JP2004288686A - サブアセンブリ,光モジュールおよびその実装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光モジュールの小型化を図ることが可能なサブアセンブリ,小型化された光モジュール,およびその実装方法を提供すること。
【解決手段】サブアセンブリ1は,支持基板10上に実装されたレーザダイオード20と,レーザダイオード20と光ファイバ70を光結合させるレンズ素子30と,アイソレータ素子40とを有する。レンズ素子30は,光学基板の表面に形成されたレンズ部32と,実装時にV溝16に接する形状を有する適合部36を有する。光モジュール3において,サブアセンブリ1は,パッケージを構成する台座部であるヘッダ54に搭載され,その両側にアイソレータ素子40に磁界を印加するための磁石46a,46bが搭載される。
【選択図】 図4
【解決手段】サブアセンブリ1は,支持基板10上に実装されたレーザダイオード20と,レーザダイオード20と光ファイバ70を光結合させるレンズ素子30と,アイソレータ素子40とを有する。レンズ素子30は,光学基板の表面に形成されたレンズ部32と,実装時にV溝16に接する形状を有する適合部36を有する。光モジュール3において,サブアセンブリ1は,パッケージを構成する台座部であるヘッダ54に搭載され,その両側にアイソレータ素子40に磁界を印加するための磁石46a,46bが搭載される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,光通信機器に適用するのに好適な光学素子等が基板上に実装されたサブアセンブリ,このサブアセンブリを含む光モジュール,およびその実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光モジュールは一般に,サブアセンブリ用の基板にレーザダイオードを搭載し,光結合用のレンズ,光ファイバと共にパッケージに実装されて構成されている。光軸の調整は,調芯器を用いて光出力をモニタしながら調芯を行う。サブアセンブリ用の基板の材料としては,窒化アルミ,アルミナ,炭化珪素,シリコン等が用いられる。従来知られている同軸型の光モジュールとしては,can型,ピグテイル型(例えば,特許文献1参照。),レセプタクル型等がある。
【0003】
最近では,レーザダイオードへ戻り光が入射することを防止するため,アイソレータ付きの光モジュールが用いられている。アイソレータとしては例えば,ファラデー回転子とその両側に配置された偏光子からなる素子で主に構成され,場合によってはさらにそれらの周囲に,ファラデー回転子に磁界を印加するための磁石が配置される。アイソレータ付きの光モジュールでは一般に,アイソレータを小型化するために,光束径の小さな光ファイバ端側にアイソレータを配置した構成をとることが多い(例えば,特許文献2参照。)。アイソレータの小型化は,光モジュールの低コスト化に大きく貢献できるだけでなく,光モジュールの小型化という点でも有効である。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−343709号公報
【特許文献2】
米国特許5,841,922号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記のような従来の光モジュールでは一般に,ボールレンズ等の外径サイズの大きなレンズをキャップ等の保持部材を用いて実装しているため,レーザダイオードから光ファイバまでの距離を短くすることが困難であった。レンズ材質に高屈折率のものを用いた場合でも,その距離は最短で約5mmであり,さらなる短縮化は非常に難しく,小型化の限界にほぼ近づいていた。
【0006】
また,従来の構成のアイソレータを含む光モジュールでは,偏光子やファラデー回転子はある程度小型化を進めることができても,その周囲に配置される磁石が小型化の限界の要因となっていた。
【0007】
本発明は,このような問題に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,光モジュールの小型化を図ることが可能なサブアセンブリ,小型化された光モジュール,およびその実装方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,部材配置用の溝を有する支持基板と,この支持基板に実装され,光学基板の表面に形成されたレンズ部と,実装時に支持基板の前記溝に接する形状を有する適合部と,を有するレンズ素子と,支持基板に実装され,アイソレータ機能を有するアイソレータ素子と,を具備することを特徴とするサブアセンブリが提供される。
【0009】
かかる構成のサブアセンブリでは,従来使用していたボールレンズとは異なり,レンズ部が表面に形成されたレンズ素子を用いている。このレンズ素子は適合部を有するため,レンズ素子の実装時は支持基板の溝に載置するだけで高精度に実装でき,従来使用されていたキャップ等の部材が不要になる。よって,レンズ素子周辺を省スペース化できるので,レーザダイオードから光ファイバまでの距離を短縮でき,アイソレータ素子を含んで小型化されたサブアセンブリを容易に実現できる。
【0010】
また,本発明の第2の観点によれば,上記サブアセンブリと,台座部を有するパッケージ部品と,を具備し,上記サブアセンブリは台座部に配置されていることを特徴とする光モジュールが提供される。
【0011】
かかる構成によれば,上記記載のサブアセンブリはアイソレータ素子を含んで小型化された構成を有するため,アイソレータ素子を含んで小型化された光モジュールを提供できる。
【0012】
また,本発明の第3の観点によれば,上記サブアセンブリと,上記サブアセンブリが配置される台座部を有するパッケージと,光ファイバと,上記レンズ素子を介して光ファイバと光学的に結合する光学素子と,を具備することを特徴とする光モジュールが提供される。光学素子は例えば発光素子または受光素子を用いることができる。
【0013】
かかる構成によれば,上記記載のサブアセンブリはアイソレータ素子を含んで小型化された構成を有するため,アイソレータ素子,光ファイバを含んで小型化された光モジュールを提供できる。
【0014】
その際に,アイソレータ素子に磁界を印加する磁界印加手段をさらに具備し,磁界印加手段は台座部に配置されるように構成してもよい。
【0015】
かかる構成によれば,アイソレータ素子がファラデー回転子を含んで構成されている場合には,磁界印加手段により,ファラデー回転子の磁性を制御し安定性を向上させることができる。また,台座部に磁界印加手段を配置することによりコンパクトに構成でき,小型化を進めることができる。
【0016】
