JP2004286645A - 多波長光源装置 - Google Patents

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Masayuki Yamada
正之 山田
Yasushi Goto
泰史 後藤
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Abstract

【課題】小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる多波長光源装置を提供する。
【解決手段】多波長光源装置1は、空間的に光を分光する回折格子14と、回折格子の分散方向に配置され、各々所望の波長の光を含む光を回折格子14に向けて発光する複数の光源11と、回折格子14と光源11との間に配置され、光源11によって発光された光を平行光にして回折格子14に導くと共に、回折格子14で回折反射した光を集光するレンズ13と、レンズ13によって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させる出射スリット16とを備えており、出射スリット16は、複数の光源11が分布する角度内に配置されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに異なる波長の光を射出することができる多波長光源装置に関し、特に、よりコンパクトにした多波長光源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
測定対象物の特性を光を用いて測定する光学測定装置では、測定対象物に互いに異なる波長の光を照射する必要上、互いに異なる波長の光を射出する多波長光源装置を組み込むことが必要とされる。
【0003】
例えば、分光光度計は、測定対象物を透過した透過光の光強度値と基準濃度の溶液を透過した透過光の光強度値とを特定波長の光についてそれぞれ測定し、それらの値を比較して吸光度を算出することにより、測定対象物の化学成分を分析している。この場合において、吸収される光の波長が測定対象物によって異なるため、複数の波長の光が必要とされる。
【0004】
また、例えば、血中アンモニア濃度、血中尿素窒素濃度及びグルコース濃度などを測定する臨床検査用測定装置は、血液によって呈色した試薬パッドの検出層における色濃度やその変化を測定することによってそれら濃度を測定している。この場合において、測定項目によって使用する光の波長が異なるために、複数の波長の光が必要とされる。
【0005】
このような光学測定装置に組み込まれる多波長光源装置は、例えば、光学分析用光源装置として特許文献1に開示されている。
【0006】
図9は、特許文献1の光学分析用光源装置の構成を示す図である。図9において、光学分析用光源装置200は、電力を供給する電源211と、互いに異なる波長の光を発光する複数の発光ダイオード(以下、「LED」と略記する。)213(213a〜213e)と、LED213と電源211との間に介在され発光すべきLED213に選択的に電力を供給する切り換えスイッチ212と、凹面回折格子214と、出射スリット215とを備えて構成される。各LED213a〜213eは、凹面回折格子214を用いて分光器を構成した場合における波長分散位置220上の波長に応じた各位置に、LED213a〜213eのその発光波長に合わせてそれぞれ配置される。なお、波長分散位置220は、LED213aから213eに向かって長波長になる。そして、出射スリット215は、凹面回折格子214を用いて分光器を構成した場合に入射スリットが配置される位置に配置される。切り換えスイッチ212によって選択されたLED213からの光は、凹面回折格子214で分散され、出射スリット215の位置にはLED213の位置に対応した波長の光が集光される。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−171299号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の光学分析用光源装置200は、図9に示すようにLED213と出射スリット215とがそれぞれ離れた位置に配置されているため、装置自体が大型化してしまい、近年求められている装置の小型化及び軽量化を図ることが困難である。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる多波長光源装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多波長光源装置は、空間的に光を分光する分光素子と、前記分光素子の分散方向に配置され、各々所望の波長の光を含む光を前記分光素子に向けて発光する複数の光源と、前記分光素子と前記光源との間に配置され、前記光源によって発光された光を平行光にして前記分光素子に導くと共に、前記分光素子で回折反射した光を集光するレンズと、前記レンズによって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させる出射スリットとを備え、前記出射スリットは、前記複数の光源が分布する角度内に配置されていることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、複数の光源によって、各々所望の波長の光を含む光が分光素子に向けて発光され、分光素子と光源との間に配置されるレンズによって、光源によって発光された光が平行光にされて分光素子に導かれる。分光素子によって、レンズで平行光にされた光が回折反射され、回折反射された光は再びレンズに入射される。レンズによって、分光素子で回折反射した光が集光され、複数の光源が分布する角度内に配置されている出射スリットによって、レンズによって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみが通過する。
【0012】
このように、出射スリットが複数の光源が分布する角度内に配置されているため、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、レンズにとっては、軸外画角を従来より小さくすることができるので、性能面での負担を軽減することができる。
【0013】
また、上記の多波長光源装置において、前記出射スリットは、前記レンズの光軸近傍に配置されることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、出射スリットがレンズの光軸近傍に配置されるので、レンズによる収差を小さくすることができる。
【0015】
