JP2004279277A - 電磁波照射量測定装置及び電磁波照射量測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リアルタイムで照射量を測定可能であるとともに、小型化及び低消費電力化を実現し携帯可能な電磁波照射量測定装置及び電磁波照射量測定方法を提供する。
【解決手段】電磁波の被照射部となるMOSトランジスタ10を組み込んだ携帯可能なバッジ100と、このMOSトランジスタ10に照射された電磁波の照射量を測定する照射量測定装置200とを別体で構成し、MOSトランジスタ10の閾値電圧の変化量に基づいて、電磁波の照射量を測定する。
【選択図】 図1
【解決手段】電磁波の被照射部となるMOSトランジスタ10を組み込んだ携帯可能なバッジ100と、このMOSトランジスタ10に照射された電磁波の照射量を測定する照射量測定装置200とを別体で構成し、MOSトランジスタ10の閾値電圧の変化量に基づいて、電磁波の照射量を測定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線や紫外線など電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置及び電磁波照射量測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線などの電磁波は、人体への悪影響が懸念されているため、このX線を利用した装置等を用いる場合においては、作業者がX線をどれだけ照射されたかを常時監視する必要がある。
このようなX線照射量測定装置の一例として、例えば、X線に対して感光性のあるフィルムを備えたバッジと、このフィルムを現像する照射量測定手段とから構成されたものが一般的に知られている。そして、X線を利用した装置等を用いる作業者は、各々このバッジを装着して作業し、一定期間経過後にフィルムを現像することで、各作業者が期間内に浴びたX線照射量を測定できるようになっている。
【0003】
しかしながら、上述したX線照射量測定装置においては、作業者が一定期間バッジを装着した後、フィルムを現像した時点で初めて今まで浴びたX線照射量が確認されるため、X線照射量が規定量を超えていても気づかない場合があり、作業者が安心して作業を行えないという不具合があった。
このような不具合を解消するために、X線照射量をリアルタイムで測定可能なX線照射量測定装置として、例えば、照射されたX線をシンチレータなどで光素子に変換し、当該光素子をCCD(電荷結合素子)などの固体撮像素子で検出することにより、X線の照射量をリアルタイムで測定する手段が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−285128号公報
【特許文献2】
特開平6−38950号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2に記載の手段においては、いずれもX線の照射量を一旦光素子に変換し、この光素子をフォトダイオードなどの受光素子で検出することで測定しているため、装置が大きくなってしまい、各作業者が携帯して使用することは困難であった。
【0006】
また、上述の特許文献1や特許文献2に記載の手段においては、いずれもシンチレータ及びフォトダイオードの操作に消費電力が必要であるため、コストが増大してしまうという問題があった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、リアルタイムで照射量を測定可能であるとともに、小型化及び低消費電力化を実現し携帯可能な電磁波照射量測定装置及び電磁波照射量測定方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明の第一の電磁波照射量測定装置は、電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置であって、前記照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第二の電磁波照射量測定装置は、電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置であって、前記電磁波が照射される被照射部と、前記被照射部に照射された前記電磁波の照射量を測定する照射量測定部と、を備え、前記被照射部は、MOSトランジスタで構成されていることを特徴とするものである。
ここで、本発明の第二の電磁波照射量測定装置において、前記照射量測定部は、前記MOSトランジスタの初期閾値電圧を記憶する初期閾値電圧記憶手段と、前記MOSトランジスタの閾値電圧を測定する閾値電圧測定手段と、前記初期閾値電圧及び前記閾値電圧の差電圧に基づいて、前記電磁波の照射量を算出する照射量算出手段と、前記算出された照射量を表示する表示手段と、を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明の第二の電磁波照射量測定装置において、前記被照射部と、前記照射量測定部とを別体で構成するようにしてもよい。
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置において、前記被照射部と、前記照射量測定部とを一体で構成するようにしてもよい。
さらに、本発明の第一及び第二の電磁波照射量測定装置において、前記電磁波は、X線或いは紫外線である場合に好適に用いることができる。
【0010】
本発明の電磁波照射量測定方法は、電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定方法であって、前記照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することを特徴とするものである。