また,本発明の第4の観点によれば,上記サブアセンブリと,サブアセンブリが配置される台座部を含むパッケージ部品と,を具備する光モジュールの実装方法が提供される。この実装方法は,台座部にサブアセンブリを配置する工程と,台座部にアイソレータ素子に磁界を印加する磁界印加手段を配置する工程と,を含むことを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば,台座部に磁界印加手段を配置することにより,コンパクトに構成でき,小型化を進めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
図1(a)は,本発明の実施の形態にかかるサブアセンブリ1の構成を示す斜視図であり,図1(b)はサブアセンブリ1の分解斜視図である。サブアセンブリ1は,支持基板10と,レーザダイオード20と,レンズ素子30と,アイソレータ素子40とを有する。レーザダイオード20,レンズ素子30,アイソレータ素子40は,この順に所定の間隔をもって支持基板10上に実装されている。
【0020】
支持基板10は,シリコン結晶基板からなる。図1(b)に示すように,支持基板10は,段差が設けられた2段構造を有し,かつ部材配置用のV溝16が形成されている。以下,上段部の上面を上段面12,下段部の上面を下段面14と呼ぶ。V溝16は,上段面12の段差側の一端から途中までに形成されている。段差は例えばダイシングにより形成可能であり,V溝16は例えば異方性エッチングにより形成可能である。
【0021】
図1(a)に示すように,レンズ素子30はV溝16に載置され,レーザダイオード20は上段面12のV溝16の延長上のV溝16が形成されていない部分に載置され,アイソレータ素子40は下段面14に載置されて,それぞれ実装される。
【0022】
レンズ素子30は光学素子であり,光学基板からなり,ここではシリコン結晶基板からなる。レンズ素子30は,光学基板の表面に形成されたレンズ部32と,実装時にV溝16に接する形状を有する適合部36と,取扱時の保持を容易にするための取扱部34とを主に有する。
【0023】
レンズ部32は,光学基板の片面の表面に形成された回折光学素子からなる。レンズ部32は,ここでは円形形状をしており,その直径は例えば50〜125μmとすることができる。レンズ部32は半導体製造プロセスで用いられるフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成される。以下,レンズ素子30において,レンズ部32が形成されている側の面をレンズ形成面と呼ぶ。ここでは,レンズ形成面に垂直な方向が光軸方向となるように構成されている。
【0024】
レンズ部32の下部側にはレンズ部32の外周の一部としての縁部33が位置し,レンズ部32の円周形状に沿った円弧形状を有する。この縁部33の円弧形状を呈する外形はレンズ形成面側からその対向面側まで延びており,レンズ部32の光軸を中心軸とする略円柱形状の一部である略蒲鉾形の形状となっている。取扱部34の中間位置から下方に張り出すこの略蒲鉾形の部分を適合部36と呼ぶ。適合部36のこの形状は,V溝16に適合部36が接した状態でレンズ素子30が支持基板10に実装されるよう,V溝16に適合する形状となっている。適合部36がV溝16に当接するようにレンズ素子30を載置するだけで,上段面12に垂直な方向の位置決めが行われるよう構成されている。なお,ここでは縁部33はレンズ部32を囲むように設けられているが,レンズ部32の外周が縁部33を構成するようになっていてもよい。
【0025】
取扱部34は,レンズ部32の周辺の上部側を取り巻くように延設され,レンズ部32表面に略平行な面内でレンズ部32より広い幅を有し,左右方向に伸長した全体として略直方体形状を有する。取扱部34は,レンズ部32,縁部33,適合部36と一体的に形成されている。取扱部34の上面および側面の表面は平坦に形成されている。これらの面を平坦面とすることにより,上方あるいは側方から保持手段によりレンズ素子30を保持することが容易になる。保持手段としては例えば,挟持手段や吸引保持する負圧吸盤のような負圧保持手段が考えられる。
【0026】
取扱部34の上面にはレンズ形成面を判別するための溝37が形成されている。溝37は略長方形形状の断面形状を有し,レンズ形成面に略垂直な方向に伸長し,取扱部34の中央ではなく一側に位置している。したがって,取扱部34はレンズ部32の中心を含み上面に垂直な仮想平面に対し左右非対称な構成となる。この非対称性のために,レンズ素子30はレンズ形成面とその対向面とを識別することが容易になる。なお,ここでは,レンズ形成面を判別するための溝として,略長方形形状の断面形状を有する1つの溝37を設けているが,非対称性が得られるのであれば溝の数や形状はこれに限定されない。
【0027】
さらに取扱部34では,上面に対向する下側の面であり,適合部36の両側に位置する下面に,位置決め用の溝38a,38bが形成されている。溝38a,38bは,略長方形形状の断面形状を有するレンズ形成面に略垂直な方向に伸長し,それぞれがレンズ部32の両側に位置している。下面は,レンズ素子30を支持基板10に実装したとき,支持基板10と近接する面であり,溝38a,38bは,レンズ素子30を支持基板10に実装する際に,V溝16の伸長方向に平行な方向の位置合わせに用いられる。なお,位置決め用の溝の数や形状は上記例に限定されない。
【0028】
レンズ素子30を適用する光学系の光源の波長が1.3μmまたは1.55μmである場合には,レンズ素子30の材質となる基板として,シリコン結晶基板が好適である。レンズ素子30は半導体製造技術で用いられるフォトリソグラフィとエッチング技術を用いて作製することができる。例えば,シリコン基板にフォトリソグラフィとエッチングを繰り返すことにより回折光学素子からなるレンズ部32を作製した後,レンズ素子30に対応する形状のパターンをフォトマスクパターンとして用いてDeep Etching手法を用いて任意の深さまで掘り下げることによりレンズ素子30を作製できる。
【0029】
レンズ素子30の光軸方向の厚さは例えば100μmとすることができ,レンズ素子30とレーザダイオード20の間の距離は例えば80μmとすることができる。また,レンズ素子30の取扱部34の長軸方向の長さは例えば250〜500μmとすることができる。このように,レンズ素子30は,回折光学素子からなるレンズ部を有する構成のため,従来の光モジュールで使用されていたレンズに比べ,小サイズ化されている。また,光結合されるレーザーダイオード,レンズ素子,光ファイバ間の光軸方向の距離を大幅に短縮でき,これらの間を伝搬する光束の径も小さく維持できる。
【0030】
レーザダイオード20は発光素子であり,その出射光がレンズ素子30のレンズ部32に入射するように配置されている。
【0031】
