JP2004278462A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Daisuke Shibata
大介 柴田
Hisashi Oki
久 大木
Masaaki Kobayashi
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正晃 山口
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Abstract

【課題】内燃機関の排気浄化システムにおいて、還元剤添加からこの還元剤による空燃比の変動が検出されるまでの応答遅れを考慮した還元剤供給量のフィードバック制御を行いつつS被毒回復を行う技術を提供することを目的とする。
【解決手段】NOx触媒と、還元剤供給手段と、S被毒回復手段と、還元剤供給手段により供給された還元剤が前記NOx触媒に到達するまでにかかる時間に影響を及ぼす要素の状態を検出する要素状態検出手段と、還元剤供給手段下流で酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、検出酸素濃度と目標酸素濃度との差を算出する酸素濃度差算出手段と、酸素濃度の差に基づいて排気中の酸素濃度をフィードバック制御する制御手段と、を備え、制御手段は、前記要素の状態と前記酸素濃度差とに基づいてS被毒回復時のフィードバック制御量を変更する。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
吸蔵還元型NOx触媒(以下、NOx触媒という。)を内燃機関の排気系に配置し、還元雰囲気のときに排気中の窒素酸化物(NOx)を吸蔵(吸着、吸収、付着でも良い。)し、酸化雰囲気となったときは該NOx触媒に吸蔵されていたNOxを還元して排気中のNOxを浄化する技術が知られている。また、同じメカニズムで吸蔵された硫黄成分によるNOx触媒の被毒を回復する技術が知られている。
【0003】
このS被毒の回復を行う技術として例えば、S被毒を回復するときに、運転状態に基づいて目標空燃比をリッチ側とリーン側とが交互になるように変調し硫化水素(HS)の発生を抑制する技術(例えば、特許文献1参照)、目標空燃比と実空燃比との差からフィードバック制御量を決定し、吸入空気量が大きいほど該制御量を大きい値に設定する技術(例えば、特許文献2参照)、EGR通路を備えた空燃比制御装置であって、吸入空気量、気筒内圧力、及び吸気圧力等からフィードバック制御量を決定する技術(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−82137号公報(第3−7頁、図2)
【特許文献2】
特開2001−115881号公報(第4−6頁、図4)
【特許文献3】
特開2001−152933号公報(第4−7頁、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、排気系に還元剤を供給した場合、この排気系に供給された還元剤により排気中の酸素濃度が変化するが、この酸素濃度の変化が下流のセンサに検出されるまでに時間がかかる所謂応答遅れがあり、還元剤供給量のフィードバック制御を行う場合には、この応答遅れを考慮するとより正確な制御を行うことが可能となる。
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の排気浄化システムにおいて、還元剤供給からこの還元剤による影響が検出されるまでの応答遅れを考慮して、S被毒回復中の還元剤供給量のフィードバック制御を行う技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気浄化システムは、以下の手段を採用した。即ち、
酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
前記NOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給手段と、
前記還元剤供給手段から還元剤を供給して前記NOx触媒のS被毒を回復させるS被毒回復手段と、
前記還元剤供給手段により供給された還元剤が前記NOx触媒に到達するまでにかかる時間に影響を及ぼす要素の状態を検出する要素状態検出手段と、
前記還元剤供給手段よりも下流で排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、
前記酸素濃度検出手段により検出された酸素濃度と目標となる酸素濃度との差を算出する酸素濃度差算出手段と、
前記酸素濃度差算出手段により算出された差に基づいて排気中の酸素濃度をフィードバック制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記要素状態検出手段により検出された要素の状態と前記酸素濃度差算出手段により算出された酸素濃度差とに基づいてS被毒回復時のフィードバック制御量を変更することを特徴とする。
【0008】
本発明の最大の特徴は、S被毒回復中において、還元剤がNOx触媒に到達するまでにかかる時間に基づいてフィードバック制御量を変更することにある。
【0009】
このように構成された内燃機関の排気浄化システムでは、NOx触媒に燃料中の硫黄分が燃焼して生成される硫黄酸化物(SOx)がNOxと同じメカニズムで吸蔵(吸収、吸着、付着でも良い。)される。このように、吸蔵された硫黄成分は、NOxに比して安定していてNOx触媒内に残留してしまう。
【0010】
このようにNOx触媒に吸蔵されている硫黄成分の量が増加すると、それに応じてNOxの吸蔵に関与することができる吸蔵剤の量が減少するため、NOx触媒のNOx吸蔵能力が低下する、所謂S被毒が生じる。よって、NOx触媒のNOx吸蔵能力を高く保つために適宜の時期にNOx触媒をS被毒から回復させるS被毒回復処理を施す必要がある。このS被毒回復処理は、NOx触媒を高温(例えば600乃至690℃程度)にしつつ還元雰囲気の排気をNOx触媒に流通させて行われている。
【0011】
ところで、NOx触媒から硫黄成分を放出させるときには、最適な酸素濃度が存在し、この酸素濃度を目標として還元剤供給量のフィードバック制御が行われている。しかし、還元剤の供給はNOx触媒の上流側から行われ、一方、フィードバック制御のための排気中の酸素濃度の検出はNOx触媒の近くで行われている。従って、排気中へ還元剤が供給されてから、その還元剤による酸素濃度の変動が酸素濃度検出手段に検出されるまでに時間がかかってしまう。しかも、この時間は、内燃機関の吸入空気量や排気通路の温度等により異なる。即ち、内燃機関の吸入空気量が多いほど、排気の流速が高まり、排気中へ供給された還元剤がNOx触媒に到達するまでの時間が短くなる。また、排気中へ供給された還元剤は、一部が排気通路へ付着し、そこから蒸発した後にNOx触媒に到達することがある。このように排気通路へ付着する還元剤の量及び蒸発に要する時間は、吸入空気量や排気通路の温度により異なる。従って、排気中へ還元剤が供給され、その影響が前記酸素濃度検出手段により検出されるまでの時間が吸入空気量や排気通路の温度により異なる。
【0012】
そこで、本発明では、酸素濃度差算出手段により算出された酸素濃度と目標酸素濃度との差に基づいてフィードバック制御の制御量を決定する際に、前記推定手段により推定された時間を考慮してフィードバック制御量を変更する。これにより、システムの応答遅れに起因した酸素濃度の変動を抑制することが可能となる。
【0013】
本発明においては、前記S被毒回復手段は、排気中の酸素濃度を変動させてS被毒の回復を行うことができる。
【0014】
S被毒回復では、NOx触媒の過熱防止から、酸素濃度を変動させて硫黄成分を放出させることがある。このように構成された内燃機関の排気浄化システムでは、酸素濃度が低くなったときに硫黄成分が放出される。ここで、推定手段による時間を考慮せずにフィードバック制御を行うと、目標となる還元剤濃度若しくは酸素濃度に収束するまでに時間を要し還元剤を多く必要とする。そして、還元剤に燃料を使用している場合には、燃費が悪化する。酸素濃度を低くする時間は、NOx触媒の過熱防止のため限られているので、目標となる酸素濃度に収束するまでに時間を要すると、硫黄成分を放出させるための時間が減少する。従って、酸素濃度を変動させてS被毒の回復を行う場合には、その変動回数が増加し、燃費の悪化が顕著となる。その点、本発明においては、目標となる空燃比に迅速に収束させることができるので、燃費の悪化を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記要素は、内燃機関の吸入空気量であり、吸入空気量が多いほど、フィードバック制御量の変更量を大きくすることができる。