このように、本発明の第一の電磁波照射量測定装置によれば、電磁波の照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようにしたことによって、特許文献1や特許文献2で示した手段のように、X線を光素子に変換するなどの煩雑な工程を経ることなくX線の照射量を測定することができるため、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0011】
本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、MOSトランジスタで構成された被照射部と、被照射部に照射された電磁波の照射量を測定する照射量測定部と、を備えたことによって、MOSトランジスタのゲート電極及びソース/ドレイン領域に電圧を印加した状態で電磁波が照射されると、半導体基板内に電子−正孔対が形成されるようになる。そして、形成された電子の一部が、半導体基板とゲート酸化膜との界面のエネルギーギャップを乗り越えてゲート酸化膜に固定電荷として蓄積され、MOSトランジスタの閾値電圧を上昇させる。ここで、半導体基板内に形成される電子−正孔対は、電磁波の照射量に応じて形成されるため、MOSトランジスタの閾値電圧の変化量により電磁波の累積照射量を測定することができる。
【0012】
よって、X線を一旦光素子に変換することなく、その照射量を直接測定することができるため、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
また、電磁波が照射されるMOSトランジスタは、電圧が印加された状態で用いるが、積極的に電流を流さず、ゲート酸化膜に蓄積された電子に起因するMOSトランジスタの閾値電圧を測定するだけでよいため、低消費電力化を実現することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、照射量測定部を、初期閾値電圧記憶手段と、閾値電圧測定手段と、照射量算出手段と、表示手段と、を備えて構成したことによって、電磁波の照射量を容易に測定することができるとともに、算出した照射量を表示することが可能となる。
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを別体で構成することによって、消耗する被照射部のみを交換することができるため、装置に要するコストを大幅に削減させることが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを、例えば同一の半導体集積回路内に一体で構成することによって、装置の製造に要するコストを削減させるとともに、装置全体の小型化を実現することが可能となる。
さらに、本発明の第一及び第二の電磁波照射量測定装置によれば、電磁波として、人体への悪影響が懸念されるX線或いは紫外線の照射量を測定するために好適に用いることができる。
【0015】
さらに、本発明の電磁波照射量測定方法によれば、照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することによって、特許文献1や特許文献2で示した手段のように、X線を光素子に変換するなどの煩雑な工程を経ることなくX線の照射量を測定することができるため、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態における電磁波照射量測定装置を示し、(a)は被照射部が組み込まれたバッジの平面図、(b)はバッジを設置した状態の照射量測定装置を示す平面図である。図2は、図1(a)のA−A線に沿った断面図である。図3は、本実施形態における電磁波照射量測定装置のうち、照射量測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態における電磁波照射量測定装置は、図1(a)に示すように、X線(電磁波)の被照射部となるMOSトランジスタ10を矩体C内に組み込んだ携帯可能なバッジ100と、このバッジ100とは別体で構成され、図1(b)に示すように、バッジ設置部20にバッジ100を設置することで、MOSトランジスタ10に照射されたX線の照射量を測定可能な照射量測定装置(照射量測定部)200と、から構成されている。
【0018】
MOSトランジスタ10は、図2に示すように、矩体C内に組み込まれたシリコン基板(半導体基板)1上に、ゲート酸化膜2を介して形成されたゲート電極3と、このゲート電極3の両側を挟んだシリコン基板1内に形成されたソース/ドレイン領域4と、から構成されており、シリコン基板1の上面全体には、絶縁層5を介して保護膜6が形成されている。また、このMOSトランジスタ10には、デバイスの許容範囲内で最大印加電圧が与えられており、シリコン基板1内部には空乏層1aが形成されている。そして、このMOSトランジスタ10が組み込まれたバッジ100は、その裏面側(図2に示す下面側)に取り付け用ピン11が固定され、バッジ100の表面側(図2に示す上面側)からX線が照射されるようになっている。
【0019】
照射量測定装置200は、図3に示すように、MOSトランジスタ10の初期閾値電圧を記憶する初期閾値電圧記憶回路(初期閾値電圧記憶手段)201と、MOSトランジスタ10の閾値電圧を測定する閾値電圧測定回路(閾値電圧測定手段)202と、この閾値電圧測定回路202で測定された閾値電圧と初期閾値電圧との差電圧よりX線の照射量を算出する照射量算出回路(照射量算出手段)203と、を備えている。これらの回路は、図1(b)に示すように、照射量測定装置200のバッジ設置部20にバッジ100を設置し、バッジ100内に組み込まれたMOSトランジスタ10の接続部(図示せず)と接続することで作動し、照射量算出回路203で算出された照射量は、照射量測定装置200の表示部(表示手段)21に表示されるようになっている。
【0020】
次に、本実施形態の電磁波照射量測定装置を用いた電磁波照射量測定方法について説明する。
