JP2004285169A - 液晶ポリマーおよび液晶ポリマー組成物 - Google Patents

液晶ポリマーおよび液晶ポリマー組成物 Download PDF

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Tetsuo Inoue
徹雄 井上
Yutaka Moroishi
裕 諸石
Fumiko Nakano
史子 中野
Yoshihide Kawaguchi
佳秀 川口
Naoki Takahashi
直樹 高橋
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Abstract

【課題】液晶ポリマーの光学特性(配向性)を維持したまま、柔軟性を付与したブロック液晶ポリマーを提供すること。
【解決手段】液晶モノマー(a)の単位と、非液晶モノマー(b)の単位からなる液晶ポリマーであって、非液晶モノマー(b)が、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以下のモノマーであり、かつ、非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合が、30重量%以下であることを特徴とするブロック型液晶ポリマー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロック型液晶ポリマーおよび当該ブロック型液晶ポリマーを含有する液晶ポリマー組成物に関する。本発明のブロック型液晶ポリマーは各種用途において用いることができ、たとえば、光学材料として用いることができる。ブロック型液晶ポリマーが、コレステリック液晶ポリマーの場合には、当該ポリマーから得られるフィルムは、円偏光板(反射型偏光子)等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
液晶ポリマーは工業的に広く利用されており、その改質方法もさまざまなものが提案されている。例えば、ポリマーアロイによって異方性を減じて機械強度を増すことが提案されており(たとえば、特許文献1参照。)、特定構造の物質を使うことにより相分離することなく物性向上が得られると述べられている。しかし、特許文献1は、特定物質を使った場合に限定されるため、その効果も機械強度のみに留まっており、その他の分野、特に光学用途への適用は困難である。
【0003】
光学用途で用いられる液晶ポリマーにおいては、液晶ポリマーの光学特性を維持したまま別の特性を付与すること、または新たな光学機能を付与することが望まれている。しかし、液晶ポリマーをブレンド、共重合等の一般的な手法で改質しようとすると、光学特性が変化してしまうという問題点がある。また、液晶ポリマーの改質は、相溶性の点からも制約が多いのが現状である。
【0004】
ところで、ブロック型ポリマーは相溶性の観点から優れており、通常のブレンド等では相溶しない成分を導入する例が提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。また、ブロック型ポリマーを使った液晶ポリマーにおいても熱可塑性を付与し、成形性を上げるなどの例も報告されている(たとえば、特許文献3参照。)。一方、液晶ポリマーを光学用途で使用した多くの報告例があるが、ブロック型液晶ポリマーを光学用途に用いる報告はない。
【0005】
光学用途では、液晶ポリマーを配向膜上に配向させたものや、液晶モノマーを配向膜上に配向させ、硬化したものが使用される。これら液晶層は、配向膜から転写して使用することが一般的に行なわれている。しかし、液晶層を転写する際に、液晶層が割れたり、欠けを生じて歩留まりが悪くなったり、クズが発生して汚染を起こすなど生産上の問題点があった。
【0006】
また、液晶ポリマー等を配向させる際には、加熱して配向させる。そのため、配向温度を下げることで配向膜の選択が広がることや生産性上の観点から低温で配向する液晶が望まれていた。その一方では、液晶ポリマー等の耐熱性を向上させる要求もある。しかし、液晶ポリマー等を配向させる際には、液晶ポリマー等を液晶転移温度以上に加熱した後に冷却することで液晶状態を形成するため、耐熱性を向上させようとすると配向温度も上がってしまい、配向基材が制限され、生産性が悪化するなどの実用上の制約が多くあった。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−49338号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−115124号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平7−3017号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液晶ポリマーの光学特性(配向性)を維持したまま、柔軟性を付与したブロック液晶ポリマーを提供することを目的とする。また本発明は、上記ブロック液晶ポリマーを含有してなる、液晶ポリマー組成物を提供することを目的とする。さらには、上記ブロック型液晶ポリマーまたは液晶ポリマー組成物を、配向、製膜して得られる液晶フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示すブロック液晶ポリマーおよび液晶ポリマー組成物により上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の通りである。
【0012】
1.液晶モノマー(a)の単位と、非液晶モノマー(b)の単位からなるブロック型液晶ポリマーであって、
非液晶モノマー(b)が、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以下のモノマーであり、かつ、非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合が30重量%以下であることを特徴とするブロック型液晶ポリマー。
【0013】
2.ブロック型液晶ポリマーが、アクリル系側鎖型液晶ポリマーであることを特徴とする上記1記載のブロック型液晶ポリマー。
【0014】
3。非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合が5〜30重量%であることを特徴とする上記1または2記載のブロック型液晶ポリマー。
【0015】
4.液晶モノマー(a)が、ネマチック液晶モノマー(a1)を含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
【0016】
5.ネマチック液晶モノマー(a1)が、一般式(a1):
【化4】
Figure 2004285169
(式中、R は水素原子またはメチル基を、mは1〜6の整数を、X は−CO −基、−OCO−基、−CO−、−CH=CH−または−C≡C−を、R は炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、pおよびqは1または2を示す。)で表されるアクリル酸エステル誘導体ことを特徴とする上記4記載のブロック型液晶ポリマー。
【0017】
6.ブロック型液晶ポリマーが、液晶モノマー(a)として、ネマチック液晶モノマー(a1)と重合性カイラル剤(a2)を含有するアクリル系側鎖型コレステリック液晶ポリマーであることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
【0018】
7.重合性カイラル剤(a2)が、一般式(a2):
【化5】
Figure 2004285169
(式中、R は水素原子またはメチル基を、nは1〜6の整数を、X は−CO −基、−OCO−基、−CO−、−CH=CH−または−C≡C−を、R は一般式(a3):
