone
俊文 利根
Yasuyuki Nakanishi
康之 中西
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洋 布川
Sonhi Hashimoto
松姫 橋本
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Abstract

【課題】固体レーザ媒質の側面に配置されたレーザダイオードからの励起レーザ光により励起される固体レーザ媒質のレーザ出力を一定の値に保つ。
【解決手段】固体レーザ媒質3の側面から、レーザダイオード5で、固体レーザ媒質3を励起する。固体レーザ媒質使用初期の蛍光の強さを測定して、その値を蛍光基準値として記憶しておく。レーザ装置使用時の蛍光の強さを測定し、その測定された蛍光値と基準値を比較回路9で比較する。比較が一致するように、レーザダイオード5の電流を、電流制御手段24で制御することで、一定強度の出力レーザ光が得られる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体レーザ装置に関し、特に、固体レーザ媒質を光励起してレーザ光を発生させる固体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、固体レーザ装置は、固体レーザ媒質のレーザロッドを具えている。このレーザロッドを、ランプやレーザダイオード(LD)等の励起手段によって光励起することで、レーザ光を発生している。したがって、レーザロッドを共振器内に配置すれば、このレーザロッドから発生したレーザ光が、光共振器によって増幅されて出力される。このような固体レーザ装置において、レーザ出力を長期に亘り一定に維持するためには、長期に亘って変化しない励起光を固体レーザ媒質に供給する必要がある。
【0003】
固体レーザ装置において、大きなレーザ出力を取り出すためには、固体レーザ媒質を複数のレーザダイオードで励起する方法と、光共振器内に複数のレーザロッドを直列に並べるマルチロッド方式とがある。例えば、特許文献1に開示されている方法では、図6(a)に示すように、固体レーザ媒質を複数のレーザダイオードで励起することで、固体レーザ媒質の励起分布を均一にでき、品質の良いレーザ光を発振することができる。また、特許文献2には、図6(b)に示すように、光共振器内に複数のレーザロッドを直列に配置し、高出力で高品質なレーザビームを取り出す方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、大出力レーザビームを取り出すために、図6(c)に示すように、複数のレーザロッドを直列に配置したマルチロッド方式の共振器が開示されている。ここでは、レーザロッドの一部を凹面とすることにより、安定した出力を取り出すように工夫されている。
【0005】
また、特許文献4には、図6(d)に示すように、固体レーザ媒質の周囲に離間して配した複数のレーザダイオードで光励起させる固体レーザ装置において、固体レーザ媒質の周囲に、固体レーザ媒質から発生した蛍光を検出するモニタを設け、このモニタからの出力をレーザダイオードに帰還し、その電流を調整することで、マルチロッド構成の出力バランスを取るようにした技術が示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−335662号公報
【特許文献2】
特開平8−250797号公報
【特許文献3】
登録実用新案第2524199号公報
【特許文献4】
特開2002−164596号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の固体レーザ装置では、固体レーザ媒質から常に安定した状態でレーザ光を出力することが困難であるという問題がある。その理由は以下の通りである。
【0008】
レーザダイオードの励起による固体レーザのレーザ出力は、励起光、即ちレーザダイオードに流れる電流に応じて変化することが知られている。そのため、固体レーザ媒質をレーザダイオードで励起する方法では、レーザダイオードを選別して初期状態においては品質の良いレーザ光を発振させている。しかし、通常のレーザダイオードは、1万時間から2万時間程度で励起量が減少する劣化が発生すると言われている。レーザダイオードの経時的劣化により、レーザダイオードの励起光量が許容値を外れてしまうと、所定のレーザ出力を得ることが出来ないことになる。一方、レーザダイオードの発熱と励起エネルギーによって、熱レンズ効果という現象が起こる。レーザ光発生用のレーザロッドが、レーザダイオードの発熱と励起エネルギーによって加熱されて、不均等に温度が高くなる。そのために、位置により熱膨張の差が発生し、内部応力も不均等になり、屈折率が位置により変化するので、固体レーザ媒質が光学的に凸レンズの性質を持つようになるという熱レンズ効果が起こる。
【0009】
さらに、固体レーザ媒質を複数のレーザダイオードで励起する方法では、特性の近いレーザダイオードの組み合わせを用いて品質の良いレーザ光を発振させている。しかし、通常のレーザダイオードは、上述のように1万時間から2万時間程度で励起量が減少する劣化が発生すると言われているので、各レーザダイオードの経時的劣化の違いにより、一つでもレーザダイオードの励起光量が許容値を外れてしまうと、全てのレーザダイオードを交換しなければならない。
【0010】