まず、図1(a)に示すバッジ100を、その裏面側に固定された取り付け用ピン11によって、X線を利用した測定装置を用いる作業者の衣服などに取り付ける。このとき、バッジ100内に組み込まれたMOSトランジスタ10には、その許容範囲内で最大電圧が印加され、ゲート電極3及びソース/ドレイン領域4が形成された下面のシリコン基板1内には、空乏層1aが形成されている。
【0021】
この状態で、バッジ100の表面側からX線が照射されると、空乏層1a内で電子ー正孔対が形成され、形成された電子が、ゲート電極3及びソース/ドレイン領域4に引き寄せられる。そして、この電子の一部がゲート酸化膜2界面のエネルギー障壁を乗り越えてゲート酸化膜2内に進入し、ゲート酸化膜2内の欠陥などに捕獲されるようになる。このため、X線の照射量が増加するにつれ、MOSトランジスタ10のゲート酸化膜2内に捕獲される電子が増加し、MOSトランジスタ10の閾値電圧が上昇するようになっている。
【0022】
そして、このバッジ100を取り付けて所定時間(例えば、半年に一回程度)作業を行った後、このバッジ100を照射量測定装置200のバッジ設置部20に設置して、MOSトランジスタ10の接続部と照射量測定装置200の接続部(図示せず)とを接続させる。ここで、照射量測定装置200内に備えた閾値電圧測定回路202において、所定期間X線が照射されたMOSトランジスタ10の閾値電圧を測定し、この閾値電圧と、初期閾値電圧記憶回路201で記憶されている初期閾値電圧との差電圧より、照射量算出回路203においてX線の照射量が算出され、この結果は照射量測定装置200の表示部21に表示される。
【0023】
続いて、本実施形態の電磁波照射量測定装置の一製造方法について説明する。
図4は、本発明の電磁波照射量測定装置の一製造工程を示す断面図である。
まず、シリコン基板1上に、公知の熱酸化膜法を用いて、酸化シリコンからなるゲート酸化膜2を成膜する。その後、このゲート酸化膜2のさらに上面に、公知の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いて、多結晶シリコンからなるゲート電極形成膜(図示せず)を成膜する。
【0024】
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、図4(a)に示すように、シリコン基板1上にゲート酸化膜2を介してゲート電極3をそれぞれ形成する。
次いで、ゲート電極3をイオン注入マスクとして、シリコン基板1の上面からソース/ドレイン領域形成用イオンを注入することで、図4(b)に示すように、ゲート電極3の両側を挟んだシリコン基板1の上層部にソース/ドレイン領域4を形成する。
【0025】
次いで、図4(c)に示すように、ソース/ドレイン領域4が形成されたシリコン基板1の上面全体に、公知のCVD法を用いて酸化シリコン膜などからなる絶縁膜5を成膜する。そして、公知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、ソース/ドレイン領域4が形成されたシリコン基板1の上面のみに絶縁膜5を形成する。
【0026】
次いで、ソース/ドレイン領域4直上に絶縁膜5が形成されたシリコン基板1の上面全体に、公知のCVD法を用いて、パッシベーション膜(保護膜)6を成膜した後、バッジ100を構成する矩体C内にこの完成したMOSトランジスタ10を収容することで、図2に示すように、MOSトランジスタ10を組み込んだバッジ100を完成させる。
【0027】
このように、本実施形態における電磁波照射量測定装置によれば、シリコン基板1内に空乏層1aが形成されたMOSトランジスタ10にX線を照射することで、空乏層1a内に形成される電子がゲート酸化膜2に捕獲されることを利用して、このMOSトランジスタ10の閾値電圧の変化量によりX線の照射量を測定するようにしたことによって、光素子に変換したX線を測定するフォトダイオードなどの装置が不要となるため、装置の小型化及び低消費電力化を実現することが可能となる。
【0028】
また、MOSトランジスタ10内には、シリコン基板1内に空乏層1aを形成するために電圧を印加しているが、積極的に電流を流すことなく、ゲート酸化膜2に捕獲される電子に起因するMOSトランジスタ10の閾値電圧を測定するようにしたことによって、消費電力を大幅に削減させ、低コスト化を実現することが可能となる。
【0029】
さらに、MOSトランジスタ10のゲート酸化膜2に捕獲される電子は、固定電荷としてゲート酸化膜2内にとどまり、X線の照射量に比例して電子が捕獲されていくため、X線の累計照射量を測定することが可能となる。
なお、本実施形態における電磁波照射量測定装置のうち、少なくともMOSトランジスタ10を組み込んだバッジ100を携帯可能な形状に構成するのであれば、照射量測定装置200は携帯可能な形状としてもよいし、携帯せず所定箇所に設置する形状としても構わない。
<第一実施形態の変形例>
本変形例は、第一実施形態で示したバッジ100の矩体C内に、MOSトランジスタ10と、照射量測定装置200と、を同一半導体集積回路内に一体で組み込んで構成したものである。
【0030】
このように、本変形例によれば、MOSトランジスタ10と、照射量測定装置200とを同一半導体集積回路内に一体で組み込んで構成したことによって、電磁波照射量測定装置全体の小型化を実現することが可能となる。
また、本変形例によれば、バッジ100を取り付けている作業者自身が常時X線の累計照射量をリアルタイムで確認することができるため、安心して作業を行うことが可能となる。
<第二実施形態>
図5は、本発明の電磁波照射量測定装置の他の構成例を示す断面図である。
【0031】
本実施形態における電磁波照射量測定装置は、バッジ100の矩体C内に組み込まれるMOSトランジスタ10Aが、ガラス基板7上に成膜したアモルファスシリコン層8の上面にゲート酸化膜2を介して形成されたゲート電極3と、このゲート電極3の両側を挟んだアモルファスシリコン層8内に形成されたソース/ドレイン領域4と、から構成されており、アモルファスシリコン層8の上面全体には、絶縁層5を介して保護膜6が形成されている。このMOSトランジスタ10Aには、デバイスの許容範囲内で最大印加電圧が与えられており、アモルファスシリコン層8内部には、ガラス基板7の界面近傍まで空乏層1aが形成されている。そして、このMOSトランジスタ10Aが矩体C内に組み込まれたバッジ100の表面側(図5に示す上面側)に取り付け用ピン11が固定され、バッジ100の裏面側(図5に示す下面側)からX線が照射されるようになっている。