【化6】
Figure 2004285169
(各式中、R は、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基またはビフェニル基を、R は、メチル基、フェニル基またはカルボキシメチル基を、R はメチル基、ベンジル基またはt−ブチル基を示す。*は不斉炭素原子を示す。)で表される置換基を示す。) で表される光学活性基を有するアクリル酸エステル誘導体であることを特徴とする上記6記載のブロック型液晶ポリマー。
【0019】
8.ネマチック液晶モノマー(a1)100重量部に対し、重合性カイラル剤(a2)1〜30重量部を含有していることを特徴とする上記6または7記載のブロック型液晶ポリマー。
【0020】
9.数平均分子量が、2千〜10万であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
【0021】
10.各モノマーをリビングラジカル重合して得られたものであることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
【0022】
11.上記1〜10のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマーおよびラジカル発生剤を含有していることを特徴とする液晶ポリマー組成物。
【0023】
12.上記1〜10のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマーまたは上記11記載の液晶ポリマー組成物を、配向、製膜して得られる液晶フィルム。
【0024】
13.上記12記載の液晶フィルムが、コレステリック液晶フィルムであり、当該コレステリック液晶フィルムが用いられている円偏光板。
【0025】
14.上記13記載の円偏光板に、λ/4板を積層して得られる、透過で直線偏光が得られる直線偏光子。
【0026】
15.上記14記載の直線偏光子の透過軸に、吸収型偏光子をその透過軸方向を合わせて貼り合わせて得られる直線偏光子。
【0027】
16.裏面側に反射層を有する面光源の表面側に上記13記載の円偏光板、または上記14もしくは15記載の直線偏光子を有することを特徴とする照明装置。
【0028】
17.上記16記載の照明装置の光出射側に、液晶セルを有することを特徴とする液晶表示装置。
【0029】
(作用効果)
上記本発明のブロック型液晶ポリマーは、液晶成分である、液晶モノマー(a)の単位に、ホモポリマーのTgが20℃以下の非液晶モノマー(b)の単位をブロック体で導入したアクリル系ブロック型液晶ポリマーである。非液晶モノマー(b)のブロック単位を導入したブロック型液晶ポリマーは、低Tg成分が導入されることで柔軟性が付与された軟質成分ブロック部となり、また低Tg成分の導入によってブロック型液晶ポリマーのTgが下がり配向温度を下げることができる。
【0030】
また本発明のブロック型液晶ポリマーは、前記軟質成分ブロック部を架橋することで効果的に架橋を行なうことができ、耐熱性を向上させることができる。すなわち、前記軟質成分は架橋処理によって架橋部として機能するため、ブロック型液晶ポリマーを配向させた後に、ブロック型液晶ポリマーを、たとえばラジカル発生剤を用いて架橋することにより、柔軟性の付与によりブロック型液晶ポリマーの配向温度を下げながら、かつ軟質成分ブロック部が未導入のものと同等またはそれ以上の耐熱性を有する液晶層を得ることができる。
【0031】
かかる本発明のブロック型液晶ポリマーは、低Tg成分をブロック体として、液晶ポリマーに導入することにより、液晶成分ブロックの液晶特性に影響を与えることなく、低Tg成分の効果を直接的に活かすことができ、特性が向上するものと推定している。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明のブロック型液晶ポリマーは、液晶モノマー(a)のブロック単位と、非液晶モノマー(b)のブロック単位からなる。液晶ポリマーが、液晶モノマー(a)と非液晶モノマー(b)のランダム共重合体では、液晶モノマー(a)としての特性が低下し、液晶ポリマーとしての特性が悪くなる。
【0033】
上記非液晶モノマー(b)は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以下の (メタ)アクリル酸エステルである。ホモポリマーのTgは、示差走査熱量計を用い、10℃/minの昇温速度で測定し、ポリマーハンドブック(AWILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION,JOHNWILEY & SONS,THIRD EDITION)に従って、吸熱曲線の変曲点でのonsetポイントをTg(℃)としたものである。
【0034】
かかる非液晶モノマー(b)としては、例えば、汎用の(メタ)アクリレートを用いることができる。例えば、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソデシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレートなどがあげられる。その他、(メタ)アクリレート以外のモノマーとしては、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、アクリロニトリル等があげられる。非液晶モノマー(b)は、1種を単独で、または2種以上を用いてもよい。
【0035】
非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合は、ブロック型液晶ポリマーを構成するモノマー単位の30重量%以下である。非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合が30重量%を超えると、液晶ポリマーとしての光学特性に悪影響を与える。一方、非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合は、ブロック型液晶ポリマーに柔軟性を付与するため、5重量%以上であるのが好ましく、さらには8重量%以上であるのが好ましい。非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合は、ブロック型液晶ポリマーの5〜30重量%であるのが好ましくは、さらに好ましくは8〜25重量%である。
【0036】
液晶モノマー(a)は、各種のものを使用でき、用途に応じて適宜に選択して用いることができる。ネマチック液晶モノマー、スメクチック液晶モノマー、コレステリック液晶モノマー等があげられる。
【0037】
液晶モノマー(a)としては、ネマチック液晶モノマー(a1)が好適に用いられる。ネマチック液晶モノマー(a1)は、重合性官能基として、アクリロイル基、メタクリロイル基を有し、これに環状単位等からなるメソゲン基を有するものがあげられる。メソゲン基となる前記環状単位としては、たとえば、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、フェニルシクロヘキサン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチレン系、ジフェニルベンゾエート系、ビシクロへキサン系、シクロヘキシルベンゼン系、ターフェニル系等があげられる。なお、これら環状単位の末端は、たとえば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。前記メソゲン基は屈曲性を付与するスペーサ部を介して結合していてもよい。スペーサ部としては、ポリメチレン鎖、ポリオキシメチレン鎖等があげられる。スペーサ部を形成する構造単位の繰り返し数は、メソゲン部の化学構造により適宜に決定されるがポリメチレン鎖の繰り返し単位は0〜20、好ましくは2〜12、ポリオキシメチレン鎖の繰り返し単位は0〜10、好ましくは1〜3である。
