JP2004288415A - 車両用前照灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用前照灯の照射範囲を形成するシェードを可動させて照射時範囲を変化させる際の、シェードの可動手段をコンパクトにする。
【解決手段】シェード20が固定されるシェード固定軸40とモーター軸32とを、軸の回転方向には固定し、軸方向には自由に動くようにして連結する。また、シェード固定軸40に作動規制部50を介して作動規制ピン53を設ける。また、これらを覆う可動部ケース70に、回転方向作動範囲78と軸方向作動範囲79とからなる作動規制溝77を形成する。作動規制ピン53は、この作動規制溝77内に入る。モーター31を回転させると、作動規制ピン53が回転方向作動範囲78内にある場合は、シェード20はシェード固定軸40の回転方向に動き、軸方向作動範囲79にある場合は、軸方向に動く。これにより、駆動手段はモーター31が1つだけとなるので、コンパクトにできる。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクタ式の車両用前照灯に係るものある。特に、この発明は、走行環境に応じて自動的に、若しくは車両の運転手の動作により照射範囲を変化させることができる車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用前照灯では、前照灯全体の小ささによってデザインの自由度が増す等の利点により、プロジェクタ式の車両用前照灯が多用されている。これは回転楕円状のリフレクタの焦点の一方に光源を設け、このリフレクタで光源からの光を反射し、その後、他方の焦点を通過した光を、レンズによって所定の方向に向けて照射するものである。この車両用前照灯は車両の走行時に使用するものであるため、対向車線の運転手に対して直接照射したり、前方を走行中の車両のバックミラーを直接照射してそれらのドライバーに眩しさを与えないために、所定の範囲のみ照射している。その方法は、前記のリフレクタを形成する回転楕円の、光源が設けられていない方の焦点付近に、所定の範囲のみ照射できる形状に形成した遮光部を設けることにより実現している。さらに、この車両用前照灯をより実用的にすべく、照射範囲を変化できるように遮光部を移動可能に構成したものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−292501(第3−5頁、第6図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記車両用前照灯の遮光部は、その可動にモーターを2つ使用しているため、構造及び制御が複雑になっている。また、近年では、運転時の安全性、運転手の快適性、便利性などにより、車両各部の自動化が進んでおり、車両用前照灯も、走行環境に応じて自動的にその環境に沿った照射ができれば、よりいっそう便利になる。
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、可動する遮光部の構造を従来と比較して簡単なものとすることを第1の目的とし、またその可動が、走行環境に応じて自動的に可動するものとすることを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、車両の旋回方向に光を照射するプロジェクタタイプの車両用前照灯において、光源と、前記光源からの光を反射させるリフレクタと、前記リフレクタからの反射光を所定の方向に照射するレンズと、前記リフレクタと前記レンズとの間に設けられ、すれ違い用の配光パターンのカットラインを形成する遮光部と、前記遮光部を、回転軸回りに左右に回転させ、また、前記回転軸方向に上下に移動させる可動手段と、を備え、前記可動手段は、前記遮光部に前記回転軸方向に固定した軸と、1個の駆動手段と、前記駆動手段の駆動により、前記軸を左右に回転させるガイドと上下に移動させるガイドとを有するガイド手段と、から構成されていることを特徴とする。
【0007】
この結果、請求項1にかかる発明は、可動手段で遮光部を上に位置させると、この遮光部によりリフレクタの反射面からの反射光の一部が遮断されるので、すれ違い用の配光パターンが得られる。また、可動手段で遮光部を下に位置させると、リフレクタの反射面からの反射光がほとんど通過するので、走行用の配光パターンが得られる。さらに、可動手段で上に位置する遮光部を左右に回転させると、すれ違い用の配光パターンのカットラインにおける光照射範囲が左右に変化する。このように、請求項1にかかる発明は、1台の車両用前照灯で、配光パターンをすれ違い用と走行用とに切り替える機能と、すれ違い用の配光パターンのカットラインにおける光照射範囲を左右に変化させる機能とが得られる。このために、請求項1にかかる発明は、各機能ごとの灯具が不要となり、その分、製造コストが安価となり、かつ、設置スペースを小さくすることができ、その分、車両用前照灯をコンパクトにまとめることができる。さらに、前記の機能を、可動手段に設けたガイド手段により、1個の駆動手段で軸を介して遮光部を左右に回転させたり上下に移動させたりするによって得られるので、可動手段の構造が簡単になる。また、請求項1にかかる発明は、すれ違い用の配光パターンのカットラインにおける光照射範囲が左右に変化するので、すれ違い用の配光パターン全体が左右に変化する車両用前照灯の不具合(路面の凹凸による配光パターンのムラ感が左右に動くような違和感)を軽減することができる。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、前記可動手段の軸は、前記遮光部に固定された第1軸部と、前記駆動手段に設けられた第2軸部とからなり、前記第1軸部と前記第2軸部とは、回転方向に一体に固定され、軸方向に伸縮可能に連結されており、前記ガイド手段は、前記駆動手段に固定された固定部と、前記固定部および前記第1軸部に設けられ、相互に係合する溝部、および突起部とから構成されており、前記溝部は、所定の範囲の左右回転方向に形成された第1溝部と、前記第1溝部の端部から続いて斜め方向に形成された第2溝部とからなる、ことを特徴とする。
