JP2004280286A - 出力制御方法、出力制御装置および出力制御プログラム - Google Patents

出力制御方法、出力制御装置および出力制御プログラム Download PDF

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Takayuki Kaneko
貴之 金子
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Abstract

【課題】制御器がシステムに与える影響を考慮しつつ、指令生成部から出力される指令信号を最適化する。
【解決手段】模擬指令生成部105は、指令生成部101を模擬するととともに、模擬制御部106は、実制御部102の構成とパラメータを模擬し、調整手段109は、評価部108による評価結果に基づいて、模擬指令生成部105の各パラメータを調整し、模擬指令生成部105は、調整手段109による模擬指令生成部105のパラメータの調整結果を指令生成部101に反映させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は出力制御方法、出力制御装置および出力制御プログラムに関し、特に、制御対象への指令生成も含めた最適化方法に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のロボットなどを対象とした制振制御方法では、例えば、特許文献1に開示されているように、ロボットアーム停止時の振動を打ち消すように、ロボットアームの制御指令を補正する方法があった。
図6は、従来のロボットアームの駆動方法を示すフローチャートである。
【0003】
図6のステップS11、ステップS12において、ロボットアームの固有振動周期を測定する。そして、ステップS13において、ロボットアームを所望の距離だけ駆動するための速度パターンを求める。次に、ステップS14において、速度パターンに対応してロボットアームを駆動する駆動系の加速と減速のそれぞれのトルクピークの時間差を求める。次に、ステップS15〜S17において、ステップS14で得られたトルクピークの時間差がロボットアームの固有振動周期の整数倍になるように速度パターンを修正する。そして、ステップS18において、ステップS15〜S17で修正された速度パターンに基づいてサーボモータを駆動する。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−114761号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6のロボットアームの制振制御方法では、ロボットアームの固有振動数の測定結果に基づいて制御指令が補正されるため、制御器と制御指令とを同時に最適化することができず、制御器がシステムに与える影響を考慮することができないという問題があった。
【0006】
また、図6のロボットアームの制振制御方法では、加速時と減速時のトルクピークの時間差から速度パターンを決定することしかできないため、固有振動周期が複数ある制御対象には適用できないという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、制御器がシステムに与える影響を考慮しつつ、指令生成部から出力される指令信号を最適化することが可能な出力制御方法、出力制御装置および出力制御プログラムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の出力制御方法によれば、制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段の調整を行うステップと、前記模擬した指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させるステップと、前記制御対象の状態量を少なくとも1つ観測するステップと、前記模擬した指令生成手段の調整結果が反映された実際の指令生成手段にて、前記制御対象に対する指令信号を生成するステップと、前記実際の指令生成手段にて生成された指令信号および前記観測された状態量に基づいて、前記制御対象を制御するステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、指令信号を生成する指令生成手段だけでなく、制御対象を制御する制御手段を模擬しながら、模擬した指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させることが可能となる。このため、実際の制御システムとは独立に、制御手段がシステムに与える影響を考慮しつつ、指令生成手段から出力される指令信号を最適化することが可能となる。
【0009】
また、請求項2記載の出力制御方法によれば、制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整を行うステップと、前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整結果を実際の指令生成手段および制御手段に反映させるステップと、前記制御対象の状態量を少なくとも1つ観測するステップと、前記模擬した指令生成手段の調整結果が反映された実際の指令生成手段にて、前記制御対象に対する指令信号を生成するステップと、前記実際の指令生成手段にて生成された指令信号および前記観測された状態量に基づいて、前記制御対象を制御するステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、指令信号を生成する指令生成手段だけでなく、制御対象を制御する制御手段を模擬しながら、模擬した指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させることが可能となるとともに、模擬した制御手段の調整結果を実際の制御手段に反映させることが可能となる。このため、実際の制御システムとは独立に、制御手段および指令生成手段から出力される指令信号を同時に最適化することが可能となる。