また、光共振器内に複数のレーザロッドを直列に配設したマルチロッド方式では、個々の固体レーザ媒質につき一つ、或いは複数のレーザダイオードで励起する方式に係わらず、熱レンズ効果により、それぞれのレーザロッド間をレーザ光が通過する際に、屈折して光軸方向から逸れるようになり、光共振器としての所定の機能を果さなくなる。最初の状態では、熱レンズ効果の影響を一定値以下に維持できる固体レーザ媒質でも、時間が経過すると熱レンズ効果の影響が無視できなくなるし、またレーザダイオードの特性劣化、或いはレーザダイオードに流れる電流量の低下、換言すれば励起光の減少により初期に設定されたレーザ効率、出力が期待できなくなる。いずれにしても、長期にわたるレーザ装置の使用により、レーザダイオードに流れる電流が変化し、その変化に応じてレーザ発振状態が変わるため、初期に期待した出力が得られなくなるものである。
【0011】
そのため、例えば発振器から出力されたレーザパワーをフォトダイオードでモニタし、そのモニタ出力をレーザダイオードの駆動回路に帰還をかけ、レーザパワーが低下した場合にはレーザダイオードに流れる電流を増大させ、固体レーザ媒質への励起光を増すことにより、所定のレーザ出力を得ることが考えられる。一方、マルチロッドから高出力のレーザビームを取り出すためには、各レーザロッドと励起手段で形成した励起モジュールの熱レンズ効果のバランスを調節し、各励起モジュールの熱レンズ効果を常に一定に保つ必要がある。しかしながら、励起モジュールの励起手段にレーザダイオードを用いた場合は、レーザダイオード個々の経時的な劣化により、励起エネルギーに差が生じ、励起モジュールの熱レンズ効果のバランスが崩れて、安定で良好な光共振器としての機能が得られなくなる。
【0012】
レーザパワーのみをモニタする方法においては、固体レーザ媒質以外の共振器内に配された光学部品、たとえばQスイッチや非線形光学結晶などが受ける温度条件などにより、それらの部品に起因したレーザパワーの変動も考えられるので、固体レーザ媒質の励起を直接的にモニタする手法に比べ、制御効率が必ずしも高いとは言えない。また、特許文献2や特許文献3に開示された技術は何れも、励起手段自体が正常にバランスしていることを前提としているので、励起手段の経時変化で発生する悪影響、例えばレーザダイオードの特性劣化によるレーザ出力の低減や、熱レンズ効果のアンバランスについての考慮がなされていない。したがって、これらの励起手段の経時変化に対しては、十分に対応することができない。特許文献4に開示された技術では、固体レーザ媒質から離間した位置で、固体レーザ媒質からの蛍光をモニタしているため、隣り合う固体レーザ媒質から漏れた蛍光をもモニタ手段が検出してしまう可能性がある。そのため、マルチロッドよりなる固体レーザ媒質の励起状態をバランスさせることが困難であるし、長時間にわたる安定したレーザ出力を得ることも困難である。
【0013】
本発明は、固体レーザ媒質に供給されるレーザダイオードからの励起光の強さと固体レーザ媒質から出力される蛍光の強さが比例関係にあることを基にして、上記従来の問題を解決し、固体レーザ装置の固体レーザ媒質からレーザ光を常に安定した状態で出力できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、共振器内に配された固体レーザ媒質を側面からレーザダイオードで光励起させる固体レーザ装置を、レーザダイオードによる固体レーザ媒質の光励起面とは反対側の面に近接して配置され、固体レーザ媒質が発する蛍光を検出する蛍光検出手段と、蛍光検出手段の出力に基づいてレーザダイオードに供給する電流を制御して、固体レーザ媒質への励起光を制御する制御手段とを具備する構成とした。このように構成したことにより、常に安定した励起レーザ光を固体レーザ媒質に照射して励起できる。
【0015】
また、固体レーザ媒質を励起する複数のレーザダイオードと、各レーザダイオードに対応する複数の蛍光検出手段とを備えた。このように構成したことにより、固体レーザ装置からのレーザ出力を大きくすることができる。
【0016】
また、直列に配列された複数の固体レーザ媒質と、各固体レーザ媒質を側面から光励起させる複数のレーザダイオードと、各固体レーザ媒質の光励起面とは反対側の面に近接して配置され、各固体レーザ媒質が発する蛍光を個別に検出する複数の蛍光検出手段と、各蛍光検出手段の出力に基づいて各レーザダイオードに供給する電流を制御して、固体レーザ媒質への励起光を夫々独立して制御する制御手段とを備えた。このように構成したことにより、固体レーザ装置からのレーザ出力を大きくすることができる。
【0017】
また、レーザ装置使用初期における固体レーザ媒質の蛍光の強さを記憶する記憶手段と、記憶手段の出力を基準値として、固体レーザ媒質の蛍光の強さを基準値と比較する蛍光比較手段とを備えた。このように構成したことにより、固体レーザ装置からの出力レーザ光の強さを常に一定に維持できる。
【0018】
また、制御手段に、比較手段の出力に応じてレーザダイオードへの電流を制御する手段を設けた。このように構成したことにより、固体レーザ装置の出力レーザ光の強さを、初期状態と同じ状態に維持できる。
【0019】
また、共振器の外側に、共振器からのレーザ光のパワーをモニタするレーザパワーモニタ手段を設け、レーザパワーモニタ手段の検出出力と出力基準値とを比較するパワー比較手段を設け、制御手段に、パワー比較手段の出力に基づいてレーザダイオードに供給する電流を制御する手段を設けた。このように構成したことにより、固体レーザ装置の出力レーザ光の強さを、初期状態と同じ状態に維持できる。
【0020】