【0038】
ネマチック液晶モノマー(a1)としては、たとえば、一般式(a1):
【化7】
Figure 2004285169
(式中、R は水素原子またはメチル基を、mは1〜6の整数を、X は−CO −基、−OCO−基、−CO−、−CH=CH−または−C≡C−を、R は炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、pおよびqは1または2を示す。)で表されるアクリル酸エステル誘導体があげられる。
【0039】
一般式(a1)で表されるアクリル酸エステル誘導体において、p=1が好ましく、q=2が好ましく、R としては水素原子が好ましく、R としてはシアノ基が好ましく、X としては−COO−基が好ましい。一般式(a)で表されるアクリル酸エステル誘導体の具体例としては、たとえば、4−(4−シアノビフェニルオキシカルボニル)フェノキシエチルアクリレート、4−(4−シアノビフェニルオキシカルボニル)フェノキシプロピルアクリレート、4−(4−シアノビフェニルオキシカルボニル)フェノキシブチルアクリレート、4−(4−シアノビフェニルオキシカルボニル)フェノキシペンチルアクリレート、4−(4−シアノビフェニルオキシカルボニル)フェノキシヘキシルアクリレート等があげられる。これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0040】
また、本発明のブロック型液晶ポリマーは、液晶モノマー(a)として、ネマチック液晶モノマー(a1)と重合性カイラル剤(a2)を含有するアクリル系側鎖型コレステリック液晶ポリマーとして用いることができる。
【0041】
重合性カイラル剤(a2)は、重合性官能基として、アクリロイル基、メタクリロイル基を有し、かつ光学活性基を有し、ネマチック液晶モノマー(a1)の配向を乱さないものであれば特に制限されない。重合性カイラル剤(a2)は、コレステリック液晶性を示すものを好ましく使用できる。
【0042】
重合性カイラル剤(a2)としては、たとえば、一般式(a2):
【化8】
Figure 2004285169
(式中、R は水素原子またはメチル基を、nは1〜6の整数を、X は−CO −基、−OCO−基、−CO−、−CH=CH−または−C≡C−を、R は一般式(c):
【化9】
Figure 2004285169
(各式中、R は、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基またはビフェニル基を、R は、メチル基、フェニル基またはカルボキシメチル基を、R はメチル基、ベンジル基またはt−ブチル基を示す。*は不斉炭素原子を示す。)で表される置換基を示す。) で表される光学活性基を有するアクリル酸エステル誘導体があげられる。
【0043】
一般式(a2)で表されるアクリル酸エステル誘導体において、R としては水素原子が好ましく、R としてはシッフ塩基構造を有するもの(特にR がフェニル基のもの)が好ましく、X としては−COO−基が好ましい。一般式(a2)で表される光学活性基を有するアクリル酸エステル誘導体の具体例としては、たとえば、((3−フェニル−3−メチル−2−アザプロペニルフェニル)オキシカルボニル)フェノキシエチルアクリレート、((3−フェニル−3−メチル−2−アザプロペニルフェニル)オキシカルボニル)フェノキシプロピルアクリレート、((3−フェニル−3−メチル−2−アザプロペニルフェニル)オキシカルボニル)フェノキシブチルアクリレート、((3−フェニル−3−メチル−2−アザプロぺニルフェニル)オキシカルボニル)フェノキシベンチルアクリレート、((3−フェニル−3−メチル−2−アザプロペニルフェニル)オキシカルボニル)フェノキシヘキシルアクリレート等があげられる。これらは単独でまたは混合して用いることができる。
【0044】
重合性カイラル剤(a2)の割合は、その配合量により、コレステリック液晶フィルムの選択反射波長を決定する捻れピッチが変化することから配合量の制御で選択反射波長を調節することができる。重合性カイラル剤(a2)の配合量は、ネマチック液晶モノマー(a1)100重量部に対し1〜30重量部程度の範囲内でコレステリック液晶ポリマーの捻れピッチ長を制御するのが好ましい。
【0045】
本発明のブロック型液晶ポリマーはリビングラジカル重合法によって作成することができる。リビングラジカル重合法は、特表平10−509475号公報(特許第3040172号明細書)に示されているように、活性化剤として遷移金属とその配位子を使用し、これらの存在下、重合開始剤を用いて、重合反応を進行させる方法である。
【0046】
ラジカル重合は工業的に最も広く利用されている重合法で、重合可能なモノマーの多様さ、反応系の取り扱いの容易さとそれに基づく製造コストの低廉化などが広く用いられる。ラジカル重合で分子量の制御された重合体を得るには開始剤の量の選択や重合熱の制御が困難であった。その問題を解消した重合法に、リビングラジカル重合法またはATRP法と呼ばれるものがある。
【0047】
リビングラジカル重合法の参考文献として、例えば、Pattenらによる報告、”Radical Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜1.05 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerization’’Polymer Preprinted,pp575−6,No37(March 1996);あるいは、Matyjasewski らによる報告、”Contorolled/Living Radical Polymerization. Halogen Atom Transfer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu(II) Redox Process’’,Macromolecules l995,28,7901−10(October 15,1995);あるいは 同著PCT/US96/03302,International Publication No.WO96/30421(October3,1996);あるいはM.Sawamotoらの報告,’’Ruthunium−mediated Living Radical Polymerization of Methyl Methacrylate Macromolecules,1996,29,1070.などが知られている。
【0048】
たとえば、液晶モノマー(a)をリビング重合したポリマー(ブロック体a)に、非液晶モノマー(b)を加えて、ブロック体aからなるポリマーの重合末端に非液晶モノマー(b)が順々に付加していくことにより、第2次ブロックであるブロック体bが導入されて、a−bの形態のジブロックポリマーにすることができる。この際、液晶モノマー(a)として、ネマチック液晶モノマー(a1)と重合性カイラル剤(a2)を用いる場合にはブロック体aを調製する際にこれらを共重合することができる。また、重合性カイラル剤(a2)をリビング重合した末端(ブロックa2)に、ネマチック液晶モノマー(a1)をリビング重合して付加させ(ブロック体a1)、その後さらにその末端に非液晶モノマー(b)を導入して、a2−a1−bのトリブロックポリマーとしてもよい。またa1−a2−bのトリブロックポリマーとすることができる。さらには、各構成モノマーとして液晶モノマー(a)、非液晶モノマー(b)として、複数種を用いた場合には、トリブロックポリマー、テトラブロックポリマー等の高次ブロックポリマーとすることもできる。