【0011】
また、請求項3記載の出力制御方法によれば、前記指令生成手段を模擬するステップ、前記制御手段を模擬するステップ、前記模擬状態量を出力するステップおよび前記調整を行うステップの動作が繰り返し探索のアルゴリズムを用いて実行されることを特徴とする。
これにより、制御対象が複雑な構造を持っている場合においても、繰り返し探索によって最もよい応答の得られる指令信号を求めることができ、固有振動周期が複数ある制御対象に対しても最適化を図ることが可能となる。
【0012】
また、請求項4記載の出力制御方法によれば、前記繰り返し探索のアルゴリズムはパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションであることを特徴とする。
これにより、概念が簡単なアルゴリズムを用いて、連続型の変数のままで実制御出力の最適化を図ることが可能となり、制御対象を高速かつ安定して制御することが可能となる。
【0013】
また、請求項5記載の出力制御方法によれば、前記制御対象を電動機機械システムとしたことを特徴とする。
これにより、観測量として制御対象の電動機速度を観測することにより、電動機の速度パターを最適化することが可能となる。
また、請求項6記載の出力制御装置によれば、制御対象の状態量を少なくとも1つ観測する状態観測手段と、前記制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段と、前記指令信号および前記状態観測手段により観測された状態量に基づいて、前記制御対象を実制御する実制御手段と、前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力する数値モデルと、前記指令生成手段を模擬し、前記数値モデルに対する模擬指令信号を生成する模擬指令生成手段と、前記実制御手段を模擬し、前記模擬指令信号および前記模擬状態量に基づいて、前記数値モデルを模擬制御する模擬制御手段と、前記数値モデルから出力された模擬状態量を評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果に基づいて、前記模擬指令生成手段の調整を行い、前記調整結果を前記指令生成手段に反映させる調整手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、指令信号を生成する指令生成手段だけでなく、制御対象を実制御する実制御手段を模擬しながら、数値モデルの模擬状態量が所望の応答となる指令信号を求めることができ、実制御手段がシステムに与える影響を考慮しつつ、指令生成手段から出力される指令信号を最適化することが可能となる。
また、請求項7記載の出力制御装置によれば、制御対象の状態量を少なくとも1つ観測する状態観測手段と、前記制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段と、前記指令信号および前記状態観測手段により観測された状態量に基づいて、前記制御対象を実制御する実制御手段と、前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力する数値モデルと、前記指令生成手段を模擬し、前記数値モデルに対する模擬指令信号を生成する模擬指令生成手段と、前記実制御手段を模擬し、前記模擬指令信号および前記模擬状態量に基づいて、前記数値モデルを模擬制御する模擬制御手段と、前記数値モデルから出力された模擬状態量を評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果に基づいて、前記模擬指令生成手段および前記模擬制御手段の調整を行い、前記調整結果を前記指令生成手段および前記実制御手段に反映させる調整手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、指令信号を生成する指令生成手段だけでなく、制御対象を実制御する実制御手段を模擬しながら、模擬指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させることが可能となるとともに、模擬制御手段の調整結果を実際の制御手段に反映させることが可能となり、実制御手段および指令生成手段から出力される指令信号とを同時に最適化することが可能となる。
【0016】
また、請求項8記載の出力制御装置によれば、前記数値モデル、模擬指令生成手段、前記模擬制御手段、前記評価手段および前記調整手段の動作が繰り返し探索のアルゴリズムを用いて実行されることを特徴とする。
これにより、制御対象が複雑な構造を持っている場合においても、繰り返し探索によって、数値モデルの状態量が最もよい応答となる指令信号を求めることができ、固有振動周期が複数ある制御対象に対しても最適化を図ることが可能となる。
【0017】
また、請求項9記載の出力制御装置によれば、前記繰り返し探索のアルゴリズムはパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションであることを特徴とする。
