JP2004287968A - 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 - Google Patents
共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004287968A JP2004287968A JP2003080641A JP2003080641A JP2004287968A JP 2004287968 A JP2004287968 A JP 2004287968A JP 2003080641 A JP2003080641 A JP 2003080641A JP 2003080641 A JP2003080641 A JP 2003080641A JP 2004287968 A JP2004287968 A JP 2004287968A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductor
- resonance
- circuit
- substrate
- capacitance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【解決手段】本発明に係る共振タグ10は、少なくとも電気的に絶縁性を示す片面を備えたシート状の基板11と、基板11の片面の面内に配され二重らせん構造をなす外側の第一導体12と内側の第二導体13からなるアンテナコイル14と、基板11の片面の面内に対向して配され櫛形をなす第三導体15と第四導体16からなる静電容量調整手段17とで構成されており、第一導体12と第二導体13の内端12b、13b同士は接触し、第一導体12と第二導体13の外端はそれぞれ第三導体15と第四導体16の一端に接続され、第三導体と第四導体の他端15b、16bはいずれも開放端を成しており、第一導体12のインダクタンスL1と第二導体13のインダクタンスL2は異なる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検知装置から発信される特定周波数の電波に共振する共振回路を基板上に設けた共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法に係り、特に、共振回路を設けるにあたり基板の両面加工が不要で、かつ、共振回路の共振周波数を調整可能とした共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種商店において商品を販売する際に、存在感知型の非接触性IDタグ(共振タグと呼ぶ)を、その商品に取り付け、万引き防止や在庫管理に利用するシステムが用いられている。
【0003】
例えば、このような共振タグは、レジでの代金決済の際に取り外されるが、顧客が代金を支払うことなく、これらの共振タグを商品に付けた状態で、特定周波数の電波を発信する検知装置を備えたゲートを通過すると、音や光などを発する警報装置により警告が発令されるシステムにおいて利用される。
【0004】
図2は、従来の共振タグの一例を示す構成図である。図2に示す共振タグ21は、誘電体としてポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムまたは他の合成樹脂フィルム22を用い、この樹脂フィルム(誘電体)22の両面に、アルミニウム箔等の金属箔23、24を押し出しまたは熱圧着等の方法により貼り合わせた材料を基板材料として製造される(特許文献1参照)。
【0005】
誘電体としての樹脂フィルム22の両面に貼り合わされる金属箔23、24のうち、その片側の金属箔23は、螺旋状パターンの回路であって、該螺旋状パターンによりコイルを形成すると共に、コンデンサ電極板部23Aと回路端子部23Bとを両端に有する回路として使用され、この金属箔23と反対側の金属箔24は、コンデンサ電極板24Aと回路端子部24Bとを有する回路として使用される。
【0006】
そして、ある特定の共振周波数を得るため、上述の基板材料の両面、すなわち、金属箔23、24上に各種印刷方法により耐エッチング性を有するインクを用いて「共振周波数回路」を印刷し、その後酸またはアルカリ等の薬液を用いて化学的にエッチング処理を施し、共振回路を形成する。
【0007】
なお、共振回路を形成するためには、片側の金属箔23の螺旋状パターンの回路における回路端子部23Bと、反対側の金属箔24の回路端子部24Bとを接続する必要がある。
【0008】
この接続方法としては、両方の金属箔23、24を表面が凸凹状を呈している固い物質で上下に押し潰すようにした所謂圧接法等が好適に用いられる。この圧接により、金属箔23、24の間にある樹脂フィルム22が破壊し両面にある金属箔23、24が導通し短絡する。
【0009】
この短絡により、抵抗R、インダクタンスLおよび静電容量(コンデンサ容量)Cの3要素からなる共振回路が構成され、共振タグ21が所定の共振周波数を持つことになる。
【0010】
この等価回路の共振周波数fは、f=1/{2π√(LC)}となり、この周波数の信号を前記ゲートの検知装置から与えると共振し、その存在が発覚する。ここで、金属箔23、24と誘電体22がコンデンサ容量を形成し、抵抗は金属箔23、24自体の抵抗により形成される。
【0011】
