JP2004285530A - 伸張紙の製造方法 - Google Patents

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信弘 羽藤
Shuichi Kawasaki
秀一 川崎
Masato Ougimoto
政人 扇元
Hidenori Ogawa
秀憲 小川
Masatsugu Kato
正嗣 加藤
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Abstract

【課題】収縮処理時の皺及び断紙の発生をともに抑制し、高い縦伸び性及び横伸び性を有する伸張紙を得る。
【解決手段】ロール周面に周方向に沿った溝5をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロール6とロール周面が平坦な軟質ロール7とから成る一対のプレスロール8を備え、加圧下で前記硬質ロール6の周速度に対して前記軟質ロール7の周速度を遅くして回転するようにした収縮付与装置3に、坪量が50g/m〜450g/mの範囲であり、紙中水分が20%〜50%の範囲で、かつその水分範囲における抄紙方向の湿紙強度が0.3kN/m以上である紙シート1Bを通紙して該紙シート1Bに収縮を与え、その後に乾燥する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い縦伸び及び横伸びが得られる伸張紙、特に成型用紙を製造するのに好適な伸張紙を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、食品や飲料水の容器として天然パルプをプレスして作られた皿や筒状の胴部と底板からなるコップ等の紙製成型物が知られている。かかる紙製成型物、特にプレスして作られる皿は紙基材本来の伸び特性によって浅い形状しか得られなかった。従来から高い伸び特性を有する伸張紙の製造方法としては、クルパック処理やクレープ処理が知られている。しかしながら、クルパック処理やクレープ処理は縦方向のみに圧縮処理されるため、横方向はほとんど変化せず、縦方向一軸のみの伸び特性付与に止まっている。これらの方法で得られた伸張紙を用いたとしても、成型物の形状も狭い範囲に限定されている。
【0003】
そこで、近年、コルゲート処理形態の予備成型を施し、更に、硬い物質からなりその表面にリブを有し、もう一方より速い速度で回転するローラと柔らかい物質から成り平滑な表面を有し、もう一方より遅い速度で回転するローラからなる一組のローラ間で凝縮して縦横の伸び特性を同時に付与する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる特許文献1に記載された技術では、コルゲート処理形態の予備成型が必須であり、製造方法が煩雑になる問題がある。また、伸び特性は縦20%、横16%程度に止まっており、伸び特性が十分でなく、大きな伸びが要求される深絞り成型に対応できないといった問題点があった。大きな伸びが期待できる伸張紙の製造方法として、熱可塑性樹脂を原料とする繊維状物質をパルプに混合して加熱状態下で伸び特性を付与する方法も提案されているが、地球環境問題を背景とした廃棄物処理や環境負荷の観点から好ましくない。
【0005】
このような状況に鑑み、本発明者等は、紙中水分を20%〜50%とした紙シートを使用することにより、予備成型を必要とせずに通常の抄紙機を用いて、紙シートを縦横同時に簡単に収縮させることができる収縮付与装置を提案するとともに、該収縮付与装置を用いた高い縦伸び及び横伸びが得られる伸張紙の製造方法を先に提案した(特願2002−285263)。
【0006】
【特許文献1】
特表平11−509276号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記伸張紙の製造方法においては、前記縦横同時に収縮できる収縮付与装置に紙シートを通紙して収縮処理する場合、処理される紙シートの湿紙強度によっては、皺或いは断紙が発生する頻度が多くなるおそれがあり、操業性低下を招き生産性の面で経済的でない場合があることがわかった。
【0008】