これにより、各ステップで目的関数を評価する必要がある場合においても、問題の規模によらず、エージェント数のみに依存して評価回数を決定することができ、大規模問題への適用を容易に行うことができる。
【0018】
また、請求項10記載の出力制御装置によれば、前記制御対象を電動機機械システムとしたことを特徴とする。
これにより、観測量として制御対象の電動機速度を観測することにより、電動機の速度パターを最適化することが可能となる。
また、請求項11記載の出力制御プログラムによれば、制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段の調整を行うステップと、前記模擬した指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させるステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
これにより、コンピュータに処理を行わせることで、実際の制御システムとは独立に、制御手段がシステムに与える影響を考慮しつつ、指令生成手段から出力される指令信号を最適化することが可能となる。
また、請求項12記載の出力制御プログラムによれば、制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整を行うステップと、前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整結果を実際の指令生成手段および制御手段に反映させるステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0020】
これにより、コンピュータに処理を行わせることで、実際の制御システムとは独立に、制御手段および指令生成手段から出力される指令信号を同時に最適化することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る制御システムについて、制御対象を電動機機械システムとした場合を例にとって説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図1において、制御システムには、指令生成部101、実制御部102、観測器103、制御対象104、模擬指令生成部105、模擬制御部106、数値モデル107、評価部108および調整手段109が設けられている。
ここで、制御対象104が電動機機械システムの場合、制御対象104は、例えば、電動機と、電動機へ電力を供給し、電動機のトルクを制御する電力変換器と、電動機により駆動される機械とで構成することができる。
【0023】
指令生成部101は、制御対象104に所定の動作を指示するもので、制御対象104が電動機機械システムの場合、制御対象104への指令信号として速度パターンを生成することができる。なお、速度パターンは、図2に示すように、目標速度、目標速度までの加速時間、加減速時のS字カーブの時定数パラメータなどを含むことができる。
【0024】
観測器103は、制御対象104の状態量を少なくとも1つ推定または観測するもので、制御対象104が電動機機械システムの場合、観測量として制御対象104の電動機速度を観測することができる。
実制御部102は、指令生成部101で生成された指令信号および観測器103で観測された観測信号に基づいて制御対象104を制御するものである。ここで、制御対象104が電動機機械システムの場合、指令生成部101で生成された指令信号および観測器103で観測された電動機速度に基づいて、操作量としてトルク指令を制御対象104に出力することができる。なお、実制御部102は、例えば、指令信号と電動機速度との偏差を比例積分するPI制御器などで構成することができる。
【0025】
模擬指令生成部105は、指令生成部101を模擬し、指令信号を模擬制御部106に出力するとともに、調整手段109による模擬指令生成部105のパラメータの調整結果を指令生成部101に反映させる。
模擬制御部106は、実制御部102の構成とパラメータを模擬し、模擬指令生成部105から出力される指令信号および数値モデル107から出力される模擬状態量に基づいて、操作量を数値モデル107に出力する。
【0026】
数値モデル107は、実制御部102より出力される操作量から観測器103で観測される状態量までの制御対象104の特性を数値モデル化することにより、制御対象104を模擬し、模擬状態量を模擬制御部106および評価部108に出力する。
評価部108は、数値モデル107から出力される模擬状態量としての電動機速度に基づいてその制御性能を評価する。
【0027】
調整手段109は、評価部108による評価結果に基づいて、模擬指令生成部105の各パラメータを調整する。
ここで、模擬指令生成部105、模擬制御部106、数値モデル107、評価部108および調整手段109にて行われる動作は、繰り返し探索のアルゴリズムを用いて実行することができ、繰り返し探索のアルゴリズムとしては、例えば、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションを用いることができる。
【0028】
パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションは、簡単化した社会モデルのシミュレーションを通して開発されたモダンヒューリスティック(Modern Heuristic:MH)手法の1つであり、鳥の群れの動きを連続変数の2次元空間で表現することを通して開発された。