また、上記の多波長光源装置において、前記分光素子の分散方向に前記分光素子を回転させる回転機構及び前記レンズを光軸方向に平行移動させるレンズ移動機構のうちの少なくとも一方を備えていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、回転機構によって、分光素子の分散方向に分光素子が回転駆動され、レンズ移動機構によって、レンズが光軸方向に平行移動され、出射スリットから出射する光の波長が調整される。また、複数の光源の各波長に対して分光された光の分散の広がりを調整することができ、光源からの光が入射する方向及び出射方向を調整することができる。
【0017】
また、本発明に係る多波長光源装置は、光を回折反射させると共に、当該回折反射した光を集光する凹面回折格子と、前記凹面回折格子の分散方向に配置され、各々所望の波長の光を含む光を前記凹面回折格子に向けて発光する複数の光源と、前記凹面回折格子によって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させる出射スリットとを備え、前記出射スリットは、前記複数の光源が分布する角度内に配置されていることを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、複数の光源によって、各々所望の波長の光を含む光が分光素子に向けて発光され、凹面回折格子によって、光源によって発光された光が回折反射されると共に、当該回折反射した光が集光され、複数の光源が分布する角度内に配置されている出射スリットによって、凹面回折格子によって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみが通過する。
【0019】
このように、出射スリットが複数の光源が分布する角度内に配置されているため、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、軸外画角を従来より小さくすることができるので、性能面での負担を軽減することができる。
【0020】
また、上記の多波長光源装置において、前記複数の光源と前記出射スリットとを略同一平面内に配置することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、複数の光源と出射スリットとが略同一平面内に配置されるため、略同一平面内の所定の範囲内に複数の光源と出射スリットとを配置することができ、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
図1は、本実施形態における多波長光源装置の構成を示す平面図である。図2は、本実施形態における多波長光源装置の構成を示す側面図である。図3は、回折格子の原理を説明するための図である。
【0024】
図1及び図2において、多波長光源装置1aは、複数の光源11(11a,11b,11c,11d)、光源11に対応してそれぞれ設けられる複数の入射スリット12(12a,12b,12c,12d)、レンズ13、回折格子14、光束絞り15、出射スリット16及び光源駆動制御回路17を備えて構成される。
【0025】
各光源11は、各入射スリット12に対応して回折格子14における分散方向の略円弧上に一列にそれぞれ配置され、各々測定に必要な波長帯を含む発光波長強度分布を有する光を発光する部品である。光源11は、例えば、ハロゲンランプ、LED及び半導体レーザ(以下、「LD」と略記する。)等やこれらから放射された光を導光する光ファイバや光路棒等である。なお、本実施形態では、大きさ、発熱、寿命及びコストの点でより優れているLEDが使用される。光源11は、この多波長光源装置1aの仕様(スペック)から要求される出射光の波長数に応じて発光波長強度分布及び個数が決定される。本実施形態では、4個の光源11a,11b,11c,11dが用意され、光源11aから出て出射スリット16から取り出される光の中心波長が400nmであり、光源11bから出て出射スリット16から取り出される光の中心波長が500nmであり、光源11cから出て出射スリット16から取り出される光の中心波長が600nmであり、そして、光源11dから出て出射スリット16から取り出される光の中心波長が700nmである。
【0026】
入射スリット12は、光源11から放射される光に対し、特定方向の光の拡散を抑制すると共に所望の波長純度を得るための矩形(正方形を含む)の細隙である。この抑制する方向は、入射スリット12を透過した光が入射する回折格子14の溝方向に直角である。スリット幅は、入射スリット12を透過した光が所望の半値幅となるように波長に応じて決定される。
【0027】
レンズ13は、入射スリット12から射出された光を平行光にして回折格子14に導くと共に、回折格子14で回折反射した光(回折光)を集光する。
【0028】
回折格子14は、光学素材の表面に一方向に等間隔で平行な多数の溝を持つ分光素子であり、空間的に光を分光する。光束絞り15は、開口部151(図2参照)によって、回折格子14の溝に当たる光を制限する絞りであり、迷光の防止、照射スポット光束を決めるものである。
【0029】
レンズ13及び回折格子14の代わりに、光を集光するレンズ機能と光を分光する回折格子機能とを兼ね備える凹面回折格子を用いてもよい。
【0030】
出射スリット16は、入射スリット12と同様に、レンズ13によって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させると共に所望の波長純度を得るための矩形の細隙である。
【0031】
なお、出射スリット16の形状は、この多波長光源装置の使用目的(測定対象物の照明形状等)によって適宜決定されるものであり、上記の矩形以外に例えば円形などが採用され得る。また、入射スリット12の形状は主として出射スリット16の形状に応じて定められ、例えば円形などが採用され得る。
【0032】
光源駆動制御回路17は、電源やスイッチ等を備えて構成され、発光させるべき光源11に電力を選択的に供給する。
【0033】
次に、入射スリット12及び出射スリット16の配置位置について詳述する。まず、配置方向について説明する。
【0034】
一般論として、回折格子における入射光と回折光との関係について説明する。図3において、1mm当たりn本の溝(即ち、溝本数n本/mm)を備える回折格子54に入射する入射光51と、回折格子54で回折され反射する回折光52との間には、回折次数をm、入射光52及び回折光53の波長をλ、入射光52の入射角をα、回折光53の回折角をβとすると、一般に下記の(1)式が成り立つ。
【0035】
sinα+sinβ=n×m×λ・・・・(1)
【0036】
なお、入射角α及び回折角βは、それぞれ回折格子54の法線51方向を基準とする角度である。
【0037】
回折角βの異なる回折光を多波長光源装置1aの出射光として使用すると、出射スリットが複数個必要となり、多波長光源装置1aのコンパクト化を図り難くなる。そこで、本発明では、回折角βを或る所定の角度βに固定する。この場合において、上記(1)式は、下記の式(2−1)〜式(2−i)のようになる。
【0038】