すなわち、収縮付与装置に紙シートを通紙して収縮処理する際、紙シートの蛇行の防止や収縮を効果的に行わせるために、紙シートに張力を加えて処理することが必須であるが、前記のように、収縮処理される紙シートが紙中水分が20%〜50%の湿紙シートであると、本来湿紙は強度が弱いといったことから、十分な張力を加えずに通紙すると、収縮処理時に、湿紙シートに皺が入ったり、収縮付与効果低減による品質低下や、蛇行による位置ずれ等を生じるおそれがあり、これを防止するために、紙シートに張力を加えると断紙が起こり易く、断紙によって操業性が低下するおそれがあるといった問題があった。
【0009】
本発明は、収縮処理時の皺及び断紙の発生をともに抑制し、高い縦伸び性及び横伸び性を有する伸張紙を、安定して簡便かつ経済的に製造できる伸張紙の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の伸張紙の製造方法は、ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロールとロール周面が平坦な軟質ロールとから成る一対のプレスロールを備え、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して前記軟質ロールの周速度を遅くして回転するようにした収縮付与装置に、坪量が50g/m〜450g/mの範囲であり、紙中水分が20%〜50%の範囲で、かつその水分範囲における抄紙方向の湿紙強度が0.3kN/m以上である紙シートを通紙して該紙シートに収縮を与え、その後に乾燥することを特徴とする。
【0011】
このようにすると、前記紙中水分が20%〜50%の範囲の紙シートは、その水分範囲における抄紙方向の湿紙強度が0.3kN/m以上であるので、収縮付与装置に紙シートを通紙して収縮処理する際、紙シートの蛇行の防止や収縮を効果的に行わせるために必須とされる適度な張力を紙シートに加えても、紙シートに断紙が起こらず、硬質ロールと軟質ロールとの間に通紙された紙シートは、硬質ロールと軟質ロールの周速度差で発生する剪断力の作用を受け、それにより紙シートの縦方向は、硬質ロールと軟質ロールの周速度差に相当する分の紙が圧縮され縦収縮が付与され、一方、横方向は、周速度差による圧縮に伴い、硬質ロールの周方向に沿った溝に紙シートが押し込まれ収縮が付与されることになり、これにより、予備成型を必要とせず、しかも収縮処理時に皺や断紙の発生が発生することなく、縦横共に20%以上の伸びを示す伸張紙を得ることができた。
【0012】
請求項2に記載の伸張紙の製造方法は、請求項1に記載の、前記硬質ロールの前記周方向に沿った溝が、ロール幅方向に0.5mm〜1.8mmの間隔で、幅0.3mm〜1.5mm、深さ0.5mm〜2.0mmであることを特徴とする。
【0013】
このようにすると、紙シートに収縮を付与する硬質ロールと軟質ロールの周速度差で発生する剪断力を効率的に紙層に作用させる、硬質ロール/紙シート/軟質ロールの各界面の摩擦力を良好に得ることができる。
【0014】
請求項3に記載の伸張紙の製造方法は、請求項1又は2に記載の、前記硬質ロールと前記軟質ロールとは線圧10kg/cm〜70kg/cmの範囲の加圧下にあることを特徴とする。
【0015】
このようにすると、紙シートに収縮を付与する硬質ロールと軟質ロールの周速度差で発生する剪断力を効率的に紙層に作用させる、硬質ロール/紙シート/軟質ロールの各界面の摩擦力を良好に得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の伸張紙の製造方法は、請求項1,2又は3に記載の、前記硬質ロールの周速度に対する前記軟質ロールの周速度は、前記硬質ロールの周速度1に対して前記軟質ロールの周速度を0.95〜0.5の範囲であることを特徴とする。
【0017】
このようにすると、紙シートへ収縮を付与する摩擦力を維持するための充分な剪断力を、より確実に紙シートに作用させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る伸張紙の製造方法の実施の形態の一例について説明する。 図1は本発明に係る伸張紙の製造方法を実施する抄紙機の実施の形態の一例を示す概略構成図である。本例の抄紙機では、前工程で得られた湿紙シート1Aをシリンダードライヤーからなる乾燥装置2で予備乾燥して紙中水分を調整し、該水分調整した紙シート1Bを収縮付与装置3で所要の収縮を与えて、収縮を与えた紙シート1Cをシリンダードライヤーからなる乾燥装置4で乾燥させて伸張紙1Dを得、巻取機で巻き取る。
【0019】