なお、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションについては、J.Kennedy and R.Eberhartによる“Particle Swarm Optimization”(Proc. of IEEE International Conference on Neural Networks,Vol.IV,pp.1942−1948,Perth,Australia,1995.)や、吉田・福山他による「電圧信頼度を考慮したParticle Swarm Optimizationによる電圧無効電力制御方式の検討」(電気学会論文誌B,119巻12号,1999年12月)、特開2000−116003「電圧無効電力制御方法」、特開2002−51464「配電系統における状態推定法」などに記載されている。
【0029】
図3は、図1の制御システムにおけるパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションを用いた最適化動作を示すフローチャートである。
図3において、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションにおける各エージェントiの状態変数sおよび速度vをセットするとともに、模擬制御部106のパラメータを設定する(ステップS1)。なお、各エージェントiの状態変数sには、模擬指令生成部105の加速時間、S字時定数の変数を持たせることができ、各エージェントiの状態変数sおよび速度vは、設定された範囲でランダムに初期値を決定することができる。また、模擬制御部106のパラメータは、実制御部102のパラメータに一致させることができる。
【0030】
次に、エージェントiの数だけ、模擬指令生成部105の速度パターンをエージェントiの状態変数sの設定にし、模擬制御部106および数値モデル107を動作させる。そして、評価部108にて、各エージェントi分の数値モデル107の状態量としての電動機速度を記録し、例えば、図4に示すように、電動機速度に関してエージェントiそれぞれ分の整定時間Tや速度オーバシュート量Nなどの測定を行い、以下の(1)式により、各エージェントiの評価結果Fを得る(ステップS2)。
【0031】
=K+K ・・・(1)
次に、次のステップでの各エージェントiの変数を求めるために、以下の(2)式により、各エージェントiの速度v k+1を求める。
k+1=w×v +c×rand()×(pbest−s
+c×rand()×(gbest−s ) ・・・(2)
ただし、v は、エージェントiの速度、rand()は、0〜1までの一様乱数、s は、エージェントiの探索k回目の位置(探索点)、pbestは、エージェントiの探索における目的関数のそれまでの最も良い評価の変数、gbestは、pbestのうち集団の中で最良のもの、wは、エージェント速度に対する重み関数、c、cは、各項に対する重み係数である。
【0032】
そして、(2)式によりエージェントiの速度v k+1が求まると、次のステップのための新しいエージェントiの状態変数s k+1を以下の(3)式により求める(ステップS3)。
k+1=s +v k+1 ・・・(3)
そして、ステップS2、S3の処理が所定の繰り返し数だけ行われると(ステップS4)、gbestの値を指令生成部101にコピーする(ステップS5)。
【0033】
これにより、指令信号を生成する指令生成部101だけでなく、制御対象104を実制御する実制御部102を模擬しながら、数値モデル107の模擬状態量が所望の応答となる指令信号を求めることができ、実制御部102がシステム全体に与える影響を考慮しつつ、指令生成部101から出力される指令信号を最適化することが可能となる。
【0034】
また、制御対象104が複雑な構造を持っている場合においても、繰り返し探索によって、数値モデル107の状態量が最もよい応答となる指令信号を求めることができ、固有振動周期が複数ある制御対象104に対しても最適化を図ることが可能となる。
また、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションでは、遺伝的アルゴリズムと同様に複数の探索点を持った多点探索で、各探索点の最良値pbestおよび集団の最良値gbestを用いて各探索点を確率的に変更していくことにより、大域最適解(最良解)を得ることができる。
【0035】
また、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションでは、これまでの速度を維持しようとする大域探索((2)式の右辺第1項)と、最良値pbest、gbestとを用いてこれらに近づこうとする局所探索((2)式の右辺第2、3項)とをバランスよく行うことができる。
さらに、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションでは、各ステップで目的関数を評価する必要があるが、評価回数は問題の規模によらず、エージェント数のみでよいため、大規模問題への適用を容易に行うことができる。
【0036】
また、上述した実施形態において、エージェントを評価する(1)式は、目的に応じて自由に設定することができ、例えば、理想的な応答に対する偏差を評価するようにしてもよい。
また、模擬指令生成部105のパラメータは、任意のパターンを実現できるパラメータならば、状況に応じて自由な構造と指標を適用しても良い。
【0037】