【0049】
一方、ブロック体bをリビング重合した後に、液晶モノマー(a)を重合して、b−aの形態のジブロックポリマーにすることができる。液晶モノマー(a)として、ネマチック液晶モノマー(a1)と重合性カイラル剤(a2)を共重合することもでき、b−a1−a2、b−a2−a1のトリブロックの形態にしてもよい。
【0050】
また、a−b−a型ブロック共重合体とすることができる。a−b−a型ブロック共重合体は、a−bブロック体を共重合した後に、重合末端にブロック体aを付加することができる。なお、a−b−a型ブロック共重合体の作成は、ブロック体bを重合し、そのあとブロックbの末端にブロック体aを付加させて重合することによってa−b−a型ブロック重合体が得られる。また、b−a−b型ブロック共重合体とすることができる。
【0051】
リビング重合したポリマーに、途中から添加するモノマーは、重合されているポリマーの重合率が少なくとも60重量%を超えたとき、好ましくは80重量%を超えたとき、さらには90重量%を超えたときとするのが好ましい。重合率は、(残存モノマー/重合前の仕込みモノマー量)×100(%)で定義され、加熱してモノマー成分を揮発除去したり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0052】
なお、重合されているポリマーブロックの重合率をあまり上げすぎると重合末端が失活して、分子量分布が広くなったり、重合が進行しなくなったりする。一方、重合されているポリマーブロックの重合率が低い時点で、他のブロックのモノマーを添加するとランダム共重合部分が多くなり、特性が悪くなる。
【0053】
前記リビングラジカル重合の際には、モノマー中の溶存酸素を取り除く必要がある。溶存酸素濃度を下げる方法としては、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを吹き込みながら撹拌を行う方法、不活性ガスをモノマー中にバブリングする方法、減圧脱気する方法、加熱して脱気する方法などがある。これらの方法は併用してもよい。
【0054】
重合開始剤としては、臭素もしくは塩素をα位に有するエステルまたはスチレンの誘導体が好適である。好ましくは2−ブロモ(もしくはクロロ)プロピオン酸誘導体もしくは塩化(もしくは臭化)1−フェニル誘導体があげられる。その中でも特に好ましくは2−ブロモ(もしくはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(もしくはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(もしくはクロロ)−2−プロピオン酸メチル、2−ブロモ(もしくはクロロ)−2−プロピオン酸エチル、塩化(もしくは臭化)1−フェニルエチル、2−ブロモイソ酪酸エチルから選ばれるハロゲン系化合物を用いることができる。水酸基を有する開始剤として、例えば、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸−2−ヒドロキシエチルなどを用いることもできる。2官能の開始剤も用いることができる。具体的にはエチレンビス(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)などがあげられる。なお、2官能の開始剤は、a−b−a型のブロック重合体を作成するとき好適に用いられる。
【0055】
前記重合では得られるブロック共重合体の数平均分子量を意図的に制御する事が可能である。かかる重合法においては、開始剤のほかの触媒として遷移金属および配位子を用いる。
【0056】
遷移金属としては、Cu,Ru,Fe,Rh,V,Niの金属種及びこれらの金属塩や金属錯体を用いることができる。また、配位子としては、とくに限定されるものではないが、例えば、ビピリジル誘導体、アミン誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレート誘導体などを用いることができる。これらの中でも、Cu(I)と2,2′−ビピリジル錯体を用いることが、重合の安定性・速度から特に好ましい。
【0057】
重合開始剤は、モノマー全体に対し、通常0.05〜30モル%、好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは0 .1〜5モル%の割合で用いられる。また、遷移金属の使用量は、ハロゲン化物などの形態として、上記重合開始剤1モル部に対して、通常0.01〜3モル部、好ましくは0.1〜1モル部の割合で用いられる。さらに、その配位子は、上記遷移金属(ハロゲン化物などの形態)1モル部に対して、通常0.5〜5モル部、好ましくは1〜3モル部の割合で用いられる。重合開始剤と活性化剤とをこのような使用割合にすると、リビングラジカル重合の反応性、生成ポリマーの分子量などに好結果が得られる。
【0058】
前記重合法では、モノマー成分が重合温度下で液状であるものは溶剤を用いても、また無溶剤でも製造することが可能である。液晶モノマーは通常液状ではないため、溶剤に溶解して重合する。溶剤は液晶モノマーを溶解するものであればよい。溶剤としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン.シクロペンタノンなどを用いることができる。通常、モノマー濃度が10〜30重量%程度で重合を行なう。
【0059】
ブロック型液晶ポリマーの数平均分子量は、2千〜10万程度であるのが好ましい。好ましくは5千〜5万程度である。数平均分子量が高すぎると重合時間が長くかかるほか、溶剤に溶け難くなって取扱い難い。また配向し難くなる。数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の数値である。
【0060】
重合温度は、重合速度、触媒の失活温度とモノマーの溶剤に対する溶解性から、60〜120℃程度が好ましい。重合時間は、最終的な数平均分子量や重合温度にも依存するが、約3〜100時間程度で重合を完了するのが好ましい。なお、モノマーとして重合性官能基を2つ以上有するものを用いることにより、ブロック型液晶ポリマーに架橋構造を導入して耐久性を向上させることもできる。
【0061】
本発明のブロック型液晶ポリマーは、ラジカル発生剤を配合した液晶ポリマー組成物として用いることができる。本発明のブロック型液晶ポリマーは、非液晶モノマー(b)により形成される軟質ブロック単位を有するが、当該軟質ブロック単位、通常は、架橋性官能基を有していない。かかる軟質ブロック単位は、ラジカル発生剤を用いて架橋させることができる。架橋処理は、熱処理、紫外線照射、電子線照射等により行うことができる。またこれらの架橋処理は組み合わせることができる。
【0062】
ラジカル発生剤としては、多官能ラジカル発生剤が用いられる。多官能ラジカル発生剤としては、たとえば、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチルー(4′−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4′−メトキシナフチル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4′−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリクロロメチル基含有トリアジン誘導体があげられる。また、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン]のようなオリゴマー型多官能ラジカル発生剤などがあげられる。