図2及び図3は本発明に係る伸張紙の製造方法で使用される収縮付与装置3の実施の形態の一例を示したもので、図2は本例の収縮付与装置3を示す斜視図、図3は本例の収縮付与装置3で用いている硬質ロールの縦断面図である。
【0020】
収縮付与装置3は、ロールの周面に周方向に沿った溝5をロール幅方向に、所定の間隔をあけて設けた硬質ロール6と、ロール周面が平坦な軟質ロール7とからなる一対のプレスロール8を備え、加圧下で前記硬質ロール6の周速度に対して前記軟質ロール7の周速度を遅くして回転するように調整できる周速度調整手段9を備え、且つ硬質ロール6と軟質ロール7との線圧を調整する加圧力調整手段10を備えた構造になっている。
【0021】
本発明に係る伸張紙の製造は次のようにして行う。
乾燥装置2で紙中水分を調整した紙シート1Bを収縮付与装置3に通紙し、加圧調整手段10により硬質ロール6と軟質ロール7との線圧を調整し、さらに周速度調整手段9により硬質ロール6の周速度に対して軟質ロール7の周速度が遅くなるように調整して、紙シート1Bに収縮を与える。この時、ロール11と、硬質ロール6と軟質ロール7により構成される一対のプレスロール8との間で皺が発生しないように適度の張力を加える。
【0022】
本発明において使用される前記紙シート1Bは、坪量が50g/m〜450g/mの範囲であり、紙中水分が20%〜50%の範囲で、かつその水分範囲での抄紙方向の湿紙強度が0.3kN/m以上であることを要する。この紙シート1Bにあっては、その素材について特に限定されないが、地球環境問題を背景とした廃棄物処理や環境負荷の問題から、天然パルプ100%の組成からなる紙であることが好ましい。天然パルプとしては、針葉樹または広葉樹の木材繊維、ミツマタ、コウゾなどの靭皮繊維、バガス、ケナフなどの非木材繊維、木綿繊維、古紙など通常の製紙原料が使用できるが汎用性などから針葉樹または広葉樹の木材繊維が好適である。
【0023】
ここで本発明における抄紙方向の湿紙強度について、以下のように定義する。
【0024】
先ず紙中水分が20%〜50%の範囲に成るように調整した紙シートを、抄紙方向が長辺方向となるように幅15mm×長さ150mmの短冊状に裁断する。そして、この短冊状の湿紙シートを、JIS P 8113に準じて、万能引張り試験機を用い、つかみ部で間隔が100mmになるように上下各25mmをつかみ、直ちに引張り速度500mm/分で破断するまでの強度を測定し、得られた強度を湿紙強度とした。
【0025】
本発明で紙シート1Bの湿紙強度を0.3kN/m以上としたのは、湿紙強度が0.3kN/m未満では、収縮付与装置3で紙シート1Bを収縮処理する際、プレスロール8とロール11の間で十分な張力を加えることを控えると皺が発生し、皺の発生を防止するために必要な張力を加えると断紙が起こるおそれがあるからである。なお、紙シート1Bに必要以上の湿紙強度を与えてこれに高い張力を加えると、皺防止効果には優れる反面、収縮処理前に紙シート1Bが伸びて収縮付与装置3での処理効果が低減するので、必要以上に高い張力が加えられないように、湿紙強度が5.0kN/m未満であることが好ましい。紙シート1Bの湿紙強度は、皺防止効果が発現できる張力に耐えられる湿紙強度を有していれば充分であり、5.0kN/mを超える湿紙強度は不必要である。
【0026】
また、紙シート1Bの紙中水分を20%〜50%の範囲としたのは、紙中水分が20%未満では、紙シート1Bの可塑剤として作用している水分が少なく剛性が高いため、収縮付与するエネルギーが多くなり、充分な収縮付与が出来ないからである。また、紙中水分が50%を超えると、紙シート1Bの可塑性は維持できるが加圧によって搾水された水によって処理時にスリップを起こし易く、充分な収縮付与が出来ないからである。
【0027】
紙中水分20%〜50%の範囲で、かつその水分範囲での湿紙強度が0.3kN/m〜5kN/mの範囲にする方法としては、原料パルプの叩解度の調整、あるいはアルデヒド澱粉、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素・ホルムアルデヒド系樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド系樹脂、ポリアミド・ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂等の紙力増強剤の添加が有効である。
【0028】