【0032】
このような構成によれば、MOSトランジスタ10Aの裏面側からガラス基板7を介してX線が照射されるようになっているため、第一実施形態で示したMOSトランジスタ10を組み込んだバッジ100では、ゲート電極3や絶縁膜5が障害になって吸収できず測定不可能であった、より波長の短い電磁波を測定することが可能となる。
【0033】
なお、第二実施形態においては、ソース/ドレイン領域4を形成する半導体基板として、ガラス基板7上に形成されたアモルファスシリコン層8を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、多結晶シリコン層を適用しても構わない。
また、第一及び第二実施形態においては、酸化シリコン膜からなるゲート酸化膜2内に電子を捕獲する場合について説明したが、ゲート酸化膜2内に進入する電子をより効率的に捕獲するために、例えば、フローティングゲート構造を用いてゲート酸化膜2をできる限り薄く形成してもよいし、或いは、ゲート酸化膜2としてONO膜を適用するようにしても構わない。
【0034】
さらに、第一及び第二実施形態においては、X線が照射される被照射部を、一つのMOSトランジスタ10、10Aで構成する場合について説明したが、これに限らず、被照射部を二つ以上のMOSトランジスタで構成するようにしても構わない。
さらに、第一及び第二実施形態においては、照射量を測定する電磁波として、X線の照射量を測定する場合について説明したが、シリコン基板1又はアモルファスシリコン基板8内の空乏層1a内に電子−正孔対を形成可能な波長を有する電磁波であればこれに限らず、例えば、紫外線などの照射量を測定するようにしても構わない。
【0035】
さらに、第一及び第二実施形態における電磁波照射量測定装置は、人体への悪影響が懸念されるX線や紫外線などの照射量を制御する場合に適用するのみならず、例えば、レジスト膜や農作物など光によって化学反応(変質)を起こす物質などの保管・輸送時に管理する場合に適用するようにしても構わない。
さらに、第一及び第二実施形態においては、X線が照射されるMOSトランジスタ10、10Aを、バッジ100内に組み込んだ場合について説明したが、MOSトランジスタ10、10Aを収容可能であればこれに限らず、例えば、図6に示すように、携帯電話300の表示部31や、時計400の表示部41など携帯可能な装置の一部に組み込んで構成するようにしても構わない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第一及び第二の電磁波照射量測定装置によれば、電磁波の照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようにしたことによって、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを別体で構成することによって、消耗する被照射部のみを交換することができるため、装置に要するコストを大幅に削減させることが可能となる。
【0037】
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを一体で構成することによって、装置の製造に要するコストを削減させるとともに、装置全体の小型化を実現することが可能となる。
また、本発明の電磁波照射量測定方法によれば、照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することによって、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における電磁波照射量測定装置の一構成例を示し、(a)は被照射部が組み込まれたバッジの平面図、(b)はバッジを設置した状態の照射量測定装置を示す平面図である。
【図2】図1(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本実施形態の電磁波照射量測定装置のうち、照射量測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態における電磁波照射量測定装置の一製造工程を示す断面図である。
【図5】本実施形態における電磁波照射量測定装置の他の構成例を示す断面図である。
【図6】本実施形態における電磁波照射量測定装置のうち、被照射部を組み込む装置の他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】1…シリコン基板。1a…空乏層。2…ゲート酸化膜。3…ゲート電極。4…ソース/ドレイン領域。5…絶縁膜。6…保護膜。7…ガラス基板。8…アモルファスシリコン層。10、10A…MOSトランジスタ(被照射部)。11…取り付け用ピン。20…バッジ設置部。21、31、41…表示部。100…バッジ。200…照射部測定装置。201…初期閾値電圧記憶回路。202…閾値電圧測定回路。203…照射量算出回路。300…携帯電話。400…時計。C…矩体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線や紫外線など電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置及び電磁波照射量測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線などの電磁波は、人体への悪影響が懸念されているため、このX線を利用した装置等を用いる場合においては、作業者がX線をどれだけ照射されたかを常時監視する必要がある。
