JP2004278589A - 弁機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁の応答性の向上とコストの低減を両立する。
【解決手段】流入口及び吐出口を備えた流体通路を内部に有する略筒状のケーシングと、流入口側の入口側開口と吐出口側の出口側開口とを備えた側面を有する略筒状弁体ガイドであって、弁体ガイドの入口側開口及び出口側開口を介して流入口と吐出口が連通するように、ケーシング内面の嵌合部内に弁体ガイドの両端が動き嵌めで保持された、弁体ガイドと、感温部と、入口側開口と当接して閉塞しうる当接部とを備え、かつ感温部の感知温度に応じて当接部が流体通路の横断方向に移動できるように、筒状の弁体ガイド内においてケーシングの内面に留められている弁体とを備え、温度が予め定めた値の範囲内である場合、弁体の当接部は入口側開口に隣接し、かつ温度がその値の範囲外である場合、弁体の当接部は弁体ガイドの入口側開口に隣接しないように、弁体及び弁体ガイドが構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】流入口及び吐出口を備えた流体通路を内部に有する略筒状のケーシングと、流入口側の入口側開口と吐出口側の出口側開口とを備えた側面を有する略筒状弁体ガイドであって、弁体ガイドの入口側開口及び出口側開口を介して流入口と吐出口が連通するように、ケーシング内面の嵌合部内に弁体ガイドの両端が動き嵌めで保持された、弁体ガイドと、感温部と、入口側開口と当接して閉塞しうる当接部とを備え、かつ感温部の感知温度に応じて当接部が流体通路の横断方向に移動できるように、筒状の弁体ガイド内においてケーシングの内面に留められている弁体とを備え、温度が予め定めた値の範囲内である場合、弁体の当接部は入口側開口に隣接し、かつ温度がその値の範囲外である場合、弁体の当接部は弁体ガイドの入口側開口に隣接しないように、弁体及び弁体ガイドが構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弁機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のエンジン冷却システムは、エンジンの発熱によるオーバーヒートを防止する一方、寒い時期のオーバークールを防止することによりエンジンを常時適温に保つことが意図されている。冷却システムの中で、冷却液を媒体とする水冷方式によるものでは、エンジン本体の外部のラジエータを配置し、このラジエータとエンジン本体とをラバーホース等により連結して冷却液を循環させるものが一般的である。その主要な構成は、熱交換器の役割を担うラジエータと、このラジエータにエンジンから冷却液を強制的に圧送するウォータポンプと、冷却液の温度が高い場合には、冷却液をラジエータに流し、冷却液の温度が低い場合には、ラジエータには流さずにエンジンに還流させて冷却液の流れを制御して冷却液を適温に保つための弁機構と、冷却液の循環流路を形成するラバーホース等からなる。
【0003】
この種の弁機構の一例として、冷却液通路を横断して延びている弁体ガイド内において、感温部で感知する温度が高い時に延伸しかつ感温部で感知する温度が低い時に収縮するサーモスタットが弁体として配置されており、この弁体が延伸又は収縮する時に弁体ガイドに設けられた穴を開放又は閉塞することにより、冷却液通路を連通又は遮断するように構成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−213351号公報
【0005】
一方、閉弁時において、冷却液が弁体ガイド内の弁体の感温部に流体が流れないので、冷却液通路の冷却液の温度に対する弁の応答性が悪化することがないように、何らかの方法で冷却液を弁体の感温部に流す必要があり、それゆえ、バイパス通路を形成して冷却液を弁体の感温部に流す方法や、弁体と弁体ガイドの間に微小な隙間を設けることにより、この隙間から弁体ガイドの内部にわずかに冷却液を流す方法がある。
【0006】
