JP2004282246A - 光送信器、光受信器および光通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで高品質の信号光伝送をすることができる光通信システム等を提供する。
【解決手段】光源部110より出力された一定強度の光L0が外部変調部120に入力し、外部変調部120において強度が互いに相補的である第1光L1および第2光L2が生成される。外部変調部120の第1出力端121より出力された第1光L1は、光ファイバ伝送路310を経て第1受光部221により受光され、受光パワーに応じた値の第1電気信号E1が出力される。外部変調部120の第2出力端122より出力された第2光L2は、光ファイバ伝送路320を経て第2受光部222により受光され、受光パワーに応じた値の第2電気信号E2が出力される。第1電気信号E1と第2電気信号E2とは差動増幅部230に入力して、両者の差を表す差信号ΔEが差動増幅部230より出力される。
【選択図】 図1
【解決手段】光源部110より出力された一定強度の光L0が外部変調部120に入力し、外部変調部120において強度が互いに相補的である第1光L1および第2光L2が生成される。外部変調部120の第1出力端121より出力された第1光L1は、光ファイバ伝送路310を経て第1受光部221により受光され、受光パワーに応じた値の第1電気信号E1が出力される。外部変調部120の第2出力端122より出力された第2光L2は、光ファイバ伝送路320を経て第2受光部222により受光され、受光パワーに応じた値の第2電気信号E2が出力される。第1電気信号E1と第2電気信号E2とは差動増幅部230に入力して、両者の差を表す差信号ΔEが差動増幅部230より出力される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号光を伝送することで情報の送受信をすることができる光通信システム、ならびに、この光通信システムにおいて用いられる光送信器および光受信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムは、光送信器より信号光を光ファイバ伝送路へ送出し、その光ファイバ伝送路により伝送されてきた信号光を光受信器により受信するものであって、大容量の情報を高速に送受信することができる。優れた伝送品質で信号光を伝送するには、送信から受信までの間の信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値が小さいことが重要である。
【0003】
ところが、光ファイバ伝送路として一般に用いられる標準的なシングルモード光ファイバは、波長1.3μm付近において波長分散が零であって、一般に信号光波長帯域として用いられる波長1.55μm帯では波長分散が+16ps/nm/km程度である。このようなシングルモード光ファイバのみを用いて信号光伝送経路を構成したのでは、信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値が大きいので、信号光伝送品質の改善に限界がある。
【0004】
そこで、従来では信号光伝送経路上に分散補償手段が挿入される。この分散補償手段は、信号光波長帯域において負の波長分散を有するものであり、信号光波長帯域においてシングルモード光ファイバの波長分散を補償することができる。分散補償手段として例えば分散補償光ファイバが好適に用いられる。そして、シングルモード光ファイバおよび分散補償光ファイバそれぞれの長さの比を適切に設計することにより、シングルモード光ファイバおよび分散補償光ファイバを含む信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値を小さくすることができ、信号光伝送品質の改善を図ることができる(例えば非特許文献1を参照)。
【0005】
【非特許文献1】
A. Sano, et al., TuD.3.5, ECOC’96
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補償対象である光ファイバの長さ又は波長分散は、一定ではなく、ばらつきがある。同様に、分散補償光ファイバの波長分散も、一定ではなく、ばらつきがある。さらに、光送信器および光受信器それぞれが有する分散耐力には限界がある。したがって、これらのことを考慮して分散補償光ファイバを含めた光ファイバ伝送路を設計する必要があるので、システム設計コストやシステム管理コストが大きい。
【0007】
また、分散補償光ファイバの伝送損失が比較的大きく、分散補償光ファイバを伝搬する間に信号光が損失を被るので、光増幅器を用いて信号光を光増幅する必要が生じる。この場合には、光増幅器を設けることによりコストが大きくなる。また、信号光の光増幅の際にノイズ光が発生するので、このノイズ成分について品質管理が必要になり、この点でもコストが大きくなる。さらに、光増幅された信号光が高パワーであることから、非線形光学現象に因る信号光波形劣化が生じ易くなるので、これに対する対策を考慮する必要がある点でもコストが大きくなる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、低コストで高品質の信号光伝送をすることができる光通信システム、ならびに、この光通信システムにおいて好適に用いられる光送信器および光受信器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光送信器は、(1) 一定強度の光を出力する光源部と、(2) 光源部より出力された光を入力して、各々の強度が互いに相補的である第1光および第2光を生成し、第1光を第1出力端より出力し、第2光を第2出力端より出力する外部変調部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光受信器は、(1) 第1光を受光して、その受光した第1光の強度に応じた値の第1電気信号を出力する第1受光部と、(2) 第2光を受光して、その受光した第2光の強度に応じた値の第2電気信号を出力する第2受光部と、(3) 第1受光部より出力された第1電気信号と、第2受光部より出力された第2電気信号とを入力して、第1電気信号と第2電気信号との差を表す差信号を出力する差動増幅部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光通信システムは、(1) 上記の本発明に係る光送信器と、(2) 上記の本発明に係る光受信器と、(3) 光送信器の外部変調部の第1出力端より出力された第1光を光受信器の第1受信部へ向けて伝送する第1光ファイバ伝送路と、(4) 光送信器の外部変調部の第2出力端より出力された第2光を光受信器の第2受信部へ向けて伝送する第2光ファイバ伝送路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、光送信器において、光源部より出力された一定強度の光が外部変調部に入力して、外部変調部により各々の強度が互いに相補的である第1光および第2光が生成され、外部変調部の第1出力端より第1光が第1光ファイバ伝送路へ送出され、外部変調部の第2出力端より第2光が第2光ファイバ伝送路へ送出される。光受信器において、第1光ファイバ伝送路を伝搬してきた第1光が第1受光部により受光され、その受光した第1光の強度に応じた値の第1電気信号が第1受光部より出力され、また、第2光ファイバ伝送路を伝搬してきた第2光が第2受光部により受光され、その受光した第2光の強度に応じた値の第2電気信号が第2受光部より出力される。そして、第1受光部より出力された第1電気信号と、第2受光部より出力された第2電気信号とは、差動増幅部に入力して、第1電気信号と第2電気信号との差を表す差信号が差動増幅部より出力される。