【0016】
ここで、吸入空気量が少ない場合には、排気の流速が遅いために、還元剤を供給してから、その供給の結果変動した酸素濃度が酸素濃度検出手段に検出されるまでの時間が長くなる。従って、還元剤を供給してから、その供給の結果変動した酸素濃度が酸素濃度検出手段に検出されるまでの間にフィードバック制御を行うと、還元剤の供給量が少ないものとして供給量を増量させてしまう。その結果、還元剤の過剰供給が起こり、目標空燃比に収束するまでの時間が長くなってしまう。一方、吸入空気量が多いほど排気の流速が速くなるため、還元剤を供給してからその供給の結果変動した酸素濃度が検出されるまでの時間が短くなる。従って、吸入空気量が多いほど還元剤の供給量の変更量を多くすることにより、還元剤の過剰供給を抑制しつつ、目標空燃比に早期に収束させることが可能となる。
【0017】
本発明においては、前記要素は、還元剤が付着し得る排気通路の温度であり、該排気通路の温度が高いほど、フィードバック制御量の変更量を大きくすることができる。
【0018】
ここで、排気通路の温度が低い場合には、排気通路に還元剤が付着し易く、また、付着した還元剤が蒸発するまでに時間を要するために、還元剤を供給してから、その供給の結果変動した酸素濃度が検出されるまでの時間が長くなる。従って、還元剤を供給してから、その供給の結果変動した酸素濃度が酸素濃度検出手段に検出されるまでの間にフィードバック制御を行うと、還元剤の供給量が少ないものとして供給量を増量させてしまう。その結果、還元剤の過剰供給が起こり、目標空燃比に収束するまでの時間が長くなってしまう。一方、排気通路の温度が高いほど排気通路に還元剤が付着しにくく、また、付着した還元剤が蒸発するまでの時間が短いために、還元剤を供給してから、その供給の結果変動した酸素濃度が検出されるまでの時間が短くなる。従って、排気通路の温度が高いほど還元剤の供給量の変更量を多くすることにより、還元剤の過剰供給を抑制しつつ、目標空燃比に早期に収束させることが可能となる。
【0019】
本発明においては、目標となる酸素濃度を変更する場合であって、変更前の目標空燃比から変更後の最終的な目標空燃比とするまでに徐々に目標空燃比を変更させる期間を設け、前記還元剤供給手段により供給された還元剤が前記NOx触媒に到達するまでにかかる時間が長いほど、前記徐々に目標空燃比を変更させる期間を長くすることができる。
【0020】
このように構成された内燃機関の排気浄化システムでは、目標空燃比を徐々に変更することにより、酸素濃度のハンチングを抑制することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムの具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムを車両駆動用のディーゼル機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る排気浄化システムを適用するエンジン1とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0023】
図1に示すエンジン1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
【0024】
エンジン1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)4と接続されている。
【0025】
前記コモンレール4は、燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。この燃料ポンプ6は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ6の入力軸に取り付けられたポンププーリ6aがエンジン1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ1aとベルト7を介して連結されている。
【0026】
このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ6の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ6は、クランクシャフトから該燃料ポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0027】
前記燃料ポンプ6から吐出された燃料は、燃料供給管5を介してコモンレール4へ供給され、コモンレール4にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。
【0028】
次に、エンジン1には、吸気枝管8が接続されており、吸気枝管8の各枝管は、各気筒2の燃焼室と吸気ポート(図示省略)を介して連通している。
【0029】
前記吸気枝管8は吸気管9に接続されている。吸気管9には、該吸気管9内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ10が取り付けられている。
【0030】
前記吸気管9における吸気枝管8の直上流に位置する部位には、該吸気管9内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁11が設けられている。この吸気絞り弁11には、ステップモータ等で構成されて該吸気絞り弁11を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ12が取り付けられている。
【0031】
このように構成された吸気系では、吸気は、吸気管9を介して吸気枝管8に流入する。この際、必要に応じて吸気絞り弁11によって流量を調節される。吸気枝管8に流入した吸気は、各枝管を介して各気筒2の燃焼室へ分配され、各気筒2の燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
【0032】
一方、エンジン1には、排気枝管13が接続され、排気枝管13の各枝管が排気ポート1bを介して各気筒2の燃焼室と連通している。
【0033】
前記排気枝管13は、排気管14と接続され、この排気管14は、下流にて大気へと通じている。
【0034】
前記排気管14の途中には、排気中に含まれる浮遊粒子状物質である煤に代表されるパティキュレートマター(Particulate Matter:以下、「PM」という。)を捕獲するためのパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという。)20が設けられている。このフィルタ15には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒とする。)が担持されている。尚、本実施の形態では、アルミナからなる担体上にバリウム(Ba)と白金(Pt)とを担持し、更に酸素貯蔵(Oストレージ)能のある例えばセリア(CeO)等の遷移金属が添加されている。
【0035】
このフィルタ15に担持されたNOx触媒は、該フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中の窒素酸化物(NOx)を吸蔵(吸収、吸着、付着でも良い。)し、一方、該フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が低下したときは吸蔵していたNOxを放出する。その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、放出されたNOxが還元される。また、セリア(CeO)等の遷移金属は、排気の特性に応じて酸素を一時的に保持し、活性化酸素として放出する能力を有する。
【0036】
排気枝管13には、該排気枝管13の壁面の温度に対応した電気信号を出力する温度センサ16が取り付けられている。この温度センサ16は、還元剤噴射弁20から噴射された燃料の一部が付着し得る箇所に取り付けられている。また、フィルタ15より上流の排気管14には、該排気管14内を流通する排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ17が取り付けられている。
【0037】
このように構成された排気系では、エンジン1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気ポート1bを介して排気枝管13へ排出され、次いで排気枝管13から排気管14を介してフィルタ15へ流入し、排気中のNOxが吸蔵され、PMが捕獲される。その後、排気は排気管14を流通して大気中へと放出される。
【0038】