ところが、これらの方法では、バイパス回路を別個に形成することや微小な隙間を実現するために組み付け精度及び部品精度が厳しく要求されることによりコストアップを招くという別の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、弁の応答性の向上とコストの低減を両立することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る弁機構によれば、流入口及び吐出口を備えた流体通路を内部において有するほぼ筒状のケーシングと、流入口側における入口側開口と吐出口側における出口側開口とを備えた側面を有するほぼ筒状の弁体ガイドであって、弁体ガイドの入口側開口及び出口側開口を介して流入口と吐出口が連通するように、ケーシングの内面に設けられた嵌合部内に弁体ガイドの両端が動き嵌めで保持された、弁体ガイドと、感温部と、弁体ガイドの入口側開口と当接して閉塞しうる当接部とを備え、かつ感温部の感知する温度に応じて当接部が流体通路の横断方向に移動することができるように、筒状の弁体ガイド内においてケーシングの内面に留められている弁体とを備え、温度が予め定めた値の範囲内である場合において、弁体の当接部は弁体ガイドの入口側開口に隣接し、かつ温度が予め定めた値の範囲外である場合において、弁体の当接部は弁体ガイドの入口側開口に隣接しないように、弁体及び弁体ガイドが構成されている。これにより、弁体の当接部が弁体ガイドの入口側開口に隣接する場合、流入口側の流体の圧力により弁体ガイドが弁体に押され、当接部が入口側開口を閉塞し、閉弁状態となる。一方、弁体の当接部が入口側開口に隣接しない場合、入口側開口を開放されて開弁状態となる。この際、弁体ガイドがケーシングに動き嵌めで保持されているので、閉弁時においても、ケーシングの内面と弁体ガイドの嵌合部から弁体ガイドの内部に流入する流体が弁体の感温部に接触することにより、弁の応答性を向上させることができると共に、弁機構のそれぞれの構成要素、すなわち、弁体、弁体ガイド及びケーシングを高精度に製造する必要がなく、コストを低減することができる。
【0009】
請求項2に係る弁機構によれば、弁体ガイドの側面には、流入口側において微細な穴がさらに設けられている。このように、弁体ガイドの流入口側に微細な微小穴が設けられているので、閉弁時においても、この微小穴を通して弁体ガイドの内部に流入する流体がさらに弁体の感温部に接触することにより、弁の応答性をさらに向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。最初に本発明の第一実施例の弁機構を図1を参照して説明する。本実施例では、流体の流れを制御する弁機構を車両のエンジンに対する水冷方式の冷却システムに配備された弁機構に適用する。図1(A)は本発明の第一実施例の弁機構の縦断面図であり、図1(B)は本発明の第一実施例の弁機構の図1(A)の線B−Bに沿った横断面図である。本発明の弁機構100は、流入口11及び吐出口12を備えた流体通路を内部において有する略筒状のケーシング1と、流体通路を流入口11側と吐出口12側に仕切るようにケーシング1の内面に留められかつ入口側開口6及び出口側開口7を備えた弁体ガイド2と、弁体ガイド2内において弁体ガイド2で当接して閉塞しうる当接部43を有する弁体4とで概ね構成されている。
【0011】
ケーシング1は、弁体ガイド2、バイアスバネ3及び弁体4をケーシング1の内部の所定位置に配置するためのキャップ5をさらに備えている。
【0012】
弁体ガイド2は、ほぼ筒状であり、弁体ガイド2が流体通路を流入口11側と吐出口12側に仕切るように、弁体ガイド2の両端が、ケーシング1に設けられた二つの嵌合部9、10内に動き嵌めで保持されている、すなわち、弁体ガイド2は、流体通路の長手方向及び横断方向の両方において移動可能にケーシング1に保持されている。弁体ガイド2の側面には、流入口11側において入口側開口6と、吐出口12側において出口側開口7とが設けられており、流入口11と吐出口12は、この入口側開口6及び出口側開口7を介して連通する。
【0013】
弁体4は、本実施例ではサーモエレメントの形態であり、温度を感知する感温部41と、この感温部41の温度に応じて伸縮する、例えばサーモワックスなどの延伸部42と、延伸部42に接続された、弁体ガイド2の入口側開口6と当接して閉塞しうる当接部43とで構成されている。本実施例では、弁体4の一端はケーシング1の内面に接続され、一方、弁体4の他端がケーシング1の内面に一端が当接している圧縮ばねであるバイアスばね3の他端と当接しており、弁体4は、弁体ガイド2と平行に、すなわち、流体通路の横断方向に延びている。弁体4の当接部43は、感温部41の感知する温度に応じた延伸部42の延伸に応じて流体通路の横断方向に変位する。例えば、感温部41の感知する温度が予め定めた値未満の時に延伸部42の延伸力がバイアスばね3の押圧力よりも弱く当接部43が後退した位置にあり、感温部41の感知する温度が予め定めた値以上の時、延伸部42の延伸力がバイアスばね3の押圧力よりも強く当接部43が延伸した位置にある。