【0013】
本発明に係る光通信システムは、外部変調部の第1出力端と第1受光部との間、および、外部変調部の第2出力端と第2受光部との間の、双方または何れか一方の光伝送経路上に設けられ、第1光および第2光の双方または何れか一方の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部を更に備えるのが好適である。また、第1受光部と差動増幅部との間、および、第2受光部と差動増幅部との間の、双方または何れか一方の電気信号経路上に設けられ、第1電気信号および第2電気信号の双方または何れか一方の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部を更に備えるのが好適である。また、伝搬時間調整部における伝搬時間の調整量が可変であるのが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。この図に示される光通信システム1は、光送信器100、光受信器200および光ファイバ伝送路310,320を備えて構成されている。
【0016】
光送信器100は、光源部110および外部変調部120を有する。光源部110は、一定強度の光L0を出力するものである。光源部110は、例えば、レーザダイオードを含み、このレーザダイオードに一定値の駆動電流を供給することにより、このレーザダイオードより一定強度の光L0を出力する。外部変調部120は、光源部110より出力された一定強度の光L0を入力して、各々の強度が互いに相補的である第1光L1および第2光L2を生成し、第1光L1を第1出力端121より出力し、第2光L2を第2出力端122より出力する。
【0017】
第1光ファイバ伝送路310は、光送信器100に含まれる外部変調部120の第1出力端121に接続されており、この第1出力端121より送出された第1光L1を光受信器200へ向けて伝送する。また、第2光ファイバ伝送路320は、光送信器100に含まれる外部変調部120の第2出力端122に接続されており、この第2出力端122より送出された第2光L2を光受信器200へ向けて伝送する。
【0018】
光受信器200は、伝搬時間調整部211,212、受光部221,222、および、差動増幅部230を有する。第1伝搬時間調整部211は、外部変調部120の第1出力端121と第1受光部221との間の光伝送経路上に設けられ、第1光ファイバ伝送路310により伝送されてきて到達した第1光L1の伝搬時間を調整する。第2伝搬時間調整部212は、外部変調部120の第2出力端122と第2受光部222との間の光伝送経路上に設けられ、第2光ファイバ伝送路320により伝送されてきて到達した第2光L2の伝搬時間を調整する。第1伝搬時間調整部211および第2伝搬時間調整部212の双方または何れか一方における伝搬時間の調整量が可変であるのが好適である。
【0019】
第1受光部221は、第1伝搬時間調整部211より到達した第1光L1を受光して、その受光した第1光L1の強度に応じた値の第1電気信号E1を出力する。第2受光部222は、第2伝搬時間調整部212より到達した第2光L2を受光して、その受光した第2光L2の強度に応じた値の第2電気信号E2を出力する。差動増幅部230は、第1受光部221より出力された第1電気信号E1と、第2受光部222より出力された第2電気信号E2とを入力して、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEを出力する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の構成図である。この図に示される外部変調部120は、例えばGaAs,InP,LiNbO3等からなる基板200上に、第1光導波路211および第2光導波路212が形成されたものである。第1光導波路211と第2光導波路212とは、第1光カプラ221および第2光カプラ222それぞれにおいて互いに光結合されている。すなわち、第1光導波路211、第2光導波路212、第1光カプラ221および第2光カプラ222を含む光学系は、マッハツェンダ干渉計を構成している。
【0021】
第1光カプラ221と第2光カプラ222との間において、第1光導波路211を挟んで一対の電極231,232が設けられており、第2光導波路212を挟んで一対の電極233,234が設けられている。電極231および電極234それぞれは接地電位とされ、第1光導波路211と第2光導波路212との間にある電極232および電極233それぞれには、送信すべき信号に応じた電圧Vsigが印加される。
【0022】
第1光カプラ221と第2光カプラ222との間における第1光導波路211は、これを挟む一対の電極231,232の間の電位差に応じて屈折率が変化し、これに応じて位相が変化する。同様に、第1光カプラ221と第2光カプラ222との間における第2光導波路212は、これを挟む一対の電極233,234の間の電位差に応じて屈折率が変化し、これに応じて位相が変化する。
【0023】
この外部変調部120は、基板200の一方の端面に達している第1光導波路211の端部より、光源部110より出力された一定強度の光L0を入力する。外部変調部120は、その光L0を第1光カプラ221において一定比で2分岐し、2分岐した一方の光については第1光導波路211を第2光カプラ222へ向けて伝搬させ、2分岐した他方の光については第2光導波路212を第2光カプラ222へ向けて伝搬させる。電極231,232の間の電位差は、第1光カプラ221から第2光カプラ222へ向けて第1光導波路211を伝搬する光に対して、その電位差に応じた位相変化を生じさせる。電極233,234の間の電位差は、第1光カプラ221から第2光カプラ222へ向けて第2光導波路212を伝搬する光に対して、その電位差に応じた位相変化を生じさせる。第2光カプラ222は、第1光導波路211および第2光導波路212それぞれを伝搬してきて到達した光を入力して光結合する。そして、外部変調部120は、基板200の他方の端面に達している第1光導波路211の端部(第1出力端121)より第1光L1を出力し、基板200の他方の端面に達している第2光導波路212の端部(第2出力端122)より第2光L2を出力する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の動作を説明するタイミングチャートである。同図(a)は、光源部110より出力され外部変調部120の第1光導波路211の端部に入力する光L0のパワーの時間変化を示す。同図(b)は、外部変調部120の電極232,233に印加される電圧Vsigの値の時間変化を示す。同図(c)は、外部変調部120の第1出力端121より出力される第1光L1のパワーの時間変化を示す。また、同図(d)は、外部変調部120の第2出力端122より出力される第2光L2のパワーの時間変化を示す。
【0025】