上記のようにして得られた紙シート1Bを適度な張力を加えた状態で硬質ロール6と軟質ロール7との間に通紙すると、紙シート1Bは硬質ロール6と軟質ロール7の周速度差で発生する剪断力の作用を受ける。それによって紙シート1Bの縦方向は、硬質ロール6と軟質ロール7の周速度差に相当する分の紙層が圧縮され縦収縮が付与される。一方、横方向は、周速度差による圧縮に伴い、硬質ロール6の周方向に沿った溝5に紙層が押し込まれて横収縮が付与される。
【0029】
更に詳しく説明すると、硬質ロール6と軟質ロール7から成り、硬質ロール6の周速に対して軟質ロール7の周速を遅くし、圧力をかけた一対のプレスロール8に、紙中水分と湿紙強度を調整した前記紙シート1Bを通紙する。硬質ロール6と軟質ロール7の間に介在する紙シート1Bの紙層は硬質ロール6と軟質ロール7の周速度差で発生する剪断力の作用を受け、それによって紙シート1Bは前記のようにして、縦方向及び横方向に収縮が付与される。
【0030】
従って、紙シート1Bへの収縮付与は、硬質ロール6と軟質ロール7の周速度差で発生する剪断力を効率的に紙層に作用させることが重要であり、充分な剪断力を紙層に作用させるには硬質ロール6/紙シート1B/軟質ロール7の各界面の摩擦力を維持することである。摩擦力を発現維持して収縮付与効果を高めるには硬質ロール6の周方向に沿った溝5の間隔A、溝幅B、溝深さC、溝形状が紙シート1Bとの接触面積に影響するため重要な要素である。一方、軟質ロール7も加圧・周速度差によって生じる変形で紙シート1Bを変形させるので重要な要素となる。従って硬質ロール6と軟質ロール7の組み合わせが重要な要素であり、加えて硬質ロール6と軟質ロール7の周速度差も剪断力の絶対量に影響するため重要な要素である。
【0031】
前記の各要素の組み合わせによって従来困難であった縦横共に同時に高い伸び特性を、より容易に且つより確実に付与することができるものとなる。特に、硬質ロール6の周方向に沿った溝5の間隔、深さ、幅は、剪断力で紙シート1Bが周方向に沿った溝5に押し込まれ、収縮するので、その容積も重要な要素となる。しかしながら、単に周方向に沿った溝5の容積を大きくすると、紙シート1Bと接触する面積が低減するため十分な摩擦力が得られず、硬質ロール6がスリップを起こし、押し込む剪断力が激減し、収縮付与効果が劣ってしまうといったことが認められる。しかるに、周方向に沿った溝5の容積と剪断力の維持の両者を満足できる領域を特定することによって縦横の伸びを飛躍的に付与することができる。
【0032】
前記各要素のうち、硬質ロール6に設けられた周方向に沿った溝5は、本例では、ロール幅方向に溝間隔Aが0.5mm〜1.8mmの間隔で、溝幅Bが0.3mm〜1.5mm、溝深さCが0.5mm〜2.0mmの範囲で形成されている。前記周方向に沿った溝5の溝幅Bが0.3mm未満であるか又は周方向に沿った溝5の溝深さCが0.5mm未満であると、収縮される紙シート1Bの容積が小さくなり、十分な収縮効果が得られない。前記周方向に沿った溝5の溝幅Bが1.5mmを超えるか又は周方向に沿った溝5の溝深さCが2.0mmを超えると、紙シート1Bの表面の接触面積が少なくなり、収縮処理時の応力がスリップによって低下し、十分な収縮効果が得られない。
【0033】
前記硬質ロール6と対をなしてプレスロール8を構成する軟質ロール7は、ロール周面が平坦で、硬質ロール6とニップされた時十分に変形するものであれば特に限定されるものではないが、材質がポリウレタンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムロールが好適である。特に、紙シート1Bに剪断力を有効に伝播するために、紙シート1Bの表面と軟質ロール7間の摩擦力が十分に得られることや表面摩耗し難く耐久性に優れることが重要である。
【0034】
前記硬質ロール6と軟質ロール7は、所定の加圧下で、両者の周速度差で発生する剪断力を効率的に湿紙シート1Bの層に作用させることが重要であり、前記硬質ロール6と軟質ロール7とを線圧10kg/cm〜70kg/cmの範囲の加圧下におき、硬質ロール6と軟質ロール7とを、硬質ロール6の周速度1に対して軟質ロール7の周速度を0.95〜0.5の範囲で回転させることが望ましい。
【0035】