【0014】
弁体ガイド2の入口側開口6は、閉弁させたい時、例えば感温部41の感知する温度が予め定めた値未満の時に弁体4の当接部43に隣接し、かつ、開弁させたい時、例えば感温部41の感知温度が前記値以上の時に弁体4の当接部43に隣接しない位置に設ける。これにより、流入口11側の流体圧力により弁体ガイド2が弁体4に押される時、弁体4の当接部43が弁体ガイド2の入口側開口6に隣接していれば、当接部43が入口側開口6と当接して閉塞させて閉弁状態とすることができ、一方、弁体4の当接部43が弁体ガイド2の入口側開口6に隣接していなければ、当接部43が弁体ガイド2の内面と当接して入口側開口6を開放して開弁状態とすることができる。なお、閉弁時に入口側開口6を有効に閉塞することができるように、例えば、弁体ガイド2の入口側開口6の近傍の内面と弁体4の当接部43の外面は、ほぼ同じ曲率の湾曲形状を有することが好ましい。
【0015】
弁体ガイド2の出口側開口7は、弁体ガイド2内に流入した流体が吐出口12へ滑らかに流れうるように、弁体4の当接部43に関わらず広く開放されるほど大きいことが好ましい。
【0016】
本発明によれば、弁体ガイド2がケーシング1に動き嵌めで保持されているので、閉弁時において、ケーシング1の内面と弁体ガイド2の嵌合部9、10から弁体ガイド2の内部に流入する流体が弁体4の感温部41に接触することにより、弁の応答性を向上させることができると共に、弁機構100のそれぞれの構成要素、すなわち、ケーシング1、弁体ガイド2及び弁体4を高精度に製造する必要がなく、コストを低減することができるという利点がある。また、弁体ガイド2が動き嵌めによりケーシング1に留められているので、弁体ガイド2が弁体4に対して自由に移動でき、それゆえ、弁体ガイド2と弁体4の間に異物が噛み込まれて弁体4がロックしてしまうことを防止できるというさらなる利点がある。
【0017】
次に微小穴8について説明する。前記嵌合部9,10の隙間から流体を流入させて流体を前記感温部41に導く場合には、前記嵌合部9,10の隙間量がケーシング1と弁体ガイド2の各々の部品精度によって定まることから、ばらつきの少ない安定した応答性の弁を得るためには、これらの部品を精度よく製作する必要がある。これによるコストアップを回避するため、弁体ガイド2の側面に流入口11側において微細な微小穴8を設け、これにより、閉弁時において、嵌合部を通して弁体ガイドの内部に流入する流体に加えて、微小穴8を通して弁体ガイド2の内部に流入する流体が弁体4の感温部41に接触することにより、安定した弁の応答性を低コストで達成することができる。
【0018】
次に本発明の弁機構の作用について説明する。弁体4の感温部41の感知する温度が予め定めた値以上の場合には、図2に示すように、バイアスばね3の押圧力に抗して弁体4の延伸部43が延伸し、当接部42が弁体ガイド2の入口側開口7から外れて入口側開口7が開放されて開弁状態となる。
【0019】
一方、弁体4の感温部41が感知する温度が一定温度未満の場合には、図1に示すように、弁体4がバイアスばね3の押圧力により後退し、かつ弁体ガイド2が流体の圧力で弁体4に押される時、弁体ガイド2の入口側開口6が弁体4の当接部42により閉塞されて閉弁状態となる。この時、弁体ガイド2とケーシング1との間の嵌合部9、10の隙間と、弁体ガイド2の微小穴8の両方から微小流量の流体が弁体ガイド2内に流入し、弁体4の感温部41に接触して吐出口12側へ流れるので、流体回路中の流体の温度変化に良好に応答する。
【0020】
本発明の弁機構100を自動車用エンジンの冷却水回路のヒータ上流側に装着した場合において、低温始動時などのように水温が低い時、冷却水の流量を微小にし、エンジンで加熱された冷却水がヒータ回路やヒータを通過する時に自然放熱で冷却するのを防止してエンジン暖機を早期化しつつエミッションや燃費を改善する。
【0021】
このように、従来のようにバイパス回路を設けることなく、流体を弁体4の感温部41に流すことができ、感温部で感知する温度が流体通路中の流体の温度とほぼ同じであるので、弁の良好な応答性を確保し、弁の応答性の向上と低コストを両立することができる。