同図(a)に示されるように、光源部110より出力され外部変調部120の第1光導波路211の端部に入力する光L0のパワーは時刻によらず一定である。同図(b)〜(d)に示されるように、電極232,233に印加される電圧Vsigの値がハイレベルであるときには、第1出力端121より出力される第1光L1のパワーはハイレベルPHであり、第2出力端122より出力される第2光L2のパワーはローレベルPLである。一方、電極232,233に印加される電圧Vsigの値がローレベルであるときには、第1出力端121より出力される第1光L1のパワーはローレベルPLであり、第2出力端122より出力される第2光L2のパワーはハイレベルPHである。このように、外部変調部120より出力される第1光L1と第2光L2とは、一方のパワーがハイレベルPHであるときに他方のパワーがローレベルPLであり、各々のパワーが互いに相補的である。
【0026】
図4は、本実施形態に係る光受信器200に含まれる差動増幅部230の構成図である。なお、この図には、第1受光部221および第2受光部222も示されている。差動増幅部230は、差動アンプ231および抵抗素子232〜236を含む。差動アンプ231の第1入力端子は、抵抗素子232を介して第1受光部221と接続されており、抵抗素子233を介して差動アンプ231の出力端子と接続されている。差動アンプ231の第2入力端子は、抵抗素子234を介して第2受光部222と接続されており、抵抗素子235を介して接地電位と接続されている。差動アンプ231の出力端子は、終端抵抗素子236を介して接地電位と接続されている。このように構成される差動増幅部230は、第1受光部221より出力された第1電気信号E1と、第2受光部222より出力された第2電気信号E2とを入力して、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEを差動アンプ231の出力端子より出力する。
【0027】
次に、本実施形態に係る光通信システム1の動作について説明する。光送信器100において、光源部110より出力された一定強度の光L0(図3(a))は外部変調部120に入力し、外部変調部120の電極232,233に印加される電圧Vsig(図3(b))に基づいて、強度が互いに相補的である第1光L1(図3(c))および第2光L2(図3(d))が生成される。
【0028】
外部変調部120の第1出力端121より出力された第1光L1は、光ファイバ伝送路310により伝送されて光受信器200に到達して、必要に応じて伝搬時間調整部211により遅延が与えられ、第1受光部221により受光される。また、外部変調部120の第2出力端122より出力された第2光L2は、光ファイバ伝送路320により伝送されて光受信器200に到達して、必要に応じて伝搬時間調整部212により遅延が与えられ、第2受光部222により受光される。
【0029】
第1光L1を受光した第1受光部221より、その受光した第1光L1のパワーに応じた値の第1電気信号E1が出力される。また、第2光L2を受光した第2受光部222より、その受光した第2光L2のパワーに応じた値の第2電気信号E2が出力される。そして、第1受光部221より出力された第1電気信号E1と、第2受光部222より出力された第2電気信号E2とは、差動増幅部230に入力して、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEが差動増幅部230より出力される。
【0030】
ここで、第1光L1は、光送信器100から光受信器200へ至るまでの第1光ファイバ伝送路310において、光ファイバ伝送路310の光路長や波長分散に応じて、伝搬時間T1を要し、累積波長分散D1の影響を受けるものとする。また、第2光L2は、光送信器100から光受信器200へ至るまでの第2光ファイバ伝送路320において、光ファイバ伝送路320の光路長や波長分散に応じて、伝搬時間T2を要し、累積波長分散D2の影響を受けるものとする。例えば、第1光ファイバ伝送路310および第2光ファイバ伝送路320それぞれは、光送信器100と光受信器200との間に敷設された共通の光ケーブルに含まれるとし、また、互いに同一の条件で製造された同種の光ファイバであるとする。
【0031】
この場合、上記の伝搬時間T1と伝搬時間T2とは互いに等しいとしてよいので、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、伝搬時間調整部211,212により伝搬時間が調整されるまでもなく、各々の強度が殆ど互いに相補的なものとなっている。また、この場合、上記の累積波長分散D1と累積波長分散D2とは互いに等しいとしてよいので、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、互いに同程度の累積波長分散に因り、互いに同様の波形歪みを受けたものとなっている。第1電気信号E1と第2電気信号E2との関係も同様のものとなる。
【0032】
したがって、差動増幅部230より出力される差信号ΔE(=E1−E2)は、光送信器100の外部変調部120の電極232,233に印加された電圧信号Vsigと同様のものである。また、第1受光部221に到達する第1光L1の波形歪みのうちの偶数時成分と、第2受光部222に到達する第2光L2の波形歪みのうちの偶数時成分とは、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差をとることにより互いに相殺されるので、差動増幅部230より出力される差信号ΔEは、光の波形歪みのうちの偶数次成分が除去されたものとなる。なお、光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る伝搬光の波形歪みは2次成分が最も大きい。したがって、差動増幅部230より出力される差信号ΔEは、最も大きい2次の波形歪みを含む偶数次成分が除去されたものとなる。
【0033】
一方、上記の伝搬時間T1と伝搬時間T2とが互いに等しくない場合には、伝搬時間調整部211または伝搬時間調整部212により、第1光L1または第2光L2の伝搬時間が調整される。また、上記の伝搬時間T1と伝搬時間T2とが互いに等しくなく、伝搬時間T1と伝搬時間T2との差が一定ではない場合には、伝搬時間の調整量が可変である伝搬時間調整部211または伝搬時間調整部212により、第1光L1または第2光L2の伝搬時間が調整される。この調整により、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、各々の強度が殆ど互いに相補的なものとされる。また、上記の累積波長分散D1と累積波長分散D2とが互いに等しければ、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、互いに同程度の累積波長分散に因り、互いに同様の波形歪みを受けたものとなっている。第1電気信号E1と第2電気信号E2との関係も同様のものとなる。したがって、この場合にも、差動増幅部230より出力される差信号ΔEは、最も大きい2次の波形歪みを含む偶数次成分が除去されたものとなる。
【0034】
