JP2004279798A - 波長変換素子及び紫外線発生装置 - Google Patents
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- Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
Abstract
【課題】光量のロスが少ない状態で目的とする波長の光と他の光を分離することが可能である波長変換素子を提供する。
【解決手段】波長変換素子5に入射した基本波と7倍波は波長変換結晶6に集光され、8倍波に波長変換される。このとき波長変換結晶6の射出側の面は8倍波に対してブリュースターカットとなるように加工されているため、波長変換結晶6の出力側端面に対し8倍波がP偏光であるような状態にすれば、ほとんど反射ロス無く、波長変換結晶から8倍波を取り出すことができる。またブリュースターカットに加工することでプリズムの機能も有するため、従来基本波及び7倍波から8倍波を分離するために挿入していたプリズムを除去できる。すなわち、波長変換結晶6からは、基本波a、7倍波b、8倍波cが放出されるが、基本波aと7倍波bが必要ない場合は遮蔽板7によりこれらを遮光し、8倍波cのみを波長変換素子5から取り出すようにする。
【選択図】 図2
【解決手段】波長変換素子5に入射した基本波と7倍波は波長変換結晶6に集光され、8倍波に波長変換される。このとき波長変換結晶6の射出側の面は8倍波に対してブリュースターカットとなるように加工されているため、波長変換結晶6の出力側端面に対し8倍波がP偏光であるような状態にすれば、ほとんど反射ロス無く、波長変換結晶から8倍波を取り出すことができる。またブリュースターカットに加工することでプリズムの機能も有するため、従来基本波及び7倍波から8倍波を分離するために挿入していたプリズムを除去できる。すなわち、波長変換結晶6からは、基本波a、7倍波b、8倍波cが放出されるが、基本波aと7倍波bが必要ない場合は遮蔽板7によりこれらを遮光し、8倍波cのみを波長変換素子5から取り出すようにする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数の異なる複数の光を入射させ、これらの光の和の周波数を有する光を出力光として取り出す目的のために使用される波長変換素子、及びこの波長変換素子を使用した紫外線発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光は近年において種々の用途に用いられており、例えば、金属の切断や加工を行ったり、半導体製造装置におけるフォトリソグラフィー装置の光源として用いられたり、各種測定装置に用いられたり、外科、眼科、歯科等の手術および治療装置に用いられたりしている。特に最近において、レーザ光を角膜に照射して角膜表面のアブレーション(PRK)あるいは切開した角膜内部のアブレーション(LASIK)を行い、角膜の曲率および凹凸を矯正して近視、遠視、乱視の治療を行うことが注目されており、一部実用化されつつある。このような角膜治療装置としては、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を角膜に照射して、角膜表面のアブレーション(削り取り)を行うものが知られている。
【0003】
ところが、ArFエキシマレーザ発振装置は、チャンバー内にアルゴンガス、フッ素ガス、ネオンガス等を封入して構成されるものであり、これらガスを密封する必要がある。さらに、各ガスの充填、回収を行う必要もあり、装置が大型化且つ複雑化しやすいという問題がある。又、ArFエキシマレーザ発振装置は、所定のレーザ光発生性能を保持するために、定期的に内部ガスの交換を行ったり、オーバーホールを行ったりする必要があるという問題もある。
【0004】
よって、レーザ光源としてはこのようなエキシマレーザでなく、固体レーザを用いることが好ましい。ところが、固体レーザから放出されるレーザ光の波長は、通常1.5μm程度であり、例えば角膜治療装置に使用するには、波長が長すぎて向いていない。そこで、このような固体レーザから放出される長波長の光を、非線形光学結晶を用いることにより短波長の紫外光(例えば8倍波)に変換して用いる方法が開発され、例えば特開2001−353176号公報(特許文献1)に記載されている。このような目的に用いられる非線形光学素子としては、LBO(LiB3O5)結晶、SBBO結晶等が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−353176号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1等に開示されている技術においては、2つの異なる周波数(波長)の光を入射させると、これらの波長の光と共に、それらの周波数の和の周波数の光を放出する特性を有する非線形光学結晶が使用されている。例えば、8倍波を作り出す最終段階においては、基本波とその7倍波を非線形光学結晶に入射させる。すると、基本波、7倍波と共に、それらの周波数の和の周波数を有する8倍波が出力される。基本波として、DFB半導体レーザの発する波長1544nmの光を使用した場合、8倍波として、波長193nmの光が得られるが、この他に基本波である波長1544nmの光、7倍波である波長221nmの光も同時に出射される。