また、排気枝管13と吸気枝管8とは、排気枝管13内を流通する排気の一部を吸気枝管8へ再循環させる排気再循環通路(EGR通路)18を介して連通されている。このEGR通路18の途中には、電磁弁等で構成され、印加電力の大きさに応じて前記EGR通路18内を流通する排気(以下、EGRガスと称する)の流量を変更する流量調整弁(EGR弁)19が設けられている。
【0039】
ところで、エンジン1が希薄燃焼運転されている場合は、エンジン1から排出される排気の空燃比がリーンとなり排気中の酸素濃度が高くなるため、排気中に含まれるNOxがNOx触媒に吸蔵されることになるが、エンジン1の希薄燃焼運転が長期間継続されると、NOx触媒のNOx吸蔵能力が飽和し、排気中のNOxがNOx触媒にて吸蔵されずに大気中へ放出されてしまう。
【0040】
ここで、「排気の空燃比がリーン」である状態とは、例えば理論空燃比の混合気を燃焼して得られる排気中の成分比(酸化成分と還元成分の比)よりも、酸化成分が多い(濃い)状態に相当する。換言すると、吸気系へ排気が還流されたり、還元成分が直接排気系に供給されたりといった外乱がない場合、機関燃焼に供される混合気の空燃比が、概ね「14.6」(理論空燃比)よりも大きい(リーン寄りである)ときの排気の状態を意味する。一方、「排気の空燃比がリッチ」である状態とは、同じく吸気系へ排気が還流されたり、還元成分が直接排気系に供給されたりといった外乱がない場合、機関燃焼に供される混合気の空燃比が、概ね「14.6」(理論空燃比)よりも小さい(リッチ寄りである)ときの排気の状態を意味する。
【0041】
特に、エンジン1のようなディーゼル機関では、大部分の運転領域においてリーン空燃比の混合気が燃焼され、それに応じて大部分の運転領域において排気の空燃比がリーン空燃比となるため、NOx触媒のNOx吸蔵能力が飽和し易い。
【0042】
従って、エンジン1が希薄燃焼運転されている場合は、NOx触媒のNOx吸蔵能力が飽和する前にNOx触媒に流入する排気中の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高め、NOx触媒に吸蔵されたNOxを還元させる必要がある。
【0043】
このように酸素濃度を低下させる方法としては、排気中への燃料添加や、再循環するEGRガス量を増大させて煤の発生量が増加して最大となった後に、更にEGRガス量を増大させる低温燃焼(特許第3116876号)、機関出力のための燃料を噴射させる主噴射の後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射等の方法が考えられる。例えば、排気中の燃料添加では、フィルタ15より上流の排気管14を流通する排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する還元剤供給機構を備え、この還元剤供給機構から排気中へ燃料を添加することにより、フィルタ15に流入する排気の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高めることができる。
【0044】
還元剤供給機構は、図1に示されるように、その噴孔が排気ポート1b若しくは排気枝管13内に臨むように取り付けられ、後述するECU22からの信号により開弁して燃料を噴射する還元剤噴射弁20と、前述した燃料ポンプ6から吐出された燃料を前記還元剤噴射弁20へ導く還元剤供給路21と、を備えている。
【0045】
このような還元剤供給機構では、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路21を介して還元剤噴射弁20へ印加される。そして、ECU22からの信号により該還元剤噴射弁20が開弁して排気ポート1b若しくは排気枝管13内へ還元剤としての燃料が噴射される。
【0046】
還元剤噴射弁20から排気枝管13内へ噴射された還元剤は、排気枝管13の上流から流れてきた排気の酸素濃度を低下させると共に、フィルタ15に到達し、フィルタ15に吸蔵されていたNOxを還元することになる。
【0047】
その後、ECU22からの信号により還元剤噴射弁20が閉弁し、排気枝管13内への還元剤の添加が停止される。
【0048】
以上述べたように構成されたエンジン1には、該エンジン1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)22が併設されている。このECU22は、エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じてエンジン1の運転状態を制御するユニットである。
【0049】
ECU22には、各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号の他、クランクシャフトの回転位置に対応した電気信号を出力するクランクポジションセンサ23、運転者がアクセルを踏み込んだ量に応じた電気信号を出力するアクセル開度センサ24の出力信号が入力されるようになっている。
【0050】
一方、ECU22には、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ12、還元剤噴射弁20等が電気配線を介して接続され、上記した各部をECU22により制御することが可能になっている。
【0051】
例えば、S被毒回復制御では、ECU22は、フィルタ15に流入する排気中の酸素濃度を比較的に短い周期でスパイク的(短時間)に低くする、所謂リッチスパイク制御を実行する。
【0052】
ここで、エンジン1の燃料には硫黄(S)が含まれている場合があり、そのような燃料がエンジン1で燃焼されると、二酸化硫黄(SO)や三酸化硫黄(SO)などの硫黄酸化物(SOx)が生成される。
【0053】
SOxは、排気とともにフィルタ15に流入し、NOxと同様のメカニズムによってNOx触媒に吸蔵される。
【0054】
具体的には、フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が高いときには、流入排気ガス中の二酸化硫黄(SO)や三酸化硫黄(SO)等の硫黄成分が白金(Pt)の表面上で酸化され、硫酸イオン(SO 2−)の形でフィルタ15に吸蔵される。更に、フィルタ15に吸蔵された硫酸イオン(SO 2−)は、酸化バリウム(BaO)と結合して硫酸塩(BaSO)を形成する。
【0055】
ところで、硫酸塩(BaSO)は、硝酸バリウム(Ba(NO)に比して安定していて分解し難く、フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が低くなっても分解されずにフィルタ15内に残留してしまう。
【0056】
フィルタ15における硫酸塩(BaSO)の量が増加すると、それに応じてNOxの吸蔵に関与することができる酸化バリウム(BaO)の量が減少するため、フィルタ15のNOx吸蔵能力が低下する、いわゆるS被毒が発生する。
【0057】
NOx触媒のS被毒を回復する方法としては、フィルタ15の雰囲気温度をおよそ600乃至690℃の高温域まで昇温させるとともに、フィルタ15に流入する排気の酸素濃度を低くすることにより、フィルタ15に吸蔵されている硫酸バリウム(BaSO)をSO やSO に熱分解し、次いでSO やSO を排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)と反応させて気体状のSO に還元する方法を例示することができる。
【0058】
ECU22は、例えば、還元剤噴射弁20から排気中へ燃料を添加させることにより、それらの未燃燃料成分をフィルタ15において酸化させ、酸化の際に発生する熱によってフィルタ15の床温を高めるようにする。同時に、各気筒の膨張行程若しくは排気行程時に燃料噴射弁3から副次的に燃料を噴射させても良い。
【0059】
上記したような燃料添加によりフィルタ15の床温が600℃乃至690℃程度の高温域まで上昇する。その後も、引き続きフィルタ15に流入する排気の酸素濃度を低下させるべくECU22は還元剤噴射弁20から燃料を噴射させる。
【0060】
このようにS被毒回復処理が実行されると、フィルタ15の床温が高い状況下で、フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が低くなるため、フィルタ15に吸蔵されている硫酸バリウム(BaSO)がSO やSO に熱分解され、それらSO やSO が排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)と反応して還元され、以てフィルタ15のS被毒が回復されることになる。
【0061】