次に、本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果について、図5〜図8を用いて説明する。図5は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのアイパターンを示す。図6は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのチャープ量が−0.7であって、光ファイバ伝送路310および光ファイバ伝送路320それぞれの累積波長分散が1600ps/nmである場合の、各アイパターンを示す。図7は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのチャープ量が+0.3であって、光ファイバ伝送路310および光ファイバ伝送路320それぞれの累積波長分散が1600ps/nmである場合の、各アイパターンを示す。図8は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのチャープ量が0であって、光ファイバ伝送路310および光ファイバ伝送路320それぞれの累積波長分散が1920ps/nmである場合の、各アイパターンを示す。図6(a),図7(a)および図8(a)それぞれは、光受信器200に到達する第1光L1および第2光L2それぞれのアイパターンを示す。図6(b),図7(b)および図8(b)それぞれは、差信号ΔEのアイパターンを示す。
【0035】
これらの図から判るように、光受信器200に到達する第1光L1および第2光L2それぞれには波形の歪みが見られる(図6(a),図7(a)および図8(a))。これに対して、光受信器200の差動増幅部230より出力される差信号ΔEにおける波形の歪みは低減されている(図6(b),図7(b)および図8(b))
以上のように、本実施形態に係る光通信システム1は、分散補償光ファイバを用いるまでもなく、光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る光波形の歪みの問題を解消することができ、高品質の光通信を行うことができる。しかも、分散補償光ファイバを用いる必要がなく、また、分散補償光ファイバにおける光の損失を補償する為に光増幅器を設ける必要もないことから、システム設計コストやシステム管理コストが小さい。また、光受信器200の差動増幅部230において、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEを求める際に実質的に電気信号を増幅することになるので、受信感度が向上し、この点でも光増幅器を設ける必要性が低減する。また、現用の光ファイバ伝送路に障害が発生して、予備の光ファイバ伝送路へ光伝送経路を変更した場合であっても、予備の光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る光波形の歪みの問題をも解消することができ、高品質の光通信を行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、光送信器100と光受信器200との間に2本の光ファイバ伝送路310,320が設けられることが必要である。しかし、現に敷設されている光ケーブルには多数の未使用の光ファイバ伝送路があり、また、今後敷設される光ケーブルにも充分に余裕をもって多数の光ファイバ伝送路が含まれている。このことから、本実施形態の如く2本の光ファイバ伝送路を使用するとしても、新たに光ファイバ伝送路を敷設する必要はないので、コスト増は僅かである。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、外部変調部120と第1受光部221との間に伝搬時間調整部211を設けるとともに、外部変調部120と第2受光部222との間に伝搬時間調整部212を設けた。しかし、外部変調部120と第1受光部221との間、および、外部変調部120と第2受光部222との間の、何れか一方のみの光伝送経路上に伝搬時間調整部が設けられてもよい。また、第1受光部221と差動増幅部230との間に第1電気信号E1の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部、および、第2受光部222と差動増幅部230との間に第2電気信号E2の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部の、双方または何れか一方が設けられてもよい。また、外部変調部120は、電気音響効果を用いた強度変調器と、その強度変調器の後段に設けられたマッハツェンダ干渉計と、を含む構成のものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、分散補償光ファイバを用いるまでもなく、光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る光波形の歪みの問題を解消することができ、高品質の光通信を行うことができる。しかも、分散補償光ファイバを用いる必要がなく、また、分散補償光ファイバにおける光の損失を補償する為に光増幅器を設ける必要もないことから、システム設計コストやシステム管理コストが小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。
【図2】本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の構成図である。
【図3】本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態に係る光受信器200に含まれる差動増幅部230の構成図である。
【図5】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【図8】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【符号の説明】
1…光通信システム、100…光送信器、110…光源部、120…外部変調部、200…光受信器、211,212…伝搬時間調整部、221,222…受光部、230…差動増幅部、310,320…光ファイバ伝送路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号光を伝送することで情報の送受信をすることができる光通信システム、ならびに、この光通信システムにおいて用いられる光送信器および光受信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムは、光送信器より信号光を光ファイバ伝送路へ送出し、その光ファイバ伝送路により伝送されてきた信号光を光受信器により受信するものであって、大容量の情報を高速に送受信することができる。優れた伝送品質で信号光を伝送するには、送信から受信までの間の信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値が小さいことが重要である。
【0003】
ところが、光ファイバ伝送路として一般に用いられる標準的なシングルモード光ファイバは、波長1.3μm付近において波長分散が零であって、一般に信号光波長帯域として用いられる波長1.55μm帯では波長分散が+16ps/nm/km程度である。このようなシングルモード光ファイバのみを用いて信号光伝送経路を構成したのでは、信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値が大きいので、信号光伝送品質の改善に限界がある。