【0009】
この結果、請求項2にかかる発明は、第1軸部および第2軸部および第1溝部および第2溝部および突起部により、1個の駆動手段で遮光部を左右に回転させたり上下に移動させたりすることができるので、前記の請求項2にかかる発明と同様に、可動手段の構造が簡単であり、その分、製造コストが安価となる。
【0010】
また、請求項3にかかる発明は、前記遮光部は、伸縮可能に連結された前記第1軸部と前記第2軸部とが伸びた状態の場合には上に位置して前記すれ違い用の配光パターンを形成し、また、前記第1軸部と前記第2軸部とが縮んだ状態の場合には下に位置して走行用の配光パターンを形成し、前記第1軸部と前記固定部との間には、前記第1軸部と前記第2軸部とが伸びる方向の付勢力を有する弾性部材が設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
この結果、請求項3にかかる発明は、前記の伸縮可能に連結された軸を、伸びた状態、つまり、遮光部が光源からの光を遮光する状態になる方向に、弾性部材によって付勢力が付されている。この結果、遮光する状態での遮光部が安定し、且つ、この状態での弾性部材の付勢力は弱いものであるため、遮光部を回転方向に可動させる際の弾性体の付勢力による抵抗は弱く、滑らかな可動とすることができる。さらに、遮光していない状態から遮光状態への可動は、伸縮可能に連結された軸が伸びる方向の可動となるが、この方向へは弾性体により付勢力が付されている。この結果、遮光していない状態から遮光状態へ、素早く可動させることができる。
【0012】
また、請求項4にかかる発明は、前記可動手段には、前記遮光部を左右に回転させたり上下に移動させたりするための車両走行時の情報処理手段およびまたは、前記遮光部を左右に回転させるための車両の方向転換手段と、前記遮光部を上下に移動させるための照射範囲の切替え手段とが、設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
この結果、請求項4にかかる発明は、車両走行時の情報処理手段により、前記遮光部を左右に回転させたり上下に移動させたりして、配光パターンをすれ違い用と走行用とに自動的に切り替えることができ、しかも、すれ違い用の配光パターンのカットラインにおける光照射範囲を左右に自動的に変化させることができる。また、車両の方向転換手段により、前記遮光部を左右に回転させて、すれ違い用の配光パターンのカットラインにおける光照射範囲を左右に自動的に変化させることができる。さらに、照射範囲の切替え手段により、前記遮光部を上下に移動させて、配光パターンをすれ違い用と走行用とに自動的に切り替えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。尚、車両用前照灯の光源として、放電灯、ハロゲン電球、及び白熱電球があるが、実施の形態として放電灯について説明する。
【0015】
以下の説明は、本発明の車両用前照灯を車両に装着した場合と同様、車両用前照灯が照射する方向を前方として説明し、また、図面上の上下方向を実際の車両用前照灯の上下方向として説明する。図1は、発明の実施の形態に係る車両用前照灯の正面図である。図2は、図1に示した車両用前照灯の断面VV図である。図3は、図2に示した車両用前照灯のシェードを軸方向に作動させた図である。図4は、図1に示した車両用前照灯の断面HH図である。図5は、図4に示した車両用前照灯のシェードを回転方向に作動させた図である。この車両用前照灯1は、リフレクタ4と、光源としての放電灯2と、リフレクタ4の前方に設けられている集光レンズ8と、放電灯2と集光レンズ8との間に設けられたシェード20及び可動ユニット28と、これらを一体に固定するフレーム6とから形成されている。リフレクタ4の内面には、アルミ蒸着等によって反射面5が形成されている。また、当該リフレクタ4の後端付近には、放電灯2用の挿通孔9が形成されている。さらに、前記放電灯2は、当該挿通孔9より挿通して固定部材10によって固定することにより、リフレクタ4に固定される。また、この放電灯2には、電源(図示省略)と電気的に接続されているコネクタ11が接続される。
【0016】
前記反射面5の形状は、2つの焦点を有する回転楕円面状の形状の一部となっている。前記放電灯2の発光部3は、第1焦点F1付近に位置する。第2焦点F2付近には、遮光部としてシェード20が設けられている。このシェード20は、可動手段の第1軸部としてのシェード固定軸40に固定されている。リフレクタ4の前方にはフレーム6が設けられており、その前端、つまり、第2焦点F2の前方には集光レンズ8が設けられている。また、フレーム6の下部には、前記可動ユニット28を固定する可動ユニット取付部7が設けられている。また、集光レンズ8は透明の物質、例えばガラス等から形成している。その形状は、ほぼ円形の凸レンズ状の形状となっており、凸側の面を前方に向けて設けられている。
【0017】
図6の(A)は、シェード及び可動部の詳細図、(B)は、可動部ケースの詳細図である。図7の(A)は、図6に示したモーター軸及びシェード固定軸の断面SS図である。図8は、図6の(A)及び(B)に示したシェード及び可動部ユニットの組立図である。前記可動ユニット28は、駆動手段としてのモーター31を有する可動部30と、固定部となる可動部ケース70とから形成されている。また、可動部30は、モーター31と、シェード固定軸40と、シェード固定軸40に固定された作動規制部50と、モーターケース34と、弾性部材として設けられたスプリング60とから形成されている。モーター31は第2軸部となるモーター軸32を露出してモーターケース34に覆われている。また、モーター軸32とシェード固定軸40とは回転方向には一体に固定され、軸方向には伸縮可能に連結されている。さらに、シェード固定軸40に固定された作動規制部50とモーターケース34との間には、スプリング60が設けられている。可動部ケース70は、シェード固定軸40の一部を露出して可動部を覆っている。