また、模擬指令生成部105、模擬制御部106、数値モデル107、評価部108および調整手段109は全て計算機内で処理することができるため、模擬指令生成部105と指令生成部101とはハード的に切り離すようにしてもよい。
また、上述した実施形態において、模擬指令生成部105、模擬制御部106、数値モデル107、評価部108および調整手段109は、複数のコンピュータと通信手段で実現してもよく、例えば、ネットワークに接続されたコンピュータ間でデータの送受信を行ないながら、模擬指令生成部105、模擬制御部106、数値モデル107、評価部108および調整手段109の動作を実現するようにしてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションを適用した最適化アルゴリズムを用いることにより、模擬指令生成部105、模擬制御部106、数値モデル107、評価部108および調整手段109を動作させる方法について説明したが、遺伝的アルゴリズムなどの繰り返し探索アルゴリズムを用いるようにしてもよい。
【0039】
図5は、本発明の第2実施形態に係る制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図5において、制御システムには、指令生成部401、実制御部402、観測器403、制御対象404、模擬指令生成部405、模擬制御部406、数値モデル407、評価部408および調整手段409が設けられている。
【0040】
ここで、制御対象404が電動機機械システムの場合、制御対象404は、例えば、電動機と、電動機へ電力を供給し、電動機のトルクを制御する電力変換器と、電動機により駆動される機械とで構成することができる。
指令生成部401は、制御対象404に所定の動作を指示するもので、制御対象404が電動機機械システムの場合、制御対象404への指令信号として速度パターンを生成することができる。
【0041】
観測器403は、制御対象404の状態量を少なくとも1つ推定または観測するもので、制御対象404が電動機機械システムの場合、観測量として制御対象404の電動機速度を観測することができる。
実制御部402は、指令生成部401で生成された指令信号および観測器403で観測された観測信号に基づいて制御対象404を制御するもので、制御対象404が電動機機械システムの場合、指令生成部401で生成された指令信号および観測器403で観測された電動機速度に基づいて、操作量としてトルク指令を制御対象404に出力することができる。
【0042】
模擬指令生成部405は、指令生成部401を模擬し、指令信号を模擬制御部406に出力するとともに、調整手段409による模擬指令生成部405のパラメータの調整結果を指令生成部401に反映させる。
模擬制御部406は、実制御部402の構成とパラメータを模擬し、模擬指令生成部405から出力される指令信号および数値モデル407から出力される模擬状態量に基づいて操作量を数値モデル407に出力するとともに、調整手段409による模擬制御部406のパラメータの調整結果を実制御部402に反映させる。
【0043】
数値モデル407は、実制御部402より出力される操作量から観測器403で観測される状態量までの制御対象404の特性を数値モデル化することにより、制御対象404を模擬し、模擬状態量を模擬制御部406および評価部408に出力する。
評価部408は、数値モデル407から出力される模擬状態量としての電動機速度に基づいてその制御性能を評価する。
【0044】
調整手段409は、評価部408による評価結果に基づいて、模擬指令生成部405および模擬制御部406の各パラメータを調整する。
以下、図5の制御システムについて、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションを用いた場合の最適化動作を説明する。
図5において、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションにおける各エージェントiの状態変数sおよび速度vをセットするとともに、模擬制御部406のパラメータを設定する。なお、各エージェントiの状態変数sには、模擬指令生成部405の加速時間、S字時定数の変数の他に、模擬制御部406のゲインKpおよび積分時定数Tiを持たせることができ、模擬制御部406のパラメータは各エージェントiに持たせることができる。
【0045】
次に、エージェントiの数だけ、模擬指令生成部405の速度パターンをエージェントiの状態変数sの設定にし、模擬制御部406および数値モデル407を動作させる。そして、評価部408にて、各エージェントi分の数値モデル407の状態量としての電動機速度を記録し、電動機速度に関してエージェントiそれぞれ分の整定時間Tや速度オーバシュート量Nなどの測定を行い、(1)式により、各エージェントiの評価結果Fを得る。
【0046】
次に、次のステップでの各エージェントiの変数を求めるために、(2)式により、各エージェントiの速度v k+1を求める。
そして、(2)式によりエージェントiの速度v k+1が求まると、次のステップのための新しいエージェントiの状態変数s k+1を(3)式により求める。
そして、以上の処理が所定の繰り返し回数だけ行われると、gbestが持つパラメータを指令生成部401および実制御部402にコピーする。
【0047】
これにより、指令信号を生成する指令生成部401だけでなく、制御対象404を実制御する実制御部402を模擬しながら、模擬指令生成部405の調整結果を実際の指令生成部401に反映させることが可能となるとともに、模擬制御部406の調整結果を実制御部402に反映させることが可能となり、実制御部402および指令生成部401から出力される指令信号とを同時に最適化することが可能となる。