【0004】
そこで、従来では信号光伝送経路上に分散補償手段が挿入される。この分散補償手段は、信号光波長帯域において負の波長分散を有するものであり、信号光波長帯域においてシングルモード光ファイバの波長分散を補償することができる。分散補償手段として例えば分散補償光ファイバが好適に用いられる。そして、シングルモード光ファイバおよび分散補償光ファイバそれぞれの長さの比を適切に設計することにより、シングルモード光ファイバおよび分散補償光ファイバを含む信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値を小さくすることができ、信号光伝送品質の改善を図ることができる(例えば非特許文献1を参照)。
【0005】
【非特許文献1】
A. Sano, et al., TuD.3.5, ECOC’96
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補償対象である光ファイバの長さ又は波長分散は、一定ではなく、ばらつきがある。同様に、分散補償光ファイバの波長分散も、一定ではなく、ばらつきがある。さらに、光送信器および光受信器それぞれが有する分散耐力には限界がある。したがって、これらのことを考慮して分散補償光ファイバを含めた光ファイバ伝送路を設計する必要があるので、システム設計コストやシステム管理コストが大きい。
【0007】
また、分散補償光ファイバの伝送損失が比較的大きく、分散補償光ファイバを伝搬する間に信号光が損失を被るので、光増幅器を用いて信号光を光増幅する必要が生じる。この場合には、光増幅器を設けることによりコストが大きくなる。また、信号光の光増幅の際にノイズ光が発生するので、このノイズ成分について品質管理が必要になり、この点でもコストが大きくなる。さらに、光増幅された信号光が高パワーであることから、非線形光学現象に因る信号光波形劣化が生じ易くなるので、これに対する対策を考慮する必要がある点でもコストが大きくなる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、低コストで高品質の信号光伝送をすることができる光通信システム、ならびに、この光通信システムにおいて好適に用いられる光送信器および光受信器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光送信器は、(1) 一定強度の光を出力する光源部と、(2) 光源部より出力された光を入力して、各々の強度が互いに相補的である第1光および第2光を生成し、第1光を第1出力端より出力し、第2光を第2出力端より出力する外部変調部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光受信器は、(1) 第1光を受光して、その受光した第1光の強度に応じた値の第1電気信号を出力する第1受光部と、(2) 第2光を受光して、その受光した第2光の強度に応じた値の第2電気信号を出力する第2受光部と、(3) 第1受光部より出力された第1電気信号と、第2受光部より出力された第2電気信号とを入力して、第1電気信号と第2電気信号との差を表す差信号を出力する差動増幅部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光通信システムは、(1) 上記の本発明に係る光送信器と、(2) 上記の本発明に係る光受信器と、(3) 光送信器の外部変調部の第1出力端より出力された第1光を光受信器の第1受信部へ向けて伝送する第1光ファイバ伝送路と、(4) 光送信器の外部変調部の第2出力端より出力された第2光を光受信器の第2受信部へ向けて伝送する第2光ファイバ伝送路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、光送信器において、光源部より出力された一定強度の光が外部変調部に入力して、外部変調部により各々の強度が互いに相補的である第1光および第2光が生成され、外部変調部の第1出力端より第1光が第1光ファイバ伝送路へ送出され、外部変調部の第2出力端より第2光が第2光ファイバ伝送路へ送出される。光受信器において、第1光ファイバ伝送路を伝搬してきた第1光が第1受光部により受光され、その受光した第1光の強度に応じた値の第1電気信号が第1受光部より出力され、また、第2光ファイバ伝送路を伝搬してきた第2光が第2受光部により受光され、その受光した第2光の強度に応じた値の第2電気信号が第2受光部より出力される。そして、第1受光部より出力された第1電気信号と、第2受光部より出力された第2電気信号とは、差動増幅部に入力して、第1電気信号と第2電気信号との差を表す差信号が差動増幅部より出力される。
【0013】
本発明に係る光通信システムは、外部変調部の第1出力端と第1受光部との間、および、外部変調部の第2出力端と第2受光部との間の、双方または何れか一方の光伝送経路上に設けられ、第1光および第2光の双方または何れか一方の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部を更に備えるのが好適である。また、第1受光部と差動増幅部との間、および、第2受光部と差動増幅部との間の、双方または何れか一方の電気信号経路上に設けられ、第1電気信号および第2電気信号の双方または何れか一方の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部を更に備えるのが好適である。また、伝搬時間調整部における伝搬時間の調整量が可変であるのが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。この図に示される光通信システム1は、光送信器100、光受信器200および光ファイバ伝送路310,320を備えて構成されている。
【0016】
光送信器100は、光源部110および外部変調部120を有する。光源部110は、一定強度の光L0を出力するものである。光源部110は、例えば、レーザダイオードを含み、このレーザダイオードに一定値の駆動電流を供給することにより、このレーザダイオードより一定強度の光L0を出力する。外部変調部120は、光源部110より出力された一定強度の光L0を入力して、各々の強度が互いに相補的である第1光L1および第2光L2を生成し、第1光L1を第1出力端121より出力し、第2光L2を第2出力端122より出力する。
【0017】
第1光ファイバ伝送路310は、光送信器100に含まれる外部変調部120の第1出力端121に接続されており、この第1出力端121より送出された第1光L1を光受信器200へ向けて伝送する。また、第2光ファイバ伝送路320は、光送信器100に含まれる外部変調部120の第2出力端122に接続されており、この第2出力端122より送出された第2光L2を光受信器200へ向けて伝送する。
【0018】
光受信器200は、伝搬時間調整部211,212、受光部221,222、および、差動増幅部230を有する。第1伝搬時間調整部211は、外部変調部120の第1出力端121と第1受光部221との間の光伝送経路上に設けられ、第1光ファイバ伝送路310により伝送されてきて到達した第1光L1の伝搬時間を調整する。第2伝搬時間調整部212は、外部変調部120の第2出力端122と第2受光部222との間の光伝送経路上に設けられ、第2光ファイバ伝送路320により伝送されてきて到達した第2光L2の伝搬時間を調整する。第1伝搬時間調整部211および第2伝搬時間調整部212の双方または何れか一方における伝搬時間の調整量が可変であるのが好適である。