しかしながら、図2に示す共振タグ21の場合、樹脂フィルム22の片面のみに、螺旋状パターンの回路を備え、この螺旋状パターンによりコイルを形成すると共に、コンデンサ電極板部と回路端子部とを両端に有する回路を形成した、所謂片面コイル式であるため、共振タグ21のサイズを小さく制限し小型化を図ろうとしても、コイルおよびコンデンサの大きさに制限され、周波数の低いタイプを形成することは困難であった。また、周波数の可変範囲を拡げる場合にも制限があるという課題を有していた。
【0012】
図3は、従来の共振タグの他の一例を示す構成図であり、上記課題すなわち共振タグの性能を向上しつつ小型化を図ることを目的として提案された共振タグの例である(特許文献2参照)。
【0013】
図3の共振タグ35は、誘電体となる樹脂フィルム36の両面それぞれに、金属箔37、38を螺旋状パターンとした回路を設けて成り、該螺旋状パターンによりコイルを形成すると共に、螺旋状パターン略全体でコンデンサ電極板部を構成し、かつ一端部に回路端子部を有する回路を設け、共振周波数回路を形成した構成である。
【0014】
上記構成からなる共振タグにおいて、共振回路の等価回路の共振周波数fは、f=√2/{2π√(LC)}若しくはf=1/{2π√(2LC)}等となって、この周波数の信号を検知装置から与えると共振して、その存在が発覚する。
【0015】
図3の共振タグ35は、両面コイル式を採用しているので、共振タグのサイズを小さく制限した場合でも、図2に示すような片面コイル式の共振タグと比較して、コイルおよびコンデンサの大きさが制限されず、周波数の低いタイプを形成することが可能であると共に、周波数の可変範囲を拡げる場合にも制限が少ない等、性能面で有利であることが記載されている。
【0016】
共振タグ35では、ある特定の共振周波数を得るためには、樹脂フィルム36の両面それぞれ設けた金属箔37、38を覆うように、各種印刷方法により耐エッチング性を有するインクを用いて「共振周波数回路」を印刷し、その後酸またはアルカリ等の薬液を用いて化学的にエッチング処理を施し、共振回路が形成されることが説明されている。つまり、共振タグ35において共振回路を設けるには、さらなる積層プロセスが要求される。
【0017】
なお、図3の共振タグ35で積層形成した共振回路はこのまま使用してもよいが、片側の金属箔37からなる螺旋状パターンの回路における適宜位置、例えば回路端子部37Aと、反対側の金属箔38の螺旋状パターンの回路における適宜位置、例えば回路端子部38Aとを接続してもよい。
【0018】
しかしながら、図2や図3に示した従来の共振タグは両方とも、基板をなす樹脂フィルムの表裏両面に、金属箔からなるコイルや回路を設ける必要があるので、基板両面に対する処理が必須であった。この両面処理は、製造工程を複雑化させると共に、製造コストを押し上げ、ひいては製造品質の向上を阻む要因となっていた。
【0019】
また、図2や図3に示した従来の共振タグの共振回路では、作製時に決定した共振周波数でのみ検知可能であり、作製後に適宜この共振周波数を変更して利用するような用途、例えば商品の使用あるいは通過の度数に応じて共振周波数を適宜変更し、この共振周波数の検知により商品管理を行うような分野などへの適用は難しい状況にあった。
【0020】
【特許文献1】
特開平1−129396号公報
【特許文献2】
特許第3306560号明細書
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、基板の片面に対する処理のみで作製できる共振回路を備え、所望の共振周波数をもつように共振回路を作製後に少なくとも一回以上変更できる共振タグを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、少なくとも絶縁性の片面を備えた基板と、前記片面の面内に配され二重らせん構造をなす外側の第一導体と内側の第二導体からなるアンテナコイルと、前記片面の面内に対向して配され櫛形をなす第三導体と第四導体からなる静電容量調整手段とで構成され、
前記第一導体と前記第二導体の内端同士は接触し、該第一導体と該第二導体の外端はそれぞれ前記第三導体と前記第四導体の一端に接続され、該第三導体と該第四導体の他端はいずれも開放端を成しており、該第一導体のインダクタンスL1と該第二導体のインダクタンスL2は異なることを特徴とする共振タグを提供する。
【0023】
上記共振タグであれば、基板の片面のみに配されるアンテナコイルは、二重らせん構造をなす外側の第一導体と内側の第二導体から構成され、第一導体と第二導体の内端同士は接触し、該第一導体と該第二導体の外端はそれぞれ前記第三導体と前記第四導体の一端に接続された回路を成しているので、この共振タグが特定周波数の電波を発信する検知装置からこの電波を受信した際、フレミングの左手の法則に従い、第一導体と第二導体には逆向きの磁界が発生し、これに伴い、第一導体と第二導体に逆向きに電流が流れることになる。
【0024】
上記二重らせん構造をなす外側の第一導体と内側の第二導体からなるアンテナコイルでは、第一導体が第二導体より外側に配されているので、第一導体の最外周内の面積S1は第二導体の最外周内の面積S2に比べてより大きな値をもつことになる。
【0025】
面積が大きいほど通過する磁束が大きくなるので、第一導体のインダクタンスL1は第二導体のインダクタンスL2より大きな値を有することができる。したがって、この構成によれば、その差分L(=L1−L2)をより大きく設定できるので望ましい。