軟質ロール7の周速度が硬質ロール6の周速度に対して95%を超えると、紙シート1Bを収縮させる剪断力が少なく、縦横同時に十分な伸びを付与することが出来ない。また、軟質ロール7の周速度が硬質ロール6の周速度に対して50%未満では剪断力は十分得られるが、機械的負荷が大きくなり、ゴムロールの破損、動力負荷大を招き、好ましくない。前記加圧下で、両者の周速度差でもって回転する硬質ロール6と軟質ロール7との間に前記紙シート1Bを通紙すると、硬質ロール6と軟質ロール7より得られる剪断力により紙シート1Bは収縮される。
【0036】
その後、乾燥装置4で前記紙シート1Bを収縮処理して得られた紙シート1Cの紙中水分を4〜10%の範囲に乾燥させる。これにより、縦横共に20%以上の伸びを示す伸張紙1Dを簡単に得ることができた。前記乾燥装置4にあっては、収縮を付与した紙シート1Bの紙中水分を4〜10%の範囲に乾燥できるものであれば特に限定されるものではなく、通常の抄紙機に使用されている熱風乾燥方式、多筒式シリンダー乾燥方式等、公知の乾燥装置が使用できる。
【0037】
本発明の実施で用いられる抄紙機は、通常の長網多筒、丸網多筒など一般的な抄紙機が使用できるが、前記湿紙シート1Bを収縮させる硬質ロール6と軟質ロール7からなる一対のプレスロール8を備えた収縮付与装置3が抄紙工程中に設置できることが望ましく、前工程で作られた湿紙シート1Aを紙中水分が20%〜50%の範囲に調整・予備乾燥できる乾燥装置2と通常の紙中水分が3〜10%程度まで乾燥できる乾燥装置4の間に設置することができれば、特に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。各実施例、比較例とも、収縮付与装置3は、溝間隔1.2mm、幅0.8mm、深さ1.2mmのV字型の溝を円周方向に設けたステンレスからなる硬質ロール6と、ロール周面が平坦なニトリルブタジエンゴムからなる軟質ロール7とからなるプレスロール8を備えている。該プレスロール8の硬質ロール6と軟質ロール7間に紙シート1Bを通紙し、線圧50kg/cmを掛け、硬質ロール6の周速度に対して軟質ロール7は75%の速度で回転させ収縮を付与した。
【0039】
[実施例1]
原料が針葉樹晒しクラフトパルプ100%であり、濾水度CSF310ml、ワイヤー上坪量150g/mで、収縮処理時の紙中水分が32%、湿紙強度が2.5kN/mの紙シート1Bを、収縮付与装置3に適度な張力を加えながら通紙して前記一定条件で収縮処理し、乾燥装置4で乾燥して伸張紙1Dを得た。その後、巻取り装置にて巻き取った。前記収縮処理時には、皺の発生が全く無い状態で収縮処理できた。得られた伸張紙1Dの物性を表1に示した。
【0040】
[実施例2]
原料が針葉樹晒しクラフトパルプ100%であり、濾水度CSF450ml、ワイヤー上坪量150g/mで、収縮処理時の紙中水分が37%、湿紙強度が1.5kN/mの紙シート1Bを、収縮付与装置3に適度な張力を加えながら通紙して前記一定条件で収縮処理し、乾燥装置4で乾燥して伸張紙1Dを得た。その後、巻取り装置にて巻き取った。前記収縮処理時には、皺の発生が全く無い状態で収縮処理できた。得られた伸張紙1Dの物性を表1に示した。
【0041】
[実施例3]
原料が針葉樹晒しクラフトパルプ/広葉樹晒しクラフトパルプ=50%/50%であり、濾水度CSF300ml、ワイヤー上坪量70g/mで、収縮処理時の紙中水分が28%、湿紙強度が0.7kN/mの紙シート1Bを、収縮付与装置3に適度な張力を加えながら通紙して前記一定条件で収縮処理し、乾燥装置4で乾燥して伸張紙1Dを得た。その後、巻取り装置にて巻き取った。前記収縮処理時には、皺の発生が全く無い状態で収縮処理できた。得られた伸張紙1Dの物性を表1に示した。
【0042】
[比較例1]
原料が広葉樹晒しクラフトパルプ100%であり、濾水度CSF500ml、ワイヤー上坪量100g/mで処理時の紙中水分が39%、湿紙強度が0.2kN/mの紙シート1Bを、収縮付与装置3に張力を加えながら通紙して前記一定条件で収縮処理し、乾燥装置4で乾燥して伸張紙1Dを得た。その後、巻取り装置にて巻き取った。前記収縮処理時には、皺が発生し、皺対策として張力を高めたら断紙した。得られた伸張紙1Dの物性を表1に示した。
【0043】
[比較例2]
原料が針葉樹晒しクラフトパルプ100%であり、濾水度CSF250ml、ワイヤー上坪量200g/mで処理時の紙中水分が18%、湿紙強度が6.3kN/mの湿紙シート1Bを、収縮付与装置3に適度な張力を加えながら通紙して前記一定条件で収縮処理し、乾燥装置4で乾燥して伸張紙1Dを得た。その後、巻取り装置にて巻き取った。前記収縮処理時には皺が発生は無かったが、充分な収縮付与が出来なかった。得られた伸張紙1Dの物性を表1に示した。