アイソレータ素子40は,偏光子42a,42bとそれらの間に配置されたファラデー回転子44とからなる。アイソレータ素子40は,所定方向に進行する光は透過させ,その反対方向に進行する光を遮るアイソレータ機能を有する。このアイソレータ機能により,戻り光がレーザダイオード20に入射するのを防ぐ。また,アイソレータ素子40は,光軸方向に対し微小な傾き角を持つように配置されており,これによりレーザダイオード20を出射してアイソレータ素子40の面で反射した戻り光がレーザダイオード20に入射するのを防ぐ。
【0032】
図1(a)に示すように,上記構成を有するサブアセンブリ1は,アイソレータ素子40を含み,かつ非常にコンパクトに構成されている。本実施の形態においては,サブアセンブリ1全体の光軸方向の長さは約1mm未満となっている。
【0033】
次に,サブアセンブリ1を用いて構成される光モジュールについて説明する。図2は,サブアセンブリ1を用いて構成される光モジュール2の構成を示す上面図である。図3(a)は光モジュール2の分解斜視図,図3(b)は光モジュール2の斜視図である。なお,図2,図3(a),図3(b)では,レンズ素子30が有する溝等の細部は省略して図示している。
【0034】
光モジュール2は,サブアセンブリ1と,2つの磁石46a,46bと,パッケージ部品と,フォトダイオード60を有する。光モジュール2におけるパッケージ部品は,サブアセンブリ1が配置される台座部であるヘッダ54と,略円盤形状の基体56と,電極端子58とを含む。これらのパッケージ部品は,同軸型パッケージに適応可能である。ヘッダ54は基体56の一面に固定されている。電極端子58は基体56を貫通して固定され,基体56の他面側に伸長している。
【0035】
ヘッダ54上には,サブアセンブリ1および磁石46a,46bが配置されて固定されている。磁石46a,46bは,アイソレータ素子40のファラデー回転子44に磁界を印加する磁界印加手段であり,アイソレータ素子40の両側に配置されている。
【0036】
フォトダイオード60は受光素子であり,レーザダイオード20の後端面からの光をモニタできるよう,ヘッダ54より上方の基体56の表面に固定されている。なお,レーザダイオード20およびフォトダイオード60は電極端子58と電気的に接続されている。
【0037】
上述のように,光モジュール2では,ヘッダ54上に,レーザダイオード20,レンズ素子30,アイソレータ素子40,磁石46a,46b全ての部材が非常にコンパクトに配置されている。
【0038】
図4は,サブアセンブリ1を用いて構成される光モジュール3の構成を示す部分切開図である。なお,図4では,レンズ素子30が有する溝37は省略して図示している。光モジュール3は,前述の光モジュール2に,円筒形状の円筒部52と,光ファイバ70と,フェルール72とをさらに加えた構成を有する。以下,光モジュール2と同様の構成については一部説明を省略する。
【0039】
光モジュール3は,サブアセンブリ1と,2つの磁石46a,46bと,パッケージと,光ファイバ70と,フェルール72と,フォトダイオード60を有する。光モジュール3におけるパッケージは,円筒部52と,サブアセンブリ1が配置される台座部であるヘッダ54と,基体56と,電極端子58とを含み,同軸型パッケージである。円筒部52は金属製であり,例えばステンレスを材質とする。
【0040】
円筒部52はその一端が基体56に固着されている。円筒部52の内部には,光ファイバ70およびその周囲のフェルール72が挿入固定されており,円筒部52と,光ファイバ70と,フェルール72とは一体構造になっている。空洞部74は空洞であり,コネクタが挿入される部分である。
【0041】
光モジュール3において,レーザダイオード20からレンズ素子30に向かって出射した発散光はレンズ素子30により集光されて,アイソレータ40を経由した後,光ファイバ70に入射する。レーザダイオード20はレンズ素子30を介して光ファイバ70と光学的に結合するよう構成されている。
【0042】
以下に,サブアセンブリ1および光モジュール3の作製方法の一例を説明する。まず,支持基板10上部からマーカーを用いて高精度に位置決めして,レーザーダイオード20を支持基板10の上段面12に配置し,ハンダ等で接合する。次に,溝37を用いてレンズ素子30のレンズ形成面を判別した後,レンズ素子30を適合部36がV溝16に当接するよう配置する。これによって上段面12に垂直な方向の位置決めが行われる。光軸方向の位置に関しては,位置決め用の溝38a,38bと,支持基板にあらかじめ設けられたマーカー(不図示)を用いて位置決めして配置する。レンズ素子30の配置の際には,平坦面である上面または側面を適当な保持手段により保持して行うことができる。適切な位置にレンズ素子30が配置されたことが確認されたら,レンズ素子30をV溝16に接合する。接合用の接着剤としては,熱硬化性樹脂,UV(紫外線)硬化型樹脂,ハンダ等を用いることができる。次に,下段面14にアイソレータ素子40を配置して,樹脂等により接着固定する。以上の動作により,サブアセンブリ1が作製される。
【0043】
光モジュール3を作製する場合はさらに,サブアセンブリ1をヘッダ54に配置し,熱硬化性樹脂やハンダ等により固定する。次に,磁石46a,46bをヘッダ54に配置して固定する。そして,レーザダイオード20の配線をワイヤボンディングして電気的に接続する。その後,光ファイバ70およびフェルール72と一体化された円筒部52を装着し,レーザダイオード20を発光させて,光ファイバ70から出射される光をモニタしながら,光ファイバ70を調芯し,調芯完了後,固定する。以上の動作により,光モジュール3が作製される。
【0044】
以上述べたように,光モジュール3では,パッケージのヘッダ54上にレーザダイオード20だけでなく,レンズ素子30,アイソレータ素子40および磁石46a,46bが配置された非常にコンパクトな構成を有する。前述のように,サブアセンブリ1の光軸方向の長さは約1mm未満である。よって,基体56表面から光ファイバ70端までの距離L1が約1mmと非常に短くなり,また,基体56の外径D1も約3mmになるよう構成でき,非常に小型化が進んだ光モジュールを実現している。また,上記光モジュール3を製作して測定を行ったところ,結合効率が50%で光ファイバ70から光出力されることが確認された。
【0045】
図5(a),図5(b)は,比較のために,従来の光モジュールを示した図であり,図5(a)はアイソレータを含む従来の光モジュール4の部分切開図であり,図5(b)はアイソレータを含まない従来の光モジュール5の部分切開図である。
【0046】
