JP2004277529A - フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂90〜99.99重量%、エポキシ基に由来するオキシラン酸素量が1重量%以上であるエポキシ化合物0.005〜5重量%、及び一分子中に水酸基を2個以上有し、分子量が100〜10000である脂肪酸エステル型界面活性剤0.005〜5重量%からなる樹脂組成物をフィルム化し、その少なくとも片面が酸化処理されたフィルムを製造し、用いる。
【選択図】 選択図なし
Description
【発明が属する技術分野】
本発明はポリオレフィン系樹脂組成物を用いてなるフィルムに関するものである。更に詳しくは、フィルム表面の防曇性及び/又は帯電防止性が水洗等により劣化せず、その持続性に優れたフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
農業用作物の促成栽培などを目的に、ハウス栽培やトンネル栽培が行われている。ハウス材やトンネル材に用いられるフィルムは、塩化ビニルやポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィンが用いられているが、焼却時に有害ガスが発生するといわれている塩化ビニル系フィルムに対し、ポリエチレン系フィルムやエチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムが盛んに使用されるようになってきている。
【0003】
ハウス材やトンネル材に使用されるフィルムには、フィルム内面に付着した水分を水滴状に凝集させず、栽培作物に落下させることなく流下させるという、所謂防曇性が要求されるが、ポリエチレンやエチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンは水をはじき易いため、フィルム内面に付着した水分が水滴状となり、防曇性に劣る。そのため、各種改善方法が提案されている。
【0004】
ポリオレフィン系フィルムの防曇性を改善する方法としては、以下の2タイプに大別される。
【0005】
まず第1に、ポリオレフィン樹脂に防曇剤と呼ばれる界面活性剤を練りこみ、フィルム成形後ポリオレフィンフィルム表面に界面活性剤が滲出し、防曇性を発現するものであり、練りこみ型と呼ばれているものである。界面活性剤として脂肪酸エステル系が頻繁に使用されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、通常のフィルム製造装置によりフィルム化することが可能であり、コスト面で優れている。
【0006】
第2の方法として、ポリオレフィン系樹脂をフィルム化した後、液状の界面活性剤、或いはシリカやアルミナ等のゾルをバインダーを介しコーティングまたは噴霧し、防曇性を発現させるものであり、塗布型と呼ばれているものである(例えば、特許文献2参照)。この方法は、一般的に防曇性の持続性に優れている。
【0007】
また、ポリオレフィン樹脂はその構造上帯電しやすい性質を有しており、埃などの付着や印刷不良等様々な問題が発生する。その改良のため、様々な方法が提案されているが、大きく3タイプに大別される。
【0008】
まず第1に、ポリオレフィン樹脂に低分子型帯電防止剤と呼ばれる界面活性剤を練り込み、フィルム成形後ポリオレフィンフィルム表面に界面活性剤が滲出し、防曇性を発現するものであり、練りこみ型と呼ばれているものである。界面活性剤として脂肪酸エステル系が頻繁に使用されている(例えば、特許文献3参照)。この方法は、通常のフィルム製造装置によりフィルム化することが可能であり、コスト面で優れている。
【0009】
第2の方法として、ポリオレフィン系樹脂をフィルム化した後、液状の界面活性剤をコーティングまたは噴霧し、帯電防止性を発現させるものであり、塗布型と呼ばれているものである。
【0010】
第3の方法としては、ポリオレフィン樹脂に高分子型帯電防止剤を練り込み、その相構造を制御することにより、帯電防止性能を発現させるものである(例えば、特許文献4参照)。
【0011】
しかしながら、防曇性を改良する第1の方法によれば、滲出した界面活性剤はハウス内面の付着水分により流出し、防曇性が持続しないといった問題があり、これらの改善のため多量の界面活性剤をポリオレフィン樹脂に配合しなければならず、結局のところフィルム費用は高いものになる。
【0012】
また防曇性を改良する第2の方法では、コーティング設備などの費用が高いといった問題がある。
【0013】
帯電防止性を改良する第1の方法によれば、フィルム表面に滲出した界面活性剤の揮発、削れ、流出などにより帯電防止効果が持続しないといった問題がある。
【0014】
また帯電防止性を改良する第2の方法では、コーティング設備などの費用が高いといった問題がある。
【0015】
さらに帯電防止性を改良する第3の方法では、高分子型帯電防止剤の添加量が多く、また高分子型帯電防止剤は高価であり、コスト面で不利である。
【0016】
【特許文献1】特開平2−209940号公報(3頁)
【特許文献2】特開平7−266518号公報(3−5頁)
【特許文献3】特開平9−87421号公報