また、固体レーザ媒質を実質的に覆うヒートシンクブロックを備え、ヒートシンクブロックに、レーザダイオードからの励起光を固体レーザ媒質に導くスリットを設け、固体レーザ媒質に対してスリットの反対側に蛍光検出手段を配置した。このように構成したことにより、他のレーザダイオードによる励起光に起因する蛍光の干渉を受けることなく、励起のためのレーザダイオードと対応した固体レーザ媒質からのみの蛍光の強さを蛍光検出手段により確実に検出することができる。
【0021】
また、固体レーザ媒質は、断面がD字型のロッドであり、ロッドの曲面に対向する位置にヒートシンクのスリットが形成され、ロッドの平面に対向する位置に蛍光検出手段を配置した。このように構成したことにより、レーザダイオードで効率よく固体レーザ媒質を励起することができるとともに、固体レーザ媒質からの蛍光の強さを確実に検出できる。
【0022】
また、蛍光検出手段は、固体レーザ媒質からの蛍光を選択するバントパスフィルターと、光ガイドと、フォトダイオードとから構成されている。このように構成したことにより、簡単な構成で蛍光の強さをモニタできる。
【0023】
また、固体レーザ媒質は、Nd:YAGまたはNd:YVOまたはNd:GdYVOまたはNd:YLFのロッドである。このように構成したことにより、目的に応じた波長の安定した高出力レーザ光を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、共振器内に複数個の固体レーザ媒質を直列に配し、レーザダイオードで側面から光励起させ、出力レーザ光の強さと出力基準値との差及び固体レーザ媒質からの蛍光の強さと蛍光基準値との差に基づいて、各レーザダイオードに供給する電流を個別に制御し、各固体レーザ媒質への励起レーザ光の強さをそれぞれ独立して制御する固体レーザ装置である。
【0026】
図1は、本発明の第1の実態の形態における固体レーザ装置の概念図である。図1(a)は、レーザダイオード励起による複数の励起モジュールを直列に接続し、固体レーザ媒質から出力された蛍光を検出する蛍光検出手段と、出力レーザ光の強さを検出するレーザパワーモニタ手段とを設けた固体レーザ装置の構成を示す模式側面図である。図1(b)は、図1(a)の固体レーザ媒質から出力された蛍光を検出する蛍光検出手段の拡大図である。図1において、出力ミラー1は、共振用のハーフミラーである。全反射ミラー2は、共振用の全反射ミラーである。固体レーザ媒質3a,3b,3cは、レーザ媒体のNd:YVOであるレーザロッドである。励起モジュール4a,4b,4cは、レーザ光を発生するユニットである。レーザダイオード5a,5b,5cは、波長808nmのレーザ光を発生するレーザダイオードである。光ガイド6a,6b,6cは、光ファイバーあるいはロッドレンズからなる光ガイドである。また、波長1064nmを中心に±5nmの幅を持つ誘電体薄膜によるバンドパスフィルタ50a(図3参照)が各光ガイド6a,6b,6cの前面に配されている。
【0027】
フォトダイオード7a,7b,7cは、固体レーザ媒質から出力された蛍光を検出する蛍光検出手段である。信号処理回路8a,8b,8cは、検出信号の増幅整形などの信号処理をする回路である。レーザ電源13は、レーザダイオードに電流を供給する手段である。比較回路9a,9b,9cは、レーザ装置の出力レーザ光の強さを出力基準値と比較するとともに、レーザダイオードによる固体レーザ媒質から出力された蛍光の強さ(蛍光検出値)を蛍光基準値と比較する回路である。レーザパワーモニタ10は、レーザ装置からの出力レーザ光の強さをモニタする手段である。回路基板20a,20b,20cは、比較回路を支持する基板である。レーザパワー記憶回路22は、レーザ装置の出力基準値、即ちレーザ装置使用初期のレーザパワーを記憶する回路である。電流制御手段24a,24b,24cは、レーザダイオードの電流を制御する手段である。光記憶回路40a,40b,40cは、レーザ装置使用初期における固体レーザ媒質から出力された蛍光の強さ(蛍光基準値)を記憶する回路である。
【0028】
図2は、本発明の第1の実態の形態における固体レーザ装置の断面図である。図1(a)のA−A面で切った断面図である。図2において、ヒートシンクブロック14a,15a,16aは、固体レーザ媒質を冷却する手段である。温度センサー11は、レーザダイオード5aとヒートシンクブロック14aの接点の温度を検出する手段である。温度コントローラUは、検出温度に応じて冷却を制御する手段である。冷却水温調整器Wは、温度コントローラの指示に従って冷却水の温度を調整する手段である。
【0029】
図3は、レーザダイオードの励起光により励起された固体レーザ媒質からの蛍光を検出する手段を模式的に表した略図である。レーザダイオード5aからの励起光は、D字形状の固体レーザ媒質3aの曲面D1に入射する。この曲面D1から入射した励起光は、固体レーザ媒質3aの中を実質的に平行状態で進み、固体レーザ媒質を励起する。このように励起された固体レーザ媒質3aの周囲からは、蛍光FLが発せられる。この蛍光FLは、固体レーザ媒質3aの平面状の後面D2から出射し、光学的なバンドパスフィルタ50aにより、所定の波長の光のみが選択され、光ファイバーあるいはロッドレンズからなる光ガイド6aを介して、フォトダイオード7aに導かれる。図4は、固体レーザ媒質から発せられた蛍光の強さと、レーザダイオードに供給する電流との関係を示したグラフである。
【0030】