図5(a)に示す光モジュール4は,光ファイバ70端側にアイソレータ440が配置され,その両側に磁石446a,446bが配置された構成を有する。光モジュール4において,基体456の一面に固定されたヘッダ454上にレーザダイオード20が配置され,その周囲にはヘッダ454を囲むようにレンズ430を保持するためのキャップ410が設けられている。また,円筒形状のパッケージ部材である円筒部452は,その一端がキャップ410と接合されており,円筒部452内部には光ファイバ70およびフェルール472が挿入固定されている。
【0047】
図5(a)からわかるように,光モジュール4は本実施の形態のレンズ素子30より大きなレンズ430を有し,その周囲にキャップ410が配置されているため,レーザダイオード20から光ファイバ70までの距離が,本実施の形態の光モジュール3に比べ非常に長くなっている。光モジュール4では,基体456表面から光ファイバ70端までの距離L2が約5mmとなり,基体456の外径D2は約5mmである。
【0048】
図5(b)に示す光モジュール5は,アイソレータを有しない構成をとり,大径のボールレンズ530を用いてレーザダイオード20と光ファイバ70の結合を行っている。光モジュール5において,基体556の一面に固定されたヘッダ554上にレーザダイオード20が配置され,その周囲にはヘッダ554を囲むようにボールレンズ530を保持するためのキャップ510が設けられている。また,円筒形状のパッケージ部材である円筒部552は,その一端がキャップ510と接合されており,円筒部552内部には光ファイバ70およびフェルール572が挿入固定されている。
【0049】
図5(b)からわかるように,光モジュール5は大径のボールレンズ530を用いているため,レーザダイオード20とボールレンズ530間の距離を長くとる必要があり,また,ボールレンズ530を保持するキャップ510も大きな部材となり,小型化を阻んでいる。光モジュール5では,基体556表面から光ファイバ70端までの距離L3が5mm以上になり,基体56の外径D3は約5mmである。
【0050】
以上説明したように,本実施の形態によれば,上記構成のレンズ素子を用いて光結合を行うことにより,光結合されるレーザーダイオード,レンズ素子,光ファイバ間の光軸方向の距離を大幅に短縮できる。前述のように,従来の光モジュールでは光軸方向の距離が約5mmであるところ,本実施の形態では,約1mmにまで短縮でき,約4mmもの縮小を達成できる。
【0051】
また,従来に比べレンズ素子をレーザダイオードに近接配置できるため,光束径が小さくなり,光ファイバ端側にアイソレータ素子を配置する構成を採用しなくても小サイズのアイソレータ素子を使用可能である。これにより,パッケージのヘッダ上にアイソレータ素子を搭載でき,さらに磁石もヘッダに搭載することができる。前述のように,従来の光モジュールでは基体の外径が約5mmであるところ,本実施の形態では,約3mmである。よって,本実施の形態の光モジュールでは,ヘッダ上にアイソレータ素子および磁石を搭載するという新規な構成を採用しつつ,小型化も実現されているといえる。
【0052】
またさらに,本実施の形態によれば,小サイズのアイソレータ素子を利用可能であり,キャップ等のレンズ保持用の部材も不要なため,コストを抑えることができる。
【0053】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
なお,上記例において,光モジュールとして,同軸型を例にとり説明しているが,これに限定するものではなく,パッケージの外形が略直方体形状のいわゆるバタフライ型の光モジュールにも適用可能である。また,上記例では,光ファイバとレーザダイオードの結合を例にとり説明しているが,レーザダイオードの代わりにフォトダイオード等の受光素子を用いることも考えられる。
【0055】
また,レンズ素子,レンズ部,取扱部,適合部等の形状は上記例に限定されず,様々な形状が考えられる。上記例では,レンズ部は光学基板の片面に形成されているが,両面にレンズ部を有するようにしてもよい。また,サブアセンブリに含まれるレンズ素子の数は必ずしも1つに限定されない。レンズ素子を構成する光学基板の材質には,上記例のシリコン以外にも,GaAs,InP,GaP,SiC,Ge等を用いてもよい。支持基板は,ここではシリコン結晶基板からなるが,例えばセラミックス基板を用いてもよい。支持基板およびレンズ素子に形成される溝の断面形状は,上記例に限定されず,略V字形状,略台形形状,略半円形状,略長方形形状,略正方形形状のいずれか1つであるよう構成してもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上,詳細に説明したように本発明によれば,光モジュールの小型化を図ることが可能なサブアセンブリ,従来に比べ小型化が促進された光モジュール,およびその実装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は,本発明の実施の形態にかかるサブアセンブリの斜視図であり,図1(b)は同サブアセンブリの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる光モジュールの上面図である。
【図3】図3(a)は図2の光モジュールの分解斜視図であり,図3(b)は同光モジュールの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる光モジュールの部分切開図である。
【図5】図5(a)はアイソレータを含む従来の光モジュールの部分切開図であり,図5(b)はアイソレータを含まない従来の光モジュールの部分切開図である。
【符号の説明】
1 サブアセンブリ
2,3 光モジュール
10 支持基板
12 上段面
14 下段面
16 V溝
20 レーザダイオード
30 レンズ素子
32 レンズ部
33 縁部
34 取扱部
36 適合部
37,38a,38b 溝
40 アイソレータ素子
42a,42b 偏光子
44 ファラデー回転子
46a,46b 磁石
52 円筒部
54 ヘッダ
56 基体
58 電極端子
60 フォトダイオード
70 光ファイバ
72 フェルール
74 空洞部
【発明の属する技術分野】
本発明は,光通信機器に適用するのに好適な光学素子等が基板上に実装されたサブアセンブリ,このサブアセンブリを含む光モジュール,およびその実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光モジュールは一般に,サブアセンブリ用の基板にレーザダイオードを搭載し,光結合用のレンズ,光ファイバと共にパッケージに実装されて構成されている。光軸の調整は,調芯器を用いて光出力をモニタしながら調芯を行う。サブアセンブリ用の基板の材料としては,窒化アルミ,アルミナ,炭化珪素,シリコン等が用いられる。従来知られている同軸型の光モジュールとしては,can型,ピグテイル型(例えば,特許文献1参照。),レセプタクル型等がある。
【0003】