尚、本実施の形態では、還元剤噴射弁20からの燃料添加により排気中の酸素濃度を変動させてS被毒回復処理を行っている。また、燃料添加を通じて排気の中のHC濃度やフィルタ15の温度を所望の値に収束させるためには、例えば還元剤噴射弁20を駆動するための指令信号の波形を調整すればよい。
【0062】
例えば図2は、還元剤噴射弁20に送られるECU22の指令信号の波形と、その波形に対応する空燃比の変化とを同一時間軸上に示すタイムチャート図である。還元剤噴射弁20は、同図2(a)に示す指令信号がオン(「ON」)の状態となっているときに開弁し、所定圧力の燃料を排気ポート1b若しくは排気枝管13に添加供給する。燃料添加が行われることにより、フィルタ15に流入する排気中のHC濃度が高くなる(リッチスパイクが形成される)ようになる。ここで、添加期間(図2(a))を長くするほどHC濃度の変化量(図2(b))は大きくなり、総添加期間(図2(a))を長くするほど(添加回数を多くするほど)リッチスパイクの形成期間(図2(b))も長くなる。また、添加インターバル(図2(a))を短くするほど、排気中のHC濃度が高くなりフィルタ温度の上昇量は大きくなる。一方、燃料添加の休止期間(図2(a))の長さは、HC濃度(図2(b))が低くなる期間(連続的に形成されるリッチスパイクの間において酸化雰囲気が継続する期間)の長さに対応する。この休止期間の長さにより、フィルタ15の床温を調整することができる。即ち、休止期間を長くするほど、フィルタ15の温度は低くなる。
【0063】
これらの条件は、エンジン回転数(クランクポジションセンサ23の出力信号)及び負荷(アクセル開度センサ24の出力信号、若しくは、燃料噴射弁3からの燃料噴射量)との関係を予め実験等により求めてマップ化しておき、このマップへ目標温度と、エンジン回転数及び負荷とを代入して得ることができる。
【0064】
ところで、従来の内燃機関の排気浄化システムでは、S被毒回復時に行われる還元剤噴射弁20からの燃料添加量をフィードバック制御していた。これは、燃料添加時に空燃比センサ17からの出力信号から、そのときに添加された燃料の過不足量を求め、還元剤噴射弁20からの燃料の噴射量をフィードバック制御するものである。この燃料の過不足量を求めるには、先ず空燃比センサ17の目標となる空燃比と検出された空燃比との差が求められ、その差とそのときの吸入空気量とにより燃料の過不足量が算出される。
【0065】
しかし、還元剤噴射弁20から添加された燃料が排気ポート1bから排気枝管13及び排気管14を流通した後に空燃比センサ17にて検出されるまでにはある程度の時間がかかる。そして、この時間は、排気の流速により異なることになる。この排気の流速は、吸入空気量と相関があり、吸入空気量が多くなるほど排気の流速が速くなる。その結果、燃料添加後に、その添加された燃料による空燃比の変動が空燃比センサ17にて検出されるまでの時間が短くなる。
【0066】
また、還元剤噴射弁20から噴射された燃料の一部は排気ポート1bや排気枝管13、更には排気管14に付着することがある。このように、排気ポート1b等に付着した燃料は、蒸発した後に空燃比センサ17に到達する。従って、排気ポート1b等へ燃料が付着すると、燃料添加後の空燃比の変動が空燃比センサ17にて検出されるまでの時間が長くなる。また、排気ポート1b等への付着量は、排気の流速が速くなるほど少なくなり、また、排気ポート1b等の温度が高いほど少なくなる。このように、吸入空気量及び排気ポート1b等の温度により、排気ポート1b等への添加燃料の付着量や付着した燃料の蒸発速度が異なる。
【0067】
従来の内燃機関の排気浄化システムでは、上記したように、吸入空気量及び排気ポート1b等の温度により、還元剤噴射弁20から噴射された燃料が空燃比センサ17により検出されるまでの時間が異なるにも関わらず、これらのことを考慮せずに燃料添加量のフィードバック制御が行われていた。従って、添加された燃料が空燃比センサ17に到達する前の該空燃比センサ17の出力信号に基づいて、燃料添加量のフィードバック制御が行われることがあった。この場合、検出された空燃比が高い場合には、既にこれに応じた燃料の増量が行われているにも関わらず、燃料添加量が不足していると判定されて、更に燃料が増量されてしまう。一方、検出された空燃比が低い場合には、既にこれに応じた燃料の減量が行われているにも関わらず、燃料添加量が過剰であると判定されて、更に燃料が減量されてしまう。更に、このような燃料添加量の増減を繰り返すことにより、目標空燃比の近辺で排気の空燃比が変動する所謂ハンチングが発生し、実際の空燃比が目標空燃比に収束するまでに時間がかかっていた。
【0068】
このハンチングを抑制しようとして、フィードバック制御一回当たりの燃料の増減量を小さくすることも考えられる。しかし、吸入空気量の多い場合や排気系の温度が高い場合には、燃料の増減量を多くしても目標空燃比に速やかに収束させることが可能であるため、このような場合にも燃料の増減量を小さくしてしまうと、目標空燃比に収束するまでの時間が長くなることがある。
【0069】
以上のことから、従来では、S被毒回復が完了するまでに時間がかかり燃費の悪化を誘発していた。更には、S被毒回復の時期を逃すことによりNOx触媒が飽和してNOxが流出する虞があった。
【0070】
その点、本実施の形態では、エンジン1の吸入空気量及び排気系の温度を考慮して燃料添加量のフィードバック制御を行う。
【0071】
ここで、図3は、燃料添加時のフィルタ15での空燃比推移、燃料添加フラグの状態、燃料添加F/B許可フラグの状態、燃料添加量の関係を示した図である。ここで、燃料添加フラグとは、燃料添加を行う必要がある場合にオン(「ON」)となるフラグであり、ONとなっている間、燃料の添加が行われる。また、燃料添加F/B許可フラグとは、燃料添加のフィードバック制御を行うときにオン(「ON」)となるフラグであり、ONとなっている間、燃料添加量のフィードバック制御が行われる。還元剤噴射弁20により排気中に燃料を添加すると、先ずNOx触媒に貯蔵されている酸素が放出される。そして、NOx触媒に貯蔵された酸素が放出されている間は、フィルタ15から流出する排気は理論空燃比となるため、燃料添加量のフィードバック制御を行うことが困難である。そのため、燃料添加のフィードバック制御は、燃料添加が開始されても直ぐには行われず、NOx触媒に貯蔵された酸素が放出された後に行われる。
【0072】
ここで、NOx触媒に貯蔵されていた酸素が放出された後も燃料添加量のフィードバック制御を行わないと、例えば図3のようにフィルタ15での空燃比は、目標空燃比よりも高い値で推移してしまう。また、フィードバック制御を行った場合であっても、空燃比センサ17の検出空燃比と目標空燃比との差のみによりフィードバック制御量(添加燃料の増減量)を決定してフィードバック制御を行った場合には、フィルタ15での空燃比が目標空燃比に到達するまでに時間がかかってしまう(図3中、F/Bあり(1)参照)。ここで、前記したように総添加期間は、フィルタ15の温度により決まっているので、目標空燃比に到達するまでの時間が長くなると、その分目標空燃比に維持されている時間が短くなり、硫黄成分の放出量が減少してしまう。その点、本実施の形態では、前記空燃比の差に加えて、吸入空気量や排気系の温度を考慮してフィードバック制御を行っているため、フィルタ15での空燃比を目標空燃比に速やかに収束させ、硫黄成分の放出量を増加させることが可能である(図3中、F/Bあり(2)参照)。
【0073】
次に、本実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローについて説明する。
【0074】
図4は、本実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【0075】
本フローでは、吸入空気量に基づいてフィードバック制御量、即ち還元剤噴射弁20からの添加燃料量の増減量を変更させている。また、フィルタ15に流入する排気の空燃比と空燃比センサ17により検出される空燃比とは等しいとして取り扱う。従って、目標空燃比とは、フィルタ15に流入する排気の目標空燃比であるとともに、空燃比センサ17により検出される空燃比の目標値でもある。
【0076】
ステップS101では、S被毒回復条件が成立しているか否か判定する。条件としては、エンジン1がS被毒回復に適した運転状態であるか、NOx触媒に吸蔵された硫黄成分が所定量を超えたか等を例示することができる。NOx触媒に吸蔵された硫黄成分量は、燃料消費量や車両走行距離等により求めることができる。ここで、燃料中の硫黄成分によりフィルタ15が被毒するので、燃料の消費量を積算してECU22に記憶させ、この燃料の消費量によりNOx触媒に吸蔵された硫黄成分量を得ても良い。また、車両走行距離に応じてNOx触媒に吸蔵された硫黄成分量が増加するとして、該車両走行距離に基づいて硫黄成分量を得ても良い。更に、S被毒が進行するとNOx触媒のNOxの吸蔵量が減少し、フィルタ15下流に流通するNOxの量が増大する。従って、フィルタ15の下流に排気中のNOx濃度を検出するセンサを設け、この出力信号に基づいてNOx触媒に吸蔵された硫黄成分量を得ても良い。