【0018】
前記シェード20は、薄い金属板等から形成した前部シェード21と後部シェード22を前後に2枚重ねて形成している。2枚共上方から見ると後方に凸となった湾曲を形成している。その湾曲の大きさが、前部シェード21よりも後部シェード22の方が大きいため、前部シェード21及び後部シェード22は、それぞれの間に空間を有して形成している。この2枚のシェードは、2枚とも両端にカシメ部23が設けられており、2枚を重ねてカシメ部23をカシメることにより、前部シェード21と後部シェード22とは、一体となって形成される。
【0019】
また、後部シェード22には、その下方で湾曲の内側の部分に、軸固定部24が形成されている。さらにこのシェード20は、前方から見た場合は、当該シェード20を形成する前部シェード21及び後部シェード22が共に、上部の形状が、中央部付近から左側の方が右側よりも高く形成されている。左右の段差の中央部分には斜めに形成する傾斜部25が設けられており、この傾斜部25により、左右の段差をつないでいる。このシェード20の上部の形状は、すれ違い用の配光パターンのカットラインを形成している。また、前方から見た場合のシェード20の下部の形状は、左右にかけてほぼ水平に形成しており、両端のカシメ部23もその外側の端が垂直に形成しているので、このシェード20を前方から見た場合は、上部が前記の様に形成された、矩形状に近い形状となっている。
【0020】
可動ユニット28は、その駆動手段としてモーター31を使用している。図6(A)に示すモーター31は、モーター軸32の軸方向が上下方向となる向きで、且つ、モーター軸32が上方になる向きにしてモーターケース34に収められている。モーターケース34は、円筒形状の一方の端が閉塞され、その閉塞された面のほぼ中心にモーター軸挿通孔35を有する形状となっている。また、他方の端には、その外周に径方向に所定の幅を有した取付部36が設けられている。この取付部36には、さらにその外側に2つの固定孔37が設けられており、2つの固定孔37は円筒形の円の中心を中心として点対称となる位置に設けられている。前記の閉塞された面に設けられたモーター軸挿通孔35にモーター軸32を挿通し、モーターケース34の円筒形内にモーター31が入る向きとなって、モーターケース34はモーター31に被せられている。
【0021】
モーター31のモーター軸32には、図7(A)に示すように切欠き部33が形成されており、丸棒状の形状の一部が平面となった形状になっている。つまり、モーター軸32をその端部から軸方向に見た場合、円形の一部が平らとなった形状となっており、この平らな部分が、切欠き部33となっている。このモーター軸32にはシェード固定軸40が連結される。シェード固定軸40の一方の端には前記シェード20が固定され、他方の端がモーター軸32と連結される。シェード固定軸40のモーター31に連結される側はモーター軸連結部41として形成しており、その形状は、内径がモーター軸32に外形よりも若干大きくなった円筒形状となっている。さらに、モーター軸連結部41とモーター軸32とは、回転方向に固定できるよう、このモーター軸連結部41を形成する円筒形の内部の一部が、モーター軸32の前記切欠き部33に合わせて平面となった、平面部42が形成されている。
【0022】
図6(A)に示すように、シェード固定軸40のシェード20固定側とモーター軸連結部41側との間には、作動規制部50が設けられている。この作動規制部50は、円筒形状の一方の端が閉塞され、その閉塞された面のほぼ中心にシェード固定軸挿通孔51を有する形状となっている。このシェード固定軸挿通孔51に、円筒形の開口部52側がモーター軸連結部41側となる向きでシェード固定軸40を挿通固定することにより、この作動規制部50とシェード固定軸40とは、一体となって形成されている。なお、この作動規制部50を形成する円筒形の外径と、前記モーターケース34を形成する円筒形の外径とは、ほぼ同程度となっている。
【0023】
また、この作動規制部50には、ガイド手段のうち、遮光部側と固定関係である突起部として、作動規制ピン53がその外周に設けられている。この作動規制ピン53は円柱状のピンから形成されており、円柱状の一方の円形が、作動規制部50の円筒形の径方向の外側方向を向く向きに形成されている。この作動規制ピン53の内側には弾性部材、例えば、スプリング等が設けられており、そのスプリングによってこの作動規制ピン53は、通常は作動規制部50の円筒形の径方向のおける外側方向に付勢力が与えられている(図示省略)。この付勢力によって作動規制ピン53は、通常は作動規制部50の外周から突出して設けられている。またこの付勢力のため、外側から、作動規制部50を形成する円筒形の中心方向に力が加えられると作動規制ピン53は縮み、この力が除去されると元通りに突出する構造になっている。また、この作動規制ピン53は、作動規制部50の外周面に所定の間隔を開けて2つ設けられている。なお、作動規制ピン53の形状は、円柱状に限らず、角柱状など、その他の形状でもよい。
【0024】
シェード固定軸40のシェード20固定側には、シェード固定部43が設けられている。シェード20は、このシェード固定部43と、シェード20の軸固定部24とを着脱可能に固定することにより、シェード固定軸40に固定される。シェード20をシェード固定軸40に固定する向きは、シェード20の傾斜部25と、シェード固定軸40のモーター軸連結部41とが、互いに外側になる向きにして固定する。なお、その固定方法は、スクリューによる固定やピンによる固定など、固定方法は着脱可能に固定出来れば、どのような方法を用いても構わない。
【0025】