最近では,レーザダイオードへ戻り光が入射することを防止するため,アイソレータ付きの光モジュールが用いられている。アイソレータとしては例えば,ファラデー回転子とその両側に配置された偏光子からなる素子で主に構成され,場合によってはさらにそれらの周囲に,ファラデー回転子に磁界を印加するための磁石が配置される。アイソレータ付きの光モジュールでは一般に,アイソレータを小型化するために,光束径の小さな光ファイバ端側にアイソレータを配置した構成をとることが多い(例えば,特許文献2参照。)。アイソレータの小型化は,光モジュールの低コスト化に大きく貢献できるだけでなく,光モジュールの小型化という点でも有効である。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−343709号公報
【特許文献2】
米国特許5,841,922号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記のような従来の光モジュールでは一般に,ボールレンズ等の外径サイズの大きなレンズをキャップ等の保持部材を用いて実装しているため,レーザダイオードから光ファイバまでの距離を短くすることが困難であった。レンズ材質に高屈折率のものを用いた場合でも,その距離は最短で約5mmであり,さらなる短縮化は非常に難しく,小型化の限界にほぼ近づいていた。
【0006】
また,従来の構成のアイソレータを含む光モジュールでは,偏光子やファラデー回転子はある程度小型化を進めることができても,その周囲に配置される磁石が小型化の限界の要因となっていた。
【0007】
本発明は,このような問題に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,光モジュールの小型化を図ることが可能なサブアセンブリ,小型化された光モジュール,およびその実装方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,部材配置用の溝を有する支持基板と,この支持基板に実装され,光学基板の表面に形成されたレンズ部と,実装時に支持基板の前記溝に接する形状を有する適合部と,を有するレンズ素子と,支持基板に実装され,アイソレータ機能を有するアイソレータ素子と,を具備することを特徴とするサブアセンブリが提供される。
【0009】
かかる構成のサブアセンブリでは,従来使用していたボールレンズとは異なり,レンズ部が表面に形成されたレンズ素子を用いている。このレンズ素子は適合部を有するため,レンズ素子の実装時は支持基板の溝に載置するだけで高精度に実装でき,従来使用されていたキャップ等の部材が不要になる。よって,レンズ素子周辺を省スペース化できるので,レーザダイオードから光ファイバまでの距離を短縮でき,アイソレータ素子を含んで小型化されたサブアセンブリを容易に実現できる。
【0010】
また,本発明の第2の観点によれば,上記サブアセンブリと,台座部を有するパッケージ部品と,を具備し,上記サブアセンブリは台座部に配置されていることを特徴とする光モジュールが提供される。
【0011】
かかる構成によれば,上記記載のサブアセンブリはアイソレータ素子を含んで小型化された構成を有するため,アイソレータ素子を含んで小型化された光モジュールを提供できる。
【0012】
また,本発明の第3の観点によれば,上記サブアセンブリと,上記サブアセンブリが配置される台座部を有するパッケージと,光ファイバと,上記レンズ素子を介して光ファイバと光学的に結合する光学素子と,を具備することを特徴とする光モジュールが提供される。光学素子は例えば発光素子または受光素子を用いることができる。
【0013】
かかる構成によれば,上記記載のサブアセンブリはアイソレータ素子を含んで小型化された構成を有するため,アイソレータ素子,光ファイバを含んで小型化された光モジュールを提供できる。
【0014】
その際に,アイソレータ素子に磁界を印加する磁界印加手段をさらに具備し,磁界印加手段は台座部に配置されるように構成してもよい。
【0015】
かかる構成によれば,アイソレータ素子がファラデー回転子を含んで構成されている場合には,磁界印加手段により,ファラデー回転子の磁性を制御し安定性を向上させることができる。また,台座部に磁界印加手段を配置することによりコンパクトに構成でき,小型化を進めることができる。
【0016】
また,本発明の第4の観点によれば,上記サブアセンブリと,サブアセンブリが配置される台座部を含むパッケージ部品と,を具備する光モジュールの実装方法が提供される。この実装方法は,台座部にサブアセンブリを配置する工程と,台座部にアイソレータ素子に磁界を印加する磁界印加手段を配置する工程と,を含むことを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば,台座部に磁界印加手段を配置することにより,コンパクトに構成でき,小型化を進めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
図1(a)は,本発明の実施の形態にかかるサブアセンブリ1の構成を示す斜視図であり,図1(b)はサブアセンブリ1の分解斜視図である。サブアセンブリ1は,支持基板10と,レーザダイオード20と,レンズ素子30と,アイソレータ素子40とを有する。レーザダイオード20,レンズ素子30,アイソレータ素子40は,この順に所定の間隔をもって支持基板10上に実装されている。
【0020】
支持基板10は,シリコン結晶基板からなる。図1(b)に示すように,支持基板10は,段差が設けられた2段構造を有し,かつ部材配置用のV溝16が形成されている。以下,上段部の上面を上段面12,下段部の上面を下段面14と呼ぶ。V溝16は,上段面12の段差側の一端から途中までに形成されている。段差は例えばダイシングにより形成可能であり,V溝16は例えば異方性エッチングにより形成可能である。
【0021】
図1(a)に示すように,レンズ素子30はV溝16に載置され,レーザダイオード20は上段面12のV溝16の延長上のV溝16が形成されていない部分に載置され,アイソレータ素子40は下段面14に載置されて,それぞれ実装される。
【0022】
レンズ素子30は光学素子であり,光学基板からなり,ここではシリコン結晶基板からなる。レンズ素子30は,光学基板の表面に形成されたレンズ部32と,実装時にV溝16に接する形状を有する適合部36と,取扱時の保持を容易にするための取扱部34とを主に有する。
【0023】
レンズ部32は,光学基板の片面の表面に形成された回折光学素子からなる。レンズ部32は,ここでは円形形状をしており,その直径は例えば50〜125μmとすることができる。レンズ部32は半導体製造プロセスで用いられるフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成される。以下,レンズ素子30において,レンズ部32が形成されている側の面をレンズ形成面と呼ぶ。ここでは,レンズ形成面に垂直な方向が光軸方向となるように構成されている。