【0026】
上記共振タグでは、第一導体のインダクタンスL1と第二導体のインダクタンスL2は異なる状態にあるので、上記アンテナコイルはL1とL2の差分に相当する合成リアクタンスLを有する回路を成しており、この回路の共振周波数Fは、F=1/2π√(LC)で表記される。ここで、Cは寄生容量である。
【0027】
上記共振周波数Fを表す式から、本発明に係る共振タグは、合成リアクタンスLがゼロ以外であれば、原則的に成立し、Lが大きくなるほど共振周波数Fは低周波側にシフトすることが分かる。
【0028】
したがって、上記構成からなる共振タグであれば、その共振周波数Fは、F=1/2π√(LC)となり、この周波数の信号を検知装置から与えると共振して、その存在が発覚するという作用を有する。
【0029】
本発明に係る共振タグは、基板の片面の面内に上述した特定形状のアンテナを設けるだけで上記作用が得られることから、従来の共振タグでは必要とした基板両面に対する処理が不要となるので、製造工程の簡単化や製造コストの抑制を図ることが可能となる。
【0030】
また、上記構成の共振タグは、上述したアンテナコイルを設けた同じ基板の同一面内に、対向して配され櫛形をなす第三導体と第四導体からなる静電容量調整手段を備えている。
【0031】
そして、第三導体と第四導体の一端はそれぞれ、アンテナコイルを構成する第一導体と第二導体の外端に接続されており、第三導体と第四導体の他端はいずれも開放端を成している。
【0032】
つまり、上記の静電容量調整手段は、対向して配され櫛形をなす第三導体と第四導体から構成されているので、これらの第三導体と第四導体は狭い間隙をもって交互に配された形態を成す。
【0033】
この形態によれば、個々の間隙を介して配置された第三導体と第四導体は個別にコンデンサとして機能することから、上記の静電容量調整手段は複数個のコンデンサが並列に配置されたものとして働く。
【0034】
このような構成の静電容量調整手段であれば、並列に配置されたコンデンサのうち適当な箇所を切り離すという分断処理を施すことが可能なので、その結果、静電容量調整手段は分断されずに残されたコンデンサからなる容量をもつようにその静電容量を適宜変更できる。
【0035】
したがって、本発明によれば、従来要した基板両面に対する処理が不要となるので、製造工程の簡単化や製造コストの抑制が図れると共に、所望の共振周波数をもつように共振回路を作製後に少なくとも一回以上変更できる共振タグの提供が可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明に係る共振タグについて図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係る共振タグの一例を示す概略図であり、図1(a)は平面図を、図1(b)は図1(a)のA−A’における断面図を表す。
【0037】
図1の共振タグ10は、少なくとも電気的に絶縁性を示す片面を備えたシート状の基板11と、基板11の片面の面内に配され二重らせん構造をなす外側の第一導体12と内側の第二導体13からなるアンテナコイル14と、基板11の片面の面内に対向して配され櫛形をなす第三導体15と第四導体16からなる静電容量調整手段17とで構成されている。
【0038】
また、第一導体12と第二導体13の内端12b、13b同士は接触し、第一導体12と第二導体13の外端はそれぞれ第三導体15と第四導体16の一端に接続され、第三導体と第四導体の他端15b、16bはいずれも開放端を成しており、第一導体12のインダクタンスL1と第二導体13のインダクタンスL2は異なることを特徴としている。
【0039】
かかる構成の共振タグ10では、第一導体12のインダクタンスL1と第二導体13のインダクタンスL2は異なる状態、すなわちL1≠L2の関係にあるので、上記アンテナコイル14ではL1とL2の差分が必ず発生する。
【0040】
ゆえに、アンテナコイルはこの差分に相当する合成リアクタンスLを有する回路となる。このような回路の共振周波数Fは、F=1/2π√(LC)と表記される。ここでCは寄生容量である。
【0041】
この共振周波数Fを表す式から、本発明に係る共振タグ10は、合成リアクタンスLがゼロ以外なので、Lがゼロ近傍のとき共振周波数Fは最も高い周波数となり、Lが大きくなるほど共振周波数Fは低周波側にシフトする傾向をもつことが分かる。
【0042】
つまり、第一導体12と第二導体13の相対的な形態を変更し、L1とL2の大小関係を適宜変えることにより、所望の共振周波数Fに設定されたアンテナコイル14を備えた共振タグ10の提供が可能となる。
【0043】
また、本発明に係る共振タグ10は、アンテナコイル14を設けた同じ基板の同一面内に、対向して配され櫛形をなす第三導体15と第四導体14からなる静電容量調整手段17を備えている。
【0044】
そして、第三導体15と第四導体16の一端15a、16aはそれぞれ、アンテナコイル14を構成する第一導体12と第二導体13の外端12a、13aに接続されており、第三導体15と第四導体16の他端15b、16bはいずれも開放端を成している。
【0045】