【0006】
よって、目的とする8倍波のみを取り出すためには、プリズムによる分光やフィルタによる分離を行っており、その分、光量のロスが発生する。また、波長変換結晶から光を取り出す際に、波長変換結晶の端面で光の反射が起こり、その分、光量のロスが発生する。これらの光量のロスは、全光量の10%に達する場合もある。このうち、波長変換結晶の端面での反射は、端面に反射防止膜を形成することにより少なくすることができる。しかしながら、波長193nm程度の紫外域では、反射防止膜の光パワーに対する耐性が低いため、すぐに損傷してしまうという問題点がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光量のロスが少ない状態で、目的とする波長の光と他の光を分離することが可能である波長変換素子、これに加えて端面での反射が少ない波長変換素子、及びこれらを使用した紫外線発生装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、周波数の異なる複数の光を入射させ、これらの光の和の周波数を有する光を出力光として取り出す目的のために使用される、波長変換結晶を利用した波長変換素子であって、前記波長変換結晶の出力側の端面が、光軸に垂直な面とは異なる方向にカットされていることを特徴とする波長変換素子(請求項1)である。
【0009】
前述のように、波長変換素子においては、周波数の異なる複数の光を入射させると、その和の周波数を有する光と共に、入射した光と同じ周波数を有する光が出力されるのが普通である。本手段においては、波長変換結晶の出力側の端面が、光軸に垂直な面とは異なる方向にカットされているので、波長変換結晶から出力されようとする光は、0°より大きな入射角で端面に入射することになる。従って、波長に応じて出射される方向が異なる。よって、遮蔽板で不必要な光を遮る等の簡単な手段で、目的とする波長の光のみを取り出すことができる。従って、プリズムやフィルタを別に設ける必要が無く、その分、光量の低下を防止できる。
【0010】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記カットされた出力側の端面の角度は、出力光として取り出す目的の光について、光の当該端面への入射角度がブリュースター角となるような角度とされていることを特徴とするもの(請求項2)である。
【0011】
光の入射角が入射面に対してブリュースター角となるようにしておくと、p偏向成分の反射率が0となる。よって、波長変換結晶から出力される光のうち目的の波長を有する光を、出力側端面に対してp偏光となるようにしておけば、この光は、無反射で出力側端面を透過できる。よって、反射防止膜が実質上使用できないような紫外領域の光に対しても、界面での反射のロス無く、出力光を取り出すことが可能となる。
【0012】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、潮解性のある波長変換結晶を、ホルダー中に収納して構成され、出力側のホルダーの窓面の角度は、出力光として取り出す目的の光について、光の当該窓面への入射角度がブリュースター角となるような角度とされていることを特徴とするもの(請求項3)である。
【0013】
CLBO(CsLiB6O10)結晶等の波長変換結晶は潮解性があるので、通常、ホルダーの中に収納して使用される。本手段は、このような使用方法の場合、出力側のホルダーの窓面の角度を、出力光として取り出す目的の光について、光の当該窓面への入射角度がブリュースター角となるような角度としている。よって、目的とする波長の光がホルダーから出るときに、その光を窓面に対してp偏向であるようにしておくことにより、窓面での反射がほとんど無い状態で取り出すことができる。なお、窓面とは使用する光に対して高い透過率を有する面であり、ホルダー全体がこのような材料で作られているときは、特別な窓でなくても窓面と見なされることは言うまでもない。
【0014】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかの波長変換素子を有することを特徴とする紫外線発生装置(請求項3)である。