【0024】
レンズ部32の下部側にはレンズ部32の外周の一部としての縁部33が位置し,レンズ部32の円周形状に沿った円弧形状を有する。この縁部33の円弧形状を呈する外形はレンズ形成面側からその対向面側まで延びており,レンズ部32の光軸を中心軸とする略円柱形状の一部である略蒲鉾形の形状となっている。取扱部34の中間位置から下方に張り出すこの略蒲鉾形の部分を適合部36と呼ぶ。適合部36のこの形状は,V溝16に適合部36が接した状態でレンズ素子30が支持基板10に実装されるよう,V溝16に適合する形状となっている。適合部36がV溝16に当接するようにレンズ素子30を載置するだけで,上段面12に垂直な方向の位置決めが行われるよう構成されている。なお,ここでは縁部33はレンズ部32を囲むように設けられているが,レンズ部32の外周が縁部33を構成するようになっていてもよい。
【0025】
取扱部34は,レンズ部32の周辺の上部側を取り巻くように延設され,レンズ部32表面に略平行な面内でレンズ部32より広い幅を有し,左右方向に伸長した全体として略直方体形状を有する。取扱部34は,レンズ部32,縁部33,適合部36と一体的に形成されている。取扱部34の上面および側面の表面は平坦に形成されている。これらの面を平坦面とすることにより,上方あるいは側方から保持手段によりレンズ素子30を保持することが容易になる。保持手段としては例えば,挟持手段や吸引保持する負圧吸盤のような負圧保持手段が考えられる。
【0026】
取扱部34の上面にはレンズ形成面を判別するための溝37が形成されている。溝37は略長方形形状の断面形状を有し,レンズ形成面に略垂直な方向に伸長し,取扱部34の中央ではなく一側に位置している。したがって,取扱部34はレンズ部32の中心を含み上面に垂直な仮想平面に対し左右非対称な構成となる。この非対称性のために,レンズ素子30はレンズ形成面とその対向面とを識別することが容易になる。なお,ここでは,レンズ形成面を判別するための溝として,略長方形形状の断面形状を有する1つの溝37を設けているが,非対称性が得られるのであれば溝の数や形状はこれに限定されない。
【0027】
さらに取扱部34では,上面に対向する下側の面であり,適合部36の両側に位置する下面に,位置決め用の溝38a,38bが形成されている。溝38a,38bは,略長方形形状の断面形状を有するレンズ形成面に略垂直な方向に伸長し,それぞれがレンズ部32の両側に位置している。下面は,レンズ素子30を支持基板10に実装したとき,支持基板10と近接する面であり,溝38a,38bは,レンズ素子30を支持基板10に実装する際に,V溝16の伸長方向に平行な方向の位置合わせに用いられる。なお,位置決め用の溝の数や形状は上記例に限定されない。
【0028】
レンズ素子30を適用する光学系の光源の波長が1.3μmまたは1.55μmである場合には,レンズ素子30の材質となる基板として,シリコン結晶基板が好適である。レンズ素子30は半導体製造技術で用いられるフォトリソグラフィとエッチング技術を用いて作製することができる。例えば,シリコン基板にフォトリソグラフィとエッチングを繰り返すことにより回折光学素子からなるレンズ部32を作製した後,レンズ素子30に対応する形状のパターンをフォトマスクパターンとして用いてDeep Etching手法を用いて任意の深さまで掘り下げることによりレンズ素子30を作製できる。
【0029】
レンズ素子30の光軸方向の厚さは例えば100μmとすることができ,レンズ素子30とレーザダイオード20の間の距離は例えば80μmとすることができる。また,レンズ素子30の取扱部34の長軸方向の長さは例えば250〜500μmとすることができる。このように,レンズ素子30は,回折光学素子からなるレンズ部を有する構成のため,従来の光モジュールで使用されていたレンズに比べ,小サイズ化されている。また,光結合されるレーザーダイオード,レンズ素子,光ファイバ間の光軸方向の距離を大幅に短縮でき,これらの間を伝搬する光束の径も小さく維持できる。
【0030】
レーザダイオード20は発光素子であり,その出射光がレンズ素子30のレンズ部32に入射するように配置されている。
【0031】
アイソレータ素子40は,偏光子42a,42bとそれらの間に配置されたファラデー回転子44とからなる。アイソレータ素子40は,所定方向に進行する光は透過させ,その反対方向に進行する光を遮るアイソレータ機能を有する。このアイソレータ機能により,戻り光がレーザダイオード20に入射するのを防ぐ。また,アイソレータ素子40は,光軸方向に対し微小な傾き角を持つように配置されており,これによりレーザダイオード20を出射してアイソレータ素子40の面で反射した戻り光がレーザダイオード20に入射するのを防ぐ。
【0032】
図1(a)に示すように,上記構成を有するサブアセンブリ1は,アイソレータ素子40を含み,かつ非常にコンパクトに構成されている。本実施の形態においては,サブアセンブリ1全体の光軸方向の長さは約1mm未満となっている。
【0033】
次に,サブアセンブリ1を用いて構成される光モジュールについて説明する。図2は,サブアセンブリ1を用いて構成される光モジュール2の構成を示す上面図である。図3(a)は光モジュール2の分解斜視図,図3(b)は光モジュール2の斜視図である。なお,図2,図3(a),図3(b)では,レンズ素子30が有する溝等の細部は省略して図示している。
【0034】
光モジュール2は,サブアセンブリ1と,2つの磁石46a,46bと,パッケージ部品と,フォトダイオード60を有する。光モジュール2におけるパッケージ部品は,サブアセンブリ1が配置される台座部であるヘッダ54と,略円盤形状の基体56と,電極端子58とを含む。これらのパッケージ部品は,同軸型パッケージに適応可能である。ヘッダ54は基体56の一面に固定されている。電極端子58は基体56を貫通して固定され,基体56の他面側に伸長している。
【0035】
ヘッダ54上には,サブアセンブリ1および磁石46a,46bが配置されて固定されている。磁石46a,46bは,アイソレータ素子40のファラデー回転子44に磁界を印加する磁界印加手段であり,アイソレータ素子40の両側に配置されている。
【0036】
フォトダイオード60は受光素子であり,レーザダイオード20の後端面からの光をモニタできるよう,ヘッダ54より上方の基体56の表面に固定されている。なお,レーザダイオード20およびフォトダイオード60は電極端子58と電気的に接続されている。
【0037】