このようなX線照射量測定装置の一例として、例えば、X線に対して感光性のあるフィルムを備えたバッジと、このフィルムを現像する照射量測定手段とから構成されたものが一般的に知られている。そして、X線を利用した装置等を用いる作業者は、各々このバッジを装着して作業し、一定期間経過後にフィルムを現像することで、各作業者が期間内に浴びたX線照射量を測定できるようになっている。
【0003】
しかしながら、上述したX線照射量測定装置においては、作業者が一定期間バッジを装着した後、フィルムを現像した時点で初めて今まで浴びたX線照射量が確認されるため、X線照射量が規定量を超えていても気づかない場合があり、作業者が安心して作業を行えないという不具合があった。
このような不具合を解消するために、X線照射量をリアルタイムで測定可能なX線照射量測定装置として、例えば、照射されたX線をシンチレータなどで光素子に変換し、当該光素子をCCD(電荷結合素子)などの固体撮像素子で検出することにより、X線の照射量をリアルタイムで測定する手段が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−285128号公報
【特許文献2】
特開平6−38950号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2に記載の手段においては、いずれもX線の照射量を一旦光素子に変換し、この光素子をフォトダイオードなどの受光素子で検出することで測定しているため、装置が大きくなってしまい、各作業者が携帯して使用することは困難であった。
【0006】
また、上述の特許文献1や特許文献2に記載の手段においては、いずれもシンチレータ及びフォトダイオードの操作に消費電力が必要であるため、コストが増大してしまうという問題があった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、リアルタイムで照射量を測定可能であるとともに、小型化及び低消費電力化を実現し携帯可能な電磁波照射量測定装置及び電磁波照射量測定方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明の第一の電磁波照射量測定装置は、電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置であって、前記照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第二の電磁波照射量測定装置は、電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置であって、前記電磁波が照射される被照射部と、前記被照射部に照射された前記電磁波の照射量を測定する照射量測定部と、を備え、前記被照射部は、MOSトランジスタで構成されていることを特徴とするものである。
ここで、本発明の第二の電磁波照射量測定装置において、前記照射量測定部は、前記MOSトランジスタの初期閾値電圧を記憶する初期閾値電圧記憶手段と、前記MOSトランジスタの閾値電圧を測定する閾値電圧測定手段と、前記初期閾値電圧及び前記閾値電圧の差電圧に基づいて、前記電磁波の照射量を算出する照射量算出手段と、前記算出された照射量を表示する表示手段と、を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明の第二の電磁波照射量測定装置において、前記被照射部と、前記照射量測定部とを別体で構成するようにしてもよい。
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置において、前記被照射部と、前記照射量測定部とを一体で構成するようにしてもよい。
さらに、本発明の第一及び第二の電磁波照射量測定装置において、前記電磁波は、X線或いは紫外線である場合に好適に用いることができる。
【0010】
本発明の電磁波照射量測定方法は、電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定方法であって、前記照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することを特徴とするものである。
このように、本発明の第一の電磁波照射量測定装置によれば、電磁波の照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようにしたことによって、特許文献1や特許文献2で示した手段のように、X線を光素子に変換するなどの煩雑な工程を経ることなくX線の照射量を測定することができるため、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0011】
本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、MOSトランジスタで構成された被照射部と、被照射部に照射された電磁波の照射量を測定する照射量測定部と、を備えたことによって、MOSトランジスタのゲート電極及びソース/ドレイン領域に電圧を印加した状態で電磁波が照射されると、半導体基板内に電子−正孔対が形成されるようになる。そして、形成された電子の一部が、半導体基板とゲート酸化膜との界面のエネルギーギャップを乗り越えてゲート酸化膜に固定電荷として蓄積され、MOSトランジスタの閾値電圧を上昇させる。ここで、半導体基板内に形成される電子−正孔対は、電磁波の照射量に応じて形成されるため、MOSトランジスタの閾値電圧の変化量により電磁波の累積照射量を測定することができる。
【0012】
よって、X線を一旦光素子に変換することなく、その照射量を直接測定することができるため、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