【0019】
第1受光部221は、第1伝搬時間調整部211より到達した第1光L1を受光して、その受光した第1光L1の強度に応じた値の第1電気信号E1を出力する。第2受光部222は、第2伝搬時間調整部212より到達した第2光L2を受光して、その受光した第2光L2の強度に応じた値の第2電気信号E2を出力する。差動増幅部230は、第1受光部221より出力された第1電気信号E1と、第2受光部222より出力された第2電気信号E2とを入力して、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEを出力する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の構成図である。この図に示される外部変調部120は、例えばGaAs,InP,LiNbO3等からなる基板200上に、第1光導波路211および第2光導波路212が形成されたものである。第1光導波路211と第2光導波路212とは、第1光カプラ221および第2光カプラ222それぞれにおいて互いに光結合されている。すなわち、第1光導波路211、第2光導波路212、第1光カプラ221および第2光カプラ222を含む光学系は、マッハツェンダ干渉計を構成している。
【0021】
第1光カプラ221と第2光カプラ222との間において、第1光導波路211を挟んで一対の電極231,232が設けられており、第2光導波路212を挟んで一対の電極233,234が設けられている。電極231および電極234それぞれは接地電位とされ、第1光導波路211と第2光導波路212との間にある電極232および電極233それぞれには、送信すべき信号に応じた電圧Vsigが印加される。
【0022】
第1光カプラ221と第2光カプラ222との間における第1光導波路211は、これを挟む一対の電極231,232の間の電位差に応じて屈折率が変化し、これに応じて位相が変化する。同様に、第1光カプラ221と第2光カプラ222との間における第2光導波路212は、これを挟む一対の電極233,234の間の電位差に応じて屈折率が変化し、これに応じて位相が変化する。
【0023】
この外部変調部120は、基板200の一方の端面に達している第1光導波路211の端部より、光源部110より出力された一定強度の光L0を入力する。外部変調部120は、その光L0を第1光カプラ221において一定比で2分岐し、2分岐した一方の光については第1光導波路211を第2光カプラ222へ向けて伝搬させ、2分岐した他方の光については第2光導波路212を第2光カプラ222へ向けて伝搬させる。電極231,232の間の電位差は、第1光カプラ221から第2光カプラ222へ向けて第1光導波路211を伝搬する光に対して、その電位差に応じた位相変化を生じさせる。電極233,234の間の電位差は、第1光カプラ221から第2光カプラ222へ向けて第2光導波路212を伝搬する光に対して、その電位差に応じた位相変化を生じさせる。第2光カプラ222は、第1光導波路211および第2光導波路212それぞれを伝搬してきて到達した光を入力して光結合する。そして、外部変調部120は、基板200の他方の端面に達している第1光導波路211の端部(第1出力端121)より第1光L1を出力し、基板200の他方の端面に達している第2光導波路212の端部(第2出力端122)より第2光L2を出力する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の動作を説明するタイミングチャートである。同図(a)は、光源部110より出力され外部変調部120の第1光導波路211の端部に入力する光L0のパワーの時間変化を示す。同図(b)は、外部変調部120の電極232,233に印加される電圧Vsigの値の時間変化を示す。同図(c)は、外部変調部120の第1出力端121より出力される第1光L1のパワーの時間変化を示す。また、同図(d)は、外部変調部120の第2出力端122より出力される第2光L2のパワーの時間変化を示す。
【0025】
同図(a)に示されるように、光源部110より出力され外部変調部120の第1光導波路211の端部に入力する光L0のパワーは時刻によらず一定である。同図(b)〜(d)に示されるように、電極232,233に印加される電圧Vsigの値がハイレベルであるときには、第1出力端121より出力される第1光L1のパワーはハイレベルPHであり、第2出力端122より出力される第2光L2のパワーはローレベルPLである。一方、電極232,233に印加される電圧Vsigの値がローレベルであるときには、第1出力端121より出力される第1光L1のパワーはローレベルPLであり、第2出力端122より出力される第2光L2のパワーはハイレベルPHである。このように、外部変調部120より出力される第1光L1と第2光L2とは、一方のパワーがハイレベルPHであるときに他方のパワーがローレベルPLであり、各々のパワーが互いに相補的である。
【0026】
図4は、本実施形態に係る光受信器200に含まれる差動増幅部230の構成図である。なお、この図には、第1受光部221および第2受光部222も示されている。差動増幅部230は、差動アンプ231および抵抗素子232〜236を含む。差動アンプ231の第1入力端子は、抵抗素子232を介して第1受光部221と接続されており、抵抗素子233を介して差動アンプ231の出力端子と接続されている。差動アンプ231の第2入力端子は、抵抗素子234を介して第2受光部222と接続されており、抵抗素子235を介して接地電位と接続されている。差動アンプ231の出力端子は、終端抵抗素子236を介して接地電位と接続されている。このように構成される差動増幅部230は、第1受光部221より出力された第1電気信号E1と、第2受光部222より出力された第2電気信号E2とを入力して、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEを差動アンプ231の出力端子より出力する。
【0027】
次に、本実施形態に係る光通信システム1の動作について説明する。光送信器100において、光源部110より出力された一定強度の光L0(図3(a))は外部変調部120に入力し、外部変調部120の電極232,233に印加される電圧Vsig(図3(b))に基づいて、強度が互いに相補的である第1光L1(図3(c))および第2光L2(図3(d))が生成される。
【0028】
外部変調部120の第1出力端121より出力された第1光L1は、光ファイバ伝送路310により伝送されて光受信器200に到達して、必要に応じて伝搬時間調整部211により遅延が与えられ、第1受光部221により受光される。また、外部変調部120の第2出力端122より出力された第2光L2は、光ファイバ伝送路320により伝送されて光受信器200に到達して、必要に応じて伝搬時間調整部212により遅延が与えられ、第2受光部222により受光される。
【0029】