【特許文献4】特開平1−163234号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、ハウス材、トンネル材等農業用フィルム及び食品等の包装材料等に要求される、防曇性及び/又は帯電防止性に優れ、かつ、その持続性にも優れたフィルムを提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂、特定のエポキシ化合物、及び特定の脂肪酸エステル型界面活性剤とからなる組成物を用いてなるフィルムであって、かつその表面の少なくとも片面が酸化されているフィルムが、防曇性及び/又は帯電防止性の持続性に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂90〜99.99重量%、エポキシ基に由来するオキシラン酸素量が1重量%以上であるエポキシ化合物0.005〜5重量%、及び一分子中に水酸基を2個以上有し、分子量が100〜10000である脂肪酸エステル型界面活性剤0.005〜5重量%からなる組成物を用いてなるフィルムであって、そのフィルム表面の少なくとも片面が酸化されていることを特徴とするフィルムに関するものである。
【0019】
また、本発明は、上記酸化を行う際の酸化方法がコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、プラズマ処理から選ばれるいずれかであることを特徴とするフィルムに関するものである。
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
本発明の防曇性や帯電防止性に優れたフィルムを構成するポリオレフィン樹脂は、一般的にポリオレフィン系樹脂と称されているものでよく、このようなポリオレフィン樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体を示す。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらポリオレフィン樹脂は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0022】
これらの中で、低密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体が、コスト、フィルム強度等の点で、ハウス材、トンネル材、包装材料等として好適である。
【0023】
本発明にて用いられるポリオレフィン樹脂は、防曇性や帯電防止性に優れたフィルムを成形する際の成形性に優れることから、JIS K6922−1(1998年)によるメルトマスフローレート(以下、MFRと記す)が0.1〜100g/10minの範囲にあることが好ましい。
【0024】
本発明にて用いられるポリオレフィン樹脂とは、一般に市販されているポリオレフィン樹脂でよく、そのようなポリオレフィン樹脂の重合方法は、特に限定するものではなく、高圧法低密度ポリエチレンやエチレン・酢酸ビニル共重合体等の場合、例えば高圧法によるラジカル重合法を挙げることができ、エチレン・1−ブテン共重合体やエチレン・1−へキセン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、ポリ1−ブテン等の場合、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒を用いた気相法、溶液法、高圧法等の重合法を挙げることができる。
【0025】
本発明の防曇性や帯電防止性に優れたフィルムを構成するエポキシ化合物とは、エポキシ基に由来するオキシラン酸素量が1重量%以上であるものである。該エポキシ化合物は、防曇性や帯電防止性を持続させるために添加されるものである。その原理は必ずしも明確になっているわけではないが、フィルム表面において、該界面活性剤及びポリオレフィンの酸化により生成する官能基と反応することにより防曇性や帯電防止性が持続するものと考えられる。
【0026】
オキシラン酸素量の測定方法は、村井孝一編著、「可塑剤−その理論と応用」幸書房出版、1973年3月1日発行、664頁等に記載されている方法が例示される。オキシラン酸素が1重量%未満である場合、該エポキシ化合物とポリオレフィンの表面酸化基、界面活性剤との反応性が低く、防曇性や帯電防止性の持続性を発現することができず、好ましくない。
【0027】
このようなエポキシ化合物は、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリイソプレンなどのエポキシ化ゴム、グリシジルメタクリレート等グリシジルエステルの単独重合体、グリシジルメタクリレート等グリシジルエステルとスチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル等不飽和二重結合を有するモノマーとの共重合体、フタル酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上の混合物として使用してもよい。
【0028】
上記構造を有するエポキシ化合物は、市販のものを使用することができる。例えば、エポキシ化大豆油として旭電化工業製「アデカサイザーO−130P」、日本油脂製「ニューサイザー510R」、花王製「カポックスS−6」等、エポキシ化アマニ油として旭電化工業製「アデカサイザーO−180A」、日本油脂製「ニューサイザー512」等、エポキシ化ポリブタジエンとしてダイセル化学工業製「エポリードRB3600」、旭電化工業製「BF−1000」等、その他日本油脂製「ブレンマーCP」「ファルパック」シリーズ等が挙げられる。
【0029】