Figure 2004286645
【0039】
したがって、波長λに応じて入射角αを設定すると、回折光は全て同じ角度βで回折することとなる。
【0040】
各入射スリット12の配置方向は、対応する波長λについて上記(2−1)式〜(2−i)式の何れか1つを選択し、選択した式における入射角αの方向である。各入射スリット12は、各入射角αのうち最大の大きさの入射角αmaxと最小の大きさの入射角αminとの間に配置されることになるが、この角度の範囲を入射スリット12の配置角度範囲と呼称することとする。
【0041】
出射スリット16は、複数の光源11が分布する角度内(配置角度範囲内)に配置され、出射スリット16の配置方向(所定の角度β)は、多波長光源装置1aのコンパクト化を図るために、本発明では、この入射スリット12の配置角度範囲以内とする。すなわち、αmin<β<αmaxである。ここに本発明の一特徴がある。よりコンパクト化を図る観点から、出射スリット16の配置方向は、入射スリット12の配置角度範囲の略中央に配置するのが好ましい。また、図1の状態で平面視したときに、出射スリット16の配置方向がレンズ13の光軸と一致するように配置される。
【0042】
そして、各入射スリット12及び出射スリット16の回折格子14からの配置距離は、レンズ13の焦点面又は焦点深度の範囲である。
【0043】
このように設定することによって、入射スリット12及び出射スリット16の回折格子14の法線に対する配置方向及び回折格子14からの配置距離が決定されるが、配置方向及び配置距離が決まっただけでは、線(円状の線)が決まっただけで、点として配置位置が一意に決まらない。
【0044】
多波長光源装置1aを最もコンパクトにするためには、入射スリット12と出射スリット16とは、回折格子14に対し水平な平面P上(図2において一点鎖線で示す面)に全て配置することが好ましい。しかしながら、入射スリット12及び出射スリット16は、そのスリットに要求される仕様等に応じて一定の大きさを持っている。
【0045】
入射スリット12の大きさ及び出射スリット16の大きさに応じてレンズ13の焦点距離を長くすれば、入射スリット12と出射スリット16とは、平面P上に全て配置することが可能である。しかしながら、焦点距離を長くすると、その分だけ回折格子14と入射スリット12及び出射スリット16との距離が長くなると共に両端に位置する入射スリット12間の距離も長くなる。その結果、多波長光源装置1aの大きさが大型化する。また、焦点距離を長くすると出射スリット16の大きさも大きくする必要が生じる。一方、焦点距離を短くすると、入射スリット12及び出射スリット16が上述のように一定の大きさを持っているため、入射スリット12同士又は入射スリット12と出射スリット16とが接触してしまう。さらに、製作における作業性も阻害する。このため、一定の焦点距離が必要である。
【0046】
このように、入射スリット12及び出射スリット16の回折格子14に対する配置面は、入射スリット12の大きさ、出射スリット16の大きさ、レンズ13の焦点距離及び製作上の作業性に基づいて多波長光源装置1aが最もコンパクトになるように決定される。本実施形態では、各入射スリット12の光軸を含む平面Qと出射スリット16の光軸を含む平面Sとがなす角が略5度になるように各入射スリット12と出射スリット16とは、配置される。なお、各入射スリット12は、平面Q上に全て配置される。
【0047】
以上から、各入射スリット12の配置位置は、配置方向及び配置距離から決まる線(円状の線)と平面Qとの交点として決まる。即ち、各入射スリット12は、平面Q上におけるレンズ13の焦点面又は焦点深度の範囲内の距離に配置され、そして、波長λに対応する入射スリット12は、波長λに対応する上記(2−1)式〜(2−i)式の何れかによって与えられる角度αの方向に配置される。
【0048】
例えば、多波長光源装置1aが4波長の光を射出することができる装置の場合において、波長λに対応する入射スリット12aの配置方向は、上記(2−1)式を用いて角度αの方向に配置され、波長λに対応する入射スリット12bの配置方向は、上記(2−2)式を用いて角度αの方向に配置され、波長λに対応する入射スリット12cの配置方向は、上記(2−3)式を用いて角度αの方向に配置され、そして、波長λに対応する入射スリット12dの配置方向は、上記(2−4)式を用いて角度αの方向に配置される。
【0049】
すなわち、本実施の形態では、波長λに対応する入射スリット12aの配置方向は、角度αの方向に配置され、波長λに対応する入射スリット12bの配置方向は、角度αの方向に配置され、波長λに対応する入射スリット12cの配置方向は、角度αの方向に配置され、波長λに対応する入射スリット12dの配置方向は、角度αの方向に配置され、出射スリット16は、入射スリット12aから入射スリット12dまでの間に配置される。
【0050】
一方、出射スリット16の配置位置は、配置方向及び配置距離から決まる線(円状の線)と平面Sとの交点として決まる。即ち、出射スリット16は、平面S上におけるレンズ13の焦点面又は焦点深度の範囲内の距離に配置され、そして、角度βの方向に配置される。本実施形態では、角度βは、回折格子14の法線を基準に略19.45度である。
【0051】
ここで、各入射スリット12と出射スリット16とを、回折格子14に対し水平な平面P上(図2において一点鎖線で示す面)に全て配置する場合において、入射スリット12の間隔が接近している場合には、出射スリット16と入射スリット12とが接触してしまい配置することができなくなる場合がある。このとき、図2に示すように、入射スリット12は平面Q上に、出射スリット16は平面Qとは異なるS上に配置する。このように、入射スリット12と出射スリット16とを異なる面に配置することにより、複数の入射スリット12の配置角度範囲を小さくすることができるので、よりコンパクト化することができる。
【0052】
このような多波長光源装置1aにおいて、例えば、波長λ=400nmの光を射出する場合には、光源駆動制御回路17は、光源11aに電力を供給する。電力を供給された光源11aは、波長λ=400nmの光を含む光を発光し、発光した光は、入射スリット12aを透過する。入射スリット12aを透過した光は、レンズ13で平行光とされ、光束絞り15の開口部を透過して回折格子14の回折面に入射される。入射した光は、回折格子14で回折及び反射され、再びレンズ13を透過することによって集光される。集光された光は、光源の発光光のスペクトルで分散しているが、出射スリット16でスペクトル幅が制限され、波長λ=400nmの光として多波長光源装置1aから射出される。
【0053】