【0048】
また、制御対象404が複雑な構造を持っている場合においても、繰り返し探索によって、数値モデル407の状態量が最もよい応答となる指令信号および実制御部402のパラメータを求めることができ、固有振動周期が複数ある制御対象404に対しても最適化を図ることが可能となる。
また、上述した実施形態において、エージェントを評価する(1)式は、目的に応じて自由に設定することができ、例えば、理想的な応答に対する偏差を評価するようにしてもよい。
【0049】
また、模擬指令生成部405のパラメータは、任意のパターンを実現できるパラメータならば、状況に応じて自由な構造と指標を適用しても良い。
また、実制御部402は、パラメータを持つならば、線形や非線形を問わず、どのような構造または特性でもよく、例えば、リミットを持つ要素やノッチフィルタなどで構成するようにしてもよい。
【0050】
また、模擬指令生成部405、模擬制御部406、数値モデル407、評価部408および調整手段409は全て計算機内で処理することができるため、模擬指令生成部405と指令生成部401とはハード的に切り離すようにしてもよい。
また、上述した実施形態において、模擬指令生成部405、模擬制御部406、数値モデル407、評価部408および調整手段409は、複数のコンピュータと通信手段で実現してもよく、例えば、ネットワークに接続されたコンピュータ間でデータの送受信を行ないながら、模擬指令生成部405、模擬制御部406、数値モデル407、評価部408および調整手段409の動作を実現するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションを適用した最適化アルゴリズムを用いることにより、模擬指令生成部405、模擬制御部406、数値モデル407、評価部408および調整手段409を動作させる方法について説明したが、遺伝的アルゴリズムなどの繰り返し探索アルゴリズムを用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、電動機の速度制御に適用した場合を例にとって説明したが、電動機の速度制御だけでなく位置制御に適用してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、指令信号を生成する指令生成手段だけでなく、制御対象を実制御する実制御手段を模擬しながら、数値モデルの模擬状態量が所望の応答となる指令信号を求めることができ、実制御手段がシステムに与える影響を考慮しつつ、指令生成手段から出力される指令信号を最適化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の指令生成部101から出力される指令信号の速度パターンを示す図である。
【図3】図1の制御システムにおけるパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションを用いた最適化動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の数値モデル107の状態量としての電動機速度を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】従来のロボットアームの駆動方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101、401 指令生成部
102、402 実制御部
103、403 観測器
104、404 制御対象
105、405 模擬指令生成部
106、406 模擬制御部
107、407 数値モデル
108、408 評価部
109、409 調整手段

Claims (12)

  1. 制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、
    前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段の調整を行うステップと、
    前記模擬した指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させるステップと、
    前記制御対象の状態量を少なくとも1つ観測するステップと、
    前記模擬した指令生成手段の調整結果が反映された実際の指令生成手段にて、前記制御対象に対する指令信号を生成するステップと、
    前記実際の指令生成手段にて生成された指令信号および前記観測された状態量に基づいて、前記制御対象を制御するステップとを備えることを特徴とする出力制御方法。
  2. 制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、
    前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整を行うステップと、
    前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整結果を実際の指令生成手段および制御手段に反映させるステップと、
    前記制御対象の状態量を少なくとも1つ観測するステップと、
    前記模擬した指令生成手段の調整結果が反映された実際の指令生成手段にて、前記制御対象に対する指令信号を生成するステップと、
    前記実際の指令生成手段にて生成された指令信号および前記観測された状態量に基づいて、前記制御対象を制御するステップとを備えることを特徴とする出力制御方法。