【0015】
本手段においては、前記第1の手段から第3の手段のいずれかの波長変換素子を有するので、これらの素子におけるパワーの低下を小さくでき、相対的にハイパワーの紫外線を発生させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例である紫外線発生装置の光学系の一部である波長変換部を示す概要図である。この紫外線発生装置は、DFB固体レーザから放出される波長1544nmの光を光増幅器で増幅したものを入力光とし、その8倍波である波長193nmの紫外光を出力する光学系である。DFB固体レーザ及び光増幅器は、前記特許文献1に記載されており、かつ、本発明の要部と直接関係がないので、その説明を省略する。
【0017】
波長変換部に入射した波長1544nmの基本波はレンズL1で集光され、波長変換結晶1に入射し、その一部の光が2倍波に波長変換される。波長変換結晶1としてLBOを使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0018】
波長変換結晶1から射出した基本波と2倍波は、同軸(もしくはほぼ同軸)となりレンズL2により波長変換結晶2に集光される。波長変換結晶2では基本波と2倍波の一部の光が3倍波に波長変換されるため、波長変換結晶2からは基本波、2倍波、3倍波の光が射出する。波長変換結晶2としてLBOを使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0019】
波長変換結晶2を射出した3倍波は、ダイクロイックミラーM1で反射され、レンズL3、L4を通して反射ミラーM2で反射され、ダイクロイックミラーM4に向かう。
【0020】
波長変換結晶2を射出した2倍波は、ダイクロイックミラーM1を透過した後、ダイクロイックミラーM3で反射され、レンズL5を介して波長変換結晶3に集光され、波長変換結晶3により、2倍波の一部の光が4倍波に波長変換される。波長変換結晶3としてLBOを使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0021】
波長変換結晶3を射出した4倍波は、レンズL6、L7を通ってダイクロイックミラーM4で反射される。一方、前述の3倍波はダイクロイックミラーM4を透過するので、ダイクロイックミラーM4の後では、3倍波と4倍波がほぼ同軸となって、波長変換結晶4に入射し、その一部が波長変換結晶4により7倍波に波長変換される。波長変換結晶4としてBBO(β−BaB2O4)を使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。波長変換結晶4を介した7倍波はレンズL10、L11を通ってダイクロイックミラーM8に向かう。
【0022】
波長変換結晶2を射出した基本波は、ダイクロイックミラーM1、M3を透過し、反射ミラーM5、M6、M7を介して、レンズL8、L9を通り、ダイクロイックミラーM8に向かい、これを透過する。一方、前述の7倍波は、ダイクロイックミラーM8で反射されるので、ダイクロイックミラーM8を通った後、7倍波と基本波がほぼ同軸となり、波長変換素子5に入射する。そして、これらの一部が波長193nmの8倍波に波長変換される。波長変換素子5で用いられている波長変換結晶としてはLBO、CLBOなどあるが、これらに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0023】
ここで、波長変換素子5には、本発明の実施の形態である波長変換素子が用いられている。その第1の例を図2に示す。
【0024】
波長変換素子5に入射した基本波と7倍波は波長変換結晶6に集光され、波長変換結晶6により8倍波に波長変換される。このとき波長変換結晶6の射出側の面は8倍波に対してブリュースターカットとなるように加工されているため、8倍波が所望の偏光状態(波長変換結晶6の出力側端面に対し8倍波がP偏光であるような状態)にすれば、ほとんど反射ロス無しに波長変換結晶から8倍波を取り出すことができる。またブリュースターカットに加工することでプリズムの機能も有するため、従来基本波及び7倍波から8倍波を分離するために挿入していたプリズムを除去できる。
【0025】
すなわち、波長変換結晶6からは、基本波a、7倍波b、8倍波cが放出されるが、基本波aと7倍波bが必要ない場合は遮蔽板7によりこれらを遮光し、8倍波cのみを波長変換素子5から取り出すようにすればよい。
【0026】
図3に、本発明の実施の形態である波長変換素子5の第2の例を示す。この実施の形態においては、波長変換結晶6の構成は図2に示した実施の形態と異ならない。すなわち、波長変換結晶6の射出側の面は8倍波に対してブリュースターカットとなるように加工されているため、P偏光である8倍波はほとんど無反射で界面を透過し、かつ、プリズム効果により、基本波a、7倍波b、8倍波cの射出方向が異なっている。
【0027】
しかし、この実施の形態においては、波長変換結晶6に潮解性があるため、ケース8中に入れて使用し、ケース8内を窒素、アルゴン、乾燥空気などでパージしている。ケース8には入側窓9、出側窓10が設けられているが、出側窓10の角度は、出側窓に対する8倍波cの入射角がブリュースター角となるようにされている。よって、8倍波は、ほとんど反射することなく出側窓10を透過する。
【0028】
出側窓を透過した光のうち、基本波a、7倍波bは遮蔽板7によって遮蔽され、8倍波cのみが外部に取り出される。この実施の形態においては、波長変換結晶としてCLBOを使用しているが、潮解性のある波長変換結晶で周知のものを適宜使用できる。また、この実施の形態は、用いられる波長変換結晶に潮解性がある場合に限らず、波長変換結晶を均一に温度調節する場合にも用いられる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光量のロスが少ない状態で目的とする波長の光と他の光を分離することが可能である波長変換素子、これに加えて端面での反射が少ない波長変換素子、及びこれらを使用した紫外線発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例である紫外線発生装置の光学系の一部である波長変換部を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の形態である波長変換素子の第1の例を示す概要図である。
【図3】本発明の実施の形態である波長変換素子の第2の例を示す概要図である。
【符号の説明】
1〜4:波長変換結晶、5:波長変換素子、6:波長変換結晶、7:遮蔽板、8:ケース、9:入側窓、10:出側窓、L1〜L11:レンズ、M1:ダイクロイックミラー、M2:反射ミラー、M3:ダイクロイックミラー、M4:ダイクロイックミラー、M5〜M7:反射ミラー、M8:ダイクロイックミラー
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数の異なる複数の光を入射させ、これらの光の和の周波数を有する光を出力光として取り出す目的のために使用される波長変換素子、及びこの波長変換素子を使用した紫外線発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光は近年において種々の用途に用いられており、例えば、金属の切断や加工を行ったり、半導体製造装置におけるフォトリソグラフィー装置の光源として用いられたり、各種測定装置に用いられたり、外科、眼科、歯科等の手術および治療装置に用いられたりしている。特に最近において、レーザ光を角膜に照射して角膜表面のアブレーション(PRK)あるいは切開した角膜内部のアブレーション(LASIK)を行い、角膜の曲率および凹凸を矯正して近視、遠視、乱視の治療を行うことが注目されており、一部実用化されつつある。このような角膜治療装置としては、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を角膜に照射して、角膜表面のアブレーション(削り取り)を行うものが知られている。
【0003】
ところが、ArFエキシマレーザ発振装置は、チャンバー内にアルゴンガス、フッ素ガス、ネオンガス等を封入して構成されるものであり、これらガスを密封する必要がある。さらに、各ガスの充填、回収を行う必要もあり、装置が大型化且つ複雑化しやすいという問題がある。又、ArFエキシマレーザ発振装置は、所定のレーザ光発生性能を保持するために、定期的に内部ガスの交換を行ったり、オーバーホールを行ったりする必要があるという問題もある。
【0004】
よって、レーザ光源としてはこのようなエキシマレーザでなく、固体レーザを用いることが好ましい。ところが、固体レーザから放出されるレーザ光の波長は、通常1.5μm程度であり、例えば角膜治療装置に使用するには、波長が長すぎて向いていない。そこで、このような固体レーザから放出される長波長の光を、非線形光学結晶を用いることにより短波長の紫外光(例えば8倍波)に変換して用いる方法が開発され、例えば特開2001−353176号公報(特許文献1)に記載されている。このような目的に用いられる非線形光学素子としては、LBO(LiB3O5)結晶、SBBO結晶等が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−353176号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1等に開示されている技術においては、2つの異なる周波数(波長)の光を入射させると、これらの波長の光と共に、それらの周波数の和の周波数の光を放出する特性を有する非線形光学結晶が使用されている。例えば、8倍波を作り出す最終段階においては、基本波とその7倍波を非線形光学結晶に入射させる。すると、基本波、7倍波と共に、それらの周波数の和の周波数を有する8倍波が出力される。基本波として、DFB半導体レーザの発する波長1544nmの光を使用した場合、8倍波として、波長193nmの光が得られるが、この他に基本波である波長1544nmの光、7倍波である波長221nmの光も同時に出射される。
【0006】
よって、目的とする8倍波のみを取り出すためには、プリズムによる分光やフィルタによる分離を行っており、その分、光量のロスが発生する。また、波長変換結晶から光を取り出す際に、波長変換結晶の端面で光の反射が起こり、その分、光量のロスが発生する。これらの光量のロスは、全光量の10%に達する場合もある。このうち、波長変換結晶の端面での反射は、端面に反射防止膜を形成することにより少なくすることができる。しかしながら、波長193nm程度の紫外域では、反射防止膜の光パワーに対する耐性が低いため、すぐに損傷してしまうという問題点がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光量のロスが少ない状態で、目的とする波長の光と他の光を分離することが可能である波長変換素子、これに加えて端面での反射が少ない波長変換素子、及びこれらを使用した紫外線発生装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、周波数の異なる複数の光を入射させ、これらの光の和の周波数を有する光を出力光として取り出す目的のために使用される、波長変換結晶を利用した波長変換素子であって、前記波長変換結晶の出力側の端面が、光軸に垂直な面とは異なる方向にカットされていることを特徴とする波長変換素子(請求項1)である。
【0009】
前述のように、波長変換素子においては、周波数の異なる複数の光を入射させると、その和の周波数を有する光と共に、入射した光と同じ周波数を有する光が出力されるのが普通である。本手段においては、波長変換結晶の出力側の端面が、光軸に垂直な面とは異なる方向にカットされているので、波長変換結晶から出力されようとする光は、0°より大きな入射角で端面に入射することになる。従って、波長に応じて出射される方向が異なる。よって、遮蔽板で不必要な光を遮る等の簡単な手段で、目的とする波長の光のみを取り出すことができる。従って、プリズムやフィルタを別に設ける必要が無く、その分、光量の低下を防止できる。
【0010】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記カットされた出力側の端面の角度は、出力光として取り出す目的の光について、光の当該端面への入射角度がブリュースター角となるような角度とされていることを特徴とするもの(請求項2)である。
【0011】
光の入射角が入射面に対してブリュースター角となるようにしておくと、p偏向成分の反射率が0となる。よって、波長変換結晶から出力される光のうち目的の波長を有する光を、出力側端面に対してp偏光となるようにしておけば、この光は、無反射で出力側端面を透過できる。よって、反射防止膜が実質上使用できないような紫外領域の光に対しても、界面での反射のロス無く、出力光を取り出すことが可能となる。
【0012】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、潮解性のある波長変換結晶を、ホルダー中に収納して構成され、出力側のホルダーの窓面の角度は、出力光として取り出す目的の光について、光の当該窓面への入射角度がブリュースター角となるような角度とされていることを特徴とするもの(請求項3)である。
【0013】
CLBO(CsLiB6O10)結晶等の波長変換結晶は潮解性があるので、通常、ホルダーの中に収納して使用される。本手段は、このような使用方法の場合、出力側のホルダーの窓面の角度を、出力光として取り出す目的の光について、光の当該窓面への入射角度がブリュースター角となるような角度としている。よって、目的とする波長の光がホルダーから出るときに、その光を窓面に対してp偏向であるようにしておくことにより、窓面での反射がほとんど無い状態で取り出すことができる。なお、窓面とは使用する光に対して高い透過率を有する面であり、ホルダー全体がこのような材料で作られているときは、特別な窓でなくても窓面と見なされることは言うまでもない。
【0014】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかの波長変換素子を有することを特徴とする紫外線発生装置(請求項3)である。
【0015】
本手段においては、前記第1の手段から第3の手段のいずれかの波長変換素子を有するので、これらの素子におけるパワーの低下を小さくでき、相対的にハイパワーの紫外線を発生させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例である紫外線発生装置の光学系の一部である波長変換部を示す概要図である。この紫外線発生装置は、DFB固体レーザから放出される波長1544nmの光を光増幅器で増幅したものを入力光とし、その8倍波である波長193nmの紫外光を出力する光学系である。DFB固体レーザ及び光増幅器は、前記特許文献1に記載されており、かつ、本発明の要部と直接関係がないので、その説明を省略する。
【0017】
波長変換部に入射した波長1544nmの基本波はレンズL1で集光され、波長変換結晶1に入射し、その一部の光が2倍波に波長変換される。波長変換結晶1としてLBOを使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0018】
波長変換結晶1から射出した基本波と2倍波は、同軸(もしくはほぼ同軸)となりレンズL2により波長変換結晶2に集光される。波長変換結晶2では基本波と2倍波の一部の光が3倍波に波長変換されるため、波長変換結晶2からは基本波、2倍波、3倍波の光が射出する。波長変換結晶2としてLBOを使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0019】
波長変換結晶2を射出した3倍波は、ダイクロイックミラーM1で反射され、レンズL3、L4を通して反射ミラーM2で反射され、ダイクロイックミラーM4に向かう。
【0020】
波長変換結晶2を射出した2倍波は、ダイクロイックミラーM1を透過した後、ダイクロイックミラーM3で反射され、レンズL5を介して波長変換結晶3に集光され、波長変換結晶3により、2倍波の一部の光が4倍波に波長変換される。波長変換結晶3としてLBOを使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0021】
波長変換結晶3を射出した4倍波は、レンズL6、L7を通ってダイクロイックミラーM4で反射される。一方、前述の3倍波はダイクロイックミラーM4を透過するので、ダイクロイックミラーM4の後では、3倍波と4倍波がほぼ同軸となって、波長変換結晶4に入射し、その一部が波長変換結晶4により7倍波に波長変換される。波長変換結晶4としてBBO(β−BaB2O4)を使用しているが、これに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。波長変換結晶4を介した7倍波はレンズL10、L11を通ってダイクロイックミラーM8に向かう。
【0022】
波長変換結晶2を射出した基本波は、ダイクロイックミラーM1、M3を透過し、反射ミラーM5、M6、M7を介して、レンズL8、L9を通り、ダイクロイックミラーM8に向かい、これを透過する。一方、前述の7倍波は、ダイクロイックミラーM8で反射されるので、ダイクロイックミラーM8を通った後、7倍波と基本波がほぼ同軸となり、波長変換素子5に入射する。そして、これらの一部が波長193nmの8倍波に波長変換される。波長変換素子5で用いられている波長変換結晶としてはLBO、CLBOなどあるが、これらに限定されるものではなく、周知の波長変換結晶を使用することができる。
【0023】
ここで、波長変換素子5には、本発明の実施の形態である波長変換素子が用いられている。その第1の例を図2に示す。
【0024】
波長変換素子5に入射した基本波と7倍波は波長変換結晶6に集光され、波長変換結晶6により8倍波に波長変換される。このとき波長変換結晶6の射出側の面は8倍波に対してブリュースターカットとなるように加工されているため、8倍波が所望の偏光状態(波長変換結晶6の出力側端面に対し8倍波がP偏光であるような状態)にすれば、ほとんど反射ロス無しに波長変換結晶から8倍波を取り出すことができる。またブリュースターカットに加工することでプリズムの機能も有するため、従来基本波及び7倍波から8倍波を分離するために挿入していたプリズムを除去できる。
【0025】
すなわち、波長変換結晶6からは、基本波a、7倍波b、8倍波cが放出されるが、基本波aと7倍波bが必要ない場合は遮蔽板7によりこれらを遮光し、8倍波cのみを波長変換素子5から取り出すようにすればよい。
【0026】
図3に、本発明の実施の形態である波長変換素子5の第2の例を示す。この実施の形態においては、波長変換結晶6の構成は図2に示した実施の形態と異ならない。すなわち、波長変換結晶6の射出側の面は8倍波に対してブリュースターカットとなるように加工されているため、P偏光である8倍波はほとんど無反射で界面を透過し、かつ、プリズム効果により、基本波a、7倍波b、8倍波cの射出方向が異なっている。
【0027】
しかし、この実施の形態においては、波長変換結晶6に潮解性があるため、ケース8中に入れて使用し、ケース8内を窒素、アルゴン、乾燥空気などでパージしている。ケース8には入側窓9、出側窓10が設けられているが、出側窓10の角度は、出側窓に対する8倍波cの入射角がブリュースター角となるようにされている。よって、8倍波は、ほとんど反射することなく出側窓10を透過する。
【0028】
出側窓を透過した光のうち、基本波a、7倍波bは遮蔽板7によって遮蔽され、8倍波cのみが外部に取り出される。この実施の形態においては、波長変換結晶としてCLBOを使用しているが、潮解性のある波長変換結晶で周知のものを適宜使用できる。また、この実施の形態は、用いられる波長変換結晶に潮解性がある場合に限らず、波長変換結晶を均一に温度調節する場合にも用いられる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光量のロスが少ない状態で目的とする波長の光と他の光を分離することが可能である波長変換素子、これに加えて端面での反射が少ない波長変換素子、及びこれらを使用した紫外線発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例である紫外線発生装置の光学系の一部である波長変換部を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の形態である波長変換素子の第1の例を示す概要図である。
【図3】本発明の実施の形態である波長変換素子の第2の例を示す概要図である。
【符号の説明】
1〜4:波長変換結晶、5:波長変換素子、6:波長変換結晶、7:遮蔽板、8:ケース、9:入側窓、10:出側窓、L1〜L11:レンズ、M1:ダイクロイックミラー、M2:反射ミラー、M3:ダイクロイックミラー、M4:ダイクロイックミラー、M5〜M7:反射ミラー、M8:ダイクロイックミラー
Claims (4)
- 周波数の異なる複数の光を入射させ、これらの光の和の周波数を有する光を出力光として取り出す目的のために使用される、波長変換結晶を利用した波長変換素子であって、前記波長変換結晶の出力側の端面が、光軸に垂直な面とは異なる方向にカットされていることを特徴とする波長変換素子。
- 前記カットされた出力側の端面の角度は、出力光として取り出す目的の光について、光の当該端面への入射角度がブリュースター角となるような角度とされていることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
- 請求項1又は請求項2に記載の波長変換素子であって、波長変換結晶を、ホルダー中に収納して構成され、出力側のホルダーの窓面の角度は、出力光として取り出す目的の光について、光の当該窓面への入射角度がブリュースター角となるような角度とされていることを特徴とする波長変換素子。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の波長変換素子を有することを特徴とする紫外線発生装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010099423A (ja) * | 2008-09-29 | 2010-05-06 | Sony Corp | 角膜除去装置及び角膜手術装置 |
CN102944963A (zh) * | 2012-11-08 | 2013-02-27 | 北京国科世纪激光技术有限公司 | 一种用于外腔倍频紫外激光器的非线性晶体组件 |
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2003
- 2003-03-17 JP JP2003071911A patent/JP2004279798A/ja active Pending
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CN102944963B (zh) * | 2012-11-08 | 2015-05-13 | 北京国科世纪激光技术有限公司 | 一种用于外腔倍频紫外激光器的非线性晶体组件 |
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