また、例えば、波長λ=500nmの光を射出する場合には、光源駆動制御回路17は、光源11bに電力を供給する。電力を供給された光源11bは、波長λ=500nmの光を含む光を発光し、発光した光は、入射スリット12bを透過する。入射スリット12bを透過した光は、レンズ13で平行光とされ、光束絞り15の開口部を透過して回折格子14の回折面に入射される。入射した光は、回折格子14で回折及び反射され、再びレンズ13を透過することによって集光される。集光された光は、光源の発光光のスペクトルで分散しているが、出射スリット16でスペクトル幅が制限され、波長λ=500nmの光として多波長光源装置1aから射出される。
【0054】
また、例えば、波長λ=600nmの光を射出する場合には、光源駆動制御回路17は、光源11cに電力を供給する。電力を供給された光源11cは、波長λ=600nmの光を含む光を発光し、発光した光は、入射スリット12cを透過する。入射スリット12cを透過した光は、レンズ13で平行光とされ、光束絞り15の開口部を透過して回折格子14の回折面に入射される。入射した光は、回折格子14で回折及び反射され、再びレンズ13を透過することによって集光される。集光された光は、光源の発光光のスペクトルで分散しているが、出射スリット16でスペクトル幅が制限され、波長λ=600nmの光として多波長光源装置1aから射出される。
【0055】
同様に、例えば、波長λ=700nmの光を射出する場合には、光源駆動制御回路17は、光源11dに電力を供給する。電力を供給された光源11dは、波長λ=700nmの光を含む光を発光し、発光した光は、入射スリット12dを透過する。入射スリット12dを透過した光は、レンズ13で平行光とされ、光束絞り15の開口部を透過して回折格子14の回折面に入射される。入射した光は、回折格子14で回折及び反射され、再びレンズ13を透過することによって集光される。集光された光は、光源の発光光のスペクトルで分散しているが、出射スリット16でスペクトル幅が制限され、波長λ=700nmの光として多波長光源装置1aから射出される。
【0056】
本実施形態では、出射スリット16は、レンズ13の略光軸上に配置されるとしたが、本発明は特にこれに限定されず、回折光の出射角度βが、複数の光源からの最大入射角αmaxと最小入射角αminとの間であれば、配置される場所は限定されない。すなわち、出射スリット16は、レンズ13の略光軸上、つまり、光源11bと光源11cとの間に設けるのではなく、光源11aと光源11bとの間に設けてもよく、また光源11cと光源11dとの間に設けてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、4つの波長λ,λ,λ,λ(λ<λ<λ<λ)に対応する4つの光源11a,11b,11c,11d及び4つの入射スリット12a,12b,12c,12dを設けているが、本発明は特にこれに限定されず、4つ以上の波長に対応する光源及び入射スリットを設けてもよく、例えば、6つの波長に対応する6つの光源及び6つの入射スリットを設けてもよい。なお、この場合、最大入射角と最小入射角の中央に出射スリットが存在するように配置することが好ましい。
【0058】
また、本実施形態では、光源11からの特定方向の光の拡散を抑制するための入射スリット12が、光源11と回折格子14との間に設けられているが、入射スリット12は省略してもよい。
【0059】
図4は、入射スリットを省略した場合における多波長光源装置の構成を示す平面図である。図4において、多波長光源装置1bは、複数の光源11(11a,11b,11c,11d)、レンズ13、回折格子14、光束絞り15、出射スリット16及び光源駆動制御回路17を備えて構成される。なお、図4に示す多波長光源装置1bは、図1に示す多波長光源装置1aと、入射スリットが設けられていない点以外は同一であるので説明を省略する。
【0060】
光源11から放射される光のスペクトル幅が狭く所望の半値幅以下である場合、又は光源の発光部が入射スリットを兼ねる場合には、入射スリット12を省略することができる。例えば、レーザ光の放射部の大きさが入射スリット12のスリット幅以下であるLDを光源11に使用する場合やコア径が入射スリット12のスリット幅以下である光ファイバを光源11に使用する場合等である。
【0061】
なお、図4における多波長光源装置1bにおいて、レンズ13及び回折格子14の代わりに、光を集光するレンズ機能と光を分光する回折格子機能とを兼ね備える凹面回折格子を用いてもよい。
【0062】
本実施形態においては、各入射スリット12のスリット、レンズ13、回折格子14及び出射スリット16のスリット等の位置合わせを行う調整のための移動機構を多波長光源装置1a、1bにさらに備えてもよい。
【0063】
図5は、移動機構をさらに備えた多波長光源装置の構成を示す平面図である。図5において、移動機構をさらに備えた多波長光源装置1cは、光源11(11a,11b,11c,11d)、入射スリット12(12a,12b,12c,12d)、レンズ13、回折格子14、光束絞り15、出射スリット16、光源駆動制御回路17を備えるとともに、レンズ駆動部131、レンズ駆動制御回路18、回折格子駆動部141及び回折格子駆動制御回路19に接続される。なお、図5に示す多波長光源装置1cは、図1に示す多波長光源装置1aとほぼ同様の構成であるので、以下の説明では異なる構成のみを説明する。
【0064】
この多波長光源装置1cは、図1に示す多波長光源装置1aにおける回折格子14の分散方向に回折格子14を回転させる回転機構及びレンズ13を光軸方向に平行移動させるレンズ移動機構をさらに備え、回転機構及びレンズ移動機構は移動を行わせる各駆動部と接続されている。即ち、レンズ13は、レンズ移動機構として、レンズ本体13a、レンズ本体を保持する枠体13b及び枠体13bに固設された移動軸13cを備え、回折格子14は、回転機構として、回折格子本体14a及び回折格子本体14aに設けられた回転軸14bを備える。なお、回転軸14bは、レンズ13の光軸上に設けられる。
【0065】
レンズ駆動部131は、レンズ本体13aを保持する枠体13bに固設された移動軸13cを光軸方向に駆動する。レンズ駆動制御回路18は、レンズ駆動部131の駆動を制御し、レンズ13の移動軸13cを光軸方向(図5に示す直線矢印AA’方向)に移動させることによって、レンズ13の駆動を制御する。
【0066】
回折格子駆動部141は、回折格子本体14aに設けられた回転軸14bを駆動することによって、回折格子14の回折面を分散方向に回転させる。回折格子制御回路19は、回折格子駆動部141の駆動を制御し、回折格子14の回転軸14bを回折面に垂直な方向(図5に示す円弧矢印BB’方向)に回転させることによって、回折格子14の駆動を制御する。
【0067】
レンズ13は、移動軸13cが図5に示す直線矢印AA’方向に動かされることによって、レンズ本体13aの光軸に沿って移動する。この結果、回折された光の分散の広がりが調整される。また、各波長に対してレンズ13の焦点面が各入射スリット12の各光軸にそってそれぞれ移動すると共に出射スリット16の光軸方向に沿って移動するが、この移動は焦点深度の範囲内で行われる。なお、入射スリット12の光軸は、スリットの開口面に対し法線方向であり、出射スリット16の光軸は、スリットの開口面に対し法線方向である。