【0044】
[比較例3]
原料が針葉樹晒しクラフトパルプ100%であり、濾水度CSF250ml、ワイヤー上坪量200g/mで処理時の紙中水分が54%、湿紙強度が3.2kN/mの湿紙シート1Bを、収縮付与装置3に適度な張力を加えながら通紙して前記一定条件で収縮処理し、乾燥装置4で乾燥して伸張紙1Dを得た。その後、巻取り装置にて巻き取った。前記収縮処理時には皺が発生は無かったが、充分な収縮付与が出来なかった。得られた伸張紙1Dの物性を表1に示した。
【0045】
【表1】
Figure 2004285530
【0046】
【発明の効果】
本発明に係る伸張紙の製造方法によれば、ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロールとロール周面が平坦な軟質ロールとから成る一対のプレスロールを備え、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して前記軟質ロールの周速度を遅くして回転するようにした収縮付与装置に、坪量が50g/m〜450g/mの範囲であり、紙中水分が20%〜50%の範囲で、かつその水分範囲における抄紙方向の湿紙強度が0.3kN/m以上である紙シートを通紙して該紙シートに収縮を与え、その後に乾燥することにより、予備成型を必要とせず、しかも収縮処理時に皺や断紙の発生が発生することなく、縦横共に20%以上の伸びを示す伸張紙を、安定して簡便且つ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伸張紙の製造方法を実施する抄紙機の実施の形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る収縮付与装置の実施の形態の一例を示した斜視図である。
【図3】本例の収縮付与装置で用いている硬質ロールの縦断面図である。
【図4】硬質ロールの溝の形状の一例を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1A 湿紙シート
1B 水分調整した紙シート
1C 収縮処理した紙シート
1D 伸張紙
2 乾燥装置
3 収縮付与装置
4 乾燥装置
5 ロール周方向に沿った溝
6 硬質ロール
7 軟質ロール
8 プレスロール
9 周速度調整手段
10 加圧力調整手段
11,12 ロール
A 硬質ロールのロール周方向に沿った溝の溝間隔
B 硬質ロールのロール周方向に沿った溝の溝幅
C 硬質ロールのロール周方向に沿った溝の溝深さ

Claims (4)

  1. ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロールとロール周面が平坦な軟質ロールとから成る一対のプレスロールを備え、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して前記軟質ロールの周速度を遅くして回転するようにした収縮付与装置に、坪量が50g/m〜450g/mの範囲であり、紙中水分が20%〜50%の範囲で、かつその水分範囲における抄紙方向の湿紙強度が0.3kN/m以上である紙シートを通紙して該紙シートに収縮を与え、その後に乾燥することを特徴とする伸張紙の製造方法。
  2. 前記硬質ロールの前記周方向に沿った溝は、ロール幅方向に0.5mm〜1.8mmの間隔で、幅0.3mm〜1.5mm、深さ0.5mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項1記載の伸張紙の製造方法。
  3. 前記硬質ロールと前記軟質ロールとは線圧10kg/cm〜70kg/cmの範囲の加圧下にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸張紙の製造方法。
  4. 前記硬質ロールの周速度に対する前記軟質ロールの周速度は、前記硬質ロールの周速度1に対して前記軟質ロールの周速度を0.95〜0.5の範囲であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の伸張紙の製造方法。
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