【0022】
次に本発明の第二実施例について図3を参照しつつ説明する。図3(A)は本発明の第二実施例の弁機構の縦断面図であり、図3(B)は本発明の第二実施例の弁機構の線B−Bに沿った横断面図である。第一実施例では、弁体ガイドの出口側開口を大きく形成することにより、吐出口側の通路面積を確保しているが、本実施例では、弁体ガイドの流体通路の長手方向における寸法を大きくして弁体と弁体ガイドの間の間隙を確保することにより、図3に示すように、弁体ガイドの出口側開口を小さくすることができる。
【0023】
次に本発明の第三実施例について図4を参照しつつ説明する。以上の記載では、流入口11と吐出口12が整列した構成の弁機構を例にとり説明したが、図4に示すように、流入口11と吐出口12が互いに一定角度をもって向けられている構成でもよい。
【0024】
また、以上の構成では、弁体ガイドに微小穴を設けているが、弁機構をエンジンなどの熱源の近くに配置する場合には、弁体ガイドの上流の流体の熱が弁体ガイドの壁面を通して弁体の感温部へ良好に伝播するので、微小穴8を設けない構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の第一実施例の弁機構の閉弁時の縦断面図であり、図1(B)は本発明の第一実施例の弁機構の図1(A)の線B−Bに沿った横断面図である。
【図2】本発明の第一実施例の弁機構の開弁時の縦断面図である。
【図3】図3(A)は本発明の第二実施例の弁機構の縦断面図であり、図3(B)は本発明の第二実施例の弁機構の図3(A)の線B−Bに沿った横断面図である。
【図4】本発明の第三実施例の弁機構の横断面図である。
【符号の説明】
1…ケーシング
2…弁体ガイド
4…弁体
6…入口側開口
7…出口側開口
11…流入口
12…吐出口
41…感温部
43…当接部
100…弁機構
【発明の属する技術分野】
本発明は弁機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のエンジン冷却システムは、エンジンの発熱によるオーバーヒートを防止する一方、寒い時期のオーバークールを防止することによりエンジンを常時適温に保つことが意図されている。冷却システムの中で、冷却液を媒体とする水冷方式によるものでは、エンジン本体の外部のラジエータを配置し、このラジエータとエンジン本体とをラバーホース等により連結して冷却液を循環させるものが一般的である。その主要な構成は、熱交換器の役割を担うラジエータと、このラジエータにエンジンから冷却液を強制的に圧送するウォータポンプと、冷却液の温度が高い場合には、冷却液をラジエータに流し、冷却液の温度が低い場合には、ラジエータには流さずにエンジンに還流させて冷却液の流れを制御して冷却液を適温に保つための弁機構と、冷却液の循環流路を形成するラバーホース等からなる。
【0003】
この種の弁機構の一例として、冷却液通路を横断して延びている弁体ガイド内において、感温部で感知する温度が高い時に延伸しかつ感温部で感知する温度が低い時に収縮するサーモスタットが弁体として配置されており、この弁体が延伸又は収縮する時に弁体ガイドに設けられた穴を開放又は閉塞することにより、冷却液通路を連通又は遮断するように構成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−213351号公報
【0005】
一方、閉弁時において、冷却液が弁体ガイド内の弁体の感温部に流体が流れないので、冷却液通路の冷却液の温度に対する弁の応答性が悪化することがないように、何らかの方法で冷却液を弁体の感温部に流す必要があり、それゆえ、バイパス通路を形成して冷却液を弁体の感温部に流す方法や、弁体と弁体ガイドの間に微小な隙間を設けることにより、この隙間から弁体ガイドの内部にわずかに冷却液を流す方法がある。
【0006】