また、電磁波が照射されるMOSトランジスタは、電圧が印加された状態で用いるが、積極的に電流を流さず、ゲート酸化膜に蓄積された電子に起因するMOSトランジスタの閾値電圧を測定するだけでよいため、低消費電力化を実現することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、照射量測定部を、初期閾値電圧記憶手段と、閾値電圧測定手段と、照射量算出手段と、表示手段と、を備えて構成したことによって、電磁波の照射量を容易に測定することができるとともに、算出した照射量を表示することが可能となる。
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを別体で構成することによって、消耗する被照射部のみを交換することができるため、装置に要するコストを大幅に削減させることが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを、例えば同一の半導体集積回路内に一体で構成することによって、装置の製造に要するコストを削減させるとともに、装置全体の小型化を実現することが可能となる。
さらに、本発明の第一及び第二の電磁波照射量測定装置によれば、電磁波として、人体への悪影響が懸念されるX線或いは紫外線の照射量を測定するために好適に用いることができる。
【0015】
さらに、本発明の電磁波照射量測定方法によれば、照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することによって、特許文献1や特許文献2で示した手段のように、X線を光素子に変換するなどの煩雑な工程を経ることなくX線の照射量を測定することができるため、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態における電磁波照射量測定装置を示し、(a)は被照射部が組み込まれたバッジの平面図、(b)はバッジを設置した状態の照射量測定装置を示す平面図である。図2は、図1(a)のA−A線に沿った断面図である。図3は、本実施形態における電磁波照射量測定装置のうち、照射量測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態における電磁波照射量測定装置は、図1(a)に示すように、X線(電磁波)の被照射部となるMOSトランジスタ10を矩体C内に組み込んだ携帯可能なバッジ100と、このバッジ100とは別体で構成され、図1(b)に示すように、バッジ設置部20にバッジ100を設置することで、MOSトランジスタ10に照射されたX線の照射量を測定可能な照射量測定装置(照射量測定部)200と、から構成されている。
【0018】
MOSトランジスタ10は、図2に示すように、矩体C内に組み込まれたシリコン基板(半導体基板)1上に、ゲート酸化膜2を介して形成されたゲート電極3と、このゲート電極3の両側を挟んだシリコン基板1内に形成されたソース/ドレイン領域4と、から構成されており、シリコン基板1の上面全体には、絶縁層5を介して保護膜6が形成されている。また、このMOSトランジスタ10には、デバイスの許容範囲内で最大印加電圧が与えられており、シリコン基板1内部には空乏層1aが形成されている。そして、このMOSトランジスタ10が組み込まれたバッジ100は、その裏面側(図2に示す下面側)に取り付け用ピン11が固定され、バッジ100の表面側(図2に示す上面側)からX線が照射されるようになっている。
【0019】
照射量測定装置200は、図3に示すように、MOSトランジスタ10の初期閾値電圧を記憶する初期閾値電圧記憶回路(初期閾値電圧記憶手段)201と、MOSトランジスタ10の閾値電圧を測定する閾値電圧測定回路(閾値電圧測定手段)202と、この閾値電圧測定回路202で測定された閾値電圧と初期閾値電圧との差電圧よりX線の照射量を算出する照射量算出回路(照射量算出手段)203と、を備えている。これらの回路は、図1(b)に示すように、照射量測定装置200のバッジ設置部20にバッジ100を設置し、バッジ100内に組み込まれたMOSトランジスタ10の接続部(図示せず)と接続することで作動し、照射量算出回路203で算出された照射量は、照射量測定装置200の表示部(表示手段)21に表示されるようになっている。
【0020】
次に、本実施形態の電磁波照射量測定装置を用いた電磁波照射量測定方法について説明する。
まず、図1(a)に示すバッジ100を、その裏面側に固定された取り付け用ピン11によって、X線を利用した測定装置を用いる作業者の衣服などに取り付ける。このとき、バッジ100内に組み込まれたMOSトランジスタ10には、その許容範囲内で最大電圧が印加され、ゲート電極3及びソース/ドレイン領域4が形成された下面のシリコン基板1内には、空乏層1aが形成されている。
【0021】
この状態で、バッジ100の表面側からX線が照射されると、空乏層1a内で電子ー正孔対が形成され、形成された電子が、ゲート電極3及びソース/ドレイン領域4に引き寄せられる。そして、この電子の一部がゲート酸化膜2界面のエネルギー障壁を乗り越えてゲート酸化膜2内に進入し、ゲート酸化膜2内の欠陥などに捕獲されるようになる。このため、X線の照射量が増加するにつれ、MOSトランジスタ10のゲート酸化膜2内に捕獲される電子が増加し、MOSトランジスタ10の閾値電圧が上昇するようになっている。
【0022】
そして、このバッジ100を取り付けて所定時間(例えば、半年に一回程度)作業を行った後、このバッジ100を照射量測定装置200のバッジ設置部20に設置して、MOSトランジスタ10の接続部と照射量測定装置200の接続部(図示せず)とを接続させる。ここで、照射量測定装置200内に備えた閾値電圧測定回路202において、所定期間X線が照射されたMOSトランジスタ10の閾値電圧を測定し、この閾値電圧と、初期閾値電圧記憶回路201で記憶されている初期閾値電圧との差電圧より、照射量算出回路203においてX線の照射量が算出され、この結果は照射量測定装置200の表示部21に表示される。
【0023】
続いて、本実施形態の電磁波照射量測定装置の一製造方法について説明する。
図4は、本発明の電磁波照射量測定装置の一製造工程を示す断面図である。