上記のように構成された本発明の第1の実態の形態における固体レーザ装置の動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、固体レーザ装置の基本的な機能を説明する。出力ミラー1と全反射ミラー2とで、固体レーザ装置の光共振器Rを構成している。出力ミラー1と全反射ミラー2の間の光軸L上に、励起モジュール4a,4b,4cが直列に配置されている。励起モジュール4a,4b,4cはそれぞれ、固体レーザ媒質3a,3b,3cを備えている。固体レーザ媒質3a,3b,3cは、Nd:YVOからなるレーザ媒質のレーザロッドである。励起モジュール4a,4b,4cは、各固体レーザ媒質3a,3b,3cを光励起する波長808nmのレーザ光を発生するレーザダイオード5a,5b,5cを備えている。レーザダイオード5a,5b,5cにより、固体レーザ媒質3a,3b,3cが励起されると、固体レーザ媒質3a,3b,3cの光軸に沿って、例えば1064nmの波長を有するレーザ光が、共振器より出力される。また、固体レーザ媒質3a,3b,3cの周囲には、レーザダイオードの励起光に応じた強さの蛍光(波長1064nm)が現れる。
【0031】
レーザダイオード5a,5b,5cによる光励起面と反対の面に、固体レーザ媒質から発せられた蛍光FLの強さを検出する蛍光検出手段が配置されている。蛍光検出手段は、レーザダイオードにより励起され、固体レーザ媒質から出力された蛍光の強さを検出するフォトダイオード7a,7b,7cである。フォトダイオード7a,7b,7cの受光面には、光ファイバーあるいはロッドレンズよりなる光ガイド6a,6b,6cが配置されている。光ガイド6a,6b,6cにより、透過した励起レーザ光がフォトダイオード7a,7b,7cに導かれる。図示していないが、フォトダイオード7a,7b,7cの前面には、波長1064nmを中心に±5nmの幅を持つ誘電体薄膜によるバンドパスフィルタ50a(図3参照)が配されている。そのため固体レーザ媒質から出力された蛍光のみが、フォトダイオード7a,7b,7cに入射するようにしてある。
【0032】
全反射ミラー2の近傍で、光共振器外側に位置する光軸L上に、出力レーザ光の強さをモニタする手段として、レーザパワーモニタ10のフォトダイオードが配置されていて、光共振器によって増幅された出力レーザ光の強さをモニタする。各レーザダイオード5a,5b,5cは、電流制御手段を有するレーザ電源13に接続され、電流制御手段の制御のもとで電流駆動される。固体レーザ媒質3a,3b,3cは、レーザ電源13に接続された各レーザダイオード5a,5b,5cにより、固体レーザ媒質3a,3b,3cの側面から励起される。励起により発生した光は、光共振器によって増幅されて発振状態になり、出力ミラー1から出力レーザ光として出力される。
【0033】
次に、出力レーザ光の強さを負帰還制御する方法を説明する。固体レーザ媒質3a,3b,3cから常に高品質のレーザ光を得るためには、固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cに結合された各レーザダイオード5a,5b,5cに流れる電流量を所定の値に保ち、常に固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cの励起を一定にしておく必要がある。そのため、固体レーザ媒質から出力された蛍光の強さを検出する蛍光検出手段であるフォトダイオード7a,7b,7cが、固体レーザ媒質(レーザロッド)の励起面とは反対側の近傍に設置されている。固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cから発せられた蛍光を直接、外乱光の影響がないようにして検出している。このようにすることにより、固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cの励起量が検出される。
【0034】
固体レーザ媒質から出力される蛍光の様子を、図3に示してある。レーザダイオード5aからの励起光は、D字形状の固体レーザ媒質3aの曲面D1に入射する。この曲面D1から入射した励起光は、固体レーザ媒質3aの中を実質的に平行状態で進み、固体レーザ媒質を励起する。このように励起された固体レーザ媒質3aの周囲からは、蛍光FLが発せられる。この蛍光FLは、固体レーザ媒質3aの平面状の後面D2から出る。光学的なバンドパスフィルタ50aにより所定の波長の光のみが選択されて、光ファイバーあるいはロッドレンズからなる光ガイド6aを介して、フォトダイオード7aに導かれる。レーザダイオードの励起光の強さ即ち励起電流の大きさにより、固体レーザ媒質から発せられる蛍光の強さがどれほど変わるかを検証したグラフを、図4に示す。
【0035】
図4(a)は、レーザダイオード5aに15A(アンペア)の電流を流し、固体レーザ媒質3aを励起した場合の蛍光出力のグラフである。この状態では、固体レーザ媒質3aから発せられた1064nmを中心とした蛍光の強さは、376.1pW(ピコワット)であった。図4(b)は、レーザダイオード5aに17.5A(アンペア)の電流を流し、固体レーザ媒質3aを励起した場合である。この状態では、固体レーザ媒質3aから発せられた1064nmを中心とした蛍光の強さは675.2pW(ピコワット)であった。図4(c)は、レーザダイオード5aに20A(アンペア)の電流を流し、固体レーザ媒質3aを励起した場合である。この状態では、固体レーザ媒質3aから発せられた1064nmを中心とした蛍光の強さは954.0pW(ピコワット)であった。このように、レーザダイオードに流れる電流の強さにより、固体レーザ媒質から発せられる蛍光の強さが変化する。