上記の静電容量調整手段17では、第三導体15と第四導体16が有する複数個の開放端が対向して配され櫛形を成している。第三導体が備える一つの開放端15bと第四導体が備える一つの開放端16bの相対的な配置から明らかなように、第三導体の開放端15bと第四導体の開放端16bは狭い間隙をもって交互に配された形態をとる。
【0046】
この形態によれば、個々の間隙を介して配置された第三導体の開放端と第四導体の開放端は個別にコンデンサとして機能するので、上記の静電容量調整手段17は複数個のコンデンサが並列に配置されたものとして働く。
【0047】
特に、上記構成の静電容量調整手段17であれば、並列に配置されたコンデンサのうち適当な箇所を切り離すという分断処理を施すことにより、静電容量調整手段17は分断されずに残されたコンデンサからなる容量をもつようにその静電容量を適宜変更できる。
【0048】
この切り離しを行うのに好適な箇所としては、例えば第三導体15の場合は、一つの開放端の付け根と他の開放端の付け根との間の部分15c、15d、15e、15f、15g、15h、15i、15jが挙げられる。
【0049】
例えば、15jの部分で分断した場合には、第三導体の開放端と第四導体の開放端からなる一対のコンデンサのみが静電容量調整手段17として働くのに対して、15iの部分で分断した場合には、第三導体の開放端と第四導体の開放端からなる二対のコンデンサが静電容量調整手段17として機能する。
【0050】
同様に、分断箇所を15hから15cに変更することにより、対を成すコンデンサの数を変えることができる。
【0051】
上述したように、本発明に係る共振タグの共振回路の共振周波数Fは、F=1/2π√(LC)と表記されるので、上記分断処理による静電容量調整手段17のコンデンサ容量の変化は、共振周波数の微調整を可能とする。
【0052】
ここでは、分断処理の可能な箇所として、第三導体15を例にとり詳細に説明をしたが、第三導体15に代えて第四導体16でも同様な箇所を分断処理することにより、同様の作用・効果が得られることは言うまでもない。
【0053】
したがって、本発明によれば、従来要した基板両面に対する処理が不要となるので、製造工程の簡単化や製造コストの抑制が図れると共に、所望の共振周波数をもつように共振回路を作製後に少なくとも一回以上変更できる共振タグの提供が可能となる。
【0054】
本発明に係る共振タグのキャパシタンス調整方法は、上述した共振タグ17を用い、第三導体15または第四導体16の一部を分断加工することを特徴としているので、共振タグが所望の共振周波数をもつように、共振回路を作製した後においても、希望通りの時期に変更することができる。
【0055】
例えば、作製された共振タグ10を構成する静電容量調整手段17に対して、先端側から順に分断処理を多段階に行うことで、静電容量を順次減らすことが可能となるので、これに伴い回路の共振周波数Fを長波長側にシフトさせることができる。
【0056】
つまり、本発明に係る共振タグのキャパシタンス調整方法によれば、作製時に決定された共振周波数での検知はおろか、作製後に適宜この共振周波数を多段階に変更して利用するような用途、例えば商品の使用あるいは通過の度数に応じて共振周波数を適宜変更し、この共振周波数の検知により商品管理を行うような分野などへの適用が可能となる。
【0057】
図2や図3に示ような従来の共振タグが搭載する共振回路は、作製時に決定した固有の共振周波数でのみ検知可能であり、作製後に適宜この共振周波数を変更して利用するような用途、例えば商品の使用あるいは通過の度数に応じて共振周波数を適宜変更し、この共振周波数の検知により商品管理を行うような分野などへの適用は難しい状況にあったが、本発明に係る共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法はこの従来の問題を打破することに寄与する。
【0058】
本発明に係る共振タグでは、第一導体のインダクタンスL1と第二導体のインダクタンスL2とを異ならせるために、第一導体と第二導体が互いに横断面積の異なる部分を少なくとも備える形態が好適に用いられる。
【0059】
第一導体と第二導体が互いに横断面積の異なる部分を持たせることにより、第一導体のインダクタンスL1と第二導体のインダクタンスL2との差分、すなわち共振タグが作製時に備える共振回路の合成リアクタンスLを適宜調整し、所望の値に設計することが可能となる。
【0060】
特に、前記第一導体が前記第二導体に比べて横断面積の小さな部分を長く備えてなる形態を採用すれば、合成リアクタンスL(=L1−L2)がより大きくなるので、共振周波数を低く設定する場合には有効である。
【0061】
第一導体と第二導体が互いに横断面積の異なる部分を有し、合成リアクタンスL(=L1−L2)を正の大きな数値とするためには、次に示す2つの代表的な設定が挙げられる。
【0062】
(1)第一導体と第二導体の高さが略同一とした場合は、第一導体は第二導体に比べて幅の狭い部分を長く設ける。
【0063】
(2)第一導体と第二導体の幅が略同一とした場合は、第一導体は第二導体に比べて高さの低い部分を長く設ける。
【0064】
つまり、本発明に係る共振タグは、共振回路が有する合成リアクタンスLを変えて設計することで共振周波数の初期値を広範囲に変えた形態とすることができると共に、静電容量調整手段における静電容量の順次削減により回路の共振周波数Fを長波長側にシフトさせることもできる。したがって、本発明は、従来の共振タグより広い帯域の共振周波数に対応可能な能力を備えた共振タグの提供に寄与する。