【0063】
ラジカル発生剤の配合量は、ブロック型液晶ポリマー100重量部あたり、通常、5重量部以下とするのが好ましい。より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.4〜1重量部である。ラジカル発生剤の配合量が0.1重量部未満では、架橋性に乏しくなる。一方、5重量部を超えると、架橋過多となるおそれがある。
【0064】
前記ラジカル発生剤とともに、架橋助剤としてベンゾフェノン誘導体(ベンゾフェノンやその誘導体)を混合することができる。この架橋助剤を混合すると、表面層をより迅速に架橋硬化でき、これにより表面層での酸素による架橋硬化反応の阻害現象が抑制され、厚さ方向に均一に架橋硬化させることができる。このようなベンゾフェノン誘導体の使用量は、ブロック型液晶ポリマー100重量部あたり、3重量部以下、通常0.1〜3重量部、好適には0.5〜1重量部とするのがよい。
【0065】
また、ラジカル発生剤とともに、多官能モノマーを併用することができる。多官能モノマーとしては、たとえば、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレートなどがあげられる。これら多官能モノマーの配合量は、ブロック型液晶ポリマー100重量部あたり、通常、10重量部以下とするのが好ましい。
【0066】
なお、ブロック型液晶ポリマーにおいて、軟質ブロック単位を構成する非液晶モノマー(b)として、架橋性官能基を有するモノマーを用いた場合には、当該モノマーが有する官能基と反応性を有する官能基を有する架橋剤、または当該モノマーが有する官能基そのものを反応させる反応助剤を併用することにより架橋することができる。架橋性官能基を有するモノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリレート、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート等があげられる。架橋剤または反応助剤の使用量は、通常、ブロック型液晶ポリマー100重量部に対して、20重量部以下、好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
【0067】
また、本発明のブロック型液晶ポリマー、液晶ポリマー組成物には、特性に影響を及ぼさない範囲で各種添加剤を配合することができる。
【0068】
ブロック型液晶ポリマー、液晶ポリマー組成物は、配向基材上に塗工し、製膜、配向することにより、液晶フィルムが得られる。
【0069】
配向基材上への塗工は特に制限されず、溶融法、溶液法のいずれを採用してもよいが、溶液法が好適である。配向基材上への塗工方法は特に限定されず、バーコーター、スピナー、ロールコーターなどの適宜な塗工機にて行うことができるが、キャスト法が成膜面の品質から好適である。
【0070】
溶液塗工において、ブロック型液晶ポリマー等を溶解する溶媒としては、たとえば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が好ましい。溶液の濃度は、通常3〜50重量%程度である。
【0071】
配向基材としては、従来知られているものを採用できる。たとえば、基板上にポリイミドやポリビニルアルコール等からなる薄膜を形成して、それをレーヨン布等でラビング処理したラビング膜、斜方蒸着膜、シンナメートやアゾベンゼンなど光架橋基を有するポリマーあるいはポリイミドに偏光紫外線を照射した光配向膜、延伸フィルムなどが用いられる。その他、磁場、電場配向、ずり応力操作により配向させることもできる。
【0072】
なお、前記基板としては、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ノルボルネン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンやポリエーテルスルホン等のプラスチックからなるフィルム、ガラス板、石英シートが用いられる。
【0073】
前記配向は、液晶ポリマーの液晶転移温度以上で行う。配向温度、時間は液晶ポリマーの種類に応じて適宜に決定される。
【0074】
前記液晶ポリマー等の溶液は、配向による液晶状態を維持しながら乾燥成膜する。乾燥温度としては、溶媒の沸点以上の温度であればよい。乾燥成膜は前記配向工程とともに、行うことができる。乾燥成膜を前記配向工程とともに行う場合には、溶媒および液晶ポリマーの種類に応じて温度を設定する。液晶ポリマー組成物の場合には、配向後に前述の通り、紫外線照射等により架橋処理を行い製膜する。紫外線照射等には加熱することもできる。
【0075】
液晶フィルムの厚みは特性制限されないが、200μm以下とするのが好ましい。コレステリック液晶フィルムとする場合にはコレステリック液晶層(溶液の場合は溶媒乾燥後の塗布厚み)の厚みは特に規定する物ではないが、通常0.5〜20μm、望ましくは1〜10μmである。塗布厚が薄いと光学的効果が少なく、また塗布厚が厚いと配向しにくくなるためである。なお、コレステリック液晶フィルムは積層して形成することができる。
【0076】
こうして得られる液晶フィルム(コレステリック液晶フィルム)は、基材から剥離することなく用いられる他、基材から剥離して用いてもよい。
【0077】
本発明の広帯域コレステリック液晶フィルムは円偏光板として用いられる。本発明で得られる広帯域選択反射機能を有するコレステリック液晶積層体は正面方向は円偏光反射/透過機能を有するが、これを広帯域円偏光として液晶表示装置に用いることができる。この場合には円偏光モードの液晶セル、例えばマルチドメインを有する透過型VAモード液晶セルの光源側に配置することで円偏光板として用いることができる。
【0078】
円偏光板には、λ/4板を積層して直線偏光子とすることができる。λ/4板としては、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホンの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。λ/4波長板の厚さは、通常、0.5〜200μmであることが好ましく、特に1〜100μmであることが好ましい。
【0079】
λ/4板は単一材料による単層では特定の波長に対してのみ良好に機能するが、その他の波長に対しては波長分散特性上λ/4板として機能が低下する問題がある。そこでλ/2板と軸角度を規定して積層すれば可視光全域で実用上差し支えない程度の範囲で機能する広帯域λ/4板として用いることができる。この場合の各λ/4板、λ/2板は同一材料でも良いし上記記述のλ/4板と同様の手法で得られる別個の材料によって作製した物を組み合わせても良い。
【0080】
例えば広帯域円偏光板にλ/4板(140nm)を積層し、この軸角度に対して117.5度でλ/2板(270nm)を配置する。この場合の透過偏光軸はλ/4板の軸に対して10度となる。この貼り合わせ角度は各位相差板の位相差値により変動するので上記の貼り合わせ角度に限定するものではない。
【0081】
また本発明によるコレステリック液晶層は広帯域の円偏光反射特性を有する他に、相分離構造から生じる散乱特性を有する。このため本発明による円偏光板は反射板としても好適に用いるいることができる。
【0082】
前記直線偏光子の透過軸には、吸収型偏光子をその透過軸方向を合わせて貼り合わせて用いられる。
【0083】
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0084】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0085】