【0036】
固体レーザ媒質から出力される蛍光に比例する信号が、フォトダイオード7a,7b,7cから得られ、図1(b)に示すように、回路基板20a,20b,20c上に形成された信号処理回路8a,8b,8cにより信号処理され、比較回路9a,9b,9cに供給される。工場出荷時あるいはレーザ使用初期において、各固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cから発せられた蛍光の強さを、励起基準値として記憶するための記憶回路40a,40b,40cが、フォトダイオード7a,7b,7cと比較回路9a,9b,9cの間に設けられている。工場出荷時あるいはレーザ使用初期において、各固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cから発せられた蛍光の強さが、記憶回路40a,40b,40cに励起基準値として記憶される。使用状態においては、記憶回路40a,40b,40cからの励起基準値と、信号処理回路8a,8b,8cからの励起検出値が、比較回路9a,9b,9cで比較され、比較結果が電流制御手段24a,24b,24cに供給される。比較結果が一致するように、各レーザダイオード5a,5b,5cの電流が制御され、レーザ電源13から各レーザダイオード5a,5b,5cに必要な電流、即ち常にレーザ装置使用初期の電流と同じ値の電流が供給される。
【0037】
レーザ装置のレーザパワーをモニタし、その結果をレーザダイオードに帰還し、パワーコントロールすることも有用である。そのため、本実施の形態の一例では、固体レーザ装置の初期状態(例えば、工場出荷時点)における出力レーザ光の強さを、レーザパワーモニタ10によって検出し、その検出値を出力基準値としてレーザパワー記憶回路22に記憶しておく。固体レーザ媒質3a,3b,3cから常に一定のレーザパワーを取り出すため、レーザパワー記憶回路22からの出力基準値と、レーザパワーモニタ10からの出力検出値とを、比較回路9a,9b,9cで比較する。比較結果に基づいて、レーザ電源13から各レーザダイオードに流れる電流量を変更する。レーザパワーモニタ10からの出力検出値が出力基準値より小さければ、電流量を少し大きくする。レーザパワーモニタ10からの出力検出値が出力基準値より大きければ、電流量を少し小さくする。更にフォトダイオード7a,7b,7cと信号処理回路から得られた蛍光検出値と蛍光基準値を、比較回路9a,9b,9cで比較し、比較結果を電流制御手段24a,24b,24cに供給する。比較結果が一致するように、各レーザダイオードの電流が制御され、レーザ電源13から各レーザダイオードに必要な電流が供給される。
【0038】
次に、図2を参照しながら、励起モジュールを構成する固体レーザ媒質3a,3b,3cの詳細を説明する。図2には、励起モジュール4aが代表として示されている。固体レーザ媒質3a,3b,3cは、断面がD字型の形状をしている。レーザダイオード5a,5b,5cが対向する面は、断面が円弧状の円筒面部D1である。断面が円弧状の部分が、レーザダイオードの励起レーザ光の入射面となる。入射面である円筒面部D1の反対側は、平面部D2である。固体レーザ媒質3aの表面には、励起光源であるレーザダイオードと対向する部分を除き、銅などからなる反射層Sが形成されている。固体レーザ媒質3a,3b,3cは結晶体であり、具体的にはa軸カットのNd:YVOである。結晶体のc軸方向は、平面部D2と平行である。固体レーザ媒質3a,3b,3cは、レーザダイオードからの励起レーザ光、即ち波長808nmの光を吸収し、所定波長の光を発生又は増幅する。固体レーザ媒質としてNd:YVOを用いたが、他の固体レーザ媒質、例えば、Nd:YAG、Nd:GdYVO、Nd:YLFを用いることもできる。
【0039】
固体レーザ媒質3aを実質的に覆うように、例えば3個のブロックよりなるヒートシンクブロック14a,15a,16aが配されている。さらに、ヒートシンクブロック14aと固体レーザ媒質3aの間には、レーザダイオード5aからの励起レーザ光が、固体レーザ媒質3aに入力されるように、開口部,すなわちスリットが設けられている。また、ヒートシンクブロック15aには、固体レーザ媒質3aの平面部D2と位置合わせさせるための平面形状部12が形成されている。ヒートシンクブロック14a,15a,16aの内部には、冷却水が循環している。そのため、固体レーザ媒質3aとレーザダイオードを、間接冷却することができる。冷却効果を高めるために、固体レーザ媒質3aとの接触部を凹凸がないように十分に研磨して、固体レーザ媒質とヒートシンクブロック14aの密着性を高めている。
【0040】
レーザダイオードからの励起レーザ光の波長は808nmである。出力は40Wである。拡がり角は、全角で40°である。レーザダイオードからの励起レーザ光の出射口から0.5mm離れた固体レーザ媒質3aの円筒面部に、レーザダイオードからの励起レーザ光が入射すると、励起レーザ光の拡がり全角が5°以下に減少する。図3に示すように、励起レーザ光は、ほぼ平行光線となって固体レーザ媒質3aに吸収されながら進む。一度のパス(1.0mm)で吸収されなかった約30%の励起レーザ光は、入射光とほぼ平行になるように反射されるので、固体レーザ媒質3aはさらに強く励起される。
【0041】