まず、シリコン基板1上に、公知の熱酸化膜法を用いて、酸化シリコンからなるゲート酸化膜2を成膜する。その後、このゲート酸化膜2のさらに上面に、公知の化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いて、多結晶シリコンからなるゲート電極形成膜(図示せず)を成膜する。
【0024】
次いで、公知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、図4(a)に示すように、シリコン基板1上にゲート酸化膜2を介してゲート電極3をそれぞれ形成する。
次いで、ゲート電極3をイオン注入マスクとして、シリコン基板1の上面からソース/ドレイン領域形成用イオンを注入することで、図4(b)に示すように、ゲート電極3の両側を挟んだシリコン基板1の上層部にソース/ドレイン領域4を形成する。
【0025】
次いで、図4(c)に示すように、ソース/ドレイン領域4が形成されたシリコン基板1の上面全体に、公知のCVD法を用いて酸化シリコン膜などからなる絶縁膜5を成膜する。そして、公知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、ソース/ドレイン領域4が形成されたシリコン基板1の上面のみに絶縁膜5を形成する。
【0026】
次いで、ソース/ドレイン領域4直上に絶縁膜5が形成されたシリコン基板1の上面全体に、公知のCVD法を用いて、パッシベーション膜(保護膜)6を成膜した後、バッジ100を構成する矩体C内にこの完成したMOSトランジスタ10を収容することで、図2に示すように、MOSトランジスタ10を組み込んだバッジ100を完成させる。
【0027】
このように、本実施形態における電磁波照射量測定装置によれば、シリコン基板1内に空乏層1aが形成されたMOSトランジスタ10にX線を照射することで、空乏層1a内に形成される電子がゲート酸化膜2に捕獲されることを利用して、このMOSトランジスタ10の閾値電圧の変化量によりX線の照射量を測定するようにしたことによって、光素子に変換したX線を測定するフォトダイオードなどの装置が不要となるため、装置の小型化及び低消費電力化を実現することが可能となる。
【0028】
また、MOSトランジスタ10内には、シリコン基板1内に空乏層1aを形成するために電圧を印加しているが、積極的に電流を流すことなく、ゲート酸化膜2に捕獲される電子に起因するMOSトランジスタ10の閾値電圧を測定するようにしたことによって、消費電力を大幅に削減させ、低コスト化を実現することが可能となる。
【0029】
さらに、MOSトランジスタ10のゲート酸化膜2に捕獲される電子は、固定電荷としてゲート酸化膜2内にとどまり、X線の照射量に比例して電子が捕獲されていくため、X線の累計照射量を測定することが可能となる。
なお、本実施形態における電磁波照射量測定装置のうち、少なくともMOSトランジスタ10を組み込んだバッジ100を携帯可能な形状に構成するのであれば、照射量測定装置200は携帯可能な形状としてもよいし、携帯せず所定箇所に設置する形状としても構わない。
<第一実施形態の変形例>
本変形例は、第一実施形態で示したバッジ100の矩体C内に、MOSトランジスタ10と、照射量測定装置200と、を同一半導体集積回路内に一体で組み込んで構成したものである。
【0030】
このように、本変形例によれば、MOSトランジスタ10と、照射量測定装置200とを同一半導体集積回路内に一体で組み込んで構成したことによって、電磁波照射量測定装置全体の小型化を実現することが可能となる。
また、本変形例によれば、バッジ100を取り付けている作業者自身が常時X線の累計照射量をリアルタイムで確認することができるため、安心して作業を行うことが可能となる。
<第二実施形態>
図5は、本発明の電磁波照射量測定装置の他の構成例を示す断面図である。
【0031】
本実施形態における電磁波照射量測定装置は、バッジ100の矩体C内に組み込まれるMOSトランジスタ10Aが、ガラス基板7上に成膜したアモルファスシリコン層8の上面にゲート酸化膜2を介して形成されたゲート電極3と、このゲート電極3の両側を挟んだアモルファスシリコン層8内に形成されたソース/ドレイン領域4と、から構成されており、アモルファスシリコン層8の上面全体には、絶縁層5を介して保護膜6が形成されている。このMOSトランジスタ10Aには、デバイスの許容範囲内で最大印加電圧が与えられており、アモルファスシリコン層8内部には、ガラス基板7の界面近傍まで空乏層1aが形成されている。そして、このMOSトランジスタ10Aが矩体C内に組み込まれたバッジ100の表面側(図5に示す上面側)に取り付け用ピン11が固定され、バッジ100の裏面側(図5に示す下面側)からX線が照射されるようになっている。
【0032】
このような構成によれば、MOSトランジスタ10Aの裏面側からガラス基板7を介してX線が照射されるようになっているため、第一実施形態で示したMOSトランジスタ10を組み込んだバッジ100では、ゲート電極3や絶縁膜5が障害になって吸収できず測定不可能であった、より波長の短い電磁波を測定することが可能となる。
【0033】
なお、第二実施形態においては、ソース/ドレイン領域4を形成する半導体基板として、ガラス基板7上に形成されたアモルファスシリコン層8を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、多結晶シリコン層を適用しても構わない。
また、第一及び第二実施形態においては、酸化シリコン膜からなるゲート酸化膜2内に電子を捕獲する場合について説明したが、ゲート酸化膜2内に進入する電子をより効率的に捕獲するために、例えば、フローティングゲート構造を用いてゲート酸化膜2をできる限り薄く形成してもよいし、或いは、ゲート酸化膜2としてONO膜を適用するようにしても構わない。
【0034】