ところが、これらの方法では、バイパス回路を別個に形成することや微小な隙間を実現するために組み付け精度及び部品精度が厳しく要求されることによりコストアップを招くという別の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、弁の応答性の向上とコストの低減を両立することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る弁機構によれば、流入口及び吐出口を備えた流体通路を内部において有するほぼ筒状のケーシングと、流入口側における入口側開口と吐出口側における出口側開口とを備えた側面を有するほぼ筒状の弁体ガイドであって、弁体ガイドの入口側開口及び出口側開口を介して流入口と吐出口が連通するように、ケーシングの内面に設けられた嵌合部内に弁体ガイドの両端が動き嵌めで保持された、弁体ガイドと、感温部と、弁体ガイドの入口側開口と当接して閉塞しうる当接部とを備え、かつ感温部の感知する温度に応じて当接部が流体通路の横断方向に移動することができるように、筒状の弁体ガイド内においてケーシングの内面に留められている弁体とを備え、温度が予め定めた値の範囲内である場合において、弁体の当接部は弁体ガイドの入口側開口に隣接し、かつ温度が予め定めた値の範囲外である場合において、弁体の当接部は弁体ガイドの入口側開口に隣接しないように、弁体及び弁体ガイドが構成されている。これにより、弁体の当接部が弁体ガイドの入口側開口に隣接する場合、流入口側の流体の圧力により弁体ガイドが弁体に押され、当接部が入口側開口を閉塞し、閉弁状態となる。一方、弁体の当接部が入口側開口に隣接しない場合、入口側開口を開放されて開弁状態となる。この際、弁体ガイドがケーシングに動き嵌めで保持されているので、閉弁時においても、ケーシングの内面と弁体ガイドの嵌合部から弁体ガイドの内部に流入する流体が弁体の感温部に接触することにより、弁の応答性を向上させることができると共に、弁機構のそれぞれの構成要素、すなわち、弁体、弁体ガイド及びケーシングを高精度に製造する必要がなく、コストを低減することができる。
【0009】
請求項2に係る弁機構によれば、弁体ガイドの側面には、流入口側において微細な穴がさらに設けられている。このように、弁体ガイドの流入口側に微細な微小穴が設けられているので、閉弁時においても、この微小穴を通して弁体ガイドの内部に流入する流体がさらに弁体の感温部に接触することにより、弁の応答性をさらに向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。最初に本発明の第一実施例の弁機構を図1を参照して説明する。本実施例では、流体の流れを制御する弁機構を車両のエンジンに対する水冷方式の冷却システムに配備された弁機構に適用する。図1(A)は本発明の第一実施例の弁機構の縦断面図であり、図1(B)は本発明の第一実施例の弁機構の図1(A)の線B−Bに沿った横断面図である。本発明の弁機構100は、流入口11及び吐出口12を備えた流体通路を内部において有する略筒状のケーシング1と、流体通路を流入口11側と吐出口12側に仕切るようにケーシング1の内面に留められかつ入口側開口6及び出口側開口7を備えた弁体ガイド2と、弁体ガイド2内において弁体ガイド2で当接して閉塞しうる当接部43を有する弁体4とで概ね構成されている。
【0011】
ケーシング1は、弁体ガイド2、バイアスバネ3及び弁体4をケーシング1の内部の所定位置に配置するためのキャップ5をさらに備えている。
【0012】
弁体ガイド2は、ほぼ筒状であり、弁体ガイド2が流体通路を流入口11側と吐出口12側に仕切るように、弁体ガイド2の両端が、ケーシング1に設けられた二つの嵌合部9、10内に動き嵌めで保持されている、すなわち、弁体ガイド2は、流体通路の長手方向及び横断方向の両方において移動可能にケーシング1に保持されている。弁体ガイド2の側面には、流入口11側において入口側開口6と、吐出口12側において出口側開口7とが設けられており、流入口11と吐出口12は、この入口側開口6及び出口側開口7を介して連通する。
【0013】
弁体4は、本実施例ではサーモエレメントの形態であり、温度を感知する感温部41と、この感温部41の温度に応じて伸縮する、例えばサーモワックスなどの延伸部42と、延伸部42に接続された、弁体ガイド2の入口側開口6と当接して閉塞しうる当接部43とで構成されている。本実施例では、弁体4の一端はケーシング1の内面に接続され、一方、弁体4の他端がケーシング1の内面に一端が当接している圧縮ばねであるバイアスばね3の他端と当接しており、弁体4は、弁体ガイド2と平行に、すなわち、流体通路の横断方向に延びている。弁体4の当接部43は、感温部41の感知する温度に応じた延伸部42の延伸に応じて流体通路の横断方向に変位する。例えば、感温部41の感知する温度が予め定めた値未満の時に延伸部42の延伸力がバイアスばね3の押圧力よりも弱く当接部43が後退した位置にあり、感温部41の感知する温度が予め定めた値以上の時、延伸部42の延伸力がバイアスばね3の押圧力よりも強く当接部43が延伸した位置にある。