上記エポキシ化合物のうち、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(以下、Mwと記す。)が2000〜40000を示すものが安定した防曇性や帯電防止性を発現させることができ、好ましい。
【0030】
機種:東ソー HLC−8120GPC、SC8020
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
温度:40℃
測定濃度:1mg/ml
注入量:100μl
カラム:東ソー製 TSKgel GMH HR−H 2本
また本発明のフィルムを構成するエポキシ化合物は、その融解開始温度が30〜150℃であることが防曇性や帯電防止性、及びそれらの持続性を安定的に発現できるため特に好ましい。
【0031】
本発明のフィルムを構成する脂肪酸エステル型界面活性剤とは、一分子中に水酸基を2個以上有し、分子量が100〜10000であるものである。一分子中に水酸基を2個以上有しない場合、防曇性や帯電防止性に劣り、またエポキシ化合物との反応性が低く、防曇性や帯電防止性の持続性が劣る。
【0032】
本発明のフィルムを構成する脂肪酸エステル型界面活性剤の分子量は、100〜10000であるものである。分子量が100未満の場合は、押出成形時に脂肪酸エステル型界面活性剤の揮発が激しく作業環境を悪化させ、一方分子量が10000を超える場合は、脂肪酸エステル型界面活性剤がフィルム表面へ滲出し難くなり、防曇性や帯電防止性が劣る。
本発明の防曇性や帯電防止性に優れたフィルムを構成する上記構造を有する脂肪酸エステル型界面活性剤としては、多価アルコールと脂肪酸のエステルであり、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド等のモノグリセリン脂肪酸エステル類;ステアリン酸ジグリセライド、オレイン酸ジグリセライド等のジグリセリン脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類;ソルビトール類;N,Nージヒドロキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシプロピレンステアリルアミン等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンステアリルアマイド、ポリオキシプロピレンステアリルアマイド等のアルキルアマイド類、等が例示される。これらは一種もしくは二種以上の混合物として使用してもよい。
【0033】
本発明にて用いられるポリオレフィン樹脂、エポキシ化合物、脂肪酸エステル型界面活性剤の配合割合は、ポリオレフイン樹脂が95〜99.99重量%、エポキシ化合物0.005〜5重量%、及び脂肪酸エステル型界面活性剤0.005〜5重量%である。
【0034】
エポキシ化合物の配合割合が0.005重量%未満の場合、防曇性や帯電防止性の持続性が劣り、5重量%を超える場合、該化合物がフィルム表面を覆い防曇性や帯電防止性が発現しないため好ましくない。
【0035】
また脂肪酸エステル型界面活性剤の配合割合が0.005重量%未満の場合、防曇性や帯電防止性が発現せず、5重量%を超える場合、フィルムの透明性が悪化するため好ましくない。
【0036】
エポキシ化合物と脂肪酸エステル型界面活性剤の配合割合は、1:1〜1:100であることが防曇性や帯電防止性、及びそれらの持続性が良好であり、特に好ましい。
【0037】
また、本発明のフィルムは、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常ポリオレフインに使用される添加剤、農業用ハウス材やトンネル材に使用される保温剤、防霧剤などを添加したものでもかまわない。
保温剤としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示され、防霧剤としては、フッ素化多価アルコール類やフッ素化ポリエステルオリゴマー等のフッ素系化合物等が例示される。
【0038】
また本発明のフィルムは、エポキシ基の硬化反応を促進する添加剤を含んでいてもよい。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン、脂肪族ポリアミン、ジアミノフェニルスルフォンm−キシレンジアミン等の芳香族アミン、ピリジン、ベンジルメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン、メルカプタン系硬化剤、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタノール酸、テトラヒドロ無水フタノール酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸等の酸無水物、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸等のジカルボン酸等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上の混合物として使用してもよい。
【0039】
本発明のフィルムは、フィルム表面の防曇性及び/又は帯電防止性を持続させるためにその表面の少なくとも片面が酸化されているものであり、該酸化によりそのような硬化が発現する。その原理は明確になっていないが、ポリオレフィンフィルム表面の酸化により形成したカルボキシル基と脂肪酸エステル型界面活性剤とがエポキシ化合物と反応し、防曇性及び/又は帯電防止性が持続するものと考えられる。