作動規制部50の開口部52側に、当該作動規制部50を形成する円筒形の内径よりも若干小さい径から成るスプリング60を、前記開口部52に挿入するようにして設ける。このスプリング60は、スプリング60が作動規制部50の開口部52から露出している部分の高さが、シェード固定軸40が作動規制部50の開口部52から露出している部分の高さより高くなるような全長を有している。このスプリング60の作動規制部50から露出している側の端を、前記モーターケース34の、モーター軸挿通孔35が形成されている面に接するようにして、モーター軸32と、シェード固定軸40のモーター軸連結部41とを連結する。その連結は、図7(A)のように、モーター軸32とシェード固定軸40とを、双方の平面となった部分の向きを合わせてモーター軸32を挿入すると、シェード固定軸40とモーター軸32とは軸方向には自由に動き、軸の回転方向には固定される。このシェード固定軸40、作動規制部50、スプリング60、モーター31、モーターケース34とから可動部30は形成されている。
【0026】
図6(B)の可動部ケース70は、円筒形状の一方の端が閉塞され、その閉塞された面のほぼ中心にシェード固定軸挿通孔71を有する形状となっている。円筒形の径は、その内径が前記可動部30の作動規制部50を形成する円筒形及びモーターケース34を形成する円筒形の外径よりも、若干大きく形成されている。また、可動部ケース70は、可動部30の前記のスプリング60が縮んでいない状態、若しくは若干縮んだ状態での、モーターケース34の取付部36から作動規制部50のシェード20側の端までの高さよりも、高く形成されている。
【0027】
この可動部ケース70の開口部72側の端には、可動部ケース70を形成する円筒形の円形の中心を中心として2つの可動部固定部73が形成されており、この可動部固定部73には、前記モーターケース34と対応する位置に2つの可動部固定孔74が形成されている。また、当該可動部ケース70の閉塞している側の端には、前記の可動部固定部73及び可動部固定孔74と同様に、可動部ケース70を形成する円筒形の円形の中心を中心として2つの可動ユニット固定部75が形成されており、さらに、2つの可動ユニット固定部75には、それぞれ可動ユニット固定孔76が形成されている。
【0028】
また、当該可動部ケース70には、ガイド手段のうち、駆動手段と固定関係にある溝部である作動規制溝77がその外周に形成されている。この作動規制溝77は、前記作動規制ピン53の外形よりも若干大きい幅を有し、さらに、当該可動部ケース70を形成する円筒形の板を貫通する溝から形成されている。この作動規制溝77は、2つの範囲から形成されており、第1溝部となる回転方向作動範囲78と、第2溝部となる軸方向作動範囲79とから形成されている。回転方向作動範囲78は、外周の周方向に所定の長さを有して形成されている。軸方向作動範囲79は、この回転方向作動範囲78の端部に続いて所定の長さで、回転方向作動範囲78に対して斜めの方向に形成されている。その斜めの方向は、回転方向作動範囲78の端と軸方向作動範囲79の端とが接する部分から、周方向では回転方向作動範囲78の外側の方向に、高さ方向では開口部72側の端の方向に向かって形成されている。
【0029】
この作動規制溝77の位置は、可動部固定部73が形成されている側の端から回転方向作動範囲78までの高さが、可動部30のスプリング60が縮んでない状態、若しくは若干縮んだ状態での、可動部30のモーターケース34の取付部36から前記作動規制ピン53までの高さとほぼ同等の高さとなって形成されている。また、作動規制溝77は作動規制ピン53と同様に2つ設けられており、その間隔はそれぞれの作動規制溝77の同じ部位、例えば、それぞれの回転方向作動範囲78の軸方向作動範囲79側の端が、前記の2つ作動規制ピン53の間隔とほぼ同じに開けられて形成されている。
【0030】
可動部ケース70は、シェード20が固定されていない状態の前記可動部30に被せられる。その方向は、可動部ケース70の可動部固定孔74が設けられている側を、シェード固定軸40のシェード固定部43側から被せる。その際に、前記作動規制ピン53は作動規制部50よりも突出しているため、可動部ケース70が当該作動規制ピン53に引っ掛かって止まらないよう、作動規制ピン53を押し縮める。またさらに、可動部ケース70に形成されたシェード固定軸挿通孔71にシェード固定軸40を挿通する。そこからさらに、可動部ケース70の可動部固定孔74とモーターケース34の固定孔37とが重なる位置まで被せ、作動規制溝77と作動規制ピン53とが重なる位置になると、押し縮められていた作動規制ピン53が作動規制溝77内に突出する。ガイド手段は、この作動規制ピン53と、作動規制溝77から形成されている。この状態で、可動部ケース70の可動部固定孔74とモーターケース34の固定孔37とをスクリュー(図示省略)等で固定することにより、可動部ケース70は可動部30に固定される。この可動部30と可動部ケース70の組合せにより、可動ユニット70は形成されている(図8)。
【0031】
その後、シェード20の上部が上側になる向きで、シェード20の軸固定部24とシェード固定軸40のシェード固定部43とをスクリュー(図示省略)等で固定することにより、シェード20はシェード固定軸40に固定される。このシェード20を固定した可動ユニット28は、シェード20が形成する湾曲の凸側が後方になる向きにして、可動部ケース70に形成された可動ユニット固定部75を、フレーム6に形成された可動ユニット取付部7にスクリュー(図示省略)等で固定する。
【0032】
なお、前記の作動規制ピン53と作動規制溝77とは、それぞれ2つ以上でも構わない。それぞれの位置が相対する位置に形成されていれば、その数は問わない。また、本実施の形態では、軸方向作動範囲79は、回転方向作動範囲78に対して左側に形成されているが、回転方向作動範囲78に対して右側に形成しても構わない。また、前記の可動部ケース74の可動部固定孔74と、モーターケース34の固定孔37も、それぞれ3つ以上でも良く、可動部固定孔74と固定孔37が相対する位置に形成されて、可動部ケース70と可動部30とを確実固定できれば、その数は問わない。また、可動部固定孔74と固定孔37とをスクリューで固定する構造以外の構造でも、可動部ケース70と可動部30とを確実に固定出来る構造であれば、どのような構造でも構わない。また同様に、可動ユニット固定部75と可動ユニット取付部7の数や構造も、確実に固定できる構造であれば、その構造は実施の形態にとらわれない。