【0065】
また、本発明に係る共振タグは、共振回路をなすアンテナコイルと静電容量調整手段を、基板の片面に設けることにより、上記の作用・効果が実現できる。ゆえに、従来要した基板両面に対する処理が不要となるので、製造工程の簡単化や製造コストの抑制が図れ、高品質で安価な共振タグの提供が可能となる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、二重らせん構造をなす外側の第一導体と内側の第二導体からなり、第一導体と第二導体の内端同士は接触し、該第一導体と該第二導体の外端はそれぞれ前記第三導体と前記第四導体の一端に接続された回路をなすように構成されたアンテナコイルを基板の片面のみに設けるだけで、従来と同様に所望の共振周波数に設定されたアンテナコイルを有する共振タグが得られる。
【0067】
つまり、本発明に係る共振タグは、基板の片面の面内に上述した特定形状のアンテナを設けるだけで所望の共振周波数の設定が可能であり、従来の共振タグで要した基板両面に対する処理が不要となる。ゆえに、本発明によれば、製造工程の簡単化により良品率の向上や製造コストの抑制が図れるので、安価でありながら高い信頼性を備えた共振タグの提供が可能となる。
【0068】
また、本発明に係る共振タグは、上記アンテナコイルを設けた同じ基板の同一面内に、対向して配され櫛形をなす第三導体と第四導体からなる静電容量調整手段を備えており、この静電容量調整手段は並列に配置されたコンデンサとなっている。
【0069】
ゆえに、第三導体あるいは第四導体の適当な箇所を切り離すという分断処理を施すことによって、所望の共振周波数をもつように共振回路を作製後に少なくとも一回以上変更できる共振タグの提供も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る共振タグの一例を示す概略図である。
【図2】従来の共振タグの一例を示す概略図である。
【図3】従来の共振タグの他の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 共振タグ、
11、21 基板、
12、22 第一導体、
13、23 第二導体、
14、24 アンテナコイル。
Claims (2)
- 少なくとも絶縁性の片面を備えた基板と、前記片面の面内に配され二重らせん構造をなす外側の第一導体と内側の第二導体からなるアンテナコイルと、前記片面の面内に対向して配され櫛形をなす第三導体と第四導体からなる静電容量調整手段とで構成され、
前記第一導体と前記第二導体の内端同士は接触し、該第一導体と該第二導体の外端はそれぞれ前記第三導体と前記第四導体の一端に接続され、該第三導体と該第四導体の他端はいずれも開放端を成しており、該第一導体のインダクタンスL1と該第二導体のインダクタンスL2は異なることを特徴とする共振タグ。 - 少なくとも絶縁性の片面を備えた基板と、前記片面の面内に配され二重らせん構造をなす外側の第一導体と内側の第二導体からなるアンテナコイルと、前記片面の面内に対向して配され櫛形をなす第三導体と第四導体からなる静電容量調整手段とで構成され、
前記第一導体と前記第二導体の内端同士は接触し、該第一導体と該第二導体の外端はそれぞれ前記第三導体と前記第四導体の一端に接続され、該第三導体と該第四導体の他端はいずれも開放端を成しており、該第一導体のインダクタンスL1と該第二導体のインダクタンスL2は異なる共振タグを用い、
前記第三導体または前記第四導体の一部を分断加工することにより静電容量の調整を行うことを特徴とする共振タグのキャパシタンス調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080641A JP4105012B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080641A JP4105012B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004287968A true JP2004287968A (ja) | 2004-10-14 |
JP4105012B2 JP4105012B2 (ja) | 2008-06-18 |
Family
ID=33294439
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003080641A Expired - Fee Related JP4105012B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4105012B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8233842B2 (en) | 2005-03-11 | 2012-07-31 | Innovision Research & Technology Plc | Communication devices having controlled impedances |