前記偏光子は、通常、片側または両側に透明保護フィルムが設けられ偏光板として用いられる。透明保護フィルムは透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。偏光板の保護フィルムの観点よりは、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、シクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン構造を有するポリオレフィンなどが好適である。本発明は、トリアセチルセルロースのように、高い温度での焼成が難しい透明基材について好適である。なお、トリアセチルセルロースは、130℃以上ではフィルム中の可塑剤が揮発し特性が著しく低下する。
【0086】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0087】
偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる透明保護フィルムは、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
【0088】
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0089】
前記透明保護フィルムは、表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。
【0090】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0091】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0092】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0093】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0094】
前記直線偏光子の積層、さらには各種光学層の積層は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても行うことができるが、これらを予め積層したのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0095】
前述した直線偏光子には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0096】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0097】
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
【0098】
粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で前記偏光子上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを光学素子上に移着する方式などがあげられる。粘着層は、各層で異なる組成又は種類等のものの重畳層として設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0099】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0100】
なお、粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0101】
本発明の直線偏光子は液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明の直線偏光子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0102】
液晶セルの片側又は両側に前記直線偏光子を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による直線偏光子は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に直線偏光子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0103】
【実施例】
以下に、本発明の実施例等を記載して、より具体的に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0104】
実施例1
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコにブチルアクリレート(BA:Tg=−58℃,5.0g)、ジメチルアセトアミド(11.7g)を加え、これに2,2′−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、1官能開始剤(2−ブロモ−イソ酪酸エチル,0.98g)を加え重合を開始し、窒素気流下で、80℃で1時間重合した。得られたBAポリマーは、数平均分子量990、重量平均分子量1090であった。
【0105】
別途、ジメチルアセトアミド(81.7g)に、下式化10:
【化10】
Figure 2004285169
のネマチック液晶モノマー(33.1g)と、下式化11:
【化11】
Figure 2004285169
のカイラル性モノマー(11.9g)の液晶モノマー混合物を加熱溶解した後、窒素を2時間バブリングして濃度30重量%の液晶モノマー混合物溶液を作成していた。
【0106】
ブチルアクリレートの重合率が85重量%以上であることを確認した後、用意しておいた液晶モノマー混合物溶液をシリンジでラバーセプタムから添加し、80℃で3時間、さらに90℃で48時間重合した。これにメタノールを加えて再沈、精製を行なって洗浄を行なった。さらに、ジメチルアセトアミドに溶解した後、メタノールで再沈、洗浄を2度行なってブロック型コレステリック液晶ポリマーを得た。このブロック型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量10500、重量平均分子量12600であった。
【0107】
得られたブロック型コレステリック液晶ポリマー(1.0g)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン](0.005g)、トリメチロールプロパントリアクリレート(0.05g)をシクロヘキサノンに溶解して濃度20重量%溶液を作成した。
【0108】
ガラス板にポリビニルアルコール水溶液をスピンコートして配向膜を形成し表面をラビング処理した上に、前記コレステリック液晶ポリマー溶液を、塗布厚(乾燥厚)1.5μmになるようにスピンコートで塗布し、常温、常湿にて30分間放置して風乾したあと、160℃で3分間加熱して配向させた。さらに、これに130℃で加熱しながら、10J/cm の紫外線を照射して架橋を行いコレステリック液晶フィルム(1)を得た。
【0109】
また、厚さ75μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、前記コレステリック液晶ポリマー溶液を、塗布厚(乾燥厚)1μmになるようにワイヤーバーで塗布し、常温、常湿にて30分間放置して風乾したあと、160℃で3分間加熱して配向させた。さらに、これに130℃で加熱しながら、10J/cm の紫外線を照射して架橋を行いコレステリック液晶フィルム(2)を得た。
【0110】
実施例2