上述のように,光モジュール2では,ヘッダ54上に,レーザダイオード20,レンズ素子30,アイソレータ素子40,磁石46a,46b全ての部材が非常にコンパクトに配置されている。
【0038】
図4は,サブアセンブリ1を用いて構成される光モジュール3の構成を示す部分切開図である。なお,図4では,レンズ素子30が有する溝37は省略して図示している。光モジュール3は,前述の光モジュール2に,円筒形状の円筒部52と,光ファイバ70と,フェルール72とをさらに加えた構成を有する。以下,光モジュール2と同様の構成については一部説明を省略する。
【0039】
光モジュール3は,サブアセンブリ1と,2つの磁石46a,46bと,パッケージと,光ファイバ70と,フェルール72と,フォトダイオード60を有する。光モジュール3におけるパッケージは,円筒部52と,サブアセンブリ1が配置される台座部であるヘッダ54と,基体56と,電極端子58とを含み,同軸型パッケージである。円筒部52は金属製であり,例えばステンレスを材質とする。
【0040】
円筒部52はその一端が基体56に固着されている。円筒部52の内部には,光ファイバ70およびその周囲のフェルール72が挿入固定されており,円筒部52と,光ファイバ70と,フェルール72とは一体構造になっている。空洞部74は空洞であり,コネクタが挿入される部分である。
【0041】
光モジュール3において,レーザダイオード20からレンズ素子30に向かって出射した発散光はレンズ素子30により集光されて,アイソレータ40を経由した後,光ファイバ70に入射する。レーザダイオード20はレンズ素子30を介して光ファイバ70と光学的に結合するよう構成されている。
【0042】
以下に,サブアセンブリ1および光モジュール3の作製方法の一例を説明する。まず,支持基板10上部からマーカーを用いて高精度に位置決めして,レーザーダイオード20を支持基板10の上段面12に配置し,ハンダ等で接合する。次に,溝37を用いてレンズ素子30のレンズ形成面を判別した後,レンズ素子30を適合部36がV溝16に当接するよう配置する。これによって上段面12に垂直な方向の位置決めが行われる。光軸方向の位置に関しては,位置決め用の溝38a,38bと,支持基板にあらかじめ設けられたマーカー(不図示)を用いて位置決めして配置する。レンズ素子30の配置の際には,平坦面である上面または側面を適当な保持手段により保持して行うことができる。適切な位置にレンズ素子30が配置されたことが確認されたら,レンズ素子30をV溝16に接合する。接合用の接着剤としては,熱硬化性樹脂,UV(紫外線)硬化型樹脂,ハンダ等を用いることができる。次に,下段面14にアイソレータ素子40を配置して,樹脂等により接着固定する。以上の動作により,サブアセンブリ1が作製される。
【0043】
光モジュール3を作製する場合はさらに,サブアセンブリ1をヘッダ54に配置し,熱硬化性樹脂やハンダ等により固定する。次に,磁石46a,46bをヘッダ54に配置して固定する。そして,レーザダイオード20の配線をワイヤボンディングして電気的に接続する。その後,光ファイバ70およびフェルール72と一体化された円筒部52を装着し,レーザダイオード20を発光させて,光ファイバ70から出射される光をモニタしながら,光ファイバ70を調芯し,調芯完了後,固定する。以上の動作により,光モジュール3が作製される。
【0044】
以上述べたように,光モジュール3では,パッケージのヘッダ54上にレーザダイオード20だけでなく,レンズ素子30,アイソレータ素子40および磁石46a,46bが配置された非常にコンパクトな構成を有する。前述のように,サブアセンブリ1の光軸方向の長さは約1mm未満である。よって,基体56表面から光ファイバ70端までの距離L1が約1mmと非常に短くなり,また,基体56の外径D1も約3mmになるよう構成でき,非常に小型化が進んだ光モジュールを実現している。また,上記光モジュール3を製作して測定を行ったところ,結合効率が50%で光ファイバ70から光出力されることが確認された。
【0045】
図5(a),図5(b)は,比較のために,従来の光モジュールを示した図であり,図5(a)はアイソレータを含む従来の光モジュール4の部分切開図であり,図5(b)はアイソレータを含まない従来の光モジュール5の部分切開図である。
【0046】
図5(a)に示す光モジュール4は,光ファイバ70端側にアイソレータ440が配置され,その両側に磁石446a,446bが配置された構成を有する。光モジュール4において,基体456の一面に固定されたヘッダ454上にレーザダイオード20が配置され,その周囲にはヘッダ454を囲むようにレンズ430を保持するためのキャップ410が設けられている。また,円筒形状のパッケージ部材である円筒部452は,その一端がキャップ410と接合されており,円筒部452内部には光ファイバ70およびフェルール472が挿入固定されている。
【0047】
図5(a)からわかるように,光モジュール4は本実施の形態のレンズ素子30より大きなレンズ430を有し,その周囲にキャップ410が配置されているため,レーザダイオード20から光ファイバ70までの距離が,本実施の形態の光モジュール3に比べ非常に長くなっている。光モジュール4では,基体456表面から光ファイバ70端までの距離L2が約5mmとなり,基体456の外径D2は約5mmである。
【0048】
図5(b)に示す光モジュール5は,アイソレータを有しない構成をとり,大径のボールレンズ530を用いてレーザダイオード20と光ファイバ70の結合を行っている。光モジュール5において,基体556の一面に固定されたヘッダ554上にレーザダイオード20が配置され,その周囲にはヘッダ554を囲むようにボールレンズ530を保持するためのキャップ510が設けられている。また,円筒形状のパッケージ部材である円筒部552は,その一端がキャップ510と接合されており,円筒部552内部には光ファイバ70およびフェルール572が挿入固定されている。
【0049】
図5(b)からわかるように,光モジュール5は大径のボールレンズ530を用いているため,レーザダイオード20とボールレンズ530間の距離を長くとる必要があり,また,ボールレンズ530を保持するキャップ510も大きな部材となり,小型化を阻んでいる。光モジュール5では,基体556表面から光ファイバ70端までの距離L3が5mm以上になり,基体56の外径D3は約5mmである。
【0050】
以上説明したように,本実施の形態によれば,上記構成のレンズ素子を用いて光結合を行うことにより,光結合されるレーザーダイオード,レンズ素子,光ファイバ間の光軸方向の距離を大幅に短縮できる。前述のように,従来の光モジュールでは光軸方向の距離が約5mmであるところ,本実施の形態では,約1mmにまで短縮でき,約4mmもの縮小を達成できる。
【0051】