【0040】
フィルム表面を酸化する際の酸化処理方法としては、クロム酸処理、硫酸処理、空気酸化、オゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等が挙げられ、ポリオレフイン樹脂表面に酸化物を効果的に形成させるためオゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理が好ましい。
【0041】
オゾン処理は、本発明のフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも一面にオゾン含有ガスを吹き付けることにより行われる。オゾン処理量としては、溶融樹脂フィルム単位面積に対し、0.1〜50mg/m2であることが防曇性及び/又は帯電防止性が持続性に優れ好ましい。
【0042】
コロナ放電処理は、プラスチックフィルムやシート表面の連続処理技術として広く使用されているものであり、コロナ放電処理機により発生したコロナ雰囲気にフィルムを通過させることにより行われる。コロナ放電密度として、1〜100W・分/m2であることが防曇性及び/又は帯電防止性が持続性に優れ好ましい。
【0043】
フレーム処理は、天然ガスやプロパン等を燃焼させたときに生じる火炎にフィルム表面を接することで処理が行われる。
【0044】
プラズマ処理は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素、酸素、空気等の単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスをフィルム表面に吹き付けることにより行われる。
【0045】
酸化処理量としては、酸化処理されたフィルム表面のJIS K6768(1998年)で測定される濡れ指数が330〜700μN/cmであることが、防曇性の持続性に優れるため好ましい。
【0046】
本発明のフィルムは、インフレーション成形機、Tダイキャスト成形機、カレンダー成形機、プレス成形機等を用いて得ることが可能である。インフレーション成形やTダイキャスト成形においては共押出法により、またこれら成形法により得られた防曇性フィルムを、サンドウィッチラミネート法、ドライラミネート法、サーマルラミネート法等の貼り合わせにより、多層フィルムとすることも可能である。
【0047】
本発明のフィルムの厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜1mmの厚みであることが好ましい。
【0048】
本発明の防曇性や帯電防止性に優れたフィルムは、ハウス材やトンネル材等の農業用フィルム、粉末食品包装、粉末や顆粒状の医薬品包装、青果等の包装、プリン、ゼリー、茶碗蒸等容器の蓋材、ラップ等、防曇性や帯電防止性の要求される用途に使用することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0050】
以下に、物性、加工性の測定方法と評価方法を示す。
(イ)メルトフローレート
JIS K7210(1998年)の試験条件4に準拠。
(ロ)防曇性
気温5℃に保たれた室内に水温40℃の水槽を設置し、実施例により得られたフィルムの酸化処理面が水槽の内面になるように、水槽上部をフィルムで覆った。フィルム表面に水滴が付着しなければ防曇性が良好であり、付着した場合は防曇性が不良である。また、フィルム表面に水滴が発生するまでの日数を防曇性の持続性とした。
(ハ)帯電防止性
表面固有抵抗値測定機としてアドヴァンテスト社製TR8601とTR−42を用い、23℃,50%RHの環境下で、加電圧500kVにおける1分後のフィルム表面の固有抵抗値を測定した。また帯電防止性の持続性については、防曇性評価において水槽上で7日間経過したフィルムの表面固有抵抗値を測定することにより求めた。帯電防止性は、表面固有抵抗値が10×1014未満であるものを良好とした。
【0051】
実施例1
ポリオレフイン樹脂(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213、MFR=8g/10分、以下、LDPEと記す。)99.6重量%、エポキシ化合物(日本油脂(株)製 商品名ファルパック200S、オキシラン酸素量=11.2重量%、重量平均分子量=8000、融解開始温度=50℃、以下、Aと記す場合がある)を0.1重量%、脂肪酸エステル型界面活性剤(理研ビタミン(株)製 商品名リケマールS−71−D、ジグリセリンモノステアレート、以下aと記す場合がある)を0.3重量%になるよう配合し、単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0052】
得られたペレットを25mmΦのスクリューを有するフィルム成形機の押出機へ供給し、200℃の温度でTダイより押出し、厚さ30μmのフィルムを得た後、フィルム表面を濡れ指数が450μN/cmとなるようコロナ放電処理を施し、目的のフィルムを得た。
【0053】
得られたフィルムを20時間40℃に保温されたオーブン中に保管した後、防曇性、及び帯電防止性を評価し、その評価結果を表1に示した。
【0054】
実施例2
ポリオレフイン樹脂として、LDPEを99.68重量%、エポキシ化合物Aを0.02重量%、脂肪酸エステル型界面活性剤aを0.3重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0055】