【0077】
ステップS101で肯定判定がなされた場合にはステップS102へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0078】
ステップS102では、還元剤噴射弁20から燃料を添加させるリッチスパイク制御中であるか否か判定する。
【0079】
ステップS102で肯定判定がなされた場合にはステップS103へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0080】
ステップS103では、目標空燃比と実際の空燃比との差を算出する。目標空燃比はNOx触媒に吸蔵されている黄成分を放出可能な空燃比で、例えば14.2に設定されている。また、実際の空燃比は、空燃比センサ17の出力信号により得られる空燃比である。
【0081】
ステップS104では、フィードバック制御が実施可能か否か判定する。これは、NOx触媒に貯蔵されていた酸素が放出されたか否かにより判定される。具体的には、リッチスパイク開始からの経過時間が、予め定めておいた時間となった場合に酸素の放出が完了したとすることができる。また、NOx触媒から酸素が放出されている間はフィルタ15の下流の排気の空燃比が理論空燃比となるので、フィルタ15の下流に空燃比センサを設け、空燃比センサ17によりリッチ空燃比が検出された場合にフィードバック制御が実施可能であると判定しても良い。
【0082】
ステップS104で肯定判定がなされた場合にはステップS105へ進み、一方、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。
【0083】
ステップS105では、前記空燃比の差及び吸入空気量から、フィルタ15内の空燃比を目標空燃比とするために、還元剤噴射弁20から添加する燃料の増減量を算出する。吸入空気量は、エアフローメータ10の出力信号に基づいて算出される。
【0084】
また、目標空燃比A/Ft、実際の空燃比A/Fd、単位時間あたりの吸入空気量Gaとすると、燃料の増減量ΔGfは、
ΔGf=Ga/(A/Ft)−Ga/(A/Fd)
となる。
【0085】
ステップS106では、フィードバック制御量を算出する。
【0086】
ここで、図5は、前記空燃比の差とフィードバック比例項の変化速度との関係を示した図である。ここで、「フィードバック比例項」とは、燃料の増減量ΔGfを吸入空気量に基づいて変化させるために、該燃料の増減量ΔGfに乗じられる変数である。
【0087】
図5のように、吸入空気量が多いほど変化速度を大きくし、また、空燃比の差が大きくなるほど変化速度が大きくする。これは、吸入空気量が少ないほど、燃料添加後に空燃比センサ17により添加燃料が検出されるまでの時間が長くなるので、フィードバック制御量の変更量を少なくしなくては、前記ハンチングが生じてしまうからである。このような場合、フィードバック制御項の変化速度を遅くする、即ち、添加燃料の増減量を徐々に変化させてハンチングを抑制する。
【0088】
このような関係は、実験等により求めて予めマップ化しておく。即ち、フィードバック比例項と、空燃比の差及び吸入空気量との関係を予め実験等により求めてマップ化し、ECU22に記憶させておく。このマップに、前記空燃比の差及び吸入空気量を代入して、フィードバック比例項を得る。
【0089】
そして、ステップS105で算出された燃料の増減量ΔGfにこのフィードバック比例項を乗じてフィードバック制御量、即ち最終的な添加燃料の増減量を算出する。
【0090】
ステップS107では、フィードバック制御量を更新する。
【0091】
ステップS108では、フィードバック制御量がクリアされる。
【0092】
このようにして、吸入空気量に基づいて燃料添加量をフィードバック制御することが可能となる。
【0093】
尚、本実施の形態においては、吸入空気量に代えて、排気系の温度に基づいて燃料添加量のフィードバック制御量を変更させても良い。
【0094】
ここで、前記したように、排気ポート1b、排気枝管13及び排気管14の温度が高くなるほど、添加された燃料が空燃比センサ17に検出されるまでの時間が短くなる。従って、これら排気系の温度が低いほど図5に示す変化速度が小さくなる。
【0095】
このような関係を予めマップ化しておく。即ち、フィードバック比例項と、空燃比の差及び排気系の温度との関係を予め実験等により求めてマップ化し、ECU22に記憶させておく。このマップに、空燃比の差及び排気系の温度を代入して、フィードバック比例項を得る。
【0096】
そして、前記ステップS105で算出された燃料の増減量ΔGfにこのフィードバック比例項を乗じてフィードバック制御量、即ち最終的な添加燃料の増減量を算出する。ここで、排気系の温度は、排気枝管13に取り付けられた温度センサ16により得る。
【0097】
このようにして、排気系の温度に基づいて燃料添加量をフィードバック制御することが可能となる。
【0098】
尚、本実施の形態においては、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて燃料添加量のフィードバック制御量を変更させても良い。
【0099】
即ち、前記ステップS106で吸入空気量からフィードバック比例項を得る代わりに、吸入空気量及び排気系の温度からフィードバック比例項を得て、フィードバック制御量を増減することができる。
【0100】
また、本実施の形態においては、NOx触媒はフィルタ15に担持させているが、これに代えて、フィルタ構造を有しない単なるNOx触媒についても適用することができる。
【0101】
以上説明したように、本実施の形態によれば、吸入空気量が多く、また、排気ポート1bの温度が高くなるほどフィードバック制御の制御量を大きくすることが可能となる。これにより、空燃比のハンチングを抑制しつつ、目標空燃比に速やかに収束させることが可能となり、燃費の悪化やNOxの放出を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、フィードバック制御を行う間隔を変更する点で相違する。尚、本実施の形態においては、適用対象となるエンジンやその他ハードウェアの基本構成については、第1の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0102】
ここで、従来の内燃機関の排気浄化システムでは、一定の周期で燃料添加量のフィードバック制御が行われていた。しかし、第1の実施の形態で説明したように、吸入空気量や排気系の温度により、添加された燃料が空燃比センサに検出されるまでにかかる時間が異なる。それにも関わらず、フィードバック制御を行う周期を一律に定めると、目標空燃比に収束させるために時間がかかってしまう虞がある。
【0103】
即ち、吸入空気量が少ない場合や排気系の温度が低い場合には、添加された燃料が空燃比センサに検出されるまでの時間が長くなる。そのため、フィードバック制御を行う周期を長くしなければ、燃料添加による空燃比の変化が検出される前の空燃比に基づいてフィードバック制御が行われ、空燃比のハンチングが起こる虞がある。一方、吸入空気量が多い場合や排気系の温度が高い場合には、空燃比センサに検出されるまでの時間が短くなるため、フィードバック制御を行う周期を短くしても適正なフィードバックを行うことができる。
【0104】
このように、フィードバック制御を行う周期を一律に定めると、空燃比のハンチングや、更には、燃費の悪化、NOxの流出が起こる虞がある。
【0105】
その点、本実施の形態では、吸入空気量や排気系の温度に基づいてフィードバック制御を行う周期を変更する。これにより、速やかに目標空燃比に収束させることが可能となる。
【0106】
次に、本実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローについて説明する。
【0107】
図6は、本実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【0108】
本フローでは、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて燃料添加量のフィードバック制御を行う周期を変更させている。また、フィルタ15に流入する排気の空燃比と空燃比センサ17により検出される空燃比とは等しいとして取り扱う。従って、目標空燃比とは、フィルタ15に流入する排気の目標空燃比であるとともに、空燃比センサ17により検出される空燃比の目標値でもある。