  3. 前記指令生成手段を模擬するステップ、前記制御手段を模擬するステップ、前記模擬状態量を出力するステップおよび前記調整を行うステップの動作が繰り返し探索のアルゴリズムを用いて実行されることを特徴とする請求項1または2記載の出力制御方法。
  4. 前記繰り返し探索のアルゴリズムはパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションであることを特徴とする請求項3記載の出力制御方法。
  5. 前記制御対象を電動機機械システムとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の出力制御方法。
  6. 制御対象の状態量を少なくとも1つ観測する状態観測手段と、
    前記制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段と、
    前記指令信号および前記状態観測手段により観測された状態量に基づいて、前記制御対象を実制御する実制御手段と、
    前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力する数値モデルと、
    前記指令生成手段を模擬し、前記数値モデルに対する模擬指令信号を生成する模擬指令生成手段と、
    前記実制御手段を模擬し、前記模擬指令信号および前記模擬状態量に基づいて、前記数値モデルを模擬制御する模擬制御手段と、
    前記数値モデルから出力された模擬状態量を評価する評価手段と、
    前記評価手段による評価結果に基づいて、前記模擬指令生成手段の調整を行い、前記調整結果を前記指令生成手段に反映させる調整手段とを備えることを特徴とする出力制御装置。
  7. 制御対象の状態量を少なくとも1つ観測する状態観測手段と、
    前記制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段と、
    前記指令信号および前記状態観測手段により観測された状態量に基づいて、前記制御対象を実制御する実制御手段と、
    前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力する数値モデルと、
    前記指令生成手段を模擬し、前記数値モデルに対する模擬指令信号を生成する模擬指令生成手段と、
    前記実制御手段を模擬し、前記模擬指令信号および前記模擬状態量に基づいて、前記数値モデルを模擬制御する模擬制御手段と、
    前記数値モデルから出力された模擬状態量を評価する評価手段と、
    前記評価手段による評価結果に基づいて、前記模擬指令生成手段および前記模擬制御手段の調整を行い、前記調整結果を前記指令生成手段および前記実制御手段に反映させる調整手段とを備えることを特徴とする出力制御装置。
  8. 前記数値モデル、模擬指令生成手段、前記模擬制御手段、前記評価手段および前記調整手段の動作が繰り返し探索のアルゴリズムを用いて実行されることを特徴とする請求項6または7記載の出力制御装置。
  9. 前記繰り返し探索のアルゴリズムはパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーションであることを特徴とする請求項8記載の出力制御装置。
  10. 前記制御対象を電動機機械システムとしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載の出力制御装置。
  11. 制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、
    前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段の調整を行うステップと、
    前記模擬した指令生成手段の調整結果を実際の指令生成手段に反映させるステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする出力制御プログラム。
  12. 制御対象に対する指令信号を生成する指令生成手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を制御する制御手段を模擬するステップと、
    前記制御対象を模擬し、模擬状態量を出力するステップと、
    前記模擬状態量の評価結果に基づいて、前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整を行うステップと、
    前記模擬した指令生成手段および制御手段の調整結果を実際の指令生成手段および制御手段に反映させるステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする出力制御プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20200241502A1 (en) * 2019-01-28 2020-07-30 Kabushiki Kaisha Yaskawa Denki Industrial machine management system, method for managing industrial machine, and non-transitory computer-readable storage medium

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