【0014】
弁体ガイド2の入口側開口6は、閉弁させたい時、例えば感温部41の感知する温度が予め定めた値未満の時に弁体4の当接部43に隣接し、かつ、開弁させたい時、例えば感温部41の感知温度が前記値以上の時に弁体4の当接部43に隣接しない位置に設ける。これにより、流入口11側の流体圧力により弁体ガイド2が弁体4に押される時、弁体4の当接部43が弁体ガイド2の入口側開口6に隣接していれば、当接部43が入口側開口6と当接して閉塞させて閉弁状態とすることができ、一方、弁体4の当接部43が弁体ガイド2の入口側開口6に隣接していなければ、当接部43が弁体ガイド2の内面と当接して入口側開口6を開放して開弁状態とすることができる。なお、閉弁時に入口側開口6を有効に閉塞することができるように、例えば、弁体ガイド2の入口側開口6の近傍の内面と弁体4の当接部43の外面は、ほぼ同じ曲率の湾曲形状を有することが好ましい。
【0015】
弁体ガイド2の出口側開口7は、弁体ガイド2内に流入した流体が吐出口12へ滑らかに流れうるように、弁体4の当接部43に関わらず広く開放されるほど大きいことが好ましい。
【0016】
本発明によれば、弁体ガイド2がケーシング1に動き嵌めで保持されているので、閉弁時において、ケーシング1の内面と弁体ガイド2の嵌合部9、10から弁体ガイド2の内部に流入する流体が弁体4の感温部41に接触することにより、弁の応答性を向上させることができると共に、弁機構100のそれぞれの構成要素、すなわち、ケーシング1、弁体ガイド2及び弁体4を高精度に製造する必要がなく、コストを低減することができるという利点がある。また、弁体ガイド2が動き嵌めによりケーシング1に留められているので、弁体ガイド2が弁体4に対して自由に移動でき、それゆえ、弁体ガイド2と弁体4の間に異物が噛み込まれて弁体4がロックしてしまうことを防止できるというさらなる利点がある。
【0017】
次に微小穴8について説明する。前記嵌合部9,10の隙間から流体を流入させて流体を前記感温部41に導く場合には、前記嵌合部9,10の隙間量がケーシング1と弁体ガイド2の各々の部品精度によって定まることから、ばらつきの少ない安定した応答性の弁を得るためには、これらの部品を精度よく製作する必要がある。これによるコストアップを回避するため、弁体ガイド2の側面に流入口11側において微細な微小穴8を設け、これにより、閉弁時において、嵌合部を通して弁体ガイドの内部に流入する流体に加えて、微小穴8を通して弁体ガイド2の内部に流入する流体が弁体4の感温部41に接触することにより、安定した弁の応答性を低コストで達成することができる。
【0018】
次に本発明の弁機構の作用について説明する。弁体4の感温部41の感知する温度が予め定めた値以上の場合には、図2に示すように、バイアスばね3の押圧力に抗して弁体4の延伸部43が延伸し、当接部42が弁体ガイド2の入口側開口7から外れて入口側開口7が開放されて開弁状態となる。
【0019】
一方、弁体4の感温部41が感知する温度が一定温度未満の場合には、図1に示すように、弁体4がバイアスばね3の押圧力により後退し、かつ弁体ガイド2が流体の圧力で弁体4に押される時、弁体ガイド2の入口側開口6が弁体4の当接部42により閉塞されて閉弁状態となる。この時、弁体ガイド2とケーシング1との間の嵌合部9、10の隙間と、弁体ガイド2の微小穴8の両方から微小流量の流体が弁体ガイド2内に流入し、弁体4の感温部41に接触して吐出口12側へ流れるので、流体回路中の流体の温度変化に良好に応答する。
【0020】
本発明の弁機構100を自動車用エンジンの冷却水回路のヒータ上流側に装着した場合において、低温始動時などのように水温が低い時、冷却水の流量を微小にし、エンジンで加熱された冷却水がヒータ回路やヒータを通過する時に自然放熱で冷却するのを防止してエンジン暖機を早期化しつつエミッションや燃費を改善する。
【0021】
このように、従来のようにバイパス回路を設けることなく、流体を弁体4の感温部41に流すことができ、感温部で感知する温度が流体通路中の流体の温度とほぼ同じであるので、弁の良好な応答性を確保し、弁の応答性の向上と低コストを両立することができる。