図2に示すように、ヒートシンクブロック14aとレーザダイオード5aとの間には、温度センサー11が配置してある。レーザダイオード5aとヒートシンクブロック14aの接点の温度を検出する。温度センサー11の出力は、温度コントローラUに供給される。温度コントローラUの出力で、冷却水温調整器Wを制御する。ヒートシンクブロック14aに供給される冷却水で、レーザダイオードと固体レーザ媒質の温度を一定に保つ。固体レーザ媒質の断面形状をD字型としたが、円筒状またはスラブ状にしてもよい。これらのレーザに対しても、同様に本発明を適用することができる。
【0042】
図1に示すように、レーザダイオード5a,5b,5cからの励起レーザ光は、固体レーザ媒質3a,3b,3cに照射される。固体レーザ媒質3a,3b,3cが励起され、レーザ光を出力する。これら各固体レーザ媒質3a,3b,3cによって誘導放出されたレーザ光は、出力ミラー1と全反射ミラー2で反射され、共振器内で増幅される。レーザ光は、出力ミラー1を透過して出力される。レーザ装置使用初期において、全反射ミラー2から共振器外に漏れた一部のレーザ光をレーザパワーモニタ10のフォトダイオードにより検出して、出力基準値としてレーザパワー記憶回路22に記憶しておく。
【0043】
各固体レーザ媒質(レーザロッド)3a,3b,3cから出力された蛍光が、光ガイド6a,6b,6cを介して、蛍光検出手段としてのフォトダイオード7a,7b,7cにより検出される。フォトダイオード7a,7b,7cの出力は、信号処理回路8a,8b,8cにより増幅され信号処理され、比較回路9a,9b,9cに蛍光検出値として供給される。
【0044】
比較回路9a,9b,9cには、出力レーザ光の強さを示す出力検出値と、レーザパワー記憶回路22からの出力基準値と、信号処理回路8a,8b,8cからの蛍光検出値と、記憶回路40a,40b,40cからの蛍光基準値とが供給される。記憶回路40a,40b,40cからレーザ装置使用初期の蛍光基準値と、信号処理回路8a,8b,8cからレーザ装置使用時の蛍光検出値が、比較回路9a,9b,9cに供給される。レーザ装置使用時の固体レーザ媒質から出力された蛍光の強さに応じた出力信号(蛍光検出値)とレーザ装置使用初期の蛍光基準値が比較され、比較結果に基づいて、レーザダイオードの電流制御手段24a,24b,24cが動作する。
【0045】
蛍光検出値が蛍光基準値に比較して小さくなった状態では、その比較結果に応じて各電流制御手段24a,24b,24cがより多くの電流を各レーザダイオード5a,5b,5cに供給するように動作する。そのため、各各レーザダイオード5a,5b,5cからの励起光が増大し、各固体レーザ媒質の励起が活発化され、各固体レーザ媒質は常にバランスのとれた励起状態となり、結果として出力レーザ光のパワーを常に一定に保つことができる。また、比較回路9a,9b,9cには、出力レーザ光の強さを示す出力検出値とレーザパワー記憶回路22からの出力基準値とが供給されるため、レーザ装置使用時の出力レーザ光の強さ(出力検出値)とレーザ装置使用初期の出力基準値が比較され、比較結果に基づいて、レーザダイオードの電流制御手段24a,24b,24cが動作する。
【0046】
出力検出値が出力基準値に比較して小さくなった状態では、その比較結果に応じて各電流制御手段24a,24b,24cがより多くの電流を各レーザダイオード5a,5b,5cに供給するように動作する。そのため、各各レーザダイオード5a,5b,5cからの励起光が増大し、各固体レーザ媒質の励起が活発化され、各固体レーザ媒質は常にバランスのとれた励起状態となり、結果として出力レーザ光のパワーを常に一定に保つことができる。
【0047】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、蛍光検出値とレーザパワー検出値を、電流制御手段を介してレーザダイオードに帰還することで、二重に帰還をかけているため、より精度の高い安定したレーザ出力を取り出すことが可能となる。また、固体レーザ媒質からの蛍光をレーザダイオードからの励起に対応して検出し、各レーザダイオードに供給する電流を個別に制御し、各固体レーザ媒質への励起レーザ光の強さをそれぞれ独立して制御する構成としたので、常に安定した状態でレーザ光を出力できる。
【0048】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、ロッド形状の固体レーザ媒質の円周方向の3方からレーザダイオードで励起し、励起レーザ光の強さが一致するようにレーザダイオードの電流を制御する固体レーザ装置である。
【0049】
図5は、本発明の第2の実施の形態における固体レーザ装置の断面図である。図5において、固体レーザ媒質30は、レーザ媒体のNd:YVOであるレーザロッドである。固体レーザ媒質として、Nd:YAG、Nd:GdYVO、Nd:YLFを用いることもできる。冷却水31は、冷却用の液体である。フローチューブ32は、冷却水を通すための管である。レーザダイオード支持ブロック33は、レーザダイオードを支持するためのセラミックスなどからなる部材である。レーザダイオード34a,34b,34cは、波長808nmのレーザ光を発生するレーザダイオードである。フォトダイオード35a,35b,35cは、固体レーザ媒質からの蛍光の強さを検出する手段である。開口36a,36b,36cは、レーザダイオードからの励起レーザ光を固体レーザ媒質に入射させる開口部である。開口37a,37b,37cは、固体レーザ媒質から発生した蛍光を出射させる開口部である。光ガイド38a,38b,38cは、固体レーザ媒質から発生した蛍光をフォトダイオードに導く部材である。その他の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0050】