【0068】
回折格子14は、回転軸14bが図5に示す円弧矢印BB’方向に動かされることによって、回折格子本体14aの回折面が回転する。この結果、入射光の入射方向及び出射光の出射方向(回折方向)が調整される。
【0069】
各入射スリット12における各スリットの位置及び出射スリット16におけるスリットの位置は、レンズ13及び回折格子14を上述のように動かすことによって、各入射スリット12にそれぞれ対応する各入射角α及び出射スリット16に対応する回折角βにそれぞれ合わせられ得る。
【0070】
なお、図5に示す多波長光源装置1cは、レンズ駆動部131に接続されるレンズ移動機構及び回折格子駆動部141に接続される回転機構を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、レンズ駆動部131に接続されるレンズ移動機構及び回折格子駆動部141に接続される回転機構のうちの少なくとも一方を備え、レンズ13及び回折格子14のうちの少なくとも一方を駆動することによって、出射スリット16から出射する光の波長を調整してもよい。
【0071】
上述では、レンズ13及び回折格子14に調整のための移動機構を設けることによって、各入射スリット12のスリット、レンズ13、回折格子14及び出射スリット16のスリット等の位置合わせを行ったが、各入射スリット12を図6に示すように一体化して、レンズ13及び一体化した入射スリットによって位置合わせを行うように構成してもよい。
【0072】
図6は、入射スリットを一体化すると共に、調整のための移動機構をさらに備えた多波長光源装置の構成を示す平面図である。図6において、入射スリットを一体化すると共に、移動機構をさらに備えた多波長光源装置1dは、光源11(11a,11b,11c,11d)、入射スリット21、レンズ13、回折格子14、光束絞り15、出射スリット16、光源駆動制御回路17を備えるとともに、レンズ駆動部131、レンズ駆動制御回路18、回折格子駆動部141、回折格子駆動制御回路19、入射スリット駆動部211及び入射スリット駆動制御回路20に接続される。なお、図6に示す多波長光源装置1dは、図5に示す多波長光源装置1cとほぼ同様の構成であるので、以下の説明では異なる構成のみを説明する。
【0073】
この多波長光源装置1dは、図1に示す多波長光源装置1aにおける各入射スリット12の代わりに入射スリット21を用い、回折格子14の分散方向に回折格子14を回転させる回転機構、レンズ13を光軸方向に平行移動させるレンズ移動機構及び入射スリット21を分散方向に移動させる入射スリット移動機構をさらに備える。このため、入射スリット21のスリットの数は、入射スリット12の個数と同数の4個であり、スリットの位置は、各入射スリット12の配置方向に対応する位置である。レンズ13は、レンズ移動機構として、レンズ本体13a、レンズ本体を保持する枠体13b及び枠体13bに固設された移動軸13cを備え、回折格子14は、回転機構として、回折格子本体14a及び回折格子本体14aに設けられた回転軸14bを備える。なお、回転軸14bは、レンズ13の光軸上に設けられる。
【0074】
入射スリット駆動部211は、入射スリット21を像面に沿って、ここでは略円弧状に配置された複数の光源11に沿う方向に駆動する。入射スリット駆動制御回路20は、入射スリット駆動部211の駆動を制御し、各光源に対応する入射スリットが一体化された入射スリット21を、略円弧状に配置された複数の光源11に沿う方向(図6に示す円弧矢印CC’方向)に移動させることによって、入射スリット21の駆動を制御する。
【0075】
レンズ13は、上述と同様に、移動軸13cが図6に示す直線矢印AA’方向に動かされることによって、レンズ本体13aの光軸に沿って移動する。この結果、回折された光の分散の広がりが調整される。なお、入射スリット12の光軸は、スリットの開口面に対し法線方向であり、出射スリット16の光軸は、スリットの開口面に対し法線方向である。
【0076】
回折格子14は、回転軸14bが図6に示す円弧矢印BB’方向に動かされることによって、回折格子本体14aの回折面が回転する。この結果、入射光の入射方向及び出射光の出射方向(回折方向)が調整される。
【0077】
入射スリット21は、図6に示す矢印CC’方向に動かされることによって、入射スリット21の配置方向に沿って移動する。この結果、入射スリット21の各スリットの位置が移動し、入射光の入射方向が調整される。
【0078】
入射スリット21における各スリットの位置は、レンズ13及び回折格子14を上述のように動かすことによって、それぞれ対応する各入射角αにそれぞれ合わせられ得る。
【0079】
入射スリットを個別部品で構成した場合には、組み立て工数及び組み付け誤差が個々に生じ、また、個別に調整する必要があるが、各入射スリットを一体化した場合には、組み立て工数及び組み付け誤差を減らすことができ、一度に調整することも可能である。
【0080】
なお、図6に示す多波長光源装置1dは、レンズ駆動部131に接続されるレンズ移動機構、回折格子駆動部141に接続される回転機構及び入射スリット駆動部211に接続される入射スリット移動機構を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、レンズ移動機構、回転機構及び入射スリット移動機構のうちの少なくとも1つが用意され、レンズ13、回折格子14及び入射スリット21のうちの少なくとも1つを駆動することによって、出射スリット16から出射する光の波長を調整してもよい。
【0081】
また、本実施形態では、入射スリット21を分散方向(図6の矢印CC’の方向)に移動させているが、本発明は特にこれに限定されず、入射スリット21を光軸方向(図6の矢印AA’の方向)に移動させてもよい。この場合、多波長光源装置1dは、入射スリット21を光軸方向に移動させる入射スリット移動機構をさらに備え、入射スリット駆動部211は、入射スリット21を光軸に沿う方向に駆動する。入射スリット駆動制御回路20は、入射スリット駆動部211の駆動を制御し、各光源に対応する入射スリットが一体化された入射スリット21を、光軸に沿う方向(図6に示す矢印AA’方向)に移動させることによって、入射スリット21の駆動を制御する。入射スリット21は、図6に示す直線矢印AA’方向に動かされることによって、レンズ13の光軸に沿って移動する。この結果、回折された光の分散の広がりが調整される。
【0082】
