JP2004286737A - p16遺伝子ファミリーに含まれる癌抑制遺伝子の産物に対する自己抗体を検出するための免疫測定用試薬 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】p16遺伝子ファミリーに含まれる癌抑制遺伝子の産物(R)に対する自己抗体を検出するための免疫測定用試薬であって、配列番号(1)〜(4)のいずれかのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸配列を構成単位としてなる蛋白質(P)と水不溶性担体(B)とが結合されてなることを特徴とする免疫測定用試薬を用いる。また、この試薬と、抗ヒトイムノグロブリン抗体(酵素等の標識化合物で標識されていることが好ましい)とを含有してなる免疫測定用試薬キットを用いることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
蛋白質(P2)としては、配列番号(1)〜(4)のいずれかのアミノ酸配列をアミノ酸10〜130個(好ましくは30〜120個、さらに好ましくは50〜90個)となるように分割した断片(アミノ酸配列)を構成単位としてなる蛋白質等が含まれ、例えば、配列番号(5)〜(24)からなる群より選ばれる少なくとも1種の配列番号のアミノ酸配列を構成単位とする蛋白質等が挙げられる。これらのうち、配列番号(1)〜(4)のいずれかのアミノ酸配列のN末端領域(アミノ酸配列)又はC末端領域(アミノ酸配列)を含むアミノ酸配列が好ましく、例えば配列番号(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(11)、(12)、(14)、(15)、(16)、(17)、(19)、(20)、(21)、(22)及び/又は(24)のアミノ酸配列を構成単位としてなる蛋白質が好ましい。蛋白質(P2)が2種以上のアミノ酸配列を構成単位とする蛋白質である場合、N末端領域のアミノ酸配列{たとえば、配列番号(5)、(7)、(10)、(12)、(15)、(17)、(20)及び/又は(22)}とC末端領域のアミノ酸配列{たとえば、配列番号(6)、(9)、(11)、(14)、(16)、(19)、(21)及び/又は(24)}とを含むアミノ酸配列が好ましく、例えば、(5)と(6)、(7)と(9)、(10)と(11)、(12)と(14)、(15)と(16)、(17)と(19)、(20)と(21)又は(22)と(24)を含むことが好ましい。これらのうち、(7)と(9)、(12)と(14)、(17)と(19)又は(22)と(24)を含むことがさらに好ましい。
(1)標識化合物がアイソトープの場合、クロラミンTを酸化剤として用いて放射性ヨウ素を抗ヒトイムノグロブリン抗体のチロシン残基に導入する方法。
(2)標識化合物が蛍光物質の場合、フルオレセインイソチオシアネートを緩衝液中で抗ヒトイムノグロブリン抗体に反応させ、抗ヒトイムノグロブリン抗体のリシン残基に結合させる方法。
(3)標識物質が発光物質の場合、商品名「アクリジニウム誘導体−I」(同人化学研究所社製)を緩衝液中で抗ヒトイムノグロブリン抗体に反応させ、抗ヒトイムノグロブリン抗体のアミノ基に結合させる方法。
(4)標識物質が酵素の場合、酵素の持つアミノ基と抗ヒトイムノグロブリン抗体の持つチオール基をN−スクシンイミジル−6−マレイドヘキサノエート等のニ架橋性試薬で結合する方法。
工程1.検体と、蛋白質(P)及び水不溶性担体(B)が結合されてなる免疫測定用試薬(本発明の免疫測定用試薬)とを反応させて反応混合物(工程2の複合体1を含む)を得る。
工程2.工程1の反応混合物から未反応物を除き(B/F分離)、複合体1を得る。
工程3.工程2で得られた複合体1と、標識化合物で標識された抗ヒトイムノグロブリン抗体とを反応させて反応混合物(工程4の複合体2を含む)を得る。
工程4.工程3の反応混合物から未反応物を除き(B/F分離)、複合体2を得る。
工程5.複合体2の標識化合物の量を測定する。
工程6.標識化合物の量を用いて、基準値(陰性コントロール及び/又は陽性コントロール)と比較し、自己抗体の有無を判定する。
<作成例1>p16遺伝子産物(GST融合蛋白質)の作製
インターナショナル ジャーナル オブ オンコロジー(Int.J.Oncology),19,1035頁,2001年に記載の方法に準じて、GST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)との融合蛋白質を以下の通り作製した。
ヒト臍帯静脈血管内皮細胞{Human Umbilical Vein Endothelial Cell(フナコシ社より購入)}からRNAを抽出した。抽出は、AGPC(Acetate buffer,Guanidinium thiocyanate,phenol,chloroform)法を用いて、次のようにして行った。
(1)1M クエン酸ナトリウム(pH7.0)の調製
クエン酸三ナトリウムの29.4gを蒸留水80mlに溶解した後、クエン酸を加えて、pH7.0にあわせた後、25℃で蒸留水を加えて100mlとした。そして、オートクレーブ滅菌(120℃、20分)してから使用した。
(2)D液の調製
GTC(グアニジウムチオシアネート)236.3g(4M)、ザルコシル (L-Lauroylsarcosine)2.5g(0.8重量%)、1M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0) 12.5ml(25mM)及び蒸留水250mlを85℃で均一溶解した後、室温(25℃)に戻し、蒸留水で496mlにあわせた。細孔径0.45μmボトルトップフィルターで濾過して保存した。使用時にこの保存溶液50mlに対して2−メルカプトエタノール360μl(0.1M)を加え、D液とした。
(3)2M 酢酸ナトリウム(pH4.0)の調製
酢酸ナトリウム・トリハイドレート27.2gを蒸留水10mlに溶解させた後、酢酸を用いてpH4.0にあわせ、25℃で蒸留水を加えて100mlとした。細孔径0.45μmボトルトップフィルターで濾過して使用した。
(1)チューブにD液0.5mlを加え、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を分散し、細胞を破壊した。
(2)さらに、2M 酢酸ナトリウム50μl、フェノール0.5ml及びクロロホルム/イソアミルアルコール(体積比49/l)100μlを順次加え、1種類いれるごとに、チューブを2〜3回振り、混ぜた。
(3)10秒間激しく混ぜた後、15分間氷冷した。
(4)遠心加速度10,000Gで10℃、20分間遠心した後、下部に分離した水層を、DNAを含む中間層が混入しないように、別のチューブに分取した。
(5)分取した水層に、イソプロパノール0.5mlを加え、−20℃で1時間冷やした。次に、10分間遠心(10,000G、0℃)し、RNAを沈殿させた。
(6)沈殿したRNAを0.5mlのD液に再び溶解し、イソプロパノール0.5mlを加え、−20℃で1時間置いた。
(7)遠心してRNAを沈殿させ、沈殿を80重量%エタノール水溶液1mLで洗い、乾燥させた後、水に溶解した。
得られたcDNAを発現用ベクターpGEX−4T−3(アマシャム社より購入)のBamHI/EcoRI部位にモレキュラークローニング,ア ラボラトリー マニュアル第2版(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed),1989年記載の方法で組み込んだ。シークエンス法にてcDNAの挿入方向が正しく組み込まれていることを確認した後、大腸菌BL21(DE3),LysS(Novagen社)にトランスフォーム後、0.1mMのイソプロピルチオベータガラクトシド(IPTG)を含む培地にて37℃、2時間誘導をかけた。超音波破砕により調製した大腸菌の細胞ライゼイトより目的の融合蛋白質をグルタチオン結合アフィニティーゲル(商品名:グルタチオンセファロース4B、アマシャム社製)を用いたアフィニティークロマトグラフィー法にて精製(溶出液:10mMの還元型グルタチオンを含む0.02Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/塩酸緩衝液)し、GST融合蛋白質GST1{配列番号(1)のアミノ酸配列を構成単位としてなる蛋白質}を調製した。
表1に示した3’プライマー及び5’プライマーを使用した以外は作成例1と同様にして、GST融合蛋白質(GST2〜12)を調製した。
1.GST1結合ビーズの作成
1重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン含有アセトン溶液20mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に直径3.2mmのガラスビーズ(イムノケミカル社製)1000個を加え、1時間、25℃で反応させ、反応残液をアスピレーターで吸引除去した。
次いで脱イオン水20mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、液をアスピレーターで吸引除去してガラスビーズを洗浄した。この洗浄操作を3回行った。
次いで、この洗浄後のガラスビーズ1000個を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液20mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、1時間、25℃で反応させ、反応残液をアスピレーターで吸引除去した。そして、脱イオン水20mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、液をアスピレーターで吸引除去してガラスビーズを洗浄した。この洗浄操作を3回行った。
さらにこの洗浄後のガラスビーズ1000個をGST1を20μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)20mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、1時間、25℃で反応させた。
反応後、GST1含有リン酸緩衝液を除去し、20mLの0.1重量%牛血清アルブミン含有リン酸緩衝液(pH7.2)に4℃、8時間浸漬した。その後、緩衝水溶液をアスピレーターで吸引除去し、20mLの0.1重量%牛血清アルブミン含有リン酸緩衝液(pH7.2)でビーズを2回洗浄した。その後、10重量%のショ糖を含むリン酸緩衝液(pH7.2)に30分間浸漬した後、リン酸緩衝液をアスピレーターで除き、ビーズをろ紙上に撒き室温(約25℃)で風乾し、GST融合蛋白質結合ビーズ1(本発明の免疫測定用試薬1)を調整し、乾燥剤(シリカゲル)を入れた密閉容器中で冷蔵(2〜10℃)保存した。
0.02Mのリン酸緩衝液(pH8.0)に、カゼインを3g/L及び塩化ナトリウムを8.5g/Lの濃度になるように添加し、免疫反応用緩衝液を作成した。使用時まで冷蔵(2〜10℃)保存した。
抗ヒトイムノグロブリンポリクローナル抗体(ダコジャパン(株)製)及び西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(東洋紡(株)製)を用い、文献[エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92(1982年)1413−1424頁]に記載の方法でペルオキシダーゼ標識抗β2−マイクログロブリンポリクローナル抗体[1mg/mLの蛋白質濃度である0.02Mのリン酸緩衝液(pH6.0)の溶液]を調製し、冷凍(−30℃)保存した。
上記で作成した免疫反応緩衝液及びペルオキシダーゼ標識抗ヒトイムノグロブリン抗体を用いて次の通り酵素標識抗体液を作成した。すなわち、免疫反応用緩衝液100mLにペルオキシダーゼ標識抗ヒトイムノグロブリン抗体を蛋白量で100μg添加し、攪拌混合し、これを酵素標識抗体液とした。
200μlの35重量%過酸化水素水を脱イオン水1リットルに溶解し、過酸化水素水とした。使用するまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
ルミノール(東京化成製)0.18g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール0.1g(三新化学製)を0.1M(モル/L)、pH8.5のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/塩酸緩衝液1リットルに溶解した。使用するまで遮光、冷蔵(2〜10℃)保存した。
1.GST融合蛋白質結合ビーズの作成
GST1に換えて、表2に示したGST融合蛋白質を用いた以外実施例1と同様にして、GST融合蛋白質結合ビーズ2〜10(本発明の測定用試薬2〜10)を調整し、乾燥剤(シリカゲル)を入れた密閉容器中で冷蔵(2〜10℃)保存した。
なお、複数のGST融合蛋白質を組み合わせて使用する場合(実施例5〜10)、各GST融合蛋白質の量は同じとし、総量が20μg/mLになるようにした。また、免疫反応用緩衝液、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトイムノグロブリン抗体、酵素標識抗体液、過酸化水素液及び基質液は、実施例1で作成したものを用いた。
健常人プール血清及び癌患者血清を測定した例である。
1.検体
健常人ボランティア50名から採取した血清を各0.2mLずつ混合し、健常人プール血清10mLを作成し検体1とした。又、癌患者から得た血清(患者1〜3)を各10mLを用意し検体2〜4として用いた。
12×75mm試験管中に、免疫測定用緩衝液300μL、検体1(健常人プール血清)10μL、及びGST融合蛋白質結合ビーズ1個を加え、37℃で、10分間反応させた。反応残液をアスピレータで除去した後、生理食塩水2mLを加てビーズを洗浄し、洗浄液をアスピレーターで除去した。さらに生理食塩水2mLを加え同様に洗浄した。次に、酵素標識抗体液300μLを、洗浄後のビーズに加え37℃、10分反応させた。反応液をアスピレーターで除去し、生理食塩水2mLを加えビーズを洗浄し、洗浄液をアスピレーターで除去した。さらに生理食塩水2mLを加え同様に2回洗浄した。洗浄後のビーズについて、次のようにして酵素活性の測定を行った。また、検体2〜4についても同様にして酵素活性の測定を行った。
洗浄後のビーズが入った試験管(12×75mm)をアロカ社製ルミネッセンスリーダーBLR−201型のサンプルホルダーにセットし、基質液200μL及び過酸化水素水200μLを加え化学発光反応を開始した。発光反応開始40秒後から10秒間の発光量を積算計測し、これを酵素活性を示す発光量とした。
発光量の測定結果を表2に示した。なお、表2中の数値は、上段が発光量を示し、下段は健常人プール血清の発光量を1.0としたときの各発光量の相対値(S/N比))である。
癌遺伝子産物のアミノ酸配列全体を用いた場合より、N末端及びC末端を含む配列を組み合わせて用いた方が、感度(S/N比)が高いことが判った(例えば、実施例1と実施例5の比較、実施例9と実施例10の比較等)。また、単独の癌抑制遺伝子に対応するGST融合蛋白質を用いた場合(実施例1〜8)、癌患者でも測定発光量が健常人プール血清と同じ場合があるが、複数の癌抑制遺伝子に対応するGST融合蛋白質を組み合わせて用いた場合(実施例9及び10)、測定発光量が全ての患者血清で高くなった。従って、患者者血清では個別のGST融合蛋白質に対して反応性が低い場合があっても、複数の癌抑制遺伝子に対応するGST融合蛋白質を組み合わせることにより特異性が向上することが判る。
本比較例は従来技術による方法で測定を行った例である。
1.GST融合蛋白質のブロッティング
作成例1〜4で作成したGST1〜GST4の各1μgをファルマシア社製「ファストシステム(PhastSystem)」を用いてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びニトロセルロースフィルターへのブロッティングを行った。電気泳動は、ゲルとしてファルマシア社製「ファストゲルホモジニアス(PhstGel Homogeneous)12.5」、泳動バッファーとしてファルマシア社製「ファストゲルスディエスバッファーストリップ(PhstGel SDS Buffer Strips)」を用い、温度15℃、電圧250V、泳動2時間で行った。泳動したゲルからGST蛋白質をファルマシア社製「ファストトランスファー(PhstTransfer)セミドライブロッティング」を用いてニトロセルロースメンブレン(ミリポア社製)にブロッティングした。ブロッティングバッファーは、192mMグリシン及び10容量%メタノールを含む25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH8.3)を用いた。ブロッティングは、温度15℃、電圧20V、泳動30分で行った。
このメンブレンを5重量%脱脂粉乳含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)に室温(25℃)で8時間浸した。メンブレンを取り出し、検体1(健常人プール血清)を5重量%脱脂粉乳含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で400倍に希釈した溶液に浸漬し、25℃、3時間反応させた。次いでフィルターを取り出し、0.1重量%Tween20含有0.02Mリン酸緩衝液(7.0)に25℃、1時間振とうしながら放置した後、液をアスピレーターで除くことによりフィルターを洗浄した。この洗浄を3回実施した。洗浄したフィルターを実施例1で作成した酵素標識抗体液に浸漬し、25℃、1時間反応した。上述の洗浄を同様に6回行った。洗浄したフィルターを50mgの3,3’−ジアミノベンジジンを含む100mLの0.05Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/塩酸緩衝液(pH7.6)に浸漬し、25℃、10分反応した。上述の洗浄を5回(ただし放置時間は10分)行った後、フィルターを25℃で風乾した後、生じた発色バンドを目視で確認した。また、検体2〜4(癌患者1〜3の血清)についても同様にして、発色バンドを目視確認した。
健常人ブール血清の場合のバンド(ほとんど生じないか、極弱い)と比較して、健常人ブール血清と同じ程度の場合を−、僅かに強い場合を±、強い場合を+で表した結果を表3に示した。実施例8で明らかにS/N差がある場合でも、比較例1では−あるいは±判定となる場合があった。また、比較例1の判定は目視による主観的な判断であり、判定者によって結果が異なる恐れがあるほど微妙なものであった。一方、本発明の方法は、実施例11で示したように数値として明確に測定できるため、こういった問題は無い。
複数の健常人血清を測定して基準値を求め、カットオフ値を設定し、癌患者10名からの血清を測定し、産物(R)に対する自己抗体の有無を判断した例である。