第1光L1を受光した第1受光部221より、その受光した第1光L1のパワーに応じた値の第1電気信号E1が出力される。また、第2光L2を受光した第2受光部222より、その受光した第2光L2のパワーに応じた値の第2電気信号E2が出力される。そして、第1受光部221より出力された第1電気信号E1と、第2受光部222より出力された第2電気信号E2とは、差動増幅部230に入力して、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEが差動増幅部230より出力される。
【0030】
ここで、第1光L1は、光送信器100から光受信器200へ至るまでの第1光ファイバ伝送路310において、光ファイバ伝送路310の光路長や波長分散に応じて、伝搬時間T1を要し、累積波長分散D1の影響を受けるものとする。また、第2光L2は、光送信器100から光受信器200へ至るまでの第2光ファイバ伝送路320において、光ファイバ伝送路320の光路長や波長分散に応じて、伝搬時間T2を要し、累積波長分散D2の影響を受けるものとする。例えば、第1光ファイバ伝送路310および第2光ファイバ伝送路320それぞれは、光送信器100と光受信器200との間に敷設された共通の光ケーブルに含まれるとし、また、互いに同一の条件で製造された同種の光ファイバであるとする。
【0031】
この場合、上記の伝搬時間T1と伝搬時間T2とは互いに等しいとしてよいので、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、伝搬時間調整部211,212により伝搬時間が調整されるまでもなく、各々の強度が殆ど互いに相補的なものとなっている。また、この場合、上記の累積波長分散D1と累積波長分散D2とは互いに等しいとしてよいので、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、互いに同程度の累積波長分散に因り、互いに同様の波形歪みを受けたものとなっている。第1電気信号E1と第2電気信号E2との関係も同様のものとなる。
【0032】
したがって、差動増幅部230より出力される差信号ΔE(=E1−E2)は、光送信器100の外部変調部120の電極232,233に印加された電圧信号Vsigと同様のものである。また、第1受光部221に到達する第1光L1の波形歪みのうちの偶数時成分と、第2受光部222に到達する第2光L2の波形歪みのうちの偶数時成分とは、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差をとることにより互いに相殺されるので、差動増幅部230より出力される差信号ΔEは、光の波形歪みのうちの偶数次成分が除去されたものとなる。なお、光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る伝搬光の波形歪みは2次成分が最も大きい。したがって、差動増幅部230より出力される差信号ΔEは、最も大きい2次の波形歪みを含む偶数次成分が除去されたものとなる。
【0033】
一方、上記の伝搬時間T1と伝搬時間T2とが互いに等しくない場合には、伝搬時間調整部211または伝搬時間調整部212により、第1光L1または第2光L2の伝搬時間が調整される。また、上記の伝搬時間T1と伝搬時間T2とが互いに等しくなく、伝搬時間T1と伝搬時間T2との差が一定ではない場合には、伝搬時間の調整量が可変である伝搬時間調整部211または伝搬時間調整部212により、第1光L1または第2光L2の伝搬時間が調整される。この調整により、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、各々の強度が殆ど互いに相補的なものとされる。また、上記の累積波長分散D1と累積波長分散D2とが互いに等しければ、第1受光部221に到達する第1光L1と、第2受光部222に到達する第2光L2とは、互いに同程度の累積波長分散に因り、互いに同様の波形歪みを受けたものとなっている。第1電気信号E1と第2電気信号E2との関係も同様のものとなる。したがって、この場合にも、差動増幅部230より出力される差信号ΔEは、最も大きい2次の波形歪みを含む偶数次成分が除去されたものとなる。
【0034】
次に、本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果について、図5〜図8を用いて説明する。図5は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのアイパターンを示す。図6は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのチャープ量が−0.7であって、光ファイバ伝送路310および光ファイバ伝送路320それぞれの累積波長分散が1600ps/nmである場合の、各アイパターンを示す。図7は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのチャープ量が+0.3であって、光ファイバ伝送路310および光ファイバ伝送路320それぞれの累積波長分散が1600ps/nmである場合の、各アイパターンを示す。図8は、光送信器100より出力される第1光L1および第2光L2それぞれのチャープ量が0であって、光ファイバ伝送路310および光ファイバ伝送路320それぞれの累積波長分散が1920ps/nmである場合の、各アイパターンを示す。図6(a),図7(a)および図8(a)それぞれは、光受信器200に到達する第1光L1および第2光L2それぞれのアイパターンを示す。図6(b),図7(b)および図8(b)それぞれは、差信号ΔEのアイパターンを示す。
【0035】
これらの図から判るように、光受信器200に到達する第1光L1および第2光L2それぞれには波形の歪みが見られる(図6(a),図7(a)および図8(a))。これに対して、光受信器200の差動増幅部230より出力される差信号ΔEにおける波形の歪みは低減されている(図6(b),図7(b)および図8(b))
以上のように、本実施形態に係る光通信システム1は、分散補償光ファイバを用いるまでもなく、光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る光波形の歪みの問題を解消することができ、高品質の光通信を行うことができる。しかも、分散補償光ファイバを用いる必要がなく、また、分散補償光ファイバにおける光の損失を補償する為に光増幅器を設ける必要もないことから、システム設計コストやシステム管理コストが小さい。また、光受信器200の差動増幅部230において、第1電気信号E1と第2電気信号E2との差を表す差信号ΔEを求める際に実質的に電気信号を増幅することになるので、受信感度が向上し、この点でも光増幅器を設ける必要性が低減する。また、現用の光ファイバ伝送路に障害が発生して、予備の光ファイバ伝送路へ光伝送経路を変更した場合であっても、予備の光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る光波形の歪みの問題をも解消することができ、高品質の光通信を行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、光送信器100と光受信器200との間に2本の光ファイバ伝送路310,320が設けられることが必要である。しかし、現に敷設されている光ケーブルには多数の未使用の光ファイバ伝送路があり、また、今後敷設される光ケーブルにも充分に余裕をもって多数の光ファイバ伝送路が含まれている。