図6では、各入射スリットのスリットを一体化し、一体化した入射スリット21、レンズ13及び回折格子14に調整のための移動機構を設けることによって、入射スリット21のスリット、レンズ13、回折格子14及び出射スリット16のスリット等の位置合わせを行ったが、さらに、出射スリット16も入射スリット21に一体化してもよい。なお、出射スリット16も一体化した場合には、出射スリット16におけるスリットの位置も出射スリット16に対応する回折角βに合わせられ得る。
【0083】
図7は、入射スリットと出射スリットとを一体化すると共に、調整のための移動機構をさらに備えた多波長光源装置の構成を示す平面図である。図7において、入射スリットと出射スリットとを一体化すると共に、調整のための移動機構をさらに備えた多波長光源装置1eは、光源11(11a,11b,11c,11d)、入出射スリット31、レンズ13、回折格子14、光束絞り15、光源駆動制御回路17を備えるとともに、レンズ駆動部131、レンズ駆動制御回路18、回折格子駆動部141、回折格子駆動制御回路19、入出射スリット駆動部311及び入出射スリット駆動制御回路20’に接続される。なお、図7に示す多波長光源装置1eは、図6に示す多波長光源装置1dとほぼ同様の構成であるので、以下の説明では異なる構成のみを説明する。
【0084】
この多波長光源装置1eは、図1に示す多波長光源装置1aにおける各入射スリット12及び出射スリット16の代わりに入出射スリット31を用い、回折格子14の分散方向に回折格子14を回転させる回転機構、レンズ13を光軸方向に平行移動させるレンズ移動機構及び入出射スリット31を分散方向に移動させる入出射スリット移動機構をさらに備える。このため、入出射スリット31のスリットの数は、入射スリット12の個数と、出射スリット16の個数とを合わせた5個であり、スリットの位置は、各入射スリット12の配置方向及び出射スリット16に対応する位置である。レンズ13は、レンズ移動機構として、レンズ本体13a、レンズ本体を保持する枠体13b及び枠体13bに固設された移動軸13cを備え、回折格子14は、回転機構として、回折格子本体14a及び回折格子本体14aに設けられた回転軸14bを備える。なお、回転軸14bは、レンズ13の光軸上に設けられる。
【0085】
入出射スリット駆動部311は、入出射スリット31を像面に沿って、ここでは略円弧状に配置された複数の光源11に沿う方向に駆動する。入出射スリット駆動制御回路20’は、入出射スリット駆動部311の駆動を制御し、入射スリットと出射スリットとが一体化された入出射スリット31を、略円弧状に配置された複数の光源11に沿う方向(図7に示す円弧矢印CC’方向)に移動させることによって、入出射スリット31の駆動を制御する。
【0086】
レンズ13は、上述と同様に、移動軸13cが図7に示す直線矢印AA’方向に動かされることによって、レンズ本体13aの光軸に沿って移動する。この結果、回折された光の分散の広がりが調整される。なお、入射スリット12の光軸は、スリットの開口面に対し法線方向であり、出射スリット16の光軸は、スリットの開口面に対し法線方向である。
【0087】
回折格子14は、回転軸14bが図7に示す矢印BB’方向に動かされることによって、回折格子本体14aの回折面が回転する。この結果、入射光の入射方向及び出射光の出射方向(回折方向)が調整される。
【0088】
入出射スリット31は、図7に示す矢印CC’方向に動かされることによって、入出射スリット31の配置方向に沿って移動する。この結果、入出射スリット31の各スリットの位置が移動し、入射光の入射方向が調整されるとともに、出射光の出射方向(回折方向)も調整される。
【0089】
入出射スリット31における各スリットの位置は、レンズ13及び回折格子14を上述のように動かすことによって、それぞれ対応する各入射角αにそれぞれ合わせられ得る。なお、出射スリット16も一体化した場合には、出射スリット16におけるスリットの位置も出射スリット16に対応する回折角βに合わせられ得る。
【0090】
入射スリット及び出射スリットを個別部品で構成した場合には、組み立て工数及び組み付け誤差が個々に生じ、また、個別に調整する必要があるが、各入射スリットを一体化すると共に、さらに出射スリットを一体化した場合には、組み立て工数及び組み付け誤差を減らすことができ、一度に調整することも可能である。
【0091】
また、図7に示す多波長光源装置1eは、レンズ駆動部131に接続されるレンズ移動機構、回折格子駆動部141に接続される回転機構及び入出射スリット駆動部311に接続される入出射スリット移動機構を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、レンズ移動機構、回転機構及び入出射スリット移動機構のうちの少なくとも1つが用意され、レンズ13、回折格子14及び入出射スリット31のうちの少なくとも1つを駆動することによって、出射スリットから出射する光の波長を調整してもよい。
【0092】
また、本実施形態では、入出射スリット31を分散方向(図7の矢印CC’の方向)に移動させているが、本発明は特にこれに限定されず、入出射スリット31を光軸方向(図7の矢印AA’の方向)に移動させてもよい。この場合、多波長光源装置1eは、入出射スリット31を光軸方向に移動させる入出射スリット移動機構をさらに備え、入出射スリット駆動部311は、入出射スリット31を光軸に沿う方向に駆動する。入出射スリット駆動制御回路20’は、入出射スリット駆動部311の駆動を制御し、各光源に対応する入射スリット及び出射スリットが一体化された入出射スリット31を、光軸に沿う方向(図7に示す矢印AA’方向)に移動させることによって、入出射スリット31の駆動を制御する。入出射スリット31は、図7に示す直線矢印AA’方向に動かされることによって、レンズ13の光軸に沿って移動する。この結果、回折された光の分散の広がりが調整される。
【0093】
なお、以上の構成において、レンズ、回折格子、入射スリット、出射スリットを駆動する各駆動部及び各駆動制御回路は、多波長光源装置とは別に配置され、組立工程時に接続されて各移動機構を作動させるものである。しかしながら、本発明はそれに限定されるものではなく、駆動部及び駆動制御回路の少なくとも一部が組み込まれているものをも含んでいる。
【0094】
本発明に係る多波長光源装置1a,1b,1c,1d,1eは、測定対象物の測定項目に応じて光の波長を変更する必要がある光学測定装置に組み込む場合に好適な装置である。次に、適用の一例として、本発明に係る多波長光源装置1a,1b,1c,1d,1eを臨床検査用の光学測定装置に組み込んだ場合について説明する。
【0095】
図8は、多波長光源装置を組み込んだ光学測定装置の構成を示す図である。図8において、光学測定装置100は、多波長光源部101、光検出部102、データ処理部103、記憶部104、入力部105及び出力部106を備えて構成される。
【0096】
多波長光源部101は、上述した多波長光源装置1a,1b,1c,1d,1eであり、その射出すべき光の波長は、データ処理部103によって制御される。光検出部102は、多波長光源部101から射出され測定対象物201によって反射した光を受光することによって、測定対象物201からの光の明るさを測定する装置であり、測定結果は、データ処理部103に出力される。