US8249500B2 (en) | 2005-02-24 | 2012-08-21 | Innovision Research & Technology Plc | Tuneable NFC device |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080641A patent/JP4105012B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8249500B2 (en) | 2005-02-24 | 2012-08-21 | Innovision Research & Technology Plc | Tuneable NFC device |
US8503931B2 (en) | 2005-02-24 | 2013-08-06 | Broadcom Innovision Limited | Tuneable NFC-enabled device |
US9305192B2 (en) | 2005-02-24 | 2016-04-05 | Broadcom Europe Limited | Tuneable NFC-enabled device |
US8233842B2 (en) | 2005-03-11 | 2012-07-31 | Innovision Research & Technology Plc | Communication devices having controlled impedances |
US9020425B2 (en) | 2005-03-11 | 2015-04-28 | Broadcom Europe Limited | Communication devices having controlled impedances |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4105012B2 (ja) | 2008-06-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4884477B2 (ja) | キャパシタストラップ | |
JP2001167366A (ja) | 共振タグ | |
JPH0993005A (ja) | 高周波回路用電極及びこれを用いた伝送線路、共振器 | |
JP2004534390A (ja) | Easタグ用金属化誘電体基板 | |
JP2010538370A (ja) | 洗濯破壊可能共振タグ | |
JP2004200829A (ja) | Rfidタグ | |
JP2004287968A (ja) | 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 | |
AU2007214496B2 (en) | Resonant tag | |
JP2005280287A (ja) | 共振ラベル用積層材の製造法 | |
JP4209230B2 (ja) | 共振タグおよび非接触型データ受送信体 | |
US20080191883A1 (en) | Resonant tag | |
JP3306560B2 (ja) | 共振タグ | |
JPH0844964A (ja) | 共振ラベル及びその製造方法 | |
JP2004287970A (ja) | 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 | |
JP2002157560A (ja) | 共振タグ | |
JP2004287969A (ja) | 共振タグ及びそのキャパシタンス調整方法 | |
JP6776662B2 (ja) | 平面アンテナ、非接触通信媒体、及び非接触通信媒体の製造方法 | |
EP0754334B1 (en) | An article surveillance tag | |
JP5288885B2 (ja) | バンドパスフィルタならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器 | |
JP3296658B2 (ja) | 共鳴ラベル | |
JP3244898B2 (ja) | 共鳴ラベル | |
JP3255223B2 (ja) | 盗難防止用タグ | |
JPH0744778A (ja) | 不活化可能な共鳴ラベル | |
JPH09198580A (ja) | 識別ラベル | |
JP2009290429A (ja) | バンドパスフィルタならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051222 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20051226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071127 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080115 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080318 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080326 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140404 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |