JP2004279334A - 変形性関節症の検定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】変形性関節症を簡便かつ特異的に検定するための方法、及び、それを実施するための検定キットを提供する。
【解決手段】検体ドナーから採取した血液検体中における抗fibulin自己抗体の濃度を測定する変形性関節症の検定方法、及び、上記検定方法を行うための変形性関節症検定キット。
【選択図】 なし
【解決手段】検体ドナーから採取した血液検体中における抗fibulin自己抗体の濃度を測定する変形性関節症の検定方法、及び、上記検定方法を行うための変形性関節症検定キット。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便かつ特異性に優れた変形性関節症の検定方法、及び、この方法を行うための検定キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、症状として関節炎が観察される疾患には、変形性関節症(以下、OAともいう)、関節リウマチ(以下、RAともいう)、全身性エリテマトーデス等があるが、これらのうち、変形性関節症は、主として加齢とともに発生する変形関節疾患であって、関節軟骨の変性、骨辺縁の肥厚及び滑膜の変化を特徴とする。変形性関節症は、一般に加齢や荷重、又は、遺伝的素因による軟骨の変性としてとらえられている。しかし、組織学的には滑膜炎を有し、滑膜表層細胞の増生が観察される等、炎症、即ち、免疫反応も関与している可能性も示唆されている。しかしながら、血液を用いた有用な免疫学的検査はこれまで存在しなかった。
そのため、変形性関節症をより簡便にかつ特異的に測定することのできる検定方法が望まれていた。
【0003】
fibulinは、インテグリンのβ1の細胞質ドメインの合成ペプチドに結合するタンパク質であり(非特許文献1)、細胞外マトリックスと血漿中に存在するタンパク質である(非特許文献2)。fibulinには6つの種類が存在することが知られており、それぞれfibulin1〜6と呼ばれている。
【0004】
特許文献1には、fibulin4(ヒトS1−5 ECMP様タンパク質)のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが開示されている。非特許文献3には、fibulin4が癌組織や免疫関連組織で発現すること、及び、fibulin4のアンタゴニストが、エイズ、OA、RA等の免疫疾患の治療薬になる可能性があることが開示されている。非特許文献4には、大腸癌患者ではfibulin1の発現が増加していることが開示されている。しかしながら上記のいずれの文献においても、OA患者血液中における抗fibulin自己抗体の増加についてはまったく記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
米国特許6,004,753
【非特許文献1】
Cell、1989年、58巻、623〜629頁
【非特許文献2】
J.Cell Biol.、1990年、111巻、3155〜3164頁
【非特許文献3】
FEBS Letters、2001年、489巻、59〜66頁
【非特許文献4】
Journal of Biological Chemistry、1999年、274巻、29号、20444〜20449頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の現状に鑑みて、変形性関節症を簡便かつ特異的に検定するための方法、及び、それを実施するための検定キットを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、自己抗原としてfibulinに着目し、これと変形性関節症との関連性を鋭意研究した結果、驚くべきことに、血液中の抗fibulin自己抗体濃度と変形性関節症とのあいだに相関性があることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、検体ドナーから採取した血液検体中における抗fibulin自己抗体の濃度を測定することからなる変形性関節症の検定方法である。
また本発明は、上記検定方法を行うための変形性関節症検定キットでもある。
更に本発明は、検体ドナーから採取した血液検体をfibulinと反応させることからなる抗fibulin自己抗体濃度の測定方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明においては、血液検体中の抗fibulin自己抗体の濃度を測定することによって、変形性関節症を検定することができる。すなわち、血液を注射器等によって採取し、この血液検体を用いて抗fibulin自己抗体の濃度を測定することによって変形性関節症を検定する。
【0009】
本発明における抗fibulin自己抗体は、抗fibulin1自己抗体、抗fibulin2自己抗体、抗fibulin3自己抗体、抗fibulin4自己抗体、抗fibulin5自己抗体、抗fibulin6自己抗体のいずれであってもよい。本発明を実施するにあたっては、これらのうち1種類のみの濃度を測定してもよいし、2種類以上の濃度を測定してもよい。
【0010】
上記血液検体としては、血液から遠心分離操作等を行い分離した血清を用いてもよい。血清を用いることにより非特異的な反応を抑制し、より精度良く検定を行うことができる。
【0011】
本発明の検定方法においては、検体ドナーから採取した血液検体中の抗fibulin自己抗体濃度を測定した後、これを、健常な血液中の標準的な抗fibulin自己抗体濃度、又は、変形性関節症を患っている患者の血液中の特異的な抗fibulin自己抗体濃度と比較することにより、上記血液検体を提供した検体ドナーが変形性関節症を患っている可能性が高いか否かを検定することができる。
抗fibulin自己抗体濃度によって変形性関節症を検定するにあたっては、抗fibulin自己抗体の濃度が高いほど変形性関節症の可能性が高い。
【0012】
抗fibulin自己抗体濃度を測定するための手段としては特に限定されないが、抗原抗体反応を利用して抗fibulin自己抗体を検出する方法を挙げることができる。この場合、血液中に存在する抗fibulin自己抗体と特異的に結合するfibulinを使用することができる。すなわち抗fibulin1自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin1を使用すればよい。抗fibulin2自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin2を使用すればよい。抗fibulin3自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin3を使用すればよい。抗fibulin4自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin4を使用すればよい。抗fibulin5自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin5を使用すればよい。抗fibulin6自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin6を使用すればよい。
【0013】
上記fibulinとしては、組み換えfibulinを使用してもよい。上記組み換えfibulinとしては、例えば、固相との結合能を有するものが好適に使用でき、このようなものとしては、固相との結合能を有する蛋白質とfibulinとの融合蛋白質等を挙げることができる。
【0014】
本発明において抗fibulin自己抗体濃度を測定する手段としては、ELISA法が好ましい。
ELISA法を用いて抗fibulin自己抗体濃度を測定する場合には、公知のELISA法を用いることができる。ELISA法では、ポリスチレン等の固相にfibulinを結合させ、そこに血液検体を添加し、酵素標識抗体を反応させて可視化することにより、検体中の抗fibulin自己抗体濃度を測定することができる。
【0015】
本発明の変形性関節症の検定方法の適用範囲としては特に限定されず、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ラット、マウス等の哺乳動物を挙げることができるが、特にヒトに対して好ましく適用される。
【0016】
本発明は、上記検定方法を実施するための検定キットでもある。
本発明の検定キットの態様は、本発明の検定方法を簡便に実施するための検定キットであれば特に限定されない。具体的には、血液中に含まれる抗fibulin自己抗体と特異的に結合するfibulinを含有し、抗原抗体反応を利用して血液中の抗fibulin自己抗体濃度を測定できる検定キットが好ましい。上記検定キットとしては、血液中の抗fibulin自己抗体濃度を測定することを可能にするfibulinや器材等を少なくとも1種含んでいればよく、例えば、抗fibulin自己抗体濃度の測定にあたってELISA法を利用する場合には、fibulinを固定化した担体等が挙げられる。
【0017】
また、本発明は、検体ドナーから採取した血液検体をfibulinと反応させることからなる、抗fibulin自己抗体濃度の測定方法でもある。上記反応にあたっては、上述のように、ELISA法を用いることができる。
【0018】
抗fibulin自己抗体濃度の測定にあたっては、fibulinを固相に結合させる工程を含むことが好ましい。fibulinを固相に結合させるには、上記固相との結合能を有する蛋白質とfibulinとの融合蛋白質を使用することが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下に試験例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら試験例のみに限定されるものではない。
【0020】
(試験例1)血液中の抗fibulin4自己抗体濃度の測定
(1)fibulin4融合蛋白質の作成
fibulin4の遺伝子を、軟骨細胞由来のmRNAからRT−PCRを用いて増幅した。fibulin4の遺伝子増幅に使用したプライマーの配列は配列番号4に示すとおりである。増幅した遺伝子は大腸菌用の蛋白質発現ベクターpMAL−c(NEB社製)にヒスチジンタグをコードする遺伝子と共に挿入し、マルトース結合蛋白質(MBP)との融合蛋白質(MBP−fibulin4融合蛋白質)としてDH5α大腸菌で発現させた。精製はNi−NTAをキレートしたカラム(Hi−Trapキレーティングカラム、アマシャム社製)を用い、ヒスチジンタグとの親和性を利用して行った。これによって融合蛋白質が3種類得られた。各融合蛋白質を、それぞれfibulin4a、fibulin4b及びfibulin4cとする。
【0021】
(2)ELISA法による抗fibulin4自己抗体の検出
96穴プレートを、上記で精製したMBP−fibulin4融合蛋白質(fibulin4a、fibulin4b若しくはfibulin4c)、又は、コントロールとして同様に精製したMBP単独蛋白質10μg/ウェルでコートし、1%BSA含有PBSでブロッキングした後、500倍に希釈した血清サンプルを反応させた。洗浄後、fibulin4に反応した抗体を抗ペルオキシダーゼ標識ヒトIgG抗体(ザイメット社製)と反応させた後、o−フェニレンジアミンを基質として加え発色させた。MBP−fibulin4融合蛋白質に対するOD値からMBP単独蛋白質に対するOD値を差し引いたものをfibulin4に対するOD値とし、以下の式に従い、ユニット表示し、健常人の平均OD値に標準偏差の3倍を加えたOD値(100ユニット)以上を陽性とした。
結合ユニット=[検体のOD値/(健常人の平均OD値+健常人のOD値の標準偏差の3倍)]×100
【0022】
上記のELISA法による検定は、OA92検体、HC(健常コントロール)54検体に対して行った。結果を図1に示した。
この検定結果から、陽性となった者は、変形性関節症を患う患者の24%であった。このことから、血清中の抗fibulin4自己抗体濃度を測定することにより変形性関節症を検定できることが明らかとなった。
【0023】
(試験例2)軟骨細胞のfibulin1〜6含有量
以下に示す手順で、リアルタイムPCRを用い、正常軟骨細胞及び変形性関節症軟骨細胞のfibulin1〜6含有量を測定した。
まずfibulin1の遺伝子を、軟骨細胞由来のmRNAからRT−PCRを用いて増幅した。fibulin1の遺伝子増幅に使用したプライマーの配列は配列番号1に示すとおりである。増幅した遺伝子をベクターpCR(商標)−Blunt II−TOPO(商標)に挿入した。このプラスミドから遺伝子を当該プライマーで増幅し、各増幅サイクルごとに増幅産物量を測定して、初期量と増幅産物量との関係について標準曲線を作成した。各検体をテンプレートとして同様の増幅を行い、上記標準曲線を用いて各テンプレートのfibulin1含有量を算出した。検体としては、3種類の正常軟骨細胞及び8種類の変形性関節症軟骨細胞を用いた。
【0024】
同様に、fibulin2〜6の遺伝子についてもリアルタイムPCRを行い、各軟骨細胞のfibulin2〜6含有量を算出した。fibulin2〜6に関して使用したプライマーの配列は配列番号2〜6に示すとおりである。
【0025】
得られた結果から、正常軟骨細胞の場合の平均値、及び、変形性関節症軟骨細胞の場合の平均値を求め、その結果を図2に示した。この結果から、変形性関節症軟骨細胞においてfibulin1〜6それぞれの含有量が増加していることが明らかとなった。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、上述のような構成を有するので、血液検体を用いて簡便かつ特異的に変形性関節症を検定することができる検定方法及び検定キットを提供することができる。
【0027】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1におけるELISA法による抗fibulin4自己抗体の検定結果を示す図である。
【図2】試験例2で得られた軟骨細胞のfibulin1〜6含有量を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便かつ特異性に優れた変形性関節症の検定方法、及び、この方法を行うための検定キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、症状として関節炎が観察される疾患には、変形性関節症(以下、OAともいう)、関節リウマチ(以下、RAともいう)、全身性エリテマトーデス等があるが、これらのうち、変形性関節症は、主として加齢とともに発生する変形関節疾患であって、関節軟骨の変性、骨辺縁の肥厚及び滑膜の変化を特徴とする。変形性関節症は、一般に加齢や荷重、又は、遺伝的素因による軟骨の変性としてとらえられている。しかし、組織学的には滑膜炎を有し、滑膜表層細胞の増生が観察される等、炎症、即ち、免疫反応も関与している可能性も示唆されている。しかしながら、血液を用いた有用な免疫学的検査はこれまで存在しなかった。
そのため、変形性関節症をより簡便にかつ特異的に測定することのできる検定方法が望まれていた。
【0003】
fibulinは、インテグリンのβ1の細胞質ドメインの合成ペプチドに結合するタンパク質であり(非特許文献1)、細胞外マトリックスと血漿中に存在するタンパク質である(非特許文献2)。fibulinには6つの種類が存在することが知られており、それぞれfibulin1〜6と呼ばれている。
【0004】
特許文献1には、fibulin4(ヒトS1−5 ECMP様タンパク質)のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが開示されている。非特許文献3には、fibulin4が癌組織や免疫関連組織で発現すること、及び、fibulin4のアンタゴニストが、エイズ、OA、RA等の免疫疾患の治療薬になる可能性があることが開示されている。非特許文献4には、大腸癌患者ではfibulin1の発現が増加していることが開示されている。しかしながら上記のいずれの文献においても、OA患者血液中における抗fibulin自己抗体の増加についてはまったく記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
米国特許6,004,753
【非特許文献1】
Cell、1989年、58巻、623〜629頁
【非特許文献2】
J.Cell Biol.、1990年、111巻、3155〜3164頁
【非特許文献3】
FEBS Letters、2001年、489巻、59〜66頁
【非特許文献4】
Journal of Biological Chemistry、1999年、274巻、29号、20444〜20449頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の現状に鑑みて、変形性関節症を簡便かつ特異的に検定するための方法、及び、それを実施するための検定キットを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、自己抗原としてfibulinに着目し、これと変形性関節症との関連性を鋭意研究した結果、驚くべきことに、血液中の抗fibulin自己抗体濃度と変形性関節症とのあいだに相関性があることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、検体ドナーから採取した血液検体中における抗fibulin自己抗体の濃度を測定することからなる変形性関節症の検定方法である。
また本発明は、上記検定方法を行うための変形性関節症検定キットでもある。
更に本発明は、検体ドナーから採取した血液検体をfibulinと反応させることからなる抗fibulin自己抗体濃度の測定方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明においては、血液検体中の抗fibulin自己抗体の濃度を測定することによって、変形性関節症を検定することができる。すなわち、血液を注射器等によって採取し、この血液検体を用いて抗fibulin自己抗体の濃度を測定することによって変形性関節症を検定する。
【0009】
本発明における抗fibulin自己抗体は、抗fibulin1自己抗体、抗fibulin2自己抗体、抗fibulin3自己抗体、抗fibulin4自己抗体、抗fibulin5自己抗体、抗fibulin6自己抗体のいずれであってもよい。本発明を実施するにあたっては、これらのうち1種類のみの濃度を測定してもよいし、2種類以上の濃度を測定してもよい。
【0010】
上記血液検体としては、血液から遠心分離操作等を行い分離した血清を用いてもよい。血清を用いることにより非特異的な反応を抑制し、より精度良く検定を行うことができる。
【0011】
本発明の検定方法においては、検体ドナーから採取した血液検体中の抗fibulin自己抗体濃度を測定した後、これを、健常な血液中の標準的な抗fibulin自己抗体濃度、又は、変形性関節症を患っている患者の血液中の特異的な抗fibulin自己抗体濃度と比較することにより、上記血液検体を提供した検体ドナーが変形性関節症を患っている可能性が高いか否かを検定することができる。
抗fibulin自己抗体濃度によって変形性関節症を検定するにあたっては、抗fibulin自己抗体の濃度が高いほど変形性関節症の可能性が高い。
【0012】
抗fibulin自己抗体濃度を測定するための手段としては特に限定されないが、抗原抗体反応を利用して抗fibulin自己抗体を検出する方法を挙げることができる。この場合、血液中に存在する抗fibulin自己抗体と特異的に結合するfibulinを使用することができる。すなわち抗fibulin1自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin1を使用すればよい。抗fibulin2自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin2を使用すればよい。抗fibulin3自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin3を使用すればよい。抗fibulin4自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin4を使用すればよい。抗fibulin5自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin5を使用すればよい。抗fibulin6自己抗体濃度を測定する場合にはfibulin6を使用すればよい。
【0013】
上記fibulinとしては、組み換えfibulinを使用してもよい。上記組み換えfibulinとしては、例えば、固相との結合能を有するものが好適に使用でき、このようなものとしては、固相との結合能を有する蛋白質とfibulinとの融合蛋白質等を挙げることができる。
【0014】
本発明において抗fibulin自己抗体濃度を測定する手段としては、ELISA法が好ましい。
ELISA法を用いて抗fibulin自己抗体濃度を測定する場合には、公知のELISA法を用いることができる。ELISA法では、ポリスチレン等の固相にfibulinを結合させ、そこに血液検体を添加し、酵素標識抗体を反応させて可視化することにより、検体中の抗fibulin自己抗体濃度を測定することができる。
【0015】
本発明の変形性関節症の検定方法の適用範囲としては特に限定されず、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ラット、マウス等の哺乳動物を挙げることができるが、特にヒトに対して好ましく適用される。
【0016】
本発明は、上記検定方法を実施するための検定キットでもある。
本発明の検定キットの態様は、本発明の検定方法を簡便に実施するための検定キットであれば特に限定されない。具体的には、血液中に含まれる抗fibulin自己抗体と特異的に結合するfibulinを含有し、抗原抗体反応を利用して血液中の抗fibulin自己抗体濃度を測定できる検定キットが好ましい。上記検定キットとしては、血液中の抗fibulin自己抗体濃度を測定することを可能にするfibulinや器材等を少なくとも1種含んでいればよく、例えば、抗fibulin自己抗体濃度の測定にあたってELISA法を利用する場合には、fibulinを固定化した担体等が挙げられる。
【0017】
また、本発明は、検体ドナーから採取した血液検体をfibulinと反応させることからなる、抗fibulin自己抗体濃度の測定方法でもある。上記反応にあたっては、上述のように、ELISA法を用いることができる。
【0018】
抗fibulin自己抗体濃度の測定にあたっては、fibulinを固相に結合させる工程を含むことが好ましい。fibulinを固相に結合させるには、上記固相との結合能を有する蛋白質とfibulinとの融合蛋白質を使用することが好ましい。
【0019】
【実施例】
以下に試験例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら試験例のみに限定されるものではない。
【0020】
(試験例1)血液中の抗fibulin4自己抗体濃度の測定
(1)fibulin4融合蛋白質の作成
fibulin4の遺伝子を、軟骨細胞由来のmRNAからRT−PCRを用いて増幅した。fibulin4の遺伝子増幅に使用したプライマーの配列は配列番号4に示すとおりである。増幅した遺伝子は大腸菌用の蛋白質発現ベクターpMAL−c(NEB社製)にヒスチジンタグをコードする遺伝子と共に挿入し、マルトース結合蛋白質(MBP)との融合蛋白質(MBP−fibulin4融合蛋白質)としてDH5α大腸菌で発現させた。精製はNi−NTAをキレートしたカラム(Hi−Trapキレーティングカラム、アマシャム社製)を用い、ヒスチジンタグとの親和性を利用して行った。これによって融合蛋白質が3種類得られた。各融合蛋白質を、それぞれfibulin4a、fibulin4b及びfibulin4cとする。
【0021】
(2)ELISA法による抗fibulin4自己抗体の検出
96穴プレートを、上記で精製したMBP−fibulin4融合蛋白質(fibulin4a、fibulin4b若しくはfibulin4c)、又は、コントロールとして同様に精製したMBP単独蛋白質10μg/ウェルでコートし、1%BSA含有PBSでブロッキングした後、500倍に希釈した血清サンプルを反応させた。洗浄後、fibulin4に反応した抗体を抗ペルオキシダーゼ標識ヒトIgG抗体(ザイメット社製)と反応させた後、o−フェニレンジアミンを基質として加え発色させた。MBP−fibulin4融合蛋白質に対するOD値からMBP単独蛋白質に対するOD値を差し引いたものをfibulin4に対するOD値とし、以下の式に従い、ユニット表示し、健常人の平均OD値に標準偏差の3倍を加えたOD値(100ユニット)以上を陽性とした。
結合ユニット=[検体のOD値/(健常人の平均OD値+健常人のOD値の標準偏差の3倍)]×100
【0022】
上記のELISA法による検定は、OA92検体、HC(健常コントロール)54検体に対して行った。結果を図1に示した。
この検定結果から、陽性となった者は、変形性関節症を患う患者の24%であった。このことから、血清中の抗fibulin4自己抗体濃度を測定することにより変形性関節症を検定できることが明らかとなった。
【0023】
(試験例2)軟骨細胞のfibulin1〜6含有量
以下に示す手順で、リアルタイムPCRを用い、正常軟骨細胞及び変形性関節症軟骨細胞のfibulin1〜6含有量を測定した。
まずfibulin1の遺伝子を、軟骨細胞由来のmRNAからRT−PCRを用いて増幅した。fibulin1の遺伝子増幅に使用したプライマーの配列は配列番号1に示すとおりである。増幅した遺伝子をベクターpCR(商標)−Blunt II−TOPO(商標)に挿入した。このプラスミドから遺伝子を当該プライマーで増幅し、各増幅サイクルごとに増幅産物量を測定して、初期量と増幅産物量との関係について標準曲線を作成した。各検体をテンプレートとして同様の増幅を行い、上記標準曲線を用いて各テンプレートのfibulin1含有量を算出した。検体としては、3種類の正常軟骨細胞及び8種類の変形性関節症軟骨細胞を用いた。
【0024】
同様に、fibulin2〜6の遺伝子についてもリアルタイムPCRを行い、各軟骨細胞のfibulin2〜6含有量を算出した。fibulin2〜6に関して使用したプライマーの配列は配列番号2〜6に示すとおりである。
【0025】
得られた結果から、正常軟骨細胞の場合の平均値、及び、変形性関節症軟骨細胞の場合の平均値を求め、その結果を図2に示した。この結果から、変形性関節症軟骨細胞においてfibulin1〜6それぞれの含有量が増加していることが明らかとなった。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、上述のような構成を有するので、血液検体を用いて簡便かつ特異的に変形性関節症を検定することができる検定方法及び検定キットを提供することができる。
【0027】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1におけるELISA法による抗fibulin4自己抗体の検定結果を示す図である。
【図2】試験例2で得られた軟骨細胞のfibulin1〜6含有量を示すグラフである。
Claims (8)
- 検体ドナーから採取した血液検体中における抗fibulin自己抗体の濃度を測定することを特徴とする変形性関節症の検定方法。
- ELISA法を用いて、検体ドナーから採取した血液検体中における抗fibulin自己抗体の濃度を測定することを特徴とする変形性関節症の検定方法。
- 検体ドナーがヒトであることを特徴とする請求項1又は2記載の変形性関節症の検定方法。
- 抗fibulin自己抗体は抗fibulin4自己抗体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の変形性関節炎の検定方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の変形性関節症の検定方法を行うための変形性関節症検定キット。
- 検体ドナーから採取した血液検体をfibulinと反応させることを特徴とする抗fibulin自己抗体濃度の測定方法。
- fibulinを固相に結合させる工程を含む請求項6記載の抗fibulin自己抗体濃度の測定方法。
- fibulinが組み換えfibulinである請求項6又は7記載の抗fibulin自己抗体濃度の測定方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003074037A JP2004279334A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 変形性関節症の検定方法 |
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JP2003074037A JP2004279334A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 変形性関節症の検定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=33289782
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JP2003074037A Pending JP2004279334A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 変形性関節症の検定方法 |
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JP (1) | JP2004279334A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006220609A (ja) * | 2005-02-14 | 2006-08-24 | Shiseido Co Ltd | フィブュリン−5を指標とした皮膚老化状態の評価方法 |
JP2010526299A (ja) * | 2007-05-01 | 2010-07-29 | ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド | ネコ類において骨関節炎を診断するための方法および組成物 |
EP3502696A1 (de) * | 2017-12-21 | 2019-06-26 | Universität zu Köln | Nachweis von autoantikörpern zur diagnose von degenerativen erkrankungen des skelettsystems |
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2003
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