さらに、第一及び第二実施形態においては、X線が照射される被照射部を、一つのMOSトランジスタ10、10Aで構成する場合について説明したが、これに限らず、被照射部を二つ以上のMOSトランジスタで構成するようにしても構わない。
さらに、第一及び第二実施形態においては、照射量を測定する電磁波として、X線の照射量を測定する場合について説明したが、シリコン基板1又はアモルファスシリコン基板8内の空乏層1a内に電子−正孔対を形成可能な波長を有する電磁波であればこれに限らず、例えば、紫外線などの照射量を測定するようにしても構わない。
【0035】
さらに、第一及び第二実施形態における電磁波照射量測定装置は、人体への悪影響が懸念されるX線や紫外線などの照射量を制御する場合に適用するのみならず、例えば、レジスト膜や農作物など光によって化学反応(変質)を起こす物質などの保管・輸送時に管理する場合に適用するようにしても構わない。
さらに、第一及び第二実施形態においては、X線が照射されるMOSトランジスタ10、10Aを、バッジ100内に組み込んだ場合について説明したが、MOSトランジスタ10、10Aを収容可能であればこれに限らず、例えば、図6に示すように、携帯電話300の表示部31や、時計400の表示部41など携帯可能な装置の一部に組み込んで構成するようにしても構わない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第一及び第二の電磁波照射量測定装置によれば、電磁波の照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようにしたことによって、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
また、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを別体で構成することによって、消耗する被照射部のみを交換することができるため、装置に要するコストを大幅に削減させることが可能となる。
【0037】
さらに、本発明の第二の電磁波照射量測定装置によれば、被照射部と、照射量測定部とを一体で構成することによって、装置の製造に要するコストを削減させるとともに、装置全体の小型化を実現することが可能となる。
また、本発明の電磁波照射量測定方法によれば、照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することによって、装置の小型化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における電磁波照射量測定装置の一構成例を示し、(a)は被照射部が組み込まれたバッジの平面図、(b)はバッジを設置した状態の照射量測定装置を示す平面図である。
【図2】図1(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本実施形態の電磁波照射量測定装置のうち、照射量測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態における電磁波照射量測定装置の一製造工程を示す断面図である。
【図5】本実施形態における電磁波照射量測定装置の他の構成例を示す断面図である。
【図6】本実施形態における電磁波照射量測定装置のうち、被照射部を組み込む装置の他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】1…シリコン基板。1a…空乏層。2…ゲート酸化膜。3…ゲート電極。4…ソース/ドレイン領域。5…絶縁膜。6…保護膜。7…ガラス基板。8…アモルファスシリコン層。10、10A…MOSトランジスタ(被照射部)。11…取り付け用ピン。20…バッジ設置部。21、31、41…表示部。100…バッジ。200…照射部測定装置。201…初期閾値電圧記憶回路。202…閾値電圧測定回路。203…照射量算出回路。300…携帯電話。400…時計。C…矩体。
Claims (7)
- 電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置であって、前記照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定するようになっていることを特徴とする電磁波照射量測定装置。
- 電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定装置であって、
前記電磁波が照射される被照射部と、
前記被照射部に照射された前記電磁波の照射量を測定する照射量測定部と、
を備え、
前記被照射部は、MOSトランジスタで構成されていることを特徴とする電磁波照射量測定装置。 - 前記照射量測定部は、
前記MOSトランジスタの初期閾値電圧を記憶する初期閾値電圧記憶手段と、
前記MOSトランジスタの閾値電圧を測定する閾値電圧測定手段と、
前記初期閾値電圧及び前記閾値電圧の差電圧に基づいて、前記電磁波の照射量を算出する照射量算出手段と、
前記算出された照射量を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の電磁波照射量測定装置。 - 前記被照射部と、前記照射量測定部とを別体で構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の電磁波照射量測定装置。
- 前記被照射部と、前記照射量測定部とを一体で構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の電磁波照射量測定装置。
- 前記電磁波は、X線或いは紫外線であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電磁波照射量測定装置。
- 電磁波の照射量を測定する電磁波照射量測定方法であって、
前記照射量を、トランジスタの閾値電圧の変化量に基づいて測定することを特徴とする電磁波照射量測定方法。
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