【0109】
ステップS201では、S被毒回復制御中であって、リッチスパイク制御中であるか否か判定する。リッチスパイク制御中でなければ、後述するフィードバック制御量及び空気積算値をクリアする。
【0110】
ステップS201で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS211へ進む。
【0111】
ステップS202では、燃料添加量のフィードバック制御が可能であるか否か判定する。本ステップでは、NOx触媒に貯蔵されていた酸素の放出が完了し、燃料のフィードバック制御を行うことが可能となっているか否か判定する。フィードバック制御が可能でなければ、後述するフィードバック制御量及び空気積算値をクリアする。
【0112】
ステップS202で肯定判定がなされた場合にはステップS203へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS211へ進む。
【0113】
ステップS203では、吸入空気量を積算する。エアフローメータ10からの出力信号により得られる吸入空気量を積算する。尚、本ステップS203からステップS205で、フィードバック制御を行う周期を変更している。
【0114】
ステップS204では、フィードバック制御を開始する時期を判定するための判定値を算出する。本ステップでは、排気系の温度に基づいて、フィードバック制御の開始時期の吸入空気量の積算値(判定値)を算出する。判定値は、排気系の温度と判定値との関係を予め実験等により求めマップ化しておき、このマップに排気系の温度を代入して得ることができる。ここで、排気の温度が高いほど、判定値は小さな値となる。また、排気系の温度は、温度センサ16により検出する。
【0115】
ステップS205では、吸入空気量の積算値が判定値よりも大きいか否か判定する。即ち、フィードバック制御を行う時期となったか否か判定する。
【0116】
ステップS205で肯定判定がなされた場合にはステップS206へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS202へ戻る。
【0117】
ステップS206では、目標空燃比と実際の空燃比との差を算出する。目標空燃比は例えば14.2に設定されている。また、実際の空燃比は、空燃比センサ17の出力信号により得る。
【0118】
ステップS207からステップS209までは、第1の実施の形態の図4中、ステップS105からステップS107までと同様の処理が行われる。
【0119】
ステップS210では、空気積算値がクリアされる。
【0120】
ステップS211では、フィードバック制御量がクリアされる。
【0121】
このようにして、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて燃料添加量をフィードバック制御する時期を変更することが可能となる。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態によれば、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて、空燃比のフィードバックを行う周期を変更することができる。これにより、速やかに目標空燃比に収束させることが可能となり、燃費を向上させることができる。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、NOx触媒に貯蔵されている酸素が放出された後の燃料添加において、目標となる空燃比を徐々に変化させていく点で相違する。尚、本実施の形態においては、適用対象となるエンジンやその他ハードウェアの基本構成については、第1の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0123】
図7は、酸素放出後の燃料添加において、目標となる空燃比を直ちに変化させた場合(上段)及び徐々に変化させた場合(下段)の空燃比センサによる実測空燃比及び目標空燃比を示した図である。
【0124】
ここで、S被毒回復制御では、還元剤噴射弁20からの燃料添加の開始時において、NOx触媒に貯蔵されていた酸素が放出される。この間のフィルタ15内の空燃比は理論空燃比となるため、硫黄成分の放出が緩慢となる。また、燃料添加を行うことができる時間はフィルタ15の温度との関係から限られているため、酸素の放出時間が長くなると硫黄成分の放出可能な時間が短くなる。従って、酸素の放出を速やかに完了させなければ、短期間でS被毒回復を完了させることが困難となる。
【0125】
このような理由から、S被毒回復処理中であって、NOx触媒から酸素が放出されている間には、燃料添加量の増量が行われ、酸素の放出を速やかに完了させるようにしている。そして、酸素の放出が完了した後に硫黄成分の放出を行い、そのための燃料添加量のフィードバック制御が開始される。
【0126】
しかし、前記したように、燃料添加量を増減しても、それによる空燃比の変動が検出されるまでにはある程度の時間がかかってしまう。従って、酸素放出のための燃料添加量の増量が行われていた直後では、空燃比センサに検出されている空燃比は、過剰なリッチ空燃比となる。このような過剰なリッチ空燃比が検出され、その値に基づいてフィードバック制御を行うと、過剰なリッチ空燃比を是正するために燃料添加量の減量が行われる。しかし、空燃比センサにより酸素放出の完了が検出され、燃料添加量が既に減量されている場合には、更に燃料が減量されることとなり、その後、過剰なリーン空燃比となってしまう。このような理由から空燃比のハンチングが発生し、フィルタ15内の空燃比が目標空燃比に収束するまでに時間がかかってしまう。
【0127】
その点、本実施の形態では、目標空燃比を徐々に変更させつつ空燃比のフィードバック制御を行う。また、その際には、エンジン1の吸入空気量及び排気枝管13の温度を考慮している。
【0128】
即ち、酸素放出完了後は、目標空燃比を酸素放出時の目標空燃比に近いものとし、時間の経過に伴って、S被毒回復時の目標空燃比に近づけていく。この際、エンジン1の吸入空気量が多いほど、また、排気枝管13の温度が高いほど、目標空燃比に近づけていく速度を速くする。
【0129】
次に、本実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローについて説明する。
【0130】
図8は、本実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【0131】
ここで、変更前の目標空燃比、即ち、酸素放出時の目標空燃比を「変更前目標空燃比」とし、変更後の最終目標となる空燃比を「最終目標空燃比」とする。また、フィルタ15に流入する排気の空燃比と空燃比センサ17により検出される空燃比とは等しいとして取り扱う。従って、目標空燃比とは、フィルタ15に流入する排気の目標空燃比であるとともに、空燃比センサ17により検出される空燃比の目標値でもある。
【0132】
ステップS301では、S被毒回復制御中であるか否か判定する。
【0133】
ステップS301で肯定判定がなされた場合にはステップS302へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS311へ進む。
【0134】
ステップS302では、NOx触媒に貯蔵されている酸素の放出が完了し、燃料添加量の増量が終了しているか否か判定する。
【0135】
ここでは、燃料添加開始からの経過時間が、予め実験等により求めておいた酸素放出に要する時間となったか否かにより判定する。
【0136】
また、フィルタ15の下流に空燃比センサを設け、このセンサにより検出される空燃比が理論空燃比以下となった場合に、酸素の放出が完了したと判定しても良い。
【0137】
ステップS302肯定判定がなされた場合にはステップS303へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS311へ進む。
【0138】
ステップS303では、前回のルーチンで、NOx触媒に貯蔵されている酸素を放出させるための燃料添加量の増量が行われていたか否か判定する。
【0139】
ステップS303肯定判定がなされた場合にはステップS304へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS305へ進む。
【0140】