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート(2HEA:Tg=−69℃,10.0g)、ジメチルアセトアミド(23.3g)を加え、これに2,2′−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、1官能開始剤(2−ブロモ−イソ酪酸エチル,0.98g)を加え重合を開始し、窒素気流下で、80℃で2時間重合した。得られた2HEAポリマーは、数平均分子量1900、重量平均分子量2100であった。
【0111】
別途、ジメチルアセトアミド(93.3g)に、化10のネマチック液晶モノマー(29.5g)と、化11のカイラル性モノマー(10.5g)の液晶モノマー混合物を加熱溶解した後、窒素を2時間バブリングして濃度15重量%の液晶モノマー混合物溶液を作成していた。
【0112】
2−エチルヘキシルアクリレートの重合率が85重量%以上であることを確認した後、用意しておいた液晶モノマー混合物溶液をシリンジでラバーセプタムから添加し、80℃で3時間、さらに90℃で48時間重合した。これにメタノールを加えて再沈、精製を行なって洗浄を行なった。さらに、ジメチルアセトアミドに溶解した後、メタノールで再沈、洗浄を2度行なってブロック型コレステリック液晶ポリマーを得た。このブロック型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量11000、重量平均分子量13000であった。
【0113】
得られたブロック型コレステリック液晶ポリマーについて、実施例1と同様にして、シクロヘキサノン溶液を作成した。また、実施例1と同様にして、配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0114】
実施例3
実施例2において、2EHAの代わりに、イソステアリルアクリレート(i−SA:Tg=−5℃)を用いたこと以外は実施例2と同様にして重合を行った。得られたi−SAポリマーは、数平均分子量2000、重量平均分子量2200であった。また、実施例2と同様にして重合、精製を行い、ブロック型コレステリック液晶ポリマーを得た。このブロック型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量10800、重量平均分子量12700であった。
【0115】
得られたブロック型コレステリック液晶ポリマーについて、実施例1と同様にして、シクロヘキサノン溶液を作成した。また、実施例1と同様にして、配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0116】
実施例4
実施例1において、配向温度を130℃で行なったこと以外は、実施例1と同様にして配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0117】
実施例5
実施例2において、配向温度を130℃で行なったこと以外は、実施例2と同様にして配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0118】
実施例6
実施例3において、配向温度を130℃で行なったこと以外は、実施例3と同様にして配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0119】
比較例1
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、前記化10で示すネマチック液晶モノマー(36.8g)と化11で示すカイラル性モノマー(13.2g)、ジメチルアセトアミド(167g)を加え、これに2,2′−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、1官能開始剤(2−ブロモ−イソ酪酸エチル,0.98g)を加え重合を開始し、窒素気流下で、90℃で48時間重合した。重合後は実施例1と同様にして精製してランダム型コレステリック液晶ポリマーを得た。このランダム型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量11000、重量平均分子量13200であった。
【0120】
得られたランダム型コレステリック液晶ポリマーをシクロヘキサノンに溶解して濃度20重量%溶液を作成した。また、当該溶液を用いて、実施例1と同様にして、配向してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0121】
比較例2
実施例1において、BAの代わりに、メチルメタクリレート(MMA:Tg=102℃,5.0g)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合を行った。得られたMMAポリマーは、数平均分子量950、重量平均分子量1050であった。また、実施例1と同様にして重合、精製を行い、ブロック型コレステリック液晶ポリマーを得た。このブロック型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量10500、重量平均分子量12600であった。
【0122】
得られたブロック型コレステリック液晶ポリマーについて、実施例1と同様にして、シクロヘキサノン溶液を作成した。また、実施例1と同様にして、配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0123】
比較例3
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコにブチルアクリレート(BA:Tg=−58℃,20.0g)、ジメチルアセトアミド(46.7g)を加え、これに2,2′−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、1官能開始剤(2−ブロモ−イソ酪酸エチル,0.98g)を加え重合を開始し、窒素気流下で、80℃で5時間重合した。得られたBAポリマーは、数平均分子量3900、重量平均分子量4600であった。
【0124】
別途、ジメチルアセトアミド(70.3g)に、化10のネマチック液晶モノマー(22.1g)と、化11のカイラル性モノマー(7.90g)の液晶モノマー混合物を加熱溶解した後、窒素を2時間バブリングして濃度30%の液晶モノマー混合物溶液を作成しておいた。
【0125】
ブチルアクリレートの重合率が85重量%以上であることを確認した後、用意しておいた液晶モノマー混合物溶液をシリンジでラバーセプタムから添加し、80℃で3時間、さらに90℃で48時間重合した。これにメタノールを加えて再沈、精製を行なって洗浄を行なった。さらに、ジメチルアセトアミドに溶解した後、メタノールで再沈、洗浄を2度行なってブロック型コレステリック液晶ポリマーを得た。このブロック型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量11500、重量平均分子量13900であった。
【0126】
得られたブロック型コレステリック液晶ポリマーについて、実施例1と同様にして、シクロヘキサノン溶液を作成した。また、実施例1と同様にして、配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0127】
比較例4
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2HEA:Tg=−69℃,10.0g)、化10で示すネマチック液晶モノマー(29.5g)と化11で示すカイラル性モノマー(10.5g)、ジメチルアセトアミド(117.0g)を加え、これに2,2′−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、1官能開始剤(2−ブロモ−イソ酪酸エチル,0.98g)を加え重合を開始し、窒素気流下で、80℃で60時間重合した。重合後は実施例1と同様にして精製してランダム型コレステリック液晶ポリマーを得た。このランダム型コレステリック液晶ポリマーは、数平均分子量11000、重量平均分子量13400であった。