このことから、本実施形態の如く2本の光ファイバ伝送路を使用するとしても、新たに光ファイバ伝送路を敷設する必要はないので、コスト増は僅かである。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、外部変調部120と第1受光部221との間に伝搬時間調整部211を設けるとともに、外部変調部120と第2受光部222との間に伝搬時間調整部212を設けた。しかし、外部変調部120と第1受光部221との間、および、外部変調部120と第2受光部222との間の、何れか一方のみの光伝送経路上に伝搬時間調整部が設けられてもよい。また、第1受光部221と差動増幅部230との間に第1電気信号E1の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部、および、第2受光部222と差動増幅部230との間に第2電気信号E2の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部の、双方または何れか一方が設けられてもよい。また、外部変調部120は、電気音響効果を用いた強度変調器と、その強度変調器の後段に設けられたマッハツェンダ干渉計と、を含む構成のものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、分散補償光ファイバを用いるまでもなく、光ファイバ伝送路の累積波長分散に因る光波形の歪みの問題を解消することができ、高品質の光通信を行うことができる。しかも、分散補償光ファイバを用いる必要がなく、また、分散補償光ファイバにおける光の損失を補償する為に光増幅器を設ける必要もないことから、システム設計コストやシステム管理コストが小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。
【図2】本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の構成図である。
【図3】本実施形態に係る光送信器100に含まれる外部変調部120の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態に係る光受信器200に含まれる差動増幅部230の構成図である。
【図5】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【図8】本実施形態に係る光通信システム1の動作のシミュレーション結果を説明する図である。
【符号の説明】
1…光通信システム、100…光送信器、110…光源部、120…外部変調部、200…光受信器、211,212…伝搬時間調整部、221,222…受光部、230…差動増幅部、310,320…光ファイバ伝送路。
Claims (6)
- 一定強度の光を出力する光源部と、
前記光源部より出力された光を入力して、各々の強度が互いに相補的である第1光および第2光を生成し、前記第1光を第1出力端より出力し、前記第2光を第2出力端より出力する外部変調部と、
を備えることを特徴とする光送信器。 - 第1光を受光して、その受光した前記第1光の強度に応じた値の第1電気信号を出力する第1受光部と、
第2光を受光して、その受光した前記第2光の強度に応じた値の第2電気信号を出力する第2受光部と、
前記第1受光部より出力された前記第1電気信号と、前記第2受光部より出力された前記第2電気信号とを入力して、前記第1電気信号と前記第2電気信号との差を表す差信号を出力する差動増幅部と、
を備えることを特徴とする光受信器。 - 一定強度の光を出力する光源部と、
前記光源部より出力された光を入力して、各々の強度が互いに相補的である第1光および第2光を生成し、前記第1光を第1出力端より出力し、前記第2光を第2出力端より出力する外部変調部と、
前記外部変調部の前記第1出力端より出力された前記第1光を伝送する第1光ファイバ伝送路と、
前記外部変調部の前記第2出力端より出力された前記第2光を伝送する第2光ファイバ伝送路と、
前記第1光ファイバ伝送路により伝送されてきて到達した第1光を受光して、その受光した前記第1光の強度に応じた値の第1電気信号を出力する第1受光部と、
前記第2光ファイバ伝送路により伝送されてきて到達した第2光を受光して、その受光した前記第2光の強度に応じた値の第2電気信号を出力する第2受光部と、
前記第1受光部より出力された前記第1電気信号と、前記第2受光部より出力された前記第2電気信号とを入力して、前記第1電気信号と前記第2電気信号との差を表す差信号を出力する差動増幅部と、
を備えることを特徴とする光通信システム。 - 前記外部変調部の前記第1出力端と前記第1受光部との間、および、前記外部変調部の前記第2出力端と前記第2受光部との間の、双方または何れか一方の光伝送経路上に設けられ、前記第1光および前記第2光の双方または何れか一方の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部を更に備えることを特徴とする請求項3記載の光通信システム。
- 前記第1受光部と前記差動増幅部との間、および、前記第2受光部と前記差動増幅部との間の、双方または何れか一方の電気信号経路上に設けられ、前記第1電気信号および前記第2電気信号の双方または何れか一方の伝搬時間を調整する伝搬時間調整部を更に備えることを特徴とする請求項3記載の光通信システム。
- 前記伝搬時間調整部における伝搬時間の調整量が可変であることを特徴とする請求項4および5の何れか1項に記載の光通信システム。
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JP2003068567A JP2004282246A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 光送信器、光受信器および光通信システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003068567A JP2004282246A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 光送信器、光受信器および光通信システム |
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JP2004282246A true JP2004282246A (ja) | 2004-10-07 |
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Family Applications (1)
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JP2003068567A Pending JP2004282246A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 光送信器、光受信器および光通信システム |
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2003
- 2003-03-13 JP JP2003068567A patent/JP2004282246A/ja active Pending
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