【0097】
入力部105は、例えばキーボードやマウス等の光学測定装置100にコマンドやデータを入力する入力装置であり、入力内容は、データ処理部103に出力される。出力部106は、例えばCRTディスプレイ、LCD及び有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の記録装置であり、入力部105の入力内容やデータ処理部103の処理結果を表示又は印字する。
【0098】
記憶部104は、光学測定装置100の制御プログラム、測定項目と使用波長との対応関係を登録する使用波長テーブル、測定項目ごとに用意された、光の明るさと濃度との対応関係を登録する濃度テーブル、制御プログラムに必要なデータ及び制御プログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するメモリである。記憶部104は、例えば、RAMやROMである。
【0099】
データ処理部103は、例えば、マイクロプロセッサ等を備えて構成され、多波長光源部101、光検出部102、記憶部104、入力部105及び出力部106を制御すると共に、光検出部102の出力に基づいて記憶部104の各テーブルを参照することによって測定対象物201における所定の測定項目の濃度を演算する。
【0100】
ユーザは、測定項目に応じた試薬を検体に滴下する。ユーザは、呈色後に検体を測定対象物201として、多波長光源部101からの出射光が照射されると共に検体で反射した反射光が光検出部102に入射される測定位置に配置する。そして、ユーザは、測定項目を入力部105に入力する。
【0101】
データ処理部103は、入力部105に測定項目が入力されると、入力された測定項目を記憶部104に記憶する。次に、データ処理部103は、使用波長テーブルを参照し、入力された測定項目に使用される波長を検索する。次に、データ処理部103は、検索した波長の光を射出すべく制御信号を多波長光源部101に出力する。
【0102】
多波長光源部101の光源駆動制御回路17は、制御信号に応じた光源11に電力を供給する。電力を供給された光源11は、検索した波長に相当する波長の光を含む光を発光し、発光した光は、入射スリット12を透過する。入射スリット12を透過した光は、レンズ13で平行光とされ、光束絞り15の開口部を透過して回折格子14の回折面に入射される。入射した光は、回折格子14で回折及び反射され、再びレンズ13を透過することによって集光される。集光された光は、光源の発光光のスペクトルで分散しているが、出射スリット16でスペクトル幅が制限され、検索した波長に相当する波長の光として多波長光源部101から射出される。多波長光源部101から射出された光は、測定対象物に照射され、測定対象物で反射された反射光は、光検出部102に入射される。光検出部102は、入射された光の明るさをデータ処理部103に出力する。
【0103】
データ処理部103は、記憶部104に記憶した測定項目に対応する濃度テーブルを参照し、入力された光の明るさに対応する濃度を当該濃度テーブルから検索する。次に、データ処理部103は、検索した濃度を測定結果として出力部106に出力する。出力部106は、測定結果を表示又は印字する。
【0104】
光学測定装置100は、このように動作するのでユーザが入力した測定項目に応じた光を多波長光源部101から射出させ、測定項目の濃度を測定することができる。そして、光学測定装置100は、光源に多波長光源部101が組み込まれているので互いに異なる複数の波長の光を射出することができ、複数の測定項目を測定することができる。さらに、光学測定装置101は、多波長光源部101に本発明に係る多波長光源装置1a,1b,1c,1d,1eを使用するので、従来より小型にすることができる。
【0105】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明も主に含まれている。
【0106】
(1)空間的に光を分光する回折格子と、前記回折格子の分散方向に配置され、各々所望の波長の光を含む光を前記回折格子に向けて発光する複数の光源と、前記回折格子と前記光源との間に配置され、前記光源によって発光された光を平行光にして前記回折格子に導くと共に、前記回折格子で回折反射した光を集光するレンズと、前記レンズによって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させる出射スリットとを備え、前記出射スリットは、前記複数の光源と前記回折格子とがなす角度内に配置されていることを特徴とする多波長光源装置。
【0107】
この構成によれば、複数の光源によって、各々所望の波長の光を含む光が回折格子に向けて発光され、回折格子と光源との間に配置されるレンズによって、光源によって発光された光が平行光にされて回折格子に導かれる。回折格子によって、レンズで平行光にされた光が回折反射され、回折反射された光は再びレンズに入射される。レンズによって、回折格子で回折反射した光が集光され、複数の光源が分布する角度内に配置されている出射スリットによって、レンズによって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみが通過する。
【0108】
(2)前記複数の光源のうち1の光源から出力される光に対し、特定方向の光の拡散を抑制する複数の入射スリットをさらに備えることを特徴とする上記(1)記載の多波長光源装置。
【0109】
この構成によれば、入射スリットによって、複数の光源のうち1の光源から出力される光に対し、回折格子への入射角度が所定の範囲内にある光束を前記回折格子に入射させることができる。
【0110】
(3)前記複数の入射スリットは、一体形成されていることを特徴とする上記(2)記載の多波長光源装置。
【0111】
この構成によれば、各光源ごとに設けられた複数の入射スリットが一体形成されているので、組み立て工数及び組み付け誤差を減らすことができ、各入射スリットの位置を一度に調整することができる。
【0112】
(4)前記複数の入射スリットと前記出射スリットとは、一体形成されていることを特徴とする上記(2)記載の多波長光源装置。
【0113】
この構成によれば、複数の入射スリットと出射スリットとが一体形成されているので、組み立て工数及び組み付け誤差を減らすことができ、各入射スリットと出射スリットとの位置を一度に調整することができる。
【0114】
(5)前記回折格子の分散方向に前記回折格子を回転させる回転機構及び前記入射スリットを分散方向に移動させる第1の入射スリット移動機構の少なくとも一方を有する分散方向移動機構と、前記レンズを光軸方向に平行移動させるレンズ移動機構及び前記入射スリットを光軸方向に移動させる第2の入射スリット移動機構のうちの少なくとも一方を有する光軸方向移動機構とを備えていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の多波長光源装置。