また,従来に比べレンズ素子をレーザダイオードに近接配置できるため,光束径が小さくなり,光ファイバ端側にアイソレータ素子を配置する構成を採用しなくても小サイズのアイソレータ素子を使用可能である。これにより,パッケージのヘッダ上にアイソレータ素子を搭載でき,さらに磁石もヘッダに搭載することができる。前述のように,従来の光モジュールでは基体の外径が約5mmであるところ,本実施の形態では,約3mmである。よって,本実施の形態の光モジュールでは,ヘッダ上にアイソレータ素子および磁石を搭載するという新規な構成を採用しつつ,小型化も実現されているといえる。
【0052】
またさらに,本実施の形態によれば,小サイズのアイソレータ素子を利用可能であり,キャップ等のレンズ保持用の部材も不要なため,コストを抑えることができる。
【0053】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
なお,上記例において,光モジュールとして,同軸型を例にとり説明しているが,これに限定するものではなく,パッケージの外形が略直方体形状のいわゆるバタフライ型の光モジュールにも適用可能である。また,上記例では,光ファイバとレーザダイオードの結合を例にとり説明しているが,レーザダイオードの代わりにフォトダイオード等の受光素子を用いることも考えられる。
【0055】
また,レンズ素子,レンズ部,取扱部,適合部等の形状は上記例に限定されず,様々な形状が考えられる。上記例では,レンズ部は光学基板の片面に形成されているが,両面にレンズ部を有するようにしてもよい。また,サブアセンブリに含まれるレンズ素子の数は必ずしも1つに限定されない。レンズ素子を構成する光学基板の材質には,上記例のシリコン以外にも,GaAs,InP,GaP,SiC,Ge等を用いてもよい。支持基板は,ここではシリコン結晶基板からなるが,例えばセラミックス基板を用いてもよい。支持基板およびレンズ素子に形成される溝の断面形状は,上記例に限定されず,略V字形状,略台形形状,略半円形状,略長方形形状,略正方形形状のいずれか1つであるよう構成してもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上,詳細に説明したように本発明によれば,光モジュールの小型化を図ることが可能なサブアセンブリ,従来に比べ小型化が促進された光モジュール,およびその実装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は,本発明の実施の形態にかかるサブアセンブリの斜視図であり,図1(b)は同サブアセンブリの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる光モジュールの上面図である。
【図3】図3(a)は図2の光モジュールの分解斜視図であり,図3(b)は同光モジュールの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる光モジュールの部分切開図である。
【図5】図5(a)はアイソレータを含む従来の光モジュールの部分切開図であり,図5(b)はアイソレータを含まない従来の光モジュールの部分切開図である。
【符号の説明】
1 サブアセンブリ
2,3 光モジュール
10 支持基板
12 上段面
14 下段面
16 V溝
20 レーザダイオード
30 レンズ素子
32 レンズ部
33 縁部
34 取扱部
36 適合部
37,38a,38b 溝
40 アイソレータ素子
42a,42b 偏光子
44 ファラデー回転子
46a,46b 磁石
52 円筒部
54 ヘッダ
56 基体
58 電極端子
60 フォトダイオード
70 光ファイバ
72 フェルール
74 空洞部
Claims (11)
- 部材配置用の溝を有する支持基板と,
前記支持基板に実装され,光学基板の表面に形成されたレンズ部と,実装時に前記支持基板の前記溝に接する形状を有する適合部と,を有するレンズ素子と,
前記支持基板に実装され,アイソレータ機能を有するアイソレータ素子と,
を具備することを特徴とするサブアセンブリ。 - 前記支持基板の前記溝の断面形状は,略V字形状,略台形形状,略半円形状,略長方形形状,略正方形形状のいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載のサブアセンブリ。
- 前記適合部は円弧形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載のサブアセンブリ。
- 前記レンズ部は回折光学素子からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサブアセンブリ。
- 前記光学基板はシリコン結晶基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のサブアセンブリ。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のサブアセンブリと,
台座部を有するパッケージ部品と,を具備し,
前記サブアセンブリは前記台座部に配置されていることを特徴とする光モジュール。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のサブアセンブリと,
前記サブアセンブリが配置される台座部を有するパッケージと,
光ファイバと,
前記レンズ素子を介して前記光ファイバと光学的に結合する光学素子と,
を具備することを特徴とする光モジュール。 - 前記光学素子は発光素子または受光素子のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の光モジュール。
- 前記アイソレータ素子に磁界を印加する磁界印加手段をさらに具備し,前記磁界印加手段は前記台座部に配置されることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の光モジュール。
- 前記パッケージは同軸型パッケージであることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の光モジュール。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のサブアセンブリと,前記サブアセンブリが配置される台座部を含むパッケージ部品と,を具備する光モジュールの実装方法であって,
前記台座部に前記サブアセンブリを配置する工程と,
前記台座部に前記アイソレータ素子に磁界を印加する磁界印加手段を配置する工程と,
を含むことを特徴とする光モジュールの実装方法。
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2003
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