【0033】
図12は、発明の実施の形態に係る車両用前照灯の制御の構成図である。また、可動部30が有するモーター31は、情報処理手段として設けられている制御装置90に接続されている。この制御装置90には、方向転換手段として設けられているステアリング(図示省略)に設けられた舵角センサー93や、車両用前照灯1の照射範囲を走行ビーム、または、すれ違いビームに切替える切替え手段として設けられた、切替えスイッチ95が接続されている。さらに制御装置90には、車速センサー94や、方向指示器スイッチ96、さらには、カーナビゲーションシステム97も接続されている。また、制御装置90には、インターフェイス91、CPU92及びモータードライバ98が備えられている。
【0034】
前記の各種センサー等の情報はインターフェイス91に入力され、それらの情報をインターフェイス91からCPU92に入力し、CPU92でそれらの情報を総合的に処理する。その処理した情報をモータードライバ98に出力し、モータードライバ98はCPU92からの情報を元に実際にモーター31を作動させる電気的な信号に変換し、モーター31に出力してモーター31を作動させる。なお、このモーター31は、制御の容易さを鑑みて、ステッピングモーターを使用することが好ましいが、モーター軸32を任意の角度だけ回転できる機構が備わっていれば、それ以外のモーターを使用しても構わない。
【0035】
図9は、図8のシェード、シェード固定軸及び作動規制部を軸方向に作動させた図である。図10及び図11は、作動規制溝における作動規制ピンの各状態での、当該車両用前照灯の照射範囲を示す図である。以上の車両用前照灯1は、コネクタ11は各電気部品を通じて当該車両用前照灯1を装着する車両内のランプスイッチ(図示省略)と電気的に接続されており、ランプスイッチを通電側にすると、当該コネクタ11を通じて電気が供給されて、放電灯2の発光部3は発光する。発光部3が発光した光は、リフレクタ4の反射面5で、第2焦点F2に向けて反射する。第2焦点F2に付近にはシェード20が設けられており、光の一部はシェード20で遮られる。シェード20で遮られなかった光はそのまま集光レンズ8の方向に進み、集光レンズ8で所定の方向に向きを変えられて所定の範囲を照射する。
【0036】
前記作動規制ピン53が作動規制溝77の回転方向作動範囲78内にある場合には、モーター31を駆動させると、モーター軸32と回転方向には固定して連結されたシェード固定軸40が同様に回転し、さらに、シェード固定軸40に固定されたシェード20が回転する。シェード20が回転すると、当該シェード20が前記の反射面5で反射した光を遮光する範囲の形状も、シェード20の回転方向、つまり、左右に変化し、これにより集光レンズ8で照射する照射範囲100の形状も左右に変化する。
【0037】
また、作動規制ピン53が作動規制溝77の軸方向作動範囲79側の方向に移動する方向にモーター31を回転させ、作動規制ピン53が回転方向作動範囲78を超えると、作動規制ピン53は軸方向作動範囲79に入る。作動規制溝77の軸方向作動範囲79は、可動部ケース70の周方向及びシェード固定軸40の軸方向の両方向を合わせた方向である斜め方向に形成されている。
【0038】
前記シェード固定軸40とモーター軸32との連結は、回転方向には固定されているが、軸方向には自由に動くようになっている。作動規制ピン53が軸方向作動範囲79に入った状態でモーター31が回転すると、作動規制ピン53に作動規制溝77の軸方向規制範囲79に対して回転方向に動こうとするが、作動規制ピン53は作動規制溝77に沿って動くので、軸方向規制範囲79の方向に動く。このため、作動規制ピン53が設けられている作動規制部50が固定され、軸方向には自由に動くようにモーター軸32と連結されたシェード固定軸40が、軸方向に動く。斜めに形成されている軸方向作動範囲79は、回転方向作動範囲78と接している部分から見ると、軸方向に形成している方向は、回転方向作動範囲78よりもモーター31側、つまり、下側の方向に形成されている。
【0039】
このため、作動規制ピン53が回転方向作動範囲78の軸方向作動範囲79側の端にある場合に、さらにモーター31を作動規制ピン53が軸方向作動範囲79方向に動く方向に回転させると、作動規制ピン53が軸方向作動範囲79に沿って下方に動くことにより、シェード固定軸40も同様に同方向に回転しつつ、軸方向においては下側に動く(図9)。これにより、これらの場合は、シェード固定軸40に固定されたシェード20が下方に移動するので、当該シェード20は前記の反射面5で反射した光を遮光しなくなり、反射面5で反射した光はそのまま集光レンズ8で所定の範囲に照射される。この結果、シェード20が上方にある場合は遮光していた範囲である追加範囲102がそれまでの照射範囲100に追加され、照射範囲100は広がることとなる。
【0040】
前記のシェード20は、当該車両用前照灯1をすれ違いビーム用として使用する場合に使用し、前方の上方を照射しないように当該シェード20で、所定の範囲を遮光する。このシェード20の上部には、その中央付近に傾斜部25が形成され、これにより段差が設けられている。シェード20のこのような形状により、照射範囲100にも傾斜部101が形成され、段差が生じるので、運転者から見た場合の照射範囲100の上部が、左側よりも右側の方が低くなったカットラインが形成される。この結果、対向車に眩しさを与えることの無いすれ違い用の配光パターンを得ることができる。
【0041】