上記のように構成された本発明の第2の実態の形態における固体レーザ装置の動作を説明する。固体レーザ媒質30は、ロッド形状(円柱形状)をしている。その周囲は、冷却水31とフローチューブ32で覆われている。フローチューブ32の外周には、断面が三角形状のセラミックスなどから成るレーザダイオード支持ブロック33が設けられている。レーザダイオード支持ブロック33の3辺それぞれに、固体レーザ媒質30を励起するためのレーザダイオード34a,34b,34cが取り付けられている。三角形の各頂部には、レーザダイオード34a,34b,34cに対応し、固体レーザ媒質30から発生した蛍光を検出するフォトダイオード35a,35b,35cが取り付けられている。
【0051】
各レーザダイオード34a,34b,34cからの励起レーザ光を、固体レーザ媒質30に導くために、レーザダイオード支持ブロック33には、開口36a,36b,36cが設けてある。レーザダイオード34aがフォトダイオード35aと対向するように、レーザダイオード支持ブロック33に開口37aが設けてある。レーザダイオード34bがフォトダイオード35bと対向するように、レーザダイオード支持ブロック33に開口37bが設けてある。レーザダイオード34cがフォトダイオード35cと対向するように、レーザダイオード支持ブロック33に開口37cが設けてある。開口37a,37b,37cには、固体レーザ媒質からの蛍光を各フォトダイオードに導くための光ガイド38a,38b,38cが挿入されている。
【0052】
図5には、図1に示した信号処理回路8a,8b,8cと、レーザ電源13と、比較回路9a,9b,9cと、電流制御手段24a,24b,24cと、記憶回路40a,40b,40cと、電流制御手段の出力をレーザダイオードに供給する帰還ループなどを示してない。しかし、第1の実施の形態と同様に、各固体レーザ媒質からの蛍光の強さは、各フォトダイオードにより検出される。検出出力(蛍光検出値)が蛍光基準値と比較されて、各レーザダイオードに流れる電流が制御されることは、第1の実施の形態と同様である。したがって、本実施の形態においても、各レーザダイオードからの励起レーザ光は、常にバランスをもって固体レーザ媒質に供給される。
【0053】
上記のように、本発明の第2の実施の形態では、固体レーザ装置を、ロッド形状の固体レーザ媒質の円周方向の3方からレーザダイオードで励起し、励起レーザ光の強さが夫々一致するようにレーザダイオードの電流を制御する構成としたので、安定で強力なレーザ光を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、共振器内に配された固体レーザ媒質を側面からレーザダイオードで光励起させる固体レーザ装置を、レーザダイオードによる固体レーザ媒質の光励起面とは反対側の面に近接して配置され、固体レーザ媒質が発する蛍光を検出する蛍光検出手段と、蛍光検出手段の出力に基づいてレーザダイオードに供給する電流を制御して、固体レーザ媒質への励起光を制御する制御手段とを具備する構成としたので、固体レーザ媒質から発せられた蛍光のみを確実に検出でき、その検出結果に基づいて検出固体レーザ媒質への励起レーザ光の入力強さを一定に維持することができ、ひいては熱レンズ効果の影響を初期状態と同じ状態に保つことができて、安定した良質のレーザ出力が得られる。
【0055】
また、レーザ装置使用初期における固体レーザ媒質の蛍光の強さを記憶する記憶手段と、記憶手段の出力を基準値として、固体レーザ媒質の蛍光の強さを基準値と比較する蛍光比較手段とを備えたので、共振器からの出力レーザ光のパワーを常に使用初期の状態に維持することができ、長時間に亘り高出力のレーザ光を得ることができる。
【0056】
また、共振器の外側に、共振器からのレーザ光のパワーをモニタするレーザパワーモニタ手段を設け、レーザパワーモニタ手段の検出出力と出力基準値とを比較するパワー比較手段を設け、制御手段に、パワー比較手段の出力に基づいてレーザダイオードに供給する電流を制御する手段を設けたので、固体レーザ媒質からの出力レーザ光のパワーを常に一定の状態に維持することができ、長時間に亘り高出力のレーザ光を得ることができる。
【0057】
また、直列に配列された複数の固体レーザ媒質と、各固体レーザ媒質を側面から光励起させる複数のレーザダイオードと、各固体レーザ媒質の光励起面とは反対側の面に近接して配置され、各固体レーザ媒質が発する蛍光を個別に検出する複数の蛍光検出手段と、各蛍光検出手段の出力に基づいて各レーザダイオードに供給する電流を制御して、固体レーザ媒質への励起光を夫々独立して制御する制御手段とを備えたので、各レーザダイオードからの励起レーザ光は均等になり、固体レーザ媒質が均一に励起され、各個体レーザ媒質の励起が常にバランスを保った状態に維持されて、高品質でしかも高出力のレーザ出力が得られる。
【0058】
また、固体レーザ媒質を実質的に覆うヒートシンクブロックを備え、ヒートシンクブロックに、レーザダイオードからの励起光を固体レーザ媒質に導くスリットを設け、固体レーザ媒質に対してスリットの反対側に蛍光検出手段を配置したので、蛍光そのものを外部からの光の影響を受けることなく正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における固体レーザ装置の概念図、