【0128】
得られたランダム型コレステリック液晶ポリマーについて、実施例1と同様にして、シクロヘキサノン溶液を作成した。また、実施例1と同様にして、配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0129】
比較例5
比較例1において、配向温度を130℃で行なったこと以外は、比較例1と同様にして配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0130】
比較例6
比較例2において、配向温度を130℃で行なったこと以外は、比較例2と同様にして配向、架橋してコレステリック液晶フィルム(1)および(2)を得た。
【0131】
得られたコレステリック液晶フィルム(1)および(2)について下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0132】
(配向性)
サンプルとしてはコレステリック液晶フィルム(1)を用いた。コレステリック液晶は特定の波長を選択反射するため反射の有無で配向性を評価した。なお、各例の配向処理は温度130℃で3分間または160℃で3分間、加熱することにより行った。コレステリック液晶フィルムの反射スペクトルを分光光度計(大塚電子株式会社製、瞬間マルチ測光システム MCPD−2000)にて測定し、300〜1100nmの範囲で反射率を測定した。
反射スペクトルの最大反射率が30%以上:○。
反射スペクトルの最大反射率が30%未満:×。
【0133】
(耐熱性)
サンプルとしてはコレステリック液晶フィルム(1)を用いた。コレステリック液晶フィルム上に偏光板(日東電工社製、G1220DU)を厚さ20μmのアクリル系粘着剤層を介して接着し、90℃で1時間加熱した後の外観の変化を目視観察し、下記基準で評価した。
変化が認められない:○。
液晶面の選択反射光の色が変色している:×。
【0134】
(可とう性)
サンプルとしてはコレステリック液晶フィルム(2)を用いた。当該サンプルを、強く折り曲げ液晶の脱落の有無を確認し、下記基準で評価した。
脱落なし:○。
脱落あり:×。
【0135】
【表1】
Figure 2004285169
表1に示すように、非液晶モノマー(b)としてTgが20℃以下の軟質成分をブロック単位で導入したブロック型液晶ポリマーは、実施例1〜3に示すように配向性、耐熱性、可とう性に優れている。また、実施例4〜6に示すように低温配向性にも優れている。一方、軟質成分が導入されていない比較例1は、耐熱性、可とう性に劣る。非液晶モノマー(b)として、Tgが高いMMAを導入した比較例2は可とう性に劣る。また、これらは比較例5、6に示すように低温配向性に劣る。さらには、軟質成分の導入量が多い比較例3、軟質成分がランダムで導入されている比較例4は配向性に劣る。

Claims (17)

  1. 液晶モノマー(a)の単位と、非液晶モノマー(b)の単位からなるブロック型液晶ポリマーであって、
    非液晶モノマー(b)が、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以下のモノマーであり、かつ、非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合が30重量%以下であることを特徴とするブロック型液晶ポリマー。
  2. ブロック型液晶ポリマーが、アクリル系側鎖型液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1記載のブロック型液晶ポリマー。
  3. 非液晶モノマー(b)のブロック単位の割合が5〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2記載のブロック型液晶ポリマー。
  4. 液晶モノマー(a)が、ネマチック液晶モノマー(a1)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
  5. ネマチック液晶モノマー(a1)が、一般式(a1):
    Figure 2004285169
    (式中、R は水素原子またはメチル基を、mは1〜6の整数を、X は−CO −基、−OCO−基、−CO−、−CH=CH−または−C≡C−を、R は炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、pおよびqは1または2を示す。)で表されるアクリル酸エステル誘導体ことを特徴とする請求項4記載のブロック型液晶ポリマー。
  6. ブロック型液晶ポリマーが、液晶モノマー(a)として、ネマチック液晶モノマー(a1)と重合性カイラル剤(a2)を含有するアクリル系側鎖型コレステリック液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
  7. 重合性カイラル剤(a2)が、一般式(a2):
    Figure 2004285169
    (式中、R は水素原子またはメチル基を、nは1〜6の整数を、X は−CO −基、−OCO−基、−CO−、−CH=CH−または−C≡C−を、R は一般式(a3):
    Figure 2004285169
    (各式中、R は、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基またはビフェニル基を、R は、メチル基、フェニル基またはカルボキシメチル基を、R はメチル基、ベンジル基またはt−ブチル基を示す。*は不斉炭素原子を示す。)で表される置換基を示す。) で表される光学活性基を有するアクリル酸エステル誘導体であることを特徴とする請求項6記載のブロック型液晶ポリマー。
  8. ネマチック液晶モノマー(a1)100重量部に対し、重合性カイラル剤(a2)1〜30重量部を含有していることを特徴とする請求項6または7記載のブロック型液晶ポリマー。
  9. 数平均分子量が、2千〜10万であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
  10. 各モノマーをリビングラジカル重合して得られたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマー。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマーおよびラジカル発生剤を含有していることを特徴とする液晶ポリマー組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のブロック型液晶ポリマーまたは請求項11記載の液晶ポリマー組成物を、配向、製膜して得られる液晶フィルム。
  13. 請求項12記載の液晶フィルムが、コレステリック液晶フィルムであり、当該コレステリック液晶フィルムが用いられている円偏光板。
  14. 請求項13記載の円偏光板に、λ/4板を積層して得られる、透過で直線偏光が得られる直線偏光子。
  15. 請求項14記載の直線偏光子の透過軸に、吸収型偏光子をその透過軸方向を合わせて貼り合わせて得られる直線偏光子。
  16. 裏面側に反射層を有する面光源の表面側に請求項13記載の円偏光板、または請求項14もしくは15記載の直線偏光子を有することを特徴とする照明装置。
  17. 請求項16記載の照明装置の光出射側に、液晶セルを有することを特徴とする液晶表示装置。
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