実施例3
ポリオレフイン樹脂として、LDPEを99.2重量%、エポキシ化合物Aを0.1重量%、脂肪酸エステル型界面活性剤aを0.7重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0056】
実施例4
エポキシ化合物Aの代わりに、エポキシ化大豆油(旭電化工業(株)製 商品名アデカサイザーO−130P、オキシラン酸素量=7%、重量平均分子量=1300、融解開始温度=20℃以下、以下、Bと記す場合がある)を0.01重量%、LDPE99.69重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0057】
実施例5
脂肪酸エステル型界面活性剤aの代わりに、アルキルジエタノールアミン(ライオン(株)製 商品名アーモスタッド310、以下bと記す場合がある)を0.3重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0058】
実施例6
ポリオレフィン樹脂として、LDPEの代わりにエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン515、MFR=2.5g/10分、酢酸ビニル含有量=6重量%、以下EVAと記す場合がある)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0059】
実施例7
ポリオレフィン樹脂として、LDPEの代わりにエチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製 商品名ニポロン−Z 7P04A、MFR=2g/10分、以下LLDPEと記す場合がある)を用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
【0060】
比較例1
ポリオレフイン樹脂として、LDPEを100重量%、エポキシ化合物Aを0重量%、脂肪酸エステル型界面活性剤aを0重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示したが、防曇性、帯電防止性が発現しなかった。
【0061】
比較例2
ポリオレフイン樹脂として、LDPEを99.9重量%、エポキシ化合物Aを0.1重量%、脂肪酸エステル型界面活性剤aを0重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示したが、防曇性、帯電防止性が発現しなかった。
【0062】
比較例3
ポリオレフイン樹脂として、LDPEを99.7重量%、エポキシ化合物Aを0重量%、脂肪酸エステル型界面活性剤aを0.3重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示したが、防曇性、帯電防止性が発現しなかった。
【0063】
比較例4
フィルム表面にコロナ放電処理を施さないこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た(濡れ指数=300μN/cm)。得られたフィルムの評価結果を表2に示したが、防曇性、帯電防止性の持続性が得られなかった。
【0064】
比較例5
脂肪酸エステル型界面活性剤aの代わりに、ステアリルアルコール(花王(株)製 商品名カルコール8098、以下cと記す場合がある)を0.3重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示したが、防曇性、帯電防止性が発現しなかった。
【0065】
【表1】
【表2】
【発明の効果】
本発明の防曇性や帯電防止性に優れたフィルムは、ハウス材やトンネル材等の農業用フィルム、粉末食品包装、粉末や顆粒状の医薬品包装、青果等の包装、プリン、ゼリー、茶碗蒸等容器の蓋材、ラップ等、防曇性や帯電防止性の要求される用途に使用することができる。
Claims (3)
- ポリオレフィン系樹脂90〜99.99重量%、エポキシ基に由来するオキシラン酸素量が1重量%以上であるエポキシ化合物0.005〜5重量%、及び一分子中に水酸基を2個以上有し、分子量が100〜10000である脂肪酸エステル型界面活性剤0.005〜5重量%からなる組成物を用いてなるフィルムであって、そのフィルム表面の少なくとも片面が酸化されていることを特徴とするフィルム。
- 請求項1に記載の酸化が、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、プラズマ処理から選ばれるいずれかの酸化方法であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
- エポキシ化合物が、重量平均分子量2000〜40000であるエポキシ化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフィルム。
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JP2006321828A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Achilles Corp | 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム |
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