【0022】
次に本発明の第二実施例について図3を参照しつつ説明する。図3(A)は本発明の第二実施例の弁機構の縦断面図であり、図3(B)は本発明の第二実施例の弁機構の線B−Bに沿った横断面図である。第一実施例では、弁体ガイドの出口側開口を大きく形成することにより、吐出口側の通路面積を確保しているが、本実施例では、弁体ガイドの流体通路の長手方向における寸法を大きくして弁体と弁体ガイドの間の間隙を確保することにより、図3に示すように、弁体ガイドの出口側開口を小さくすることができる。
【0023】
次に本発明の第三実施例について図4を参照しつつ説明する。以上の記載では、流入口11と吐出口12が整列した構成の弁機構を例にとり説明したが、図4に示すように、流入口11と吐出口12が互いに一定角度をもって向けられている構成でもよい。
【0024】
また、以上の構成では、弁体ガイドに微小穴を設けているが、弁機構をエンジンなどの熱源の近くに配置する場合には、弁体ガイドの上流の流体の熱が弁体ガイドの壁面を通して弁体の感温部へ良好に伝播するので、微小穴8を設けない構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の第一実施例の弁機構の閉弁時の縦断面図であり、図1(B)は本発明の第一実施例の弁機構の図1(A)の線B−Bに沿った横断面図である。
【図2】本発明の第一実施例の弁機構の開弁時の縦断面図である。
【図3】図3(A)は本発明の第二実施例の弁機構の縦断面図であり、図3(B)は本発明の第二実施例の弁機構の図3(A)の線B−Bに沿った横断面図である。
【図4】本発明の第三実施例の弁機構の横断面図である。
【符号の説明】
1…ケーシング
2…弁体ガイド
4…弁体
6…入口側開口
7…出口側開口
11…流入口
12…吐出口
41…感温部
43…当接部
100…弁機構
Claims (2)
- 流入口及び吐出口を備えた流体通路を内部において有するほぼ筒状のケーシングと、
前記流入口側における入口側開口と前記吐出口側における出口側開口とを備えた側面を有するほぼ筒状の弁体ガイドであって、前記弁体ガイドの前記入口側開口及び前記出口側開口を介して前記流入口と前記吐出口が連通するように、前記ケーシングの内面に設けられた嵌合部内に前記弁体ガイドの両端が動き嵌めで保持された、弁体ガイドと、
感温部と、前記弁体ガイドの前記入口側開口と当接して閉塞しうる当接部とを備え、かつ前記感温部の感知する温度に応じて前記当接部が前記流体通路の横断方向に移動することができるように、前記筒状の弁体ガイド内において前記ケーシングの内面に留められている弁体とを備え、
前記温度が予め定めた値の範囲内である場合において、前記弁体の前記当接部は前記弁体ガイドの前記入口側開口に隣接し、かつ前記温度が前記予め定めた値の範囲外である場合において、前記弁体の前記当接部は前記弁体ガイドの前記入口側開口に隣接しないように、前記弁体及び前記弁体ガイドが構成されていることを特徴とする弁機構。 - 前記弁体ガイドの側面には、前記流入口側において微細な穴がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の弁機構。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003068427A JP2004278589A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 弁機構 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112096920A (zh) * | 2019-06-17 | 2020-12-18 | 株式会社电装 | 阀装置 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068427A patent/JP2004278589A/ja active Pending
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CN112096920B (zh) * | 2019-06-17 | 2024-05-17 | 株式会社电装 | 阀装置 |
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