また当該車両用前照灯1は、前記作動規制ピン53が前記作動規制溝77の回転方向作動範囲78の中央部付近に位置している場合に(図10(A))、すれ違いビームで、且つ、直進走行中用の照射範囲100となっている。この場合の照射範囲100の形状は、照射範囲100の傾斜部101により段差が付いている上部の、高い方の上部が車両用前照灯1の前方の上下方向の中心付近に位置している。照射範囲100は、全体がこの位置よりも下方を照射している。また、前記のように作動規制ピン53が回転作動範囲78の中央部付近に位置している場合は、前記シェード20の傾斜部25が中央部付近に位置するので、このため、照射範囲100の傾斜部101も左右方向の中央部付近に位置する。図11(A)で説明すると、照射範囲100は、車両用前照灯1の照射方向における上下方向の中心であるH−H線よりも下方を照射し、傾斜部100は、照射方向の横方向の中心であるV−V線付近に位置している。
【0042】
この車両用前照灯1の可動ユニット28を回転させ、作動規制ピン53が作動規制溝77の回転方向作動範囲78内で横方向に動くと、シェード20が回転し、シェード20の上部の傾斜部25が横方向に動く。これにより、遮光する範囲が変わるので、車両用前照灯1の照射範囲100も同様に変わり、照射範囲100の傾斜部101も同様に横方向に移動する。例えば、図10(B)の方向に作動規制ピン53が移動するように可動ユニット28を回転させると、照射範囲100の全体の位置は変化せずに、図11(B)のように、照射範囲100の上部の形状が変化し、傾斜部102が横方向に移動する。同様に、図10(C)の状態になるように、可動ユニット28を上記と反対方向に回転させると、図11(C)のように照射範囲100の変化も、傾斜部101が反対方向に移動する。
【0043】
また、作動規制ピン53を回転方向作動範囲78の中央部付近から軸方向作動規制範囲79方向に向かう方向にシェード固定軸40を回転させ、作動規制ピン53が回転方向作動範囲78を超えて軸方向規作動範囲79に入った場合は、作動規制ピン53は軸方向作動範囲78に沿って動くことになり、軸方向作動範囲79の下端方向に動く(図10(D))。これにより、これに合わせてシェード20も下方に動く。このため、シェード20は反射面5で反射した光を遮光しなくなり、作動規制ピン53が回転方向作動範囲78にある場合には、シェード20で遮光していた部分である追加範囲102が、それまでの照射範囲100に追加される。この追加範囲102は、図11(D)のH−H線の上方であり、これにより、照射範囲100は上方に広がる。換言すると、この場合は、反射面5で反射してそれを集光レンズ8で照射する、本来の範囲を照射することとなる。この反射面5は、当該車両用前照灯1を走行ビームとして使用した場合に、適当な範囲を照射できるように形成されているので、作動規制ピン53が軸方向作動範囲78の一番下側に位置した場合は、走行用の配光パターンを得ることができる。
【0044】
図12に示すように、この車両用前照灯1の可動ユニット28のモーター31は、制御装置90に接続されている。この制御装置90はステアリングに設けられた舵角センサー93や、車速センサー94、または、カーナビゲーションシステム97等から、車両の走行時の各種情報が入力される。この情報を元にして、モーター31の回転角度を決め、モーター31に出力している。例えば、車両用前照灯1のすれ違いビーム及び走行用ビームの切替えスイッチ95をすれ違いビームに切替えて、ステアリングを左方向に回転させると、その回転に応じて制御装置90に接続されたモーター31が回転し、車両用前照灯1の照射範囲100の傾斜部101が左方向に移動する。また、方向指示器スイッチ96を、左折若しくは右折方向とした場合でも、同様にその方向に合わせて制御装置90に接続されたモーター31が回転し、照射範囲100の傾斜部101が方向指示器スイッチ96で指示している方向に移動する。
【0045】
また、車速センサー94によって検出された当該車両の速度や、カーナビゲーションシステム97から検出される、当該車両の走行方向のカーブの大きさ等も元にして制御装置90内のCPU92によって演算し、車両用前照灯1の照射範囲100の傾斜部101の横方向の位置を決定する。また、すれ違いビーム及び走行用ビームの切替えスイッチ95を走行ビームに切替えた場合は、制御装置90を介してモーター31が回転し、作動規制ピン53が作動規制溝77の軸方向作動範囲79の、回転方向作動範囲78側の端と反対側の端に位置するようになる。このため、シェード固定軸40及びシェード20が下方に移動し、シェード20が反射面5で反射した光を遮光しなくなる。
【0046】
これにより、当該車両用前照灯1の照射範囲100が、すれ違いビーム用と比較して上方にまで拡大され、走行用ビームとして問題なく使用できる。また、すれ違いビーム及び走行用ビームの切替えスイッチ95をすれ違いビームに切替えていた場合でも、現在走行している道路がカーナビゲーションシステム97により、高速道路など中央分離帯がある道路や対向車線が離れている道路など、対向車との間に壁などがあるか、或いは、対向車が離れている道路を走行していることを認知し、且つ、車速センサー94により、車速が一定以上の速度となっており、前車との車間距離が離れていると思われる場合は、制御装置で判断してモーターを回転させ、走行用ビームとなる。
【0047】
上記のように、この車両用前照灯1は、照射範囲100を横方向に可変させる場合に、照射範囲100の上部の傾斜部101のみを横方向に変化させている。この結果、この車両用前照灯1は、カーブなど進行方向が車両の前後方向から曲がった位置を照射する場合に、照射範囲100全体が移動せずに、照射範囲100の上部の左右の段差のみを横方向に移動するので、照射範囲100全体が動いた時のような違和感が存在せず、自然で良好に照射範囲を変えることができる。
【0048】
また、シェード20の全ての動作は、1本のシェード固定軸40の回転方向及び軸方向の動きによって実現している。また、このシェード固定軸40が設けられている可動ユニット28は、1つのモーター31と、作動規制ピン53及び作動規制溝77等により可動している。このため、シェード20の可動手段がコンパクトになり、さらに、駆動手段が1つなので、車両用前照灯の照射範囲を可変させる場合の制御が容易になる。この結果、照射範囲100可動させるための可動手段がコンパクトで、且つ、構造が簡単になり、さらに制御が容易な車両用前照灯とすることができる。