ステップS304では、F/B遅れフラグをONとする。ここで、「F/B遅れフラグ」とは、硫黄成分を放出させるための空燃比(最終目標空燃比であって例えば14.2)を目標空燃比としてそのまま適用しないことを判定するためのフラグであり、目標空燃比としてそのまま適用しないときに「ON」となるフラグである。
【0141】
ステップS305では、F/B遅れフラグがONであるか否か判定する。
【0142】
ステップS305肯定判定がなされた場合にはステップS306へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS310へ進む。
【0143】
ステップS306では、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて、目標空燃比の変更量を求める。
【0144】
この目標空燃比の変更量とエンジン1の吸入空気量及び排気枝管13の温度との関係は、予め実験等により求めてマップ化し、ECU22に記憶させておく。このマップに、吸入空気量及び排気枝管13の温度を代入して目標空燃比の変更量を得る。目標空燃比の変更量は、エンジン1の吸入空気量が多くなるほど、また、排気枝管13の温度が高くなるほど大きくなる。また、目標空燃比の変更量は、最大でも、最終目標空燃比と変更前目標空燃比との差よりも小さい値となる。
【0145】
ステップS307では、目標空燃比を算出する。前回のルーチンで算出された目標空燃比に、ステップS306で算出された目標空燃比の変化量を加えて目標空燃比を算出する。算出結果は、ECU22に記憶される。
【0146】
ステップS308では、目標空燃比が最終目標空燃比となったか否か判定する。
【0147】
ステップS308で肯定判定がなされた場合にはステップS309へ進み、一方、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。
【0148】
ステップS310では、目標空燃比を所定値(例えば、14.2)に設定する。この所定値は、硫黄成分を放出するために要求される空燃比であり、前記最終目標空燃比である。
【0149】
ステップS311では、酸素の放出中であるため、燃料添加量のフィードバック制御を禁止する。
【0150】
このようにして、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて、目標空燃比を変化させる速度を変更しつつ、目標空燃比を徐々に変化させて空燃比のハンチングを抑制することが可能となる。
【0151】
以上説明したように、本実施の形態によれば、吸入空気量及び排気系の温度に基づいてフィードバック制御時の目標となる空燃比を徐々に変更することができる。これにより、速やかに目標空燃比に収束させることが可能となり、燃費を向上させることができる。
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、第3の実施の形態と比較して、低温リーン燃焼において、運転領域の変更に伴う目標となる空燃比が変更された場合に、目標となる空燃比を徐々に変化させていく点で相違する。尚、本実施の形態においては、適用対象となるエンジンやその他ハードウェアの基本構成については、第1の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0152】
ここで、「低温リーン燃焼」について説明する。
【0153】
従来、NOxの発生を抑制するためにEGRが用いられてきた。EGRガスは、比較的比熱比が高く、温度を上げるのに必要な熱量が多いので、吸気中におけるEGRガス割合が高くなるほど気筒2内における燃焼温度が低下する。燃焼温度が低下するとNOxの発生量も低下するので、EGRガス割合が高くなればなるほどNOxの排出量を低下させることができる。
【0154】
しかし、燃料噴射時期を一定に保った状態でEGRガス割合を高くしていくとある割合以上で急激に煤の発生量が増大し始める。通常のEGR制御は煤が急激に増大し始めるよりも低いEGRガス割合のところで行われている。
【0155】
ところが、更にEGRガス割合を高くしていくと、上述したように煤が急激に増大するが、この煤の発生量にはピークが存在し、このピークを越えて更にEGRガス割合を高くすると、今度は煤が急激に減少し始め、ついにはほとんど発生しなくなる。
【0156】
これは、燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度がある温度以下のときには炭化水素(HC)の成長が煤に至る前の途中の段階で停止し、燃料及びその周囲のガス温度がある温度以上になると炭化水素(HC)は一気に煤まで成長してしまうためである。
【0157】
従って、燃焼室内における燃焼時の燃焼及びその周囲のガス温度を炭化水素(HC)の成長が途中で停止する温度以下に抑制すれば煤は発生しなくなる。この場合、燃料及びその周囲のガス温度は、燃料が燃焼した際の燃料周りのガスの吸熱作用が大きく影響しており、燃料燃焼時の発熱量に応じて燃料周りのガスの吸熱量即ちEGRガス割合を調整することによって煤の発生を抑制することが可能となる。
【0158】
このようなEGRガス割合にて、エンジン1をリーン空燃比で運転すると、NOxの発生を抑制することが可能となる。そして、このときの運転状態を低温リーン燃焼という。
【0159】
このような低温リーン燃焼を行う場合には、ECU22は、まず目標空燃比を求める。目標空燃比は、エンジン1の運転状態に基づいたマップを予め定めておくことにより得ることができる。次いで、ECU22は目標空燃比に応じた吸気絞り弁11の目標開度を算出し、該吸気絞り弁11を目標開度となるように制御する。次いで、ECU22は目標空燃比に応じたEGR弁19の目標開度を算出し、該EGR弁19を目標開度となるように制御する。また、ECU22は、燃料噴射量及び燃料噴射開始時期を算出する。ここで、吸気絞り弁11及びEGR弁19の目標開度、燃料噴射量、燃料噴射開始時期は予め求められたマップに基づいて算出される。
【0160】
そして、本実施の形態では、空燃比センサ17で検出される空燃比が目標空燃比となるように、吸気絞り弁11の開度をフィードバック制御する。即ち、空燃比センサ17で検出された空燃比が目標よりもリッチ側の場合には、吸気絞り弁11を開き側に制御して、吸入空気量を増加させる。一方、空燃比センサ17で検出された空燃比が目標よりもリーン側の場合には、吸気絞り弁11を閉じ側に制御して、吸入空気量を減少させる。
【0161】
ここで、例えば、最適な運転状態を得るように、エンジン回転数、エンジン負荷等に基づいて、前記目標空燃比を異ならせることがある。目標空燃比が変更されると、この目標空燃比となるように吸気絞り弁11の開度を変更し、気筒2内の混合気の空燃比を変化させる。しかし、この変化した空燃比の排気が空燃比センサ17に到達するまでには時間がかかる。そして、空燃比の変化が空燃比センサ17に検出される前に吸気絞り弁11のフィードバック制御を行うと、既に吸気絞り弁11の開度が変更されているにも関わらず更に開度が変更され、空燃比のハンチングが発生する虞がある。
【0162】
その点、本実施の形態では、目標空燃比を徐々に変更させつつ空燃比の変更を行う。また、その際には、エンジン1の吸入空気量及び排気枝管13の温度を考慮している。即ち、エンジン1の吸入空気量が多いほど、また、排気枝管13の温度が高いほど、最終目標となる空燃比に近づけていく速度を早くする。
【0163】
次に、本実施の形態による吸気絞り弁開度のフィードバック制御のフローについて説明する。
【0164】
図9は、本実施の形態による吸気絞り弁開度フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【0165】
ここで、変更前の目標空燃比を「変更前目標空燃比」とし、変更後の最終目標となる空燃比を「最終目標空燃比」とする。また、フィルタ15に流入する排気の空燃比と空燃比センサ17により検出される空燃比とは等しいとして取り扱う。従って、目標空燃比とは、フィルタ15に流入する排気の目標空燃比であるとともに、空燃比センサ17により検出される空燃比の目標値でもある。
【0166】
ステップS401では、低温リーン燃焼制御中であるか否か判定する。低温リーン燃焼は、ECU22により制御されているので、ECU22内部の状態により判定可能である。
【0167】
ステップS401で肯定判定がなされた場合にはステップS402へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS410へ進む。
【0168】
ステップS402では、前回のルーチンで、最終目標空燃比が変更されていたか否か判定する。
【0169】
ここでは、エンジン回転数とエンジン負荷(例えば、アクセル開度センサ24の出力信号)と目標空燃比との関係を予めマップ化しておき、エンジン回転数及びエンジン負荷を該マップへ代入したときの目標空燃比が前回と同一であるか否かにより判定される。