【図2】本発明の第1の実施の形態における固体レーザ装置の部分断面図、
【図3】本発明の第1の実施の形態における固体レーザ媒質から発せられる蛍光を検出する方法を示す概略図、
【図4】固体レーザ媒質から発せられた蛍光の強さと、レーザダイオードに供給する電流との関係を示すグラフ、
【図5】本発明の第2の実施の形態における固体レーザ装置の断面図、
【図6】従来の固体レーザ装置の概念図である。
【符号の説明】
1 出力ミラー
2 全反射ミラー
3a,3b,3c 固体レーザ媒質(レーザロッド)
4a,4b,4c 励起モジュール
5a,5b,5c レーザダイオード
6a,6b,6c 光ガイド
7a,7b,7c フォトダイオード
8a,8b,8c 信号処理回路
9a,9b,9c 比較回路
10 レーザパワーモニタ
11 温度センサー
12 平面形状部
13 レーザ電源
14a,14b,14c 第1ヒートシンクブロック
15a,15b,15c 第2ヒートシンクブロック
16a,16b,16c 第3ヒートシンクブロック
20a,20b,20c 回路基板
22 レーザパワー記憶回路
24a,24b,24c 電流制御手段
30 固体レーザ媒質
31 冷却水
32 フローチューブ
33 レーザダイオード支持ブロック
34a,34b,34c レーザダイオード
35a,35b,35c フォトダイオード
36a,36b,36c 開口
37a,37b,37c 開口
38a,38b,38c 光ガイド
40a,40b,40c レーザダイオード励起光記憶回路
R 共振器
U 温度コントローラ
W 冷却水温調整器
50a バンドパスフィルタ

Claims (10)

  1. 共振器内に配された固体レーザ媒質を側面からレーザダイオードで光励起させる固体レーザ装置において、前記レーザダイオードによる前記固体レーザ媒質の光励起面とは反対側の面に近接して配置され、前記固体レーザ媒質が発する蛍光を検出する蛍光検出手段と、前記蛍光検出手段の出力に基づいて前記レーザダイオードに供給する電流を制御して、前記固体レーザ媒質への励起光を制御する制御手段とを具備することを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 前記固体レーザ媒質を励起する複数のレーザダイオードと、前記各レーザダイオードに対応する複数の蛍光検出手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の固体レーザ装置。
  3. 直列に配列された複数の固体レーザ媒質と、前記各固体レーザ媒質を側面から光励起させる複数のレーザダイオードと、前記各固体レーザ媒質の光励起面とは反対側の面に近接して配置され、前記各固体レーザ媒質が発する蛍光を個別に検出する複数の蛍光検出手段と、前記各蛍光検出手段の出力に基づいて前記各レーザダイオードに供給する電流を制御して、前記固体レーザ媒質への励起光を夫々独立して制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の固体レーザ装置。
  4. レーザ装置使用初期における前記固体レーザ媒質の蛍光の強さを記憶する記憶手段と、前記記憶手段の出力を基準値として、前記固体レーザ媒質の蛍光の強さを前記基準値と比較する蛍光比較手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体レーザ装置。
  5. 前記制御手段に、前記比較手段の出力に応じて前記レーザダイオードへの電流を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の固体レーザ装置。
  6. 前記共振器の外側に、前記共振器からのレーザ光のパワーをモニタするレーザパワーモニタ手段を設け、前記レーザパワーモニタ手段の検出出力と出力基準値とを比較するパワー比較手段を設け、前記制御手段に、前記パワー比較手段の出力に基づいて前記レーザダイオードに供給する電流を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項1または3に記載の固体レーザ装置。
  7. 前記固体レーザ媒質を実質的に覆うヒートシンクブロックを備え、前記ヒートシンクブロックに、前記レーザダイオードからの励起光を前記固体レーザ媒質に導くスリットを設け、前記固体レーザ媒質に対して前記スリットの反対側に前記蛍光検出手段を配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体レーザ装置。
  8. 前記固体レーザ媒質は、断面がD字型のロッドであり、前記ロッドの曲面に対向する位置に前記ヒートシンクのスリットが形成され、前記ロッドの平面に対向する位置に前記蛍光検出手段を配置したことを特徴とする請求項7に記載の固体レーザ装置。
  9. 前記蛍光検出手段は、前記固体レーザ媒質からの蛍光を選択するバンドパスフィルターと、光ガイドと、フォトダイオードとから構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固体レーザ装置。
  10. 前記固体レーザ媒質は、Nd:YAGまたはNd:YVOまたはNd:GdYVOまたはNd:YLFのロッドであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の固体レーザ装置。
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