【0049】
また、モーター31を回転させるために制御装置90を設け、この制御装置90の入力には、ステアリングに設けられた舵角センサー93や車速センサー94、カーナビゲーションシステム97等を使用し、これらからの情報を制御装置90に入力している。これらの情報は、制御装置90内にCPU92によって演算をして、その後、適当な電気信号を、モータードライバ98を介してモーター31へ出力している。この結果、当該車両用前照灯1を備えた車両の走行環境や走行状況に合わせて、自動的に最適な照射範囲100を照射する車両用前照灯1とすることができる。
【0050】
また、可動部30の作動規制部50とモーターケース34との間には、作動規制部50が上方に向かう方向に、スプリング60によって付勢力が与えられている。このため、作動規制ピン53が回転方向作動範囲78から軸方向作動範囲79に移動、つまり、すれ違いビームから走行ビームへの移動はスプリング60の付勢力によりゆっくり動き、これとは逆に、走行ビームからすれ違いビームへの移動は、素早い動きとなる。この結果、走行ビームで走行中に、不意に対向車が現れた場合でも、すれ違いビームに素早く動かせるので、対向車に迷惑をかけることの無い車両用前照灯1とすることができる。
【0051】
また、前記スプリング60は、シェード20をすれ違いビームとして使用する方向である、作動規制部50が上方に向かう方向にスプリング60の付勢力が与えられている。このため、作動規制ピン53が回転方向規制範囲78にある場合は、当該スプリング60が伸びた状態であるため、付勢力は小さいものとなっている。これにより、当該車両用前照灯1をすれ違いビーム用として使用し、照射範囲20の左右の段差を横方向に移動するためにモーター31を回転させる場合でも、付勢力が小さいので抵抗にならず、モーター31を小さいものにすることができる。この結果、可動部30をさらに小さくでき、よりコンパクト可動手段とすることができる。また、すれ違いビーム用とする場合のスプリング60の付勢力は小さいが、それでも小さいながら付勢力が与えられている。この結果、すれ違いビーム用として使用する場合のシェード20を安定させることができる。
【0052】
なお、実施の形態では、制御装置90を設け、各種センサーからの情報の入力により、自動的に車両の走行状況に適した照射範囲100になる車両用前照灯1としているが、制御装置90を使用せず、ステアリングの舵角センサー93や方向指示器96、及びすれ違いビームと走行ビームとの切替えスイッチ95のみを使用して可動ユニット28を可動させる車両用前照灯1としてもよい。この場合は、ステアリングの回転や方向指示器の作動により、照射範囲の100傾斜部101が、それに合わせて横方向に移動し、すれ違いビームと走行ビームとの切替えスイッチ95の切替えにより、すれ違いビームと走行用ビームとを切り替える。このように、照射範囲100は自動的には変化しないが、運転者の動作により変化させることができ、車両用前照灯1の照射範囲100を可変させる場合に、その構成が単純になり、コストを抑えることができる。
【0053】
また、作動規制ピン53は、その内側にスプリングを設け、可動部ケース70を可動部30に被せる際に、それを押し縮めることによって可動ユニット28を組立てているが、作動規制ピン53の位置に、螺刻した孔を設け、可動部ケース70を可動部30に被せた後に、その孔に螺刻したピン等を螺合させてもよい。最終的に、作動規制溝77内に、作動規制部50に固定された突起部が入るガイド手段となっていれば、その構造はどのようなものでも構わない。また、モーター軸32とシェード固定軸40との連結は、切欠き部33及び平面部42を設けることにより、軸方向には自由に動き、軸の回転方向には固定されて連結されるが、図7(B)に示すように、モーター軸32にキー溝33aを設け、同様にシェード固定軸40にキー溝42aを設けて、キー44を双方にキー溝に挿入して、モーター軸32とシェード固定軸40とを連結してもよい。また、それ以外の構造でも、モーター軸32とシェード固定軸40が軸方向には自由に動き、軸の回転方向には固定される構造ならば、どのような構造でも構わない。
【0054】
また、反射面5は2つの焦点を有する回転楕円面状の形状の一部から形成されているが、反射面5はこのようなものに限定されない。例えば、楕円面と放物面の複合曲面から成り、シェード20の光カット縁近傍に線状に反射光を集光させるようなもの、或いは、もっと複雑な複合面から成るようなもの、または自由曲面、及びその他のものでも良い。要は、シェード20の上部、つまりカットラインを形成する部分の近傍に点状、或いは線状に反射光を集光させることができる反射面であれば良い。これらの形状で反射面5を形成することにより、放電灯2で発光した光を、より正確に任意の方向に反射させることができ、理想の照射範囲とすることができる。また、実施の形態では放電灯を説明したが、電球は放電灯以外の、ハロゲン電球または白熱電球でもよい。また、この発明は、車両用の前照灯に限らず、一方向に照射する灯具ならば、その用途は問わない。
【0055】
【発明の効果】
以上から明らかように、この発明にかかる車両用前照灯(請求項1)によれば、遮光部を回転方向に可動させることによって、すれ違い用の配光パターンのカットラインにおける光照射範囲が左右に変化する。また、軸方向に可動させることによって、すれ違い用の配光パターンと走行用の配光パターンとを切り替えることができる。この結果、各機能ごとの灯具が不要となるので設置スペースを小さくすることができ、その分、車両用前照灯をコンパクトにまとめることができる。さらに、上記の遮光部は可動手段が有する軸に固定されており、この軸は、軸の左右方向の回転のガイド及び上下方向の動きのガイドをするガイド手段と、1個の駆動手段とによって動かされている。この結果、遮光部の全ての動きを、1本の軸で実現できるので、照射範囲を変化させる車両用前照灯とする場合に、その変化させる構造を簡単にすることができる。