実施例10で調製したGST融合蛋白質(GST5,GST6,GST7,GST8,GST9,GST10,GST11及びGST12)結合ビーズ10を用いて、実施例11の方法と同様にして、健常人ボランティア120名からの血清検体及び実施例11の検体1(健常人プール血清)を測定した。
健常人ボランティア120名の測定値(発光量)の分布を図1に示した。なお、図の横軸は発光量(cps)であり、点は検体の分布(1点が1検体に対応)を示す。
健常人ボランティア120名からの血清検体及び検体1の測定値(発光量)を統計処理ソフト「STATFLEX v.4.1」(アーテック社製)を用いて分布型を解析した結果、発光量分布は、歪度0.72、尖度5.23であった。なお、この分布は正規分布していなかった。ノンパラメトリック法で95%の信頼区間を求めたところ、基準値は、発光量3013〜6855であった。ここで上限発光量の1.5倍の発光量をカットオフ値と設定すると、発光量10283であった。この時、検体1(健常人プール血清)の発光量は4738であり、カットオフ値の1/2.17であった。従って、検体1(健常人プール血清)を、陰性コントロールとして測定した場合、カットオフ値=「健常人プール血清測定発光量」×2.17と設定された。
癌患者10名(患者4〜13)から採取した血清検体5〜14及び陰性コントロールとして実施例8で作成した検体1(健常人プール血清)を測定した。測定は、実施例10のGST融合蛋白質結合ビーズ10を用いて実施例11と同様にして行った。
検体1(健常人プール血清)を陰性コントロールとし、上記2で設定した係数でカットオフ値(「健常人プール血清測定発光量」×係数)を求めた。発光量がカットオフ値以上(カットオフ比1.0以上)の測定値を自己抗体陽性、一方、発光量がカットオフ値未満(カットオフ比1.0未満)の測定値を自己抗体陰性と判断した。これらの結果を表4に示した。
表5に示した3’プライマー及び5’プライマーを使用した以外は作成例1と同様にして、GST融合蛋白質(GST13〜20)を調製した。
1.p16遺伝子産物(GST融合蛋白質)結合ビーズの作成
GST1に換えて、表6に示したGST融合蛋白質を用いた以外実施例1と同様にして、GST融合蛋白質結合ビーズ13〜25(本発明の測定用試薬13〜25)を調整し、乾燥剤(シリカゲル)を入れた密閉容器中で冷蔵(2〜10℃)保存した。
なお、複数のGST融合蛋白質を組み合わせて使用する場合(実施例21〜25)、各GST融合蛋白質の量は同じとし、総量が20μg/mLになるようにした。また、免疫反応用緩衝液、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトイムノグロブリン抗体、酵素標識抗体液、過酸化水素液及び基質液は、実施例1で作成したものを用いた。
実施例11と同様にして、検体を測定し表6に示した(表6中の数値は、上段が発光量を示し、下段は健常人プール血清の発光量を1.0としたときの各発光量の相対値である。)
癌患者では、測定発光量が健常人プール血清の発光量より高く、発光量比(表中下段の数値で、各測定発光量を健常人プール血清の測定発光量で除した値)が大きいことが判る。又、患者血清では個別のGST融合蛋白質に対して反応性が低い場合があっても、複数のGST融合蛋白質を組み合わせることにより感度が向上することが判る。
Claims (7)
- p16遺伝子ファミリーに含まれる癌抑制遺伝子の産物(R)に対する自己抗体を検出するための免疫測定用試薬であって、配列番号(1)〜(4)のいずれかのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸配列を構成単位としてなる蛋白質(P)と水不溶性担体(B)とが結合されてなることを特徴とする免疫測定用試薬。
- 請求項1に記載の試薬と、抗ヒトイムノグロブリン抗体とを含有してなる免疫測定用試薬キット。
- 抗ヒトイムノグロブリン抗体が標識化合物で標識されてなる請求項2記載の試薬キット。
- 標識化合物が酵素である請求項3記載の試薬キット。
- p16遺伝子ファミリーに含まれる癌抑制遺伝子の産物(R)に対する自己抗体を検出する免疫測定方法であって、請求項3又は4に記載の試薬キットをサンドイッチ法に適用し、産物(R)に対する自己抗体の有無を標識化合物の定量により判断する工程を含む免疫測定方法。
- 化学発光酵素免疫測定法による請求項5記載の免疫測定方法。
- 検体中のp16遺伝子ファミリーに含まれる癌抑制遺伝子の産物(R)に対する自己抗体の有無の判断工程において、検体として血液を用い、この検体に対する抗ヒトイムノグロブリン量と、複数の健常人の血液に対する抗ヒトイムノグロブリン量から設定される基準値とを比較することを含む請求項5又は6に記載の免疫測定方法。
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