【0115】
この構成によれば、分散方向移動機構によって、回折格子の分散方向に回折格子もしくは入射スリットが分散方向に移動され、光軸方向移動機構によって、レンズもしくは入射スリットが光軸方向に平行移動され、出射スリットから出射する光の波長が調整される。
【0116】
(6)前記回折格子の分散方向に前記回折格子を回転駆動させる回折格子駆動部及び前記レンズを光軸方向に平行移動させるレンズ駆動部のうちの少なくとも一方と、前記回折格子駆動部及び前記レンズ駆動部のうちの少なくとも一方の駆動を制御する駆動制御部とをさらに備え、前記駆動制御部は、前記回折格子駆動部及び前記レンズ駆動部のうちの少なくとも一方の駆動を制御することによって、前記出射スリットから出射する光の波長を調整することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の多波長光源装置。
【0117】
この構成によれば、回折格子駆動部によって、回折格子の分散方向に回折格子が回転駆動され、レンズ駆動部によって、レンズが光軸方向に平行移動され、駆動制御部によって、回折格子駆動部及びレンズ駆動部のうちの少なくとも一方の駆動が制御され、出射スリットから出射する光の波長が調整される。
【0118】
(7)前記入射スリット移動機構は、前記複数の入射スリットが一体形成されている一体型入射スリットを、前記複数の光源の配置方向に沿う方向に移動させるものであり、前記駆動制御部は、前記回折格子駆動部、前記レンズ駆動部及び入射スリット駆動部のうちの少なくとも1つの駆動を制御することによって、前記出射スリットから出射する光の波長を調整することを特徴とする上記(5)記載の多波長光源装置。
【0119】
この構成によれば、入射スリット駆動部によって、複数の入射スリットが一体形成されている一体型入射スリットが、複数の光源の配置方向に沿う方向に駆動され、駆動制御部によって、回折格子駆動部、レンズ駆動部及び入射スリット駆動部のうちの少なくとも1つの駆動が制御されることで、出射スリットから出射する光の波長が調整される。
【0120】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、出射スリットが複数の光源が分布する角度内に配置されているため、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、レンズにとっては、軸外画角を従来より小さくすることができるので、性能面での負担を軽減することができる。
【0121】
請求項2に記載の発明によれば、出射スリットがレンズの光軸近傍に配置されるので、レンズによる収差を小さくすることができる。
【0122】
請求項3に記載の発明によれば、複数の光源の各波長に対して分光された光の分散の広がりを調整することができ、光源からの光が入射する方向及び出射方向を調整することができる。
【0123】
請求項4に記載の発明によれば、出射スリットが複数の光源が分布する角度内に配置されているため、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができ、軸外画角を従来より小さくすることができるので、性能面での負担を軽減することができる。
【0124】
請求項5に記載の発明によれば、複数の光源と出射スリットとが略同一平面内に配置されるため、略同一平面内の所定の範囲内に複数の光源と出射スリットとを配置することができ、装置の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における多波長光源装置の構成を示す平面図である。
【図2】本実施形態における多波長光源装置の構成を示す側面図である。
【図3】回折格子の原理を説明するための図である。
【図4】入射スリットを省略した場合における多波長光源装置の構成を示す平面図である。
【図5】移動機構をさらに備えた多波長光源装置の構成を示す平面図である。
【図6】入射スリットを一体化すると共に、調整のための移動機構をさらに備えた多波長光源装置の構成を示す平面図である。
【図7】入射スリットと出射スリットとを一体化すると共に、調整のための移動機構をさらに備えた多波長光源装置の構成を示す平面図である。
【図8】多波長光源装置を組み込んだ光学測定装置の構成を示す図である。
【図9】特許文献1の光学分析用光源装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,1e 多波長光源装置
11 光源
12 入射スリット
13 レンズ
14 回折格子
15 光束絞り
17 光源駆動制御回路
18 レンズ駆動制御回路
19 回折格子駆動制御回路
20 入射スリット駆動制御回路
20’ 入出射スリット駆動制御回路
31 入出射スリット

Claims (5)

  1. 空間的に光を分光する分光素子と、
    前記分光素子の分散方向に配置され、各々所望の波長の光を含む光を前記分光素子に向けて発光する複数の光源と、
    前記分光素子と前記光源との間に配置され、前記光源によって発光された光を平行光にして前記分光素子に導くと共に、前記分光素子で回折反射した光を集光するレンズと、
    前記レンズによって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させる出射スリットとを備え、
    前記出射スリットは、前記複数の光源が分布する角度内に配置されていることを特徴とする多波長光源装置。
  2. 前記出射スリットは、前記レンズの光軸近傍に配置されることを特徴とする請求項1記載の多波長光源装置。
  3. 前記分光素子の分散方向に前記分光素子を回転させる回転機構及び前記レンズを光軸方向に平行移動させるレンズ移動機構のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の多波長光源装置。
  4. 光を回折反射させると共に、当該回折反射した光を集光する凹面回折格子と、
    前記凹面回折格子の分散方向に配置され、各々所望の波長の光を含む光を前記凹面回折格子に向けて発光する複数の光源と、
    前記凹面回折格子によって集光された光に対し、特定の分散幅の光のみを通過させる出射スリットとを備え、
    前記出射スリットは、前記複数の光源が分布する角度内に配置されていることを特徴とする多波長光源装置。
  5. 前記複数の光源と前記出射スリットとを略同一平面内に配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多波長光源装置。
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