【0056】
また、この発明にかかる車両用前照灯(請求項2)によれば、第1軸部および第2軸部の連結により回転方向及び上下方向に動く軸を実現し、第1溝部および第2溝部および突起部により上記のように軸を動かすガイド手段を実現している。この結果、可動手段の構造が簡単となり、その分、製造コストが安価となる。
【0057】
また、この発明にかかる車両用前照灯(請求項3)によれば、弾性部材の付勢力によって、すれ違いビームから走行ビームへの切替えを素早く行うことができる。この結果、対向車の運転者に必要以上に眩しさを与えない車両用前照灯とすることができる。
【0058】
また、この発明にかかる車両用前照灯(請求項4)によれば、前記駆動手段を情報処理手段によって可動させることにより、車両の走行環境に適した照射範囲に変化する車両用前照灯とすることができ、より実用的な車両用前照灯とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる車両用前照灯の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1の断面VV図である。
【図3】図2のシェードを軸方向に作動させた図である。
【図4】図1の断面HH図である。
【図5】図4のシェードを回転方向に作動させた図である。
【図6】(A)は、シェード及び可動部の詳細図、(B)は、可動部ケースの詳細図である。
【図7】(A)は、図6の断面SS図、(B)は、(A)の変形例である。
【図8】シェード及び可動部ユニットの組立図である。
【図9】図8のシェードを軸方向に作動させた図である。
【図10】(A)は、作動規制ピンが作動規制溝の回転方向作動範囲の中央部付近にある図、(B)は、作動規制ピンが作動規制溝の回転方向作動範囲の右端にある図、(C)は、作動規制ピンが作動規制溝の回転方向作動範囲の左端にある図、(D)は、作動規制ピンが作動規制溝の軸方向作動範囲の下端にある図である。
【図11】(A)は、図10の(A)の場合の照射範囲を示す図、(B)は、図10の(B)の場合の照射範囲を示す図、(C)は、図10の(C)の場合の照射範囲を示す図、(D)は、図10の(D)の場合の照射範囲を示す図である。
【図12】実施の形態の車両用前照灯の制御の構成図である。
【符号の説明】
1 車両用前照灯
2 放電灯
3 発光部
5 反射面
20 シェード
28 可動ユニット
30 可動部
31 モーター
32 モーター軸
34 モーターケース
35 モーター軸挿通孔
40 シェード固定軸
41 モーター軸連結部
43 シェード固定部
50 作動規制部
53 作動規制ピン
60 スプリング
70 可動部ケース
77 作動規制溝
78 回転方向作動範囲
79 軸方向作動範囲
90 制御装置
100 照射範囲
F1 第1焦点
F2 第2焦点

Claims (4)

  1. 車両の旋回方向に光を照射するプロジェクタタイプの車両用前照灯において、
    光源と、
    前記光源からの光を反射させるリフレクタと、
    前記リフレクタからの反射光を所定の方向に照射するレンズと、
    前記リフレクタと前記レンズとの間に設けられ、すれ違い用の配光パターンのカットラインを形成する遮光部と、
    前記遮光部を、回転軸回りに左右に回転させ、また、前記回転軸方向に上下に移動させる可動手段と、
    を備え、
    前記可動手段は、
    前記遮光部に前記回転軸方向に固定した軸と、
    1個の駆動手段と、
    前記駆動手段の駆動により、前記軸を左右に回転させるガイドと上下に移動させるガイドとを有するガイド手段と、
    から構成されていることを特徴とする車両用前照灯。
  2. 前記可動手段の軸は、前記遮光部に固定された第1軸部と、前記駆動手段に設けられた第2軸部とからなり、前記第1軸部と前記第2軸部とは、回転方向に一体に固定され、軸方向に伸縮可能に連結されており、
    前記ガイド手段は、前記駆動手段に固定された固定部と、前記固定部および前記第1軸部に設けられ、相互に係合する溝部、および突起部とから構成されており、
    前記溝部は、所定の範囲の左右回転方向に形成された第1溝部と、前記第1溝部の端部から続いて斜め方向に形成された第2溝部とからなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
  3. 前記遮光部は、伸縮可能に連結された前記第1軸部と前記第2軸部とが伸びた状態の場合には上に位置して前記すれ違い用の配光パターンを形成し、また、前記第1軸部と前記第2軸部とが縮んだ状態の場合には下に位置して走行用の配光パターンを形成し、
    前記第1軸部と前記固定部との間には、前記第1軸部と前記第2軸部とが伸びる方向の付勢力を有する弾性部材が設けられている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
  4. 前記可動手段には、前記遮光部を左右に回転させたり上下に移動させたりするための車両走行時の情報処理手段およびまたは、前記遮光部を左右に回転させるための車両の方向転換手段と、前記遮光部を上下に移動させるための照射範囲の切替え手段とが、設けられている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008135302A (ja) * 2006-11-29 2008-06-12 Stanley Electric Co Ltd プロジェクタ型車両用灯具
EP2039567A1 (de) * 2007-09-24 2009-03-25 Hella KGaA Hueck & Co. Projektionsscheinwerfeanordnung für Fahrzeuge
JP2010040483A (ja) * 2008-08-08 2010-02-18 Koito Mfg Co Ltd 車輌用前照灯

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