【0170】
ステップS402肯定判定がなされた場合にはステップS403へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS404へ進む。
【0171】
ステップS403では、F/B遅れフラグをONとする。ここで、「F/B遅れフラグ」とは、最終目標空燃比をそのまま適用しないことを判定するためのフラグであり、最終目標空燃比をそのまま適用しないときに「ON」となるフラグである。
【0172】
ステップS404では、F/B遅れフラグがONであるか否か判定する。
【0173】
ステップS404肯定判定がなされた場合にはステップS405へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS409へ進む。
【0174】
ステップS405では、吸入空気量及び排気枝管13の温度に基づいて、目標空燃比の変更量を求める。
【0175】
この目標空燃比の変更量と吸入空気量及び排気枝管13の温度との関係は、予め実験等により求めてマップ化し、ECU22に記憶させておく。このマップに、吸入空気量及び排気枝管13の温度を代入して目標空燃比の変更量を得る。目標空燃比の変更量は、エンジン1の吸入空気量が多くなるほど、また、排気枝管13の温度が高くなるほど大きくなる。また、目標空燃比の変更量は、最大でも、最終目標空燃比と変更前目標空燃比との差よりも小さい値となる。
【0176】
ステップS406では、目標空燃比を算出する。前回のルーチンで算出された目標空燃比に、ステップS405で算出された目標空燃比の変化量を加えて算出する。この算出結果は、ECU22に記憶される。
【0177】
ステップS407では、目標空燃比が所定値(最終目標空燃比)となったか否か判定する。
【0178】
ステップS407で肯定判定がなされた場合にはステップS408へ進み、一方、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。
【0179】
ステップS408では、F/B遅れフラグをOFFとする。
【0180】
ステップS409では、目標空燃比を所定値(最終目標空燃比)に設定する。
【0181】
ステップS410では、低温リーン燃焼が行われていないので、通常のフィードバック制御が行われる。
【0182】
このようにして、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて、目標空燃比を徐々に変化させる。そして、前記したように、目標空燃比となるように吸気絞り弁11の開閉弁制御を行う。これにより、空燃比のハンチングを抑制することが可能となる。
【0183】
尚、本実施の形態では、低温リーン燃焼時の空燃比フィードバック制御について説明したが、これに代えて、他の運転状態における空燃比のフィードバック制御に適用することもできる。
【0184】
以上説明したように、本実施の形態によれば、低温リーン燃焼時の空燃比フィードバック制御において、吸入空気量及び排気系の温度に基づいて目標となる空燃比を徐々に変更することができる。これにより、速やかに目標空燃比に収束させることが可能となり、燃費を向上させることができる。
【0185】
【発明の効果】
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムでは、内燃機関の吸入空気量が多くなるほど、また、排気系の温度が高くなるほど、空燃比フィードバック制御の制御量を大きくすることが可能となる。これにより、目標となる空燃比に速やかに収束させることが可能となり、燃費の悪化やNOxの放出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る排気浄化システムを適用するエンジンとその吸排気系の概略構成を示す図である。
【図2】還元剤噴射弁に送られるECUの指令信号の波形と、その波形に対応する空燃比の変化とを同一時間軸上に示すタイムチャート図である。
【図3】燃料添加時のフィルタでの空燃比推移、燃料添加フラグの状態、燃料添加F/B許可フラグの状態、燃料添加量の関係を示した図である。
【図4】第1の実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【図5】空燃比の差とフィードバック制御項の変化速度との関係を示した図である。
【図6】第2の実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【図7】酸素放出後の燃料添加において、目標となる空燃比を直ちに変化させた場合(上段)及び徐々に変化させた場合(下段)の目標空燃比及び空燃比センサの出力信号を示した図である。
【図8】第3の実施の形態による燃料添加量フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【図9】第4の実施の形態による吸気絞り弁開度フィードバック制御のフローを示したフローチャート図である。
【符号の説明】
1 エンジン
1a クランクプーリ
1b 排気ポート
2 気筒
3 燃料噴射弁
4 コモンレール
5 燃料供給管
6 燃料ポンプ
6a ポンププーリ
7 ベルト
8 吸気枝管
9 吸気管
10 エアフローメータ
11 吸気絞り弁
12 吸気絞り用アクチュエータ
13 排気枝管
14 排気管
15 フィルタ(吸蔵還元型NOx触媒)
16 温度センサ
17 空燃比センサ
18 EGR通路
19 EGR弁
20 還元剤噴射弁
21 還元剤供給路
22 ECU
23 クランクポジションセンサ
24 アクセル開度センサ

Claims (5)

  1. 酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
    前記NOx触媒へ還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記還元剤供給手段から還元剤を供給して前記NOx触媒のS被毒を回復させるS被毒回復手段と、
    前記還元剤供給手段により供給された還元剤が前記NOx触媒に到達するまでにかかる時間に影響を及ぼす要素の状態を検出する要素状態検出手段と、
    前記還元剤供給手段よりも下流で排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、
    前記酸素濃度検出手段により検出された酸素濃度と目標となる酸素濃度との差を算出する酸素濃度差算出手段と、
    前記酸素濃度差算出手段により算出された差に基づいて排気中の酸素濃度をフィードバック制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記要素状態検出手段により検出された要素の状態と前記酸素濃度差算出手段により算出された酸素濃度差とに基づいてS被毒回復時のフィードバック制御量を変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記S被毒回復手段は、排気中の酸素濃度を変動させてS被毒の回復を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記要素は、内燃機関の吸入空気量であり、吸入空気量が多いほど、フィードバック制御量の変更量を大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記要素は、還元剤が付着し得る排気通路の温度であり、該排気通路の温度が高いほど、フィードバック制御量の変更量を大きくすることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  5. 目標となる酸素濃度を変更する場合であって、変更前の目標空燃比から変更後の最終的な目標空燃比とするまでに徐々に目標空燃比を変更させる期間を設け、前記還元剤供給手段により供給された還元剤が前記NOx触媒に到達するまでにかかる時間が長いほど、前記徐々に目標空燃比を変更させる期間を長くすることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006307799A (ja) * 2005-05-02 2006-11-09 Toyota Motor Corp 内燃機関の排気浄化装置
JP2015078695A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー 内燃機関の排ガス後処理システムの脱硫酸方法

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